ILS GP近傍モニタの積雪特性の改善

モニタと遠方特性との
高い相関性が必要
ILS GP近傍モニタの
CAT Ⅱ、Ⅲでは
完全性(Integrity,1-0.5×10-9)
異常電波の見逃しは
2×109回の着陸あたり1回未満
(毎年10,000回の飛行試験をしても
200,000年かかり、実証はできない)
継続性(1-2×10-6)
平均2,000時間以上連続して運用
誤検出による不要なシャットダウンを減らす
積雪特性の改善
電子航法研究所
監視通信領域 田嶋 裕久
本発表内容は、機上等技術領域でH20~22年に行った、電波特性の監視に関
する研究(田嶋裕久 横山尚志 金田直樹、客員研究員 中田和一)の内容の一
部である
1
5
送信素子の信号の推定
背景
 航空機の着陸誘導には現在主にILS (Instrument Landing
System: 計器着陸システム)を使用
 今後GBAS(Ground Based Augmentation System)が導入され
ても、移行には数十年かかる
 着陸誘導の信頼性を保証するため、ILS GPでは近傍モニタによ
り、 送信電波をモニタ
 実際に航空機が使用する遠方域での電波状況と違いがあるが、
Locのような遠方モニタは不可能
 近傍域の電波状況は積雪等の自然環境の変化による遠方域の
電波状況の変化に比べ過敏に変化することが知られており、不要
な装置シャットダウンを引き起こす要因
n
s  C T  Ri Gti Gri
i 1
e jkdi
ai
di
sは受信アンテナにおける電圧
Cは定数,Tは送信電力
nは送信アンテナの素子数
aiはi番送信素子の信号の複素係数
diは素子iと受信点までの経路長
Riは実際の素子では1でイメージ素
子の場合は地面の反射係数
Gti, Griは送信と受信の素子の電力
利得
送信アンテナ素子
d1
P
モニタアンテナ素子
s  Fa
地面
d6
f il  C T Ril Gtil Gril
e jkd
d il
il
Fは伝搬係数を表す複素係数行列
イメージ素子
a  F 1 s
6
2
アレイアンテナにすることによって
モニタ特性の改善が可能
ILS GP原理
ILS GP 送信
アンテナ
b
近傍 モニタ
アレイアンテナ
(川田輝雄、航空無線工学概論より)
CDI(Course Deviation Indicator)の指示
DDM(Difference in the Depth of Modulation)を表示
3
7
近傍においてパス幅は反転
アンテナ位相誤差とモニタ特性
CDI(Course Deviation Indicator)の指示
DDM(Difference in the Depth of Modulation)を表示
100
150
NFM
100
3+0.36°
Array
50
Far
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
CDI (μA)
3°
0
CDI
(μA)
50
0
距離 (m)
-50
-50
3‐0.36°
-100
航空機の利用範囲
-100
-150
近傍モニタ
設置位置
-3
図 ILS GPの距離に対する表示感度の計算例
4
-2
-1
0
送信位相誤差 (rad)
1
2
3
8
アンテナ位相誤差とモニタ特性
従来の近傍モニタを基にした改善
300
DDM Sensitivity
Ant-1
200
B5r=0.634
ILS Reciever
1.35m
Array
100
CDI (μA)
Sencitibity
NFM
DDMo
Baias
B5i=3.653
Ant-2
Far
Phaser
0
1.35m
-80deg
Ant-3
-100
従来のモニタに
相当する素子
1.35m
-200
Attenator
-13.9dB
-62deg
-59deg
-14dB
-9.9dB
Ant-4
-300
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
3.03m
積雪深 (m)
左図では従来の
NFM(近傍モニタ)
を、アレイの下から
2番目の素子に対
応させ、他の素子
の信号を適度に合
成している。
DDM出力の調整も
パラメータとして利
用可能。
Ground
9
13
図 6 モニタアレー合成部および受信系ブロック図
電波無響室における縮尺モデル実験
最急降下法の原理
bh+1
最適解
ah h
bb
ベクトルbの空間を平面で表す
評価関数を高さで表す
GPアンテナ(左)とモニタアンテナ(右)
10
14
モニタ信号合成係数の最適化
送信アンテナ前方の垂直面内の電界実測値
V  b T Fa
モニタ出力
受信アレイの中の1素子を従来のモニタを初期状態
最急降下法で合成係数bを補正
m
E (b)   DDM Ns  DDM Fs 
評価関数
2
s 1
近傍
遠方
bを変化させてアンテナの性能を表す評価関数E(b)が小さくなるように改善
(a)垂直面振幅分布
探索方向ベクトル
d   E (b )
極小値方向に探索
E (b h 1 )  min{E (b h  uhdh )}
uh 0
(b)垂直面位相分布
15
11
連立方程式による方法の問題
1素子近傍モニタを初期値とした最適化
ナルリファレンスGP、ベニヤ
12
200
150
100
最適化の目標(遠方)
50
DDM(μA)
• アンテナ素子の位置誤差や信号合成器の誤
差もあり,モニタ設置の際に信号合成器の位
相振幅パラメータの調整が不可欠である
• 実験を行ってみると連立方程式によるモニタ
は原理的に従来のモニタと特性が大きく異な
り高さ調整でゼロ調整ができず,基本的な設
置状態におけるゼロ調整も困難であることが
分かった
• 積雪の状態の変化などにより誤差が生ずる
0
0
0.005
0.01
0.015
0.02
0.025
-50
最適化アレイ
0.03
NFM
array
far
far実験
NFM実験
array実験
-100
初期パターン(近傍モニタ)
-150
最適化の評価範囲
-200
板厚(m)
板厚(mm)
スケールモデル実験
ベニヤ板厚とモニタ特性
16
仙台空港における実験
積雪の誘電率によるCDI特性の違い
100
100
80
60
far
60
far
40
NFM
40
NFM
DDM (A)
DDM (A)
80
20
0
‐20 0
0.1
0.2
0.3
0.4
Snow depth (m)
‐40
‐60
0
‐20
0
0.1
0.2
0.3
0.4
Snow depth (m)
‐40
‐60
‐80
‐80
‐100
‐100
(a)
e=1.2-j0.001
(c)
100
e=5-j0.02
100
80
80
60
far
60
far
40
NFM
40
NFM
DDM (A)
20
DDM (A)
20
0
0
‐20
0.1
0.2
0.3
0.4
Snow depth (m)
‐40
20
0
‐20
‐60
‐60
‐80
‐80
‐100
0
0.1
0.2
0.3
0.4
Snow depth (m)
‐40
17
‐100
(b)
e=1.8-j0.002
(d)
e=10-j1
従来のモニタ(左)とアレイ(右)のアンテナ
航空保安大教育用ILSを使用
21
GPモニタのハイトパターン
4種類の雪を考慮した最適化
200
array experiment
150
80
far
array
far
60
100
array
NFM
20
CDI (μA)
NFM
50
CDI (μA)
40
0
2.3
0
-50
-20
-100
-40
-150
-60
-200
2.5
2.7
2.9
3.1
3.3
3.5
仰角 (deg)
-80
0
0.1
0.2
0.3
0.4
積雪深 (m)
18
• 通常のGPのハイトパターンとなり,従来の1
22
素子のモニタと同様に調整可能
まとめ
各種誘電率における積雪特性
80
ILS GPの近傍モニタの遠方界との相関を向
上するため,アレイモニタを開発
当初試みた、信号合成器で連立方程式を解
き,遠方界の推定は理論的には可能である
が、誤差等の問題のため実用的でない
アレイの1素子を従来のモニタとした状態を基
に拡張し、モニタ誤差を最小とするように最急
降下法により最適化
積雪の誘電率の変化を考慮した最適化も可
能であることを示した
モニタ素子数は柔軟に対応可能
0
NFM
-10
DDM (A)
DDM (A)
60
40
Array
20
Far
0.1
0.2
Snow depth (m)
0.3
Far
-30
-40
0
0.0
Array
-20
-50
0.0
0.4
(a) =1.2-j0.001
NFM
0.1
0.2
Snow depth (m)
0.3
(d) =3-j0.005
0
50
Array
0
Far
-10
DDM (A)
DDM (A)
NFM
-50
-20
Array
-30
Far
-40
NFM
-50
-60
-100
0.0
0.1
0.2
Snow depth (m)
0.3
0.4
0.0
0.1
DDM (A)
DDM (A)
0
Array
-40
Far
-60
0.1
0.2
Snow depth (m)
0.4
0.3
0.4
Far
-10
20
-80
0.0
0.3
(e) =5-j0.01
0
NFM
-20
0.2
Snow depth (m)
(b) =1.5-j0.002
40
0.3
-20
Array
-30
-40
NFM
-50
-60
0.0
0.4
0.1
0.2
19
Snow depth (m)
(c) =1.8-j0.003
(f) =10-j1
モニタアンテナ素子数に対する
遠方特性と最適化モニタの残差
従来の近傍モニタの誤差は
RSS(Root Sum Square)=18μA
4
残差 (μA)
3
2
1
0
1
2
3
素子数
4
1素子の結
果から、従
来の近傍モ
ニタアンテナ
のままでも、
モニタゲイン
の調整で改
善可能
20
23