プーシキン記念国立ロシア語大学短期ロシア語教育プログラム報告(概要) 2013 年 3 月 31 日 東北大学ロシア地域研究自主ゼミ有志 ① プログラムの概要 2012 年 8 月から 9 月にかけて約一か月間、東北大学は 9 名の学生をプーシキン記念国立ロシア語大学1で行 われた短期語学研修プログラムに派遣した。本プログラムは、ロシア連邦教育・科学省およびロシア連邦交流 庁が主催したもので、NPO 法人 日本・ロシア協会の協力もと、日露間の高等教育レベルでの交流促進のため 開催された2。参加大学は、本学のほかに、東京外国語大学(2 名) 、上智大学(7 名) 、東京大学(1 名) 、慶應 義塾大学(3 名) 、青山学院大学(3 名) 、法政大学(12 名)、東京ロシア語学院(1 名)で、本学の参加者を含 めると、38 名が本プログラムに参加した。 ② 報告書の構成と概要 本プログラムに参加して得られた知見を広く社会へ還元すべく、ロシア地域研究自主ゼミの有志は、帰国後 すぐに報告書の作成作業に着手し、12 月までに報告書が完成した。報告書の執筆者と報告内容の概要は、以下 の通りである。なお本報告書及び本稿における見解は、編集者及び執筆者個人のものであり、編集者及び執筆 者の所属する東北大学を代表するものではない。 原田昌輝3は、プーシキン大学における語学研修について、プログラムの最初に行われたプレイスメント・テ ストから実際の授業内容まで詳細に報告している。その上で、事前準備を含めた本プログラムへの参加を通じ て、 より一層ロシア語及びロシア地域研究に対して強い関心を抱くようになった、 とまとめている。樋口薫4は、 留学中の生活面での出来事を中心に、寮における共同生活や近隣のスーパーへの買い出し、共同キッチンでの 調理、プーシキン大学における課外活動など幅広く取り上げている。そして、語学研修や観光のみならず、 「共 同生活やロシアでの人との出会い」は、 「この留学で持ち帰った大きな財産」であると述べている。佐々木洋 祐5は、サンクト・ペテルブルクへの研修旅行について、モスクワ‐サンクト・ペテルブルク間の寝台特急の乗 車体験やエルミタージュ美術館、現地の日本食レストランでの出来事を中心に報告している。この研修旅行を 通じて、モスクワとサンクト・ペテルブルクの両都市の比較をすることで新たな知見が得られた、とまとめて 1 以下、たんに「プーシキン大学」とする。 2012 年 8 月 14 日に在日本国ロシア連邦大使館で開催された本プログラム事前説明会におけるフョードロフ・アレクセイ三等書記 官 兼 ロシア連邦交流庁駐日副代表の発言より。発言の内容はロシア旅行社が報告書にまとめて、後日、関係者に電子メールで送 付された。 3 工学部材料科学総合学科 2 年。報告者の学年は 2012 年 8 月当時のもの。以下、同様に記す。 4 文学部人文社会学科 3 年。 5 文学部人文社会学科 3 年。 2 1 いる。宇佐美慶教6は、ウラジーミル・スーズダリへの研修旅行について、ロシアならではの田園風景が強く印 象に残ったこと、ロシア正教会の歴史についてより深く理解できたことを取り上げている。また、視察した歴 史的建造物についても詳細に報告している。志布菜帆7は、モスクワ市内のクレムリンやその周辺の博物館の視 察における様々なエピソードを紹介している。また、ロシアの芸術についても言及し、とくに観劇の魅力につ いて詳細に報告している。矢口啓朗8は、ロシア人の若者が日本人の若者と同じように携帯音楽プレーヤーで流 行の音楽を聴きながら街を歩いていて、日本人と同じようにスーパーで買い物をする、といったモスクワ市内 の日常の風景から、ソ連の継承国であるロシアが、もはや「特別な国」ではないことを強調している。さらに、 今後の日露関係を考える上で、日本人の間に多くみられるロシア観、いわゆる「おそろしあ」観を改め、等身 大のロシアを理解することの重要性を指摘している。 ③ 最後に 約一か月間という短い期間であったが、本プログラムへの参加は、本学学生にとって大変有意義なものとな った。本プログラムへの本学学生の派遣に際して多大なるご支援・ご協力を賜った、柳田賢二准教授をはじめ とする諸先生方や国際交流課の山口・前オフィサー、相馬・前オフィサーをはじめとする本学職員の皆様に対 して深く感謝を申し上げる。また、モスクワ滞在中には、工藤純一教授と面会し、モスクワ大学や周辺地域を ご案内していただいたことも、本学学生にとって貴重な機会となった。改めて深く感謝を申し上げる。 編集:長谷川 雄之9(留学サポート) 矢口 啓朗(執筆者代表) 6 7 8 9 経済学部経済学科 2 年。 文学部人文社会学科 2 年。 文学研究科歴史科学専攻比較文化史学専攻分野博士前期課程 1 年。 同上。 2
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