消費者視点からみる中心市街地活性化(5) (プロサッカーによる地方都市中心市街地活性化:大分市等の事例から) 都市研究センター研究員 久繁 1.はじめに 哲之介 プロサッカーの事 例 考 察 を通 して、プロサッカ ーを地 方 都 市 の中 心 市 街 地 活 性 化 に活 用 す 中 心市 街 地 活 性化 は11省 庁が連 携 して施 る手 法 を検 討 した い。 ケーススタ ディとし て次 策 を講 じているように、多 くの視 点 から取 り組 章 において 、大 分 市 の 「消 費 の場 」 の位 置 付 むテーマである。本 稿 第 一 号 では、高 松 市 が けと動向を取りあげる。 「中心市街 地活性化 基 本計画」策 定時に実施 した市民 アンケートを紹 介した。そのアンケート 図表1 消費の場とその特徴 では、市 民 が中 心 市 街 地 に最 も期 待 すること 消費の場 ①自宅 は、 商 業 施 設 の魅 力 向 上 やその集 積 で実 現 する回 遊 性 の向 上 等 、消 費 者 視 点 からの要 求 であった。そこで本 稿 では、中 心 市 街 地 を 「消 費 者 視 点 」から、「消 費 の場 」としてとらえ、 他の「消 費 の場」との共 存・競合 関 係 等から中 心 市 街 地 活 性 化 策 の検 討 や提 案 を行 ってい る。具体には図表1のように、「消費の場」の選 択 肢 を中 心 市 街 地 の他 に消 費 者 の基 点 とな る自 宅 から近 い順 に4つを想 定 した。そして、 地 方 都 市 における「消 費 の場 」の選 択 が中 心 市 街 地 以 外 、特 に 図 表 1の③ と④( 郊 外 と国 内大 都市)に向かう事 例を考 察しながら、地方 都 市 にできうる中 心 市 街 地 活 性 化 策 の検 討 ・ 提案を主な目的としている。 今 号 では、プロサッカーに関 心 をもつ消 費 者 (以 後 、「サポーター」と呼 ぶ)が増 加 している 事 、サポーターはサッカー試 合 当 日 にスタジア ムや中心市街地において 大勢で群れ楽しむ 消 費 行 動 をとる事 に着 目 する。そして、この消 費 行 動 はホームタウン制 度 等 のプロサッカー の仕 組 みに起 因 するとの仮 説 をたて、国 内 外 消費の特徴 独 りで気 ままに、あるいは大 切 な 人 を招 待 して、楽 しく過 ごすために コスト(時間・お金)を惜しまない ②近所 コストをかけず、通 勤・通学 途 上 や 必 要 な都 度 、コンビニ・ スーパー・ レンタル店等で物品を調達する ③郊外 休 日 に主 に車 でコストを多 く投 じ て、物品調達・飲食・娯楽を楽しむ ④国 内 外 休 日 にコストをたっぷり投 じて、上 大 都 市 ・ 記 の日 常 消 費 エリアで充 足 できな リゾート い非日常性を求める 2.大分市の「消費の場」の位置付けと動向 大 分 市 は大 分 県 の県 庁 所 在 地 で人 口 約 44 万 人 、面 積 約 360k㎡であり、全 国 に30ある 中 核 市 の一 つである。大 分 市 においても他 の 地 方 都 市 と同 様 に、郊 外 大 型 商 業 施 設 の開 発・出店は盛んである。特に 2000 年 12 月にオ ープンした「トキハわさだタウン」は敷地面積 14 万 2000 ㎡、延床面積 10 万 2000 ㎡の規模で あり、物販・飲食機能の充実に加え、11 スクリ ーンのシネマコンプレックス等 のアミューズメン ト機 能 も備 えている。「トキハわさだタウン」の 開業は約 1800 人の新規雇用者と年間 1000 枝 を図 表 1の「消 費 の場 」に合 致 させるため、 万 人 を超 える来 客 者 を創 出 した。また、大 分 中 心 市 街 地 、郊 外 、大 都 市 (福 岡 )、自 宅 の4 市郊外には 2002 年 4 月に「トキハわさだタウ つに分 類 した。それを図 表 2では消 費 行 動 別 ン」と同規模(敷地面積 13 万 200 ㎡)の「パー (商 品 別 )に表 した。ま た 、図 表 3で は当 調 査 クプレイス大 分 」もオープンした。このような郊 結 果 を時 系 列 に表 した。尚 、分 類 には次 の点 外 大 型 商 業 施 設 の出 店 攻 勢 は、大 分 市 民 の に留意している。 「消 費 の場 」の選 択 が中 心 市 街 地 から郊 外 へ シフトする結果を生む。 「中 心 市 街 地 」は、大 分 市 中 心 市 街 地 に立 地する全ての商業施設である。 大 分 市 民 の「消 費 の場 」の選 択 に影 響 を及 「郊 外 」は、大 分 市 中 心 市 街 地 以 外 に立 地 ぼす要 因 は、郊 外 大 型 商 業 施 設 の出 店 攻 勢 する県 内 商 業 施 設 であり、大 型 商 業 施 設 と近 だけではない。大 分 県 に隣 接 する福 岡 県 の大 隣 商 業 施 設 の合 計 である。このうち消 費 者 吸 都 市 (博 多 、北 九 州 )は大 分 市 から約 200km 引 力 が特 に強 い「トキハわさだタウン」の数 値 離れているにも係らず、1 日約 70 便運行され を括弧内に内数として示した。 る福 岡 ―大 分 を結 ぶ高 速 バス等 を利 用 して、 大 都 市 である福 岡 を「消 費 の場 」として選 ぶ大 「福 岡 」は、県 外 大 都 市 である福 岡 県 博 多 市と北九州市の合計である。 分 市 民 も多 い。以 上 に述 べた大 分 市 民 の「消 「自 宅 」は電 話 、インターネット、ゲーム、生 費 の場 」の位 置 付 けと動 向 は、大 分 市 が隔 年 活 共 同 組 合 等 を利 用 した通 販 及 び娯 楽 の合 で実 施 している「大 分 商 圏 における消 費 者 購 計である。 買実態調査」の下記データより把握できる。 図表2 消費行動別「消費の場」選択分布 中心市 街地 14% 15% 40% 4% 大分商圏における消費者購買実態調査 調査実施時期:2001 年 11∼12 月。 アンケート対 象 :大 分 県 内 18 歳 以 上 の男 女 3000 人に対して郵送調査を行い、794 人より 回答あり。うち 353 人が大分市民である。 質問1:お買い物はどこでなさいますか? 商 品 別 に43の選 択 枝 より1つだけ選 んでくだ さい。 娯楽 外食 服飾品 生鮮品 郊外 70%(28%) 79%(12%) 49%( 6%) 92%( 4%) 福岡 自宅 12% 3% 6% 0% 4% 3% 5% 4% 注)括弧内はトキハわさだタウンの内数である。 100 90 % 娯楽 外食 服飾品 生鮮品 80 70 60 当 質 問 の「商 品 別 」とは服 飾 品 や生 鮮 品 な ど商 品 だけでなく、娯 楽 や外 食 など消 費 者 の 「消 費 行 動 」全 体 に及 ぶ。また、「43の選 択 50 40 30 20 枝 」とは大 分 市 内 外 にある具 体 の商 店 街 名 、 10 商業 施設 名 、県 外都 市 名、自宅 での通 販やイ 0 ンターネット等 の「消 費 の場 」である。この選 択 中心市街地 郊外 福岡 自宅 図表3 「消費の場」選択の時系列比較 1991 1995 1999 2001 年 年 年 年 中心市街地 36% 31% 26% 18% 郊外など 64%( -) 69%( -) 74%( -) 82%(5%) 注)括弧内は 2000 年 12 月にオープンした「ト キハわさだタウン」の内 数 である。中 心 市 街 地 の消 費 者 吸 引 力 の衰 退 を明 確 に示 すため、 「中 心 市 街 地 」以 外 の選 択 枝 全 てを「郊 外 な 見 ると、中 心 市 街 地 が「消 費 の場 」として選 択 される比率は 10 年間で36%から18%へ半減 した。中 心 市 街 地 に存 在 していた消 費 のシフト 先 は郊 外 と大 都 市 であり、「トキハわさだタウ ン」のような郊 外 大 型 商 業 施 設 の出 現 がその シフトをより加速する。 次に、2001 年における消費行動別「消費の 場 」選 択 や行 政 への要 望 事 項 を見 ると次 のこ とがわかる。 ど」に含めた。 ① 生 鮮品 など「日 常生 活 品 を購 入 する消 費」 質 問 2:大 分 市 の「都 市 政 策 」、「商 業 政 策 」に おいて、不 十 分 と思 われるものを選 択 枝 より3 つ選んでください。 は「消 費の場」として、自宅 からの 移動 コス トを要 しない 近 隣 商 業 施 設 や郊 外 商 業 施 設が選ばれる。 ② 娯 楽 や外 食 など「楽 しむ消 費 」は「消 費 の 図表4 大分 市の「 都市政策 」で不十分な事項 不十分な都市政策 公共駐車場整備 交通対策 大分駅周辺整備 ゆとり空間整備 環境対策 若者定住化 新しい商業拠点整備 回答者比率(%) 56 50 43 40 37 24 16 図表5 大分 市の「 商業政策 」で不十分な事項 不十分な商業政策 駐車場対策 空店舗対策 商店街の整備・改善 若者の街づくり 商店街の回遊性 地元以外の参入促進 大型店の誘致と撤退防止 回答者比率(%) 66 57 32 29 23 22 22 出 典 )図 表 2∼5は、「大 分 商 圏 における消 費 者購買実態調査」 場 」として、 より楽 しい場 を求 めて移 動 コス トをかけてでも 郊 外 大 型 商 業 施 設 や大 都 市が選ばれる傾向が強い。 ③ 服飾品など「ブランド品を購入する消費」は 「消費の場」として、ブランド品を豊富に取り 扱う商業施設が集積する中心市街地が主 に選ばれる。 ④ 「消 費 の場 」としての中 心 市 街 地 の課 題 (消 費 者 が中 心 市 街 地 に期 待 すること)は、 駐 車 場 不 足 などアクセス利 便 性 の改 善 、 商 業 施 設 の魅 力 向 上 、ゆとりや楽 しさを体 験 できる空 間 整 備 である。これらの課 題 は 本 稿 で事 例 に挙 げてきた高 松 市 、宇 都 宮 市 など他 の地 方 都 市 の課 題 とほぼ一 致 す る。また、中 心 市 街 地 が「若 者 向 けの場 で ない」との指摘も一致する。 ⑤ 「消 費 の場 」としての中 心 市 街 地 の魅 力 は、 以 上 の「大 分 商 圏 における消 費 者 購 買 実 娯 楽 や外 食 など「楽 しむ場 」としての消 費 態 調 査 」より、大 分 市 民 の消 費 動 向 ・ニーズを ニーズも存 在 するが、服 飾 品 など「ブランド 分 析 する。まず、時 系 列 に「消 費 の場 」選 択 を 品 を買 う場 」としての位 置 付 けがかなり強 い。 消 費 の場 としての中 心 市 街 地 は主 に「ブラ 田 市 、J リーグ発 足 以 前 から強 豪 実 業 団 サッ ンド品 を買 う場 」との位 置 付 けを換 言 すれば、 カーチームのあった茨 城 県 鹿 島 町 (現 在 は鹿 消費者 は郊 外商業 施設 では販売 されないブラ 嶋市)である。 ンド品 を豊 富 に取 り揃 える百 貨 店 など大 型 商 プロサッカーが高 年 齢 層 には関 心 をもたれ 業 施 設 が集 積 しているから中 心 市 街 地 を「消 ないが、若 い世 代 や女 性 には強 くサポートされ 費 の場 」として選 ぶ。つまり、中 心 市 街 地 の魅 始 めている事 を二 つの調 査 から示 したい。社 力は百貨店など大型商業施設に依存している。 団 法 人 中 央 調 査 社 では、毎 年 5月 頃 に「好 この構 造 が、中 心 市 街 地 から大 型 商 業 施 設 きなプロスポーツ」調査を全国 2000 人の成人 撤 退 、もしくは郊 外 にブランド品 を扱 える規 模 を対象に実施している。 の大 型 商 業 施 設 開 発 が即 、中 心 市 街 地 が 「消 費 の場 」として選 択 され難 くなることに直 結 質 問 :あなたが好 きなプロスポーツを以 下 より してしまう。 幾 つでもあげて下 さい(大 相 撲 、プロ野 球 、プ 地 方 都 市 における中 心 市 街 地 の方 向 性 は、 「買う場=商業機能」の整備やアクセス改善は ロサッカー、プロゴルフ、プロレス、プロボクシン グ、カーレース)。 勿 論 重 要 ではあるが、「楽 しむ場 =広 義 の娯 楽 機 能 」を整 備 ・創 造 することで、郊 外 や大 都 当 調 査 結 果 はここ数 年 、人 気 プロスポーツ 市の開発影響を受けない街づくりを進めたい。 の上位3位 内は野 球、相撲、サッカーで固 定し 「若 者 向 けの街 」との消 費 者 視 点 にも留 意 し ている。それを時 系 列 、年 齢 別 ・性 別 で観 たも つつ、大 都 市 や郊 外 大 型 商 業 施 設 にはない、 地 元 固 有 の「広 義 の娯 楽 機 能 」として、プロサ ッカーの活用を提案したい。 のを図表6∼8に示した。 人 気 のあるプロスポーツを時 系 列 で見 ると、 プロサッカーの人 気 は年 々強 くなり、相 撲 と並 び人気プロスポーツ2位に成長した。 3.日本におけるプロサッカーの位置付け 図表6 好きなプロスポーツ:時系列比較 「プロサッカーを街 づくりや都 市 活 性 化 に活 70 用 する」発 想 及 びその事 例 は、欧 州 主 要 国 で 60 はごく一 般 的 に見 受 けられるが、日 本 では非 50 常に少ない。その主な理由は、日本では街づく 40 30 りの視 点 や意 思 決 定 者 が男 性 中 高 年 齢 層 に 20 偏 重 し、その層 はサッカーへの関 心 が薄 いか 10 らである。実 際 、日 本 でプロサッカーを街 づくり に活 用 していると公 言 する都 市 は J リーグ設 % 0 2000年 野球 2001年 サッカー 2002年 相撲 立 以 前 から市 民 の大 半 がサッカーに関 心 を有 していた都市に限られる。例えば、日本代表選 手 を昔 も今 も多 数 輩 出 してサッカー王 国 と言 同 調 査 を年 齢 別 に見 ると、男 女 とも50歳 を われる静 岡 県 の清 水 市 (現 在 は静 岡 市 )や磐 境に関心のありかが大きく変わる。まず相撲は 50歳以上に人気があり、特に 60 歳以上に強 図表9 観戦者の年齢、性別分布 く愛 好 される。野 球 も各 世 代 に人 気 あるが、や はり 50 歳以上に根強い人気がある。一方、サ 20歳未満 21 20歳代 ッカーは若 い世 代 に人 気 があり、高 齢 者 ほど 30歳代 サッカーへの関心は低い。 40歳代 22 27 19 50歳代 8 60歳以上 図表7 好きなプロスポーツ:男性年齢別 3 0 90 5 10 15 20 25 30 % % 80 70 男性観戦者:54%、女性観戦者:46% 60 50 40 出 典 )札 幌 市 「コンサドーレ札 幌 観 戦 者 アンケ 30 20 ート調査」 10 0 20歳代 30歳代 野球 40歳代 50歳代 サッカー 60歳以上 相撲 若 年 層 流 出 が続 く地 方 都 市 において、若 者 や女 性 に強 くサポートされるプロサッカーを中 心市街地活性化に生かさない手はない。 図表8 好きなプロスポーツ:女性年齢別 60 4.欧州プロサッカーと日本プロ野球の比較 % 50 40 欧 州 では、プロサッカーは一 番 人 気 のある 30 プロスポーツであると同 時 に、プロサッ カーを 20 街づくりや都市活性化に活用している。欧州プ 10 0 20歳代 野球 30歳代 40歳代 サッカー 50歳代 60歳以上 相撲 出典)図表6∼8は、社団 法人中央調 査社「好 ロサッカーと、日 本 で一 番 人 気 のあるプロスポ −ツであるプロ野 球 との違 いを考 察 したい。ま ず、欧 州 プロサッカーの特 徴 は次 の二 点 であ る。 きなプロスポーツ調査」 ① ホームタウン制度 次に、実際の J リーグ試合観戦者データより、 ホームタウン制 度 とは欧 州 各 国 毎 に多 少 の サッカーが如 何 に若 者 や女 性 から サポートさ 違 いはあるが各 国 共 通 部 分 の定 義 は次 の通 れているかを表す。 図表9は、1999 年 9 月 15 りである。プロサッカーチームがホームゲーム 日に札幌厚別公園競技場で行われた J2リー (本 拠 地 での試 合 )で自 由 に使 える一 定 規 模 グ戦 「コンサドーレ札 幌 」対 「ヴァンフォーレ甲 以 上 のスタジアムのある都 市 をホームタウンと 府」の観戦者 15193 人の年齢、性別分布デー 言 う。プロサッカーチームは、チーム正 式 名 称 タである。 にホームタウンの「都 市 名 」をいれ、チーム略 称 は「都 市 名 」を名 乗 る。また、チームの下 部 ラ ンド全 土 のサポ ータ ーを対 象 に 実 施 し た調 組 織 として、年 齢 別 に最 低 3チームのジュニ 査の中で、「Why do you support the team ? ア・チームを所有する。この目的は選 手育成だ (何故そのプロサッカーチームをサポートするの けでなく、地 元 の子 供 に夢 を与 え、市 民 とチー か。選択枝より2つ選んでください)」である。 ムの関係を強くすることである。 一 方 、地 元 (自 治 体 、市 民 、企 業 )はスタジ 図表 10 プロサッカーチームをサポートする理由 アムの確 保 ・建 設 、チーム運 営 をサポートする。 こうした仕 組 みや相 互 サポート体 制 から、プロ サッカーチームは、地 元 の「都 市のチーム」とし て、市民の生活と街に活力を与える「都市のシ ンボル的存在」となる。 地元の誇り 家族の影響 友人の影響 初めて見た プレー内容 ② 多階層リーグによる上下位入替制度 チーム順位 0 イタリアは人口約 5600 万人の国土に、プロ 20 40 60 % サッカーチームの数は126である。セリエ A の 18チームを頂点に、セリエ B に20チーム、セ 出 典 )レスター大 学 社 会 学 部 サッカー研 究 リエ C に36チーム、セリエDに54チームの4階 センターHP( www.le.ac.uk/snccfr/ ) 層のリーグ構成である。更にアマチュア・リーグ が1∼6 部 まで有 る。イタリアでは、人 口 7∼8 プロサッカーチームをサポートする一番の理 万 人 以 上 の都 市 にはまずプロサッカーチーム 由が「地元の誇りだから」は、プロサッカーチー が存在する。 ムが「都市のシンボル的存在」であることを示 人口約 5000 万人のイングランドには、5 階 す。また、理由 2 位と 3 位から、「サッカー観戦 層 118チームから構 成 されるプロサッカーリー は友人など仲間達と大勢で群れ楽しむ」消費 グがある。プレミア・リーグの20チームを頂 点 行動であることがわかる。サポーターのサポー に、フットボールリーグ1∼3 部に各24チーム、 ト理由は、日本のプロ野球ファンが重視する カンファレンス・リーグに26チームの5階 層 で 「チームの強さ・順位」や「プレーの質・内容」は ある。 二の次である。 両国とも、セリエ A やプレミア・リーグを頂点 こうした理由から、プロサッカーは地元のチー とした4∼5層 のピラミッド構 成 で、上 下 位 リー ムをスタジアムや地元中心市街地にて、仲間 グでの入 替 を毎 年 行 う。この上 下 位 入 替 制 度 と大勢で応援することになる。スタジアムへ行 のある4∼5層 リーグ構 成 は、フランス、ドイツ、 けないサポーターは、地元中心市街地の広場 オランダ、スペインのプロサッカーリーグでも同 や商業施設内に設置された大画面テレビ前 様 である。そして、この制 度 により、小 さな都 で応援する。この手法を「Public Viewing」と言 市 ・村 のプロサッカーチームでも頂 点 へ上 るチ う。 ャンスを有する。 図表10は、1995 年にレスター大学がイング 一 方 、日 本 プロ野 球 は欧 州 サッカーの二 つ の特徴と逆の特徴を有する。 ①フランチャイズ制度 「企 業 ブランド」構 築 に利 用 される。したがって、 フランチャイズ制度とは、球団はホームゲー プロ野 球 ファンは居 住 都 市 やチーム所 在 地 の ムで、ある程度自由に使える球場を「興行権」 影 響 を受 けず、各 自 が好 みのブランド(チーム という意味で確保する。これはホームタウン制 もしくは選手)を応援することになり、プロサッカ 度ではないので、東京ドーム球場のように、二 ーのサポーターのように地 元 チームを(地 元 の 球団が共存して興行権を保有しても構わな スタジアム や中 心 市 街 地 にて)仲 間 と大 勢 で い。また、12 球団のフランチャイズ球場の地域 応援することには至らない。 分布は非常に偏りがある。それは大都市に限 られ、首都圏に6つ、近畿圏に3つ、他圏の政 図表 11 日本プロ野球と欧州プロサッカー比較 令指定都市(名古屋、広島、福岡)に3つであ 欧 州 プロサッカ ー 都市との 強い(ホームタ 結びつき ウン制度) ブ ラ ン ド 都 市 ブランド構 政策 築の役割を担う 新規参入 あ る ( 多 階 層 リ や上 位 昇 ーグによる上 下 格 の チ ャ 位入替制度) ンス 日本プロ野球 応援者, 応援対象 , 主 な応 援 方法 Fan は、 好 みのチーム・ 選手を、 一 人 もしくは少 人数で応援 る。 球 団 正 式 名 称 や略 称 には「都 市 名 」でなく、 ロッテ、ヤクルト、日 本 ハムなど「企 業 名 」の使 用 が圧 倒 的 に多 い。近 鉄 、西 武 、阪 神 など電 鉄 会 社 が多 いことも特 徴 の一 つで、以 前 は国 鉄 、西 鉄 、南 海 電 鉄 、阪 急 電 鉄 も球 団 を所 有 していた。これは日 本 プロ野 球 が「企 業 のブラ ンド政 策 や広 報 ・宣 伝 、電 鉄 沿 線 都 市 開 発 等 の施策」に使われているからである。 Supporter は 、 地元チームを、 ス タ ジ ア ム や Public Viewing にて大勢で応援 弱 い(フランチャ イズ制度) 企 業 ブランド構 築に利用される ない(階 層 のな い 12球 団 によ る固 定 リーグ制 度) ②階層のない 12球団による固定リーグ制度 12球 団 に 固 定 さ れ た 日 本 プロ 野 球 は 、下 5.プロサッカーによる都市活性化効果 部 リーグチームが存 在 しないため、入 替 制 度 は当然存在 しない。この仕組みでは、小さな都 市 は勿 論 、中 核 都 市 でさえプロ野 球 チームを 誘致・結成するチャンスはまずありえ無い。「広 島 カープ」、「横 浜 ベイスターズ」など限 られた 一 部 の球 団 が、球 団 正 式 名 称 に「都 市 名 」を 欧 州 プロサッカーが都 市 との結 びつきが強 く、 都市や中心 市街地の活 性化に資することを前 章 で述 べた。ここでは、具 体 のプロサッカーチ ーム事例を挙げて、プロサッカーチームが都市 に与える活性化効果を分析する。 いれ、「市 民 の生 活 や街 に活 力 を与 える都 市 のシンボル的 存 在 」と言 えるものの、日 本 プロ 野 球 は都 市 との結 びつきは非 常 に弱 い。図 表 11 は日本プロ野球と欧州プロサッカー比較を 纏めたものである。 プロサッカーチームは「都市のチーム」であり、 「都 市 ブランド」を構 築 する役 割 を担 う。一 方 、 日 本 プロ野 球 チームは「企 業 のチーム」であり、 ① カステル・ディ・サングロ イタリアのアブルッツォ州にある人口約 5000 人 の村 「カステル・ディ・サングロ」(プロサッカ ーチーム名も同じ)は、1997 年にセリエ B へ昇 格 した。カステル・ディ・サングロの村 営 スタジ アムは、セリエ B リーグの規定により収容人員 8000 人(村民数の約 1.6 倍)に拡大された。 また、対 戦 チームとそのサポーターを迎 えるた 調 査 では 札 幌 市 におけるコンサドーレ札 幌 の めの宿 泊 施 設 ・商 業 施 設 も早 急 に必 要 となり 経済波及効果を約 28 億円/年 と試算してい 整 備 された。日 本 地 方 都 市 の多 くが先 に箱 物 る。 (宿 泊 施 設 ・商 業 施 設 )を造 って、集 客 理 由 を 後 付 けで検 討 して行 き詰 まる姿 とは対 照 的 に、 図表 12 観戦者一人当たりの消費金額 カステル・ディ・サングロは地 元 サッカーチーム 観 戦 当 日 の 消 費 消費金額(円) 全 体 割 項目 合(%) ①入場券 1412 19 ②交通費 1133 16 ③飲食費 811 11 ④グッズ購入費 2246 31 ⑤観戦後の消費 1209 17 ⑥他 (主 に遠 方 者 474 6 の宿泊費) 計 7285 100 出 典 )札 幌 市 「コンサドーレ札 幌 観 戦 者 アンケ ート調査」 の昇格を機に、街の姿と活気は一変した。 カステル・ディ・サングロのホームゲームにお ける 1 試合平均観戦者数は、セリエ C 時代は 2000 人前後だった。しかし、セリエ B 昇格後は 5000 人前後へ急増した。村民数とほぼ同じ人 数のサポーターが村 営 スタジアムに集まる。都 市 のシンボル的 存 在 である地 元 のプロサッカ ーチームが、やはり別 都 市 のシンボル的 存 在 であるチームと試 合 を行 うことは、市 民 にとっ ては祝 祭のような関 心 事となる。お祭りは年 1 回 3 日程度で終わるが、サッカーのホームゲー ムは年に数十試合あり、サッカーによる街の活 性化はお祭りの数倍あるとの見方もできる。 農 業 と牧 畜 が主 産 業 で、所 謂 「田 舎 の山 村 」にすぎなかったカステル・ディ・サングロの 都 市 活 性 化 事 例 は、資 本 のない小 さな村 でも 変 貌 ・成 功 できるとの希 望 をイタリア国 内 外 に 与えた。 消 費 項 目 の割 合 で、グッズ購 入 と観 戦 後 の 消 費 の多 さに注 目 したい。観 戦 後 消 費 の多 さ はサポーターが試合後に自宅へ戻る途中に通 る中 心 市 街 地 にて消 費 を行 うことを示 している。 また、グッズ購 入 費 の多 さは地 元 プロサッカー チームに肖 るキャラクターグッズはかなり売 れ ることを示している。主なものは選手と同じウエ アである。プロサッカー試合の応援風景を見れ ばわかるように、かなり多 くのサポーターが選 手と同じウエアを身につけている。このキャラク ターグッズ企 画 ・販 売 を中 心 市 街 地 商 店 街 が ② コンサドーレ札幌 図 表 9で「コンサドーレ札 幌 観 戦 者 アンケート プロサッカーチームと連 携 して行 い、成 功 して いる事例は後述する。 調 査 」の一部 を紹 介 したが、当 調査 では「観戦 者 の当 日 消 費 金 額 」を聞 いている。観 戦 者 一 人当たりの試合当日消費平均金額は 7285 円 6.日 本 でのプロサッカーチーム設 立 ・運 営 の 課題と効果(大分トリニータ等の事例から) である。この 7285 円を、調査日観戦者 15193 人と、現在のJ1 リーグのホームゲーム数15試 合を乗じた年間観戦者 227,895 人 が消費する 金 額 は約 16億 6千 万 円 /年 と試 算 できる。こ の数 値 に、スタジアムに行 けないサポーターの Public Viewing等による消費額を加 算して、同 日本にも 1994 年にプロサッカーリーグ(J リー グ)が誕 生 した。仕 組 みは欧 州 と同 じく、ホー ムタウン制 度 と多 階 層 リーグによる上 下 位 入 替 制 度 を導 入 している。欧 州 ではイタリアやイ ングランドのように、プロサッカーチームは人 口 出典)㈱大分フットボールクラブ資料 5000∼5600 万人の国に 100 以上が存在する こと、人口 10 万人規模 の都市にはほぼ存在 以 下 に、日 本 地 方 都 市 がプロサッカーチー することを参 考 にすれば、日 本 には200以 上 ムを設 立 ・運 営 する課 題 と、期 待 できうる都 市 プロサッカーチームが設立されてもよい。しかし、 活 性 化 効 果 を大 分 トリニータ等 の事 例 から考 現在 J リーグは J1 に16チーム、J2 に12チー 察する。 ムの28チームである。その下 部 はアマチュア・ リーグであるが、JFL(日 本フットボールリーグ)、 6−1.課題 地区リーグ、県リーグの5階層構成である。 大分トリニータは 1994 年にチームを発足し 地 方 都 市 がプロサッカーチームを設 立 ・運 営 て、5階層の末端にある県リーグからスタートし する場合、市民の理解・サポートやチーム強化 て、わずか8年で頂点の J1へ昇格した。 のノウハウを得 る等 、課 題 は沢 山 ある。そうい 「トリニータ」とは、三 位 一 体 を意 味 する「トリ った課 題 の全 ての根 底 には、地 元 (自 治 体 な ニティ」を捩 った愛 称 である。「トリニータ」設 立 ど)の財 政 問 題 が付 きまとう。初 期 費 用 である 時 の大 分 には、ビッグスポンサーになってくれ 「スタジアムの確 保 と建 設 費 」と毎 年 要 する費 る大 企 業 も、強 力 なチーム母 体 となる実 業 団 用 である「チーム運 営 費 」を都 市 が如 何 にマネ サッカーチームもなかった。また、サッカー大 国 ジメントするかという課 題 と、その課 題 の解 決 と呼 ばれる静 岡 のようにサッカーが盛 んな都 策を以下に纏める。 市 でもなかった。大 分 トリニータは、地 元 の「市 民 ・行 政 ・企 業 」が三 位 一 体 となってこそ生 ま 6−1−1.スタジアムの確保と建設費 れ、運 営 される、まさに「都 市 のチーム」である。 大 分 という都 市 と大 分 トリニータ」は、地 方 都 J リーグ規 定 では、チームは一 定 規 模 以 上 市 が都 市 活 性 化 を目 的 にプロサッカーを設 立 、 (J1 は 15000 人以上、J2 は 10000 人以上)の 運営していくモデルと言える。 ホームスタジアムを確 保 する必 要 がある。J リ ーグチームのスタジアム確 保 は大 きく三 タイプ 図表 13 大分トリニータ、J1 昇格迄の軌跡 年度 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 実績、所属リーグなど 大分フットボールクラブ設立 大分県1部リーグに登録、リーグ優勝 九州リーグ昇格、リーグ優勝 全国地区大会 2 位で JFL 昇格決定 JFL 昇格、リーグ 10 位 JFL12 位 JFL6 位、株 式会社大分フットボールク ラブへ法人化 など J2加盟要件をクリア J2 リーグ昇格、J2 リーグ 3 位 J2 リーグ 3 位 J2 リーグ 6 位 J2 リーグ優勝、J1昇格決定 に分類できる。 ① 既 存 の県 営 ・市 営 の総 合 グランドを増 改 築してホームスタジアムとするケースで、最 もコストを要しない。このケースでは、スタジ アム建 設 費 は照 明 設 備 や座 席 部 分 の増 改 築 費 用 の みでホー ム スタジアム を確 保 できる。現 在 、J2所 属 の地 方 都 市 の多 く がこのケースである。 ② ワールドカップサッカー2002 開催都 市は、 ワールドカップ誘 致 基 準 に基 づき収 容 人 数 42000 人以上のスタジアムを建設した。 担 する。そして、コンペで選 ばれた民 間 企 業 グ 最も高いコストを要するケースであり、図表 ループは SPC を設立し、その SPC が事業計画 14 の大 分 、神 戸 、新 潟 、横 浜 がこれに該 から設計・施行、運営まで手がける。 当する。ワールドカップ 2002 の決勝会場と SPC による運 営 の第 一 歩 として、当 初 から なった横 浜 のスタジアム規 模 を別 格 とすれ の予 定 通 りにワールドカップ終 了 直 後 、スタジ ば、230∼320 億円程度のコストである。 アム客席を 42000 から 34000 に減らす改修工 ③ 収 容 人 数 2万 人 前 後 の公 営 スタジアムを 事を行った。この改修を前提にした設計と改修 新たに建設したケースで、図表 14 の鳥栖、 工 事 に より 、初 期 工 事 費 と 毎 年 の スタジ アム 鹿島がこれに該当し、90 億円前後のコスト 維 持 費 の削 減 を可 能 にした。この改 修 とあわ である。 せて、敷 地 内 にはプール付 トレーニングジムや フットサル兼 テニスコート等 を整 備 した。この施 図表 14 スタジアム収容人員と建設費 設 を神 戸 市 が掲 げる「神 戸 アスリートタウン構 スタジアム名 想 」を推 進 する中 核 施 設 と位 置 付 け、低 額 会 大分ビッグアイ 神戸ウイングスタジアム 新潟ビッグスワン 横浜国際総合競技場 鳥栖スタジアム 鹿島サッカースタジアム 出 典 ) 日 経 収容人員 建設費 (人) (億円) 43,000 251 42,000 230 42,000 312 72,000 603 25,000 97 15,000 84 リ サ ー チ ( www.nikkei-r.co.jp/report/ ) 員 制 フィットネスクラブとして市 民 に開 放 してい る。このように、神戸市はスタジアムの建設・運 営 を プロ サ ッ カ ー 以 外 の 視 点 で も 「 都 市 活 性 化」と位置付けている。 ② ネーミングライツ 東 京 都 調 布 市 にある「東 京 スタジアム」は、 注 )鹿 島 スタジアムはワールドカップ開 催 で増 日 本 の公 共 施 設 では初 のネーミングライツを 改築(240 億円)を行う以前のデータである 導 入 して、2003 年 3 月 から「味 の素 スタジア ム」となった。契約内容は 2003 年 3 月から 5 建 設 費 の多 寡 に係 らず、自 治 体 は建 設 コス 年間、12 億円である。 トを早 期 に回 収 する、もしくはスタジアムをプロ サッカー専 用 でなく市 民 が広 く有 効 利 用 できる 図表15 日米ネーミングライツ事例 施 設 とする等 して正 当 化 する施 策 を求 められ スタジアム名 所在地 アメリカンエアラ インズ・センター フィリップス・ア リーナ 味 の素 スタ ジア ム ダラス る。その施 策 手 法 として、PFI とネーミングライ ツを紹介する。 ① PFI (Private Finance Initiative) 神戸ウイングスタジアムは PFI 手法を使うこ アトラン タ 東京 契 約 期間 30 年 契約金額 (億円) 230 20 年 218 5年 12 とで、ワールドカップ開 催 10都 市 において最 も 出 典 )日 本 経 済 新 聞 (1999,11/8)、味 の素 スタ 低コストでスタジアムを整備した。当 PFI のスキ ジアムHP( www.ajinomotostadium.com/ ) ームは「公設民営方式」と呼ばれ、土地代を含 注)1 ドル:118円換算 むスタジアム整 備 費 230億 円 は神 戸 市 が負 ネーミングライツとは、スタジアムなど公共施 育成費、賃借費。 設 に名 称 をつける権 利 (命 名 権 )の取 引 で、ア 内 訳 として、支 出 の約 5割 を人 件 費 にあて、 メリカで発 祥 ・発 展 した。日 本 初 事 例 と比 べる 収 入 の約 7割 を会 費 に依 存 している点 に注 目 とアメリカでは、契 約 内 容 (期 間 の長 さ、金 額 したい。人件費 5 億円は選手、指導者、スタッ の多さ)はかなり進んでいる。日本においても、 フを含 めた㈱大 分 トリニータのスタッフの合 計 プロサッカーへの関 心 ・注 目 が強 まれば、ネー である。日本プロ野球や欧米プロスポーツには、 ミングライツ収 入 によりスタジアム建 設 費 の早 選 手 一 人 でこれ以 上 かかる選 手 が何 人 もいる 期回収が可能となる。 ことを考 えれば、安 い投 資 である。大 分 トリニ ータはこの安い投資で、よくぞ J1 昇格を果たし 6−1−2.チーム運営費 たと言える。 一方、収入面を見ると収入の 7 割を会費に 大 分 トリニータの 2002 年 度 年 間 予 算 は約 依存 している。大分 トリニータに限らず、J リー 10 億 円 である。チームを強 くするには支 出 は グ各 チームでは「会 員 制 度 」を有 しており、地 増 え、強 くなれば収 入 も増 える。例 えば、2003 元 の市 民 や企 業 が会 費 を払 って会 員 になるこ 年度のJリーグ分配金は J1 昇格により、2002 とにより、チケットやグッズを割 安 もしくは無 料 年度の約 5 倍に増加にする。このように、妥当 で入 手 できる等 様 々な特 典 を得 る制 度 である。 な年 間 予 算 は一 概 に幾 らとは言 えないが、地 これはチームに愛 着 あるサポーターには実 に 方 都 市 がプロサッカーチームを運 営 する場 合 魅 力 的 な制 度 であるが、そうでない者 には見 の予算目安は10億円前後のようである。 向 きもされない制 度 でもある。地 方 都 市 がプロ サッカ ーチ ームを 運 営 する 場 合 、 この 会 費 収 図表 16 大分トリニータの 2002 年度予算 収 入 ①会費 ② ジュニア会費 ③事業収入 ④営業外収入 収入計 支 出 ⑥ 人件費 ⑦ その他 支出計 入 確 保 が課 題 となる。この会 費 収 入 の多 寡 は 705 百万円 40 百万円 125 百万円 142 百万円 「チームの人 気 ・成 績 」に大 きく左 右 されるから 1,012 百万円 ポートを「気 持 ち」だけでなく「会 費 」という形 で 495 百万円 517 百万円 も示 すことが問 われる。大 分 トリニータのJ1昇 1,012 百万円 格 は、地 元 の市 民 ・企 業 ・行 政 が三 位 一 体 と である。つまり、チーム成 績 が振 るわない時 で も、地元(の市民・企業・行政)はチームへのサ 出典)㈱大分フットボールクラブ資料 なって大 分 トリニータへのサポートを継 続 した 注 ) ①サポーターからの法 人 会 費 67億 円 と個 結晶とも言える。 人会費 3.5 億円の合計。②は地元子供への サッカー教 室 等 。③入 場 料 とグッズ等 の商 品 6−2.効果 売 上 の合 計 。④Jリーグ分 配 金 (6500 万 円 )、 放 送 権 料 、サッカーくじ、雑 収 入 の合 計 。⑤ス 大分 トリニータによる都 市活性化の効果を定 タッフ 7300 万 円 以 外 は現 場 (選 手 、指 導 者 ) 量 化 できうる「経 済 波 及 効 果 」と、非 定 量 効 果 の人 件 費 。⑥主 な項 目 は多 い順 に、管 理 費 、 としての「都 市 ブランド 効 果 」に分 けて考 察 す 連 盟 分 担 金 、強 化 費 、遠 征 合 宿 費 、運 営 費 、 る。 度 は3チームともに J2に所 属 していた。図 表 ① 経済波及効果 17 と図表 18 にその全3チーム、3都市のデー 大 分 トリニータの年 間 観 客 動 員 数 を元 に先 タを纏めた。 のコンサドーレ札幌の例に倣って、大分市にお スタジアム観 客 動 員 数 を左 右 する要 因 とし ける大 分 トリニータの経 済 波 及 効 果 を試 算 す て、3 市はそれぞれ異なる優位性を有する。大 る。大分トリニータの 2002 年度観戦者 271,669 分は J2前年6位から大躍進の優勝を果たした 人 は 、 前 章 で 紹 介 し たコ ン サ ド ー レ札 幌 の 試 「チームの人 気 ・成 績 」、福 岡 は百 万 人 都 市 と 算数値: 227,895 人の観戦者で札幌市には年 しての「都 市 の規 模 」 、鳥 栖 は中 心 市 街 地 の 約 28 億円/年の経済波及効果 の20%増で 真 中 にスタジアムをもつ「スタジアム立 地 の利 ある。したがって、2002 年の大分市におけるプ 便性」である。図表 17 の観客動員数動向は、 ロサッカ ー による 経 済 波 及 効 果 は 約 34億 円 スタジアム観 客 動 員 数 の多 寡 ・増 減 を左 右 す /年 と試 算 できる。同 様 に、佐 賀 県 鳥 栖 市 を る要因が、「人口など都 市の規模」や「スタジア ホームタウンとするサガン鳥栖の 2002 年度観 ム立 地 の 利 便 性 」でなく 、「チーム の 人 気 ・成 戦者 85,586 人(は鳥栖市人口の約 1.4 倍)か 績」であることを示している。 ら鳥栖市における経済波及効果は約 11 億円 /年と試算できる。 プロサッカーチームを都 市 集 客 装 置 に見 立 てれば、大 分 のプロサッカーチームは、大 都 市 である福 岡 のそれと比 べ、2 倍 近 い集 客 効 果 図表 17 2002 年度、九州 J2 チームの年間観客 を発 揮 した。プロサッカーは地 方 都 市 において、 動員数と順位(単位:人、括弧内は J2 順位) 大 都 市 との都 市 競 合 に勝 ちうる有 効 な都 市 集 大分トリニータ アビスパ福岡 サガン鳥栖 2001 年度 146,043(6 位 ) J1 に所属 76,527(9 位 ) 2002 年度 271,669( 1 位 ) 142,808(4 位 ) 85,586(9 位 ) 出典)㈱大分フットボールクラブ資料 客装置である。 また、プロサッカーチームが都 市 に存 在 する 意 義 を毎 年 の投 資 対 効 果 という視 点 だけから 考 えるとしても、2002 年 度 の経 済 波 及 効 果 を 大分トリニータのように約 34 億円 創出できれ 図表 18 2002 年度、九州 J2 チームの都市規模、 ば申 し分 ない。また、サガン鳥 栖 のように経 済 中心市街地からスタジアムへのアクセス 波 及 効 果 が約 11 億 円 であっても、地 元 の会 大分市 福岡市 鳥栖市 人 口 (万人) 44 129 ス タ ジ ア ムへの ア クセ ス ( 公 共交通機関利用時) JR 大分駅からバス約 30 分 JR 博 多 駅 か ら 地 下 鉄 6 分、下車後徒歩 20 分 6 JR 鳥栖駅から徒歩 3 分 出典)Jリーグ公式サイト( www.j-league.or.jp/ ) 費 という形 での投 資 (サポート)年 間 約 7億 円 は意義ある投資と言える。 ② 都市ブランド効果 「 都 市 ブラ ン ド 」 に つ い ては 、 そ の 詳 細 を 次 号 にて扱 う予 定 なので、ここでは次 のように簡 ここで、経済波及効果の基準値となる「観客 潔な定義にとどめる。 動員数」に影響を与える要因を考察したい。九 企 業 (商 品 )ブランドが消 費 選 択 の基 準 、満 州には J リーグ加盟チームが3つあり、2002 年 足 度 の指 標 となるように、「都 市 ブランド」は 「消 費 の場 (居 住 、観 光 、娯 楽 )」を選択 する基 準 、満 足 度 の指 標 となる。つまり、「都 市 ブラン 迄のプロスポーツとの係りは、野 球や相 撲など ド力」は都 市間 の消 費 競合 共 存 関 係を決 定 す テレビ等 マスメディアで見 るものに限 られた。こ る大きな要因となる。 の構 図 は、ほぼ全 国 地 方 都 市 に共 通 している 大 分 市 の都 市 間 消 費 競 合 共 存 関 係 を娯 楽 だろう。しかし、大 分 トリニータ設 立 により、大 消 費 で観 れば、大 都 市 ブランド(福 岡 )と競 合 分 市 民 は身 近 な場 所 でプロ選 手 の試 合 や練 関 係 にある。観 光 消 費 で観 れば、同 じ大 分 県 習を見れる。また、中心市街地などで行われる の有 名 観 光 都 市 ブランド(別 府 市 、湯 布 院 町 ) イベントでは、プロ選 手 と直 に触 れあうこともで と競 合 共 存 関 係 にある。この3都 市 は地 理 的 きる。この心 理 的 な満 足 感 、地 元 への誇 りは に東 から大 分 市 、別 府 市 、湯 布 院 町 と連 なる。 「都 市 ブランド効 果 」の代 表 例 であり、定 量 化 しかし、「観光都市ブランド力」は人口約 1 万人 できる経 済 波 及 効 果 以 上 の都 市 活 性 化 効 果 の湯 布 院 町 が全 国 的 にも極 めて高 い。例 えば、 である。 観光経済新聞社が発表した「2002 温泉ベスト 100」において、湯布院町は 4 位、別府市は 18 7.中心市街地とプロサッカーチーム 位 、大 分 市 は100位 外 である。したがって、こ の連 なる3都 市 圏 を観 光 としての「消 費 の場 」 プロサッ カ ーが都 市 全 体 に与 える 効 果 を考 と観 れば、「湯布 院 町には行 った(行 きたい)け 察 してきたが、ここではプロサッカーと中 心 市 ど、大 分 市 には行 った経 験 ない(行 きたいと思 街 地 、特 に衰 退 が進 む商 店 街 との関 係 、その わない)」との位置付けが予想できる。 関 係 から効 果 を生 む仕 組 みを考 察 する。まず、 このような現 状 において、大 分 市 の「都 市 ブ スタジアムの位 置 が中 心 市 街 地 に立 地 するか ランド政 策 」は、 福 岡 や 湯 布 院 な ど近 隣 都 市 否 かは大 きな問 題 ではない。前 章 以 前 で考 察 が既 に有 する「都 市 ブランド」との競 合 に挑 む したように、観 客 動 員 数 の多 寡 を左 右 する要 手 法 、つまり福 岡 に匹 敵 する商 業 ・娯 楽 機 能 因 は「スタジアム立 地 の利 便 性 」でなく「チーム もしくは湯 布 院 に負 けない観 光 機 能 を強 化 す の人 気 ・成 績 」であるし、スタジアムが郊 外 に る手 法 もありえる。事 実 、大 分 市 には商 業 ・娯 立 地 していてもサポーターは試 合 前 後 に中 心 楽 施 設 も温 泉 など観 光 施 設 も存 在 するのだか 市街地を経由するからである。 ら、関 係 者 は当 然 その手 法 を求 めるだろう。し このサポーターの消 費 行 動 は芝 居 観 劇 ファ かし、「都 市 ブランド政 策 」として重 視 すべきは、 ンの消 費 行 動 と共 通 点 がある。芝 居 観 劇 ファ これら地 元 関 係 者 の要 望 でなく、その都 市 が ンは観 劇 という消 費 を、観 劇 とその前 後 の消 有する「都市ブランド資源」である。 費 も 含 め て ワ ンセッ ト で 捉 え て いる 。 例 え ば、 大 分 市 の「都 市 ブランド資 源 」を考 えた場 合 、 観 劇 前 後 の時 間 帯 に高 級 飲 食 店 を予 約 して 西 日 本 (九 州 、四 国 、中 国 の3地 区 )で唯 一 の 出かける消 費は、観 劇 前の期 待を昂める消 費 ワールドカップサッカー開催都市であること、大 行 動 、もしくは観 劇 後 の余 韻 に浸 る消 費 行 動 分 トリニータの大 躍 進 といった「プロサッカー」 である。このように、観劇は定刻通り 2 時間弱 が他都市と差別化でき、最も価値 ある「都市ブ で終 了 する消 費 であるから、その前 後 の消 費 ランド資源」と思われる。 を誘 発 する。プロ野 球 のように長 時 間 かつ何 大 分 市 民 にとって、大 分トリニータ設立 以 前 時 終 了 するか見 通 しのたたない消 費 は、前 後 消費をセットで考えにくいからである。 サポーターも観劇 ファン同様 に、定 刻通り 2 出 典 )セントポルタ中央町HP( www.coara.or.jp/ ) 図表 20 マルチビジョン前での Public Viewing 時 間 弱 で終 了 するプロサッカー試 合 観 戦 とそ の前 後の消 費をセットで考えている。特に観 戦 後 の余 韻 に浸 る「消 費 の場 」として中 心 市 街 地 を選 ぶ。そして、スタジアムに行 けないサポ ー タ ー は 中 心 市 街 地 の 広 場 な ど で 「 Public Viewing」という消 費 行 動 をとる。また、中 心 市 街 地 商 店 街 では試 合 日 以 外 でも商 店 街 イベ 出典)大分合同新聞( www.oita-press.co.jp/ ) ントに地 元 チーム選 手 を招 待 したり、地 元 チー ムに関 連 する商 品 を扱 うなどの手 法 で、商 店 街の活性化を図ることもできる。以下に大分市 中心市街地商店街の主な施策を紹介する。 ②サンサン通り 大 分 市 中 心 部 に立 地 する商 店 街 「サンサン 通り」は、㈱大分フットボールクラブを商店街組 合 員 として迎 えて以 来 、当 商 店 街 と大 分 トリニ ①セントポルタ中央町 ータは相 互 にサポートしあう関 係 にある。商 店 大 分 駅 前 に 立 地 す る商 店 街 「 セ ント ポルタ 街 側 は商 店 街 の雰 囲 気 を大 分 トリニータ色 に 中央町」では 1996 年、インテリジェントアーケ 染 める。例えば、商 店 街内 では 1 時 間 おきに ード事業の一環として、アーケード内に 180 イ 大 分 トリニータの応 援 ソングを流 し、商 店 街 入 ンチのマルチビジョンを設 置 した。商 店 街 幅 員 口には大 分 トリニータのビッグフラッグ(大 応援 一杯に設置 される大型 スクリーンを導入したア 旗 )を掲 げ、各 個 店 軒 先 には小 応 援 旗 を掲 げ ーケード街 は国 内 初 であり、このマルチビジョ る。また、大 分 トリニータのホームゲーム抽 選 ンは Public Viewing(サッカー試合 放映)や各 会 には毎 回 、商 店 街 から景 品 を毎 回 提 供 して 種 イベント、情 報 発 信 などに幅 広 く利 用 されて いる。 いる。Public Viewing 時には、マルチビジョン前 このように、商 店 街 全 体 で地 元 のプロサッカ には約 200 人、多い日には 1000 人以上のサ ーチームをサポートしても、全 ての個 店 がサポ ポーターが集まることもある。 ートした恩 恵 を受 けれるわけではない。サッカ ー人 気 やサッカー観 戦 とは縁 のない業 種 店 舗 図表 19 セントポルタ中央町のマルチビジョン にとっては、個 店 売 上 には結 びつかず、商 店 街 全 体 の広 報 活 動 的 サポートに終 わる可 能 性もある。しかし、当商店街理事長が経営する 自 転 車 販 売 店 が子 供 用 トリニータマウンテン バイクの販 売 を企 画 したり、約 20の商 店 街 店 舗 では大 分 トリニータの試 合 チケットを販 売 し ている。このような工 夫 により、商 店 街 各 個 店 が大 分 トリニータとの関 係 を個 店 の売 上 や広 報宣伝に生かせ、商店街全体の収益源にもで ロサッカーチーム数は百以上ある。 きうる。一 方 、大 分 トリニータ側 も選 手 が商 店 ② 小 さな都 市 でもプロサッカーチームの設 街イベントに参加したり、2002 年 3 月には「大 立 ・運 営 、上 位 昇 格 は可 能 である。イタリ 分 トリニータオフィシャルショップ」を当 商 店 街 アの人 口 約 5000 人の村「カステル・ディ・ 内にオープンさせた。この相互サポートにより、 サングロ」は、セリエ B 昇格を機に来村者 市民は選手と記念撮影会やゲーム等を楽しむ が 激 増 し 、 商 業 施 設 ・ 宿 泊 施 設 な ど箱 物 機会を得れ、商 店街 は集客 と売 上 を増す機会 整備が急務となった。日本でも人口 10 万 を得ている。 人 以 下 都 市 において既 に3都 市 がプロサ ッカーチームを設立している。その 3 都市 8.おわりに は人 口 約 8.6 万 人 の静 岡 県 磐 田 市 、人 口約 6.3 万人の茨城県鹿嶋市、人口約 6. 今 号 のまとめとして、地 方 都 市 における中 心 0 万人の佐賀県鳥栖市である。 市 街 地 活 性 化 にプロサッカーの活 用 が有 効 で ③ スタジアムの建 設 ・運 営 を神 戸 市 の「神 戸 ある事由と事例、成功に導く手法・留意点を以 アスリートタウン構 想 」のようにサッカー以 下に纏める。 外の「都市 活性化」としても位置付 ける。ま た、PFI やネーミングライツ等の手法でスタ 8−1.プロサッカーが地方都市中心市街地活 ジアム建設コストを削減する。 性化に有効な事由 8−3.プロサッカーを中 心 市 街 地 活 性 化 に生 ① ホ ーム タウ ン制 度 に よ り プ ロサッ カ ー チー かす留意点 ムは、地 元 の「都 市 のシンボル的 存 在 」と 位置 付 けられ、市 民は地元 チームを「地元 の誇り」としてサポートする。 ① 中心市街地に Public Viewing できる場を 整備する。 ② プロサッカーは若 者 や女 性 から強 くサポー ② チームに肖るキャラクターグッズ・特産品の トされる。彼 らは定 刻 に終 了 する試 合 観 戦 企 画 ・販 売 を中 心 市 街 地 商 店 街 等 がプロ とその前 後 の消 費 をセットで考 え、試 合 後 サッカーチームと連 携 して行 う。スタジアム の余 韻 に浸 る「消 費 の場 」には、中 心 市 街 観 戦 者 の当 日 消 費 金 額 の約 30%がこの 地が選ばれる。 消費に向かう。 ③ スタジアムへ行けないサポーターは Public ③ 上 記 以 外 にも、中 心 市 街 地 商 店 街 とプロ Viewing できる場 (大 画 面 テレビのある中 サッカーチームの関 係 を強 化 する。例 えば、 心市街地の広場など)へ向かう。 商 店 街 は試 合 当 日 (年 間 30試 合 強 )だけ でも営 業 時 間 を延 長 する。商 店 街 店 頭 で 8−2.プロサッカーの成功事例 地元 試 合 チケットを販 売 する。商 店 街の雰 囲 気 を地 元 サッカー チ ーム色 に 染 める等 ① イタリアやイングランドをはじめ欧州主要国 である。一 方 、プロサッカーチームは商 店 では、日 本 の半 分 程 度 の人 口 国 土 に、プ 街 イベントに参 加 する。商 店 街 にチームの オフィシャルショップを出店する等である。 【参考資料】 大分市商工労政課提供資料 ㈱大分フットボールクラブ提供資料 大分商圏における消費者購買実態調査 社 団 法 人 中 央 調 査 社 「好きなプロスポーツ調査」 札 幌 市 「コンサドーレ札幌観戦者アンケート調査」 ヨーロッパ・サッカーの源流へ(双葉社) スポーツ経 済 効 果 で元 気 になった街 と国 (講 談 社 ) レスター大学社会学部サッカー研究センター HP( www.le.ac.uk/snccfr/ ) Jリーグ公式サイト( www.j-league.or.jp/ ) 神戸市 HP( www.city.kobe.jp/ ) 味 の素 スタジアムHP( www.ajinomotostadium.com/ ) セントポルタ中央町HP( www.coara.or.jp/ ) 大分合同新聞( www.oita-press.co.jp/ ) 観 光 経 済 新 聞 ( www.kankoukeizai-shinbun.co.jp/ ) 日本経済新聞( www.nikkei.co.jp ) 日経リサーチ( www.nikkei-r.co.jp/report/ )
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