フェノール樹脂廃棄物の熱分解液のエポキシ樹脂化

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フェノール樹脂廃棄物の熱分解液の
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:関する研究
エポキシ樹脂化 f
京都市工業試験場
島村哲朗
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フェノール樹脂はその優れた特性により車輔部品等の成形材料,電気 電子部品
の積層板,シェルモールド材料等に用いられ,その生産量は 1999年で約25万トン
に達している 1) 。しかし,現在においてもその廃棄物(年間5万トン以上)の殆どが埋
立もしくは焼却処分されており,処理問題が重要視されてきた。フェノール樹脂廃
棄物のリサイクル技術については1990年代頃から本格的に検討され始め,骨材等の
再利用技術,モノマ一等への分解技術が報告されている。最近では,これら樹脂廃
棄物の製鉄における高炉還元材料としての有効利用 2)や,超臨界水によるプラス
チック廃棄物の処理技術的についても開発されている。また, 1999年6月には「特
J が公布され,主要家電製品 (TV,エア
定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
コン,冷蔵庫,洗濯機)の再商品化が製造業者等市町村に対して義務化されること
になった。本格施行の2001年4月を目前にして,これら家電製品 .OA
機器に用い
られているプリント配線基板の多くがフェノール樹脂積層板であるので,その廃棄
物のリサイクル技術を早急に確立し
なければならない時期に来ている。
筆者らは, iフェノール樹脂廃棄
物の炭素材料化による高度利用技
術」として,紙フエノール樹脂積層
亜里里担の加熱処理により得られた
炭素前駆体を用いて,高性能炭素材
料等の製造技術等の開発叫 f
;
:取り組
んできた(図 1)。そして空フエ
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樹脂廃棄物全体のリサイクル
効率を高めるために,加熱処理時に
同時に発生する熱分解液にも注目
し,エポキシ樹脂化による熱分解液
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の有効利用技術およびその用途開発│ベエ二五二=エp
の検討を行った。
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2. m室自室
2. 1 各種フェノール樹脂材料の熱分解液のエポキシ化の検討引
まず,フェノール樹目廃棄物の炭素材料化による高度利用技術の開発に取り組む
にあたり,廃棄物として排出が考えられる主要なフェノール樹脂材料を加熱処理
し,得られた「残さ」の炭素材料としての有用性を検討し,さらに加熱処理時に同
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の条件で昭盟主主貿去片して得ら
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P-Ph,W-Phと略)を用いて主ポ
を之生金惣旦合成を行い,その硬
化物の物性測定を行った。
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:
壁1;1-解液の収率は約 10~
25wt%であった。各熱分解液の主
沿析,文献に基づき,フ
成分は GC
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た(図 2)。各分解液において,これらメチルフェノール誘導体の占める割合は石
綿 木粉フェノール樹脂では 90%以上であったが,紙フヱノール樹脂では60%程度
であった。紙フェノール樹脂の熱分解液の I
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および GPC
測定より,この熱分解液 1
;
:
はカルボニル化合物を含む高分子量化合物の存在が認められた。
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次に,各熱分解液に大過剰のヱピクロロヒドリン,開亘Ql
担竺た。なお, A-問 zド Ph,W-Phのエポキシ化合物をそれぞれん EP,件
EP,W-EPと略した。熱分解液のエポキシ化合物は単官能であるため,汎用液状ヱ
由化シェルエポキシ製, EP828と略)にブレンドし
ポキシ樹脂(工ピコート 828,i
た樹脂の硬化物について動的粘弾性および接着強度の測定を行った。熱分解液をエ
ポキシ化することにより,その硬化物は熱分解液をそのまま混合した樹脂の硬化物
より高い高温弾性率, Tgを示した。また,ブレンド樹脂でのエポキシ化合物の配合
g
Iま低下し
量を増やすと,硬化物の網目鎖の運動性が増加するため,高温弾性率, T
た。さらに,エポキシ化合物を汎用液状ヱポキシ樹脂にブレンドすることによっ
て,その硬化物の引張せん断接着強度を損なわずに,高い剥離接着強度を与えるこ
。
とがわかった(表 1)
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夜のエポキシ化合物の高性能化(架橋可能な構造等)を図ること, 2
.
1項
の3種類の廃フェノール樹脂材料の中で,炭化により高機能な炭素材料カf得られるこ
と等から,紙フエノール樹脂積層板廃棄物(レソール型,紙添加量約50wt%) につ
いて, 600Cで加熱処理して得られた熱分解液を用いて乙亙乏立え型羽ま減嫡ー
0
の合成を行い,種々の硬化剤による硬化物の物性を検討した。
分析の結果,フェノール,メチルフエノール,ジメチ
熱分解液の主成分はGC-MS
ルフェノール等のフエノール誘導体であり,その他に基材である紙の分解物と考え
られる長鎖脂肪酸メチルエステルや長鎖脂肪酸等が含有していた(図 3) 。これら
はエポキシ樹脂化に不要な成分であるが,熱分解液全体の再利用の観点から低沸分
の除去以上の分離精製は行わずに
ノボラックエポキシ化反応の原料
として用いることにした。
まず,熱分解液のノポラック化
反応を行い,フヱノールを 50wt%
添加した熱分解液のノポラック化
合物は,フェノール核数が 10程度
のノボラックが生成しているが,
これらの一部にはフエノールと反
応していないヒドロキシメチル
(メチロール)基が残存し,その
他にフエノール核数が 1の単フエノ
ール類,脂肪酸メチルエステル類
が混在していた。次に,ノポラッ
ク化合物のヱポキシ化反応を行
い,フェノールを 50wt%添加して
合成したノポラック型エポキシ樹
脂 (EPN50と略)の硬化物は,フ
ェノールを添加しないエポキシ樹
脂 (EPNOと略)に比較して Tg,
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高温弾性率,曲げ強度は大きく向上した。特に, EPN50は硬化剤に無水メチルナ
ジツク酸を用いた硬化物において, EP828および市販のノボラック型エポキシ樹脂
(エピコート 154,油化シェルエポキシ製, EP154と略)とほぼ同等の曲げ強度,
曲げ弾性率および剥離接着強度を示した(表 2)。
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紙フェノール樹脂積層板廃棄物からは炭化により高機能炭素材料(例えば高性能活
性炭)が得られ,既に電気二重層キャパシター用電極材料として実用化され,さらに
成形することにより三次元形状を有するアモルファス炭素材料,国体活性炭等の材
料開発も行った。一方,加熱処理時に同時に発生する熱分解液についても,ノポ
ラックエポキシ樹脂化と共に,最初から黒褐色という特徴を活かして現在 3 高性能
舗装用材料への用途開発に取り組んでおり,実用化に向げての研究を行っている。
謝辞 本研究の遂行にあたり,多大なご指導・ご助言を頂きました関西大学工学部越智光
一教授, (社)大阪工研協会福田明徳氏,ならびに大阪市立エ業研究所長谷川喜一氏・松本明
博氏 大塚恵子氏に心より御礼申し上げます。そして,本研究を行うにあたり,数多くのご
協力をして頂きました皆様に深く感謝申し上げます。
参考文献 1) 日本プラスチック工業連盟,プラスチックス, 51 (
日
)
.59 (2000). 2
) 大垣陽二,第
B回ポリマー材料フォーラム講演婆旨集. 137-140 (1999). 3
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I
,熱硬化性樹脂. 16,83-189
(1999). 5
) 島村哲朗.寒川喜光,北川和男,中野透明,佐藤昌平J
(1995). 6
)島村哲朗,北川和男,中野違明,ネットワークポリマ
-144-
.21.70・
76(2000)
目
.
,
特別 0
3
高密度実装用プリント配線板“ A L1VH"
松下電子部品株式会社
回路基板事業部
商品技術部商品技術課
立花雅
1.緒言
近年,電子機器の小型・軽量・高機能化は,急速に発達しており,図 1に示す
ように,半導体は集積度が増大し,多ピン化,ファインピッチ化が急速に進ん
でいる。半導体以外の電子部品も同様であり,これら電子部品を受けるプリン
ト配線板には,小形・軽量・高密度配線化の要求がより一層高まっている。
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)を量産化し,携帯電話に採用され,超軽量化へ
導くなど大きく貢献してきた。
また, ALIVHは,携帯電話以外の分野への用途にも急速に広がりつつあり,
その特長を生かしながら,さらにファイン化して, csp実装対応,半導体ベ
アチップ実装用としても開発・量産化している。
以下,高密度実装用プリント配線板 ALIVHの製品概要と信頼性,開発動向と
今後の課題について述べる。
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半導体 1 10 剛容f田 ~~ 1回 MHYa;田ぜン 1GH
毛旬。ピユ
半導体の
実装形態
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機嫌
園 2 多層畠緩衝造の比較
2. 本 論
2.1 A L I V H
(従来多層構造との比較)
従来の多層プリント配線板は,図 2
1
:
:示すように層聞を電気的に接続するため
にスルーホール(一般的にドリル加工後銅めっきされた貫通穴)が必要である。
しかしながら,電子機器の高機能化に伴う凹路規模の増大により,スルーホー
ル数が増加し,プリント配線板の有効面積の減少をもたらし,さらに,スルー
ホールの上に直接部品を実装することができないため,部品実装ラシドとは別
な場所にスルーホールを設けなければならなく,これも有効面積減少に繋がっ
ていた。これらのことが,プリント配線板の小型化,設計の合理化や高速回路
1
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