4.新エネルギー(風力・太陽光)電源の特徴

4.新エネルギー(風力・太陽光)電源の特徴
限りあるエネルギー資源を有効に使い,
また地球温暖化などの地球規模での環境問題に対応していくために,
風力発電や太陽光発電などの新エネルギーが注目を集めています。
この新エネルギーにもいくつかの課題があることから,その特徴を十分理解した上で,より有効な活用を
図っていくことが重要です。
(1)風力発電の現状
【風力発電電力量は急進】
日本における風力発電の導入状況は,2001年度末現在,約281.1MWとなっており,近年風車の大型化や
ウィンドファームの出現などにより,風力発電導入量は加速的に伸びています。
これは,新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援事業や,各電力会社の風力発電事業用メニュ
ーによる電力買い取りなどが要因として考えられます。
【発電コストは,建設場所や設置形態に大きく依存】
●
発電コストは設置する場所や設置する形態で大きく変わります
風力発電のコストは,設置地点の風況や保守・点検費用の効率性(集中設置で効率化など)により,大きく変
環
境
活
動
わります。
最近の大型の風車(600kW級)では,年間平均風速が6〜7m/sであれば,7〜10円/kWhとなる試算もあり,
設置条件によっては採算が得られる状況になっていると考えられます。
【風の変動が電気の品質の影響】
風力発電は,風が吹かないときや風が強すぎる時
●九州電力の風力発電の発電実績
は発電できません。また,この風の強弱の変動は,電
設備容量《6基》
発電電力量
利用率
(kW)
(kWh)
(%)
2000年度
1,
750
3,
572,
238
23.3
2001年度
1,
750
2,
598,
858
17.0
気の品質(周波数や電圧)に影響を与えます。
便利なエネルギーである電気を有効に活用する
ためには,電気の品質は重要なものであり,風力発
電を行うためには,ある程度の電力系統の大きさが
必要になります。
※2001年度から上記以外に1,
500kW(300kW×5基)を試運転実施中
【風の吹く場所では,
補助電源としての期待大】
風力発電は,エネルギー源が無尽蔵なことやCO2やSOXなどを出すことがなくクリーンな電源であること
から,積極的に活用していくことが重要であり,強い安定した風の吹く地域での補助的な電源としての利用
が期待されます。
56
(2)太陽光発電の現状
【日本の設備容量は世界一】
日本における太陽光発電の導入状況は,2000年度末現在,31.7万kW(暫定値)となっており,全設備容量は
世界一となっています。
ここ数年の導入量の伸び率は,約150%と顕著な増加を示していますが,これは,国の太陽光発電への補助
金制度が大きく影響していると考えられます。
【発電コストには更なる低減が必要】
●
発電コストはさらなる低減が必要です
過去25年以上にわたる技術開発により,太陽電池の製造コストは50分の1程度まで大幅に低下し,住宅用
システムの導入コストは,85万円/kW程度まで低減されています。
しかし,太陽光発電コストは,2000年度実績で60円/kWhであり,家庭用電力料金の20数円/kWhと比較す
ると依然割高で,今後もさらなるコスト低減に向けての技術開発が望まれます。
【天候の影響を受けやすい】
●九州電力の太陽光発電設備の発電実績
夜は発電できず,雨や曇りの日には極端に発電量
設備容量《21か所》
発電電力量
利用率
(kW)
(kWh)
(%)
2000年度
325
261,
020
9.6
2001年度
325
253,
072
9.5
が落ちてしまいます。また,火力や原子力発電と比較
すると発電量が少なく,多くの電気を得ようとする
と広大な土地が必要となります。
環
境
活
動
例えば100万kW級の原子力発電所と同じ量の電
気をつくるためには,
福岡ドーム1900個分
(360倍 の
広 い 土 地 )の 敷 地 が 必 要 に な る 計 算 に な ります。
※発電電力量,
利用率は,
計器設置の318kW(20か所)についてのデータ
【積極的活用と環境意識の高揚】
太陽光発電は,風力発電と同様に無尽蔵でクリーンな電源であることから,公共の建物や会社,住宅の屋根
などに設置して補助的な電源として普及することが期待されます。
また,太陽光発電設備は,発電電力量の表示・記録,余剰電力の販売などにより省エネルギー意識や環境意
識の高揚をもたらすため,家庭や小学校等での環境教育の教材としても活用できます。
(3)九州電力の取り組み状況
風力発電や太陽光発電は,無尽蔵でクリーンなエネルギーであるため,環境意識の高まりを受け,九州地域
におけるここ数年の導入量は確実に伸びています。
九州電力としても,自社設備としての設置を進めるとともに,
「グリーン電力制度」を支援するなど,新エネ
ルギーの更なる普及に努めています。
57