1 1)年度、開講時期:平成 21 年度前期 2)科目名:水族発生学 3)科目

1)年度、開講時期:平成 21 年度前期
2)科目名:水族発生学
3)科目コード:E4505
4)担当教官名:河村功一(水圏資源生物学教育分野)
5)小テスト
6)配点
各 20 点、7 回計 140 点
小テスト 1(6/4 実施)
括弧内に適切な用語を入れなさい。
1)動物細胞と植物細胞の大きな違いは、(1)、(2)の有無である。
2)精子の基部には(3)があり、精子鞭毛にエネルギーを供給する。
3)脊椎動物において盤割で発生するのは、(4)、(5)である。
4)原核細胞と真核細胞の大きな違いは、(6)の有無である。
5)(7)は細胞のプログラムされた死と言われ、発生過程において細胞数の調整を行う。
6)卵母細胞は、減数分裂の過程で精子を受け入れ、
(8)と呼ばれる半数体の核を形成す
る。
7)昆虫の卵割様式は、(9)と呼ばれる。
8)受精時に複数の精子が卵内に入り込むと、(10)と呼ばれる現象が生じるが、細胞分
裂に支障を来すことから正常に発生しない。
小テスト 2(6/11 実施)
括弧内に適切な用語を入れなさい。
1)魚類の卵巣は輸卵管との接合の有無で2通りの型に分かれる。マグロは(1)型で
サケは(2)型である。
2)精原細胞と卵原細胞の起源は同じで、(3)から生じる。
3)第一次精原細胞からは(4)個の精子が生じるのに対し、第一次卵原細胞からは(5)
個の卵が生じる。
4)硬骨魚類の成熟を誘起する環境要因は,日長と(6)である。
5)ゴナトロピン(gonadotropin)を和名で(7)と呼ぶ。
6)ゴナトロピンを分泌する器官名は?(8)
7)生殖腺の成熟度を表す指数である生殖腺指数はアルファベット3文字で何と呼ぶか。
(9)
8)卵母細胞は、第2減数分裂の過程で精子を受け入れ、(10)と呼ばれる半数体の核を
形成する。
1
小テスト 3(6/18 実施)
括弧内に適切な用語を入れなさい。
1)硬骨魚類においては排卵直前になると卵が膨潤するが,これは①による。
2)魚類の卵は,水中における分布様式から大きく2つに分けることができる。サケ,コ
イ,アユに見られるような水底に存在する卵を②卵と呼ぶのに対し,イワシ,サバなどに
見られるような水中を漂う卵を③卵と呼ぶ。
3)メダカに見られるように,孵化直前になると頭部から分泌される卵膜を溶かす物質を
④と呼ぶ。
4)哺乳類の卵割は等割であるのに対し,硬骨魚類の卵割は⑤である。
5)硬骨魚類の孵化直後の仔魚の体表に存在する繊毛状の感覚器を⑥と呼ぶ。
6)硬骨魚類の精子がほ乳類の精子と大きく異なる点は、精子が⑦を持たない事である。
その代わりに卵は⑧を持ち多精を防いでいる。
7)魚類の繁殖様式は交尾の有無から大きく 2 つに分けることが出来るが,軟骨魚類の繁
殖様式は⑨である。
8)精子には受精機能を持たず他の精子の受精をサポートするヘルパー的機能を持つもの
が見られることがある。こうした精子を⑩と呼ぶ。
小テスト 4(6/25 実施)
①
⑩に適切な用語を入れなさい。
1)人為4倍体の作出は,初期胚に刺激を与え,①を阻止することによって行う。
2)脊椎動物,棘皮動物(ウニ,ナマコ等)に見られるような,原口が将来②になるもの
を,③動物と呼ぶ。
3)2細胞期のカエルの初期胚において各細胞を分離すると,正常なカエルが2個体でき
る。この様な卵を④と呼ぶ。
4)この場合,カエル2個体は遺伝的に全く同じものとなるが,これを⑤と呼ぶ。
5)人為3倍体を作出は受精卵に刺激を与え,⑥の放出を阻止することによる。
6)細胞選別において,細胞接着因子の事を英語で⑦と呼ぶ。
7)生物の初期発生において,ニワトリの水かきの退化やカエルにおける尾鰭の退化を⑧
と呼ぶ。
8)原腸胚における各細胞が,将来,どういう器官に分化するかを調べる方法の一つで,
細胞をナイル青と中性赤で染色する方法を,⑨染色法と呼ぶ。
9)脊椎動物の初期胚において,各細胞の発生運命を支配する物質の一つに⑩があり,⑩
は濃度によって分化する器官を変えるという特徴がある。
小テスト 5(7/2 実施)
2
【設問】①
⑩に該当する言葉を入れなさい。
1)染色体操作において,第二極体放出阻止を行うと,①倍体が出来る。
2)染色体操作において,第一卵割阻止を行うと,②倍体が出来る。
3)卵子の染色体(遺伝子)を用いず,精子の染色体(遺伝子)のみから個体を作る事を
③と呼ぶ。
4)精子と卵子,凍結保存が可能なのは④である。
5)雌性発生には,大きく2つ方法があり,1つは受精直後の⑤阻止による方法であり,
もう1つは 2 細胞期になる直前に行う⑥阻止による方法である。
6)X 線等により染色体を不活性化させた精子を用いて受精させた場合,胚の初期発生はあ
る程度進むものの,形態異常が生じ,発生途中で全て死亡する。この様な現象を⑦と呼ぶ
7)染色体操作で作られた倍数体のうち,不妊であるのは⑧倍体である。
8)クローン作出の方法で,羊のドリーに見られるような親と子が完全なクローンになる
方法を⑨クローンと呼ぶ。
9)遺伝子型の異なる2つの生物の受精胚を融合する事によって作られる生物を⑩と呼ぶ。
小テスト 6(7/9 実施)
①
⑩に適切な用語を入れなさい。
1)人為的に遺伝子を受精胚に導入し,新しい生物を作り出す事を①と呼ぶ(※カタカナ)。
2)①には幾つかの方法が存在するが,毛細管を用いて遺伝子を導入する方法を②と言う。
3)②の様に直接DNAを受精胚に打ち込むのではなく,予めウィルスにDNAを組み込
んでおき,ウィルスの感染力を用いて遺伝子を導入する方法を③と呼ぶ。
4)胚細胞の一部から作られた分化万能細胞を④細胞と呼ぶ。これに対し、表皮細胞等に
おいて遺伝子導入を行い作った万能分化細胞を⑤細胞と呼ぶ。
5)オワンクラゲの DNA から設計された紫外線を当てると蛍光発光する遺伝子を⑥遺伝子
と呼び、①の成功の確認に用いられる。
6)脊椎動物においてクローン発生には3つの様式が存在する。1は爬虫類の一部におい
て見られる⑦と呼ばれる様式で,雄が存在せず,雌一個体で繁殖する様式である。2は,
ギンブナなどにおいて見られる⑧と呼ばれる様式で⑦とは異なり受精はするものの受精後,
⑨が排除される。3はソードテールの仲間において見られる⑩と呼ばれる様式で,母系由
来の遺伝子はそのまま配偶子に継承されるものの⑨由来の遺伝子は配偶子形成時に除去さ
れる。
小テスト 7(7/16 実施)
①
⑩にあてはまる適切な用語を入れなさい。
1)遺伝的性決定に関与する染色体を①と呼ぶ。
3
2)遺伝的性決定において複数の遺伝子が関与する事を②と呼ぶ(特定の①が存在しない)。
3)哺乳類の性決定は③型であるのに対し、鳥類は④型である。
4)硬骨魚類においては③型と④型の性決定が混在する。人為的に雌性発生を行った場合、
雌の出現率は③型の場合、⑤%であるのに対し、④型の場合は⑥%である。
5)クマノミ、キンギョハナダイ等においては⑦により性が決定されるという特徴がある。
6)GFP 遺伝子の様にトランスジェニックの成功を確認するために用いられる遺伝子を⑧と
呼ぶ。
7)ワニ、ウミガメ等の爬虫類においては、完全に⑨によって性が決定されるという特徴
がある。
8)軟骨魚類(サメ、エイ)の性は硬骨魚類と異なり、完全に⑩によって決定され、環境
要因等の影響を受けない。
7)出題の意図
講義後に、前回の講義の内容を理解し記憶しているかを確認した。
解答例
小テスト 1(6/4 実施)
1)細胞膜,2)葉緑体(色素体),3)ミトコンドリア,4)魚類,5)爬虫類(鳥類),6)
核膜,7)アポトーシス,8)雌性全核,9)表割,10)多精
小テスト 2(6/11 実施)
1)嚢状,2)裸状,3)始原生殖細胞,4)8,5)2,6)水温,7)生殖腺刺激ホルモン,8)
脳下垂体,9)GSI,10)第二極体
小テスト 3(6/18 実施)
1)吸水,2)沈性,3)浮性,4)孵化酵素,5)盤割,6)遊離感丘,7)先体,8)卵門,9)
胎生,10)異形精子(修飾型精子)
小テスト 4(6/25 実施)
1)第一卵割,2)肛門,3)後口,4)調節卵,5)クローン,6)第二極体,7)カドヘリン,
8)アポトーシス,9)局所生体,10)アクチビン
小テスト 5(7/2 実施)
1)3,2)4,3)雄生発生,4)精子,5)第2極体,6)第一卵割,7)半数体症候群,8)
4
3,9)体細胞,10)キメラ
小テスト 6(7/9 実施)
1)トランスジェニック, 2)マイクロインジェクション,3)ウィルスベクター法,4)ES,
5)IPS,6)GFP,7)単為発生,8)雌生発生,9)精子,10)雑種発生
小テスト 7(7/26 実施)
1)性染色体,2)ポリジーン,3)XY 型(雄へテロ型),4)ZW 型(雌へテロ型),5)100,
6)50,7)行動,8)Reporter,9)温度,10)遺伝子.
5
1)年度、開講時期:平成 21 年度前期
2)科目名:水族発生学
3)科目コード:E4505
4)担当教官名:河村功一(水圏資源生物学教育分野)
5)定期試験
6)問題と配点
計 50 点(古丸教員の出題分と併せて 100 点)
I. 以下の(1)
(50)に適する語を解答欄に記しなさい(各 1 点,計 50 点).
1)人為的に遺伝子を導入し生物の突然変異体を作ることを英語で(1)と呼ぶ。
(1)に
は3つの方法が存在し、目的とする遺伝子を毛細管から直接導入する方法を(2)と呼ぶ。
これに対し他の2法は、
(3)ベクターないしは(4)細胞を用いて遺伝子を導入する。な
お、(4)細胞は始原生殖細胞から作られ分化万能性を持つものであるが、2008 年、京大
の山中教授らにより作られた(5)細胞は(4)細胞と同様の分化万能性を持つものの通
常の体細胞から作れるというメリットがある(注:
(1)と(2)はカタカナ、
(4)と(5)
はアルファベットで書くこと)。
2)遺伝子導入において、導入された遺伝子の発現を促進するために用いる修飾遺伝子を
(6)、遺伝子導入の成功を知らせるために用いる修飾遺伝子を(7)と呼ぶ。なお、
(7)
としてよく用いられるものに(8)遺伝子があり、これはオワンクラゲの遺伝子から発見
されたもので、紫外線を当てると発光するという特徴がある。
3)ウーパールーパーに見られるように、成体の体サイズと成熟年齢は祖先種(メキシコ
サラマンダー)とほぼ同じであるにも関わらず、形態形成が祖先種の発生の初期段階で停
止する事をヘテロクロニーにおいて(9)と呼ぶ。これに対し、ゾウに見られるように祖
先種(ツチブタ)と比べ、成熟年齢は遅く、成体の体サイズは大型化し、形態も特殊化が
進んでいる事をヘテロクロニーにおいて(10)と呼ぶ。
4)2 細胞期ないしは 4 細胞期の初期胚の細胞を分画する事によって作出されたクローン
を(11)と呼ぶのに対し、羊のドリーに見られるような体細胞の核を未受精卵に移植する
事によって作られるクローンを(12)と呼ぶ。なお、
(11)は脊椎動物の受精胚が(13)卵
であることを応用したものである。
5)キンギョの未受精卵に対し、X 線照射により染色体を完全に破壊し、無処理の精子と
授精させると(14)体が出来るが、
(14)体は正常に発生せず孵化前後に死滅し、この現象
を(15)と呼ぶ。しかしながら、受精後に(16)処理を行うと(17)体が出来、正常に発
生する。これを染色体操作による(18)発生と呼ぶ。
6)脊椎動物におけるクローン発生には大きく3つの様式が存在し、
(19)発生はハ虫類に
おいてのみ見られ、受精を行わずに発生が行われる。これに対し、
(20)発生と(21)発生
6
は硬骨魚類、両生類、ハ虫類において見られ、いずれも受精を行う。
(20)発生は発生を励
起するためにのみ精子を必要とし、精子は受精後、卵外に排出されるのに対し、
(21)発生
においては通常の受精が行われる。しかしながら、
(21)発生においては減数分裂の開始前
に父系の染色体が除去されるという特徴がある。なお、これら3つのクローン発生に共通
する特徴として、近縁種間の(22)により生じる事が挙げられる。
7)染色体の末端部に存在する TTAGGG の配列の繰り返しを(23)と呼び、細胞分裂の繰り
返しにより長さが短くなるという特徴がある。通常の体細胞において(23)が一定の長さ
を切ると DNA の複製、すなわち細胞分裂が不可能となるが、ヒーラー細胞等に代表される
(24)細胞においては酵素の一種である(25)による(23)の修復が行われ、細胞分裂寿
命の延長が可能となる。
8)哺乳類と鳥類において性は(26)により決定されるが、硬骨魚類、両生類、ハ虫類の
性は必ずしも(26)によって決定されるとは限らず、温度等の(27)要因の影響を強く受
けるという特徴がある。このため、こうした生物においてはしばしば表現型としての性、
すわなち(28)が(26)レベルでの性と一致しないという現象が生じる。
(28)が生物の一
生において変化する事を(29)と呼び、クロダイ、ハタ等に見られる様に雄として繁殖を
行った後、雌へと(29)するパターンを(30)と言う。
9)硬骨魚類の成熟において重要な(27)要因は、
(31)と(32)である。春
初夏産卵型
の種においては(31)が長くなる事と(32)上昇により成熟が促進されるが、
(32)は一定
の閾値を過ぎると逆に成熟を抑制するという特徴がある。成熟のメカニズムとして、(31)
と(32)と言った(27)情報がまず中脳下部の(33)に伝えられ、(33)から分泌された
GnRH(生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン)が(34)に伝搬される。
(34)においては次に(35)
が分泌され、(35)は生殖腺に伝搬された後、生殖腺の成熟を開始させる。
10)精子形成と卵子形成の違いとして、一次精母細胞からは(36)個の精子が作られるの
に対し、一次卵原細胞においては減数分裂時に(37)放出が行われ、
(38)個の卵子しか作
られない。人為雌性発生においては、第2(37)放出阻止と第一(39)阻止の2つの方法
が存在するが、染色体レベルにおいて見た場合、両者は同じではなく、後者は完全ホモで
あるのに対し、前者はヘテロの染色体を持つ。この理由として、減数分裂時における相同
染色体間での(40)の存在が挙げられる。
11)他の脊椎動物と比較した場合、硬骨魚類の精子は(41)を持たないのに対し、逆に卵
は(42)を持つという特徴がある。
(42)は精子の卵内への誘導と同時に(43)を防ぐとい
う機能があり、この理由として(43)は発生異常を生じる事が挙げられる。なお、生物に
よっては受精能を持たない特殊な精子である(44)を持ち、通常精子の受精能を高めるも
のも存在する。
12)硬骨魚類の卵は卵黄が植物極に偏って分布する(45)卵であるため、卵割様式は(46)
である。硬骨魚類の仔魚は孵化時に(47)から分泌された特殊な酵素を用いて卵膜を溶か
7
すという特徴がある。硬骨魚類の孵化直後の仔魚においては体表上に(48)と呼ばれる特
殊な感覚器が存在するが、鱗の形成に伴い消失する。
13)イモリの初期胚において複数の組織から切り出した細胞を分画し混合させたとする。
この場合、時間の経過と共に由来する組織毎に細胞が集まり細胞の再接着による組織の復
元が行われるが、この現象を(49)と呼ぶ。なお、(49)において細胞の接着に際しては、
細胞膜上に存在する(50)と呼ばれるタンパク質が重要な役割を果たしている。
7)各設問の出題の意図:
I. 発生学の基礎用語ならびに,その仕組みを正しく理解しているかを確認した。
模範解答
I. (各 1 点,計 50 点)
1
トランスジェ
ニック
2
6 プロモーター 7
11
受精卵クロー
ン
マイクロインジ
ェクション
レポーター
3 ウィルス 4
ES
5
IPS
ネオテニー
ハイパーモルフ
10
(幼形成熟)
ォシス(過形成)
8
GFP
9
12 体細胞クローン 13
調節
14
半数
15 半数体症候群
雄生
16
第一卵割
17
二倍
18
19
単為
20
21
雑種
22
交雑
23 テロメア 24
ガン
25 テロメアーゼ
26
遺伝子
27
環境
28 生理的性 29
性転換
31
日長
32
水温
33 視床下部 34
脳下垂体
36
4
37
極体
38
1
39
41
先体
42
卵門
43
多精
44
46
盤割
47
孵化酵素腺
48 遊離感丘 49
8
卵割
30
雄性先熟
35 ゴナトロピン
40
異型精子
45
(修飾型精子)
細胞選別
雌性
50
キアズマ
(交差)
端黄
カドヘリン