職員のやる気を引き出す自治体人事戦略 豊田市の トータル人事システム改革 -人事制度改革は、何から手をつけるか- 豊田市 伴 幸俊 あなたの組織に今必要なことは? 求められる自治体職員像 ・自ら考え、実行し、その結果に責任を持つ ・時代の変化に的確に対応できる etc. ・地公法の改正→公布から2年間が勝負! 自分の組織の現状と課題 • あなたの組織の組織風土、職員意識は? • 組織内で課題となっている人事制度は? 豊田市トータル人事システムの 概要 (資料参照) 豊田市の人事改革の全体像とは? 職員のやる気を引き出す人事制度 • 人事考課‥頑張った人が報われる • 昇任試験‥抜擢のチャンス、全体レベルの底上げ • 上司診断‥知らない自分を再認識、頑張る風土醸成 • 配置システム‥やりたい仕事にチャレンジ! • 採用制度‥やる気に満ちた受験者への門戸開放 • 包括人事‥人事権限を部局におとし現場に活力を! • アセスメント研修‥あなたの市場価値は? • その他制度‥まだあります「やる気を引き出す」制度 人事考課制度を設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・横並びの保守的な風土 ・形骸化した評価制度 • 改革のための具体的な行動・考え方 ・「これでいいのか?」という素朴な疑問 ・何のために考課制度を導入するのか? ・企業の視察、コンサルタント活用 ・目標管理の活用、シンプルな制度設計 豊田市の人事考課制度の特徴 ①目標管理を活用した業績重視の人事考課 ②組織目標と個人目標のリンク ③考課結果の得点化。賞与、昇給、昇任へ ④チャレンジ精神を評価する加点主義 ⑤面接重視のマネジメント ⑥考課結果(絶対考課)は公開が原則 人事考課の効果的運用 ①単なる評価ではなく、いい仕事につなげるマ ネジメントシステム ②組織使命や目標と自分の役割との関わりを 理解する ③目標の設定が重要 ④マネジメントにかかる時間が必要となる覚悟 ⑤部下に対する説明責任 ⑥面接が次の仕事や人材育成につながる 人事考課制度の流れ 総合計画 組織目標の落とし 込みと役割説明 個 々 の 諸 計 画 当初予算 施政方針 部門ミッション(使命) 重点目標 目標設定面接 中間考課(新採) 指導・観察 個人目標の設定 人事考課研修 難易度調整会議 達成度評価 能力態度考課 人事考課研修 調整考課の実施 昇任、昇給、賞与反映 考課内容の説明 考課結果を本人にフィードバック 市長ヒアリング 難易度設定でよくやる誤り 目標の標題に惑わされる 重要課題の「標題」だけで「役割」を見ずに判断 上司は部下の手柄を横取りしていないか 昇任適齢期の者を手厚く 業績に年次は関係ない、単純に年次を持ち込む 上司は部下からの信頼を失くす 難易度ランクの評価に傾注しすぎる 目標設定のプロセスを軽視(上司と部下の契約) 部下自らが納得の目標設定→やる気の醸成 達成度判定でよくやる誤り 部下の主張を鵜呑みにしてしまう 年齢や在籍年数に惑わされてしまう 単純に期限よりも10%、20%早くできたから といって、「T1」、「T2」としてしまう 目標設定時の役割や、指標があいまいで達 成度が測れない 残業の量と「努力」を混同してしまう 本人が努力したのか、周囲が努力したのか 考課結果の給与への反映 〔例:部・次長級・・・勤勉手当〕 従来より3%引き下げたものを標準の成績率とし、 これを配分原資とする 区分 A B C D E 成績率 0.969以内 0.922以内 0.848 0.828 0.781 人数割合 10%以内 30%-Aの人数 100%-A,Bの人数 〃 〃 部長級で年間30万円程度の差が生じる 給与反映をしないと・・・ 1万円でもボーナスに差のつくことの刺激 単に作業だけ増えて、何も変わらない徒労感 民間企業の常識が、公務の世界は聖域か? 「○○市の制度は人材育成型ですから‥」? 給与反映と人材育成は、対立概念ではない。 「がんばったものは報われる」「人事は変わる」という 組織経営のメッセージが必要 昇任試験制度を設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・年功序列の昇任 →無理せず、ミスせず ・上司の能力不足、昇任したくない職員 • 改革のための具体的な行動・考え方 ・昇任試験導入の目的の明確化 (若手の登用、究極の自己啓発) ・試験内容の検討、受験率の維持 昇任試験 試験科目と配点率 ①行政職課長試験 筆記試験 市政問題・時事問題・行政判断 30% 論文試験 15% 面接試験 25% 人事考課 30% ②行政職係長試験 筆記試験 法制科目・市政問題・時事問題・行政判断・専門試験 40% 論文試験 10% 人事考課 50% ※昇任試験の実施により、係長昇任年齢を39歳から35歳へ引き下げ 上司診断制度を設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・職場内のコミュニケーション不足 ・ 「評価」に対する拒絶反応 • 改革のための具体的な行動・考え方 ・考課者への信頼、風通しのいい職場環境 ・ 「評価する、される」ことのメリット ・上司のコンピテンシー・成果行動の確立 上司診断の結果 規範性 5 コミュニケーション 自己診断 部下診断 0 責任感 組織運営 ※このレーダーチャートは、実際の診断項目とは異なる 挑戦意識 部下育成 配置システムを設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・異動先の希望がかなわないジレンマ ・はっきりしない若手の育成方針 • 改革のための具体的な行動・考え方 ・能力期の明確化による経歴管理 ・若い時期の計画的な異動方針の明示 ・自らが選べる異動先、モラールアップ 経歴管理システム 能力育成期 書記 主事 能力拡充期 能力発揮期 主査 係長、副主幹、主幹、副参事、参事 35 歳 マネージャー系 ジョブ・ローテーション ジョブデザイン研修 エキスパート系 ジョブ・ローテーション 単に所属課を異動させることがジョブ・ローテーションではない 業務を4系統・17分類 計画 企画事業 管理 制度管理 事務系 一般管理 住民対応 土木系 事業 道路 面整備 都市環境 上下水 ジョブ・リクエスト制度 庁内求人制度 ①エントリーシート提出 ③面接 求人情報 求人依頼 ②職員情報提供 人事課 ④面接の結果 ⑤配属 希望先所属 新しい採用制度を設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・新人職員の特性、専門職の思考の硬直化 ・民間への人材流出、いびつな年齢構成 • 改革のための具体的な行動・考え方 ・どこで「筆記試験をやる」と決められた? ・採用は企業との競争、採用市場の拡大 ・職場風土・職員意識の改革 採 用 民間企業経験者採用 ①特定ポスト(役職者として) ②一般採用 自己アピール採用 ①筆記試験を課さない ②プレゼンテーションによる試験 ○ 採用試験時期の多様化 企業と同時期の就職説明会 → 5月試験 包括的人事制度を設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・人事は人事課が決めること ・秘密のベールに包まれた隠匿の信頼 • 改革のための具体的行動・考え方 ・住民のニーズを把握しているのは誰か? ・権威主義の払拭とスタッフ部門としての使命 ・部局のマネジメント意識を高めるために 人事権の組織内分権化 ◆部局人員の総数内示 ・各課の人員は部局で決定する ◆臨時職員の機動予算 ・年度途中の臨時職員は部局の判断で配置 ◆市長ヒアリング制度 ・部局の現状を直接市長に訴えるチャンス ・部門のマネージャーとしての力量を問われる アセスメント研修を設計してみよう! • 改革前の職場風土・職員意識 ・担当業務以外の自己啓発が少ない幹部 ・経営的な発想ができない幹部 • 改革のための具体的な行動・考え方 ・幹部職員は育成が終わったのか? ・外部評価者(民間アセッサー)の人材評価 ・シビアな評価による自己回帰研修 アセスメント・センター方式 360度診断(コンピテンシーに基づき) 事前ワーク 市場価値診断(キャリアシート作成) 9時 12 13 1 コンピテンシーの理解 オリエン 日 テーション 目 360度診断解説 2 日 目 アセスメント 演習④ 3 日 目 個人インタビュー (キャリアシート・演習) フォロー研修 18 19 アセスメント 演習①② アセスメント 演習③ アセスメント 演習⑤ 研修の 振り返り アセスメント結果を個別面談によりフィードバック 21 その他「やる気」を引き出す制度 • 自主研究グループの奨励・支援 • 市民・職員への仕事紹介 • 功績表彰(論文・提案制度) • グループ活動(政策提言・業務改善) • 女性登用プランの策定 • 若手の外部派遣(国・大学・民間企業) • 選抜型若手リーダー養成講座 • 互助会活動・クラブ活動の推奨 「制度設計・実施の難易度」と「効果」の相関 大 改革の効果 昇任試験 アピ採用 上司診断 易 人事考課 経歴管理 庁内分権 難 設計・実施の難易度 ジョブリク 給与査定 アセス研修 自己申告 小 人事制度改革は何から手をつけるか 採用・配置 評価 報酬 能力開発 Key Word Key Word Key Word Key Word ・組織ビジョン ・必要な人材 ・確保の手法 ・自己実現 ・庁内分権 ・OJT ・マネジメント ・能力成果主義 ・チャレンジ ・職場風土改革 ・真の公平性 ・インパクト ・総人件費 ・組合交渉 ・自学の動機付 ・ストーリー性 ・総合性 ・コミットメント ・ダイバーシティ トータル人事制度設計と実施の優先順位 人事制度改革を進めるために • 本気で人事制度改革をやろうと思っているか? • 自治体自らが考えなければ改革は続かない。 • 抵抗勢力はどこにいる? • 「とにかく、やってみよう!」という組織文化 まずは、人事セクションの意識改革!
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