2013年北欧保険通則 Nordic Plan(s) for 2013

2013 年北欧保険通則(ノルディック・プラン)
Nordic Plan(s) for 2013
Helle Hammer
北欧海上保険連合(Cefor)マネージング・ディレクター
P&I保険以外の北欧標準条件の適用がまもなく
2008 年 1 月、Cefor は会員各社の成長を反映し、
開始されます。2013 年北欧海上保険通則が、
ノルウェーの協会から北欧の協会へと第一歩を
2013 年 1 月 1 日付けで発効します。この標準条
踏み出しました。北欧の海上保険市場の成長に
件の素案作成と発行の手順については、北欧の
伴い、同協会内では北欧標準条件という考えが
4 つの船主協会と北欧海上保険連合(Cefor)
1
まず最初のテーマとして持ち上がったのです。
との間で、2010 年 11 月に合意されました。こ
北欧標準条件が策定されることの北欧地域の
の北欧保険通則は、よく知られている 1996 年
Cefor 会員にとってのメリットは、複数あった
ノルウェー海上保険通則(2010 年版)をベース
条件が一つに統一されたことにより、教育、維
としたものであり、その世界の船主向けの標準
持、推進のいずれの面においても簡便化できる
的な担保としての強みの上に策定されるもので
ようになることです。
す。
北欧保険通則(ノルディック・プラン)の合意書
北欧保険通則に向けた第一歩は、北欧の保険事
業者の代表者と北欧の船主をオブザーバーに迎
え、改正常任委員会において 1996 年ノルウェ
ー海上保険通則(2010 年版)を検討したことか
ら始まりました3。その年の年 11 月 3 日、デン
マーク、フィンランド、スウェーデン、ノルウ
ェーの各船主協会は、2013 年北欧海上保険通則
(以後、通則といいます)を起草することで
Ceforとの間で合意書を締結しました。この合意
書では、改正常任委員会の権限と構成のほか、
なぜ北欧か?
通則発行の手続き、タイムフレーム、著作権保
20 世紀から 21 世紀への移行期にGardが船舶保
有者としてのCeforの責任が定められています。
険市場に参入したことが、Ceforが北欧において
発展する契機となりました。新設されたGard
通則の起草を担う改正常任委員会は、署名した
Services(If社とGard P&Iが所有し、Vesta社と
5 つの団体の代表者、Cefor、同数の北欧の船主
Storebrand社の海上保険とエネルギー関連保険
の代表者から構成されています。議長と事務局
を担当)は、その当時存在していたノルウェー
長はオスロ大学(ノルウェー)のスカンジナビ
の 2 つの海上保険協会、すなわち、CeforとGSK
ア海事法研究所の研究スタッフの中から任命さ
(海上相互保険者委員会)の会員として留まる
れる予定です。また、共同海損精算人は、北欧
意向を持っていませんでした。2001 年に、統合
の全共同海損精算人の中から指名されます。
によって新生Ceforを設立することが合意され、
Gard の Sveinung Måkestad 氏は Cefor の委員会
北欧会員に門戸が開かれたのです2。
(全 6 名)を務め、同じく Nicolas Wilmot 氏は
副委員を務めています。
1
同通則は、2013 年 1 月 1 日に発効します。
www.cefor.mo
2
Cefor の統合の詳細と、1871 年から今日までの通則の歴史
については、Cefor の 2011 年百周年記念誌内の 2 つの記事で
詳しく取り上げられています。同誌(無料)をご希望の場合、
[email protected] までお問い合わせください。
Nordic Plan(s) for 2013
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3
Gard News No. 198 の記事「1996 年ノルウェー海上保険通
則(2010 年版)」を参照。
Gard News 205 February/April 2012
長い歴史を経た保険条件
案の提案権限を有する。)を定期的に開催し、
今後公表される最初の北欧保険通則の保険条件
委員は 1 年以上かけて各条項の“北欧化”につ
は目新しいものとはならないでしょう。同通則
いて議論してきました。市場の成長と慣行に合
は、最新の 1996 年ノルウェー海上保険通則
わせて、新しい通則の一部として、アップデー
(2010 年版)を検討のベースとする予定です。
トについても議論されてきました。複数の Gard
新しい点といえば、通則の起草に北欧の 4 つの
の代表者が、フォーラムや随時開催されるワー
船主協会すべてが参加していることであり、船
キンググループを通じて、この作業に参加して
主の利益を保護するための公正かつバランスの
います。また、海洋構造物や船舶建造保険に関
取れたシステムとして認められている現在の位
連する章のアップデートについても検討が行わ
置づけがさらに強固なものになることです。
れています。
明解な注釈、長い歴史、そして独立した法律専
改正常任委員会に対する修正案の提出期限は
門家を含む改正常任委員会により、通則本文に
2012 年 1 月 1 日に設定されていました。合意書
解釈のあいまいな点はほとんど残らず、保険担
に署名した当事者のみ、同委員会に直接修正案
保に関する紛争や認識のズレも少なくなるでし
を提出することが認められています。それ以外
ょう。改正常任委員会が 3 年ごとに通則本文と
の方については、Cefor または北欧の 4 つの船
注釈の明確化と洗練を行い、紛争の発生する可
主協会に対して、改正の変更点に関する提案を
能性を取り除き、市場の発展を促していきます。
行っていただきたいと思います。
クライアントのために
合意文書
通則の根幹は、北欧型のクレーム処理モデルに
委員会では、スカンジナビア海事法研究所所長
あります。北欧の海上保険事業者がクライアン
の Trine-Lise Wilhelmsen 教授を中心に、すべて
トを積極的にサポートしてきた伝統は、この新
の提案に目を通します。委員会では、検討を経
しい事業モデルと、新しい市場への進出によっ
て、通則本文と注釈に対する勧告を 2012 年 6
ても変わることはありません。船舶の大型化と
月 1 日までに提示します。最終的な表現は、通
機能の向上が進み、沿岸国や旗国による監視が
則の合意書に署名した全当事者の合意がなけれ
強化され、万一大事故が発生した場合にはメデ
ばならないことから、「合意文書」は、対立よ
ィアの注目を集める風潮が強まる中、北欧型の
りも対話を促進するもものとなるでしょう。
クレーム処理モデルのリスクマネジメントツー
ルとしての重要性がさらに高まっていくものと
6 月 1 日の締切期限から 4 週間の間、すべての
思われます。今日、大事故の処理は複雑さを増
利害関係者が修正案に対しコメントする機会が
し、初動の危機管理から最終処理まで、ますま
与えられます。委員会は、署名した当事者に対
す多くの専門知識が求められるようになってい
して最終勧告を出す前に、すべてのコメントの
ます。
レビューを実施します。その後、通則本文と注
釈の両方が 2012 年 10 月 1 日までに承認される
保険事業者の役割をクライアントに対するサー
ことになります。2013 年北欧保険通則は、承認
ビス提供者として位置づけている、この北欧型
後直ちに公開される予定です。
のプロアクティブなクレーム処理モデルが、北
欧保険通則の重要な要素の一つとなるでしょう。
北欧保険通則本文と注釈は英語で草稿されます。
通則本文は、ノルウェー語、デンマーク語、フ
今後の流れ
ィンランド語、スウェーデン語に翻訳されて、
2013 年までまだ時間はありますが、北欧保険通
北欧地域の他の条件からの移行と、内航船と漁
則の検討は、現行通則の 2010 年版の完成後す
船市場における利用の向上を促します。ただし、
ぐに始まっています。Cefor 改正通則フォーラ
主たる言語は、英語になるでしょう。注釈は英
ム(このフォーラムは、Cefor を代表して修正
語版のみ提供されます。
Nordic Plan(s) for 2013
Gard News 205 February/April 2012
通則を入手するには
2013 年 1 月 1 日の発効後すぐに、新しい北欧保
険通則が活用いただけるように、通則の本文と
注釈を 2012 年 10 月に公開します。保険者、被
保険者、ブローカー、弁護士等の皆様に新しい
文言をよく理解していただくため、10 月には、
北欧各地においてセミナーを開催する予定です。
セミナーでは、改正常任委員会の代表から変更
点とその変更理由についての説明が行われ、参
加者の皆様との質疑応答時間も設けられる予定
です。
ノルウェー海上保険通則を対象とする人気のト
レーニングコースについても、北欧保険通則を
対象としたものに切り替える準備を行っていま
す。コースの内容は、2013 年以降に、1996 年
ノルウェー通則から 2013 年北欧保険通則に変
更されます。実践的な観点から標準条件に対す
る知識と理解が高められるように、2 つの通則
の相違点の説明よりも、その体系と主な特徴の
ほか、通則の実際の条項について取り上げられ
る予定です。これらのコースに参加されたい方
は [email protected] までご連絡ください。登録が
開始され次第、お知らせいたします。
通則のコピーを早く入手いただけるように、通
則の公開日が近づくと、事前予約が行えるよう
になります。この件に関する情報の入手と予約
注文は、同通則用のウェブサイト(www.北欧
plan.org)で行えるようになります。新ウェブサ
イトは 2012 年上旬に公開される予定です。
Nordic Plan(s) for 2013
Gard News 205 February/April 2012