筑波大学大学院ビジネス科学研究科国際経営プロフェッショナル専攻 1.「教育研究上の目的」 実行計画-1 ・計画:「短期的(∼2009 年 7 月) 先ず、専攻に設置された第 3 者組織としてのアドバイザリー委員会を有効活用するために、修 了生など新たなステークホルダーを構成メンバーとし、意見の収集方法について見直しを図る。 中期的(2009 年 8 月∼2011 年 7 月) 改組したアドバイザリー委員会を開催し、参考意見の集約を行うとともに、試行的に教育プロ グラムに反映する。 長期的(2011 年 8 月∼2013 年 7 月) アドバイザリー委員会の提言にもとづく試行状況と検討内容を検討し、長期的な教育プログラ ムの骨子を確定する。」 ・履行状況報告:アドバイザリー委員会での議論をより活性化するために、本専攻で意見の収集 方法について見直しを図った。本専攻での議論の結果、既に現役を退いた委員や海外へ転出し た委員に替えて、3 人の新しい有識者を委員として迎えた。新メンバーによるアドバイザリー 委員会は、2009 年 11 月 28 日に開催され、その場での意見を受け、教育プログラムの改善活動 を専攻会議で議論し、意見を反映するための活動を開始している。次回のアドバイザリー委員 会は 2010 年 10 月に予定され、改善の進捗状況と今後の課題が議論される予定である。 また、 アドバイザリー委員会新メンバーについて議論を行った際に、修了生の代表を委員会に加える ことについても議論した結果、専攻修了生の同窓会組織を立ち上げ、そこから意見を収集する 方がより多くの意見を収集できるものと判断し、2009 年度に同窓会組織を立ち上げるための活 動を開始した。多くの修了生は専攻運営に対して協力的であり、同窓会組織の立ち上げにより、 提供している教育プログラムについての建設的意見が収集できる仕組みが構築できることにな る。なお、2009 年度は、同窓会組織立ち上げの活動として、教員と修了生の検討会議を数回実 施した。 ・評価:実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。 実行計画-2 ・計画: 「財務戦略については、定常的な部分については、継続性を担保する観点から、本部執行 部が定期的に実施している専攻との話し合いの機会を捉えて、必要性をアピールするとともに、 ビジネス科学研究科長と連携をとりながら、必要性の高い個別案件に関して担当副学長に陳情 する。また、非定常的な外部資金の拡大に向け、教職員が一丸となって、企業訪問を通した研 修プログラムなどの売り込みや WEB サイトを通じた社会とのネットワーク拡大を図る。大学の 方針にも即した国際化活動の一層の展開を実現するため、本部に対し、2012 年度に向けて現在 の 25%増の定常予算(必要経費)を要求し、その進捗状況を認証評価の年次報告で記録する。 その結果に基づき、必要に応じて、より一層の本部執行部への働きかけを強める。また、非定常 的な外部資金についても、毎年、全体予算の 6 割が確保されているか、2012 年度中に全体収入 が現在の 25%増に近づいていることを目標管理するとともに、実績にもとづく専攻の強みを生 かした機会選択と教育資源の集中を図り、専攻の収入源の拡大を図る。」 ・履行状況報告:財務戦略に関し、専門職大学院の性質に基づく予算配分を大学本部に要求して きたものの、運営費交付金の配分方法は基本的には変更されなかった。今後もその点について の要求を続ける。運営費交付金として配分される経費については、専攻運営に必要な施策に随 時利用できることとなっている。また外部資金について、実務家みなし教員も含めて科研費の 1 申請率 100%を達成した。今後は、採択率の向上をめざす。さらに、海外の競争的資金に応募 するなど、大きな成果はまだ見えていないが確実に動き出している状況にある。企業訪問や社 会へのアピールの在り方の議論を継続的に実施しており、その結果として、2009 年 12 月に企 業から「専攻の教育に関する助成」を目的とした寄付(250 万円)を受けることができた。 ・評価:実行計画の実現に向けた努力がなされていることを評価する。 2.「教育課程等」 実行計画-1 ・計画: 「緊急課題である短期1年コースの廃止に向けては、大学本部入試課との調整、募集要項 の変更、外部への入試広報、教育カリキュラム、修了条件までを含めた一貫したサイクルを要 する作業であり、変更に向けた早急な対応が求められる。そのため、短期コースのデメリット について再確認した上で、翌年度の募集方法の変更に向けた対策方法を検討する。これにもと づき、2009 年度学試験から短期1年コースの募集停止を実施し、この措置による応募状況を確 認するとともに、それ以降の短期コースの廃止を決定する。」 ・履行状況報告:短期 1 年コースのメリット、デメリットを教員会議で何度も議論し、変更に向 けた対策方法を検討した。その結果として、短期コースの募集停止に向けて、大学本部と調整 し、2010 年度には短期 1 年コースの募集を取りやめた。結果的に 2010 年の志願者数が増え、 募集停止の悪影響はないと判断し、次年度以降も 2 年コースのみで募集を行う予定である。 ・評価:実行計画が計画どおり履行されていることを評価する。 実行計画-2 ・計画:「E-learning については、教育方法を含めて、機材の活用方法、授業法、相手先の選定 等の計画準備を開始する。また、試験的運用を開始し、機材操作のハード面と、教育方法に関 するソフト面に関する準備を進め、本格的運用に備える。この他にも学生からの意見聴取方法 とそのフィードバック方法の改善を行い、その効果を検証し、年 1 度実施できる体制を確立す る。 中期的(2009 年 8 月∼2011 年 7 月) 前段階で蓄積した E-learning の活用方法をまとめ、海外ビジネススクール、筑波キャンパスの 他専攻との間で本格運用を開始する。これにより、運用ノウハウの蓄積にもとづくルーティン 化に向けた実施状況を確認する。 長期的(2011 年 8 月∼2013 年 7 月) 前段階までの運用実績にもとづき、本専攻独自の遠隔教育メソッドを確立するとともに、海外、 国内を含めた複数の提携先ビジネススクールを開拓し、主要な選択科目として遠隔授業を教育 プログラムに導入する。 」 ・履行状況報告:(1) 2008 年度:2009 年 1 月にフランス・グルノーブル経営大学院と遠隔授業の 共同開発・実施をした。実施に先立ち、教育方法、機材の活用方法、相手先選定を専攻会議で 議論し、その後、相手先の教員と 15 回以上の打ち合わせを行い、E-learning の授業を開発し た。遠隔授業の実施中は、本専攻内全教員に向けた FD を数回行うと共に、参加学生を対象にし たアンケートを実施し、授業終了後には成果と学生へのフィードバックの分析を行い、筑波大 学の報告書とオーストリアで開かれた Computer-Aided Learning 学会(査読付論文)で発表し た。 (2) 2009 年度: E-learning システムを利用した遠隔授業のルティーン化に向け、専攻内で計 画を立て、以下の授業を開始した。 ・本大学の筑波地区の専攻との間で遠隔システムを利用した授業を相互に配信した。 2 ・インドネシア大学との共同レクチャーを実施した。(2009 年 4 月、Exploring the Japanese Experience of Expatriate Management) ・インドネシア大学との共同レクチャーを実施した。 (2009 年 10 月、The Financial Crisis and the Asian Model of Economic Growth) ・フランス・グルノーブル経営大学院との共同授業の 2 回目を実施した。(2010 年 1 月∼2 月、 Comparative Analysis of Japan and French Management) 。この授業は、2008 年度実施内容の 分析結果を基に、フランス・グルノーブル経営大学院とディスカッションを重ね、双方から改善 点を出し合い、授業を 5 回から 10 回に増やし内容を充実した。なお、現在(2010 年度)は、 本専攻内とフランス・グルノーブル経営大学院とで、2010 年度授業に向けた改善ミーティング を行っている。 ・評価:実行計画が計画どおり履行されていることを評価する。 3.「学生」 実行計画-1 ・計画:「短期的(∼2009 年 7 月) これまでの専攻の運営経験を踏まえ、Web 掲載情報について、継続すべき部分と改定する部分 の判別を行う、また、Web 上の日英語間でコンテンツ内容を作成し、Web ページ上に改定版を公 開する。 中期的(2009 年 8 月∼2011 年 7 月) 本専攻の Web サイトへのアクセス状況のトラフィックを分析し、アクセス元から、外国語とし て必要性の高い英語以外のニーズを分析する。これに基づき、言語を選択し、日英言語との整 合性のあるコンテンツを Web 上に公開する。 長期的(2011 年 8 月∼2013 年 7 月) 母国語による入学試験への応募状況を定期的に確認し、Web 使用言語のニーズを確認する。こ の分析に基づき、情報公開に使用する日・英以外の言語を再検討して、現状の受験希望者のニ ーズに合致した言語による情報公開を行う。」 ・履行状況報告:本専攻内の Web 掲載情報について、継続すべき部分と改定する部分を専攻会議 と入試委員会で議論した。結果は、今まで掲載した情報はすべて継続的に掲載すべきと判断し た。しかし、日本語と英語の両言語で掲載していたものとの間に多少の不整合があったと判断 し、日英のコンテンツを修正し、改訂版を Web 掲載した。本専攻の Web サイトへのアクセス状 況を常に分析している。その結果、85%以上のアクセスは日本国内からのものであり、日本と 英語圏国家(アメリカ、インド、シンガポール、オーストラリア、カナダ等)からのアクセス を合わせると総アクセス数の 92%前後で推移している。また、英語圏以外の国からの問い合わ せ(電話、email)が、すべて英語で行われていることも確認した。従って、日本語・英語以外 の外国語で情報公開することによる効果は極めて低く、現時点では必要性はないものと判断し ている。しかし、アクセス状況のモニタリングは継続的に行い、外国語のニーズの議論は毎年 続ける予定である。 学生支援の充実を図るために、2007 年度に「チューター制度」を立ち上 げ、本部からの予算配分を受けて、2007 年度後半から実施している。 ・評価:実行計画が計画どおり履行されていると評価する。 4.「教員組織」 実行計画-1 ・計画:「短期的(∼2009 年 7 月) コア科目に関する専任教員採用人事並びに今後充実を必要とする分野の専任教員人事を着実に 3 進める。新規採用教員については、教育研究以外の専攻運営についても即戦力として活用する 専攻教員が行っている教育研究以外の大学及び専攻運営に関わる職務内容について、省力化や 教員以外にアウトソーシングすべき部分と、教員でなければできない部分を区別し、教員でな ければならない職務分担のワークロードを平準化して、ローテーション化する。 また、省力化、 アウトソーシングが可能な業務については、必要な能力要件をもったサポートスタッフを雇用 する専攻予算との関係を分析するとともに、これらの改善計画を本部に伝達する。 中期的(2009 年 8 月∼2011 年 7 月) 専任教員間で職務分担のローテーションを行い、ワークロードの平準化、さらなる省力化の可 能性を探るとともに、職務の重要性と予算との兼ね合いから、優先度の高い職務より、アウト ソーシングを開始する。同時に、経過観察を通して費用対効果の実績を確認し、英語対応職員 の配置要望を本部に働きかける。 長期的(2011 年 8 月∼2013 年 7 月) 上記の省力化、職務ローテーション、並びにアウトソーシングの費用対効果を恒常的に確認し、 効用に関する分析結果にもとづいて、アウトソーシングを代替する英語対応可能な専門職員、 または非常勤職員の配置に必要な経費措置を継続的に本部に対して要求する。」 ・履行状況報告:2007 年度まで非常勤講師で対応してきたコア科目の「ファイナンス」について、 2008 年 8 月に専任教員を採用した。その際、専攻内で議論した結果、専攻運営についても即戦 力に活用できるように教授職に適した人材を採用することとし、その教員には教務と人事の担 当を割り当てた。また、2007 年度まで他専攻兼担教員で対応してきた「マーケティング」につ いても、専任教員に移行することとし、2008 年度は新規採用の専任教員が担当し、2009 年度は Business Strategy 担当の専任教員が兼務した。2010 年度は新規専任教員の採用に向け選考を 行い、2010 年 8 月 1 日付けで採用予定である。 本専攻教員の職務分担のワークロードを平準化して、ローテーション化することを実践するた めに、職務のワークロードを 2009 年 7 月にレビューし、8 月に向けた担当ローテーションの計 画を立てた。そして、8 月の新学年にその新しい職務ローテーションが実施された。また、2010 年 7 月には再度職務のローテーションを議論・計画することになっている。 アウトソーシングできる職務を明確化した後、外部資金を利用した英語対応非常勤職員の採用 活動中である。本非常勤職員は、2010 年 6 月までに採用する予定である。 ・評価:実行計画が計画どおり履行されていると評価する。 5.「管理運営と施設設備」 実行計画-1 ・計画:「短期的(∼2009 年 7 月) 支援室の教務担当者は主に非正規職員 1 名であるため、正規職員と比較すると一日の支援でき る時間が限られている。本専攻の十分な支援体制を確立するためには、事務支援人員の増が望 ましく、非正規職員枠を正規職員枠に振り替えることを本部に要求し、支援不足の改善を図る。 そのため、正確な業務量の把握と総勤務時間等の客観的なデータ記録を作成する。併せて、国 際化に対応した外国人向けの英文を含めた書式案、事務作業の効率化および省力化案を作成す る。 中期的(2009 年 8 月∼2011 年 7 月) 前段階で作成した英語業務に関わる事務作業量データ、並びに書類作成作業の効率化案にもと づいて、事務管理部門を通じた本部への働きかけを開始する。なお、本計画には、e-learning シ ステムを利用した遠隔授業において機器の配置、操作補助において必要となる支援スタッフの 配置要求も含める。筑波地区専攻が利用している、大学院生による TA(教育補助員)について 4 は、本専攻が所属するビジネス科学研究科は社会人夜間大学院のため、有職者を TA として任用 することは事実上困難であり、前述の e-learning システムの本格整備と連動しながら財源確 保を行い、支援スタッフの配置計画を立てる。 長期的(2011 年 8 月∼2013 年 7 月) 前段階で開始した改善計画の進捗状況を確認しながら、必要に応じて、本部への働きかけをさ らに強化する。併せて、文部科学省の国際化推進に向けた大型プロジェクトについても継続的 に情報収集を行い、教職員が協力して、外部プロジェクトへの応募により競争的資金を獲得し、 英語対応可能な契約職員を雇用する。」 ・履行状況報告:支援室教務担当職員の増員 2007 年度まで、本専攻担当を非正規職員1名で対応してきたが、学生支援が必ずしも十分では なかったため、大学本部に正規職員の配置を要求し、2007 年度末に正規職員枠1名を獲得した。 同時に、職員公募(条件:TOEIC スコア 900 点以上)を行い、2008 年 4 月 1 日付けで正規職員 1 名(=TOEIC スコア 970 点)を採用し、現在本専攻担当職員として学生及び教員の支援に従事 している。(資料 17:「ビジネス科学等支援室配置表(2007∼2009)」) なお、専攻内の英文書 式の整理、専攻HPの FAQ(日本語及び英語)の更新についても順次作業を行い、事務作業の 効率化を進めることにした。作業は 2009 年度より順次行い、2010 年度までに作業を完了する 予定である。 書式の英文化 本専攻の手続書類は全て英文化ができているが、大学全体の様式が日本語であったため、大学 本部に英文化を要望していたところ、2009 年度に本学がグローバル 30 に採択され、2009 年度 末までに全学的な規程・様式の英文化が実現された。 ・評価:実行計画が計画どおり履行されていると評価する。 実行計画-2 ・計画:「施設面としては、海外ビジネススクールとの遠隔共同講義及び遠隔教員 FD を実施する ために、大型ゼミ室と講義室に e-learning システムを設置の予算を確保し、実現する。さらに、 セキュリティーの強化のために、専攻の印刷室、学生ラウンジ、訪問教授室等にテンキーを取 り付けることを専攻共通予算執行上の優先事項とし、実現する。」 ・履行状況報告:施設面の改善 (1) 海外ビジネススクールとの遠隔共同講義及び遠隔教員 FD 実施のために、研究科内及び大 学本部に「e-learning システム」の予算要求を行い、2007 年度末に研究科 DC 経費により Discussion Room に「テレビ会議システム(ポリコム)」が設置され、2008 年 11 月に本部経費 により Lecture Room2に「テレビ会議システム(ポリコム) 」が設置された。 (2) 老朽化の著しかった校舎外壁(本専攻側)について、本部に営繕要求を行い、2009 年 3 月に修繕された。 (3) セキュリティーの強化のために、2008 年 3 月に専攻予算で、専攻の印刷室、学生ラウン ジ、訪問教授室等にテンキーを取付けた。 (4) 長年要求を続けていた「東京キャンパス校舎改築」が、2009 年度補正予算において採択 された。工事の進捗状況は、2010 年 1 月に実施設計が完了し、新校舎は、旧校舎を取り壊して 素の跡地に建設することになったため、工事期間中(2010 年 3 月∼2011 年 3 月)は仮校舎(千 代田区神田神保町)に教育・研究機能を移転している。新校舎完成予定は 2011 年 3 月であるが、 工期が延長された場合は、完成までの間引き続き仮校舎において教育・研究を行う。 ・評価:実行計画が計画どおり履行されていると評価する。 5
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