構成的グループ・エンカウンター(SGE)研修会のもち方 ∼ 教員同士の相互理解のために ∼ 構成的グループ・エンカウンター(SGE)とは? 構成的グループ・エンカウンターは,心理的になにがしかの重大な問題をもたない普通の人を対象 とし,相互の関係を深め,集団での体験の中で自己成長をはかることを目的としたグループ活動です。 「エンカウンター」とは「出会い 」「本音と本音の交流」という意味です。一般的には授業の中で用 いられることが多い手法ですが,ここでは校内研修の一環として行う方法を紹介したいと思います。 構成的グループ・エンカウンター(SGE)の基本的な展開パターン 展 1 開 留 意 点 メインエクササイズとつながるようなウォ できるだけ身体的な動きを伴うもの。 ーミングアップ(ミニエクササイズ) 説明は簡潔明瞭に(リーダーを中心とした円陣)。 2 ミニエクササイズのシェアリング 感じたことの表明など軽く。 3 メインエクササイズの説明 ウォーミングアップからうまくグループ編成が できるとよい。 何を体験し感じ取ってもらうのか,その方向性 を示す。 説明は簡潔明瞭に。 4 メインエクササイズの実施 メンバーの動きに注意を払う。 5 シェアリング 「どのように感じたか 」「どんなことに気付い たか」等,観点を明確にして話し合ってもらう。 6 リーダーによるシェアリング スモールグループでの話し合いから全体へ。 リーダー自身が感じたこと,気付いたことを述 べる(評価ではない!)。 エクササイズとシェアリングの意味 ・エクササイズとは心理面の発達を促す課題です。これは自己理解や他者理解,自己受容,自己主張, 信頼体験,感受性の促進をねらった課題です。エクササイズはカウンセリングの様々な理論に基づい て構成されるものです。 ・シェアリングとは,分かち合いや振り返りの意味であり,エクササイズを通しての気付きや感情を 明確化し,ねらいを定着させる働きをもっています。さらに,一人の気付きや感情を集団全体が共有 する働きもあります。 リーダーの役割と校内研修 リーダーの基礎的な素養として,受容的態度,共感性が必要です。リーダー自身がグループ・エン カウンター等で知識や経験を深めることが極めて大切です。また,説明を簡潔にしたり,タイミング よく時間を切るといったことが要求されます。そこでSGEの研修会を受講した人や,実践をした経験 がある方にリーダー役をやってもらうと良いでしょう。また,演習を重ねていくことでリーダー役を 持ち回りで行うことができると考えられます。 こういった校内研修を積み重ねていくことで,教員同士の理解がより深まり,その後の研修会が一 層充実したものになっていくのではないでしょうか。 - 70 - 10分以内でできるエクササイズの種類と内容 本来は ,「出会いの段階 」(ウォーミングアップ)→「自己理解を深める段階」→「他者理解を深 める段階」→「本音でつきあえる集団を育てる段階」の演習を行うのが理想ですが,ここでは短時間 でできるエクササイズを紹介したいと思います。 エクササイズ名 種類 ねらい 内 容 肩もみエンカウ 信頼体験 軽いスキンシップで緊張をほぐ ペアをつくる。ジャンケンで負けた人 ンター しながら,自己開示を体験する。が勝った人の肩をもむ。その際,今日 あったことを思いつくまま話す。交替 して伝え合う。相手の話を短くまとめ て確認をとる。感想を話し合う。 トラストアップ 信頼体験 構えずに考えを出し合って問題 2人組になり,向かい合って座る。足 解決できるやさしいエクササイ を伸ばしてつま先をつけ,手をつなぐ。 ズを体験させ,力を合わせて解 「せーの!」の掛け声で同時に立ち上 決する喜びを味わわせる。 がる。1回ごとにどうしたらうまくい くか話し合う。4人組6人組8人組と 人数を増やしていく。感想を話し合う。 目や手で伝える 感受性の 非言語的表現で相手に伝えるこ 縦の列でグループをつくる。伝言ゲー 促進 とを通して,自分の思いや気持 ムの要領で花の名前を伝える。答え合 ちを伝えることの難しさを体験 わせをする。顔の下半分を隠し,目だ する。コミュニケーションを図 けで感情を伝える。感情は,喜び・怒 る手段としての動作・表情の大 り・悲しみ・驚きの中から選ぶ。 切さに気付く。 続きをどうぞ 自己理解 言語を用いずに絵画で自分の気 2人組をつくる。各自,自分の好きな ・他者理 持ちを表現することで,自己表 模様や自由な線を描く。相手と用紙を 解 現力を高める。相手の絵をもと 交換する。相手の描いた線,模様から に続きをかくことで,リレーシ イメージをふくらませ,絵を完成させ ョンづくりが促される。 る。完成した絵を相手にプレゼントす る。 クッキーデート 自己理解 クッキーの片割れを持っている 2つに割ったクッキーを一片ずつ配る。 ・他者理 人を探すドキドキを味わう。お もう一つの片割れを持っている相手を 解 菓子を食べながら和やかに自己 探す。パートナーが見つかったペア同 開示できる雰囲気をつくる。 士でその場に座り,仲よくクッキーを 食べる。 トラストウォー 信頼体験 自分を他者にゆだねる体験をす ペアをつくる。ジャンケンで勝った人 ク る。目を閉じて言葉を使わずに が目をつぶる。負けた人は,安全に注 歩くことで,視覚以外の感覚が 意しながら相手に教室の中を案内する。 意識され,自分の身体や周りの 役割を交代し,同様に実施する。お互 環 境 に 新 た な 気 付 き が 得 ら れ いに感想を述べる。 る。 構成的グループ・エンカウンターを行う場合の参考文献 「エンカウンターで学級が変わる 小学校編1∼3中学校編1∼3高等学校編」國分康孝監修(図書 文化) 「エンカウンターで学級が変わる ショートエクササイズ集」國分康孝監修(図書文化) - 71 -
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