平成 26 年 12 月 12 日作成 同意説明文書 研究課題名 鉄欠乏が血管内皮に及ぼす影響について の臨床研究 (横断研究) 説明年月日 平成 説明医師 氏名 年 月 日 琉球大学医学部附属病院 第三内科 1.研究機関名と実施責任者 研究機関 琉球大学医学部附属病院 第三内科 担当(役割) 氏名 実施責任者 特命助教 名嘉地 めぐみ 2.この研究の背景と目的 身体の中の鉄分は、ほぼ 2/3 が赤血球の中のヘモグロビンにあり、酸素の運搬役として働いていま す。残りの大部分は、貯蔵鉄(フェリチン)として肝臓や脾臓に蓄えられています。鉄分が不足する と、動悸・息切れ、めまいなどの貧血症状が出現します。その一方で、体内の鉄が過剰になると活性 酸素が発生し、発がんや動脈硬化を促進するという報告も指摘されています。 日本鉄バイオサイエンス学会では鉄欠乏の診断として貯蔵鉄の指標である血清フェリチンは 12ng/ml 以下としていますが、炎症などの影響を受けて上昇することがあり、必ずしも健常人にお ける適切な貯蔵鉄量を反映しているかどうかわかっていません。そこで、最適な体内貯蔵鉄量を探る ために、20 代の健康な女性を対象に、生体内鉄代謝マーカーとして最近有用と言われている sTfR (可溶性トランスフェリン受容体)/血清フェリチン比を測定し、血管の硬さ・やわらかさを調べる 血管内皮機能と血管になる能力を持つ細胞の数(血管内皮前駆細胞数)との関連を検討します。この 研究で体内の最適な貯蔵鉄量を示すことができれば、鉄が不足している若年性女性に鉄摂取の必要性 を示す有用な情報を発信することができます。 3.研究の意義 国民健康・栄養調査によると日本人の平均鉄摂取量は、平成 12 年を境に 7.5g/日まで減少して います。我が国は他国に比べ、若年女性でやせ願望の強い女性が多く、潜在性鉄欠乏および鉄欠乏性 貧血の女性が増加しております。鉄欠乏により血管内皮に悪影響を及ぼすことが判明すれば、やせ願 望の強い若年女性に鉄欠乏への警鐘を鳴らすことが可能です。鉄欠乏の改善が重要であることを国民 全体に発信することができれば社会貢献度は高いと考えています。 4.研究の方法 (1)参加いただくことのできる方 ボランティアの 20 代の健康な女性の方。 書面での同意取得が可能な方。 (2)参加をお断りする方 鉄剤及び鉄剤の入ったサプリメントを内服している方。 極度の貧血(Hb 8g/dl 未満)で貧血症状(動悸、息切れ等)を呈している方。 本人の同意が得られなかった方。 何らかの病気で薬剤を内服している方。 医学部の学生及び大学と病院職員 (3)方法 約 20ml 採血と血管内皮機能をみる FMD 検査を実施します。FMD検査では、5 分間前腕阻 血(上腕を血圧測定カフで収縮期血圧より 50mmHg 高く 5 分間加圧します)前後での上腕動 脈の太さの変化を超音波で測定します。圧迫が強くて前腕のしびれ感が強ければ途中で中止しま す。FMD 検査は食事や実施する時間の影響を受ける検査なので、空腹で行います。 (4)評価項目 ① 個人情報:年齢、性別、身長、体重、 ② 血圧、脈拍 ③ 血液検査(原則空腹時で実施):末梢血、血清電解質(Na、K、Cl)、尿素窒素、血清クレ アチニン、血糖、ヘモグロビン A1C、尿酸、HDL-C、LDL-C、TG、高感度 CRP、血清フ ェリチン、総鉄結合能、血清鉄、酸化ストレスマーカー(d-ROM、BAP、カタラーゼ活性) 、 sTfR、ホモシステイン、葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12 ④ FMD 検査:測定使用機種、安静時血管径、最大血管径、最大拡張までの時間、施行時収縮 期・拡張期血圧 ⑤ 血管内皮前駆細胞数(EPC)の測定 ⑥ 生活習慣:飲酒(有無、回/週、量/回) 、喫煙(有無、本数、年) ⑦ 治療関連:服薬の有無 ⑧ 既往歴:腎疾患、肝疾患等の有無 ⑨ 最終月経:周期(日) 、月経開始日~月経終了日 (5)中止の基準 FMD 検査が中止となった場合は本試験を中止します。 (6)目標症例数 100 例 (7)解析方法 血管内皮機能を反映した FMD 検査とヘモグロビン(貧血があるかどうかの指標)、sTfR/血清 フェリチン(体内の貯蔵鉄の指標)との関連性を調べます。 5.研究期間 研究期間は、倫理審査委員会承認後から 2016 年 3 月 31 日です。この期間内にご協力ください。 6.研究終了後の対応 研究終了後、治療が必要な方は引き続き治療を行います。 7.予想される利益(効果など)、不利益(副作用など) (予想される利益) 鉄欠乏により血管内皮機能および血管内皮前駆細胞数に悪影響を及ぼすことが判明すれば、やせ願 望の強い若年女性に鉄欠乏性貧血への警鐘を鳴らすことが可能となり、研究に参加された方の治療に 限らず今後の潜在性鉄欠乏および鉄欠乏性貧血の治療に有益なものになると考えています。 (予想される不利益) 採血量は、約 20ml であり、通常の採血と同様ほとんど危険性はありませんが、採血時のあなたの 体調に十分配慮して行います。FMD 検査では通常の血圧測定で用いられるカフを腕に巻いて、5 分 間加圧(阻血)することで、人によっては腕の痛みやしびれを自覚して、不快に感じる方もいらっし ゃるかもしれませんが、その不快感は減圧することで消失します。 8.健康被害に対する補償と賠償につて 本研究で想定される被害は軽微なもので、それによって健康被害が生じる可能性は極めて低いと考 えていますが、不測の事態には通常診療で対応いたします。本研究で皆様に健康被害を与えて賠償責 任が生じた場合は、病院ならびに医師個人が加入している医師賠償責任保険の範囲内で対応いたしま す。 9.同意と同意の撤回について この研究に参加するかどうかの判断や参加を表明した後にそれを撤回することは、あなたの自由意 思によりいつでも行うことができます。研究参加に同意いただけなかった場合や同意を撤回された場 合でも、これまで通りの治療やサービスを受けることができます。 この研究では代諾者を想定していませんので、研究に参加するかどうかは必ずご本人が判断してく ださい。 10.研究の開示、記録の閲覧、苦情や問い合わせについて あなたの希望があれば、他の患者さまの個人情報や研究の独創性の保護に支障のない範囲で研究計 画や研究方法の資料および研究記録を見ることができます。また、この臨床研究についてわからない 言葉、疑問、質問、もう一度聞きたいこと、さらに詳しく知りたいことや苦情などがございましたら 担当医師に直接お尋ねくださるか下記の連絡先にご連絡ください。お問い合わせ等は、研究が始まっ た後でも構いませんのでお気軽にご連絡ください。 <臨床研究に関する連絡窓口> 琉球大学医学部付属病院 第三内科 実施責任者:名嘉地 めぐみ 職名:特命助教 電話:098-895-1150 11.研究成果から得られる権利について この研究の成果から特許権などが得られて経済的な利益を生む可能性がありますが、これらの権利 は研究機関に帰属し皆様には帰属しませんのでご了承ください。 12.個人情報の取り扱いと利用目的 この研究には、あなたの氏名や住所などの個人情報は必要ありません。ご提供いただいた臨床情報 などは研究のみに利用いたします。得られた情報は匿名化されますので、あなたのプライバシーは十 分保護されます。 13.研究結果の公表について この研究の成果は学会発表や論文での公表を予定していますが、あなたの氏名などが特定できない かたちで行います。 14.試料等の保存および使用方法ならびに保存期間 本研究で得られる記録(同意書、調査票、症例報告書など)は当院にて適切に管理して、本研究の 目的達成および研究にご協力いただいた皆様の利益の確保(健康の維持、治療への活用など)に使用 します。ご提供いただいた血液などの試料は、将来的にも今後の研究において貴重な資源となります。 この研究終了後に残った試料の一部を、この研究以外に関連する研究に限って利用することに同意し ていただいた場合は、当病院で保管いたします。本研究で得られた記録は、問い合わせなどに対応す るため研究終了後 5 年間保存します。 15.研究結果を他の機関に提供する可能性 本学臨床研究倫理審査委員会で提供先の機関名、個人情報の取り扱い、提供先における利用目的に ついて検討し、それが妥当なものであると認められない限り、本研究の成果を他の機関へ提供するこ とはありません。 16.研究資金源と費用について 本研究は大学の研究費を使って行いますので、ご負担はありません。ご協力いただいた謝礼として 1,000 円をお支払いいたします。 17.起こりうる利害の衝突および研究者等の関連組織との関わり 本研究に携わる者とその父母および子に「企業・団体からの収入」 「企業・団体の経営への関与」 「株 式等の保有」 「産学連携活動に係る受け入れ」は一切ありません。 上記の点を十分に御理解の上、研究に参加することを同意される場合は、別紙の同意書に署名をお願 いします。
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