通し番号 4580 分類番号 23-90-31-03 (成果情報名)地域特産のマグロ

通し番号
4580
分類番号
23-90-31-03
(成果情報名)地域特産のマグロ血合を用いた機能性加工品の開発について
[要約]三浦で特産的に産出される低利用素材のマグロ血合について、残渣排出の減少ととも
に食品としての二次活用を目的とした食品素材としての開発を行った。まぐろ血合の成分分
析を行ったところ、赤身に比べ脂肪酸含量が多く、脂肪酸組成では脂質代謝において機能性
を有するDHAなどが多いことを明らかにした。また、加工試験において、大根と組み合わ
せた調理によって、特有の臭みが低減されることが分かった。なお、衛生研究所等と連携し
た食品の機能性評価において、脂肪の酸化が問題であることが明らかになり、酸化抑制技術
の開発が必要であることが明らかになった。
(実施機関・部所名)神奈川県水産技術センター・企画経営部 連絡先 046-882-2312
[背景・ねらい]
地域特産物に関連した低利用食品素材や加工残滓等の産業廃棄物の二次活用を目的とし、
低利用素材であるメバチマグロ血合いおよびアカモクについて、食品素材としての物性や
含有成分を明らかにし、食品としての機能性を明らかにすることを目指す。
[成果の内容・特徴]
1. 加工残滓として発生するマグロ血合部位や骨が混合する部位について、マウス試験用に血合
いのみ採取を行った。用いたマグロはメバチであり、端材からは赤身部、血合部、骨や筋な
どの3種に分けられた。50 キロを処理したところ、赤身部、血合部、骨や筋がそれぞれ 64%、
24%、12%であった。
2. メバチ血合と赤身の一般成分は表1のとおり、平均 18 検体平均の血合い成分は、
水分 69.23%、
たんぱく質 23.24%、脂質 6.09%、灰分%1.34、炭水化物 0.10%であった。
3. メバチ血合の脂肪酸組成は表2のとおり、主組成となるのはバルミチン酸、ステアリン酸、
オレイン酸およびDHAであった。
4. 機能性評価としてマウス試験用に調整された餌料の一般成分組成は、水分 3.97%、たんぱく
質 71.08%、脂質 19.34%、灰分%5.11、炭水化物 0.50%であった。しかし、脂肪の酸化が問題
であり、抑制法を検討中。
5. マグロ血合部位が含まれる部位の有効利用として、大根と合わせた加工試験を行ったところ、
血合特有の匂いと大根特有の青臭さが共に少なくなる、相乗的な抑制効果が試食アンケート
より確認された(表-3)
。
6. 水煮による常温貯蔵試験では、2週間ほどで脂肪の酸化と見られる黄色い付着物が発生する
ことが分かり、魚肉から分離や酸化の抑制が必要であることが分かった。
[成果の活用面・留意点]
1. メバチ血合の成分が明らかななったことから、その成分を活かした機能性を有した加工品の
開発が考えられる。
2. 脂肪の酸化が問題点となったことから、脂肪酸化を抑制するビタミンCやトコフェノールな
どの添加、天然素材の大根などの成分との組合せの効果を検討する必要がある。
3. 三浦特産物と組み合わされた新規加工品の開発と、JA 大型直販店舗などでの PB 商品化が行
われると考えられる。
[具体的データ]
表1
メバチ血合、赤身の一般成分組成
水分
タンパク質
粗脂肪
灰分
炭水化物
メバチ血合
69.23
23.24
6.09
1.34
0.10
メバチ赤身
72.91
22.61
2.25
2.13
0.10
表2
メバチ筋肉の脂肪酸組成
14:0(ミリスチン酸)
14:1n5(ミリストレイン酸)
15:0(ペンタデカン酸)
16:0(パルチミン酸)
16:1n7(パルミトレイン酸)
17:0(ペプタデカン酸)
17:1(ペプタデセン酸)
18:0(ステアリン酸)
18:1n7
18:1n9c(オレイン酸)
18:2n6c(リノール酸)
18:2n6c(リノール酸)
18:3n3(α -リノレン酸)
18:3n4(オクタデカテトラエン酸)
18:4n3
20:0(アラジキン酸)
20:1n9(イコセン酸)
20:2n6(イコサジエン酸)
20:4n3(イコサテトラエン酸)
20:4n6(アラキドン酸)
20:5n3(イコサペンタエン酸)
22:0(ベヘン酸)
22:1n9(ドコセン酸)
22:6n3(ドコサヘキサエン酸)
22;4n6(ドコサテトラエン酸)
24:0(グリノセリン酸)
24:1n9(テトラコセン酸)
(空白)
総計
メバチ
血合1
0.61
メバチ
血合2
1.36
0.17
18.58
2.48
0.48
27.32
2.66
0.47
1.14
0.27
12.28
3.55
36.97
0.31
0.54
14.44
0.15
0.13
0.52
0.16
0.86
3.64
0.27
25.51
0.67
0.13
0.37
3.73
0.31
0.12
1.23
1.30
0.53
8.10
1.02
0.88
0.44
1.01
6.30
0.52
7.81
100.00
1.87
8.79
100.00
メバチ
血合3
0.41
0.45
0.15
9.12
2.07
メバチ
赤身1
0.52
メバチ
赤身2
1.67
0.13
17.20
2.50
0.47
22.84
3.88
0.38
0.68
0.89
1.61
1.73
13.94
0.25
7.65
3.42
42.84
0.61
7.26
2.74
26.45
0.30
0.17
1.48
2.28
0.74
0.31
0.22
0.12
0.34
2.61
0.25
0.31
2.37
3.30
0.37
8.68
0.36
0.61
16.72
0.88
7.88
100.00
4.62
100.00
0.15
1.53
1.13
1.32
3.02
15.95
0.23
3.28
0.23
1.67
44.71
100.00
表-3 血合及び血合と大根の水煮によるアンケート調査
臭い方は
マグロ水煮
マグロ・大根水煮
味がいい方は
15/15
2/15
3/15
12/15
※どちらも臭いと回答が3名
※どちらも美味しくないと回答が1名
[資料名]
[研究課題名]
[研究期間]
[研究者担当名]
平成 23 年度水産技術センター業務概要
地域特産物の新規利用開発と安全性・有効性の迅速評価法に関する総合的研究
平成 23 年度
臼井一茂