キャットヴォン

第 11 講:用語集
金融サービス・セクター用語
インフラ
道路、水道、港湾等、経済活動に必要な基本的な構造物および設備。
エクスポージャ
ある活動における総リスクまたは蓄積リスクの制御を個々の取引段階で行う
ー管理
とともに、ポートフォリオのレベルにおいて定期的に行うこと。
オフグリッド
局地発電による電力のこと。中央の発電所から送電盤を通じて配電されるも
のではない。
オフセット
排出のようなマイナスの活動を中和させるためのクレジットを獲得する効果
を持つ活動のこと。
カーボン・
(相殺すると)実質的に、大気中への温室効果ガスの追加排出をもたらさな
ニュートラル
い活動のこと。
キャット・ボン
デリバティブの一形態(保険リンク証券と呼ばれることもある)。確認され
ドまたは大災害
た金銭的損失に対してではなく、異常事象の発生に対して支払いを行う。
ボンド
キャップ・アン
排出量取引の別称。合計排出量に対して上限またはキャップが設定されてい
ド・
ることが最も重要な特徴であることから来る言葉。但し、排出許可証を市場
トレード
で取引することが許されており、それゆえ、自らの排出量を減らすことが容
易または安価であると考える者が、そうではない者に対して許可証を売却す
ることができるようになっている。
ギガトン
10 億トン。
クリーン・
温室効果ガスの放出をもたらさない形態のエネルギー。再生可能エネルギー
エネルギー
を含み、また一部の人々は原子力や地熱エネルギーも含むとする。
クリーン開発メ
先進国が開発途上国における温室効果ガスの排出削減または除去のプロジェ
カニズム (CDM)
クトに資金提供を行い、そうした資金提供の見返りとして、自国に課された
排出枠の達成に適用できるクレジットを受け取ることができるという、京都
議定書の下のメカニズム。
グリーン
持続可能、即ち環境面で有益または負荷の少ない商品またはサービスを指す
一般用語。
シナリオ
それ自体において一貫性がある、将来がどうなり得るかについての想像上の
見解で、戦略策定におけるツールとして用いられるもの。IPCC は、科学者
が GCM で将来の気候の予測をする上での出発点とするために、排出シナリ
オに関する特別報告書の作成を依頼している。
スクリーニング
資産管理において、厳格な基準を満たさない潜在的資産または流動資産を考
慮から外す戦略のこと。
ストラクチャー
あるプロジェクトまたは買収に資金提供をするために、出資と融資等の異な
ド・
った金融手段を一つのパッケージにまとめて用いること。
ファイナンス
ファイナンス
ストレス・テス
資産ポートフォリオまたはシステムが異常条件に耐えうるかどうかを、そう
ト
した状況のシミュレーションを行って同ポートフォリオまたはシステムに生
じた結果を評価することによってチェックすること。
セキュリティ
同語は二つの意味で使用される。a) 株式や持分等の金融資産の意味。b) リ
(Security)
)
スクの不存在という日常的な意味。
デュー・
計画されている金融取引が、何らかの予想外のリスクまたは不当に大きなリ
ディリジェンス
スクを抱えていないかどうかを調べるプロセスのこと。
デリバティブ
顧客の事業に間接的に関わりのある事象の発生によって効果を生じる金融約
定。
バリ・ロードマ
気候変動政策についての交渉を進めることを目的とする、2007 年 12 月に
ップ
バリで開かれた UNFCCC 会議における合意。
ビリオン
英国の千ミリオン、フランスのミリヤール。10 の 9 乗(10 )。
プライベート・
公の相場がある資金源に発するものではない資金。
9
エクイティ
プロジェクト
プロジェクト・
多くの場合は大型で複雑な、パイプライン等の特定の建設工事に資金を提供
ファイナンス
することに関わる特殊な銀行業務。こうした案件は多くは同プロジェクト目
的のみのために設立された法人を用いたコンソーシアムによって実施される
ため、常設の顧客との取引とは融資面の懸案事項が異なる。
ヘッジ
商品相場の値動き等の不利な状況のコストを減じるための金融技術。
ヘッジ・ファン
資産の実際価値と理論価値の間のわずかな相場の差異から利益を得ることを
ド
目標とするファンド。
マイクロファイ
多くの場合 50 米国ドル以下の貸付けを内容とする貧困地域向けのリテー
ナンス
ル・バンキングで、その事務管理および信用リスク管理に地域社会が大きな
役割を果たし、間接経費を削減したりデフォルト率を低下させたりする。
マイクロ保険
マイクロファイナンスに並行する仕組みで、多くはマイクロローンに保険が
セットされる。
ロックイン
資産またはプロセスを迅速に変えることができないために、システムが気候
変動等の状況の変化に対応できなくなっている状態のこと。
異常事象
自然体系が平均的な状態とは異なった動きをするときの状態(ハリケーン
等)。
温室効果
一定の気体が太陽放射を吸収してこれを熱に変換することで下層大気を温め
るという現象を指す名称(部分的には密閉空間内における暖気の循環による
ものである温室庭園の加温とは同一ではないが、同語が定着してしまってい
る)。
温室効果ガス
太陽放射を吸収し、これを熱に変換する能力を持つ気体。主要なものは水蒸
気、二酸化炭素、メタン、そして多くの人工の工業ガス(第 1 講解説欄 1 参
照)。
化石燃料
天然のガス、石油、石炭、またはこれらに由来する燃料のこと。これらは先
史時代の動植物の遺骸が腐食したものであるため、この名で呼ばれる。
外部効果
ある活動によってもたらされるがその価格には盛り込まれていない、通常は
負の性質を持つ効果のこと。
緩和
若干紛らわしくはあるが、気候変動の文脈では「緩和」は温室効果ガスの排
出を軽減するための努力のことを指し、気候変動の影響に対処するための措
置(適応と呼ばれる)のことは指さない。
期間(Tenor)
)
期間(
金融サービスの文脈で用いられる用語で、ある約定の継続期間(時間的概
念)を指す。
気候に優しい
気候に優しい
温室効果ガスを軽減させるか、その面で比較的害がないような商品またはサ
ービス。
気候変動
ある安定した状態から他の状態への地球の気候の変遷。自然に起こること
(太陽の周りの軌道における変化が氷河時代をもたらしたこと等)もあれ
ば、人工の温室効果ガス(同語の項参照)に起因することもある。
気候変動に関す
世界気象機関と国連環境計画によって 1988 年に設置された IPCC は、世界
る政府間パネル
(IPCC)
中の科学および技術文献を調べ、気候変動について最も信頼のおける情報と
して広く認知されている評価報告書を発行している。第 1 次評価報告書は
1990 年、第 2 次(SAR)は 1995 年、第 3 次(TAR)は 2001 年、そして第
4 次(AR4)は 2007 年に作成されている。
吸収源
ある温室効果ガスを大気から除去するプロセス、活動または仕組みの一切。
森林や他の植生はある時には吸収源、別の時には排出源であるが、これはそ
れらが光合成を通じて二酸化炭素を吸収するとともに放出するためである。
京都議定書
国連気候変動枠組み条約の下の主条約。第 3 講参照。
共同実施(JI)
共同実施
先進国が別の先進国において温室効果ガスの純排出量を削減するプロジェク
トに資金提供援助を行ったときに「排出削減ユニット」または排出クレジッ
トを受け取ることができるという、京都議定書の下のメカニズム。同クレジ
ットは、国内の排出削減目標の達成における計算に入れることができる。
経済協力開発機
非軍事問題への取り組みを柱とする冷戦時設立の西側諸国の連合体で、ソビ
構
エト連邦体制の崩壊後もその役割を継続しているもの。
公益事業会社
顧客に対して水、電気、通信等の基本サービスを生産し、供給する組織。
国連環境計画
(UNEP)
国際的な環境問題に責任を持つ国際連合の機関。
国連環境計画・
持続可能性をめぐる諸問題についての意識を高め、それらを軽減する金融上
金融イニシアテ
の対策への資金を供給することを目的とする、UNEP と個々の金融機関との
ィブ(UNEP
FI)
ィブ
間のパートナーシップ。
国連気候変動枠
気候変動への対処のための国際政治上の枠組み。ボンに事務局が置かれ、毎
組み条約
(UNFCCC)
年違った場所で大概は 11 月か 12 月に年次会議が開催される。
再生可能エネル
太陽光、風力等、利用可能量が使用に伴って減少することがないような、自
ギー(RE)
ギー
然系の一部を成すエネルギー形態。
再保険
一種の「卸売」保険を購入することを通じた、保険者による自らのリスクに
対する防御。
酸性雨
二酸化硫黄等の産業排ガスで汚染され、酸性となって降る雨。
資産管理
年金基金等の金融機関による大型基金の管理を指す用語。
持続可能性
リスクが制御不能になる状態、あるいは将来の行動が著しく制限されるほど
資源がひどく枯渇または悪化している状態を諸活動がもたらすことになるは
ずであるという公理。
需要管理
水、エネルギー等の資源に対する需要を、その資源全体の可用性または異な
る期間における可用性にもっと適ったものになるように適応させるプロセ
ス。
収縮と収束(C&C)
収縮と収束
世界の温室効果ガス排出量のレベルを将来に向けて低く設定していく(「収
縮」)とともに、国別排出量を、現在のように 1 人当たり排出量の数値に大
幅なばらつきがあるのではなく、どこであってもこれが同一であるような状
態に導く(「収束」)という方針に合意することを内容とする緩和政策のこ
と。
上場企業
公開株式市場に登録されている会社のこと。
信用格付け
ある企業が備えている財務力、ひいては同企業に対して金融サービスを提供
することのリスクの度合いを示す、文字または数字コードで表された信用度
の評価。
人為的
人間活動に起因する。
政策決定者
公的部門の戦略および規制の骨組みを作ることを任務とする政治家または役
人。
生態系
生物の体系。植物、動物、鳥類等で、通常は栽培・人工培養されたものに相
対する自然の生態系について用いられる。
生態系サービス
汚染を濾過して取り除く等、自然体系によって行われる、社会にとって有用
な「働き」のこと。
生物多様性
ある場所における自然種の範囲。
代替的リスク移
契約が損失の補償または弁償に基づいているような伝統的な保険とは異なる
転
金融リスク移転手法。例として、保険事故によって生じた損害ではなく当該
事故の発生を条件として契約の支払いが行われるキャット・ボンドや天候デ
リバティブがある。
炭素ファンド
温室効果ガス排出クレジットに投資されるファンド。
炭素価格
大まかには、排出許可証の市場価値のこと。排ガスに対する税金について用
いることもある。
炭素強度
ある活動によって生成される「二酸化炭素換算排出量」と金額または物理的
量ベースで計測される主なインプットまたはアウトプットとの間の比率の計
算値。例えば、移動距離 100 キロメートル当たりの CO2 排出キロ数や、投
資額 100 万米国ドル当たりの生成 CO2 トン数。このような標準化を行うこ
とにより、異なる商品、プロセス、企業等の間の比較が可能になる。
炭素金融
大まかには、炭素市場に関連するプロジェクトまたは活動に関与する金融。
炭素市場
国や事業者が京都議定書その他の規制上または自主的合意に基づく自らの限
度や排出量を遵守するために温室効果ガスの排出権のユニットを売買できる
ような取引制度一切を指す、一般用語。二酸化炭素が温室効果ガスの筆頭で
あり、他のガスはその地球温暖化ポテンシャル(同語の項参照)に準じた
「二酸化炭素換算排出量」と呼ばれる単位で計測されるという事実からこの
語がある。
知的資本または
特許、発明、またより一般的には専門知識のこと。
財産
地球温暖化
人為的な気候変動を指す非科学的な名称。科学者は同語を使わないが、これ
は地球の一部分が少なくとも暫くの間だけ寒冷化することがあるためと、変
動が影響を及ぼすのは単に温度だけではないためである。
地球温暖化ポテ
ある温室効果ガスの大気における残留期間中の蓄積効果を表す指標で、
ンシャル(GWP)
ンシャル
GWP の単位元とされている二酸化炭素の赤外線吸収力(即ち、これの
GWP は 1.0)との比較を基準に表現される。
締約国
UNFCCC を受諾している政府のこと。
適応
現実の、または予想される気候刺激あるいはその影響に対する自然または人
間のシステムにおける調整機能で、被害を和らげたりプラスの機会を引き出
したりする。
天候デリバティ
金銭的な損失とは無関係に、特定の気象状況の発生によって効果を発揮する
ブ
金融商品。買い手は、予め決まった額の支払いを天候を条件として受け取
る。売買することもできるし、リスク台帳の作成目的で保有することもでき
る。
二酸化炭素
発火を含む多くの自然および人為的なプロセスによって放出される無色無臭
で不燃性の気体。二酸化炭素は温室効果(同語の項参照)の主たる原因。化
学式は CO2。
任意炭素市場
任意の緩和措置によって創設された炭素クレジットで、それゆえ規制上の排
出量目標値の達成に向けてはカウントされないものを対象とする取引。
排ガス
自然または人為的なプロセスの副産物として生成される気体。
排ガス濃度
特定の排ガスが大気に占める割合。排出量とは異なるが、その理由はガスが
大気中に何年も残留して濃度レベルが強まることがあるためである。非常に
強力ではあるが大気中の主要な気体(窒素および酸素)に比べると稀な温室
効果ガスについては、濃度は大気中の体積百万分率(ppmv)、あるいは更に細
かく体積十億万分率(ppbv)で計測される。
排出クレジット
排出の埋め合わせをする行動があることを理由に、その保有者に特定の量の
排ガスを割り引く権利を与える証明書。
排出レベル
各年に生成される排ガスの量で、排ガス濃度(同語の項参照)と同一ではな
い。通常はギガトンで計測される。
排出許可証
特定の量の排ガスを無処罰で排出することの許可をその保有者に与える証明
書。
排出源
ある温室効果ガスを大気中に放出するプロセス、活動または仕組みの一切。
森林や他の植生はある時には吸収源、別の時には排出源であるが、これはそ
れらが光合成を通じて二酸化炭素を吸収するとともに放出するためである。
排出量取引
ある国が他者に対して排出クレジットを譲渡し、または他者から排出クレジ
ットを譲り受けることができるという、京都議定書の三つのメカニズムのう
ちの一つ。「キャップ・アンド・トレード」としても知られる。
ART
代替的リスク移転
AWG
特別作業部会(アドホック・ワーキング・グループ)。
CCWG
気候変動ワーキング・グループ(同語の項参照)。
CDP4
カーボン・ディスクロージャー・プロジェクトの第 4 次報告書。第 11.3 項
を参照のこと。
CO2
「二酸化炭素」参照。
CO2 換算量
ある温室効果ガスの量を、その地球温暖化ポテンシャルを用いて換算するこ
とにより二酸化炭素相当量で示したもの。
EPA
環境保護庁
ETS
排出取引制度
EU
欧州連合
FI
金融機関。
FSS
金融サービス・セクター
GWP
「地球温暖化ポテンシャル」参照。
Ghg
「温室効果ガス」参照。
IEA
国際エネルギー機関。エネルギー部門についての研究を担当する、経済協力
開発機構(OECD)の一機関。
IPCC
「気候変動に関する政府間パネル」参照。
NGO
非政府組織。厳密には事業会社および非営利または市民団体を含むが、通常
は事業会社は除外される。気候変動の業界用語では、事業会社は
「BINGO」と称されている。
NOX
温室効果ガスであり、かつ汚染物質である、窒素の酸化物。
OECD
「経済協力開発機構」参照。
ppmv
「排ガス濃度」参照。
RGGI
地域温室効果ガスイニシアティブ。米国北東部における、緩和を目的とした
非連邦の州際間枠組。
SLR
海面上昇。
SO2
二酸化硫黄。酸性雨の原因となる成分。
UNEP
「国連環境計画」参照。
UNEP FI
「国連環境計画・金融イニシアティブ」参照。
UNFCCC
「国連気候変動枠組み条約」参照。
USD
米国ドル。
VOC
揮発性有機化合物。容易に揮発する、不安定なタイプの炭素含有化学物質の
こと。