2015.3.13 卒業証書授与式式辞 吹く風にはまだ冬の冷たさが残ると

2015.3.13
卒業証書授与式式辞
吹く風にはまだ冬の冷たさが残るとはいえ日差しには春のぬくもりを感じる、そんな季節に
なりました。その輝く日差しの中、今日の卒業を迎えた 136 名の第 32 回卒業生の皆さん、ご
卒業おめでとうございます。
また、年度末のお忙しい中を、子どもたちのためにご列席いただいた地域の方々や教育委員
会をはじめとするご来賓の皆様方、皆様方のおかげで今日という日を迎えることができました。
誠にありがとうございます。
そして保護者の皆様。今9年間の義務教育を終え、大きく成長したわが子を目の前にしたそ
の感慨はひとしおのことと存じます。お子様のご卒業本当におめでとうございます。
さて卒業生の皆さん。皆さんがこれから生きてゆく世の中は今後どんなふうになっていくで
しょうか。その変化はこれまで以上に、スピードが上がるだけではなく質が全く異なる変化に
なりそうです。それは第四の産業革命とも言われています。18 世紀のイギリスで始まった蒸
気機関や水力を利用した機械化が第一の産業革命でした。その後第二の革命は電力によるエネ
ルギー革命。第三は電子技術による自動化。そして今始まっているのはインターネットと人工
知能で動くロボットによる第四の革命です。
ロボットの便利なところは 24 時間いつでも安定した作業ができることです。自動車を例に
とると部品を作る工場とそれを組み立てる工場とをインターネットでつなぎ、部品が足りなく
なると部品工場に直ちに情報が伝わり 24 時間いつでも必要なときに必要なだけ部品を作って
供給する事ができます。ロボットは病気もしないし残業代も要りません。
これはとても合理的なようですが今まで人がやっていた仕事がなくなることも意味します。
看護や介護、教育などこれまでロボット化は難しいと思われていた仕事もやがてその相当部分
はロボットが担うことになるでしょう。また今はグローバリズムということで英語の必要性が
言われていますが、人工知能を駆使した自動翻訳機が発達すればそれもわかりません。
このようにこれからは 10 年先はおろか 5 年先、3 年先も予測することが難しい時代になっ
ていきます。
そんな未来を予測しづらい時代を皆さんはどう生きていけばいいのでしょうか。変化の激し
い時代ですから学校で身につけた知識はすぐに古くさくなっていきます。じゃあ学校の勉強は
要らないのか、というとそんなことはありません。これから大事なのはただ単に知識を記憶し
再生するだけの勉強ではなく、どうやれば課題を発見し、解決することができるかその方法を
考える力や、それをいろいろな人と協力しながら実現していく力です。そのためには困難に負
けない粘り強さや、考え方の異なった人とコミュニケーションする力も必要です。
皆さんはこれまで、グループによる学び合いや様々な行事を通して自分の考えを広げたり、
周りの人と交流する学習を積み重ねてきました。わからないときはわからないと言い、求めら
れれば教えてあげたり、一緒に考えるということを続けてきました。
これからの時代が限られた仕事を奪い合わなければ生きられないような厳しい時代であるな
らば逆に人は支え合い、助け合っていかなければ生きていけなくなるでしょう。そこで私が皆
さんに最後に贈る言葉は学校教育目標にもある「共に生きる」という言葉です。
皆さんには賢い頭と、強い肉体と、たくましい精神を身につけると同時に必要なときには助
けを求め、求められたら手をさしのべる「共に生きる」心をこれからも養っていってほしいと
思います。高倉中学校で、学んだ皆さんならきっとそれは可能です。第 32 回卒業生 136 名全
員がそんなすてきな大人になることを期待しています。ご卒業おめでとうございます。