シュミットカセグレイン式望遠鏡を用いたメシエ天体の観測 05FJ044 黒須修一 本研究では天体観測をする際に必要となる極軸合わせ、主に肉眼で確認し辛い天体を観測する際に必要とな るキャリブレーションを中心に、観測の一連の流れの中で必要となる作業に焦点を当て、観測が素早く、的 確に行えるようになるための作業を研究した。 【研究動機】3 年生のときに荒木先生から一晩かけて天文学者のシャルル・メシエが作ったカタログの中の 110個の天体を観測するという「メシエマラソン」というものについて話を聞き興味を持った。メシエカ タログ(1)の中には見かけの等級が5以下で大きさが1度以上の天体は5個しかない事がわかり、そのような 天体を見る方法とはどのようなものか調べたいと思った。観測に必要な機材が揃っており観測の基本と実際 上の問題点を身につける事にした。 【研究方法】シュミットカセグレイン式望遠鏡(2)、赤道儀(3)、プラネタリウムソフト(4)、赤道儀に信号を送 り鏡筒を操作するソフト(5)の使用方法を学び、明るい昼間の内に説明書を読み観測時に起こりうる問題を調 べた上で、夜の観測を実際にすることで技術を身につけた。そしてそこで起こった問題点を検討し次の観測 につなげていくという方法で研究を進めていった。 (図1)シュミットカセグレイ (図2)赤道儀 ン式望遠鏡の鏡筒と副鏡 ASTROPHYSICS 社製(3) Celestron 社製(1) (図3)プラネタリウムソフト 「Voyager4」(4) (図 4)鏡筒を操作するソフト 「DigitalSkyVoice」(5) 【研究結果】目で確認が取れない天体の観測は周りの星との位置関係によって手探りで探す方法と、ソフト を使って自動で目標となる天体に望遠鏡を向ける方法がある。自動で天体に鏡筒を向けるためには赤道儀に 鏡筒が今どの方角を向いているか、どのくらいの信号を送ると鏡筒がどのくらい動くかを教える必要がある。 その際、観測をしている天体が望遠鏡の視野から外れないようにする追尾能力に様々な誤差が影響を与える 事がわかった。その誤差は1)天体望遠鏡の組み立てにおける赤道儀を載せる台の水平性の確保、2)重り と鏡筒のバランスの調整、3)極軸合わせ、4)赤緯・赤経軸の直行性が主な原因である。様々な誤差のう ち極軸合わせから生まれる誤差を抑えることができた。それは赤道儀を覗いて北極星を見つけるという簡易 的な方法(視野が6度のため最大誤差6度)ではなく、極軸望遠鏡を 用 い て 北 極 星 ( α CMi, RA=17h29m14s, dec=+86d34m41s) と Yildun(δCMi, RA=02h42m31s, dec=+89d18m20s)2点の位置関 係から天の北極(dec=+90d00m00s)を導き、軸を合わせる方法であ る。この方法を使うことで右図でみると星を包む円の直径が最大誤 差となるので結果誤差を 6 度から 0.1 度に抑えることができた。 【研究課題】観測に影響を与える誤差のうち極軸合わせ以外で発生 する誤差も観測では考慮しなければならない。それは T‐ POINT(6) という誤差の原因を予測するソフト用い他の誤差も減 らし観測する。 【参考文献・参考 URL】 (1) AstroArts http://www.astroarts.co.jp/index-j.html (2) C9 1/4-A XLT (CGE) Optical Tube Assembly http://www.celestron.com/c3/product.php?CatID=17&ProdID=101 (3) ASTRO-PHYSICS 1200GTO German Equatorial Mount (1200GTO) with GTOCP3 Control Box http://www.astro-physics.com/index.htm?products/mounts/1200gto/1200gto (4) Voyager Version 4.5 http://www.carinasoft.com/products/voyager/index.html (5) Digital Sky Voice http://www.astro-physics.com/tech_support/dsv/dsv_manual.pdf (6) TPoint Telescope Pointing Analysis Software http://www.bisque.com/Products/TPoint/ 極軸望遠鏡を覗いた図
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