1 現代の子ども像 現代の子ども像と支援の基本方策 「縦糸」を - Hi-HO

だから難しい!?
現代の学校現場
現代の子ども像
平成26年度 生徒指導実践研修(島根)
~教師や友だちと向き合おうとしない子ども~
対人関係形成能力の育成と
子ども同士の人間関係について
 大切に思う人の範囲が狭い(杉森)
・自分を大事にしてほしい。相手はどうでもいい
・心の中は「自分」がいっぱい。「他者」はわずか
・心の中に「自分」もわずか
~ 一対一の関係性を通して ~
教師自身が築く一対一の良好な人間関係
声
私の心の中にいない人に
「向き合わない・大事にしない」のは当然でしょ!
名城大学大学院
大学・学校づくり研究科
曽山和彦
例;「電車内の化粧」。周りの人のことは「どうでもいい」
2
2014.10.6~8
私の現在地です
現代の子どもを育む「王道」ステップ
現代の子ども像と支援の基本方策
「どうせボクは‥」
~縦糸(教師-子ども)、横糸(子ども同士)を紡ぎ、学級という「機」を織る~
「おまえ、うざいっ!」
自尊感情とソーシャルスキルの不足により
不適応に陥りやすい子どもたち
 自分にOKと言えなければ、他者には尚更OKとは
言えない。自分を大切にできなければ、他者は
尚更大切にできない → 自尊感情を育もう!
集団の力により個を育てる 「人の中で人に育てる」
 他者とかかわる技術・コツがなければ、
他者を大切にできない → ソーシャルスキルを育もう!
学級(集団)づくり
居場所づくり
「対人関係形成能力」の2大要素
どちらも人とのかかわりの中でしか育たない
人が人になるには人が必要
学校存在の意義がここにある!
「縦糸」を紡ぐアプローチ
教科指導、生徒指導、
特別支援教育が機能する
 「○○君、○○さん」と名前を呼ぶ
2.学級(集団)の理解
3.自尊感情とソーシャルスキルの育成
気になる子には機会を多く
3
フレンドリーにかか
わりますが、フレンド
にはなりません!
1.子どもの理解
4
「横糸」を紡ぐアプローチ
 短時間&ゲーム感覚で楽しめるグループアプ
ローチを活用する
高校の体育の先生がある子たちのことは下の名前で呼び、私や他の人
は苗字で呼んでいた。その時点で、私はその先生のことを嫌だなと思っ
ていた。<教職課程履修 人間学部2年女子学生>
<学校生活の様々な場面で活用したい『王道』演習>
・ネームゲーム
・二者択一
・アドジャン
 子どもの好き・得意なことを使い、言葉をかける
小中学校の「出前授業」で
大人気演習!! 子どもは
遊ぶが如く、でも私は‥‥
大好きだったなぁ、「ハングル少年」のA君。 (今、君に感謝!!)
関係づくりの第一歩は相手への関心から
5
6
1
1.子どもの理解
例えば
-次のことを学ぶと理解の助けになる-
仲間関係の発達
 発達段階を学ぶ
 ギャングG;児童期後半。同一行動を前提とした一
体感がもたらす親密さ。仲間集団の承認第一。 男
子に特徴的
例;なぜ、女子はグループ化するの?
 チャムG;思春期前半。互いの共通点を言葉で確
認。仲間内の秘密共有、誰かを仲間はずれにして
集団の一体感を高める。女子に特徴的
 カウンセリング理論を学ぶ
例;なぜ、あの子は私を避けるの?
 ピアG;思春期後半。異質を認め合い、ぶつけ合
い、他者との違いを確認し、自分の中のものを築
き上げる。集団への出入り自由。自主性の尊重
 発達障害に関する知識を学ぶ
例;なぜ、あの子は何かにこだわるの?
7
かつて私たちも乗った
「大揺れの船」です
例えば
「思春期」を理解する
精神分析理論の感情転移
 感情転移;父、母、兄弟等に対する感情を類似の
人に向けること。例;父親を憎んでいる人が、その
感情を教師に向ける
 疾風怒濤期;身体や心の変化・成長に戸惑う
 第二の誕生(心理的離乳);親からの自立
<私の失敗>
思春期の子どもの担任をしていた頃、子どもに「挑発」され、
「揺れている船」に一緒に乗り込んで「沈没」
「泳力・浮き輪」=知識・理論・技法が必要
 対抗感情転移(逆転移);感情転移に巻き込まれ
ること。子どもが、愛や怒りの感情をぶつけてきた
とき、愛してしまう、怒ってしまうこと
教師は「白いスクリーン(empty screen)であれ」。
感情転移に巻き込まれないように
「揺れている船」に乗っている子どもが時に海に投げ出される。
その子どもを助けに行く大人(親、教師)でありたい
例えば
8
9
10
必ず歩きたい
「王道」
今後、 DSM-Ⅴ 情報に注意
PDD (広汎性発達障害)
PDDへの支援のワザ
・三つ組(社会性,コミュニケーション,想像力)の障害を有する
・「自閉症スペクトラム」と同義
・以下の5つのPDDがある
*DSM-Ⅳ参照
 視覚情報の活用 ←フォトグラフィックメモリー
・自閉性障害(*この中で知的な遅れを伴わない
ものを,「高機能自閉症」という)
・レット障害
・小児期崩壊性障害
・アスペルガー障害
・特定不能PDD(*非定型自閉症と同義)
上記の中で,高機能自閉症,アスペルガー障害,知的な遅れ
を伴わない非定型自閉症を「高機能PDD」という
11
 一度にひとつ ←短期記憶の弱さ
 予定の伝達 ←見通しのもちにくさ
 肯定的表現 ←苦手な禁止、注意
 文化に寄り添う
◇感覚の過敏性
(例)触覚、聴覚、視覚、嗅覚、味覚等
◇字義性
(例)真っ直ぐ家に帰るのよ → あそこの角を曲がらないと
帰れないよう~
拙著「気になる子への支援のワザ」(教育開発研究所)に事例がたっぷり
2
Q-U活用も効果的
ソーシャルスキル・トレーニング(SST;social
skill training)~ 教えることがなじむ技法~
2.学級(集団)の理解
~学級が「居場所」となる2条件(國分.河村)~
 ルール
ソーシャルスキル関連
 ふれあい(リレーション)
 SSTは行動の教育
自尊感情関連
ラポートとの違いは?
育成&向上
<基本展開>
してみせて、言って聞かせて、させてみて 1.インストラクション(言語教示)
ほめてやらねば 人は動かじ
2.モデリング(示範)
(山本五十六元帥)
3.リハーサル(実行)
4.フィードバック(評価)
演習;二者択一、アドジャン
プラグマティズム(実用主義)の薦め
・使えるものは何でも使え
・役に立つ知識こそ真の知識
教育のプロとして腕の見せどころ(私ならば‥‥)
ねらい;挨拶、話の仕方(○○です)、
話の聴き方(頷き、視線、表情等)
14
13
構成的グループ・エンカウンター(SGE;
structured group encounter)
~教えることがなじまない技法~
A.マズローの欲求階層説
~「居場所」の理論背景~
SGEは感情の教育
・「○○に気づいた、○○を感じた」等、個々の気
づきをうながす。
演習;二者択一、アドジャン
 第一欲求(生理的)が満たされると、第二欲求
(安全)が生じ、これも充足されると第三欲求
へ進む。上位欲求は下位欲求がたとえ部分的に
せよ満たされて初めて発生する
ふれあい
自己実現
ルール
所属・愛
承認
ねらい;自他理解
安全
15
生理的
「言葉を伝える」ための大前提
3.自尊感情&ソーシャルスキル育成
~子どもの話を聴く~
1.SST(ソーシャルスキル・トレーニング)やSGE
(構成的グループ・エンカウンター)を活用する
自分の「聴き方」をロールプレイでチェック!
2.カウンセリング理論による伝わる言葉をかける
なぜ、ロールプレイなのか? (ロールプレイの意義)
 東の横綱;「いいところ探し」
 西の横綱;「対決アイメッセージ」
 東の大関;「リフレーミング」
ロールプレイは「道場の竹刀稽古」。本番で斬
らない、斬られないために稽古を積む(河合)
 西の大関;「例外探し」
是非、拙著「伝わる言葉の番付表」 (明治図書)もご活用ください
17
18
3
傾聴
~ 全ての理論、技法を超えた基礎・基本~
傾聴の意義と基本技法
 言葉の応答に限らず、身体全体、心も併せ
て聴けたか(言語及び非言語的コミュニ
ケーションはどうだったか)
 相手の話を取ってしまわなかったか
 ジョイニング(波長合わせ)ができたか
 クライエントの言葉を鏡になって返すことによ
り、クライエント自身の自己対話が始まる。
 アメリカの心理実験。カウンセラーの技量、技
法に関係なく、クライエントが治るときにはカウ
ンセリング場面で必ず「沈黙」がある。
話し上手は、聴き上手
基本5技法
受容、繰り返し、明確化、支持、質問
19
ジョイニング
基本技法を組み合わせ,相手の価値観等に
波長を合わせる
失敗例
そう思えたら相談
に来てないわよ
そんなに落ち込まな
いで,ポジティブに
考えよう!!
東の横綱
「いいところ探し」
あなたが、「よい子&気になる子」に
かける言葉は?
廊下のゴミを自ら拾い、捨ててくれた
「よい子」のAちゃんにあなたがかける言葉は?
周りが静かにしているのに、ずっとしゃべっている
「気になる子」のB君にあなたがかける言葉は?
相談するの
やめよう
いつも失敗ばかり
なんだから‥‥
20
<私の言い方&失敗>
・プラスもマイナスも共通した言い方 →
・「褒めて育てる」という落とし穴 →
21
思春期の子どもには、特に伝わりにくい言葉のかけ方
西の横綱
「対決アイメッセージ」
いつでも、どこでも、リソース
(資源)、リソース!(黒沢)
 子どもの「いいところ」を探して、貯めておく
行動
22
大学でも効果抜群!
ただし‥‥
相手の行動について伝えよう
誤解したA先生;「ひ○○○○○○○ん」
 貯めた「いいところ」を使って、言葉をかける
影響
分岐点は
年齢
発達段階
褒める
肯定ユーメッセージ
勇気づける
肯定アイメッセージ
認める
かける言葉に迷ったら‥「ありがとう」
大人の声or友人の声
入りやすい分岐点あり
感情
どんな影響を受けているか伝えよう
Un-Happyな感情を伝えよう
23
4
東の大関
「リフレーミング」
ブリーフ・セラピーは
絶対お薦め!
人生考え方一つ(Mさん)
 リフレームは「枠の再構成、見方を変える」
 「短所」と感じるものを「長所」に書き換える
うまくやれていること(例外)はきっとある
「てめぇ!」と言う
暴言が「問題」
「長所はゼロ、短所はいっぱい」(ある中学生の声)
・「私って、すごく優柔不断」 →
・「私って、すごくおしゃべり」 →
・「俺って、けっこう気が小さい」 →
なぜ、「例外」が生まれた?
(例外の責任追及)
・「休み時間に一緒に遊んだから」
・「ゆっくりと話を聴いたから」
支援のヒントがここにある
考え方次第で悩みは消える (論理療法の骨子)
「幸せになるか不幸になるかは自分が決めている
25
私たちは「問題」が100%のように思いがち
26
主な参考文献
まとめ;子どもを「愛し」続ける
~子どもは大人から愛されれば愛されるほど非行から遠ざかる(水谷)~
~ある校長の後悔~
中学○年生の担任だった時、一人の女生徒とのかかわ
りが難しかった。何度、話しかけても全く反応が返ってこな
いため、やがて声をかけるのをやめた。
30年後、同窓会でその女生徒と再会した際、「おまえは
あの頃、俺と全く話をしなかったなぁ」と語りかけたところ、
彼女から‥‥
 「先生のためのやさしいブリーフセラピー」、森俊夫、ほんの森出版
 「アスペルガー症候群と高機能自閉症の理解とサポート」、杉山登志
郎、学研
 「親業」、トマス.ゴードン、サイマル出版
 「思考の整理学」、外山滋比古、筑摩書房
 「時々、“オニの心”が出る子どもにアプローチ 学校がするソーシャ
ル スキル・ トレーニング」、曽山和彦、明治図書
 「気になる子への支援のワザ 通常学級担任のための特別支援教育
“はじめの一歩”」、曽山和彦(編)、 教育開発研究所
 「気になる子も溶け込む授業のしかけ」、曽山和彦(編)、 教育開発
研究所
特別支援に関する私の考えの全ては
「王道ステップ」にまとめました!
ただし、「一つだけでは多すぎる」
「軌跡」が「奇跡」を生む‥あきらめずに!
そして‥今、見ている景色も楽しむ!
「先生、あのね」と言う
丁寧語が「例外」
27
HP;「KAZU・和・POCKET」
28
5