「間伐材の有効活用(手作り木馬)」 熊本県立八代農業高等学校泉分校 グリーンライフ科 木材工芸班 1 研究の動機 林業が低迷している要因の一つに樹木を伐採 し、運搬・製材・加工するまでに大きいコストが かかり、利益を上げるのが難しいという事があげ られます。今回は、実際に間伐材を自分達の手で 作品にできるか挑戦しました。 2 研究の概要 (1) 丸太の運搬 昨年間伐したスギ丸太を木工室まで運びました。 丸太は直径が30cm以上あり、トラックのとこ ろまで二人がかりで運ぶのは大変でした。あまり にも大きい丸太は運搬機に乗せて運びましたが、 一本ずつしか運ぶことができず、とても時間がか かりました。造材・搬出は機械化しないと大変と いうのを感じました。 (2) 丸太の製材 最初に帯ノコで切りました。台座に乗せること で、まっすぐ切る事はできましたが、平行や直角 を維持しながら次の面を切るのは大変でした。製 材所ではレーザーなどで位置を確認していますが、 実はとても難しい工程だというのがわかりました。 直角が取れない部分はカンナ盤を使って削ってい きました。 カンナによる研磨に時間がかかります。 微調整は、全て自動送りカンナ盤で行いました。 (3) 角材の加工 角材を図面を元に加工しました。木馬の下のカーブを取るの がとても難しく、少しずつ確認しながら切っていきました。い つもは角材を購入するのですが、角材自体が少しずれたりして いるので、加工するのにも時間がかかりました。 (4) 木馬の完成 角材を組み上げ、ニスを塗って完成させました。一度完成さ ましたが、実際に人が乗っていると、きしみや破損する部分が 出たので、何度も調整をし、丁寧に研磨しました。最後は、ニ スを塗りましたが、複雑な部分があり塗るのも大変でした。 3 研究経過 4月 … 運搬・製図 5~9月 … 製材・カンナがけ・加工 10~1月 … 木馬製作・ニス塗り 大人が二人乗っても大丈夫です! 4 研究成果 通常木材工芸は、角材を購入して行いますが、樹木の伐採、丸太の運搬から全て自分達で行って みることで、 いかに林業が高い技術と経験の求められる産業であるかが分かりました。また林業は、 昔ながらの技術も大切ですが、高性能林業機械や製材用の機械(プレカット)を開発することも重 要であるという事がわかりました。 5 研究を終えての感想と今後の課題 思っていた以上に大変な作業でしたが、それだけ達成感もありました。全てを自分達でやるとい う目標でしたが、それでもたくさんの方に支えられて完成までいくことができました。今後は、製 材技術の精度を高めて自分達で実習林の間伐材の有効活用に取組んでいきたいです。
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