第28節 食料、飲料水及び生活物資の確保

津波対策編
第2章 災害予防対策
第 28 節 食料、飲料水及び生活物資の確保
第28節 食料、飲料水及び生活物資の確保
住宅の被災等による食料、飲料水及び生活物資の喪失、流通機能の一時的な停止や低下等
が起こった場合には、被災者への生活救援物資の迅速な供給が必要である。
このため、発災直後から、時間経過に応じ、被災者に対し円滑に食料、飲料水、燃料及び
生活物資の供給が行われるよう、市及び関係機関は物資の備蓄、調達及び輸送体制の整備を
図る。
主な実施 担当
総務課、防災対策課、福祉総務課、産業推進課
防災関係機関等
東北農政局、東部地方振興事務所、石巻地方広域水道企業団、 そ
の他防災関係機関
1 市民、事業所等、市のとるべき措置
(1) 市民は、防災の基本である「自らの身は自らで守る」という原則に基づき、最低3
日分の食料(そのまま食べられるか、簡単な調理で食べられるレトルトのご飯、缶詰
など)及び飲料水(缶入りやペットボトルのミネラルウォーターなど)を非常時に持ち
出しができる状態で備蓄するよう努める。
(2) 市民は、家族構成を考慮して、避難するときに持ち出す最低限の生活用品について
も併せて準備しておくよう努める。
(3) 市民は、地域における市民相互扶助の仕組みづくりを進め、最小限度の被害に抑止
するための防災体制の構築に努める。
(4) 事業所等は、災害発生に備えて、社員やその家族、さらには地域住民も考慮しなが
ら、3日分の食料、飲料水の備蓄に努める。
(5) 市は、市民等が食料、飲料水、生活用品の備蓄について、自発的に取組むよう啓発
に努める。
(6) 市は、小口・混載の支援物資を送ることは被災市の負担となることなど、被災地支
援に関する知識の普及に努める。
2 食料及び生活物資等の備蓄計画の策定
市は、大規模な津波災害が発生した場合の被害及び外部支援の時期を想定し、孤立が
想定される地域の地理的条件等も踏まえて、必要とされる食料、飲料水、生活必需品、
燃料その他の物資について、あらかじめ備蓄・調達・輸送体制を整備し、それらの必要
な物資の供給のための計画を定めておく。
その際、物資の調達、在庫管理、物資ニーズ収集等における、分類方法の違いによる
需要と供給のミスマッチを避けるため、救援物資の分類方法も統一しておく。
- 117 [石巻市地域防災計画]
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3 食料及び生活物資等の備蓄
(1) 初期の対応に十分な備蓄量の確保
市は、備蓄を行うに当たって、備蓄場所、品目、数量等の点検・洗い出しの調査を
行い、大規模な津波が発生した場合には、物資の調達や輸送が平常時のようには実施
できないという認識に立ち、各々で想定される最大避難者数の3日分等、初期の対応
に十分な量の物資を備蓄する。
(2) 公共用地、国有財産の有効活用
市は、備蓄に当たり、国と連携し、公共用地、国有財産の有効活用を図る。
(3) 集中備蓄・分散備蓄体制の整備
市は、仮設トイレや投光器など物資の性格に応じ、大型で数量が少なく、緊急性を
要しないものは防災拠点等への集中備蓄、災害発生後の被災地において大量に必要と
なり迅速に対応すべきものは、避難場所の位置を勘案した倉庫等への分散備蓄を行い、
それぞれの備蓄拠点を設けるなど、体制の整備に努める。
(4) 備蓄拠点の整備
市は、備蓄拠点について、輸送拠点として指定するなど、物資の緊急輸送活動が円
滑に行われるようあらかじめ体制を整備する。
(5) 備蓄物資の選定時の配慮
市は、備蓄物資の選定に当たり、管理栄養士の活用も図りつつ、高齢者、障害者、
乳幼児、妊産婦等の災害時要援護者、女性や子育て家庭の避難生活、アレルギー対策、
避難生活の長期化における栄養バランス等について配慮する。
(6) データベースの構築とパッケージ化の検討
市は、あらかじめ、予想される被災者の数、高齢者の数等のデータベースの構築等
に努め、発災時点でその数を予測することができるようにしておくとともに、発災後
3日間を目安に、飲料水・食料・生活用品(毛布・タオル・マスク・歯ブラシ・食器・
ティッシュ・ラップ等)をパッケージ化して備蓄していくことも検討する。
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4 食料及び生活物資等の調達体制
(1) 食料の調達
ア 対象者及び品目等
対象者
品
目
避難者(り災者)及び災害救助従事者とする
初動期の被災者の食料としては乾パン、パン、弁当、おにぎり、
缶詰、飲料水、牛乳等の調理不要の品目が望ましい。
それ以降は、たき出し用の米、即席麺、レトルト食品等調理の
容易な品目とし、併せて食塩、味噌、醤油等の調味料とし、必要
に応じて野菜、肉類、魚介類も含める。また、乳児食は、調製粉
乳とし、哺乳ビンも併せて確保・調達する。
食料の調達、供給は市が行うことを基本とするが、困難な場合
は県に協力を要請する。
イ 食料及び給食用資機材の備蓄ならびに調達計画
市は、被害想定に基づき必要備蓄品目、数量、災害時における調達品目、数量、
調達先、輸送方法等について、食料及び給食用資機材の備蓄ならびに調達計画に従
い整備する。また、応援協定を充実するとともに既に締結している関係団体と調達
計画についてあらかじめ協議しておく。
ウ 食料及び給食用資機材の備蓄
全体で、被害想定に基づく最大り災人口の概ね3日分に相当する量を目標に、市
及び市民は食料及び給食用資機材の備蓄体制の整備に努める。これは災害により、
輸送経路等が被災し、市外及び遠隔地からの輸送が困難となることも想定されるこ
とによる。
(市民の備蓄食料とは、避難時に持ち出し可能なものをいう)
市は上記の食料の備蓄ならびに調達計画に基づき、避難者及び災害救助従事者を
対象とする食料及び給食用資機材の備蓄に努める。
また、民間事業所は、事業所勤務者のための食料備蓄体制及び休日における近隣
住民への食料備蓄に努める。
エ 食料及び給食用資機材の輸送体制の整備
市は食料及び給食用資機材の備蓄ならびに調達計画にもとづき、食料等の輸送体
制について輸送業者との協定に努める。
オ 食料及び給食用資機材の集積地の指定
市は、集積地を定めその所在地、経路等についてあらかじめ関係機関に報告して
おく。
(2) 飲料水及び給水用資機材の備蓄ならびに調達体制の整備
ア 対象者及び品目等
対象者
避難者(り災者)及び災害救助従事者とする。
品
被災者及び災害救助従事者のための飲料水及び給水用資機材。
目
イ 飲料水及び給水用資機材の調達計画
市は、被害想定に基づき、災害時における調達先、輸送方法その他必要事項を、
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第 28 節 食料、飲料水及び生活物資の確保
飲料水及び給水用資機材の調達計画として策定することに努める。
ウ 飲料水及び給水用資機材の備蓄ならびに調達
市及び市民は全体で、被害想定に基づく最大断水人口の概ね3日分相当を目標に、
飲料水の確保及び給水用資機材の備蓄に努める。
。これは災害により、輸送経路等が
被災し、市外及び遠隔地からの輸送が困難となることも想定されることによるもの
で、市は、迅速な応急給水に対応するために必要な飲料水(ペットボトル等)及び
給水用資機材(ポリ容器、ポリ袋等)を整備するとともに、緊急時の調達先として、
当該資機材を有する他の機関又は業者と協力体制の整備に努める。
(3) 生活用水の確保
市は、次のとおり生活用水の確保を行う。
ア 雨水の有効利用
公共施設の新設及び増改築時において、雨水貯留施設等(屋根及び駐車場等に降
った雨水の貯水槽)の整備を計画的に推進する。
イ 井戸の活用
(ア)
民間の既設井戸の分布状況に関する調査を行い、災害時に地域に開放しても
らう災害時協力井戸としての活用推進を図る。
(イ)
災害時協力井戸について、所在地、使用にあたっての留意事項及びその他必
要な情報を、地域住民に対し周知を推進する。
ウ 河川・プールの水の活用
河川水やプールの水等を災害時の生活用水として活用できるよう、浄水装置やポ
ンプの整備を推進する。
エ 家庭における備蓄の推進
風呂のため水、水道水の備蓄、雨水の貯留、市販水の確保等により、各家庭にお
いて生活用水の備蓄が行われるよう、広報紙や防災訓練等を通じ市民の意識啓発を
図る。
(4) 生活必需品の備蓄ならびに調達体制の整備
ア 対象者及び品目等
生 活 必 需 品 の
供給・貸与対象
品
目
民間事業等への協
力
の
要
請
災害によって住家に被害を受け、日常生活に欠くことの
できない生活必需品を喪失又は毀損し、しかも物資の販売
機構の混乱により、資力の有無にかかわらず、生活必需品
を直ちに入手することができない状態にある者とする。
寝具、外衣、はだ着、身回り品、炊事用具、食器、日用
品、光熱材料、簡易トイレ、情報機器、災害時要援護者向
け用品、女性用衛生用品、紙おむつ、燃料等
市は、特に昼間人口の多い地域においては、事業所在勤
者のための生活必需品の備蓄体制の整備を民間事業者へ要
請する。
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第2章 災害予防対策
第 28 節 食料、飲料水及び生活物資の確保
イ 生活必需品の備蓄ならびに調達計画
市は、被害想定に基づき必要備蓄品目、数量、災害時における調達品目、数量、
調達先、輸送方法等について、生活必需品の備蓄ならびに調達計画に従い整備する。
また、応援協定を締結している関係団体と調達計画についてあらかじめ協議して
おく。
ウ 生活必需品の確保
市は、被害想定に基づく最大り災者の概ね3日分に相当する量を目標に生活必需
品の確保を行う。確保は調達により行うものとし、調達先の存在や距離等各地域の
特性に合わせて市が決め、備蓄品については、更新に努める。
エ 生活必需品の調達体制の整備
市は生活必需品の備蓄ならびに調達計画に基づき、生産者及び販売業者と十分協
議しておく。
オ 生活必需品の輸送体制の整備
市は、生活必需品の備蓄ならびに調達計画に基づき、生産者、販売業者、及び輸
送業者と十分協議し、市が備蓄ならびに調達を行う生活必需品の輸送に関して、業
者と協力体制の充実に努める。
5 燃料の確保
(1) 燃料の調達、供給体制の整備
ア 物流体制の整備
県は、平時における燃料のストック状況や流通状況、タンクローリー等の特殊車
両の配備状況等を把握し、弱点と対応策を講じておくとともに、沿岸市町も含めた
発災後の連絡体制、燃料の搬送体制、燃料供給を受ける施設の受入れ態勢等を検討
する。
イ 燃料の確保に関する協定等
市は、災害発生時において可能な限り早期に生活基盤の復旧を図るため、石油商
業協同組合等と必要な協定等を締結するなどして、災害応急対策に必要な車両に対
し、優先的な給油を受ける給油所を指定しておくよう努める。
(2) 災害応急対策車両専用・優先給油所の指定
県及び市は、協定などに基づき、災害発生時において災害応急対策車両が専用又は
優先して給油が受けられる給油所をあらかじめ指定しておくとともに、災害対応力の
強化に努める。
県及び市から指定のあった災害応急対策車両専用・優先給油所は、県及び市と協力
して日頃からその旨を明示し、災害時に混乱が生じないように周知を図る。
(3) 普及啓発
ア 燃料管理等の普及啓発
市は県と協力し、災害発生時の燃料の供給不足に伴う混乱を防止するため、日頃
から市民及び事業者等に対し、車両の燃料を日頃から半分以上としておくよう心掛
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第 28 節 食料、飲料水及び生活物資の確保
けるなど、災害発生時に備えた燃料管理などの普及啓発を行う。
イ 車両を有する市民等の自助努力の徹底
市は、日常生活や事業活動において、車両が必要不可欠な市民及び事業所は、車
両の燃料を日頃から半分以上としておくよう心掛けるなど、自助努力に努めるよう
普及啓発を行う。
6 受援体制の確保
(1) 応援の要請
市は、食料、飲料水及び生活物資の確保に関し、発災時において、災害の規模、被
害の程度等から、国や他の都道府県及び市町村等から応援を受ける必要があると判断
される場合においては、必要とする応援内容を迅速に把握・整理し、すみやかに応援
要請を行うこととする。
(2) 受け入れに向け必要な業務や体制の確立
市は、国や他の都道府県及び市町村等からの応援を効率的かつ効果的に受けるため、
次の業務や体制づくりに取り組む。
ア 食料の受入
イ 飲料水の受入
ウ 生活物資の受入
エ 燃料の受入
オ その他上記の受入に必要な資機材の受入
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