一括ダウンロード - 武田薬品工業株式会社

Annual Report 2011
Transformation
into a New Takeda
Annual Report
2011
Our Contribution to Financial and Social Responsibility
タケダは、
「 い の ち 」に 携 わる 企 業として
東 日 本 大 震 災 を 忘 れることなく、
当 社 の 使 命 で あ る「くすりづくり」と
そ れ を 担う私 た ち 一 人 ひとりの 誠 実 な 行 動 を 通して 、
被 災 地 の 復 興 に 向 け た 支 援 を 続 け て ま いります 。
Takeda Annual Report 2011
事業への影響について
医薬品の安全性と安定供給について
タケダの国内工場は、山口県と大阪府に立地しており、東日本大震災による
関連情報
P.65 品質保証体制
直接的な被害はありませんでした。東北地方に所在する複数の調達先・委託先が
震災の影響を受けていますが、早期の復旧が図れたことから、製品供給への支障
はありません。また、医薬品の製造に使用される原薬、製剤原料、包装材料および
委託先や関連会社で製造された医薬品も含めて、タケダが提供する製品が放射性
物質に汚染されていないことを確認する体制を確立し、安心して使用いただける
体制をとっています。
医薬品の情報提供活動について
東北支店および北関東支店の一部の営業所において内部設備の破損があり
P.6
ましたが、従業員全員の無事を確認しました。被災地では医薬品等の必要な情報
P.53 マーケティング
をお届けするとともに、現地の医療機関への支援活動も行っています。
社長メッセージ
日本市場
P.101 危機管理
当社研究施設における周辺環境への影響について
茨城県所在のつくば研究所は地震の影響を受け建物や実験設備に一部損傷を
P.19 湘南研究所の安全対策
受けましたが、周辺環境への影響はありませんでした。2011 年 2 月に竣工した
P.84 環境リスクの低減
神奈川県所在の湘南研究所は、最新の耐震技術を駆使して建設されています。
同研究所についても、周辺環境への影響はありませんでした。
企業市民としての活動について
緊急支援として、震災直後に医療用医薬品および一般用医薬品を被災地に
P.97 東日本大震災による
お届けしました。さらに義援金( 3 億円)を日本赤十字社に拠出するとともに、従業
被災地への支援
員募金に同額を上乗せする形で、認定 NPO 法人ジャパン・プラットフォームに約
7,600 万円を寄付しました。また、復興支援として、東北地方の産業支援活動や、
ボランティア活動への支援などを行うとともに、アリナミン類の収益の一部を複数
年にわたり拠出することを決定しています。
Takeda Annual Report 2011
1
情報開示 方 針
「経営の基本精神」に基づく
企業活動を総合的にご理解いただくために、
アニュアルレポートと CSR 報告書の
統合版をお届けします。
タケダは230 年にわたり、くすりづくりの王道を歩む
から、タケダでは2006年度より、アニュアルレポートに
なかで、高い倫理観と、強い使命感を培ってきました。企
CSR活動などの非財務情報を取り入れた統合レポートを
業活動のグローバル化に伴い、CSR(企業の社会的責任)
発行し、ステークホルダーの皆さまに対する積極的な情
に対する要請が強まっていますが、タケダは、経営哲学
報開示に努めています。グローバル社会の要請に応える
「タケダイズム(誠実=公正・正直・不屈)」に基づき、
「優れ
タケダの事業活動を総合的にご理解いただければ幸い
た医薬品の創出」を実現していく企業活動そのものが、
です。報告は、当社と連結子会社61社、持分法適用関連
CSRの真髄であると認識しています。以上のような観点
会社14社を合わせたグループ76社を対象としています。
Contents
4
企業活動の内容と2010 年度実績
財務・非財務ハイライト
Pharmaceutical Business
医薬事業を通じた貢献
ステークホルダーの皆さまへ
6
[メッセージ&インタビュー]代表取締役 社長 長谷川閑史
「11-13中期計画」について
14
Innovation 革新への挑戦
特集1:[対談]タケダが目指すイノベーションとは
研究開発統括職 大川滋紀/ミレニアム社 社長兼CEO デボラ・ダンサイア
37
研究開発
40
研究開発トピックス
42
導入・アライアンス活動
44
パイプライン
48
生産体制
50
/メディカル&サイエンティフィック アドバイザー 山田忠孝
「湘南研究所」について
20
Culture 活力ある企業風土の創造
特集2: サステナブルな組織に向けて
[インタビュー]経営管理統括職 吉田豊次
24
Growth 持続的な成長
特集3: グローバルでのさらなる成長に向けて
[インタビュー]米欧販売統括職 フランク・モリッヒ
2
30
経営の基本精神/タケダのステークホルダー
32
Takeda at a Glance 業界動向/事業概要
34
タケダ230 年の歩み
Takeda Annual Report 2011
マーケティング
[インタビュー]アジア販売統括職 平手晴彦
61
ヘルスケア事業
62
知的財産
64
品質保証体制
SRIインデックスへの組み入れ状況
SRI インデックスとは、収益性とCSR 活動の両面で評価
さ れる企 業 だ け で 構 成 する株 価 指 数 で す 。タ ケダ は 、
FTSE が提供する社会的責任投資指数「 FTSE4Good 」、
Dow Jones社とSAM 社が作成する社会的責任投資指数
「 Dow Jones Sustainability Asia Pacific Index」、モ
ーニングスター社会的責任投資株価指数「 MS-SRI 」の構
成銘柄になっています。
( 2011 年 5 月末現在)
[非財務情報の開示に関する参考ガイドライン]
サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン
グローバル・レポーティング・イニシアティブが発行した、全世界で適用できる持続可
能性報告書の枠組みを示したガイドライン。
AA1000
英国アカウンタビリティ社が発行したコミュニケーション・システムなどの策定過程
に、ステークホルダーが関与する体系的なプロセスを示したガイドライン。
ISO26000
国際標準化機構が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格。先進国および
途上国における全ての組織が使用することを意図して作成されています。
Relationship with Our Stakeholders
ステークホルダーとの関係
67
タケダの CSR 活動
72
組織統治
74
人権
78
労働慣行
82
環境
88
公正な事業慣行
90
消費者課題
92
コミュニティ参画
および発展
【見通しに関する注意事項】
「このアニュアルレポートは、タケダの計画、見通し、戦略、業績な
どに関する将来の見通しを含んでいます。この見通しは、現在入手
経営管理体制
99
可能な情報から得られた判断に基づいています。
コーポレート・ガバナンス
したがって、実際の業績は、さまざまなリスクや不確実性の影響
102
取締役、監査役およびコーポレート・オフィサー
を受けるものであり、これらの見通しとは大きく異なる結果となる
104
主要子会社および関連会社
ことがあることをご承知おきください。将来の見通しに影響を与え
うる要素には、タケダの事業領域をとりまく経済環境、競争圧力、関
106
財務セクション
145
独立監査人の監査報告書(訳文)
146
会社情報
147
社会的責任に関する主な指標
連する法規、製品の開発状況の変化、為替レートの変動などがあり
ます。ただし、見通しに影響を与えうる要素はこれらに限定されるも
のではありません。
(注)
このアニュアルレポートの内容は、2010年度(2010年4月1日∼2011年3月31
日)の実績に基づいています。
(一部、
2011年度の活動内容も含みます。)
Takeda Annual Report 2011
3
財務・非財務ハイライト
武田薬品工業株式会社および子会社
2011年、2010年および2009年3月期
単位:百万円
単位:百万円
単位:百万円
増減率
単位:千米ドル ※1
2011年3月期
2010年3月期
2009年3月期
2011/2010
2011年3月期
¥ 1,419,385
¥ 1,465,965
¥ 1,538,336
(3.2)%
$ 17,101,024
営業利益
367,084
420,212
306,468
(12.6) 4,422,699
税金等調整前当期純利益
371,572
415,829
398,546
(10.6) 4,476,771
当期純利益
247,868
297,744
234,385
(16.8) 2,986,361
研究開発費*
288,874
296,392
453,046
(2.5) 3,480,410
資本的支出*
148,886
114,505
906,855
30.0 1,793,807
減価償却費*
106,722
114,825
118,081
(7.1) 1,285,807
¥ 326,938
¥ 381,168
¥ 326,273
(14.2)%
$ 3,939,012
売上高
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
(99,255)
(117,521)
(767,256)
15.5 (1,195,843)
財務活動によるキャッシュ・フロー
(146,544)
(148,046)
(425,840)
1.0 (1,765,590)
総資産
¥ 2,786,402
¥ 2,823,274
¥ 2,760,188
(1.3)%
$ 33,571,108
純資産
2,136,656
2,164,746
2,053,840
(1.3) 25,742,843
(1,014)
(うち自己株式)
(980)
(1,068)
ー 14.4%
10.9%
(2.6)%
11.8%
自己資本当期純利益率(ROE)
(12,217)
[1株当たり金額(円および米ドル)
]
1株当たり当期純利益(EPS)
1株当たり配当金
¥ 314.01
¥ 377.19
¥ 289.82
(16.8)%
$ 3.78
180.00
180.00
180.00
ー 2.17
※1 当報告書の米ドル額は、便宜上、2011年3月31日現在におけるおよその為替レートである1米ドル=83円で計算しています。
( )内数値は減少を示します。
(注)2009年3月期は、TAP社およびミレニアム社の子会社化により、研究開発費、資本的支出および減価償却費が大幅に増加しております。
当期純利益/1株当たり当期純利益(EPS)
売上高
(億円)
20,000
研究開発費/対売上高比率
(億円)
(円)
(億円)
4,000
400
6,000
(%)
30
314.01
14,194
15,000
海外
4
’
07
’
08
’
09
国内
Takeda Annual Report 2011
’
10
年度
2,000
200
1,000
100
0
’
06
’
07
当期純利益
’
08
’
09
’
10 年度
0
1株当たり当期純利益(EPS)
2,889
2,000
0
10
’
06
’
07
研究開発費
’
08
’
09
対売上高比率
’
10 年度
0
対売上高比率
’
06
20
4,000
研究開発費
7,213
5,000
20.4%
300
2,479
6,981
10,000
0
3,000
単位:百万円
単位:百万円
増減率
単位:千米ドル ※1
2011年3月期
2010年3月期
2011/2010
2011年3月期
売上高の
地域別内訳
合計
¥ 1,419,385
¥ 1,465,965
(3.2)%
$ 17,101,024
※2
日本
721,326
688,921
4.7 8,690,675
米州
496,435
561,817
(11.6)
5,981,145
[483,410]
[544,493]
[(11.2)]
[5,824,217]
172,883
189,148
28,741
26,079
[うち米国]
欧州
アジア他
2,082,928
(8.6)
346,276
10.2
※2 2011年3月期より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用しております。比較を容易にするため、2010年3月期は改正後の区分に組み替えて表示しております。
増減率
2011年3月期
従業員数
2010年3月期
2009年3月期
2011/2010
合計
18,498人
19,585人
19,362人
日本
9,467 9,305 9,072 海外
9,031 10,280 10,290 (12.1)
医薬事業
16,470 17,568 17,194 (6.3)
医療用医薬品事業
16,035 17,125 ー (6.4)
435 443 ー (1.8)
2,028 2,016 2,168 0.6
6,449 百万MJ
6,113 百万MJ
5,823 百万MJ
5.5 %
(5.6)%
※3
ヘルスケア事業
その他事業
総エネルギー投入量
332 千トン-CO2
CO2排出量
329 千トン-CO2
7,309 千m3
水資源投入量
1.7
347 千トン-CO2
0.9
7,771 千m3
7,461 千m3
(2.0)
※3 就業人員数を表示しております。なお、2011年3月期から工数換算ベースで表示しており、2010年3月期についても変更後の基準に基づき組み替えて表示しております。
P.114 11年間の要約財務データ
関連情報
CO2排出量
従業員数
P.147 社会的責任に関する主な指標
株主の状況
(人)
(千トン-CO2)
600
証券会社 4.94%
20,000
その他の法人
18,498
9,031
15,000
金融機関
33.03%
332
300
個人・
その他
10,000
27.32%
9,467
5,000
当社 0.03%
5.18%
株主数
256,291名
外国法人等
0
’
06
’
07
’
08
’
09
’
10
年度
0
29.50%
’
06
海外
’
07
’
08
’
09
’
10
年度
国内
Takeda Annual Report 2011
5
ステークホルダーの皆さまへ
230 年の歴史を受け継ぎ、
持続的な成長を確かなものとするために、
「新たなタケダへの変革」を加速します。
6
2011 年 3 月に発生した東日本大震災により被災
いきます。さらに、日米欧 3 極に加え、新規進出国・新
された皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。この
興国を中心に積極的な投資を行い、さらなるグロー
たびの経験が人々に与えた痛みの大きさと悲しみの
バル化を加速し、持続的な成長を確実なものとして
深さを目の当たりにし、タケダは「いのち」に携わる
いきます。
企業としての責任を改めて痛感しました。長い道のり
その具体的な取り組みとして、本年 5 月には、欧州
になると思いますが、被災地の復興を継続的に支援
と、成長著しい新興国に確固とした事業基盤を持つ
していくとともに、医薬品の安定供給に資する危機
「ナイコメッド社」の買収について合意をしました。
管理体制の構築に一層努めてまいります。
ナイコメッド社の統合により、日本・米国などのタケダ
さて、タケダは昨 年 、主 力 製 品 の 特 許 期 間 満 了
が強固なプレゼンスを有するエリア以外の地域に
などによって 厳しい 局 面 を 迎 える状 況 を 直 視し、
おける事業基盤が飛躍的に向上し、販売力と開発力を
「革新への挑戦( Innovation )
」と「活力ある企業
大幅に強化することが可能になります。両社は相互に
風 土 の創造( Culture )」を通じて「持続的な成長
補完関係にあるだけでなく、これまでタケダが取り
( Growth )
」を成し遂げるという新たな経営方針の
組んできたグローバル化とダイバーシティの推進を
もと、
「 10-12 中期計画」をスタートしました。初年度
一気に進展させることができる、まさにベストのパー
の 2010 年度には、研究開発活動については、グロ
トナーであると考えています。
ーバル研究体制の中核となる湘南研究所の竣工に
タケダは、今年、創業 230 周年という節目の年を
加え、研究開発の生産性向上に向けた取り組みを進
迎えました。その長い歴史は、決して平坦なものでは
めるとともに、パイプラインの強化に注力してきまし
ありませんでしたが、私たちは、いかなる状況におい
た。販売活動については、日本において多数の新製
ても、患者さんが待ち望むくすりを創り出し、お届け
品を上市し、国内 No.1 を堅持するとともに、米国に
するという使命を果たしてきました。厳しい事業環境
おいては、効率的な販売体制への移行を進め、新製
を乗り越えようとしている今こそ、
「 新たなタケダへ
品の市場浸透に注力しました。
の変革」を加速し、連綿と受け継いできた経営哲学
このような成果と環境変化を踏まえて、本年度策
「タケダイズム(誠実=公正・正直・不屈)」の精神をい
定した「 11-13 中期計画」に基づき、引き続き変革を
かんなく発揮して、世界中の人々の健康と医療の未
進めています。
「 11-13 中期計画」では、画期的な新
来に貢献していくとの決意を新たにしています。
薬の創出と治療パラダイムの転換に挑戦するととも
試練の先には確かな未来があることを信じて、
これ
に、大型成熟品を中心とした製品構成から、新製品を
からもタケダはあらゆる叡智を結集し、全てのステー
中心とした多様な製品ラインアップへシフトさせて
クホルダーの皆さまとともに力強く歩んでいきます。
Takeda Annual Report 2011
代表取締役 社長 長谷川
President & CEO
閑史
Yasuchika Hasegawa
Takeda Annual Report 2011
7
社長インタビュー
過去の成功体験と決別し、
新たな成功に向けて
全てを変革していく覚悟で、
グローバルな取り組みを
進めています。
代表取締役 社長
業績概観
8
Q1
A1
長谷川閑史
「新たなタケダへの変革」をスタートした
2010年度の業績と成果について説明してください。
新製品の寄与などにより業績目標を達成し、
さらなる成長に向けて、さまざまな取り組みを推進しました。
「 10-12 中期計画」の初年度となった 2010 年度の
したことに加えて、日本市場においては 2 型糖尿病治
売上高は14,194 億円(対前年 3.2% 減)、
うち、医療用
療剤「ネシーナ(一般名:アログリプチン安息香酸塩)」、
医薬品事業の売上高は12,674 億円(対前年 3.8% 減)
高血圧症治療剤「ユニシア配合剤」、抗癌剤「ベクティ
となりました。これは主に、米国で特許期間が満了した
ビックス(一般名:パニツムマブ)」をはじめとした多数
消化性潰瘍治療剤「プレバシド(一般名:ランソプラゾー
の新製品の寄与等により、売上高は業績目標を上回り
ル)」の大幅減収や、前年と比べて為替レートが対ドル、
ました。また、
この結果、利益面でも、為替のマイナス影
対ユーロとも円高となった影響などによるものです。利
響を吸収し、営業利益、当期純利益ともに業績目標を
益面では、販売費および一般管理費が円高による影響
達成しました。
などで減少する一方で、減収により売上総利益が減少し
2010 年度については、
「 過去の成功体験と決別し、
たことにより、営業利益は 3,671 億円(対前年 12.6%
新たなタケダへ成長する変革期」という位置付けのも
減)、当期純利益は、2,479 億円(対前年 16.8% 減)
と、
と、経営方針である「革新への挑戦」、
「 活力ある企業風
ともに減益となりました。
土の創造」、
「持続的な成長」を実現するための取り組
なお、業績目標との比較では、米国市場において、2
みを着実に進めてきました。
型糖尿病治療剤「アクトス(一般名:ピオグリタゾン塩酸
「革新への挑戦」においては、2011 年 2 月にグロー
塩)
」、多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド(一般名:ボルテ
バル研究体制の中核となる湘南研究所が竣工したこと
ゾミブ)
」や、2009 年に発売した逆流性食道炎治療剤
に加え、中 枢 神 経 疾 患 領 域を中 心とした共 同 研 究に
「デクスラント
(一般名:デクスランソプラゾール)
」および
積極的に取り組むなど、オープン・イノベーションを推進
痛風・高尿酸血症治療剤「ユーロリック(一般名:フェブ
しました。また、経営幹部の業務執行会議に、研究開発
キソスタット)
」といった既存の主力製品が順調に推移
に関 する意 思 決 定 を 行う部 会 を 新 たに設 けました 。
Takeda Annual Report 2011
さらに 、疾 患 領 域 研 究 を 担う創 薬 ユ ニット( D r u g
の効率性を高めることで新製品を着実に浸透させるとと
Discovery Unit:DDU )を立ち上げ、権限の委譲と意思
もに収益性の改善にも努めました。また、インドにおける
決定プロセスの迅速化・透明化に努め、研究開発生産性
進 出 基 本 計 画 の 策 定 や 、天 津 武 田 薬 品 有 限 公 司 の
向上に取り組みました。
100% 子会社化や持株会社の設立などをはじめとした
「活力ある企業風土の創造」については、組織・国境の
中国での事業基盤の整備、また韓国での自社販売拠点
枠組みを越えたオープンで活発なコミュニケーションの
の構築など、著しい成長を遂げている新興国や新規進
推進と協力体制の構築に努めました。
出国における成長戦略を推進しました。
「持続的な成長」については、日本において数多くの
タケダでは、
これらの成果と環境変化を踏まえて策定
新製品を上市するとともに、米国では、武田ファーマシュー
した「 11-13 中期計画」に基づき、
「新たなタケダへの
ティカルズ・ノースアメリカ株式会社( TPNA 社)
における
変革」を加速させています。
人員削減など、販売体制の見直しを行い、
プロモーション
11-13
中期計画
Q2
A2
「11-13中期計画」の具体的な内容について
教えてください。
2010年度の成果を踏まえて、経営方針に基づく戦略を実行し、
「新たなタケダへの変革」を大きく前進させます。
「11-13中期計画」では、
「10-12中期計画」で掲げた
期開発品の確実な承認取得につなげていきます。
経営方針である「革新への挑戦」、
「活力ある企業風土の
また、研究開発生産性の向上は、引き続き重要課題と
創造」、
「 持続的な成長」に基づく基本戦略を継続して実
認識しています。2011 年 4 月には、医薬研究本部の組
施していきます。
「新たなタケダへの変革」に向けたアク
織を改変し、疾患領域研究を担う組織( DDU )にリソー
ションをさらに加速する、具体的戦略のポイントは以下の
ス活用の責任と権限を一元化しました。これにより、疾
通りです。
病領域単位での機動的な研究活動を進め、競争力のあ
る初期課題を充実させていきます。また今後は、湘南研
1.革新への挑戦(Innovation)
究所をグローバル研究拠点としてフル活用し、オープン・
タケダは、アンメットメディカルニーズ(いまだ有効な
イノベーションを推進します。
治療方法がなく、満たされていない医療ニーズ)が高く、
より大きな成長が見込まれる領域にフォーカスする考え
2.活力ある企業風土の創造(Culture)
方に基づき、疾病予防と根本治療に貢献する画期的な新
「 Innovation 」を実現するためには、それに挑戦する
薬の創出と、治療パラダイムの転換に挑戦します。重点
人材と企業風土の醸成が必要です。グローバルに活躍
疾 患 領 域につ い ては 、従 来 の「 代 謝 性 疾 患( 糖 尿 病・
できる人材を獲得・育成するとともに、日本にある本社
肥満)
」、
「 癌」、
「 中枢神経疾患」に加え、新たに関節リウ
の人材のグローバル化を推進し、従業員が多様性の中
マチ、潰瘍性大腸炎などの「免疫・炎症性疾患」にも経
で活き活きと働ける職場環境を創っていきます。
営資源を投下していきます。
同時に、
グローバルレベルでコンプライアンスの徹底
成長の源泉であるパイプラインについては、競争力の
を図るとともに、CSR 活動や環境経営への取り組みに
ある開発品に経営資源を集中投下するとともに、各国規
注力し、社会的責任を果たす企業として努力を続けて
制当局の動向を的確に捉え、適切に対応することで、後
いきます。
Takeda Annual Report 2011
9
社長インタビュー
11-13
中期計画の
業績見通し
3.持続的な成長(Growth)
米国市場では、
プロモーションの効率性を高めながら、
タケダは、重点領域を中心に新たな事業機会への積極
高血圧症治療剤「イダービ(一般名:アジルサルタン メドキ
的投資を継続的に実施するとともに、大型成熟品を中心
ソミル)
」など新製品を着実に市場浸透させ、成長ステージ
とした製品構成から、多様な製品ラインアップへとシフト
にある「ユーロリック」、
「デクスラント」、
「ベルケイド」など
を進め、売上最大化を図る施策を展開していきます。
の製品の売上最大化を追求します。アジア市場について
日本市場では、2 型糖尿病治療剤「ネシーナ」を伸長
は、中国におけるプレゼンスの拡大が喫緊の課題と捉えて
させ、早期に糖尿病関連の治療薬全体で売上高 1,000
おり、積極的な投資を行うことで、急成長を可能とする
億円を達成します。また、癌、中枢神経疾患、免疫・炎症
体 制 構 築を加 速します。また 、欧 州 および 成 長 著しい
性疾患領域についても、新製品の販売を通じて製品ラ
新 興国においてはナイコメッド社の基盤をフルに活用
インアップを充実・強化していきます。
してグローバル化を大幅に加速します。
Q3
A3
2011年度の業績の見通しと、
「 11-13中期計画」の
業績目標について聞かせてください。
新製品などの売上が伸長し、増収を牽引します。
また、ナイコメッド社との統合が、当社の成長戦略および業績に
大きく貢献することを期待しています。
2011 年度の業績については、2011 年 5 月11日の
などの売上が伸長することにより、米国における「プレバ
「 11-13 中期計画」公表時の見通しである、売上高 1 兆
シド」の減収を吸収し、前年から増収となると考えてい
4,500億円(対前年2.2%増)、営業利益3,900億円(対
ます。営業利益・当期純利益については、経費が前年並
前年6.2%増)、経常利益3,950億円(対前年6.3%増)、
みで推移すると見込んでいるなか、増収による売上総
当期純利益2,500億円(対前年0.9%増)
に、ナイコメッド
利益の増加により、前年から増益となる見通しです。
社との統合効果が上乗せされることになります。
2013年度までの業績見通しは、下の表に示した通りと
この統合による業績貢献を除いた見通しについては、
なっています。ナイコメッド社の買収による「11-13中期
売上高は、日本での「ネシーナ」、
「ベクティビックス」、
計画」の業績に与える影響および業績予想の修正は、買
不眠症治療剤「ロゼレム(一般名:ラメルテオン)」などの
収に伴う会計処理が確定次第お知らせしますが、ナイコ
新製品や、米国での「アクトス」
「デクスラント」
「ユーロ
メッド社の統合による事業基盤の強化と当社の業績への
リック」
「ベルケイド」に加えて、新製品である「イダービ」
貢献により、中長期での確実な成長を実現していきます。
「11-13中期計画」の業績見通し
(億円)
2010年度(実績)
2011年度
2012年度
2013年度
14,194
14,500
13,200
12,600
研究開発費
2,889
3,000
2,900
2,900
営業利益
3,671
3,900
2,700
2,400
当期純利益
2,479
2,500
2,000
1,600
EPS(円)
314
317
253
203
EPS(円)特別利益・特殊要因除き
374
361
266
234
売上高
(注)為替の前提は1米ドル=85円、1ユーロ=120円
10
Takeda Annual Report 2011
Innovation
革新への挑戦
最先端の科学と医学における革新に果敢に挑戦し、優れた医薬品を研究・
開発し、医療と患者さんのニーズに応えます。
1.
2.
3.
Culture
重点疾患領域へのリソース集中
競争力のあるパイプラインの構築と確実な承認取得
研究開発生産性の向上
社会の一員として、従業員がお互いを認め合い、協力し合い、タイムリー
Growth
グローバルタレントの獲得・育成
組織の活性化
良き企業市民としての地位向上
関連情報
P.20 特集2:サステナブルな組織に向けて
P.67 タケダのCSR活動
P.99 コーポレート・ガバナンス
持続的な成長
重点疾患領域を中心に、優れた医薬品の提供を通じて、持続的な企業価
値向上を目指します。
1.
2.
3.
P.14 特集1:タケダが目指すイノベーションとは
P.37 研究開発戦略
P.40 研究開発トピックス
活力ある企業風土の創造
な意思決定を行なうことによって、活力ある企業風土を創ります。
1.
2.
3.
関連情報
関連情報
P.24 特集3:グローバルでのさらなる成長に向けて
P.50 タケダの主力製品
P.52 マーケティング 業績概況
製品の売上最大化
積極的投資の実施
進出地域の拡大と新規進出国・新興国市場での成長
ナイコメッド社 統合後の売上高見通し
(億円)
18,000
ナイコメッド社統合後の新たな売上高見通し
16,000
11-13中期計画における売上高見通し
14,000
12,000
0
2011
2012
2013
2014
2015
(年度)
(注1)ナイコメッド社の米国皮膚科事業は除いている
(買収対象外のため)
(注2)4-3月ベース
(注3)2011年度の連結売上高は、ナイコメッド社の同売上高の6ヵ月分(買収完了時期は2011年9月末を想定)
を計上している
(ただし、計上対象期間は買収完了時期により変動する)
Takeda Annual Report 2011
11
社長インタビュー
ナイコメッド社
買収について
Q4
A4
ナイコメッド社の買収の目的について
説明してください。
中長期での持続的成長に向けて事業基盤を強化するとともに、
グローバルでのさらなる成長を加速させるものです。
ナイコメッド社の買収は、
「11-13中期計画」の戦略と
獲得することによって、力強い成長の実現が期待でき
して掲げている「進出地域の拡大と新規進出国・新興国
ます。また、買収直後から売上高に寄与し、タケダの業績
市場での成長」を大きく加速させるものです。主たる目
に貢献するとともに、直近および将来にわたり安定的な
的は、中長期での持続的成長に向けて事業基盤を強化
キャッシュフローをもたらします。さらに、多様な文化的
することにあります。
背景を有するナイコメッド社の有能な人材が加わること
本買収により、ナイコメッド社が幅広い事業基盤を有
で、
タケダの企業文化の変革が促進できます。
する欧州全域および成長著しい新興国市場において、
ナイコメッド社の統合を通じて、
「新たなタケダへの
タケダのプレゼンスが飛躍的に増し販売力が強化される
変革」
とグローバルでのさらなる成長に邁進します。
とともに、規制当局への対応力など同地域での開発に関
関連情報
する専門性が高まることで、タケダの製品・パイプライン
P.24 特集3:グローバルでのさらなる成長に向けて
の価値最大化が可能となります。さらにはファーストイン
クラスの慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤「Daxas」を
株主還 元
Q5
A5
株主への利益還元について、
2010年度の実績と今後の方針を説明してください。
「11-13中期計画」期間における配当については、
現状の水準を維持することを基本方針としています。
2010 年度の連結配当性向は 57.3% 、1 株当たり配
実現に向けた研究への投資、および借入金の返済を優
当金は180 円といたしました。当社は、事業の着実な成
先し、配当金については「 11-13 中期計画」の基本方針
長と企業価値の最大化に向け、新たな成長軌道の確保
通り進めてまいります。
のために必要となる戦略的投資を今後も実施していき
ます。
「 11-13 中期計画」期間中の利益配分について
は、
「安定的な配当」を行うという観点から、1 株当たり
1株当たり配当金
(円)
200
180
配当金について年間 180 円を維持することを基本方針
とさせていただきます。
100
なお、ナイコメッド社の買収によってキャッシュフロー
の増加を予測していますが、当面は持続的成長の実現
に必要となるパイプラインの強化とイノベーションの
12
Takeda Annual Report 2011
0
’
07 ’
08 ’
09 ’
10 ’
11 ’
12 ’
13
(見込み)
年度
CSR
(企業の
社会的責任)
Q6
A6
タケダの CSR活動についての考え方と、
具体的な取り組みについて教えてください。
経営方針に基づく活動に「良き企業市民としての地位向上」を組み込み、
グローバル社会の要請に応えるCSR活動を推進しています。
タケダは、今年で創業 230 周年を迎えました。その
理念の実践と普及をリードする活動を推進します。
長 い 歴 史 の なかで培われた経 営 哲 学「タケダイズム
今後も、社会的責任に関する国際規格「ISO26000」
(誠実=公正・正直・不屈)
」に基づき、
「優れた医薬品の創
をはじめとするCSRに関するガイドラインを指針とし
出」を実現していくことが、タケダが果たすべき社会的
て、グローバル製薬企業に相応しい CSR 活動を推進い
責任の基本であると考えています。また、事業のグロー
たします。これらの取り組みについては、CSR 活動など
バル化に伴い、企業市民としての視点がこれまで以上に
の非財務情報を取り入れた「統合レポート」である、
この
重要になると認識しており、経営方針の「活力ある企業
アニュアルレポートなどを通して、ステークホルダーの
風土の創造( Culture )
」に、
「良き企業市民としての地
皆さまに誠実に開示してまいります。
位向上」を明記し、さまざまな取り組みを進めています。
タケダは、2009 年 3 月に国連グローバル・コンパクト
タケダは、
「 11-13 中期計画」に基づいた戦略を果敢
に参加し、
「 人権」
「労働」
「環境」
「腐敗防止」から構成さ
に実行し、
「 優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と
れる 10 原 則 の 支 持を表 明しましたが、この 理 念を実
医療の未来に貢献する」という経営理念の実現を目指し
践する活動の一つとして、2010 年 3 月に、
「世界エイ
ていきます。引き続き、ご理解ご鞭撻を賜りますよう、
ズ・結核・マラリア対策基金」を通じて10 年間にわたりア
お願い申し上げます。
フリカの保健医療アクセスを支援する寄付プログラム
「タケダ・イニシアティブ」を立ち上げました。また、2010
年 11 月には、ソウル G20 ビジネスサミットにおいて、
ワーキンググループの共同議長を務め、発展途上国の
関連情報
P.34 タケダ230年の歩み
P.67 タケダのCSR活動
ヘルスケアへのアクセス向上に関する提言書を公表し
ています。
そして、2011年1月には、国連グローバル・コンパクト
で新たに立ち上げられた「 LEADプログラム」のメンバー
となりました。LEADプログラムには、約 50 社のグロー
バル企業が参加しており、国連グローバル・コンパクトの
代表取締役 社長
13
特集1:タケダが目指すイノベーションとは
画期的な新薬の創出に向けて「革新への挑戦」を加速する、
タケダのビジョンについてお話しします。
「いのち」
タケダは、230 年におよぶ歴史のなかで、
しかし、医薬品業界全体が技術革新の壁に直面する
に携わる企業として、強い使命感と高い倫理観を培っ
なか、タケダは、それをどのように乗り越えて、画期的な
てきました。これからも、経 営 理 念として 掲げて いる
新薬を生み出そうとしているのか ー
「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未
ステークホルダーの皆さんから寄せられているその
来に貢献する」ことこそが私たちの目指すべき方向性
ような声にお応えするため、研究開発統括職 大川 滋紀、
であり、企業価値を最大化していく唯一の道であると
癌領域の中核を担うミレニアム社 社長デボラ・ダンサイア
考えています。
「 11-13 中期計画」においても、
「革新
とメディカル&サイエンティフィック アドバイザー の
へ の 挑 戦( I n n o v a t i o n )」を 基 本 戦 略 の 柱と位 置
山田 忠孝が「タケダが目指すイノベーション」について
付けています。
ビジョンを語り合いました。
ミレニアム社 社長兼CEO
14
メディカル&サイエンティフィック アドバイザー
研究開発 統括職
デボラ・ダンサイア
山田 忠孝
大川 滋紀
Dr. Deborah Dunsire
Dr. Tadataka Yamada
Dr. Shigenori Ohkawa
研究開発統括職
ミレニアム社 社長兼 CEO
大川 滋紀 × デボラ・ダンサイア
× 山田 忠孝
対談
メディカル&サイエンティフィック アドバイザー
山田 タケダはイノベーションを、どのように捉えるべ
と呼べるようになります。
きでしょうか。イノベーションを定義するにあたって、製
ダンサイア 私は、
イノベーションは多様なものだと思い
薬会社の役割をどう考えますか。
ます。それは、患者さんに貢献する医薬品事業の、あらゆ
大川 新薬の研究開発を行う製薬会社にとって最も大
る領域で起こりうるものです。革新的と呼ばれるようなイ
切なのは、イノベーションです。そして私たちが追求す
ノベーションは、
まったく新しい治療法を生み出します。例
べきは、
「 誰のためのイノベーションか」ということです。
えば、当社の多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド
(一般名:ボ
いうまでもなく、それは患者さんのためです。加えて、
ルテゾミブ)」は、最初に開発されたプロテアソーム阻害
特定の疾患の発症を予防する薬までを考慮するなら、
剤ですが、細胞内に存在する酵素の働きを抑え、不要なタ
その疾患に対して高いリスクを持つ人々も含まれます。
ンパク質の分解を阻害させることによって、癌細胞を死
新たな発見やアイデアを「くすり」あるいは「治療法」と
滅させるという、新しいコンセプトを持つ医薬品です。また、
いう形に結実させてこそ、その成果をイノベーション
期待以上の効果をもたらす漸進的なイノベーション
誰のためのイノベーションか? その答えは、もちろん患者さんです。
“ The answer is always for the patient.”
Dr. Shigenori Ohkawa
もあります。私たちは患者さんのために、今までとは異
ンシャルを秘めたアイデアを常に見極めていく力、いわ
なる方法、
より良い方法を常に追求すべきだと思います。 ゆる「目利き」の力が必要であると考えます。
山田 イノベーションは、基礎的なサイエンスだけに限
ダンサイア イノベーションを育むのに必要なのは、新
らず、
プロセス開発においても重要な意味を持つもので
しいアイデアに対してオープンで、
リスクをとることが許
す。実際それは、医薬品の研究開発および製造の全ての
される企業文化です。また、外部にも常に目を向け、自
プロセスが、患者さんへの利益に非常に大きな影響を
分が取り組んでいる仕事の枠を超えることも重要です。
与えています。
そういった姿勢が、新しいアイデアの創造につながって
それでは、イノベーションを育む方法についてはどう
いくのだと思います。
でしょうか。
大川 まずは、イノベーションの原石となるアイデアに
「ベルケイド」の分子モデル
どれだけ敏感になれるか、そしてその原石をどれだけ
多く集めることができるかが重要です。また、高いポテ
Innovation
革新への挑戦
Takeda Annual Report 2011
15
特集1:タケダが目指すイノベーションとは
Innovation
革新への挑戦
真のイノベーションは、予期もしないところから生まれます。
innovation comes from
“ True
the most unexpected places.
”
Dr. Tadataka Yamada
山田 一人ひとりに決定権を持たせ、かつ、たとえ異なる
意見であってもそれを自由に言える文化も重要ではな
いでしょうか。一般に組織は画一化する傾向があります
が、そういった姿勢はイノベーションとは相容れないもの
です。官僚主義に陥らず、それぞれに決定権を持たせる
ことが重要です。組織運営において協調性が重視されが
ちですが、そのような心地良い状態は、一方でイノベー
ションには結びつきにくいのです。
DNAの分子モデル
大川 その通りです。タケダは、研究者が斬新なアイデ
アの実践に取り組んでいけるよう、あらゆる研究リソース
を用意しています。湘南研究所に「インキュベーションラ
大川 つまり、我々シニア・マネジメントには、若い研究者
ボ」を設置するなど、社内外との連携や交流を促進し、癌
が斬新なアイデアにチャレンジすることを奨励するよう
や中枢神経疾患などアンメットメディカルニーズ(いまだ
な環境づくりが求められているのですね。
有効な治療方法がなく、満たされていない医療ニーズ)
山田 私は、製薬会社におけるイノベーターの醍醐味
の高い領域において抗体医薬、核酸医薬、再生医療など
は、何百万人もの人々の「いのち」に関わるくすりを開発
の技術をさらに追究し、医療の先端を切り拓く画期的な
することにあると思います。製薬業界のほとんどの人間
新薬の創出に役立てていきます。
は、そのために、
この業界に入ってきたのですから。
山田 私は、研究者が「自分たちは優秀で、創薬ターゲッ
ダンサイア 人類の健康は、新薬を創り出す研究に人生
トを特定し、新薬を創る方法は分かっている」と過信する
を捧げた人々によって、変革がもたらされました。タケダ
傾向になることを少し憂慮します。思わぬ発見をする
は、まさにそのことを追求しているのです。世界中のタケダ
能力や、チャンスをとらえる才能の大切さを忘れてはな
の従業員が、医療現場や研究所において、私たちのくす
りません。フレミングによるペニシリンの発見が良い例で
りがどのように人々の健康を変革していくのかを常に考
すが、それはチャンスを見逃さないように準備していた
えています。
からこそ成し遂げられたのです。謙虚さは、
イノベーション
山田 医薬品研究の醍醐味は、新薬を創る力を発揮する
において大切な要素だと思います。全ての答えを知って
ことにありますが、そのためには、十分な研究リソースを
いる、という考えは捨て去るべきです。なぜなら、真の
提供することが不可欠です。
イノベーションは予期もしないところから生まれるもの
ですから。
タケダは、癌領域のテーラーメイド医療における先駆者になれると思います。
“
We are well poised to become
a leader in the personalization of
cancer therapy.
Dr. Deborah Dunsire
16
Takeda Annual Report 2011
”
大川 そうですね。チャンスに対しては、常に準備して
を突き止めることができれば、それに対応した治療が可能
おかねばなりません。それと同時に、チャンスが出てきた
となります。私は、タケダが癌領域のテーラーメイド医療
ときに、それを逃さず確実にとらえて創薬につなげていく
における先駆者になれると考えています。
ことができる環境づくりが必要です。こうしたプロセスを
山田 私は、
これからの10年で、
タケダが革新的な企業
繰り返し行えるような環境の構築が大切だと思います。
であるという評価を確立していきたいと思います。斬新
山田 タケダは、そのようなイノベーションにフォーカス
なアイデアを追求し、従業員やビジネスパートナー、導
した環境整備を進めていますね。研究者たちの創造力を
入・アライアンスの提携先、規制当局、医療関係者などと
活かしていくことが重要だと思います。
の間の創造的な関係を築くことー 端的に言えば、製
さて、タケダはこれからの 10 年に向けて、
どのような
薬会社が社会全体とつながる道筋を切り拓きたいとい
イノベーションを実現できるでしょうか。
うことです。多くのイノベーションが偶然の産物として
大川 究極のゴールは「疾患予防薬」の開発です。この
創造されます。しかし、イノベーションを核とした、社内・
実現のためには、バイオマーカーやゲノム薬理的なアプ
社外の研究者同士が切磋琢磨する環境をつくりあげれ
ローチが必要不可欠です。ですから、
タケダにとって最も
ば、そのような偶然を見逃さず、育んでいくことができ
重要な取り組みの一つとして、
トランスレーショナルメデ
ると、私は考えています。
※
ィスン研究 を積極的に進めています。
ダンサイア タケダはこれからの10年で、癌の個別化医
※非臨床と臨床試験をスムーズにつなぐために、最新の知見を直接的に臨床開発に
利用し、治療に結び付けようとする取組み
関連情報
療を大きく進展させることができるようになると思います。
生物学の進化によって、ある癌における突然変異の原因
P.37 研究開発戦略
P.40 研究開発トピックス
P.43 中枢神経疾患領域のオープン・イノベーション
チャンスに対して、常に準備しておかねばなりません。
“We always have to be ready for unexpected opportunities.”
Dr. Shigenori Ohkawa
Takeda Annual Report 2011
17
特集1:タケダが目指すイノベーションとは
2011 年 2 月、タケダのグローバル研究体制の
中核を担う拠 点が湘 南 の 地に誕生。
湘南研究所
湘南研究所(神奈川県藤沢市・鎌倉市)は、大阪十三
研究所とつくば研究所を統合し、創薬イノベーションを
加速するグローバル研究拠点として誕生しました。約
1,200 名の研究者が結集し、研究開発プロセスの初期
である創薬ターゲットの探索から候補化合物選定まで
の研究に取り組みます。
最先端の機器を備えた研究環境を整備するとともに、
人材を集めることで、外部研究機関との精緻なネット
同一部門間の連携が図りやすいように研究実験棟を機能
ワークづくりを進めていきます。
的にレイアウトしています。また、
メイン通路に沿って会議
※
室や「ノマド」
と名付けた多目的室を多く配置し、組織に
※「ノマド」
とは、英語で「遊牧民」を意味する言葉。一般に、場所にしばられずに自由に働く
ワークスタイルを表すキーワードとしても使われています。
とらわれない自由なコミュニケーションと、知の融合を促
進します。離れた地域とのコミュニケーションを実現する
研究者の心身の健康管理にも配慮
等身大テレビ会議システムも導入しています。
研究所内で身近に自然を感じられ、自由な発想を促す
タケダでは、湘南研究所をグローバルリサーチハブ
リフレッシュ環境を整備しています。また、社内産業医・健
としてフル活用しながら、オープン・イノベーションを推
康管理スタッフが常駐するクリニックを開設しており、研
進します。2011 年秋をめどに、社外との共同研究施設
究者の心身の健康管理をサポートします。さらに小さな
として「インキュベーションラボ」を設けて、バイオベン
子どもを持つ研究者が安心して研究に打ち込めるよう
チャーやアカデミアなどから同じ創薬マインドを持つ
に保育施設を敷地内に設けるなど、ワーク・ライフ・バラ
ンスを推進しています。
環境保全・安全対策について
湘南研究所は、
「 森の中の研究所」をコンセプトに、水
辺や森林の保全に配慮した設計計画としました。パッシ
ブ建築の手法を使って建物を分棟化することによって、
自然の光・風・緑・眺望などを取り込んでいます。省 CO 2
を図る先 進 技 術もさま
ざ ま に 採 用し て お り 、
「国土交通省 平成 21 年
度第 1 回住宅・建築物省
CO 2 推 進 モデ ル事 業 」
に選定されています。
Innovation
革新への挑戦
18
Takeda Annual Report 2011
建設にあたっては、神奈川県の条例に基づいた環境ア
湘南研究所の概要
セスメントを実施しており、人の健康と環境に優しい設計
●住所:神奈川県藤沢市村岡東 2 丁目 26 番地 1
を心がけました。地震対策については、最新の耐震技術を
●敷地面積:約 250,000m 2
駆使しており、基礎部分に震動を絶縁する積層ゴム等を取
り入れて地震時の揺れを低減する構造となっています。
●建物面積:約 72,000m 2
●竣工年月:2011 年 2 月
●総工費:約 1,470 億円
「湘南研究所」の詳しい情報は、ホームページで公開しています。
http://www.takeda.co.jp/shonan/index.html
巨大地震に備える免震構造を採用
免震装置
Takeda Annual Report 2011
19
特集 2:サステナブルな組織に向けて
230年のくすりづくりの歴史を受け継ぎ、
グローバル製薬企業として、さらに成長を続けるために
「活力ある企業風土の創造」を進めていきます。
20
タケダは、
「 優れた医薬品の創出を通じて人々の健康
企 業 風 土 の 創 造( Culture )」が 必 要となりますが 、
と医療の未来に貢献する」という経営理念を実現する
ダイバーシティの推進は最も重要な経営課題の一つと
ために、グローバル人材の育成を加速させるとともに、
して捉えています。
従業員が活き活きと働き成長できる環境や、画期的な
タケダは「良き企業市民」という視点もまた、サステナ
新薬の創生に果敢に取り組む企業風土づくりなどを通
ブルな組織にとって重要な意味を持つと考えています。
じて、サステナブルな組織の構築を進めていきます。
ガバナンスを強化し、グループ全体でコンプライアンス
「 11-13 中期計画」において、新たなタケダへと変革
の徹底を図るとともに、国際社会の要請に応えるCSR
していくための戦略目標として掲げている「革新への
活動を推進し、
「いのち」に携わる企業としての 230 年
挑戦( Innovation )」を実現するためには、
「活力ある
におよぶ歴史を未来へと受け継いでいきます。
Takeda Annual Report 2011
ダイバーシティの推進
多様性に富んだ組織では、多角的視点からの判断が可
能となり、新しい発想・アイデアが創出されます。タケダで
は、急速に変化するグローバルな事業環境において、多様
性は大きな価値となると認識し、取締役会や業務執行
会議を外国人を含む多様性に富んだメンバーで構成し、
Women’
s Leadership Exchange Breakfast
(左から1人目)
ミレニアム社社長 兼 CEO デボラ・ダンサイア( Dr. Deborah Dunsire)
(左から3人目)医薬開発本部長 ナンシー・ジョセフ=リッジ( Dr. Nancy Joseph-Ridge)
多角的視点を経営判断に反映する体制を強化しています。
2010 年度からは、
ダイバーシティを行動原則の一つ
としています。年齢、性別、国籍、人種や障がいの有無な
ど異なる背景がもたらす多様性を互いに理解・尊重する
ことにより、創 造 的な思 考を生む企 業 風 土を醸 成し、
新しい価値観を経営に反映させていきます。
日本における取り組み
日本においては、人事部に専任組織を設置し、
「グロー
バルに活躍する人材の獲得・育成」、
「女性のキャリア育成
の支援」、
「 障がい者の活躍の場の拡大」、
「 仕事と個人
生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の支援」を中心
に、全社的な取り組みを進めています。
グローバルに活躍する人材の獲得・育成
タケダは、国籍を問わず多様な人材の採用を積極的に
進めるとともに、
グローバルに活躍する人材の育成につ
いても力を注いでいます。グローバルでの事業展開を支
え発展し続けるためには、
さまざまな
“違い”
を超えその違
いを強みとして発揮できる従業員が不可欠となります。
多様な人材を採用するため、米国ボストンでのジョブ
フェアへの参加や、アジア地区では、シンガポールや、
中国(清華大学など)の大学へ独自にキャンパスビジット
を実施しているほか、韓国においても
採用活動を行っています。また、人材育
成においては、
日本と各拠点間での人材
交流を積極的に進めており、グループ
全体で多様性を活かした、グローバル
に通 用する人 材を育 成する仕 組 みを
つくっていきます。
国立シンガポール大学内でのジョブフェア
ダイバーシティ推進の考え方を社内に浸透させるた
め、2010年にはダイバーシティ・ハンドブックを作成し啓
発を進めるとともに、ダイバーシティ推進担当者会議を
開催しました。また、多様な人材の採用・登用を行うダイ
バーシティ・マネジメントを強化し、従業員がより充実感を
持って活き活きと働ける環境づくりを進めています。
また、
「 女性のキャリア育成の支援」として、女性リー
ダー育成を計画的に進めています。取り組みの一例と
して、女性マネジメントと従業員の交流会を開催してい
ます。国 籍や 性 別を超えて活 躍 するための 意 識を高
め、ネットワークを広げることを目的にしたものです。
2010 年度には、ミレニアム社 デボラ・ダンサイア社長、
ナンシー・ジョセフ =リッジ 医薬開発本部長との交流会
および、武田サンフランシスコ株式会社メアリー・ハーク
=フレンショー(Dr. Mary Haak-Frendscho)社長との
交流会を開催し、活発な意見交換を行いました。
Culture
活力ある企業風土の創造
関連情報
P.78 グローバル人材育成
P.81 ワーク・ライフ・バランス
P.81 障がい者の活躍の支援
Takeda Annual Report 2011
21
特集 2:サステナブルな組織に向けて
CSR購買ガイドライン
2010 年 10 月に制定した CSR 購買ガイドラインは、
タケダの事業だけに留まらず、お取引先を含むサプライ
チェーン全体に対するCSR の取り組みの促進を目的と
しています。CSR 購買ガイドラインでは、工場・研究所で
使用する資材を調達する部門が遵守・実践するCSR の
基準を示すとともに、サプライヤーの皆さまに対して
グローバル・ポリシーの整備
も、
ともに取り組んでいただくことをお願いする項目を
タケダは、230 年におよぶ歴 史 のなかで培われた
盛り込んでいます。
「高い倫理観」を何よりも大切にしており、グローバル
製薬企業として成長しながら、
「良き企業市民としての
グローバル「質」保証ポリシー
地位向上」を図り、社会的責任を果たしていくことを自
2008年に制定したグローバル「質」保証ポリシーは、
らの使命と考えています。その思いを揺るぎないもの
リスク管理、危機管理を含む品質保証活動のあり方を
とするために、さらなるグローバル化の進展に向けて、
包括的に示す指針として、
グループ全社による遵守を徹
タケダグループ全体のポリシー整備を中心としたガバ
底しています。
ナンスの強化を進めています。
タケダでは、品質保証監査室を中心として、各国の品
質保証部門との連携を図り、製品ライフサイクル全体に
タケダ・グローバル行動規準
タケダでは 2010 年 12 月に、
グループ全社を対象と
して、コンプライアンスの観点から重要な分野における
わたる品質保証体制を整備しています。また、
リスクマ
ネジメントの強化も推進し、世界的な問題となっている
「偽造医薬品」対策などに積極的に取り組んでいます。
指針を示し、高い倫理観をもって事業運営を進めてい
くためにタケダ・グローバル行動規準を制定しました。
グループ各社は、タケダ・グローバル行動規準を踏まえ
たローカル行動規準を制定することによって、各国の
法令や規制等へ対応し、コンプライアンスの徹底を図
っていきます。
タケダ・グローバル行動規準
具体的な項目
●
●
●
●
●
●
22
Takeda Annual Report 2011
誠実・公正な事業活動
会社の資産・情報の保全
会計記録、会社情報の開示、証券取引
職場において
環境
行動規準の違反の通報
企業市民活動に関する基本ポリシー
2011 年 4 月に制定した企業市民活動に関する基本
ポリシーは、
グローバル製薬企業としてグループ全体で
共有すべき、企業市民活動の位置付けと実践アプロー
チのあり方を定めた基本原則です。タケダでは、ステー
クホルダー側の視点を大切にしながら、
“くすりづくり”
の知見が活かせる「保健医療」分野を中心として、長期
的・継続的な企業市民活動の充実に努めていきます。
関連情報
P.64 品質保証体制
P.72 組織統治
P.88 公正な事業慣行
P.92 コミュニティ参画および発展
P.99 コーポレート・ガバナンス
Culture Interview
活力ある企業風土の創造
Q1
A1
ダイバーシティの推進の成果を、どう評価していますか?
2010 年度より、行動原則の一つとして「多様性」を掲げ、
全社を挙げて、新しい取り組みをスタートしました。
その成果は、着実に上がってきています。
タケダでは、過去数年の間に、ミレニアム社をはじめ
なる人々とのコミュニケーションから多くを学べること
とする新たな企業の統合や、進出地域の拡大によって、
の実感を通して、従業員それぞれの意識は大きく変わり
従業員の多様化が急速に進んでいます。そのような状
つつあると感じています。今後は、組織横断的なさまざ
況を踏まえて、グローバル製薬企業としての強みをさ
まな取り組みを通じて、活発なディスカッションを行い、
ダ
らに高めていくために、経営トップがイニシアティブを
イバーシティの推進に関する課題を共有し、ワーク・ラ
取り、全社的な活動としてダイバーシティの推進に取り
イフ・バランスの向上にも積極的に取り組み、多様性の
組んでいます。
広がりのなかで従業員が活き活きと働ける企業文化・職
多様な文化が共存する職場ではこれまで経験しなか
場環境づくりを進めていきます。
ったさまざまな機会が創出されます。考えや経験が異
Q2
A2
ガバナンスの強化に力を入れている理由は?
230年にわたって培ってきた強い使命感と高い倫理観を、グローバル製薬企業に
相応しい形でしっかりと継承していく体制をつくるためです。
タケダは、
「タケダイズム」をはじめとする経営の基本
精神に基づいて、常に誠実に、
くすりづくりに取り組んで
きました。これからも、強い使命感と高い倫理観をもっ
て、
「優れた医薬品の創出」に挑戦し続けることが、
タケダ
の存在意義だと考えています。グローバル化が急速に進
展するなかで、そのような思いをグループ全体で共有し、
コンプライアンスの徹底を図るために新しい仕組みづく
りが必要であると判断し、
タケダグループのポリシー整備
を中心としたガバナンスの強化に取り組んでいます。
また、ガバナンス強化の一環として、2011 年 6 月に、
医薬品業界に関わる豊富な経験と幅広い知見を備えた
新任取締役 2 名と、社外取締役 2 名が選任されました。
経営に刺激と緊張感をもたらし、さらなる透明性を確
保することで、
「新たなタケダへの変革」が加速される
ものと期待しています。
経営管理統括職
吉田 豊次
Toyoji Yoshida
23
特集 3:グローバルでのさらなる成長に向けて
欧州および新興国に強力な事業基盤を持つ「ナイコメッド社」を統合し、
「持続的な成長」に向けた基本戦略を大きく前進させます。
タケダでは、
「 11-13 中期計画」の基本方針「持続的
さ れ ます。さらに、同 社 が 有 する慢 性 閉 塞 性 肺 疾 患
な成長( Growth )」を実現する戦略の一つとして「進
(COPD)治療剤「 Daxas 」
( 欧州製品名。米国製品名は
出地域の拡大と新規進出国・新興国市場での成長」を
「 Daliresp 」)を獲得します。
掲げています。2011年5月、その戦略を大きく加速させ
ナイコメッド社の統合は、2015 年度以降の中長期
るために、ナイコメッド社の買収について合意しました。
での持続的な成長に向けて、事業基盤を強化すること
2011 年 9 月末を予定している買収完了後は、タケダ
を主たる目的としています。
の欧州・新興国におけるプレゼンスが飛躍的に高まる
この特集では、
「人々の健康と医療の未来」へのさら
ととも に 、同 地 域 で の 開 発 専 門 性 と 販 売 力 が 強 化
なる貢献を果たしていくために、タケダが描いている
され、タケダの 製 品・パイプラインの 価 値 向 上が期 待
新たな成長シナリオについてご説明します。
Norw
wayy
Russ
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24
Takeda Annual Report 2011
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タケダグループに加わるナイコメッド社の強み
ナイコメッド社は、スイスのチューリッヒに本社を置く
非上場企業で、2010 年度の売上高は、戦略的な観点
から買収対象外とした米国皮膚科事業を除き、28 億
3,800 万ユーロ(約 3,200 億円)を計上しています。
欧州の多くの国々に自社販売網を持つとともに、成長
ナイコメッド社 本社(スイス チューリッヒ)
著しい新興国において力強い成長を果たしており、同
地域での売上高は、2010 年度で全売上高の約 40%
ナイコメッド社の事業を牽引しているのは、医療用医
( 1,248 億円)に達し、対前年約 30 %の大幅な成長を
薬品で、売上高の 90 %近くを占めています。また、同
遂げています。
社は、新興国事業の成功に不可欠な、各国の市場環境
や医療ニーズに合った 750 種類にも及ぶ多様な製品
ナイコメッド社の概要 2010年12月期(米国皮膚科事業を除く)
ラインアップ(一般用医薬品( OTC 医薬品)も含む)と
■売上高
規制当局への対応力、および低コスト生産能力を有し
28億3,800万ユーロ
ています。
■EBITDA
7億6,500万ユーロ
地域別売上高
■事業構成
北米
■製品構成
ライセンス収入
(欧州製品名。米国製品名は「 Daliresp」
)
、
「 Daxas」
「パントプラゾール」、
「 Actovegin」、
「TachoSil 」、
「Alvesco」など
「カルシウムD 3」、
製造受託
3%
医療用医薬品87% 、一般用医薬品 13%
3%
7%
アジア太平洋、
中東、
アフリカ
9%
■従業員数
約 11,800人
■成長ドライバー
新興国事業、
「Daxas 」、製品ライフサイクルマネジメント
■設立年
2005年(創業年1874年)
欧州
中南米
中南米
13%
13
%
48%
ロシア/CIS
17%
■本社
スイス チューリッヒ
Growth
持続的な成長
Takeda Annual Report 2011
25
特集 3:グローバルでのさらなる成長に向けて
成長戦略( Growth )に大きく寄与
強力な成長ドライバーとなる
「Daxas」
IMS社の調査結果によると、2005 年から2010 年の
明確な差別化が可能な
過去 5 年間における世界の医薬品市場の成長の約半分
経口投与の慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療剤
は新興国市場から生み出されており、今後 5 年間では、
先進国を大きく上回り7 割にものぼると推測されていま
す。本買収により、タケダは、ロシア、CIS( 独立国家共同
体)、
ブラジルを含め、医薬品市場の成長をリードする新
興国における事業を一気に拡大できます。さらに、欧州
においては、
これまで西欧を中心として事業を展開して
●米国と欧州で販売許可を取得済み
きましたが、ナイコメッド社の統合によって、北欧や東欧
●2011年には多くの新興国で承認取得を見込む
も含めた欧州全域30ヵ国にプレゼンスが拡大され、合計
●多くの新興国において独占的に販売
進出国数は28ヵ国から約 70ヵ国へと広がります。
さらには、同社が有する慢性閉塞性肺疾患( COPD )
治療剤「Daxas」を獲得します。本剤は、COPDの症状の
また、ナイコメッド社の新興国の事業基盤を活用する
急激な悪化を抑制することが明確に示された初めての
ことによって、タケダのパイプラインの価値を最大化す
経口剤で、他社品との差別化が可能な画期的な新薬と
ることが可能となります。すなわち、現在、開発後期段
して、大型化が期待されています。COPDとは、喫煙な
階にある2 型糖尿病治療薬「 SYR-322(一般名:アログ
どが原因となり、長期にわたって息切れ、せき、たんなど
リプチン安息香酸塩)」、
リンパ腫治療薬「 SGN-35 」、
に苦しめられる病気の総称です。新興国では COPD の
非定型抗精神病薬「ラツーダ(一般名:ルラシドン塩酸
患 者 数 は 先 進 国を上 回って いる、という調 査 結 果 も
塩)」などについて、同社の開発基盤を活用し申請・上市
あり、今後、先進国だけでなく新興国においても成長の
を加速するとともに、強力な販売基盤を通じて売上の
ドライバーとなることを期待しています。
最大化を実現します。
ナイコメッド社の買収による経営への貢献
成長戦略( Growth )に大きく寄与
●欧州全域における事業基盤の強化
●世界の医薬品市場の成長を牽引する新興国における事業拡大
●欧州および新興国における開発の専門性や販売力の強化によるタケダの製品・パイプライン
の価値向上
● COPD 治療剤「 Daxas 」
( 欧州製品名)の獲得
買収直後から業績に貢献
●年間売上高を30 %強改善 ※1
●買収に伴う特殊要因 ※2 除きの営業利益を40 %強改善 ※1
●買収に伴う特殊要因 ※2 除きの EPSを30 %強改善 ※1
※1 2011年5月11日に公表した「11-13中期計画」における2013年度の見込みに対する改善率
※2 無形固定資産償却費や一時的な統合費用
グローバルに多様な人材が加わることによる企業文化の変革推進
26
Takeda Annual Report 2011
欧州と新興国市場における販売基盤の強化
医療用医薬品
世界売上高ランキング
12位
16位
タケダがプレゼンスを確立している国
両社が同等のプレゼンスを確立している国
ナイコメッド社がプレゼンスを確立している国
統合直後から業績に貢献
ナイコメッド社の統合により、
タケダの医療用医薬品の
新興国市場におけるプレゼンス強化
(億円)
2,000
2010年売上高
1,426億円
世界売上高ランキングは16 位から12 位に浮上します。
新興国におけるタケダの売上高( 2010 年)は、単純合
1,000
1,248
算で 178 億円から1,426 億円に大きく飛躍すること
になります。また、欧州においては、ナイコメッド社の売
上高1,563億円(2010年)が加わることにより、
タケダ
0
の欧州における売上高は2 倍以上に拡大します。
178
178
タケダ
タケダ+ナイコメッド社
欧州市場におけるプレゼンス強化
(億円)
4,000
Growth
持続的な成長
2010年売上高
2,692億円
2,000
1,563
1,129
1,129
タケダ
タケダ+ナイコメッド社
0
Takeda Annual Report 2011
27
特集 3:グローバルでのさらなる成長に向けて
グローバル人材の「多様性」の強化
武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社
アジア・新興国
アジア・
新興国
日本
前 CEO の本田信司がチーフ・インテグレーション・オフィ
サーに就任しました。
欧州
ナイコメッド社 の 従 業 員には、チャレンジ精 神 あふ
日本
欧州
北米
北米
れる
“ Can Do ”
の企業文化が根づいており、欧州および
新興国におけるこれまでの成功を支える基盤となって
います。
“ Can Do ”
の企業文化は、タケダイズム(誠実=
タケダの従業員構成
( 2010年度)
タケダ+ナイコメッド社の従業員構成
( 2010年度のデータに基づく)
公正・正直・不屈)
に通じるものがあり、タケダではナイコ
メッド社の企業文化の強みを活かして、真にグローバル
な組織をつくり上げていきます。
グローバルに多様な人材が
加わることによる企業文化の変革推進
ナイコメッド社の人材・企業文化面での強み
ナイコメッド社の統合によってタケダグループの地域
別の従業員数は大きく変化し、日本、米国、欧州、新興国
欧州や新興国での規制当局への対応、
を含むその他の 4 つの地域における従業員比率がほぼ
販売・マーケティング活動、事業運営の専門知識
同じになります。タケダでは「活力ある企業風土の創造
( Culture )」の基本戦略として、ダイバーシティの推進
に取り組んでおり、多様な価値観をもつ人材が融合す
チャレンジ精神あふれる
“ Can
Do”の企業文化
ることにより、一層のグローバル化を進めていきます。
なお、ナイコメッド社を含めたタケダグループの強み
を活かす組 織 体 制 の 構 築に向けて、米 欧 販 売 統 括 職
のフランク・モリッヒが統合運営委員会の指揮をとり、
28
Takeda Annual Report 2011
分権化され、機動力のある経営体制
Growth Interview
持続的な成長
Q1
A1
ナイコメッド社の統合プロセスを説明してください。
豊富な経験をもつ両社の人材を活かして、
持続的な成長を確実にする組織を創造します。
タケダとナイコメッド社は、事業を展開している地域の
に発 揮できる組 織 の 創 造に向けて、私が同 委 員 長と
オーバーラップが少なく、補完しあうことから、
スムーズな
して、迅速な意思決定を行うとともに、タケダの経営陣
統合を実現できると考えています。タケダとナイコメッド
との重要な連絡役を果たしていきます。今後、同社の成
社の統合にあたり、両社の上級幹部をメンバーとする
長トレンドを維持しつつも、買収完了後、スピーディに
「統合運営委員会」を設置しました。両社の強みを最大限
Q2
A2
統合プロセスを進めていきます。
統合後の地域別売上高について教えてください。
日本、米国、欧州、アジア・新興国の売上高構成比が
バランスの取れた形へとシフトします。
ナイコメッド社単体の売上高は、新興国事業と慢性
業環境リスクを分散させ、より安定的な事業を展開す
閉塞性肺疾患( COPD )治療剤「 Daxas 」がドライバー
ることが可能となります。
となり、2015 年に向けて年平均 7 %程度で成長する
と見込んでいます。
タケダの地域別売上高は、ナイコメッド社の統合を
通じて、日本と米国に過度に依存していた状態から、日
本、米国、欧州、新興国の売上高構成比がバランスの取
れた形へと大きくシフトします。これにより、各地域の事
地域ポートフォリオのバランス改善
アジア・新興国
3%
アジア・
新興国 21%
日本
欧州
2015年度
15%
35%
販売構成比(予測)
2010年度
販売構成比
タケダ
北米 42%
日本
40%
欧州
タケダ+ナイコメッド社
21%
北米 23%
米欧販売統括職
フランク・モリッヒ
Dr. Frank Morich
29
経営の基本精神
タケダイズムをはじめとする「経営の基本精神」
が、
私たちの企業活動すべての原点となっています。
経営の基本精神
環境
社会
お取引先
医療従事者の皆さま・患者さん
株主・投資家の皆さま
従業員
Our Stakeholders
タ ケ ダイ ズ ム
誠 実=公正・正直・不屈
わたしたちタケダグループの従業員は、いかなる場面においても、常に
誠実であることを旨とします。誠実とは、何事にも高い倫理観をもって、
公正・正直に取り組む基本姿勢と、より良き姿を追求し続ける不屈の精神
をいいます。この実践を通じて、わたしたちを取り巻くあらゆる人々との
間に強い信頼関係を築き、事業を発展させていくことで、タケダの経営
理念である「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に
貢献する」を世界で実現していくことを目指します。
経営理念
行動原則
タケダグループの存在目的・社会的使命および事業領域を表すものです。
タケダグループで働くすべての人が、経営理念の実現に向けて、心がけ、実践すべ
き基本的な考え方や姿勢を表すものです。
優れた医薬品の創出を通じて
人々の健康と医療の未来に貢献する
高い倫理観を大切にしながら、次の行動に努めます。
経営方針
世界中の様々な人々とその考えを理解し、尊重します
多様性
タケダグループが経営理念を踏まえたうえで、長期的な観点から目指す姿を表すものです。
わたしたちタケダグループは、グローバル製薬企業としてのリー
ダーシップを発揮しながら、
「 革新への挑戦」、
「 活力ある企業風土の
創造」、
「持続的な成長」を追求し、経営理念を実現します。
連携
共通の目標の実現に向けて、組織を超えて協力し合います
コミットメント
ステークホルダーの期待に応えるため、自らの責任を全うします
革新への挑戦
透明性
最先端の科学と医学における革新に果敢に挑戦し、優れた医薬品
を研究・開発し、医療と患者さんのニーズに応えます
ステークホルダーとの間に信頼関係を築くため、適切な情報共有
と対話を大切にします
活力ある企業風土の創造
社会の一員として、従業員がお互いを認め合い、協力し合い、タイム
リーな意思決定を行うことによって、活力ある企業風土を創ります
持続的な成長
重点疾患領域を中心に、優れた医薬品の提供を通じて、持続的な
企業価値向上を目指します
情熱
医 療と患 者さん の 幸 せに貢 献するという熱 い 想 いと、そ の 実 現
に向けて不屈の精神を持ち続けます
挑戦
常に革新に挑み、あらゆる可能性を追求します
関連情報
30
Takeda Annual Report 2011
P.34 タケダ230年の歩み
タケダのステークホルダー
ステークホルダーとは、企業の事業活動により影響を受ける、
または企業の活動に影響を与える、
すべての関係者(存在)
を意味します。タケダでは現在、ステークホルダーとの関係を左ページの
チャートのように考え、取り組みを進めています。
主な対話方法
医療従事者の皆さま・
患者さんとの関係
タケダは、医薬事業を通じ、エビデンスに基づいた、質の高い医薬情報活動を推進する
●医薬情報活動
ことで、
「医療従事者の皆さま」
との間に信頼関係を構築していきます。一人でも多くの
方が健康でいられることが、私たちの願いです。優れた医薬品を、
より早く、
より多く創
●くすり相 談 室 、ホ ー ム ペ ー ジ
などを通じた情報提供
出するとともに、
「患者さん」のニーズを理解するため、患者団体などを通じ、良好な関
●健康講座などの開催
係を築くことも重要と考えています。
●広告を通した情報提供
関連情報
P.90 消費者課題
ていきます。また、アニュアルレポート、
ホームページを通じた適時・適切な情報公開を
●アニュアルレポート、ホームペ
ージなどを通じた情報提供
継続し、
「株主・投資家の皆さま」
との間により良い関係を構築していきます。
●株主総会、投資家説明会
タケダは、
「株主・投資家の皆さま」のご期待に応えるため、持続的成長の実現を目指し
株主・投資家の
皆さまとの関係
● IR 活動
関連情報
P.12 株主還元について
タケダは、
グローバル社会の発展が、自社の発展と密接に関係していることを十分に
認識しています。企業市民としてグローバル社会が抱える課題への対応を常に検討
● NGO/NPOと協働したプログ
ラムの実施
し、取り組みを進めていきます。
● 経 済 団 体 、業 界 団 体を通じた
諸活動
■公的機関との関わり
事業活動を行う国・地域において、国際ルールや現地の法律を遵守し、公的機関と連
●社会人・学生を対象にした CSR
講演
携し、その国・地域の発展に貢献していきます。
●意見交換会(ダイアログ)
■経済団体との関わり
社会との関係
●社会責任投資家からの CSR ア
ンケート対応
●ボランティア活動
事業展開している地域における経済団体の活動が、
グローバル社会の持続的成長に貢
献しているとの認識に立ち、経済団体の活動に協力していきます。
■製薬団体との関わり
自国内の医薬品産業が抱える課題にとどまらず、
グローバル社会で問題となっている医薬
品アクセスや途上国の疾病問題に、活動地域の製薬団体と協力し、取り組んでいきます。
関連情報
P.92 コミュニティ参画および発展
タケダは、地球温暖化問題をはじめ、医薬品が生産過程を通して環境に与える影響を
環境との関係
最小限にするため、さまざまな取り組みを行なっています。さらに、生物多様性や水資
● 工 場・研 究 所 周 辺 の 地 域 住 民
の皆さまとの対話
源に関わる問題への取り組みも推進していきます。
●アニュアルレポート、ホームペ
関連情報
P.82 環境
タケダは、優れた品質の医薬品を創出するためには、
「 お取引先」とのパートナーシッ
プが重要と考えています。私たちは、優れた品質の医薬品創出に向けた想いを「お取
引先」にご理解いただき、
ともに発展していきたいと考えています。
ージなどを通じた情報公開
●タケダ・グローバル行動規準、
CSR 購 買ガイドラインに基 づ
いた誠実な購買活動の実践
●お取引先アンケート調査の実施
お取引先との関係
関連情報
●意見交換会、説明・勉強会
●お問い合わせ窓口
タケダは、従業員の多様性、人格、個性を含む人権を尊重し、成長の源泉として人材育
●グローバル風土意識調査
成を重視するとともに、全従業員がタケダグループの一員であることを誇りに思える
●社内イントラネット
ような環境の構築を目指していきます。
●相談窓口
関連情報
従業員との関係
P.88 公正な事業慣行
P.78 労働慣行
●労使協議
●カウンセリング
●社内報
●タケダイズム実践月間の実施
●能力開発に資する多様な研修
Takeda Annual Report 2011
31
Takeda at a Glance
医療用医薬品事業
当期の概況
関節リウマチ治療剤「エンブレル(一般名:エタネルセプト)」の増
売上高構成比
収や、2 型糖尿病治療剤「ネシーナ(一般名:アログリプチン安息
89.3%
日 本
香酸塩)」、
「 ベクティビックス(一般名:パニツムマブ)」などの多
数の新製品の寄与により、売上高は5,785 億円(対前年 5.4%
2010年度売上高
1兆 2,674億円
増)
となりました。
医療用医薬品事業は、タケダの主業です。日・米・
2型糖尿病治療剤「アクトス(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)
」、多
欧・アジアの研究開発拠点で創出された画期的新薬
発性骨髄腫治療剤「ベルケイド
(一般名:ボルテゾミブ)
」の伸長な
は、
グローバル市場の 85%をカバーする自社販売ネ
ットワークを通じて世界中の患者さんのもとに届け
米 州
どがありましたが、消化性潰瘍治療剤「プレバシド
(一般名:ランソ
られます。ライセンシー(販売提携先)を通じた販売
プラゾール)
」の特許満了に伴う減収と為替の対ドルでの減収影響
を含めると、タケダの医薬品は世界約 100ヵ国で販
などにより、売上高は4,964億円(対前年11.6%減)
となりました。
売されています。日本とアイルランドに全世界に向
けた製品の生産拠点を有しており、イタリア、中国、
高血圧症治療剤「ブロプレス*( 一般名:カンデサルタン シレキセ
インドネシアでも生産を行っています。
チル)」や、2型糖尿病治療剤「アクトス** 」などの伸長により、現地
欧 州
通貨ベースでは増収となりましたが、対ユーロでの円高影響を吸
収できず、売上高は1,729億円(対前年8.6%減)
となりました。
「ケンゼン」などの製品名で販売されています。
*「アミアス」、
**「グルスチン」の製品名でも販売されています。
中国ファイザーとのコ・プロモーションを開始したことにより2型
糖尿病治療剤「アクトス」の中国市場における売上高が飛躍的
アジア他
に拡大し、また、前立腺癌治療剤「リュープロレリン」がアジア全
域 で 伸 長したことなどにより、売 上 高 は 2 8 7 億 円( 対 前 年
10.2%増)となりました。
関連情報
P.50 マーケティング
世界の医薬品市場におけるタケダの業績( 2010 年度)
連結売上高
地域別売上高
1兆 4,194億円
米州地域
欧州地域
(12.2%)
日本で
第
世界で
第
1位
16位
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出典: IMS World Review Analyst 2011 無断転載禁止
32
4,964億円
1,729億円
売上高ランキング
Takeda Annual Report 2011
(35.0%)
日本地域
7,213億円
(50.8%)
アジア他地域
287億円
(2.0%)
ヘルスケア事業
市場環境
(一般用医薬品・医薬部外品)
●処方箋様式の再変更や、調剤報酬改定といった後発品の使
売上高構成比
用促進策などの医療費抑制策がさらに推し進められ、厳しい
4.2%
状況が続いています。
●日本の医薬品市場の 2011 年の成長率は薬価改定の影響
が少ないことから、5∼7%と予測されます。
2010年度売上高
603億円
● 米 国 で 、2 0 1 0 年 3 月に成 立した「 廉 価 ヘ ルスケア法 案
(ACA)」に関するいくつかの主要法案が2011年1月から施
関連情報
行されました。
P.61 ヘルスケア事業
●米国の医薬品市場の 2011 年の成長率は 3 ∼ 5%と予測さ
ヘルスケア事業では、日常生活における健康づくりに貢献
れます。
する一般用医薬品および医薬部外品の製造・販売を行ってい
●欧州全体を通じて、医療費、医療用医薬品に対する公費負担
を削減する政策が取られており、各国政府は革新性の高い製
品を優遇する傾向があります。
ます。
「アリナミン」、
「 ベンザ」のように、長年にわたり親しまれ
てきたブランドを、世代を超えて信頼される生涯ブランドに育
て上げていく事業活動を進めています。
●ドイツ、
フランス、英国、
イタリア、
スペインの上位5ヵ国の医薬
品市場の2011年の成長率は1∼3%と予測されます。
その他事業
●中国市場、インド市場がアジアの医薬品市場全体の成長を
牽引しています。
売上高構成比
●中国の医薬品市場の 2011 年の成長率は25∼27%と予測
6.8%
されます。
2010年度売上高
963億円
その他事業の内容:試薬、臨床
検査薬、化成品などの製造・販売
世界の医薬品市場の動向
世界の医薬品市場の売上高(2010年)
急成長が予測される「医薬品新興国市場」
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出典: IMS World Review Analyst 2011 無断転載禁止
医薬品市場情報調査会社 IMS ヘルスは、2010 年 3月に、17ヵ国の
高成長医薬品市場を「医薬品新興国市場」と位置付け、7ヵ国としてい
中南米 591億ドル(6.9%)
たこれまでの定義を改めると発表しました。これは、製薬業界の成長が
アフリカ・アジア・
オーストラリア
965億ドル(11.2%)
これまでにないほど新興国にシフトしていることを反映したものです。
※日本・中国を除く
中国
410億ドル(4.8%)
日本
964億ドル
8,612
中国
米国
3,107億ドル
(36.1%)
億ドル
(11.2%)
急伸追随国
●年間売上高:2013 年までに
ベネズエラ、ポーランド、アルゼンチ
400億ドル強増加。
● 2011 年には、世界第 3 位の
ン、
トルコ、
メキシコ、ベトナム、南アフ
医薬品市場に成長。
リカ、
タイ、
インドネシア、ルーマニア、
エジプト、
パキスタン、
ウクライナ
●年間売上高:2013 年までに
その他ヨーロッパ
873億ドル(10.1%)
イギリス 203億ドル(2.4%)
スペイン 222億ドル(2.6%)
イタリア 265億ドル(3.1%)
カナダ
216億ドル(2.5%)
ドイツ 405億ドル(4.7%)
フランス 389億ドル(4.5%)
各国で10∼50億ドル増加。
ブラジル、ロシア、インド
●年間売上高:2013 年までに
各国で50∼150億ドル増加。
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出典: IMS Market Prognosis 2010
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Takeda Annual Report 2011
33
タケダ230年の歩み
タケダは 230 年にわたり、自らを変革し続けながら、誠実に事業を推進してきました。
これからも、革新への挑戦に全力で取り組むとともに、タケダイズムに基づく事業活動を通じて、
グローバル製薬企業としての責任を果たしていきます。
1781
1914
1962
武田研究部設立
研究活動を開始
創業
海外市場に進出
1960 年代に入ると、世界の医薬
1781 年、初代近江屋長兵衞が
品市場を視野に入れて、海外進出
大阪・道修町で和漢薬仲買の商い
を本格化しました。アジア市場を
を始めた時からタケダの歴史は
皮切りとして、欧州市場、米国市
スタートします。明治維新を迎え、
場へと進出地域を大きく拡大して
いきました。
いち早く
「洋薬」
( 西洋医薬品)の
輸入を始めています。
創業者:初代近江屋長兵衞
実験室における研究の様子(1939年)
1950
前立腺癌・乳癌・子宮内膜症治療剤
日本初の総合ビタミン剤
1895
「パンビタン」上市
製薬事業を開始
1954
大阪に自社工場を設立して、製薬
ビタミンB1 誘導体
メーカー へ 生まれ変わるという
1989
「リュープロレリン酢酸塩」
上市(米国・欧州)
1991
消化性潰瘍治療剤
「アリナミン」上市
「ランソプラゾール」
上市(欧州)
「変革」を遂げています。
1700
1900
タケダは、230 年の歴史を通じて、くすりづくり
の王道を歩むなかで、高い倫理観と、強い使命感
1960
1933
「京都薬用植物園」※開設
「尚志社」設立
を育み、社会とのより良い関係づくりに向けて、
世界各地から薬用・有用植物を収
継続的な取り組みを続けてきました。これからも
集・活用し、現在、96 種の絶滅危
費を投じて苦学生の支援を始め
長期的な視点を持って、
グローバル製薬企業に相
惧種を含む 2,400 種を超える植
たことにルーツがあり、1960 年
物を栽培しています。
に育 英 事 業を目 的とする「 尚 志
※開設時の名称は「京都武田薬草園」。1945
社」に発展しました。
応しいCSR活動を推進します。
年に「京都試験農園」と改名し、1994 年か
ら現在の名称となりました。
1944
1923 年に五代武田長兵衞が私
1963
「武田科学振興財団」設立
「発酵研究所」設立
60年間にわたって、微生物株の
保存機関として研究を支援して
きました。現在は、微生物研究
の助成事業を行っています。
京都試験農園( 1954 年)
タケダからの 寄 附 金を基 金とし
て、科 学 技 術 の 研 究を助 成 振 興
し、科学技術および文化の向上
発展に寄与することを目的
として、設立されました。
その事業は年々拡
充されています。
34
Takeda Annual Report 2011
「解体新書」
(安永3年・1774年
/杏雨書屋蔵)
1997
2009
2011
逆流性食道炎治療剤
高血圧症治療剤
「カンデサルタン シレキセチル」
上市(欧州)
「デクスラント」上市(米国)
痛風・高尿酸血症治療剤
「ユーロリック」上市(米国)
1999
アルツハイマー型認知症治療剤
「レミニール」上市(日本)
高血圧症治療剤
「イダービ」上市(米国)
湘南研究所 開設
2 型糖尿病治療剤
グローバル研究開発ネットワークの中核
「ピオグリタゾン塩酸塩」
上市(日本・米国)
となる湘南研究所を開設。オープン・イノ
ベーション推進の拠点として、画期的な
2005
新薬の創出に取り組みます。
不眠症治療剤
ナイコメッド社の買収を合意
湘南研究所
( 2011 年 5 月)
「ラメルテオン」上市(米国)
2010
2008
2 型糖尿病治療剤
欧州および今後の医薬品市場を牽引す
「ネシーナ」上市(日本)
米国事業を再編
る新興国での事業基盤を強化し、持続的
な成長の実現を目指します。
抗癌剤
ミレニアム社を統合
「ベクティビックス」上市(日本)
2000
1992
2009
2010
地球環境問題に向けて、
グローバルな取り組み
「国連グローバル・コンパクト」
に参加/ CSR 専任組織の設置
ダイバーシティの推進および
バリューチェーン管理の強化
を進めるために制定されました。タケダグループ
「人権」、
「労働」、
「環境」、
「腐敗防止」か
ダイバーシティ
(多様性)を行動原則の
らなる10 原則を支持し、企業活動全般に
一つに掲げ、専任組織を設置し、取り組
取り入れています。
みを強化しています。また、バリューチ
また、CSR 専任組織
ェーンに関するポリシーを整備し、お取
「環境に関する基本原則」制定
全体の基本ポリシーとなっています。
1995
「エルアイ武田」設立
「働く障がい者を愛する会社」という経営理念の
を設置し、タケダの
引先まで含めたCSR 環境の整備をスタ
CSR 活 動 の 充 実を
ートしました。
図っています。
もとに設立された、医薬品業界では初めての障
がい者雇用を目的とした特例子会社です。
2006
2010
「タケダ・イニシアティブ」開始
アニュアルレポートにCSR報告書を統合
アフリカにおける保健医療人材の育成
財務情報と非財務情報をあわせて記載した「統
を支援する寄付プログラム活動を、世界
合レポート」形式にて、
アニュアルレポートの発行
基金(The
をスタートしました。
ち上げました。
「タケダ・グローバル行動規準」制定
ガバナンスを強化し、
グローバルなタケ
ダグループ全体におけるコンプライア
ンスの徹底を図っています。
Global Fund)と協働し、立
Takeda Annual Report 2011
35
医薬事業を通じた貢献
「優れた医薬品の創出」にチャレンジし続けること、
それが、世界の人々に対して
タケダが果たすべき使命です。
私たちはタケダイズムに基づいて
「くすりづくりの王道」を歩み続けます。
37 研究開発
40 研究開発トピックス
42 導入・アライアンス活動
44 パイプライン
48 生産体制
50 マーケティング
61 ヘルスケア事業
62 知的財産
64 品質保証体制
36
Takeda Annual Report 2011
研究開発
アンメットメディカルニーズの高い領域にフォーカスし、
タケダグループ全体で「革新への挑戦」を追求することによって、
「人々の健康と医療の未来」に貢献します。
重点疾患領域へのリソース集中
針の一つに掲げています。研究開発部門では、重点疾患
タケダは、アンメットメディカルニーズ(いまだ有効な
領域へのリソース集中、競争力のあるパイプラインの
治療方法がなく、満たされていない医療ニーズ)が高く、
構築と確実な承認取得、研究開発生産性の向上という
将来にわたって大きな成長が期待できる領域にフォー
基本方針に基づき、
「 創薬イノベーションを実現し、患者
カスし、経営資源を集中投下していきます。
さんのニーズに真に応える創薬の追求」に向けたグロ
「代謝性疾患領域(糖尿病・肥満)」は、タケダが最も高
ーバルな取り組みを積極的に進めています。
いプレゼンスを有する領域です。特に、糖尿病領域では、
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
タケダは、
「 革新への挑戦( Innovation )」を経営方
疾病予防も含めて新たな治療オプシ
ョンを提供し、マーケットリーダーとし
タケダの重点疾患領域戦略
てのポジションを堅持していきます。
Explore
免疫・炎症性疾患領域
「ベネット」、
「エンブレル」、JAK阻害薬、MLN0002
「癌領域」は、さらなる成長を目指す
領域と位置付けており、ミレニアム社
を中核としたタケダグループの研究
Establish 中枢神経疾患領域
「ロゼレム」、
「レミニール」、
「ラツーダ」、LuAA21004 、
PDE1阻害薬、共同研究
Grow
チームの連携を一層強化し、強固なプ
レゼンスの構築につなげていきます。
「中枢神経疾患領域」では、自社創製
癌領域
「ベルケイド」、
「リュープリン」、
「 ベクティビックス」、
ADCETRIS、TAK-700、MLN0518、MLN8237、
AMG706、AMG386、AMG479、AMG655
Presence 代謝性疾患領域(糖尿病・肥満)
「アクトス」、
「ネシーナ」、TAK-875 、Contrave 、ATL-962
品の開発、導入・アライアンス活動、外
部機関との共同研究を通じて、ポート
フォリオの充実を図ります。
「免疫・炎
症性疾患領域」については、
「 癌領域」
とのシナジーも検討しながら、事業機
会を探っていきます。
医療用医薬品 研究開発費/対売上高比率
(%)
(億円)
30
6,000
22.3%
20
4,000
10
2,000
0
’
06
研究開発費
’
07
’
08
’
09
’
10
年度
対売上高比率
研究開発費
2,839
0
対売上高比率
(注)2008年度はTAP社およびミレニアム社統合に伴うインプロセスR&D費含む
(左から)医薬研究本部長 ポール・チャップマン
(Dr. Paul Chapman)/
医薬開発本部長 ナンシー・ジョセフ=リッジ(Dr. Nancy Joseph-Ridge)
Takeda Annual Report 2011
37
研究開発
将来の成長に向けた研究開発活動に取り組み、
製品ポートフォリオ強化と研究開発生産性の向上を実現します。
研究開発部門の基本戦略
●「 POC&C 」による
パイプラインの強化
●研究開発生産性の向上
●グローバル研究開発体制の強化
●積極的な導入・アライアンス推進
「 POC&C 」によるパイプラインの強化
タケダは 2010 年度、開発後期段階での成功確率を
高める「 POC&C 」モデルを導入しました。
「 11-13 中期
計画」においても、引き続き「 POC&C 」のコンセプトに
基づき、市場において競争優位性を持つ、質の高い化合
物の創出に向けた研究開発を実施していきます。
「 POC&C 」とは
「Proof of Concept & Competitiveness」の
略で、臨床試験において「ヒトにおける有効性・安全
性、市場における競争優位性を立証すること」。研究
開発生産性の向上に向けた戦略の柱と位置付けて
います。
具体的には、
トランスレーショナルメディスン研究 ※を
これまで以上に積極的に推進することによって、開発品
の有効性・安全性を早期に評価していきます。
期待される成果
2010 年度「 POC&C 」の成功事例としては、既存の
●明確に競争優位性を持ち、上市につながる質の
高い化合物の創出
医薬品とは異なる作用機序を持ち、次期大型糖尿病治
●臨床開発後期段階での成功確率の向上
療薬候補として期待される「 TAK-875 」を挙げることが
●研究開発資源の効率的な活用
できます。現在、
日本・米国・欧州で臨床第Ⅱ相段階であり、
2011年度中に臨床第Ⅲ相試験を実施する予定です。
また、抗体医薬、核酸医薬、再生医薬、ペプチド医薬な
ど、将来のパラダイムシフトに対応するため、新たな基
盤技術を用いた創薬にも積極的に取り組んでいます。
CMC 研究センターにおいては、新薬・新剤型を患者さ
んにいち早くお届けするため、新たな技術を探索すると
ともに、
グローバル研究開発拠点間の連携、アライアン
ス活動を通じて、最新技術の導入に注力しています。
研究開発生産性の向上
タケダは、
「 質にこだわった創薬」をリードするグロー
バルリサーチハブとして、2011 年 2 月に竣工した湘南
研究所をフル活用し、研究開発マネジメントを強化して
いきます。そのため、2011 年 4 月より、4 つの重点疾患
領域にフォーカスした創薬ユニット
( DDU )を導入し、研
究組織を疾患領域中心の体制に再編することによって、
※非臨床と臨床試験をスムーズにつなぐために、最新の知見を直接的に臨床開発に
利用し、治療に結び付けようとする取組み
38
Takeda Annual Report 2011
各疾患領域に関する責任と権限を一元化しました。
グローバル研究開発拠点
武田グローバル
研究開発センター
(欧州)
(株)
研究拠点
日本開発センター
(株)
武田バイオ開発センター
開発拠点
新規進出国・新興国での
販売拡大の支援
武田グローバル
研究開発センター
(株)
湘南研究所
ミレニアム
(株)
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
つくば研究所・
大阪十三研究所を統合
CMC研究センター
武田ケンブリッジ
(株)
武田グローバル
研究開発センター(アジア)
( 株)
武田サンフランシスコ(株)
武田シンガポール
(株)
武田サンディエゴ(株)
武田ベンチャー投資(株)
さらに、外部リソース活用の一環として、
オープン・イノ
ベーションの推進にも取り組んでいます。湘南研究所に
インキュベーションラボを設け研究者間の情報交換や
連携を推進するとともに、外部研究機関との共同研究を
強化し、パイプラインの充実につなげていきます。
グローバル研究開発体制の強化
研究開発生産性の向上においては、部門横断的に連
携した 研 究 開 発 体 制 が 重 要 な 成 功 要 因となります。
2009 年度より、研究開発統括職( CSO )のもとグロー
バル研究開発体制の強化を進めてきましたが、2011
年 5 月に、業務執行会議に全疾患領域にわたって研究
開発の総合的な意思決定を行う部会を設立し、議長に
山田忠孝が就任しました。長年世界的製薬企業の研究
開発をリードしてきた知見を活かし、POC&C モデルを
より一層推進することで、パイプラインの適切な優先
順位付けと確実な承認取得につなげていきます。
今後は、グローバル研究開発体制のもとでの地域間
の連携をさらに推進し、特に、南米やアジアといった新
たに進出する新興国での販売拡大をサポートする取り
組みを進めていきます。
積極的な導入・アライアンス推進
導入・アライアンス活動については、引き続き、社外リ
ソースを最大限に活用して、
「 質の高い研究開発」と「生
産性の改善」を追求していきます。
2010 年度は、特に中枢神経疾患領域において、京都
大学との協働によってオープン・イノベーション創薬拠
点づくりを進める「 TKプロジェクト」や、アルツハイマー
病の早期診断につながると期待されるバイオマーカー
を持つジンファンデル社(米国)
との共同研究など、充実
した導入・アライアンス活動を展開しました。2011 年度
も、中枢神経疾患以外の重点疾患領域も含めて、積極
的なアライアンス活動を推進します。
関連情報
P.43 中枢神経疾患領域のオープン・イノベーション
Takeda Annual Report 2011
39
研究開発トピックス
次期主力製品として期待される主な開発品
代謝性疾患領域(糖尿病・肥満)
2型糖尿病治療薬「TAK-875」
(日/米/欧:第Ⅱ相)
既存の医薬品とは異なる作用機序を持ち、次期大型
糖尿病治療薬候補として期待されています。スルホニル
尿素系薬剤、
インクレチン関連薬とは異なり、
グルコース
濃度に依存してインスリン分泌を改善します。
2011 年 6 月、第 71 回米国糖尿病学会年次集会にお
いてTAK-875 の有効性、安全性および忍容性に関する
データが発表され注目を集めました。
2 型糖尿病治療薬
「 SYR-322(一般名:アログリプチン安息香酸塩)」
(日:承認、米:申請、欧:第Ⅲ相)
研究開発の「パイプライン」について
DPP-4 ※阻害作用を有する2 型糖尿病治療薬として、
「パイプライン」とは、研究開始から承認・発売にいた
武田サンディエゴ株式会社( TSD 社)によって創製され
るまでの開発品を意味します。基礎研究、非臨床試験を
ました。日本では2010 年 4 月に承認を取得し、
「ネシー
終えた開発品については、
ヒトを対象とした臨床試験が
ナ」として販売されています。現在、グローバルでの承
行われます。3 段階の臨床試験を経て、有効性、安全性
認取得に向け、開発・申請を行っています。
が証明された開発品は、国による承認審査が行われた
※インスリン分泌を高めるホルモンであるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)
を分解する酵素
後、
「新薬」として発売されます。
関連情報
P.44 パイプライン
癌領域
前立腺癌治療薬「 TAK-700 」
(日:第Ⅰ相、米/欧:第Ⅲ相)
基礎研究・非臨床試験
「 TAK-700 」は、男性ホルモンの生成に重要な役割を
担う17,20リアーゼを選択的に阻害する非ステロイド系
臨床試験
第Ⅰ相(PhaseⅠ)
同意を得た少数の健康人志願者を対象に、
安全性および体内動態を確認。
第Ⅱ相(PhaseⅡ)
同意を得た少数の患者さんを対象に、
有効で安全な投薬量や投与方法などを確認。
第Ⅲ相(PhaseⅢ)
同意を得た多数の患者さんを対象に、
既存薬などと比較して新薬の有効性と安全性を確認。
の経口の前立腺癌治療薬です。現在、米国・欧州におい
て臨床第Ⅲ相試験を実施中です。
リンパ腫治療薬「 SGN-35
(一般名:brentuximab
「 ADCETRIS 」
)
」
( 欧:申請)
vedotin、製品名:
「SGN-35」は、米国シアトルジェネティクス社から導入
した、CD30抗原を標的とする抗体医薬複合体です。
2011年5月、
タケダは、再発・難治性のホジキンリンパ
腫および再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫を
申請
承認
40
Takeda Annual Report 2011
適応症とした販売許可申請を欧州で提出しました。
癌治療薬「 MLN9708 」
( 米:第Ⅱ相)
「 MLN9708 」は、経口投与・静脈注射の両方が可能
な、
「 ベルケイド」に続く第 2 世代のプロテアソーム阻害
薬としてミレニアム社が創製した開発品です。現在、米
国において臨床第Ⅱ相試験を実施しており、幅広い癌種
を対象として開発を加速しています。
免疫・炎症性疾患領域
炎症性腸疾患治療薬
「 MLN0002(一般名:ベドリズマブ)」
(日:第Ⅰ相、米/欧:第Ⅲ相)
「 MLN0002 」は、ミレニアム社が創製したα4β7イ
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
ンテグリン※ 阻害薬です。現在、米国・欧州で、炎症性腸
疾患の二大疾患である潰瘍性大腸炎、
クローン病を対
中枢神経疾患領域
象とした臨床第Ⅲ相試験を実施中です。
※リンパ球表面に存在し腸管での免疫反応に関与しているタンパク質の一つ
非定型抗精神病薬
「ラツーダ(一般名:ルラシドン塩酸塩)」
( 欧:第Ⅲ相)
その他の領域
「ラツーダ」は、大日本住友製薬株式会社が創製した
非定型抗精神病薬で、2010 年 10 月に米国食品医薬品
局( FDA )より成人の統合失調症薬として承認されてい
腎性貧血治療薬「ペギネサタイド」
(日/欧:第Ⅲ相、米:申請)
ます。2011 年 3 月、タケダは、統合失調症、双極性障害
「ペギネサタイド」は、米国アフィマックス社から導入
を適応症とする経口製剤について、英国を除くEU 加盟
した、赤血球産生を促進するホルモンであるエリスロポ
国 26ヵ国およびスイス、
ノルウェー、
トルコ、ロシアを対
エチンの受容体に作用する合成ペプチドです。4 週間に
象とした共同開発・独占的販売契約を締結しました。
大うつ病・全般性不安障害治療薬「 Lu
(日/米:第Ⅲ相)
AA21004 」
「 Lu AA21004 」は、デンマークのルンドベック社か
ら導入し、共同開発を進めている大うつ病・全般性不安
障害治療薬です。現在発売されている抗うつ剤とは異
なる作用機序を持つ新規化合物であり、新たなタイプの
一度の投与により赤血球を増加させる作用を有してい
ます。現在発売されている同種の薬と比較して、投与頻
度が月1回と少なく、利便性に優れていることが期待さ
れます。
2011 年 5 月、米国食品医薬品局( FDA )に透析期患
者を対象とした腎性貧血効能で販売許可申請を提出し
ました。
大うつ病・全般性不安障害治療薬として期待されています。
Takeda's Voice
GPR40 の発見から8 年以上たちました。思い起こせば、多くの喜びがあるなか
で、日々思いもよらない困難にぶつかりましたが、そのたびにプロジェクトメンバー
は、自由闊達な議論とさまざまな実証を通じ、一つひとつ乗り越えてきました。創製
された類似化合物のなかで、TAK-875 は決して最も強力な作動薬ではありませ
ん。むしろ、研究開発プロセスを通じて、薬効、薬物動態、安全性のバランスを追求
した結果、選ばれた化合物と言えます。TAK-875 のようなバランスのとれた化合
物を生み出すことができたことは、全てのメンバーが連携して、情熱を持って挑戦
し続けた結果であると、プロジェクトの一員として誇らしく思っています。最後に、
私の創薬研究人生のなかで、このような活気に満ち溢れた経験ができていること
に感謝の意を表します。
Takeda Annual Report 2011
41
導入・アライアンス活動
2010年4月以降の導入・アライアンス活動の進展
シアトルジェネティクス社(米国)
オレキシジェン セラピューティクス社(米国)
2010年4月、同社からの導入品であるリンパ腫治療薬「SGN-35
(一般名:brentuximab vedotin、欧州製品名:ADCETRIS)
につ
いて、自己幹細胞移植後のホジキンリンパ腫患者を対象とした臨
床第Ⅲ相試験「 AETHERA 試験」を米国、欧州およびロシアにおい
て開始しました。
なお、2010 年 12 月、第 52 回米国血液学会年次総会におい
て、同薬の再発性・難治性のホジキンリンパ腫を対象とした有効性・
安全性試験の良好な結果、および再発性・難治性の未分化大細胞
リンパ腫を対象とした臨床第Ⅱ相試験の良好な結果が発表され、
第16回欧州血液学会年次集会において、同じく二つの試験の最新
データが発表されました。2011年5月、両効能について欧州医薬
品庁( EMA)
に販売許可申請を行いました。
アムジェン社(米国)
2010 年 4 月、同社からの導入品である抗癌剤「パニツムマブ」
について、厚生労働省より、進行・再発の結腸・直腸癌にかかる製造
販売承認を取得し、6 月に「ベクティビックス点滴静注」として販売
を開始しました。
2011 年 1 月、同社からの導入品である癌治療薬「 AMG386 」
について、日本において再発卵巣癌を対象とした臨床第Ⅲ相試験
を開始しました。
2011年3月、同社からの導入品である癌治療薬「AMG706(一
般名:モテサニブ ディホスフェート)」の臨床第Ⅲ相試験「MONET1
試験」
( 進行性非小細胞肺癌 1,090 例を対象)の速報結果が得ら
れました。主要評価項目である全生存期間において、統計学的に
有意な改善は認められませんでした。
2011 年 4 月、同社からの導入品である癌治療薬「 AMG479 」
について、日本において転移性膵臓癌を対象とした臨床第Ⅲ相試
験を開始しました。
アフィマックス社(米国)
2010年6月、同社からの導入品である腎性貧血・癌性貧血治療
薬「ペギネサタイド」※について、欧米における慢性腎疾患に伴う
貧血患者を対象とした臨床第Ⅲ相試験の速報結果が得られました。
2011 年 4 月、慢性腎疾患で透析を受けている貧血患者を対象
とした臨床第Ⅲ相試験(エメラルド1 、2 試験)の追加解析の結果
が、全米腎臓財団春季臨床会議で公表されました。
米国にて2011年の5月に申請しました。
※以前の製品名はヘマタイド。現在の製品名は未定。ペギネサタイドは一般名。
2010年9月、同社と、肥満症治療薬「コントレーブ」に関する米国、
カナダ、
メキシコを対象とした独占的開発・販売契約を締結しました。
2011年1月、同社はFDAより、本薬に関して承認前に追加試験
実施が必要であるとの審査結果通知を受領しました。
フロリダ病院/サンフォード・バーナム医学研究所(米国)
2010年12月、同病院および同研究所と、肥満症に対する新規治療
法の発見と評価を目的とした2年間の共同研究契約を締結しました。
イントラ・セルラー社(米国)
2011 年 2月、同社と、統合失調症治療薬であるホスホジエステ
ラーゼ( PDE )1 阻害薬に関する全世界を対象とした独占的開発・
販売契約を締結しました。
アミリン社(米国)
2011 年 3 月、同社と、肥満症を対象に追加で実施中の「プラム
リンタイド/メトレレプチン」による有効性と安全性を検証する臨
床第Ⅱ相試験を、自主的に中断することを決定しました。
ヤンセンファーマ株式会社(日本)
2011 年 3 月、同社からの導入品であるアルツハイマー型認知
症治療剤「レミニール」について、国内での販売を開始しました。
大日本住友製薬株式会社(日本)
2011 年 3 月、同社が創製した非定型抗精神病薬「ラツーダ(一
般名:ルラシドン塩酸塩)」の統合失調症、双極性障害を適応症とす
る経口製剤について、英国を除くEU 加盟国 26ヵ国およびスイス、
ノルウェー、
トルコ、ロシアを対象国とした共同開発およびタケダ
による独占的販売契約を締結しました。
サムヤン社(韓国)
2011年3月、同社と、RNAi医薬のドラッグデリバリーシステムに関
する3年間(複数年の延長が可能)の共同研究契約を締結しました。
スネシス社(米国)
2011 年 3 月、同社が癌領域で保有する経口の選択的パンラフ
キナーゼ阻害薬、およびもう一つのキナーゼ阻害薬の開発につい
て、契約を締結しました。
ルンドベック社(デンマーク)
2011 年 5 月、Lu AA21004について、大うつ病を対象とした
臨床第Ⅲ相試験を日本において開始しました。
エンボイ セラピューティクス社、
セージ・バイオネットワークス、
ジンファンデル・ファーマシューティカルズ社、
京都大学、ヘプタレス社との提携については右ページを参照ください。
なお、本項目では、
タケダの重点疾患4領域にかかる導入・アライアンス活動の進展を記載しています。
2011年7月1日現在
Partner's Voice
このたび、当社が創製した非定型抗精神病薬「ルラシドン塩酸塩」
( 一般名)につ
いて、タケダと、欧州における開発・販売提携に関する契約を締結しました。
本剤は当社グループの海外展開の中核を担う製品であり、既に米国で承認され
ているほか、他の地域でも開発後期段階にありますが、このたび、欧州主要国に販
売網を有するとともに、中枢神経領域に注力し、また本剤の製品価値を高く評価さ
れたタケダと提携できたことを大変うれしく思います。
今後は、両社で連携して欧州での展開を加速し、1日でも早く、より多くの患者さ
んに本剤を提供できることを目指していきます。
大日本住友製薬株式会社 代表取締役社長 多田
42
Takeda Annual Report 2011
正世 氏
Close UP
中枢神経疾患領域におけるオープン・イノベーションの推進
京都大学との協働によるオープン・イノベーション
創薬拠点の設立「TKプロジェクト」
2010年10月、
タケダはエンボイ セラピューティクス
2011 年 1 月、タケダは国立大学法人京都大学と、中
社(米国)
と、従来の治療薬よりも有効性・安全性に優れ
枢神経系制御に基づく肥満症治療薬および統合失調症
た統合失調症治療薬の創製を目的とする3 年間の共同
治療薬の創製を目的とする、5 年間の協働による研究開
研究契約を締結しました。
発契約を締結しました。
エンボイ セラピューティクス社は、生体内の特定の細胞
京都大学は、産官学連携によるプロジェクトを効率的
において作られるタンパク質を、細胞を分離することな
に運営する目的で、日本で初めての対等な協力関係に基
く同定できる画期的な技術を有しています。これを活用
づくオープン・イノベーションに取り組む場として「メディ
することによって、統合失調症と関連性のある脳内の特
カルイノベーションセンター」を医学研究科内に立ち上
定の細胞における遺伝子発現を解析し、創薬ターゲット
げています。同センターは、大学や企業の協働によって画
となりうるタンパク質の探索・特定を進めていきます。
期的な新薬・医療機器の創出、新たな創薬モデルの構築
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
統合失調症を対象とした
エンボイ セラピューティクス社との共同研究
および人材育成を促進する場であり、
ここにおいて、今回
中枢神経疾患を対象とした
セージ・バイオネットワークスとの共同研究
ト」
(略称:TKプロジェクト)
を実施することになりました。
2010 年 11月、タケダは非営利団体セージ・バイオネ
基礎医学と臨床医学を融合することによって、アンメ
ットワークス(米国)
と、中枢神経疾患治療薬の創製につ
ットメディカルニーズに応える新薬を早期に開発するこ
ながる創薬ターゲットの探索を目的とした4 年間の共同
とが可能になると期待しています。
新たに、
「 中枢神経系制御薬の基礎・臨床研究プロジェク
研究契約を締結しました。セージ・バイオネットワークスの
有する最先端の疾患予測モデルを活用して、創薬ターゲ
ットとなりうるタンパク質の探索・特定を進めていきます。
アルツハイマー病のバイオマーカーにかかる
ジンファンデル・ファーマシューティカルズ社
とのライセンス契約
2010 年 12 月、タケダはジンファンデル・ファーマ
写真提供:薬事日報社
シューティカルズ社(米国)
と、健常高齢者におけるアル
(左から)研究開発統括職 大川滋紀/京都大学大学院医学研究科長 湊長博氏
ツハイマー病のリスクを予見しうるバイオマーカーであ
るTOMM40 アッセイの開発、製造、使用、商業化につ
いて、全世界での独占的ライセンス契約を締結しまし
中枢神経疾患に関わるGPCRを対象とした
ヘプタレス社との共同研究
た。今回の提携によって、アルツハイマー病の予防およ
2011年3月、タケダはヘプタレス社(英国)
と、中枢神
び進展遅延に関する有益な治療法の開発に貢献できる
経疾患の病態に重要な役割を果たすGタンパク質共役受
と考えています。
容体(GPCR)
を対象とした2年間の共同契約を締結しまし
た。GPCRは、細胞膜から抽出されると分子構造が不安定
になることから、その構造が解明されていません。GPCR
をターゲットとする医薬品を開発できれば、
ファースト・イ
ン・クラスの画期的な新薬となることが期待されます。
Takeda Annual Report 2011
43
パイプライン
開発コード
製品名(国/地域)
一般名
薬効(剤形)
代謝性疾患領域(糖尿病・肥満)
AD-4833
アクトス
(日本、米国、欧州、アジア)
SYR-322
ネシーナ
(日本)
Contrave R
ピオグリタゾン塩酸塩
インスリン抵抗性改善薬
(経口剤)
アログリプチン安息香酸塩
DPP-4阻害薬(経口剤)
ナルトレキソン/ブプロピオン
μオピオイド受容体拮抗薬・
ドーパミン/ノルエピネフリン再取込阻害薬
(経口剤)
ATL-962
SYR-472
セチリスタット
リパーゼ阻害薬
(経口剤)
未定
DPP-4阻害薬(経口剤)
TAK-428
未定
神経栄養因子産生促進薬
(経口剤)
TAK-875
未定
GPR40作動薬(グルコース依存性インスリン分泌促進薬)
(経口剤)
AC137-164594
TAK-329
プラムリンタイド/メトレレプチン
アミリン/ヒトレプチン合成アナログ
(注射剤)
未定
グルコキナーゼ活性化薬
(経口剤)
癌領域
メパクト
(欧州)
ミファムルチド
ムラミルジペプチド合成類似化合物
(注射剤)
ベルケイド
(米国)
ボルテゾミブ
プロテアソーム阻害剤
(注射剤)
ベクティビックス
(日本)
パニツムマブ
(注射剤)
ヒト型 抗EGFRモノクローナル抗体
プレドニゾロン
(日本)
プレドニゾロン
合成副腎皮質ホルモン剤
(経口剤)
TAK-700
未定
非ステロイド系アンドロゲン合成阻害薬
(経口剤)
AMG 706
モテサニブ ディホスフェート
VEGFR1-3阻害薬(経口剤)
brentuximab vedotin
CD30モノクローナル抗体ー薬物複合体(注射剤)
SGN-35
ADCETRIS TM
AMG 386
AMG 479
MLN0518
MLN8237
アンジオポエチン阻害ペプチボディ
(注射剤)
ganitumab
ヒト型 抗IGF-1Rモノクローナル抗体
(注射剤)
タンデュチニブ
受容体キナーゼ
(FLT3、
PDGFR、c-KIT)阻害薬(経口剤)
未定
オーロラAキナーゼ阻害薬
(経口剤)
MLN9708
未定
プロテアソーム阻害薬
(経口剤/注射剤)
TAK-448
TAK-733
TAK-960
TAK-901
MLN4924
TAK-441
AMG 655
TAK-701
未定
メタスチン誘導体
(注射剤)
未定
MEK阻害薬(経口剤)
関連情報
44
未定
未定
PLK1阻害薬(経口剤)
未定
オーロラBキナーゼ阻害薬
(注射剤)
未定
NEDD8活性化酵素阻害薬(注射剤)
未定
ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害薬
(経口剤)
コナテュムマブ
ヒト型 DR5
(TRAIL-R2)
モノクローナル抗体
(注射剤)
未定
抗HGF抗体
(注射剤)
P.40 研究開発の「パイプライン」について/次期主力製品として期待される主な開発品
Takeda Annual Report 2011
効能・分類
開発地域
開発段階
PhaseⅠ
糖尿病
(メトホルミンとの合剤)
日本
糖尿病
(グリメピリドとの合剤)
日本
糖尿病
米国
Phase Ⅱ
Phase Ⅲ
申請
承認
2010.04
2011.01
※1
インドネシア
2011.01
台湾
2011.03
0000.00
欧州
0000.00
中国
糖尿病
(アクトスとの合剤)
0000.00
2010.04
日本
※2
米国
2011.07
日本
欧州
日本
2010.04
糖尿病
(チアゾリジン系薬剤との併用療法)
日本
2010.08
糖尿病
(スルホニルウレア系薬剤との併用療法)
日本
2011.02
糖尿病
(ビグアナイド系薬剤との併用療法)
日本
2011.02
糖尿病
(メトホルミンとの合剤)
米国
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
糖尿病
(α-GIとの併用療法)
欧州
肥満症
米国
肥満症
日本
糖尿病
米国
※3
欧州
日本
糖尿病神経障害
米国
欧州
糖尿病
米国
欧州
日本
肥満症
米国
※中断
糖尿病
2010.12
非転移性骨肉腫
メキシコ
再発性濾胞性リンパ腫
米国
マントル細胞リンパ腫
(ファーストライン適応)
米国
皮下注射投与製剤
米国
再発性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
米国
0000.00
頭頚部扁平上皮癌
日本
0000.00
多発性骨髄腫
日本
前立腺癌
米国
0000.00
欧州
0000.00
日本
0000.00
進行性非扁平上皮型非小細胞肺癌
2011.02
0000.00
0000.00
2011.03
0000.00
2011.01
米国
欧州
日本
乳癌
米国
再発・難治性のホジキンリンパ腫
欧州
2011.05
0000.00
再発・難治性の全身性未分化大細胞リンパ腫
欧州
2011.05
0000.00
ホジキンリンパ腫
(ファーストライン適応)
欧州
0000.00
全身性未分化大細胞リンパ腫
(ファーストライン適応)
欧州
0000.00
再発卵巣癌
日本
0000.00
転移性膵癌
日本
0000.00
神経膠腫
米国
0000.00
進行性非ホジキンリンパ腫、
急性骨髄性白血病、
ハイリスクの骨髄異形成症候群、
卵巣癌
米国
0000.00
欧州
0000.00
進行性癌
日本
0000.00
多発性骨髄腫
米国
0000.00
進行性癌
米国
0000.00
前立腺癌
0000.00
固形癌
0000.00
固形癌
0000.00
進行性癌
0000.00
進行性癌
0000.00
0000.00
固形癌
進行性癌
進行性癌
日本
0000.00
0000.00
※ 1 米国食品医薬品局より審査結果通知受領( 2009.06 ) ※ 2 米国食品医薬品局より審査結果通知受領( 2009.09 ) ※ 3 米国食品医薬品局より審査結果通知受領( 2011.01 )
2011年7月1日現在
Takeda Annual Report 2011
45
パイプライン
開発コード
製品名(国/地域)
一般名
薬効(剤形)
MT1/MT2受容体作動薬(経口剤)
中枢神経疾患領域
TAK-375
ロゼレム
(日本、米国)
ラメルテオン
R113675
レミニール
(日本)
ガランタミン臭化水素酸塩
アセチルコリンエステラーゼ阻害・ニコチン性アセチルコリン受容体増強剤
(経口剤)
Sovrima R
イデベノン
ミトコンドリア標的抗酸化剤
(経口剤)
未定
多重作用メカニズム型抗うつ薬
(経口剤)
ルラシドン
非定型抗精神病薬
(経口剤)
未定
多重作用メカニズム型抗うつ薬
(経口剤)
Lu AA21004
LATUDA R
Lu AA24530
免疫・炎症性疾患領域
TMX-67
MLN0002
ユーロリック(米国、カナダ)
NE-58095
ベネット
(日本)
フェブキソスタット
非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害薬
(経口剤)
ベドリズマブ
ヒト化抗α4β7インテグリンモノクローナル抗体
(注射剤)
リセドロネート
骨吸収抑制薬(経口剤)
カンデサルタン シレキセチル
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
(経口剤)
アジルサルタン メドキソミル
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
(経口剤)
アジルサルタン
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
(経口剤)
高血圧・動脈硬化疾患領域
TCV-116
TAK-491
ブロプレス
(日本、欧州、アジア)
アミアス、ケンゼンほか
(欧州)
イダービ
(米国)
TAK-536
TAK-085
TAK-591
TAK-272
オメガ3 アシド エチル エステル90
EPA・DHA製剤(経口剤)
未定
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
(経口剤)
未定
直接的レニン阻害薬
(経口剤)
消化器疾患・泌尿器科疾患・その他領域
AG-1749
TAK-390MR
TAP-144-SR
タケプロン
(日本、アジア)
プレバシド
(米国、アジア)
オガスト、アゴプトン、
ランソックスほか(欧州)
ランソプラゾール
プロトンポンプ阻害薬
(経口剤/注射剤)
デクスランソプラゾール
プロトンポンプ阻害薬
(経口剤)
リュープリン
(日本)
ルプロン・デポ
(米国)
エナントンほか
(欧州)
リュープロレリン酢酸塩
LH-RHアゴニスト(注射剤)
Feraheme R
フェルモキシトール
静注用鉄製剤
(注射剤)
アミティーザ
(米国)
ルビプロストン
クロライドチャネル開口薬
(経口剤)
未定
ペギネサタイド
エリスロポエチン受容体作動薬
(注射剤)
未定
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー
(経口剤)
デクスラント
(米国、
カナダ)
TAK-438
TAK-385
AMG 403
未定
LH-RHアンタゴニスト(経口剤)
fulranumab
ヒト型抗ヒト神経成長因子
(NGF)
モノクローナル抗体
(注射剤)
未定
Hibワクチン(注射剤)
ワクチン
TAK-816
関連情報
46
P.40 研究開発の「パイプライン」について/次期主力製品として期待される主な開発品
Takeda Annual Report 2011
効能・分類
開発地域
開発段階
PhaseⅠ
不眠症
Phase Ⅱ
アルツハイマー型認知症
日本
フリードライヒ失調症
欧州
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
欧州
承認
2010.04
0000.00
※1
2011.01
※2
米国
0000.00
日本
0000.00
全般性不安障害
米国
統合失調症
欧州
双極性障害
欧州
大うつ病、
全般性不安障害
申請
日本
欧州
大うつ病
Phase Ⅲ
0000.00
※3
米国
0000.00
痛風に伴う高尿酸血症
カナダ
2010.09
潰瘍性大腸炎
米国
0000.00
欧州
0000.00
日本
0000.00
米国
0000.00
欧州
0000.00
クローン病
月1回投与製剤
日本
アムロジピンベシル酸塩との合剤
日本
2010.04
韓国
2011.03
ビドロクロロチアジドとの合剤
(高用量)
欧州
(フランス)
2011.03
高血圧症
米国
高血圧症
(クロルタリドンとの合剤)
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
日本
2011.02
欧州
2010.09
米国
2011.02
欧州
高血圧症
日本
高トリグリセライド血症
日本
2011.03
高血圧症
高血圧症
胃MALTリンパ腫、
特発性血小板減少性紫斑病及び早期胃癌に対する
内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ除菌療法
日本
2010.06
ヘリコバクター・ピロリ二次除菌
[ランソプラゾール
(国内製品名:タケプロン 日本
、
アモキシシリン水和物
(国内製品名:アモリンカプセル250)
カプセル30)
及びメトロニダゾールの3製剤の組み合わせ製剤]
2010.07
低用量アスピリン投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の再発抑制 日本
2010.07
非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍または十二指腸潰瘍の
再発抑制
日本
2010.08
逆流性食道炎の治療及びその維持療法・非びらん性胃食道逆流症
カナダ
2010.07
日本
0000.00
中枢性思春期早発症
(最大投与量に関する用法・用量の変更)
日本
2011.05
鉄欠乏症貧血
カナダ
2009.12
欧州
2010.06
欧州
(スイス)
2010.08
オピオイド誘発性腸機能障害
(OBD)
米国
腎性貧血
米国
2011.05
欧州
日本
癌性貧血
酸関連疾患
(胃食道逆流症、
消化性潰瘍等)
※中断
日本
子宮内膜症、
子宮筋腫
疼痛
日本
Hib感染症予防
日本
0000.00
※ 1 再申請検討中 ※ 2 良好な解析結果が得られた場合、再申請 ※ 3 米国において臨床第Ⅲ相試験準備中
2011年7月1日現在
Takeda Annual Report 2011
47
生産体制
「グローバル供給ネットワーク」の構築を推進し、
高品質の医薬品を低コストで、全ての進出地域のお客様に、
こころを込めて、確実かつ安定的に供給します。
タケダの生産拠点
アイルランド
[原薬/製剤]
イタリア
[製剤]
中国
[製剤]
日本
[原薬/製剤]
グロ ー バ ル 供 給
ネットワークの中核
インドネシア
[製剤]
を な すグ ロ ー バ ル
生 産 体 制につ い て
は、大 阪 工 場 、光 工
場 なら び に ア イ ル
グローバル供給ネットワークの構築に向けた
「5つの基本方針」
ランド工場(武田ア
製薬本部長 隠居 孝志
Takashi Inkyo
イルランド株式会社)の 3 工場を中心に、新製品の発売
タケダでは、
販売網の急速なグローバル化に合わせ、以
に円滑に対応できるよう整備を進めていきます。さら
下の方針に基づき供給ネットワークを構築していきます。
に、
グローバルな購買体制や配送体制も整備・統合する
ことにより、
グローバル供給ネットワークを構築します。
❶ 進出地域の拡大に確実に対応するグローバ
ル供給ネットワークとグローバル品質保証
体制の整備
❷ 技術を柱としたコストダウンの推進
❸ 国内外工場における生産技術の継承・革新
❹グローバル化、技術継承、ダイバーシティを見
据えた「ひとづくり」
❺ 環境経営の推進
武田アイルランド株式会社( TIL社)製剤工場
天津武田薬品有限公司 工場
大阪工場
48
Takeda Annual Report 2011
Close UP
グローバル製薬企業としての「社会的責任」ーワクチン事業
小児ワクチンの拡充
「4種混合ワクチン」への取り組み
Hibワクチン「TAK-816」の開発推進
「 TAK-816 」は、2009 年 5 月にノバルティス社から
化ポリオワクチンである「ポリオワクチン( S-IPV )」を導
導入した、インフルエンザ菌 b 型( Hib )※による感染症
入しました。日本では現在、予防接種に経口生ポリオワ
予防を目的としたワクチンで、2011 年 6 月に日本にお
クチンが使われていますが、数百万分の 1 の確率で発生
ける臨床第Ⅲ相試験を開始しました。乳幼児の Hib 感染
するワクチン関連麻痺が問題となっており、これを引き
による髄膜炎は重い後遺症を引き起こす可能性が高く、
起こさない不活化ポリオワクチンへの期待が高まって
死に至ることもあるため、ワクチン接種による感染予防
います。タケダでは、WHO が推進するポリオ根絶計画
が重要となります。タケダでは、
「 TAK-816 」の開発を
の一端を担うために、より安全性の高い S-IPVを混合し
着実に進め、一日も早く供給を開始することで、製薬企
た「4種混合ワクチン※」の開発を加速しています。
業としての社会的責任を果たしていきます。
※既に製造販売している沈降精製百日せき、
ジフテリア、破傷風の3種混合ワクチンに、
※小児の細菌性髄膜炎の主要な原因となっている細菌。通常インフルエンザと言われ
ポリオワクチン
(S-IPV)
を混合したワクチン。
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
タケダは2008 年 3 月に日本ポリオ研究所から、不活
ている感染症はウィルスによるものであり、両者はまったく異なります。
子宮頸癌予防への取り組み
「ヒト・パピローマウィルス
(HPV)
ワクチン」の導入
タケダと財団法人ヒューマンサイエンス振興財団は、
起こす高リスク型 HPV15 種類すべてに有効なワクチン
2010 年 10月に、
「 神田 HPVワクチン」に関する特許権
となる可能性があり、現在までに 6 種類の高リスク型
の全世界での独占的使用について、ライセンス契約を
HPVに対する有効性が確認されています。
締結しました。
「神田 HPVワクチン」は、子宮頸癌を引き
新型インフルエンザ対策
最先端の細胞培養技術を用いた
新型インフルエンザワクチンの事業化
タケダは、2010 年 12 月に、バクスター社とヴェロ細
胞培養インフルエンザワクチンに関する培養・製造技術
を日本において独占的に使用するライセンス契約を締
結しました。現在、パンデミックワクチンの事業化に向け
て、開発・生産体制の整備に取り組んでいます。
ヴェロ細胞培養技術とは
鶏卵を使用せず、細胞培養によってインフルエンザワク
チンを製造する技術。従来の鶏卵を用いた方法に比べ、
製造期間を半分にまで短縮させることが可能です。
Takeda Annual Report 2011
49
マーケティング
マーケティング活動のグローバル体制を強化し、
日本・米州・欧州・アジア、さらに新興国市場へと進出地域を拡大。
高品質な医薬品を、世界中の患者さんにお届けします。
マーケティングのグローバル戦略
タケダは、グローバル市場に向けて、明確に差
別化された新製品を着実に上市し、製品価値早
期最大化を図ることによって、
「 持続的な成長」を
目指していきます。
癌領域
2010年度売上高
多発性骨髄腫治療剤
508億円
ベルケイド
ボルテゾミブ
ミレニアム社が創製し、米国では全生存期間の改善が添付文書に記載さ
れている唯一の多発性骨髄腫治療剤。世界 90ヵ国以上で承認され、欧
代謝性疾患領域
2型糖尿病治療剤
選択薬として投与できる効能も取得しています。
●自社販売地域:米国
(糖尿病・肥満)
2010年度売上高
米では、薬物治療を受けた経験のない多発性骨髄腫患者さんへの第一
3,879億円
2010年度売上高
前立腺癌・乳癌・
子宮内膜症治療剤
アクトス
ピオグリタゾン塩酸塩
1,164億円
リュープリン
リュープロレリン酢酸塩
ルミンとの合剤や、
グリメピリドとの合剤も販売しています。
DDS( 薬物送達システム)研究の成果を投入した長期持続型の LH-RH
誘導体。世界約100ヵ国で販売され、前立腺癌治療分野におけるスタン
ダード薬となっています。前立腺癌に対し、1回の注射で6ヵ月間治療効果
●自社販売地域:日本、米国、欧州、アジア
が持続する剤型も欧州で販売しています。
各国での製品名:
「アクトス」
(日本、
米国、欧州、
アジア)、
「グルスチン」
(欧州)
●自社販売地域:日本、欧州、アジア
1日1回の服用でインスリン抵抗性を改善し、膵臓に負担をかけることな
く血糖値を下げる2 型糖尿病治療剤。世界約 90ヵ国で販売され、
メトホ
各国での製品名:「リュープリン」
( 日本)、
「エナントン」ほか(欧州、アジア)
2010年度売上高
( 2010 年6月発売)
2型糖尿病治療剤
2010年度売上高
16億円
ネシーナ
アログリプチン安息香酸塩
(2010年6月発売)
抗癌剤
ベクティビックス
パニツムマブ
武田サンディエゴ社が創製した、
インスリン分泌を高めるホルモンである
米国アムジェン社から導入した、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)
を阻害
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)
を分解する酵素(DPP-4)
を阻害するこ
するヒト型のモノクローナル抗体 ※。EGFRの機能を抑制することにより、
とにより血糖値を下げる、新しい作用機序の2型糖尿病治療剤です。
優れた抗腫瘍効果を示します。
●自社販売地域:日本
※遺伝子工学を利用してつくられた人工の抗体。癌細胞を見分けて
攻撃したり、免疫システムを活性化させる働きがあります。
●自社販売地域:日本
50
94億円
Takeda Annual Report 2011
中枢神経疾患領域
2010年度売上高
不眠症治療剤
免疫・炎症性疾患領域
56億円
ロゼレム
2010年度売上高
痛風・高尿酸血症治療剤
ラメルテオン
91億円
ユーロリック
フェブキソスタット
従来の不眠症治療剤とは作用機序が異なる、自然に近い生理的睡眠を誘
帝人ファーマ社が創製した痛風・高尿酸血症治療剤。痛風の原因となる尿
導するメラトニン ※ 受容体作動薬。抗不安作用や鎮静作用によらず睡眠
酸生成合成酵素を阻害することにより、優れた尿酸低下効果を示します。
●自社販売地域:米国
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
をもたらすため、高い安全性が期待されています。
※睡眠を誘発したり、睡眠と覚醒のリズムを調節するホルモン
●自社販売地域:日本、米国、アジア
2010年度売上高
各国での製品名:「ロゼレム」
( 日本、米国、アジア)
関節リウマチ治療剤
2010年度売上高
( 2011 年3月発売)
アルツハイマー型
認知症治療剤
5億円
新発売
レミニール
384億円
エンブレル
エタネルセプト
ワイス社(現ファイザー社)から導入した、関節リウマチにおける炎症発
症のプロセスにおいて重要な役割を担うサイトカイン※に結合すること
ガランタミン臭化水素酸塩
で、炎症反応を著しく抑制する関節リウマチ治療剤。世界 80ヵ国以上で
ヤンセンファーマ社から導入した、海外では標準的治療薬のひとつに位
承認されており、若年性突発性関節炎の効能も取得しています。
置付けられているアルツハイマー型認知症治療剤。世界 70ヵ国以上で
※細胞から放出され、細胞間の相互作用を媒介するタンパク性因子の総称
使用されており、
日本では同疾患領域における約10年ぶりの新薬です。
●自社販売地域:日本
●自社販売地域:日本
高血圧・動脈硬化疾患領域
2010年度売上高
高血圧症治療剤
2,180億円
ブロプレス
消化器疾患・泌尿器科疾患・その他領域
2010年度売上高
消化性潰瘍治療剤
1,336億円
タケプロン
ランソプラゾール
カンデサルタン シレキセチル
1日1回の服用で、おだやかな降圧効果が長時間持続するアンジオテンシ
消化性潰瘍治療剤として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの症状に、1日1 回
ンⅡ受容体拮抗剤※(ARB)。世界約100ヵ国で販売され、各国の医療機関
の服用で速やかな効果を発揮し、高い治癒率を示すプロトンポンプ 阻
で高い信頼を獲得しています。慢性心不全の効能も取得しています。ま
害剤。世界約90ヵ国で販売されており、各国で高い評価を得ています。
た、利尿薬との合剤も高血圧症の効能で、約60ヵ国で販売されています。
※胃の壁細胞の中で胃酸分泌過程の最終段階において働く酵素
※血圧を上げるホルモンの一つであるアンジオテンシンⅡの作用を阻害する薬
●自社販売地域:日本、米国、欧州、アジア
●自社販売地域:日本、欧州、アジア
※
各国での製品名:
「タケプロン」
(日本、
アジア)
、
「プレバシド」
(米国、
アジア)、
「オガスト」
「ランソックス」
「アゴプトン」ほか
(欧州)
各国での製品名:
「ブロプレス」
(日本、
欧州、
アジア)、
「アミアス」
「ケンゼン」ほか
(欧州)
( 2011年4月発売)
2010年度売上高
新発売
逆流性食道炎治療剤
高血圧症治療剤
イダービ
181億円
デクスラント
デクスランソプラゾール
アジルサルタン メドキソミル
プロトンポンプ阻害剤で初めて、時間差をおいて2 段階で薬剤が放出さ
新規のアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤( ARB )。臨床試験において、既
存の ARBと比較し、優れた降圧作用が確認されています。
れる製剤設計を実現。胃酸分泌を強力かつ持続的に抑制します。
●自社販売地域:米国
●自社販売地域:米国
Takeda Annual Report 2011
51
マーケティング
日本市場
業績概況
2011 年 3月11日、日本は、東日本大震災という未曾
も「国内売上高 No.1 製品」の地位を獲得し、
「 エカード
有の災害にみまわれました。私たちは、被災地への支援
(ブロプレスと降圧利尿剤との合剤)」、2010 年 6 月発
活動を進めるなかで、生命をあずかる医薬品の安定供給
売の「ユニシア(ブロプレスとカルシウム拮抗剤との合
と、誠実な情報活動の重要性を改めて認識しました。その
剤)」とともに「ブロプレスファミリー」としてさらなる成
強い想いを胸に、今後の活動に取り組んでいきます。
長を遂げました。
「エカード」、
「ユニシア」については、長
日本市場においては、新製品の定着と既存品の売上最
期処方解禁後、大きく実績を伸ばしています。
大化を図り、
「 国内シェアNo.1 」を堅持することが、引き
糖尿病領域においては、2 型糖尿病治療剤「ネシーナ
続き基本戦略となります。医療関係者の方々および患者
(一般名:アログリプチン安息香酸塩)」、2010 年 7 月発
さんのみならず、社会から信頼さ
売の「メタクト
(アクトスとメトホルミンとの合剤)」が新た
れる存在となるべく、
「タケダの
に製品ラインアップに加わり、同疾患領域におけるタケダ
必要とされる薬剤とその適切な
の存在感がさらに高まりました。作用機序の異なる経口
情報活動を通じて、患者さんの
糖尿病治療剤を複数有する強みを最大限に生かし、患者
幸せの実現に貢献し、医療関係
さんの病態に応じた治療に貢献していきます。
者の方々と喜びを共有する」
とい
癌領域においては、2010 年 6 月発売の抗癌剤「ベク
う医薬営業本部の基本理念を実
ティビックス(一般名:パニツムマブ)」の実績が大きく伸
践していきます。
長し、2010年7月にはヤンセンファーマ株式会社と多発
性骨髄腫治療剤「ベルケイド
(一般名:ボルテゾミブ)」の
医薬営業本部長
山中 康彦
Yasuhiko Yamanaka
コ・プロモーションを開始しました。前立腺癌・乳癌領域で
確固たるプレゼンスを確立している「リュープリン(一般
新製品ラッシュの年となった
2010年度も「国内シェアNo.1」を達成
今後、癌領域での取り組みをさらに強化していきます。
日本における医療用医薬品の売上高は、多くの新製品
中枢神経疾患領域においては、生活リズムを改善し自
発売の寄与等により好調に推移し、5,785億円(対前年
然睡眠を誘発するという全く新しい作用機序を有する不
5.4%増)となりました。
眠症治療剤として、2010 年 7 月に発売した「ロゼレム
名:リュープロレリン酢酸塩)」にこの両剤を加えることで、
高血圧領域においては、高血圧症治療剤「ブロプレス
(一般名:ラメルテオン)」が高い評価を得ており、今後の
(一般名:カンデサルタン シレキセチル)」が2010 年度
安定した成長が期待できます。2011 年 3 月に発売した
アルツハイマー型認知症治
療剤「レミニール(一般名:ガ
ランタミン臭化水素酸塩)」
は、日本での同疾患領域にお
ける約 10 年ぶりの新薬とな
りました。本薬を通じて、アン
メットメディカルニーズ(いま
だ有効な治療方法がなく、満
たされていない医療ニーズ)
が高い同疾患の治療に貢献
していきます。
52
Takeda Annual Report 2011
新製品
日本市場の
医療用医薬品売上高に
占める新製品の割合
6%
2010 年度の自社品売上における新製品 ※ の割合は
6%となりました。今後も新製品の確実な上市と製品価
2010
2015
年度
年度
新製品以外
新製品
45 %
新製品以外
94 %
値最大化によって、2011 年度には約 15% 、2013 年度
には約 30% 、2015 年度には45%を超えるまでに成長
すると見込んでいます。新製品の伸長をキードライバー
55 %
として、国内業績の継続的な成長を実現していきます。
※ 2009 年 3 月に発売した「エカード配合剤」以降の新製品
2011 年度、日本市場においては、6 月に「ソニアス
東日本大震災への対応について
配合錠」を新発売、7 月に「リオベル配合錠」の承認を取
得しました。
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
新製品の価値最大化で「持続的な成長」を実現
東北支店の営業所、一部北関東支店の営業所におい
て内部設備の破損がありましたが、幸いにも従業員全員
■2型糖尿病治療剤「ソニアス配合錠」
「アクトス」と、インスリンの分泌を促進するスルホニ
ルウレア系薬剤であるグリメピリドの合剤。糖尿病治療
剤のなかで併用治療として最も汎用される薬剤同士の
組み合わせです。
無事でした。
また被災地においては、医療機関の状況を十分に踏
まえたうえで、医薬品等の必要な情報をお届けするとと
もに、現地の医療機関の復旧・復興に向けた支援活動も
行っています。今回の震災を踏まえ、医療の一翼を担う
■2型糖尿病治療剤「リオベル配合錠」
「ネシーナ」と「アクトス」の合剤。2 型糖尿病の主な病
態であるインスリン分泌低下ならびにインスリン抵抗性
の改善に大きく寄与する医薬品です。
ものとして、
どのような状況でも必要なところに必要な
医薬品をお届けできるよう、今後も一層取り組みを進め
ていくとともに、被災地の復興に向けて継続的な支援活
動を続けていきます。
Takeda's Voice
鹿児島営業所では、
「全ての大腸癌治療実施施設に抗癌剤「ベクティビックス」
を採用いただくことで、一人でも多くの患者様にこの薬剤を届けたい。適正使用
情報を正確に伝達することがその近道である」と考え、全員一丸となり活動して
きました。既に、県内で120名近くの患者様にご使用いただいています。
今後も適正使用を推進することで、患者様、ご家族、医療関係者の皆様からご
信頼いただき、タケダオンコロジーの礎を築いていきたいと思います。
日本市場の業績
医療用医薬品 売上高
主力製品「ブロプレス」売上高
(億円)
(億円)
5,785
6,000
4,000
1,000
2,000
500
0
'06
'07
'08
'09
'10
1,380
1,500
年度
(注)2010年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
等を適用しました。比較を容易にするため、2009年度は改正後の区分
に組み替えて表示しています。
0
'06
'07
'08
'09
'10
年度
(注)2010年度より、仕切価(卸への販売価格)の体系を一部見直しました。
比較を容易にするため、2009 年度は現行体系に合わせて組み替えて
表示しています。
Takeda Annual Report 2011
53
マーケティング
米州市場
業績概況
武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ
株式会社(TPNA社)
米州の販売拠点
TPNA 社の 2010 年度の売上高は、4,668 百万ドル
(対前年6.0%減)
となりました。
2010 年度には、現在の製品ポートフォリオ、パイプ
ラインに適した組織づくりを目指して、事業の再構築を
1
行いました。
「持続的な
3 2
成長」に向けて新製品の
価 値を最 大 化 するため
【販売拠点】
1 武田ファーマシューティカルズ・
に販売体制を刷新し、人
4
的 資 源 の 有 効 活 用と地
ノースアメリカ株式会社(米国)
2 ミレニアム・ファーマシューティカルズ
域 特 性に あったプロモ
株式会社(米国)
ーション活動を積極的に
3 武田カナダ株式会社
4 武田メキシコ株式会社
5 武田ブラジル有限会社
展開しています。
5
TPNA社 社長
ダグラス・コール( Douglas Cole)
米州市場の 2010 年度の売上高は、米国における消
主力製品の2010年度実績
化性潰瘍治療剤「プレバシド(一般名:ランソプラゾー
米国では、経済情勢が悪化するなか経口糖尿病治療
ル)」の特許期間の満了による減収や為替の対ドルでの
薬市場が横ばいを続けていますが、2 型糖尿病治療剤
円高による減少影響などにより、4,964 億円(対前年
「アクトス(一般名:ピオグリタゾン塩酸塩)」ファミリー
11.6%減)となりました。
の売上高は、同剤とメトホルミンの合剤である「アクト
2009 年度に進出したカナダにおいては、2010 年 9
プラスメット」の寄与などにより引き続き大きく伸長し、
月に逆流性食道炎治療剤「デクスラント
(一般名:デクス
3,559 百万ドル(対前年 11.5% 増)となりました。今後
ランソプラゾール)」、2010年10月に痛風・高尿酸血症
も、2 型糖尿病の主な病態であるインスリン抵抗性を改
治療剤「ユーロリック
(一般名:フェブキソスタット)」の販
善することの重要性を訴求し、新規処方箋の獲得につな
売を開始しました。メキシコ、
ブラジルにおいてもプレゼ
げていきます。
ンスの確立に向けて、着実な歩みを進めています。
逆 流 性 食 道 炎 治 療 剤「デクスラント」の 売 上 高は、
210 百万ドル(対前年 128.1% 増)と飛躍を遂げてい
ます。アメリカの医療保険制度メディケア・パートD が適
用されるフォーミュラリー ※に掲載されていることなど
から、引き続き伸長するものと見込んでいます。
※米国において医療機関が使用できる医薬品の品目リストのこと。
54
痛風・高尿酸血症治療剤「ユーロリック」の売上高も、
106 百万ドル(対前年 122.0% 増)と大幅に伸長しまし
ミレニアム・ファーマシューティカルズ
株式会社(ミレニアム社)
た。専門医の処方が増えており、その影響を受けて非専
門医の新規処方も増加しています。今後も、尿酸値をコ
ントロールすることの重要性を医師に説明し、
「ユーロリ
ック」の販売拡大につなげていきます。
タケダの 癌 領 域 戦 略 の 中 核を担うミレニアム社 の
2010年度の売上高は、主力製品「ベルケイド」の伸長に
より、
872百万ドル(対前年13.3%増)となりました。
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」の伸長
高血圧症治療剤「イダービ」の上市
2011 年 4月、TPNA 社は、高血圧症治療剤「イダービ
(一般名:アジルサルタン メドキソミル)
」を新発売しま
した。現在高い市場シェアを有している既存のアンジオテ
ンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)よりも優れた降圧作用が
確認されており、高血圧の患者さんにとって新しい治療
添付文書に3 年追跡後の全生存期間延長効果を記載
した最初の多発性骨髄腫治療剤となった「ベルケイド
(一
般名:ボルテゾミブ)」は、2010年度も593百万ドル(対
前年19.1%増)
と売上高を大きく伸ばしました。
「11-13
中期計画」の期間中も対前年約 10% 増で推移すると予
測しています。2011 年 2 月に濾胞性リンパ腫の効能追
オプションの提供となることを強く訴求していきます。
加を、2011 年 3 月に皮下注射製剤の剤型追加を米国
糖 尿 病 治 療 薬「アログリプチン」、腎 性 貧 血 治 療 薬
食品医薬品局(FDA)
に申請しました。
「ペギネサタイド」については、
「 11-13 中期計画」の
ミレニアム社では、高度に差別化された癌治療薬創出
期間中の上市に向けて、着実な活動を進めています。
に向けて、
「 ベルケイド」に続く第 2 世代のプロテアソー
ム阻害薬「MLN9708」などの開発を加速しています。
Stakeholder's Voice
私は、5,900 人以上の患者さんを対象とした「イダービ」の臨床第Ⅲ相試験の治験
担当医師として、有効性と安全性の分析に携わりました。
「イダービ」は、広く処方され
ているARB のオルメサルタン メドキソミルとバルサルタンの最高用量と比較して、外
来血圧と24 時間自由行動下血圧測定により測定した平均血圧を統計学的に有意に低
下させる降圧効果を示しました。
「イダービ」の優れた降圧効果は、臨床的意義を持つ
ものであり、脳卒中や心血管疾患による死亡率を抑制することが期待されます。
医学博士「イダービ」の治験担当医師
William B. White, M.D.
米州市場の業績
売上高
主力製品「ベルケイド」売上高(米国)
主力製品「アクトス」売上高
(億円)
(億円)
6,000
(億円)
3,062
600
3,000
4,964
508
450
4,000
2,000
2,000
1,000
300
0
’
09
10
’
年度
0
150
’
06
’
07
’
08
’
09
10
’
年度
0
’
08
’
09
’
10
年度
(注)2010年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関す
る会計基準」等を適用しました。比較を容易にするため、
2009年度は改正後の区分に組み替えて表示しています。
Takeda Annual Report 2011
55
マーケティング
欧州市場
業績概況
欧州市場における業績の推移
欧州では、販売統括会
社である武田ファーマシ
11
ューティカルズ・ヨーロッ
欧州の販売拠点
7
パ株式会社( TPEU 社)の
1
管理・支援のもと、各国の
12 3
2 10 5
販売子会社が販売・マー
4
ケティング活動を行って
6
9
8
います。欧州全体で医療
13
費 削 減 政 策 が 取られ て
TPEU社 社長
トレバー・スミス( Trevor Smith)
おり、市場環境が厳しさを増すなか、2010 年度の売上
高は現地通貨ベースでは増収となりましたが、対ユー
ロでの 円 高 影 響を吸 収できず、1,729 億 円( 対 前 年
【販売統括会社】
1 武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ株式会社(英国)
【販売拠点】
8.6% 減)となりました。2008 年度から2009 年度に
かけて自社販売網を拡大した 9ヵ国(スペイン、ポルト
2 ラボラトワール・タケダ株式会社(フランス)
ガル、アイルランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマ
3 タケダ・ファルマ有限会社(ドイツ)
4 タケダ・ファルマ・オーストリア有限会社
ーク、ベルギー、ルクセンブルク、
トルコ)については、
5 タケダ・ファルマ・スイス株式会社
6 タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ株式会社
主力製品の販売を始めています。
7 英国武田株式会社
主力製品の2010年度実績
8 武田スペイン株式会社
高血圧症治療剤「ブロプレス ※ 1(一般名:カンデサル
9
10 IDMファーマ株式会社(フランス)
タン シレキセチル)」は、競争が激化するなか、各販売子
武田ポルトガル株式会社
11 武田ノルディック有限会社
会社とも現地通貨ベースで売上を伸ばしています。英国、
12 武田ベネルクス有限会社
ドイツ、オーストリアではアンジオテンシンⅡ受容体拮抗
13
剤(ARB )市場シェアNo.1を獲得しています。
武田トルコ有限会社
TPEU社および武田グローバル研究開発センター(欧州)
株式会社が所在する、
ロンドン市内のAldwych 61番地
ドイツ・スイス・オーストリア合同の製品勉強会
56
Takeda Annual Report 2011
2 型糖尿病治療剤「アクトス※2(一般名:ピオグリタゾ
では、転移性あるいは再発性骨肉腫患者さんを対象と
ン塩酸塩)」も、競合品が市場から回収された結果、現地
した臨床試験に「メパクト」を提供して効能追加の可能
通貨ベースでは大きく伸長しましたが、円高影響により
性を検討しています。
売上高は295 億円(対前年 5.8% 減)
となりました。新た
※患者アクセスプログラムの一つ。該当する医薬品が承認されていない国、保険償還
価格が決定していない国において、その使用を求める医師に対し、製造販売業者が
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
に販売を開始した国々における売上が徐々に伸長して
患者を登録したうえで個別に医薬品が提供されます。
いくことを期待しています。
前立腺癌治療剤「リュープリン※3(一般名:リュープロ
新規進出国における事業推進
レリン酢酸塩)」については、
ドイツとフランスにおける
2009年に設立した武田トルコ有限会社では、2010
減収影響を受けて、売上高が若干減少していますが、
年 5 月、2 型糖尿病治療剤「アクトス」を上市、同年 10 月
欧州全体では対象疾患領域でリーディングプロダクトの
には、Cenovapharma 社とのコ・プロモーションを開
地位を堅持しています。
始し、着実にシェアを伸ばしています。既存品の販売に
※1「アミアス」、
「ケンゼン」などの製品名でも販売されています。
加えて、現在、前立腺癌治療薬「 TAK-700 」、貧血治療
※ 2「グルスチン」の製品名でも販売されています。
※ 3「エナントン」などの製品名で販売されています。
薬「Feraheme(一般名:フェルモキシトール)」、
リンパ腫
治療薬「SGN-35(一般名:brentuximab vedotin)」
非転移性骨肉腫治療剤「メパクト」
など新製品の開発にも注力しており、新興国市場として
非転移性骨肉腫の治療に貢献する医薬品として新発売
今後も成長が期待されるトルコ市場でのプレゼンスの
した「メパクト
(一般名:ミファムルチド)」は、2 歳∼ 30 歳
確立に取り組んでいきます。
の小児、青少年、および若年成人の新規患者さんで切除
可能な非転移性高悪性度骨肉腫における肉眼的外科的
完全切除後の治療に適応され、術後多剤併用化学療法
との併用で用いられます。
「メパクト」は、現在、オースト
リア、
ドイツ、アイルランド、イタリア、スペイン、英国の
各国において、償還リストに収載されており、収載され
ていない国の患者さんに対しても、Named Patient
「メパクト」の
Program ※ を 通じて 提 供して います 。
2010 年度の売上は 3.8 百万ユーロであり、TPEU 社
武田トルコ有限会社の会社設立に関する記者発表会
欧州市場の業績
売上高
主力製品「アクトス」売上高
(億円)
(億円)
1,729
1,800
1,200
200
600
100
0
’
09
’
10
295
300
年度
0
’
06
’
07
’
08
’
09
’
10
年度
(注)2010年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関す
る会計基準」等を適用しました。比較を容易にするため、
2009年度は改正後の区分に組み替えて表示しています。
Takeda Annual Report 2011
57
マーケティング
アジア市場(日本を除く)
業績概況
6
8
7
となります。TPAsia 社
については、今後、
「フ
2
アジアの販売拠点
ィリピン・インドネシア・
タイ」の販売子会社を
4
3
統括し、引き続き最適
1
【販売統括会社】
な 販 売・マ ー ケティン
グ戦略を推進していき
5
1 武田ファーマシューティカルズ・
TPAsia社 社長 アジア株式会社(シンガポール)
ステファン・ジーグラー(Stefan Ziegler)
ます。
【販売拠点】
2 台湾武田株式会社
主力製品の2010年度実績
3 タイ武田株式会社
4 フィリピン武田株式会社
アジア市場の売上は、主力製品の伸長と、タイ武田
5 インドネシア武田株式会社
6 天津武田薬品有限公司
移しています。
株式会社の連結子会社化などの寄与により、順調に推
7 武田薬品(中国)有限公司
2 型糖尿病治療剤「アクトス(一般名:ピオグリタゾン
8 韓国武田薬品株式会社
塩酸塩)」は、2010 年より中国ファイザーとのコ・プロ
モーションを開始したことにより、中国市場での売上高
アジア事業運営体制の再構築
が飛躍的に拡大しました。中国では急激な経済発展に
アジア市場においては、2009 年度より武田ファーマ
伴う生活様式の変化などにより糖尿病患者さんの増加
シューティカルズ・アジア株式会社( TPAsia 社)が販売子
が懸念されており、今後も「アクトス」のさらなる売上
会社を包括的に管理してきましたが、アジア事業を日本・
拡大を見込んでいます。その他、台湾やタイでも大きく
米国・欧州に次ぐ4 本目の柱とするために、事業運営体
伸長しています。
制の再構築を行いました。
前立腺癌治療剤「リュープロレリン」については、3ヵ
アジア販売統括職の平手晴彦が、アジア市場全体の
月製剤の新発売などにより、アジア全域で売上を伸ば
事業運営を統括し、
「中国・韓国・台湾・インド」について
しています。
は、アジア販売統括職が直接、事業遂行を指揮する体制
アジア市場の業績
売上高(アジア他)
(億円)
主力製品「アクトス」売上高(アジア他)
(億円)
287
300
200
30
100
15
0
’
09
10
’
年度
(注)2010年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関す
る会計基準」等を適用しました。比較を容易にするため、
2009年度は改正後の区分に組み替えて表示しています。
58
Takeda Annual Report 2011
42
45
0
’
06
’
07
’
08
’
09
10
’
年度
中国市場における事業基盤の強化
武田薬品(中国)を通じて、
「アクトス」や「リュープロレ
ス拡大が重要課題の一つとなっており、現在の売上を
リン」を中心とした既存品を幅広く浸透させるとともに、
2015 年度に10 倍以上へ拡大するために、事業基盤の
2 型糖尿病治療薬「 SYR-322(一般名:アログリプチン
強化を加速しています。
安息香酸塩)」、不眠症治療薬「 TAK-375(一般名:ラメ
2011 年 7 月に武田(中国)投資有限公司の 100% 出
ルテオン)」、さらに高血圧症治療薬「 TAK-491(一般
資の販売会社として、武田薬品(中国)有限公司(武田薬品
名:アジルサルタン メドキソミル)」などの新製品を早期
(中国))を設立しました。2011 年 1 月に100% 子会社
に市場に投入します。それらのプロモーションを行う営
化した天津武田薬品有限公司(天津武田)の販売・マー
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
「 11-13 中期計画」では、中国市場におけるプレゼン
業人員を大幅に増員することも計画しています。
ケティング機能は、今後、武田薬品(中国)に段階的に移
管され、天津武田は製造に特化する会社となります。
インド市場への進出について
2010 年 10 月に、中長期的観点からのインドへの進
出基本計画を策定しました。今後も急速な成長が見込
まれるインドの医薬品市場におけるプレゼンスの確立に
加えて、研究開発や製造などに関する高い技術力、コス
ト競 争 力 ならびに I T サ ービスを 活 用 することにより
「 11-13 中期計画」に総合的に寄与する各種施策を検
討しています。2010 年 3 月には、市場調査・プロジェク
ト管理を目的として、インド武田薬品株式会社を設立し
ました。
天津武田薬品有限公司 北京事務所
中国市場における事業基盤の強化
中国市場における成長戦略
製品拡充
2010年2月
ファイザー社との「アクトス」のコ・プロモーション開始
2011年1月
天津武田薬品有限公司を100%子会社化
●市場で評価が確立している既存品の伸長
●グローバル治験に中国を組み込み、新製品を早期投入
販売体制強化
●新事業運営体制のもと、販売網を強化
●営業人員を増員し、幅広い地域に営業網を展開
2011年2月
2型糖尿病治療薬「SYR-322」の
臨床第Ⅲ相試験を開始
2015年度の
営業人員
2011年3月
900人
武田(中国)投資有限公司を設立
2011年7月
現在の営業人員
中国における新販売会社として
武田薬品(中国)有限公司を設立
250人
(注)営業人員の増員の見通しについては、
「11-13 中期計画」に基づいています。
Takeda Annual Report 2011
59
マーケティング
Interview
about Asian Market
アジア市場における成長戦略について
Q1
A1
ナイコメッド社の統合によるアジアの成長戦略への影響は?
ナイコメッド社の販売力や多様な製品のもつポテンシャルを
中国事業、インド事業の展開に組み込んでいきます。
タケダの中国における2010 年度の売上高は 23 億
浸透させるとともに、新製品を早期に市場投入すること
円でしたが、ナイコメッド社の売上高が加わると約 130
で、さらなる成長を目指していきます。
億円となり、プレゼンスが拡大されることになります。
インドにおいてナイコメッド社は、研究と生産の拠点
2010 年 3 月に設立した武田(中国)投資有限公司は、
は持つものの、販売拠点は持っていません。インド市場
複数の事業会社を統括する戦略的な活動を可能にし、
での早期プレゼンス確立に向けて、タケダの新製品およ
中長期的な観点からは、さらなるプレゼンスの拡大・市
びナイコメッド社の多様な製品を適切な価格で市場に
場浸透を目的としています。経営資源を積極的に先行
投入していくために、現地企業とのライセンシングや包
投資し、タケダおよびナイコメッド社の既存品を幅広く
括的提携も検討していきます。
Q2
A2
中国市場におけるポートフォリオ戦略を教えてください。
既存品を幅広く浸透させるだけでなく、
2 型糖尿病治療薬「 SYR-322 」などの新製品を早期に投入します。
2型糖尿病治療薬「SYR-322(一般名:アログリプチン
武田薬品(中国)有限公司では、医薬品輸入・卸販売許
安息香酸塩)
」、不眠症治療薬「TAK-375(一般名:ラメルテ
可を取得しており、完成品の輸入も可能です。天津武田
オン)
」については、中国において現在、臨床第Ⅲ相試験を
薬品有限公司による現地製剤・包装化を行った製品に加
実施しています。高血圧症治療薬「TAK-491(一般名:アジ
えて、完成品輸入のオプションを持つことになり、医療用
」などの投入も予定しています。
ルサルタン メドキソミル)
医薬品の製品ラインアップ拡充に向けた柔軟な対応を
取ることができます。
さらに、一般用医薬品事業についても、
「アリナミン」
ブランドなどによる中国への進出について、本格的に検
討していきます。
2015年時点でのアジア市場の構成予測
Copyright 2011 IMS Health. All rights reserved.
出典: IMS Market Prognosis 2011-2015 無断転載禁止
オーストラリア 4.8%
その他
韓国 4.9%
11.0%
日本
38.1%
インド 8.2%
中国
33.0%
アジア販売統括職 平手 晴彦
Haruhiko Hirate
60
Takeda Annual Report 2011
ヘルスケア事業(一般用医薬品・医薬部外品)
業績概況
セルフメディケーション時代における、生活者の良きパートナーとなるために。
タケダでは、医薬事業の一翼を
主要ブランドにおける取り組みを加速
担う一般用医薬品( OTC 医薬品)
を、将来のセルフメディケーション
時代を見据えた重要なカテゴリー
であると考え、ヘルスケア事業を
です。アリナミン」をキーワードとしたブランド広告ととも
2010 年度の OTC 市場は、夏
でいただくことをテーマに各製品コンセプトを展開して
のプラス要因があったものの、景
気の足踏み状態が続くなかで個人消費が上向かず厳し
い状況となりました。長期的に見ると、今後さらに高齢化
いきます。お客様のより多くのニーズにお応えするため、
錠剤の「アリナミンA」
・
「アリナミンEXプラス」、
ドリンク剤
の「アリナミンV」
・
「アリナミンR」などの商品ラインを取り
揃え、より幅広い層のお客様の生き生きとした毎日の生
活に貢献できるよう努めていきます。
「ベンザ」ブランドでは、
「 ベンザブロックS 」
「ベンザブ
が進むに従い、OTC 医薬品の社会的役割の重要性が増
ロックL 」
「ベンザブロックIP 」の 3 ラインを中心に、
「カゼ
すとともに、人々の健康に対する意識も高まることが考え
のタイプに合わせて選べるカゼ薬シリーズ」
としての認知
られます。このような市場環境においては、有効かつ安全
度をさらに高めていきます。
で良質な製品を供給することに加え、医薬品の情報提供
を確実に行うことが、
ますます重要になってきます。
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
Masashi Sugimoto
ション活動を展開します。マスコミ宣伝は、
「おつかれさま
に、お客様それぞれの「疲れ」に合ったアリナミンを選ん
要の増加、花粉飛散量の増加など
杉本 雅史
「疲れ対策の代名詞」となるべく、積極的なコミュニケー
推進しています。
の猛暑・タバコ増税による禁煙需
ヘルスケアカンパニープレジデント
「アリナミン」ブランドでは、
「 アリナミン」がお客様の
「ニコレット」シリーズでは、社会問題ともなっている禁
煙ニーズにお応えするOTC 禁煙補助剤ブランドとして、
さらなる市場浸透を推進します。
現代社会にマッチした新たな活動の展開
関節痛・神経痛に効く
「アクテージAN 錠」、肩・首すじのこ
億円(対前年3.5%増)
となりました。
りや痛みに効く
「アクテージSN錠」、外用鎮痛消炎貼付剤
2010年度は、iPhone※ 向けに肩こりや頭痛などの気に
「ハイシー ドリンク」
局所の悩みに対応できる「アクテージ」シリーズでは、
2010年度のタケダの一般用医薬品の売上高は、603
なる自覚症状の原因と対処方法を分かりやすく紹介するア
「貼るアクテージミニ」
「貼るアクテージL」を販売し、体の
内側からと外側からとで対処法を選べるシリーズとして、
お客様のニーズにお応えしていきます。
プリの無料配信や、
これらの対処方法・解決手段を発見でき
る売り場づくりの提案など、お客様のニーズが多様化する
状況のなかで、現代社会にマッチした新しい切り口による情
報提供・提案活動を展開しました。
「ストレージタイプ H」
※iPhoneは、
Apple Inc.の商標です。
「ハイシーブランド」シリーズでは、2011年7月に発売
した「ハイシードリンク
(販売名:ポリタンC )」を製品ライ
ンに加え、
「きれいな肌と元気な体でいつも輝いていられ
る私に」をコンセプトに、多様なライフコースのなか、美容
も健康も仕事もプライベートも充実させたい女性を応援
するブランドとして存在価値を高めていきます。
生活者の良きパートナーに
タケダは今後も「アリナミン」や「ベンザ」
といった基幹
「アリナミン V」「アリナミン R」
「アリナミンA」 「アリナミンEXプラス」
「アクテージSN錠」 「アクテージAN錠」
ブランドを中心に据えながら、タケダの強みである研究・
製造・販売の総合力を生かし、従来から取り組んでいるお
客様への適切な情報提供活動をさらに進化させ、健やか
な毎日の暮らしを願う生活者の良きパートナーとして、
「ベンザブロックS」 「ベンザブロックL」
「ベンザブロックIP」
「貼るアクテージ ミニ」 「貼るアクテージ L」
事業活動の充実に努めていきます。
Takeda Annual Report 2011
61
知的財産
優れた医薬品を継続的に提供し、社会に貢献するための、
「知的財産」活動を推進しています。
「新たなタケダへの変革」の実現に向けて
事業を支える知的財産権
当社の事業を支えている医薬品は、さまざまな智恵
タケダは、
「新たなタケ
により、研究開発・上市され、世界の人々の手に届けられ
ダへの変革」の実現に向
ています。このような智恵の結集により生まれた成果を
けて、
「革新への挑戦
( Innovation )
」、
「活力
保護する手段が、知的財産権です。
知的財産権には、特許権、商標権などといった権利が
ある企業風土の創造
ありますが、
このうち特許権が医薬事業の技術を保護す
(Culture)
」および「持続
る基盤であり、ブランドを保護するのが商標権です。医
的な成長( Growth )
」
を
薬品は創薬から承認申請に至る研究開発が十数年と長
経営方針(ビジョン)に掲
期間にわたり、製品として発売される成功確率が非常に
げています。
低く、多額の研究開発費を要するという特徴がありま
知的財産部では、
これらを達成するための研究開発、ア
す。このようにして生み出された医薬品を、特許権で保
ライアンス、
マーケティングといったタケダにおける事業活
護し、研究開発投資を回収していくことが、医薬事業継
動を、次の4つを柱とする活動によりサポートしています。
続の源泉です。
① 製品・パイプラインの保護
医薬品を保護する特許権には、有効成分自体を保護
② アライアンスサポート
する物質特許をはじめとして、有効成分の用途、有効成
分の製法、製剤等を保護する各種特許があり、一般的に
知的財産部長 奥村 洋一
Yoichi Okumura
③ 広域国での権利保護
④ 知的財産機能のグローバル体制の構築
は各種特許によりその医薬品の事業は総合的に保護さ
「新たなタケダへの変革」を実現するためには、
とりわ
れています。なかでも基本特許である物質特許の重要
け、パイプラインの強化および進出地域の拡大と新規進
性は非常に高く、事業の成否は物質特許の権利取得状
出国・新興国市場での成長が重要な課題となります。そ
況によって大きな影響を受けます。
こで、研究開発統括職のもと、医薬研究本部、CMC 研究
なお、特許権は一般に特許出願日から20 年で満了しま
センター、医薬開発本部との強固な連携による機動的な
すが、医薬品に関する特許権は承認手続きに必要となった
活動を行っており、今後もより一層、パイプラインの強化
期間に応じて、権利存続期間の延長対象となる場合があり、
に貢献します。一方で進出地域の拡大に合わせて、中国
最長5年の存続期間の延長が認められる場合があります。
などのアジア地域における事業活動をサポートするため
知 財 サ ービスの 充 実を図りま
す。さらに知的財産部は、抗体
知的財産活動における 4 つの柱
医薬や核酸医薬等のバイオ医
薬品のみならず、予防医療、テ
●革新への挑戦(Innovation)
●活力ある企業風土の創造(Culture)
●持続的な成長(Growth)
医薬といった将来の創薬イノベ
知的財産部
グランドデザイン
ーションに向けた研究開発にお
ける技術保護を行うことにより、
製品・
パイプラインの
保護
アライアンス
サポート
広域国での
権利保護
他部門との密接な連携・信頼感の醸成
人財育成、職場の風土改革、ダイバーシティ
62
ーラーメイド医療あるいは再生
Takeda Annual Report 2011
知的財産
機能の
グローバル体制の
構築
会社事業をサポートします。
グローバル知的財産体制
日・米・欧の知的財産拠点
サンフラン
シスコ
ケンブリッジ
ロンドン
欧州
州
シカゴ
ケンブリッジ
東京
湘南
サンディエゴ
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
米国
日本
知的財産権に関するリスク
28日)を得ることができました。知的財産部はこういった
保有する知的財産権が他者に侵害された場合には、期
改良技術の保護も適切に行うことにより、製品ライフサ
待される収益が失われる可能性があります。タケダでは、
イクルも延長し、継続的な事業活動を支援します。
特許権をはじめとする知的財産権を適切に管理し、他者
による侵害にも常に注意を払っています。また、
タケダの
グローバル知的財産体制
自社製品等が他者の知的財産権を侵害することのない
「持続的な成長」の実現を目指すタケダでは、医薬品
よう、研究・開発段階から十分な調査を実施し、自社・他者
市場の約40%を占める米国(シカゴ、サンディエゴ、サン
双方の知的財産権を尊重した活動を推進しています。こ
フランシスコ、ケンブリッジ)、および約 30%を占める欧
のような活動を通じて、会社事業の持続的な成長のみな
州(ロンドン、ケンブリッジ)に知的財産に関わる機能を
らず、世界中の国々におけるタケダ製品の安定的な供給
保有しており、日本を含む三極を拠点に、
グローバルな
に寄与します。
視点から競合品・後発品への対応策として、ケースに応じ
自社品・競合品の特許満了によるその後発品、および
た「予防」、
「 攻撃」、
「 防御」を柔軟に進めています。さら
競合品のスイッチOTC 薬の出現などにより、国内外、特
に、タケダは自社製品の保護強化のみならず、第三者へ
に米国での競争環境が厳しいものになってきています。
のライセンスを含めて知的財産権の有効活用に努めて
このような状況に対し、
タケダは、効能追加や剤型変更等
いきます。
の製品改良を通して、患者さんにより有益な医薬品を継
として知的財産部は、知的財産制度の適切な運用を追求
ライフサンエンス分野における
研究開発の発展のために
することにより改良技術の保護を図っています。これまで
タケダでは、ライフサイエンス分野における研究開発
の特許延長制度では、同一の有効成分と効能・効果の医
のさらなる発展のため、産業政策に沿った知的財産制度
薬品が既に存在している場合、
ドラッグデリバリーシステ
の推進、発明の保護と権利の活用が重要であると考え
ム
(DDS)製剤のような新しい有益な製剤であっても、そ
ています。この目的達成のために、タケダは、政府をはじ
れだけでは延長が認められませんでした。
しかしタケダ
めとした関係省庁および関係団体と積極的な協力・協議
は、既存の枠組みにとらわれることなく、法廷の場での議
を 推 進し て おり 、さら に は 、国 際 製 薬 団 体 連 合 会
論を通して、自社のDDS製剤について特許延長を認める
(IFPMA)などとともに、国際レベルでの知的財産に関す
続的に提供できるように努力を続けています。その一環
初の最高裁判決(平成 21(行ヒ)326・平成 23 年 4 月
る課題に取り組んでいます。
Takeda Annual Report 2011
63
品質保証体制
優れた品質の医薬品を、安心してご使用いただくために。
文化・宗教の違いや、偽造医薬品問題までを考慮に入れて、
「グローバル製薬企業」にふさわしい品質保証体制を構築しています。
基本的な考え方
グローバル「質」保証ポリシー
タケダは、法令・規制の遵守はもとより、安全で高品
タケダは、
リスク管理、危機管理を含む品質保証活動
質の製品を患者さんや消費者の皆さまにお届けし、安
のあり方を包括的に示す指針として、2008 年に、
グロ
心して使用していただけることを最優先の課題として
ーバル「質」保証ポリシーを制定し、国内外全てのタケダ
品質保証・安全管理の体制を構築しています。研究から
グループが遵守しています。
始まり、臨床試験、製造、物流、適正使用情報の提供、市
品質保証監査室は、タケダグループの品質保証の要
販後に製品が広く使われていく過程で得られる安全性
として、
このようなポリシーや関連するガイドラインを策
および品質に関する情報収集・解析までの製品ライフ
定し、
グループ内に周知徹底することを通じてグローバ
サイクル全体にわたり、各国の品質保証部門と連携を
ル製薬企業としての品質保証体制の整備・構築を推進
取りながら、グローバルなレベルで全ての業務の信頼
しています。
性の確保に努めています。
タケダの考える「質」とは
①原材料・原薬・治験薬・製品、および流通段階での
規格適合性
②完結した正確な情報(製品プロファイルを構成
する情報の取得、記録、文書化、ならびにコンピ
ューター化システムを含めた検証)
③顧客への時宜を得た情報伝達(効能・効果、用
法・用量および使用上の注意)
品質保証監査室長 猪狩 康孝
Dr. Yasutaka Igari
顧客満足実現のための「質」保証のサイクル
経営理念
優れた医薬品の創出を通じて
人々の健康と医療の未来に貢献する
実 現
顧 客 満 足
具現化
①効果
②安心
タケダ・グローバル行動規準
③使いやすさ
④適正使用情報の充実
組織・経営幹部を含む「質」保証のあり方の規定
タケダ製品のグローバル「質」保証ポリシー
目 標
64
Takeda Annual Report 2011
製品ライフサイクル全体にわたる品質保証体制
生する可能性があります。タケダは、医薬品による健康被
■ 研究、非臨床試験
害を未然に防ぐための情報収集、評価を世界的なレベル
国ごとに定められているGLP(医薬品の安全性に関
で適切に行い、可能な限り発生の防止に努めています。
する非臨床試験の実施の基準)を遵守し、試験およびデ
■リスクマネジメント協議会
ータ管理を厳密に実施しています。
タケダは、文化・宗教の違いや政治・経済・社会環境に由
日米EU医薬品規制調和国際会議が定めたICH-GCP
(医薬品の臨床試験の実施の基準)
を遵守するとともに、
来する各国特有の状況、偽造医薬品問題などに対応す
るために、品質保証監査室が主催する「リスクマネジメン
ト協議会」
( CREAM:Council for Risk Evaluation
それぞれの国や地域に適用される規制要件、社内基準お
And Mitigation)を設置しています。
よび治験実施計画書に従って実施しています。
■ 放射性物質による汚染の防御対応
■ 治験薬および医薬品の製造
治験薬および医薬品製造に関する規制要件である
GMP(医薬品などの製造管理及び品質管理に関する基
準)の最新情報を取り入れ、遵守し、世界各地のどの生
産拠点で製造された医薬品も、国際的に通用する品質
を確保しています。
医 薬 事 業 を 通じた 貢 献
■ 臨床開発
タケダは、文部科学省の発表している環境放射線量
の推移などを参考に、福島第一原子力発電所の事故に
由来する放射性物質の拡散による医薬品の製造・供給
への影響を調査し、その結果をもとに医薬品に対する放
射性物質汚染を防ぐための方策を立てています。リスク
があると考えられるエリアで製造された原薬、製剤原
料、および包装材料については、放射線量のチェックを
■ 市販後の品質管理
行い、放射性物質による汚染のない原薬、製剤原料およ
医薬品の発売後は、製品出荷前の品質管理を確実に
び包装材料を使用することとし、製造施設・製造環境へ
行うのみならず、市場に出た製品の品質に関する情報を
の放射性物質の混入を防いでいます。さらに委託先で
収集し、調査と評価を行うことで潜在的な問題点の早期
製造した製品の放射線量のチェックも行い、安全な製品
検知と継続的な品質改善に努めています。また、日本に
を安定供給できるようにしています。
おいては、薬事法に定められているGQP(医薬品など
の品質管理の基準)も遵守しています。
■ 医薬品の安全性監視
タケダ製品における放射性物質汚染防御の仕組み(概念図)
原 薬
製剤原料
包装材料
開発段階から安全性の情報を収集し、医薬品の発売
後も継続して世界中の患者さんや医療従事者の方々か
放射線量のチェック
ら安全性の情報を収集し、調査と評価を行うことで、適
タケダの製造施設
委託製造施設
正使用方法とともに最新の安全性情報を適時・適切に医
療機関・販売会社にお届けするファーマコビジランス
製 品
活動を実施しています。また、日本においては、薬事法に
放射線量のチェック
定められているGVP(医薬品などの製造販売後の安全
倉 庫
管理基準)も遵守しています。
放射線量のチェック
リスク管理、危機管理
安心、安全なタケダ製品(国内、海外へ)
医薬品の品質管理、安全管理に万全を期していても、
想定されていなかった製品の不具合、
または副作用が発
関連情報
P.90 偽造医薬品対策
「品質保証体制」の詳細は、
「 CSR データブック」
( PDF 版)に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
65
ステークホルダーとの関係
「いのち」に携わる企業として、
また良き企業市民として、
世界の人々に貢献し続けること。
それこそが、タケダの存在意義であると考えます。
67 CSRの基本的な考え方
68 国連グローバル・コンパクト
69 ISO26000
70 ステークホルダー重視の情報開示/
GC10原則とISO26000の関連付け
◆基本的な考え方と主な活動内容
66
72
組織統治
74
人権
78
労働慣行
82
環境
88
公正な事業慣行
90
消費者課題
92
コミュニティ参画および発展
Takeda Annual Report 2011
タケダの CSR活動
「いのち」に携わる企業の社会的責任を果たすために、
グローバル社会が直面する課題に取り組み、
国際標準として要請される項目に基づいて報告します。
CSR の基本的な考え方
CSR 活動に関する
タケダが考えるCSRの根幹と
規範フレームワーク
は、経営理念である「優れた医
薬品の創出を通じて人々の健
康と医療の未来に貢献する」こ
とにあります。本業を通じて、患
者さんや医療従事者の皆さま
[原則]
グローバル企業として
最も重要な責任であると考えます。
尊重すべき普遍的原則
他方、
タケダは、
「健全な社会のサステナビリティ
(持続
点についても、230年間の歴史を通じて認識を深めてい
ます。特に、事業のグローバル化に伴い、企業市民として
26000
[対話]
[推進]
説明責任を果たすための
社会的責任に関する
プロセスを示したガイドライン
国際ガイダンス規格
の視点がこれまで以上に重要になると認識しています。
2009 年には国連グローバル・コンパクトに参加し、
「人
ISO
AA1000
可能性)なくして自社のサステナビリティはない」という
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
のお役に立つことが、タケダが果たすべき社会に対する
権」
「労働」
「環境」
「腐敗防止」から構成される10原則を
支持するとともに、企業活動全般に取り入れています。
CSRの推進にあたっては、社会的責任に関する国際ガ
GRI
イダンス規格「ISO26000」を参考としています。また、
ガイドライン
G R I ガイドラインを 参 考 にして 開 示 項 目 を 選 定し、
AA1000 のスキームに基づいてステークホルダーとの
対話を深めるなど、国際社会の要請に応える内容を備え
[開示]
持続可能性報告の枠組みを
示したガイドライン
たCSR活動の充実に努めています。
CSRとサステナビリティ(持続可能性)の関係
CSR 活動=経営理念の実践
持 続 可 能な 社 会
「企業市民」としての活動
持 続 可 能な 企 業
タケダイズムに基 づく
﹁ 誠 実 ﹂な 事 業 経 営
「企業」としての活動
●優れた医薬品の創出
(CSR活動の根幹)
●ステークホルダーに対する取り組み
●医療の発展に向けた基盤整備
Takeda Annual Report 2011
67
タケダの CSR活動
国連グローバル・コンパクトの 10 原則を支持し、
社会的責任に関する国際規格に準拠して、企業活動全般に反映させています。
[国連グローバル・コンパクト]
国連グローバル・コンパクト( GC )とは、企業が責任
エンゲージメント活動
ある企業市民として、自主的に行動することを促すため
■ 国連GC・リーダーズ・サミット(2010年6月:ニューヨーク)
の世界的な枠組みです。参加する企業・団体は、
「 人権」
世界各国から1,000 名を超える企業、NGO 、国際機
「労働」
「環境」
「腐敗防止」から構成される 10 原則の
関のリーダーが集まり、
「 社会の持続可能性向上のため
支持、実践が求められます。タケダは、2009 年に国連
に企業が行うべきことは何か」について話し合われまし
グローバル・コンパクトに参加し、GC10 原則を企業活
た。長谷川閑史社長からのメッセージが会議初日に配布
動全般に取り入れて、ステークホルダーとの関係を深
された「社会のサステナビリティと国連 GC の今後」に関
めています。
する調査報告書に掲載され、
タケダの品質監査への取り
組み事例がパンフレットで紹介されるなど、積極的な情
「 LEADプログラム」への参加
報発信を行いました。
タケダは、2011 年1月に立ち上げられた「 LEADプロ
■ 国連GC10周年記念シンポジウム(2010年11月:東京)
グラム」のメンバーとなりました。LEAD プログラムに
幅広い分野から約 300 名が参加し、これからの国連
は、約 50 社のグローバル企業が参加しており、
「 Blue
グローバル・コンパクトのあり方について議論が交わされ
Print 」と名付けられた文書にまとめられた、国連グロー
ました。タケダは、
「人間の安全保障とCSRの関係」
という
バル・コンパクトの理念の実践と普及をリードする活動
テーマで講演を行い、
コレクティブ・アクション
(複数企業
を実行することが求められます。2011 年から2012 年
による協同行動)の重要性に関する提言を行いました。
にかけての 2 年間は、LEADプログラムのパイロット期間
と位置付けられており、国際的なミーティングによる協
議や成果の共有が進められます。
■ 国連GC年次総会(2011年6月:コペンハーゲン)
LEADプログラム事務局からの依頼で、
「タケダ・イニ
シアティブ」
(アフリカにおける保健医療人材の育成強化
を目的とした寄付プログラム)
をはじめとしたCSR活動に
ついて、他の LEADプログラムメンバーに対して情報提
供を行いました。タケダは、
これからもさまざまな企業と
幅広く連携しながら、国連グローバル・コンパクトの理念
の普及を支援し、CSR活動の充実を図っていきます。
LEADプログラムのメンバーに求められる活動内容
国連グローバル・コンパクトの10原則を
経営戦略に反映させ
事業活動において実践すること
国連グローバル・コンパクトを
普及する活動に積極的に関与すること
国連が掲げる幅広い目標と課題について
支援する活動を行うこと
2011年 国連グローバル・コンパクト年次総会(コペンハーゲン)
68
Takeda Annual Report 2011
[ ISO26000 ]
ISO26000とは、2010 年 11 月に国際標準化機構
課題や地域社会の課題への取り組みを強化してきまし
が発行した、社会的責任に関する国際ガイダンス規格で
たが、国際社会の要請へのさらなる対応を図るために、
す。その開発にあたっては、90を超える国と40を超え
ISO26000 の発行を機に、CSR の体系を整理すること
る地域機関のエキスパートが関与する「マルチステーク
としました。
ホルダーアプローチ」という手法が採用されました。
2011 年度からは、ISO26000 の 7 つの中核主題を
ISO26000 では、全ての組織が取り組むべき7 つの
推進の枠組みとしたうえで、
「デューディリジェンス」と
中核主題を掲げており、それぞれの中核主題には、社会
「ステークホルダー・エンゲージメント」を重視し、CSR
活動を実践していきます。また、
これに伴い、本レポート
的責任のさまざまな課題が含まれています。
の編集にあたっては、中核主題のうち、製薬企業に求め
られる「人権」分野に着目し、
「 デューディリジェンス」の
タケダでは、グローバル製薬企業として、さまざまな
観点から、製薬企業のバリューチェーン全体における人
ステークホルダーの期待にお応えし信頼関係を築いて
権課題について整理し、開示しています。
いくために、従来より「社会との関係」
「環境との関係」
なお、2010 年 9 月には、ISO26000 の考え方を踏
「お取引先との関係」
「従業員との関係」を主要な分野
まえて、日本経済団体連合会の「企業行動憲章」が 6 年
として、国連グローバル・コンパクトの 10 原則との関連
ぶりに改定されましたが、タケダは企業行動委員会企
性を明確にする形で取り組み内容を策定し、CSR 活動
画部会長を務める企業として、その内容の検討にあた
を推進してきました。そのなかで、
グローバルな社会的
りました。
関連情報
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
デューディリジェンスへの対応
P.72 デューディリジェンス
ISO26000の7つの中核主題
コミュニティ参画
および発展
人権
組織の活動場所であるコミュニテ
組織が尊重すべき、全ての人に与
ィへの参画と、その発展への貢献
えられた基本的権利について
について
消費者課題
組織統治
労働慣行
製品およびサービスを消費者に提
組 織 が そ の 目 的 を追 求 するうえ
組織内で行われる労働に関する全
供する組織に関する、消費者に対
で、決定を下し、実施するときに従
ての方針および慣行について
する責任について
うシステムについて
公正な事業慣行
環境
組織が他の組織と取引を行ううえ
組織の活動が環境に与える直接的
での倫理的な行動について
および間接的影響について
「CSR活動の目標と実績」については、
「CSRデータブック」
(PDF版)
に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
69
タケダの CSR活動
社会的責任に関する国際規格「 ISO26000 」の中核主題に従って、
タケダの CSR 活動の取り組み内容を開示します。
ステークホルダー重視の情報開示
GC10原則とISO26000の関連付け
タケダでは、
「 経済的責任」と「社会的責任」を両
GC10 原則とISO26000 の中核
輪とした事業活動をご理解いただくため、アニュア
主題との関連付けにつ い ては、国 連
ルレポートを中心的なメディアと位置付け、財務情
グローバル・コンパクト事務局が発行して
報と非財務情報をバランスよく開示するよう努めて
いる「An Introduction to Linkages
います。そのうえで、さまざまなメディアを複合的に
between UN Global Compact
活用して、ステークホルダーそれぞれに異なる関心
Principles and ISO 26000 Core
のあり方に対応した、情報開示に努めています。
Subjects」を参照しています。
「アニュアルレポート」
財務情報とCSR 活動などの非財務情報を総合的に開示しています。
タケダは、2006年度より、
アニュアルレポートにCSR活動などの非財務情報を取り
入れた統合レポートを発行し、株主・投資家の皆さまをはじめとするステークホルダー
の方々への積極的な情報開示に努めています。
タケダのホームページから、ダウンロードしていただけます。
http://www.takeda.co.jp/investor-information/
「 CSRデータブック」
( PDF 版)
タケダの CSR 活動の詳細について開示しています。
ステークホルダーの方々へのさらなる説明責任を果たすために、
アニュアルレポート
に掲載した情報により包括的かつ詳細な情報を加えて再編集した「CSRデータブック」
(PDF版)
を作成しています。
タケダのホームページから、ダウンロードしていただけます。
http://www.takeda.co.jp/csr/
「ホームページ」
タケダの企業活動全般の情報をタイムリーに開示しています。
会社案内、株主・投資家向け情報、CSR 活動、研究開発活動、健康と薬、採用に関す
る情報などを総合的に開示しています。ステークホルダーとの関係づくりを深めるた
めに、テーマごとに情報をまとめた特設サイトも作成しています。
http://www.takeda.co.jp/
■特設サイト
Access to Healthcare
長期療養の子どもたち支援
京都薬用植物園
関連情報
70
Takeda Annual Report 2011
武田科学振興財団
P.31 タケダのステークホルダー/主な対話方法
ISO26000 の中核主題 対照表
GC10原則を踏まえたタケダのCSR活動を、ISO26000の中核主題に基づいて分類し、以下のように掲載しています。
ISO26000 の中核主題
課題
課題 1:組織統治
組織統治
アニュアルレポート 掲載ページ
P.72∼73
CSRマネジメント/デューディリジェンス
ステークホルダー・エンゲージメント
P.99 コーポレート・ガバナンス
課題 1:デューディリジェンス
課題2:人権に関する危機的状況
人権
課題3:加担の回避
課題4:苦情解決
課題5:差別及び社会的弱者
課題6:市民的及び政治的権利
課題7:経済的,
社会的及び文化的権利
GC
原則1∼6に該当
課題8:労働における基本的原則及び権利
労働慣行
課題2:労働条件及び社会的保護
課題3:社会対話
課題4:労働における安全衛生
P.21 ダイバーシティの推進
P.78 労働慣行
P.89 CSR購買ガイドライン
P.90 偽造医薬品対策
P.100 コンプライアンス
P.78∼81
グローバル人事ポリシー
グローバル人材育成
グローバル従業員サーベイ
タケダイズムの共有
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
課題 1:雇用及び雇用関係
P.74∼77
バリューチェーン全体における人権課題
バリューチェーン全体における取り組み
従業員に対する取り組み
ワークライフバランス
障がい者の活躍の支援
従業員の健康と安全
労働組合との関係
課題5:職場における人材育成及び訓練
GC
原則3∼6に該当
P.21 ダイバーシティの推進
課題 1:汚染の予防
環境
及び自然生息地の回復
課題 1:汚職防止
P.88∼89
課題2:責任ある政治的関与
公正な事業活動に向けて/業界における取り組み
バリューチェーンにおける社会的責任
課題3:気候変動の緩和及び気候変動への適応
課題4:環境保護、生物多様性、
GC
原則7∼9に該当
公正な
事業慣行
GC
原則3∼10に該当
課題3:公正な競争
課題4:バリューチェーンにおける社会的責任の推進
課題 5:財産権の尊重
P.62 知的財産
P.100 コンプライアンス
課題 1:公正なマーケティング、事実に即した
P.90∼91
偏りのない情報、及び公正な契約慣行
偽造医薬品対策
情報提供
課題2:消費者の安全衛生の保護
課題3:持続可能な消費
消費者課題
P.82∼87
環境マネジメント
環境リスクの低減
気候変動/水資源問題/生物多様性
化学物質排出量の削減
大気・水質の保全/廃棄物削減
課題2:持続可能な資源の利用
課題4:消費者に対するサービス、支援、
並びに苦情及び紛争の解決
課題5:消費者データ保護及びプライバシー
P.48 生産体制
P.50 マーケティング
P.64 品質保証体制
課題6:必要不可欠なサービスへのアクセス
課題7:教育及び意識向上
コミュニティ参画
および発展
課題 1:コミュニティへの参画
P.92∼97
課題2:教育及び文化
企業市民活動の方針
途上国の保健医療支援
タケダグループ各社の取り組み
NGO/NPOとの協働
企業財団
東日本大震災による被災地への支援
課題3:雇用創出及び技能開発
課題4:技術の開発及び技術へのアクセス
課題5:富及び所得の創出
課題6:健康
課題7:社会的投資
Takeda Annual Report 2011
71
組織統治
組織統治
基本的な考え方
「 ISO26000 」には、
「組織統治とは、組織がその
タケダにとっての「目的」とは、経営理念に掲げてい
目的を追求する上で、決定を下し、実施するときに従う
る通り「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医
システム」のことであり、社会的に責任ある行動を目指
療の未来に貢献する」ことであり、その実現に向けて、
す組織は「社会的責任の原則を実践することを可能と
内部統制の整備に努めてきました。現在、グローバル
するような、組織統治のシステムをもっているべきで
製薬企業としての事業展開を加速するなか、ガバナンス
ある」と明記されています。
のさらなる強化を進めています。
[ CSRマネジメント]
[デューディリジェンス]
CSR 推進体制
事業活動が及ぼす影響に関する取り組み
タケダは、CSR 活動を推進する専門組織をコーポレ
タケダは、人々の「いのち」に携わる製薬会社として、
ート・コミュニケーション部内に設置しています。この組
自社の事業活動から発生する社会や環境に対する影響
織は、本業の医薬品の品質・安全性を管理する部署の
について、潜在的な影響を含めて特定したうえで、適切
ほか、社会、環境、人権、調達などのグローバル・ガバナ
に対処していきたいと考えています。
ンスを担当する社内の責任部署と密接に情報交換を
「人権」については、本レポートのP.74∼77で、バリュ
し、それぞれの部署が日常的に実践しているCSR 活動
ーチェーン全体に関わる影響側面を概観し、
「課題」と
を側面から支援することで、会社全体の活動を底上げ
「取り組み」を開示しています。また、
「環境」については、
する役割を担っています。CSR に関わる重要案件につ
P.82に記載している「環境に関する基本原則」の「 3. 製
いては、
ビジネス案件と同様に、それぞれの責任部署が
品・生産プロセスの環境影響評価」に則って、製品研究、
必要に応じて、業務執行会議や取締役会に報告、提案
技術開発にあたり、事前に、
また常に、製品の研究開発か
する体制をとっています。
ら使用・廃棄に至る全ての過程で環境に与える影響を評
価し、環境への影響を軽減する取り組みを行っています。
CSRに関するマテリアリティ(重要性)の
特定とKPI の設定
デューディリジェンスとは
タケダは、積極的なステークホルダー・エンゲージメ
社会的責任という背景のなかでのデューディリジェンスとは、
ントを通じて、
グローバルな製薬企業に対する期待や要
組織の決定および活動が及ぼすさまざまなマイナス影響を特
定し、回避・緩和するプロセスを意味します。
請を把握するよう努めています。具体的には国連グロ
ーバル・コンパクトや BSR ※ への加盟のほか、CSR 活動
の国際的な評価機関、市民や NGO/NPOとの対話、日
本経団連の CSR 関連委員会や製薬協の各種委員会へ
の参加等を通じて期待や要請を分析します。これに加
えて、
「 ISO26000 」を参考にし、タケダにとっての重
要性も考慮して、活動の重点項目とKPI を決定します。
重点項目とKPI については「 CSR データブック」で開示
しています。KPIについては、環境分野を中心に設定を
進め、改善活動に活用しています。
※BSR(Business for Social Responsibility)
:1992年に米国で発足したCSRに関
する国際的な企業会員組織
72
Takeda Annual Report 2011
関連情報
P.74 バリューチェーン全体における人権課題
P.76 バリューチェーン全体における
人権への取り組み
P.82 環境に関する基本原則
P.99 コーポレート・ガバナンス
[ステークホルダー・エンゲージメント]
「 AA1000 」のスキームに基づいた
ステークホルダー・エンゲージメントの実施
「 ISO26000 」では、社会的責任の二つの基本的な
慣行として、ステークホルダーの特定およびステークホ
ルダー・エンゲージメントを重視しています。
●第 2 回( 2011 年 4 月25 日)
:新たな助成対象団体に
も参加していただき、各団体の活動を社会により広く
「周知」
していくための方策について、さまざまな角度
から話し合いました。
第1回ダイアログでいただいた課題への取り組み
タケダでは、
アカウンタビリティ
(説明責任)
についての
国際規格「 AA1000 」のスキームを参考としてステー
クホルダー・エンゲージメントの充実に努めています。
■課題
1.「 NPO 同士の連携」に対する支援
2.「タケダ従業員の関与」の促進
ステークホルダー・エンゲージメントとは
ステークホルダー・エンゲージメントとは、ステークホルダーの
3.「 長期療養の子どもたちと家族」という社会
的課題に対する認識の向上
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
関心事項を理解し、企業活動や意思決定に反映する取り組み
を意味します。
■課題への取り組み
ステークホルダーとの対話例
タケダでは2009年度に、NPO法人 市民社会創造ファ
「長期療養の子どもたち支援」をテーマとした
特設サイトを開設しました
●特設サイトでは、
「タケダ・ウェルビーイング・プログ
ラム」の内容を説明するとともに、
「 NPO 同士の連
ンドとともに、長期療養の子どもたちとその家族をサ
携」と「社会的課題に対する認識の向上」につなが
ポートする市民活動を応援する助成プログラム「タケダ・
るように、長期療養の子どもたちの支援についての
ウェルビーイング・プログラム」を立ち上げました。直接
的な対話を通じて今後の課題を検証するために、2010
年度より、助成対象団体、市民社会創造ファンド、有識者
の皆さんにお集まりいただいてステークホルダー・ダイ
基礎知識、活動団体の紹介を行いました。
●社内イントラネットを通じてボランティア活動の情
報を発信し、従業員に参加を呼びかけました。
特設サイト「長期療養の子どもたち支援」
http://www.takeda.co.jp/chouki/
アログを開催しています。
●第1回(2010年3月18日)
:助成対象団体の活動に関
第 2 回ダイアログでいただいた課題
する意見交換を行うとともに、
「タケダ・ウェルビーイン
グ・プログラム」の改善点について話し合いました。
1.「 長期療養の子どもたちと家族」という社会
的課題に対する認識の向上(昨年度より継続)
2.「 ファンドレイジング(資金集め)のスキル向
上」など組織基盤強化に対する支援の検討
3.「 スタッフの人件費や研修費に対する助成」
の重要性に関する社会への提言
いただいた課題への取り組みについては、今後発行する「アニュアルレポート」
「CSRデータブック」などでご報告する予定です。
関連情報
P.31 タケダのステークホルダー/主な対話方法
P.68 国連グローバル・コンパクトに対する
エンゲージメント活動
P.96 タケダ・ウェルビーイング・プログラム
第 2 回 ステークホルダー・ダイアログ
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
73
人権
人権
基本的な考え方
タケダは、経営哲学「タケダイズム」に基づき、一人ひ
を受けられる権利を最大限に尊重しています。
とりが「高い倫理観」を持つことを何よりも重視してお
タケダは、人権に関する原則を含む国連グローバル・
り、全ての人の基本的権利である「人権」を尊重して企
コンパクトの 10 原則を支持し、実践に努めています。
業活動を推進しています。また、
「優れた医薬品の創出
事 業において実 践すべき事 項を明 確 化する際には、
を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する」を経営
世界人権宣言などを参照し、お取引先を含めたバリュー
理念に掲げており、世界の人々が必要かつ十分な医療
チェーン全体での影響も考慮しています。
[バリューチェーン全体における人権課題]
研究における課題
開発(臨床試験)における課題
医薬品の研究においては、臨床試験を実施する前に
医薬品の開発は、研究段階で有効性・安全性が確認さ
ヒトにおける安全性と有効性を予測するため、ヒト由来
れた物質を、臨床試験を実施することでヒトでの有効性・
試料(血液、組織、細胞など)
を利用する必要があります。
安全性を実証し、申請、承認につなげる役割を担ってい
ヒトゲノム・遺伝子解析研究の進展に伴い、
ヒト由来試料
ます。臨床試験の実施にあたっては、予想される効果や
から得られる知見がより広く活用されるようになってき
起こりうる可能性のある副作用、守っていただく事項等
ています。タケダでは、試料提供者からの事前の自由意
について十分に説明し、患者さんがその内容をよく理解
思に基づく同意(インフォームド・コンセント)の取得や、
されたうえで、同意を得る必要があります。
遺伝情報を含む個人情報の保護を徹底することなど
タケダでは、臨床試験に参加していただく患者さんの
の、人権の尊重が重要な課題と認識しています。
自由意志を尊重し、安全性を確保するとともに、個人情
また、研究所周辺の地域住民の方に対する健康面で
報を保護することが、開発における重要な課題と考えて
の影響等に関する情報開示や、探索研究において土壌
最大限の配慮を行っています。
などから遺伝資源を採取する場合における「遺伝資源
関連情報
P.100 コンプライアンス
へのアクセスと利益配分」などについても、配慮すべき
課題と考えています。
バリューチェーン全体における人権課題/ISO26000の中核主題との関わり
研究
調達
中核主題「人権」
中核主題「人権」
中核主題「環境」
●難病・希少疾患等の治療薬の研究・開発
●地域住民の方の健康への影響
●ヒトゲノム研究における試料提供者の人権問題
●被験者の人権(臨床試験の安全性、
インフォ
ームド・コンセント、
プライバシー等)
●ES細胞研究における生命倫理問題
●難病・希少疾患等の治療薬の研究・開発
中核主題「公正な事業慣行」
●クローン研究における生命倫理問題
●ヒトゲノム研究における試料提供者の人権問題
●新興国・途上国のサプライヤーにおける
労働に関する人権問題
中核主題「環境」
中核主題「公正な事業慣行」
●地域住民の方の健康への影響に関する
情報開示
●患者さんの健康を第一に考えた医療関係
者との適切な関係の維持
中核主題「公正な事業慣行」
●生物遺伝資源に対する権利の問題
74
開発(臨床試験)
Takeda Annual Report 2011
中核主題「消費者課題」
● 偽 造 品・異 物 混 入による患 者さん の
健康問題
販売における課題
タケダは、
グローバル製薬企業として、新興国を含む
医薬品は生命に深く関わるものであり、その使用を誤
世界のさまざまな地域から資材を調達し、医薬品の生
れば、患者さんと社会に対して大きな損害を与えかねま
産を行っています。そのような事業活動を進めるなか
せん。優れた医薬品をお届けするとともに、医薬情報を
で、労働に関する権利も含め、人権を尊重することが特
適正な手段で的確かつ迅速に提供・収集・伝達すること
に求められていると認識しており、サプライヤーに対し
は、製薬企業にとって基本的な責務です。タケダでは、
ても、それぞれの事業活動において十分留意いただく
医薬情報担当者( MR )一人ひとりが企業を代表して医
ようお願いする必要があると考えています。
薬情報活動を遂行する立場にあることを強く自覚し、何
生産においては、工場周辺の地域住民の方の健康に
よりも患者さんの人権を尊重して誠実なプロモーション
配慮することがタケダの責務であると考え、環境リスク
活動に努めています。
管理の強化に努めています。また、近年世界的な問題と
また、
グローバル市場においては、各国の法規制を遵
なっている、偽造医薬品対策についても、患者さんの健
守するとともに、国際的に一貫性のある医薬情報の提
康を損なう可能性があることから、調達・生産・物流全般
供を行っています。
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
調達・生産・物流における課題
に関わる課題の一つと認識しています。
関連情報
P.89 CSR購買ガイドライン
P.90 偽造医薬品対策
生産
物流
販売
中核主題「環境」
中核主題「消費者課題」
中核主題「公正な事業慣行」
●地域住民の方の健康への影響
●偽造医薬品の流通による患者さんの
健康問題
●患者さんの健康を第一に考えた医療関係
者との適切な関係の維持
中核主題「公正な事業慣行」
●新興国・途上国における労働に関する
人権問題
中核主題「消費者課題」
●医薬品情報の虚偽・隠蔽による患者さんの
健康問題
中核主題「消費者課題」
● 偽 造 品・異 物 混 入による患 者さん の
健康問題
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
75
人権
グローバルな視点から、最大限に人権を尊重し、
バリューチェーン全体での取り組みを進めています。
[バリューチェーン全体における取り組み]
研究における取り組み
タケダでは、生命の尊厳および人権を尊重するポリ
シー・規約を体系づけ、研究活動を推進しています。
「ヒト由来試料(血液、組織、細胞など)」に関しては、
医薬研究本部長を委員長とする「研究倫理審査委員会」
を設置し、ヘルシンキ宣言に則り、研究への試料使用の
適否を審査しています。
「ヒトゲノム・遺伝子解析研究」
については別に倫理委員会を設置しています。常任委
員 6 名の男女両性で構成され、常任委員の半数以上を
社外委員とするよう定めています。
環境リスク低減に関しては、
「 武田薬品グループ環境
防災業務基準」に基づき継続的な取り組みを行ってい
ます。また、ライブラリー利用時の配慮を行うなど、生物
多様性に関する課題への取り組みも進めています。
研究・開発における主な人権関連規則
開発(臨床試験)における取り組み
研究倫理審査委員会規則
臨床試験にあたっては、ヘルシンキ宣言の精神をもと
ヒトゲノム・遺伝子解析研究等に関する生命倫理委員会規則
に定められたICH-GCP(医薬品の臨床試験の実施の基
合同遺伝子組み換え実験安全委員会規則
準)を遵守し、患者さんの自由意志による同意(インフォ
ームド・コンセント)を得て、各国の規制要件、社内基準
臨床検体取扱実験委員会規則
および治験実施計画書に従って実施しています。
ヒトゲノム・遺伝子解析研究の実施に関する規則
また、途上国における臨床試験や、対象者に社会的弱
者が含まれる場合などにも、被験者の人権が損なわれ
遺伝子組み換え実験実施規則
ることのないよう十分な配慮を行っています。
ヘルシンキ宣言 序文(抜粋)
1.世界医師会(WMA)は、個人を特定できるヒト由来の試料およ
びデータの研究を含む、人間を対象とする医学研究の倫理的
原則として、ヘルシンキ宣言を発展させてきた。本宣言は、総
合的に解釈されることを意図したものであり、各項目は他のす
べての関連項目を考慮に入れず適応されるべきではない。
2. 本宣言は、主として医師に対して表明されたものであるが、
WMA は人間を対象とする医学研究に関与する医師以外の
人々に対しても、
これらの原則の採用を推奨する。
3. 医学研究の対象となる人々を含め、患者の健康を向上させ、
4.WMAジュネーブ宣言は、
「私の患者の健康を私の第一の関心
事とする」ことを医師に義務づけ、また医の国際倫理綱領は、
「医師は医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動
すべきである」
と宣言している。
5. 医学の進歩は、最終的に人間を対象とする研究を要するもの
である。医学研究に十分参加できていない人々には、研究参
加への適切なアクセスの機会が提供されるべきである。
6. 人間を対象とする医学研究においては、個々の研究被験者の
福祉が他のすべての利益よりも優先されなければならない。
守ることは、医師の責務である。医師の知識と良心は、
この責
務達成のために捧げられる。
76
Takeda Annual Report 2011
(社団法人 日本医師会訳)
調達・生産・物流における取り組み
サプライチェーン全体における労働コンプライアンス
の遵守については、2010 年に「 CSR 購買ガイドライン」
を制定し、自らの行動規準を定めるとともに、サプライ
ヤーに対して期待する事項と行動規範を明記し、取り組
みの強化を図っています。
環境リスクの低減に関しては、
「 武田薬品グループ環
境自主行動計画」を制定し、着実な取り組みを推進して
います。また、国際機関と連携しながら、偽造医薬品に
ついてのグローバルレベルの対策を進めています。
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
CSR 購買ガイドラインにおける人権関連項目
[従業員に対する取り組み]
■ CSR 購買行動規準より
人権の尊重、差別の撤廃
私たちは、人権を尊重し人権侵害に加担しません。
従業員、派遣社員、その他取引先を含めて購買活動に関わ
るすべての人の人格を尊重し、国籍、人種、民族、信条、宗
「タケダ・グローバル行動規準」に則って
従業員の人権と多様性を尊重しています
タケダは、
グローバルな視点で人権を尊重し、各国の
教、性別、年齢、障がい、疾病、社会的身分による不当な差
雇用関連法令を遵守することはもちろん、雇用関係に
別、その他差別的取り扱いや嫌がらせを行いません。
関わるコンプライアンス基準を含む「タケダ・グローバ
■サプライヤー様に対して期待する事項より
ル行動規準」をグループ全体で遵守し、事業活動を推進
法令・社会規範の遵守、
ステークホルダーの利害と人権の尊重
しています。
サプライヤー様には、法令や社会規範を遵守し、違反行為
「タケダ・グローバル行動規準」では、従業員の多様性
を是正する適切な社内管理体制を構築していただくこと
と人格を尊重し、国籍、人種、皮膚の色、信条、宗教、性
を依頼します。また、贈収賄や不公正な行為を行わない公
別、年齢、障がい、その他法的に保護されている事由に
正かつ誠実な事業活動を遂行し、児童労働・強制労働や人
種・性別等による差別の禁止などの国際労働基準を尊重
基づく差別的な取り扱いや嫌がらせを禁止することを
し、社員個人の尊厳を尊重し、従業員並びに地域社会の安
定めています。また、それらを防止するため適切な措置
全衛生を確保するなど、ステークホルダーの利害と人権の
を講じることも明記しています。
尊重に努めていただくことを期待します。
関連情報
販売における取り組み
P.21 ダイバーシティの推進
P.78 労働慣行
P.100 コンプライアンス
販売においては、業界全体で定めている「医療用医薬
品プロモーションコード」や「医療用医薬品製造販売業
公正競争規約」を遵守し、医薬品の適正使用を促進して
います。さらに、独自のプロモーションコードと規約を定
めて、
「 高い倫理観」に基づく質の高い医薬情報活動を
展開し、患者さんの人権の尊重を徹底しています。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
77
労働慣行
労働慣行
基本的な考え方
タケダは、従業員は企業にとっての重要なステーク
また、タケダでは、
「ダイバーシティの推進」や「グロ
ホルダーであるという認識のもと、従来からさまざまな
ーバルタレントの獲得・育成」を中心とする、人材に関す
活動を進めてきました。2009 年には、国際労働機関
る戦略課題に取り組んでいます。さらに、ワーク・ライ
( ILO )の就業の基本原則と権利に関する宣言に基づく
フ・バランス、従業員の健康と安全、健全な労使関係の
国連グローバル・コンパクトに参加し、
「労働」に関する
構築などについても、
「活力ある企業風土の創造」に向
原則の実践に努めています。
けた施策の充実を図っています。
[グローバル人事ポリシー]
人事ビジョンをグループ全体で実践します
Takeda Leadership Institute
タケダでは、
「 人事ビジョン」の実現に向けて、採用、配
「 Takeda Leadership Institute 」
( TLI )は、世界有
置、人材開発、評価、報酬などの人事諸制度の仕組みや
数 の ビ ジ ネ ススクー ル I N S E A D との 提 携 の もとに
その運用に関する基本的な方針や考え方を「人事ポリ
2007 年度より実施しているグローバルリーダー育成
シー」としてまとめ、具体的な施策を実施しています。
プログラムで、米国・欧州・日本を含めたアジアの各極か
ら選 抜 さ れた 従 業 員 が 受 講して い ます 。今 年 度 は 、
人事ビジョン
2011 年 9 月から2012 年 3 月まで、大阪、米国アリゾ
ナ州で開催する計画となっています。
仕事を通じた達成感によってやりがいを感じ、成果を
追 求 する企 業 風 土 に 共 感し、そ れを 誇りに 感じる
人々が集う活力にあふれる会社を目指す
この他にも、地域版グローバルリーダー育成プログラ
ム(地域版 TLI )として「グローバルリーダー研修 Aコー
ス」
(日本)、
「 TLI-EU 」
( 欧州)等を実施しています。
2008年度 2009年度
[グローバル人材育成]
Takeda Leadership Institute
受講者(総計)
28人
グローバル人材育成に関する基本姿勢
タケダでは、
「グローバルタレントの獲得・育成」を、経
営方針「活力ある企業風土の創造( Culture )
」の基本
戦略の一つに位置付けています。具体的には、グロー
バルレベルでの人材獲得を推進し、OJTによるトレーニ
ングに加え、社内研修を充実させることにより、優秀な
人材を全社で一丸となって育成していきます。
また、国内拠点のグローバル化にも積極的に取り組
み、
グローバル人事インフラを整備して、多様性の広が
りのなかで従業員が活き活きと働ける職場環境づくりを
進めます。
78
Takeda Annual Report 2011
Takeda Leadership Institute 2010年度研修
36人
2010年度
33人
を踏まえた多彩な設備を備えています。
タケダでは、2011 年 9 月より、早稲田大学と連携し
また、周辺環境との調和を考慮して、緑の森のなかに
グローバル人材の育成を目的とした講座を開講します。
建物を伸びやかに配置するとともに、屋根材一体型アモ
海外グループ会社のトップを含むマネジメントクラスが
ルファス太陽電池システムを採用し、空調負荷軽減のた
講師となり、研究・開発・販売戦略のみならず、事業運営
めの技術を導入するなど、地球環境保全にも配慮した
やCSR 活動なども交えたグローバルな事業活動につい
設計となっています。
て体系的な講義を進めていきます。
※「 CLI 」: Center for Learning and Innovation の頭文字。タケダの持続的な
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
アカデミアとの連携
成長に必要なイノベーションの起点となってほしいという想いを込めた愛称です。
グローバル人材育成拠点「 CLI 」
※
研修所「 CLI 」
は、
グローバルリーダー研修や新入社
員研修をはじめ、さまざまな研修プログラムを実施する
グローバル人材育成の拠点として、2010 年 3 月、大阪
府吹田市に開設されました。最大 408 名を収容できる
ホールをはじめ、テレビ会議システムや同時通訳設備を
完備した会議室、双方向コミュニケーションを重視した
会議に最適な階段教室、294 名を収容できる宿泊施設
(バリアフリー 2 室を含む)など、ダイバーシティの推進
研修所(CLI)
Takeda's Voice
私が入社した理由は、患者さんの生活の質向上に対するタケダの熱意と、従
業員のワーク・ライフ・バランスを重視する企業姿勢にありました。
タケダでは人材育成に力を入れており、共に働く同僚たちと切磋琢磨するな
かで自分の能力が磨かれていくことが実感できました。そして、
「働く母親」とし
て家庭の問題にも取り組めるように、フレキシブルな働き方ができたことが、私
とタケダとの絆を強めてくれました。子どもたちが大人になった今、私たちに対
してずっと誠実であり続けてくれた会社に、強い信頼を感じています。
Takeda Annual Report 2011
79
労働慣行
グローバルな視点から、従業員一人ひとりの人権を尊重し、
タケダイズムの理念に基づいた企業風土の醸成を進めています。
[グローバル従業員サーベイ]
[タケダイズムの共有]
世界の従業員の声を経営施策に反映
タケダイズム実践月間
事業が急速にグローバル化し、価値観の多様化が進
「タケダイズム実践月間」
( WWT-M )は、タケダグル
むなかで、実際に働く従業員の声を経営施策に反映し
ープの従業員が、タケダイズムへの理解を深め、日常業
ていくことが重要な課題となっています。タケダでは、
務 で 実 践 することを 目 的として 実 施 されて い ます 。
2008 年度より、全世界の従業員を対象にした「タケダ・
2010年度は、
「革新への挑戦」をテーマに、世界中で熱
グローバル風土意識調査」を実施しており、経営哲学
心 な 取り組 みが行わ
「タケダイズム」の浸透度をはじめ、従業員の満足度、職
れました。WWT-M の
場環境など多様な項目を調査し、その結果に基づいて
ベストプラクティスに
「活力ある企業風土の創造」に向けたアクションプラン
つ い て は 社 内 イント
を立案・実施しています。
ラネット等を通じて共
有化を図っています。
タケダイズムワークショップの開催
(武田アイルランド株式会社)
調査概要
●2010年 10月4日-22日
● 17ヵ国 13,387人を対象
● 12 言語(英語、日本語、
フランス語、
ドイツ語、イタリア語、
スペイン語、中国語、タイ語、インドネシア語など)
●オンライン、紙ベースでの実施
●調査回答率(日本:93.3% グループ全体86.0%)
Takeda Global Awards
2006 年度から、全世界のタケダグループの従業員
を対象とした「 Takeda Global Awards 」を実施して
います。この表彰は、賞賛される文化を構築することに
加え、経営哲学であるタケダイズムの浸透やグループ
の一体感を醸成することを目指すものです。4 回目と
なる2010 年度は、13ヵ国の従業員 111 名が受賞し、
グローバル人材育成拠点として誕生した研修所「 CLI 」
で表彰式を開催しました。
Takeda Global Awards 2010 表彰式
関連情報
80
Takeda Annual Report 2011
P.30 経営の基本精神
日本における取り組み
[ワーク・ライフ・バランス]
ダイバーシティ推進の重点課題の一つとして
ワーク・ライフ・バランスを支援
タケダでは、仕事と生活の調和を図る「ワーク・ライフ・
バランス」支援に向けて、
フレックスタイム制など多様な
働き方の導入や休暇・休職制度の充実など、さまざまな
取り組みを推進しています。
メンタルヘルスケア
育児と両立しながら安心して働ける環境の整備も積
極的に進めており、2009 年 6 月には「次世代育成支援
児休暇の一部を有給にすることなどにより、男性社員に
とっても育児に参加しやすい環境づくりも進んでおり、
2010 年 度には 44 人 の 男 性 社 員
「タケダトータルヒューマンセーフティーネット」
(THS)
は、従業員の心身の健康管理をサポートするシステムで
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
対策推進法」に基づき2 回目の認定を受けています。育
す。THSでは、従来の健康診断や産業医等による医療ス
タッフ体制に加え、社外の医師・臨床心理士などの専門家
に相談できる外部 EAPを採用するなど、特にメンタルヘ
ルスにおける予防・早期発見・治療を支援しています。
が 育 児 休 暇 を 取 得して い ま す 。
またTHSでは、長期休職が必要となった際の生活保障
2010 年 4 月には湘南研究所に事
と職務復帰支援を行う制度も備えています。万が一、病気
業所内託児施設「タケダキッズ」を
開設しました。
[従業員の健康と安全]
やケガのため職場復帰できずに会社を退職した場合につ
次世代認定マーク
[障がい者の活躍の支援]
いても、
従業員とその家族の安定した生活を支えます。
安全衛生について
株式会社エルアイ武田
タケダでは、人間尊重を基本理念として、全員参加に
株式会社エルアイ武田 ※では知的障がい、聴覚障がい
よる安全と健康の確保を目指しています。生産事業所・
などをもった従業員が、コミュニケーション面など、さま
研究所だけでなく、本社・支店にも安全衛生委員会を設
ざまな課題をクリアしながら前向きに仕事に取り組ん
置するとともに、毎年策定される全社安全衛生管理方
でいます。業務内容は、パンフレット、小冊子、ポスター
針をもとに、それぞれの活動計画を策定し、労働災害防
等の作成や、ダイレクトメールの発送、また清掃、洗濯
止、健康増進に向けた取り組みを推進しています。
業務などで、研究開発、営業部門などの業務の一端を
担っています。研修所「 CLI 」および、併設する宿泊施設
の整備にも従事するなど就労機会を拡大しています。
加えて、ビルクリーニング技能資格などの資格取得の
支援を実施しています。
※「エル」は労働を意味するLabor、
「アイ」は愛、すなわち「働く障がい者を愛する会社」
を経営理念とし、従業員一人ひとりの社会的自立を支援しています。
関連情報
P.21 ダイバーシティの推進
[労働組合との関係]
定期的な協議を通じて健全な労使関係を構築
タケダでは、
「 武 田 薬 品 労 働 組 合 」と労 働 協 約を結
び、労働条件、人事制度をはじめとした諸課題について
定期的な協議を行うことで健全な労使関係を構築して
います。また、タケダグループ各社では、各国の法令な
どに基づき、各社の労働組合や従業員代表と話し合い
を行っています。
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
81
環境
環境
基本的な考え方
1970 年に「環境保全対策委員会」を設置して以来、
タケダは、生命の輝きに満ちた地球の環境を守るこ
タケダでは、長期的な視点を持って環境保全活動を継
とも、自らの重要な使命の一つだと考えています。具体
続してきました。1992 年には、それまでの「公害に対
的な活動の実施においては、医薬品メーカーとして、研
する基本 10 原則」に代えて「環境に関する基本原則」
究開発・生産段階における環境リスクマネジメントを重
を制定し、グループ全体で地球環境問題に向けたグロ
視するとともに、生物多様性の保全についても独自の
ーバルな活動を推進しています。
取り組みを進めています。
[環境マネジメント]
環境に関する基本原則
1. 基本責務
5.不測時の対応
研究開発から生産、流通、販売、調達、事務などのすべての企業
環境に悪影響を与え、または与えるおそれがある場合、その
活動において地球環境への影響を重視し、環境を積極的に保全
回復、対策に迅速かつ的確に最善の努力をつくす。
し、向上させる。
6.責任の明確化
2.資源・エネルギーの効率的利用と排出物の削減
環境責任者を任命し、責任の所在を明確にする。
省資源、省エネルギーを推進し、排出物の削減、
リサイクルを積
極的に行う。
7.社会との共生
地域社会の環境保全向上活動に積極的に協力するとともに、
3.製品・生産プロセスの環境影響評価
公正・適切な情報を提供する。
製品研究、技術開発にあたり、事前に、また常に、製品の研究開
発から使用・廃棄に至るすべての過程で環境に与える影響を評
価し、環境への影響を軽減する。
8.教育と啓発
社員一人ひとりが日常の活動において、環境問題の重要性を
理解し、自覚を持って行動できるように教育・啓発する。
4.環境技術の開発と活用
環境保全・向上の技術を開発するとともに、新技術を積極的に導
入採用する。
環境に関する
基本原則
武田薬品グループ
環境自主行動計画
年度方針
実施計画
基本原則を理念として、武田薬品グループ環境自主行動計画ならびに年度方針を
制定し、環境に関する諸施策を実施しています。
詳細については、ホームページに掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/policies/article_1007.html
環境安全管理体制
社 長
タケダでは、
「環境に関する基本原則」に基づいた事業活動を推進する
にあたり、各部門の環境責任者で構成される
「環境委員会」を設置して
環境委員会
事務局
●エネルギー管理統括者 (環境安全管理室)
●委員(基本組織)
報告
周知
います。
「環境委員会」では、全社的な環境保全、省エネルギー、防災を
省エネルギー小委員会
「環境委員会」の下には、
「環境」
「省エネルギー」
「防災」の3つの小委
含めた環境に関する問題を審議し、毎年の環境方針等を決定します。
●委員長
方針
環境小委員会
報告
員会を設置し、実務責任者レベルで、それぞれの事項に関する施策を
防災小委員会
推進、実施しています。さらに、工場や研究所には環境担当責任者を置
き、中期計画や年度計画に基づいた具体的な活動を推進しています。
なお環境委員会での審議事項は必要に応じて事務局が国内外のグル
基本組織
82
Takeda Annual Report 2011
国内外グループ会社
ープ各社に周知します。
準絶滅危惧種フジバカマとアサギマダラ
絶滅危惧種 オキナグサ
タケダは日本レスポンシブル・ケア協議会
タケダでは、中期的な視点から環境に関する課題や目
発足時の 1995 年からレスポンシブル・ケ
標を具体化するために、2010 年に「武田薬品環境自主
ア活動を実践しています。
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
武田薬品グループ環境自主行動計画
レスポンシブル・ケア
行動計画」を制定しました。また、国内外グループを対象
とした「武田薬品グループ環境自主行動計画」も合わせ
武田薬品グループ環境防災業務基準
て制定しました。グローバル製薬企業としての社会的責
タケダでは、国内外グループの生産事業所・研究所が環
任を果たすために、地球温暖化対策、廃棄物削減などの
境防災業務を行う際の統一した基準として「武田薬品グル
具体的な目標値を設定しています。今後は、年度ごとに
ープ環境防災業務基準」を制定しています。この業務基準
計画内容を見直し、さらなる充実を図っていきます。
では、化学物質管理や防災管理など具体的な業務の管理
基 準 ならびに、環 境マネジメントシステムの 国 際 規 格
武田薬品グループ環境自主行動計画
武田グループは、
「 環境に関する基本原則」に則り、全て
「ISO14001」を参考としたマネジメント手法についても
定めています。その適合状況は、
「環境防災監査」によって
の事業活動において、環境への配慮をもってその活動
検証しています。なお、
「ISO14001」については、現在、
日
を行う。また、環境に関する課題や目標を具体化した環
本国内のすべての生産事業所で認証を取得しています。
境自主行動計画を定め、毎年のフォローアップを通し
て、その活動を継続的に推進する。
具体的項目
1. T-EMS(武田環境
5. 化学物質管理
製薬本部グローバルEHS方針および
ガイドラインの制定
マネジメントシステム)6. オゾン層保護
タケダは、環境・健康・安全(EHS:Environment, Health
2. 地球温暖化対策
3. 廃棄物削減
4. 水資源保護
and Safety)を最重要課題の一つとして認識し、事業を展
7. 大気・水質保全
8. 生物多様性
9. オフィスの環境活動
開しています。EHSへの関心が世界的に高まるなか、
より高
い倫理観と強い使命感を持って地球環境、従業員の労働安
全衛生、事業所の保安防災に積極的に取り組み、企業の社
レスポンシブル・ケア活動
会的責任(CSR)を全うするため、製薬本部では所管する製
レスポンシブル・ケア活動、すなわち「責任ある配慮」
造拠点を対象とした「製薬本部グローバルEHS 方針」およ
に基づく活動は、事業者による化学物質の管理に関する
びその具体的な基準を示したガイドラインを制定しました。
国際的な自主管理活動で、現在 54 の国と地域に活動が
今後は、
この方針・ガイドラインをグローバルに展開します。
広がっています。その目的は、化学物質を取り扱う過程
における「環境」
「安全」
「健康」を確保することにあり、
関連情報
P.48 グローバル供給ネットワークの構築に
向けた「5つの基本方針」
「武田薬品グループ環境自主行動計画」の詳細と「タケダの環境・防災に関する主な方針と実績」は、
「 CSR データブック」
( PDF 版)に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
83
環境
タケダは、長期的な視点に立って、環境リスクの低減や
地球環境保全に向けたさまざまな取り組みを継続しています。
[環境リスクの低減]
環境防災監査
設備管理を徹底するとともに、静電気や可燃性物質へ
タケダでは、環境・防災面のリスクを社内の専門家が
の対策により、災害防止を図っています。ソフト面では、
チェックする「環境防災監査」を国内外グループ全体で
実施しています。また、各事業所の業務が「武田薬品グ
「防災マニュアル」のさらなる充実、
「 非定常作業マニュ
アル」の整備に努めています。
ループ環境防災業務基準」に適合しているかを自ら検
証する「内部監査」を、全事業所で実施しています。
東日本大震災の影響と対策
2010 年度は、関係会社を含め国内 5 事業所と海外 4
タケダの国内主力工場は山口県と大阪府に立地してお
事業所の「環境防災監査」を実施した結果、特に重大な
り、東日本大震災による直接的な被害は受けませんでし
指摘事項はありませんでした。
た。つくば研究所では建物や実験設備に一部被害を受け
ましたが、周辺環境への影響はありませんでした。湘南研
究所については、将来発生することが予想される東海地震
にも耐えうる最新の耐震、免震技術を用いて建設されて
おり、
こちらも周辺環境への影響はありませんでした。
タケダグループでは従来から地震対策に力を入れて
きましたが、今回の大震災を教訓として、津波対策を含
めた防災対策全般の見直しに取り組んでいます。
武田アイルランド株式会社における環境防災監査
防災への取り組み
タケダでは、年度ごとに「防災方針」を策定しており、
各事業所において、方針に基づいた具体的な計画を定
め、ハード・ソフトの両面から防災活動を進めています。
ハード面については、老朽化設備の計画的保全など、
関連情報
P.101 危機管理
湘南研究所
Takeda's Voice
武田アイルランド株式会社(TIL社)のブレイ工場では、最高の製薬工場を目指し
て全力で取り組んでいます。
「2013年までにすべての休業災害をなくすこと」や
「エネルギー消費量と廃棄物削減によるカーボンフットプリントの削減」などを目標
に掲げ、危険予知活動、全ての作業のリスク評価、エネルギー消費の最適化、紙や水
資源の使用量削減プロジェクトなどを積極的に推進しています。これらの活動によ
って、今後数年のうちにTIL社の環境安全保全活動は大きく進展することでしょう。
武田アイルランド株式会社 ブレイ工場長 Paul
84
Takeda Annual Report 2011
Blunnie
大阪工場では 2010 年度に CO 2 排出量に関する第
[気候変動への取り組み]
三者検証を受け、排出量の算定方法が適切であること
地球温暖化防止に関する基本姿勢
を確認しました。光工場でも第三者検証を受けており、
タケダは、グループ全体で温室効果ガスの排出量削
同様の算定方法を用いている他の事業所もあわせて
減に努めています。1974 年に省エネルギー対策委員
CO2排出量を適切に把握しています。
会を設立し、30年以上にわたって、温室効果ガスの削減
につながる省エネルギー活動を進めてきました。その実
2010年度タケダグループ CO2排出量
※
績はアニュアルレポートのほか、CDP 等を通じて、積極
33万トン(
的に社会に公表しています。
※ CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)
:世界中の企業に対して気候変動
2005年度比 31.6%削減)
への戦略や温室効果ガスの排出量の公表を求めるプロジェクト
タケダグループCO2排出量の推移
(千トン-CO2)
600
中期目標の策定
485
459
タケダは「武田薬品グループ環境自主行動計画」で、国
460
397
目標
内外グループの生産事業所・研究所について、以下の目標
347
329
’
08
’
09
300
341 332
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
値を設定しています。
●エネルギー起源のCO2排出量を、2015年度に2005
年度比で18%削減する。
0
また、
タケダ単体としては、以下の目標値を設定しています。
●エネルギー起源のCO2排出量を、2015年度に1990
年度比で30%削減する。
’
05
’
06
’
07
’
10
集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所
’
15 年度
(目標)
算定方法
■算定対象
CO2排出量は、化石燃料の燃焼による直接排出および電気使用に伴う間接排出を対象
としています。
●エネルギー起源のCO2排出量を、2020年度に1990
年度比で40%削減する。
■CO2 排出係数
国内の実績については、
「エネルギー使用の合理化に関する法律」に基づいており、購入
電 力 の C O 2 排 出 係 数 は 、第 9 次 省 エ ネ 計 画 策 定 時 2 0 0 5 年 の デ フォルト 値
( 0.000555t-CO 2 /kWh )を使用しています。海外の購入電力の CO 2 排出係数は、
GHGプロトコルの各国ごとの係数を使用しています。
2010 年度実績
「第 9 次省エネルギー計画」の最終年である2010 年
度のタケダの CO 2排出量は19 万トンで、2005 年度比
[水資源問題への取り組み]
40%減という目標に対し、47%削減と目標を達成しまし
水使用量の削減
た。また、
タケダグループの2010年度の CO 2 排出量は
タケダでは、国内外グループの生産事業所・研究所に
33 万トンで、2005 年度比 30 %削減という目標に対
おいて水資源の再利用施設を導入するなど、水使用量の
し、32% 削減となりました。タケダは新たに2010∼12
削減に取り組んでいます。大きなリスクを有している事
年度を対象とする「第 10 次省エネルギー計画」を策定
業所はないと考えていますが、天津武田薬品有限公司は
し、活動を展開しています。 潜在リスクをもつ地域に立地すると認識しています。
タケダCO2排出量の推移
水使用量/排水量の推移
(千m3)
(千トン-CO2)
12,000
500
401
358
345
340
7,309
231
250
190
0
’
90
’
05
’
06
’
07
’
08
245
目標
’
09
215
190
’
10
’
20(目標)年度
6,264
6,000
0
’
06
使用量
集計範囲:大阪工場、光工場、つくば地区研究部門、湘南研究所、本社、東京本社
’
07
’
08
’
09
’
10
年度
排水量
集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所
「環境リスクの低減」
「気候変動/水資源問題への取り組み」の詳細は、
「CSRデータブック」
(PDF版)
に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
85
環境
「武田薬品グループ環境防災業務基準」に基づいて、
タケダグループ全体でグローバルな取り組みを進めています。
[生物多様性への取り組み]
生物多様性に関する基本姿勢
タケダでは、
「武田薬品グループ環境自主行動計画」
に生物多様性に関する内容を記載し、遺伝資源へのア
クセスと利益配分(ABS)※を含む生物多様性条約の目
的を踏まえて、各部門ごとに取り組みを進めています。
※遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS):生物の遺伝資源をもとに、医薬品などを開発
して利益が出た場合、その利益を遺伝資源を提供した国にも公平に分配する仕組み。
京都薬用植物園 事務棟・研修棟
京都薬用植物園
75年以上にわたり薬用・有用植物の研究を続け
絶滅危惧種の保全に寄与しています
京都薬用植物園は1933 年の開設以来、世界各地か
ら 薬 用・有 用 植 物 を 収 集・活 用して きました 。現 在 、
2,400種を超える植物を栽培しています。また、今後の
環境に配慮した資材を使用した研修施設
研究に向けて、約 500 種の種子を−10 ∼+5 ℃の低温
下で貯蔵しています。
京都薬用植物園は、社団法人日本植物園協会による
「植物多様性保全拠点園ネットワーク」に参加し、日本に
おける植物多様性保全に大きく寄与しています。現在、
絶滅危惧種 96 種(薬用植物 65 種)を保有しており、薬
用植物の絶滅危惧種については100種を目指して収集
を続けています。創立 75 周年を機に園内整備を進めて
きましたが、2010 年 10 月に、事務棟と研修棟が完成
し、薬用植物の保全と教育支援を推進する施設として、
新たなスタートを切りました。
グローバル製薬企業に相応しい薬用植物園として
教育支援等への取り組みも進めていきます
京都薬用植物園では、子どもたちの環境教育支援活
動として、2011 年 4 月に、近隣の小学校の生徒とその
保護者を対象に「わくわく自然ふれあい隊」を開講しま
した。同年 12 月まで全 6 回にわたり、綿やゴマを育て、
収穫するなど、さま
ざま な プ ログ ラム
を予定しています。
今 後 は 、薬 学 の 教
育実習の積極的な
生物多様性条約
の目的
①生物多様性の保全 ②生物資源の持続可能な利用
③遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分(ABS)
受 け 入 れなども 計
画しています。
わくわく自然ふれあい隊
生物多様性に関する全社方針(環境方針)
生物多様性に関する各部門の取り組み
86
研究部門
ライブラリー利用時の配慮
調達部門
CSR購買ガイドラインへの「生物多様性の配慮」の織り込み
生産部門
生産活動における環境負荷の低減
京都薬用植物園
薬用植物を中心とした絶滅危惧植物種の保全
生薬原料について、栽培品比率増加の検討
「生物多様性保全につながる企業のみどり100選」
に選定されました
京都薬用植物園が選ばれた「企業のみどり100 選」
(主催・財団法人都市緑化基金)とは、企業が取り組む
身近な植物の保全・創出・活用の優良な事例を公表する
もので、2010 年 5 月22日の「国際生物多様性の日」に
Takeda Annual Report 2011
発表されました。
[化学物質排出量の削減]
[廃棄物削減]
化学物質の適正管理に取り組んでいます
第5次削減活動をスタートしました
タケダでは、
「 PRTR 対象物質の大気への排出量を
タケダは、1993年度から継続して廃棄物削減活動を
2010年度までに2005年度比で50%削減する」ことを
推進してきました。2006年度にスタートした第4次削減
目標とし、比較的多く使用している化学物質を優先的に
活動における「産業廃棄物および一般廃棄物の最終処
削減対象として、適正管理に取り組んできました。
分量を2010 年度までに2004 年度比で30%(国内グ
タケダの 2010 年度の PRTR 届出対象物質は10 物質
ループの生産事業所・研究所で20%)削減する」
という目
で、大気への排出量は12トンと、2005年度比73%の削
標値については、2008年度に前倒しで達成しています。
減となり目標を達成しました。国内グループ全体では78
タケダの 2010 年度の最終処分量は48トン( 2004
物質で大気への排出量は48トン
(対前年6%減)でした。
年度比 84% 減)、国内グループの 2010 年度の最終処
引き続き、
リスク評価に基づいた化学物質の環境リスク
分量は 523トン( 2004 年度比 51% 減)
となりました。
低減に向けて、取り組みを進めています。
2011 年度より、
「 2015 年度の廃棄物最終処分量を
2010 年度レベル以下に抑制する」ことを目標として、
2010年度 タケダのPRTR届出物質排出量 削減実績
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
第5次削減活動をスタートしています。
2005年度比
73% 削減
(届出物質排出量
2010年度 タケダの廃棄物削減実績
12トン)
2004年度比
84% 削減
(最終処分量
[大気・水質の保全]
法令よりも厳しい社内基準値を遵守しています
48トン)
廃棄物発生量・排出量・最終処分量の推移
(千トン)
タケダは、国内外のグループ各社の各事業所において法
規制値、条例や地域協定値よりも厳しい社内基準値を設定
し、NOx・SOx・ばいじん排出量、COD負荷量の削減を進め
80
60
44
40
ています。定期測定で社内基準値を上回る項目が発見され
た場合は、
「 武田薬品グループ環境防災業務基準」に則っ
20
て、必要な措置を講じ、原因を究明して、改善処置を行いま
0
す。騒音や悪臭についても定期的な測定を実施し、近隣の
方々の生活、環境に影響を及ぼさないよう努めています。
19
0.6
'06
発生量
'07
排出量
'08
'09
'10
年度
最終処分量
集計範囲:タケダグループ国内外の生産事業所・研究所
廃棄物:一般廃棄物、産業廃棄物、有価物の合計
平成22年度リデュース・リユース・リサイクル(3R)
推進功労者等表彰「厚生労働大臣賞」受賞
同表彰は、循環型社会の形成を推進することを目的とし
リデュース・リユース・
リサイクル推進功労者等
表彰式
て 、リデュース・リユ ース・リサイクル 推 進 協 議 会により
1992 年から実施されています。今回の受賞は、大阪工
場、光工場において 2007 年度から取り組んでいるゼロ
エミッション 活 動 が 評 価 さ れ た も の で 、両 工 場 で は 、
2009 年度に当初の予定から1 年前倒しで目標を達成し
ています。タケダは、今後も引き続き、3R 活動を積極的に
推進していきます。
2010年度目標値 2010年度実績
最終埋立処分量率
0.5% 以下
0.05%
直接埋立処分量
ゼロ
ゼロ
再資源化率
90% 以上
92.5%
リサイクル率
99% 以上
99.9%
「生物多様性への取り組み」
「化学物質排出量の削減」
「大気・水質の保全」
「廃棄物削減」
「事業活動に伴う環境負荷」の詳細は、
「CSRデータブック」
(PDF版)
に掲載しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
87
公正な事業慣行
公正な事業慣行
基本的な考え方
「いのち」に携わる企業であるタケダにとって、公正
の実践は、まさに自らの存在目的に関わる課題と認識
な事業慣行とは、単に法令や業界のガイドライン、社内
しています。
規定等の遵守を意味するものではありません。タケダ
タケダは、グローバル市場における公正な競争、汚
の経営の基本精神を構成するタケダイズムでは、全て
職防止、知的財産権の尊重等のコンプライアンスを徹
の従業員に対して「何事にも高い倫理観をもって公正・
底するとともに、バリューチェーンにおける社会的責任
正直に取り組む」ことを求めており、コンプライアンス
についても取り組みの強化を進めていきます。
[公正な事業活動に向けて]
グループ全体で公正な事業活動を進めます
タケダグループ全体のコンプライアンスの基本ルー
従業員は、タケダ・グローバル行動規準を理解し、日々の
ルである「タケダ・グローバル行動規準」では、
「 誠実・公
業務において遵守・実践することが求められます。
正な事業活動」という項目を設けています。
関連情報
その項目において、
「 患者さんの安全はタケダにとっ
て最も優先される事項」であることをはじめに明記し、
P.62 知的財産
P.64 品質保証体制
P.100 コンプライアンス
研究開発、製造、保管、流通および市販後の各活動を通
じて、製品の安全性および品質の確保に関する法令を
遵守するよう定めています。さらに、事業活動を行う全
[業界における取り組み]
賄の禁止、公正かつ自由な競争などに関する指針を具
グローバルな連携によって
業界全体の公正な事業慣行を促進
体的に示しています。
タケダは日本製薬工業協会・品質委員会の委員長を
また、環境保全、知的財産の尊重などについての内容
務めており、公正な事業慣行に関する業界全体の取り
も盛り込んでいます。タケダグループ全ての役員および
組 み を 促 進 するよう努 めて います 。また 、タケダは 、
ての国における、プロモーションコードの遵守、汚職・贈
CSRに関する国際的な企業会員組織「 BSR 」に加入して
おり、BSR の会員となっている世界的製薬企業で構成
「タケダ・グローバル行動規準」より
誠実・公正な事業活動(抜粋)
1 製品の安全性および品質、
さらにタケダでは、2011 年より国連グローバル・コ
ンパクトの「 LEADプログラム」のメンバーにもなってお
2 宣伝・プロモーション
り、
「人権」
「労働」
「環境」
「腐敗防止」からなる10 原則
3 医療関係者との関係
の実践と普及をリードする活動を推進しています。
5 公正かつ自由な競争
Takeda Annual Report 2011
ーバルな連携を図っています。
薬事関係法令の遵守
4 汚職・贈賄の禁止
88
されるHealthcare Working Groupに参加し、
グロ
関連情報
P.68 国連グローバル・コンパクトへの取り組み
[バリューチェーンにおける社会的責任]
お取引先を含むバリューチェーン全体で
CSR への取り組みを推進
タケダでは、自らの事業活動だけでなく、サプライヤ
ーの方々(購入先、製造元、製造委託先など)に対して
も CSR の実践を働きかけ、社会や環境に関する課題の
解決に取り組むために、2010 年 10 月に「 CSR 購買ガ
大阪工場:原材料倉庫棟
イドライン」を制定しました。CSR 購買ガイドラインは、
「サプライヤー様との継続的な取引に向けて重視す
工場・研究所で使用する資材を調達する部門が購買活
る項目」では、従来から主な評価項目としてきた品質、
動を行う際に遵守する「 CSR 購買行動規準」に加えて、
価格、納期とともに、社会性、環境という視点をさらに
「サプライヤー様との継続的な取引に向けて重視する
光工場:ボイラー設備
強化しています。
「サプライヤー様に求める行動規範の実践項目」に
目」から成り立っています。
おいては、
「『 いのち 』に関わる企業としての社会的責
CSR 購買行動規準では、下のチャートに示した7 つの
任」という項目を設置しており、
「有効性・安全性に優れ
項目を、購買活動を行ううえで遵守・実践すべき基本的
た医薬品のための資材の製造・供給」
「安定供給に対す
事項として定めています。
る取り組み」
「偽造医薬品対策」を求めています。
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
項目」と「サプライヤー様に求める行動規範の実践項
CSR 購買ガイドライン
CSR購買行動基準
法令の遵守、高い倫理観、強い使命感
人権の尊重、差別の撤廃
環境・防災への取り組み
タケダグループとしてのコンプライアンス推進
情報セキュリティ
サプライヤー様との健全かつ公正な関係
サプライヤー様のCSR
サプライヤー様との
継続的な取引に向けて重視する項目
Q( 品 質 )
サプライヤー様に求める
行動規範の実践項目
「いのち」に関わる企業としての社会的責任
C( 価 格 )
D( 納 期 )
法令遵守・倫理/労働/安全衛生
S( 社 会 性 )
E( 環 境 )
環境
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
89
消費者課題
消費者課題
基本的な考え方
タケダは 、急 速 に進 出 地 域 を 拡 大して います が 、
取り組みを強化しています。
タケダ製品のグローバル「質」保証ポリシーをグループ
また、質 の 高 い 医 薬 情 報 活 動もタケダの 使 命と考
全体で遵守し、製品ライフサイクル(研究、開発、製造、
え、グローバルなマーケティング活動を展開し、ホーム
販売など)の全てにわたる業務の品質確保を徹底して
ページなどを通じて幅広い情報開示を進めています。
います。特に、偽造医薬品問題などの社会的課題への
[偽造医薬品対策]
偽造医薬品対策をグローバルに推進し
患者さんの健康被害の防止に努めています
を実施し、原材料取引先、製造・包装の委託先、物流拠点
近年、世界的に偽造医薬品による健康被害の発生が
GDP(適正な物流に関する基準)という新しい品質保証
大きな問題となっています。全世界で流通する医薬品
の考え方を導入し、偽造医薬品の侵入、製品改ざんなど
の約 1 割を偽造医薬品が占めているとも言われており、
の防止に努めています。
日本の医薬品市場の売上高に相当する規模(約 8 兆円)
また、WHO や ICPO(国際刑事警察機構)等の国際
となっています。
的な組織と連携し、世界レベルでの偽造医薬品情報の
タケダは、患者さんの安全を最優先に考え、お取引先
収集と調査を実施しており、各国行政・司法当局および
を選定する際に品質保証の観点を重視した入念な調査
警察に対しては、調査結果の報告や押収品の分析を通
などに対する定 期 的な監 査を行っています。さらに、
バリューチェーン全体における品質保証体制
:原料・材料調達
:製造設備調達
:製品供給
医薬品の製造に用いられる副原料。
原 料(中間体)
製剤原料
原薬
製造設備
原薬
医薬品の有効成分である
原薬を製造します。
包装材料
医薬品の包装に用いられる材料。
医薬品の有効成分の製造に
用いられる化学物質。
偽造医薬品対策
90
Takeda Annual Report 2011
GMP・GQP
錠剤や注射剤等の製
剤を作り、試験結果等
を確認したうえで出荷
されます。
製剤
製造設備
製品
して偽造医薬品の取締りや摘発に協力しています。加
えて偽造、改ざん防止技術の導入および偽造医薬品を
ホームページでのお問い合わせ件数
(件)
3,000
2,543
見分ける分析手法の開発を進めることによって、製品
タケダは、以上のような活動をグローバルで展開・推
2,000
1,716
の品質を保証する対策も実施しています。
1,000
州、北米、南米で調査・対策を行う専任の担当者を配置し
ています。各地の担当者は、品質保証部門、知的財産部
827
進するための体制構築を行っており、アジア、中東、欧
0
'06
日本語サイト 件数
'07
'08
'09
'10
年度
英語サイト 件数
門を中心にタケダグループ各社と協力しながら、偽造医
薬品の流通の摘発、抑制に努めることにより、患者さん
to Face活動を基本とし、ホームページなども活用して
の安全を守る取り組みを徹底していきます。
医療従事者や一般生活者の皆さんに情報発信を行うな
関連情報
P.48 生産体制
P.64 品質保証体制
ど、幅広いニーズに対応しています。高い評価を受け続
ける医薬情報活動を目指して、MR 研修を充実させると
ともに、IT戦略の強化も図っています。
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
[情報提供]
タケダでは、社外からのご意見、
ご質問をE-mailでお
質の高い医薬情報活動を推進
受けする「お問い合わせ窓口」をホームページ上に開設
タケダの医薬情報活動は、
「 すべての医療従事者、す
しています。2010 年度のお問い合わせ件数は、日本語
べての患者さんに最高の薬剤と最高の情報を」を基本
サイト827 件(対前年 67 件減)、英語サイト1,716 件
理念として、世界中で展開されています。MR(医薬情報
担当者)は医療従事者の皆さんと直接対話するFace
(対前年458件減)でした。
関連情報
P.50 マーケティング
患者さん・消費者の皆さま
保管・流通の過程において
も品質が維持されるように
管理されます。
適切な情報とともに製品が
患者さん、消費者の皆さま
に届けられます。
保管・流通
販売
GVP・PV(ファーマコビジランス)
GDP
Takeda Annual Report 2011
91
コミュニティ参画および発展
コミュニティ参画および発展
基本的な考え方
コミュニティの発展のためには、経済と社会の両面
えています。
での発展が必要であると認識しています。タケダは、
特に、企業市民活動については、
「保健医療」分野を
「 1 1 - 1 3 中 期 計 画 」の 基 本 方 針「 持 続 的 な 成 長
中心とした取り組みを、社会インパクト創出の観点か
(Growth)」を実現する戦略の一つとして、途上国を含
ら、長期的な視点を持ってグループ全体で推進していき
む新興国市場での成長を掲げており、そこでの着実な
ます。また、実践にあたっては、国連ミレニアム開発目
事業活動を通じた経済発展に貢献するだけでなく、優れ
標( MDGs )などのグローバルな理念や指針を参考に
た医薬品の提供、健全な事業プロセスの維持・強化、お
しています。
よび企業市民活動を通じた社会発展に貢献したいと考
関連情報
P.49 グローバル製薬企業としての「社会的責任」
-ワクチン事業
[企業市民活動の方針]
企業市民活動に関する基本ポリシー
企業市民活動におけるバリューチェーン
タケダでは、CSR 活動のなかでも、特に、社会的課題
実践のアプローチとしては、市民団体への寄付、地域
の解決のために実施するさまざまな活動を「企業市民活
住民の皆さんへの施設開放、社会性の高いイベントへ
動」
と位置付けています。2011年には、
グローバル製薬
の協賛、企業財団や従業員のボランティア活動への支
企業としてグループ全体で共有すべき基本原則である
援等、多様なものが含まれます。
「企業市民活動に関する基本ポリシー」を制定しました。
いずれのアプローチについても、タケダでは、企業市
タケダの 企 業 市 民 活 動は、230 年にわたり培って
民活動を、プロセスごとに異なる付加価値を生み出す、
きた、
“くすりづくり”
の知見が活かせる「保健医療」分野
すなわち、バリューチェーンのフレームワークで捉え直
が中心になります。グローバルな観点とローカルな観
し、どの 程 度 の 経 営 資 源を投 入したか(=インプット)
点 の バランスを 考 えな がら活 動 を 推し進 め 、本 社 で
や、どの程度の対象者をカバーしたか(=アウトプット)
は、グローバル社会が抱える課題に、また、海外グルー
といった企業側の視点ではなく、活動の対象者にとって
プ会社は、それぞれの地域に応じた課題に取り組んで
ポジティブな効果を生み出せたか(=アウトカム)、さら
います。
には社会全体に対してポジティブな波及効果を及ぼせ
たか(=インパクト)という、ステークホルダー側の視点
を持つことが重要であると認識しています。
企業市民活動に関する基本原則
1. 当社グループの経験や知見が活かせる保健医療分野を中心に活動する。
2. グローバル社会や地域のニーズを反映した活動を行う。
3. NGO/NPO、地域社会、行政、国際機関など、幅広いステークホルダーとの連携・協働を進める。
4. 従業員の自発的な社会参加を支援する。
5. ステークホルダーに対して、実施した活動を適切に開示する。
92
Takeda Annual Report 2011
NGO / NPOとの連携による
長期的・継続的な企業市民活動
「保健医療」分野における社会的な課題については、
人 々 の「 い の ち 」に大きく関 わる分 野 で あるだけに、
企 業 側にも長 期 的・継 続 的 な 視 点に立った、サポート
体制を確立することが重要だと考えます。タケダでは、
社会的課題の現場を深く理解しているNGO / NPOと
連携のうえで、それぞれの状況を改善するために必要
な 期 間を見 定 めて、継 続 的 な 支 援プログラムを実 施
しています。
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
タケダが実施している主な企業市民活動とその期間
プログラム名
概要(連携組織)
開始年
期間
タケダ・イニシアティブ
アフリカにおける三大感染症対策の支援
(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)
2010年
10年
タケダ-Plan保健医療
アクセス・プログラム
アジアにおける子どもたちの保健医療アクセスの向上支援
(公益財団法人 プラン・ジャパン)
2009年
5年
タケダ・ウェルビーイング・
プログラム
国内の長期療養中の子どもたち、およびそのご家族の支援
( NPO 法人 市民社会創造ファンド)
2009年
5年
2011年
複数年
「日本を元気に・復興支援」
プログラム
アリナミン類の収益の一部を東日本大震災の復興支援として
拠出(認定NPO法人 日本 NPOセンターなど)
企業市民活動におけるバリューチェーンとタケダの視点
タケダは、活動の対象者および社会全体にとってポジティブな効果が生まれることを念頭に置き、
ステークホルダー側の視点から企業市民活動を行います。
企業視点
(例えば)
ステークホルダー視点
インプット
レベル
アウトプット
レベル
アウトカム
レベル
インパクト
レベル
資源の投入
活動の成果
対象者の
行動変化
社会への
波及効果
NGO / NPOに
X 万円の寄付
Y 人への追加的な
受診率の
Z% 向上
他地域への
横展開
啓発活動
Takeda Annual Report 2011
93
コミュニティ参画および発展
国連ミレニアム開発目標( MDGs )が掲げる「三大感染症の蔓延防止」など、
途上国が抱えている課題に対して、継続的な取り組みを進めます。
[途上国の保健医療支援]
タケダ・イニシアティブ
MDGs への対応:目標 6
MDGsの主要な課題の一つである「三大感染症の蔓延防止」に取り組
むため、
タケダは2010年に「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」
(世界
基金)
を通じてアフリカにおける保健医療人材の育成・強化を図る寄付プロ
グラム「タケダ・イニシアティブ」を立ち上げました。
寄付金額は年間1億円で、2010年∼2019年までの10年間継続しま
す。現在の支援対象地域であるタンザニア
(対象疾病:マラリア)、ナイジェ
リア
(対象疾病:エイズ)、
セネガル
(対象疾病:結核)のうち、2011年5月に
タケダはタンザニアのプロジェクトを視察し、医療関係者とのステーク
ホルダー・ダイアログを行いました。なお、寄付金の使途については、世界
基金は全て監査法人などの外部専門機関の監査・検証を受けており、透明
マラリア対策に有効な殺虫剤を織り込んだ蚊帳の使用法を教える
保健スタッフ
(タンザニア)
性の高いプロジェクトとなっています。
タケダ-Plan
保健医療アクセス・プログラム
「タケダ -Plan 保健医療アクセス・プログ
ラム」は、公益財団法人 プラン・ジャパンとの
タイにおける活動
若年層の HIV/AIDS 感染予防
フィリピンにおける活動
子どもの医療支援
提携によって、2009 年にスタートしました。本プログラム
MDGs への対応:目標 6
MDGs への対応:目標 2 、目標 8
では、中国、
インドネシア、
フィリピン、
タイのアジア4ヵ国に
おいて、子どもたちの保健医療アクセスを支援するきめ細
かい取り組みを推進しています。2 年目となる2010 年度
では、各地域において、プログラムの対象エリアや延べ対
象 人 数 が 拡 大 するなど、着 実 な 進 展 を 見 せ て います 。
2010 年 2 月、タケダはフィリピンのプロジェクト・サイトを
インドネシアにおける活動
中国における活動
屋外での排泄禁止促進
子どもの栄養改善
MDGs への対応:目標 4 、目標 7
MDGs への対応:目標 1 、目標 2
訪問し、
プロジェクトの改善に向け、医療関係者や保健ボラ
ンティアとのステークホルダー・ダイアログを行いました。
写真提供:プラン・ジャパン
Stakeholder's Voice
多くの国において、エイズ、結核そしてマラリアは依然として主要な保健課題
であり、タケダと世界基金とのパートナーシップである「タケダ・イニシアティブ」
は、課題解決のための重要な投資であると考えています。タケダの取り組みが、
他の企業による世界基金へのサポートを喚起してくださっていることをとても
喜ばしく思っています。
世界基金事務局長
Professor Michel Kazatchkine
ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。
94
Takeda Annual Report 2011
http://www.takeda.co.jp/access/
[タケダグループ各社の取り組み]
欧州における活動
日本における活動
NGOや患者団体など多様な
長 期 療 養 の 子どもたち の
団体との連携を深めながら、企
“生きる力”
につながる市民活
業市民活動を展開しています。
動を応援する助成プログラム
従業員によるボランティア活動
をはじめ、多岐にわたる企業市
も、
積極的に行っています。
民活動を推進しています。
障がい者サッカー協会へのサポート
(英国)
長期療養の子どもたち支援
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
Takeda
Global CSR
アジアにおける活動
米国における活動
保健医療、教育環境の
地域の住宅・教育施設の
向 上に向 けた 活 動 など、
修復プロジェクトや、癌患者
アジアの子会社が、各国の
さんを支援する活動などを
実情に合わせた企業市民
展開しています。
活動を展開しています。
インターンシップの実施(台湾)
従業員ボランティアによる
地域の学校での活動
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細と、その他の活動をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
95
コミュニティ参画および発展
外部団体との連携による活動を進めるとともに、
医療の発展に向けた基盤整備にも継続的に取り組んでいます。
[ NGO / NPOとの協働]
タケダ・ウェルビーイング・プログラム
1 年目の 2009 年度は、有識者からの助言を踏まえ、
「タケダ・ウェルビーイング・プログラム」は、NPO 法
「病気の子ども支援ネット遊びのボランティア」、
「エス
人 市民社会創造ファンドとともに、長期にわたり病気
ビューロー」、
「しぶたね」、
「日本ホスピタル・クラウン
療養する子どもとその家族をサポートする市民活動を
協会」の 4 団体に助成を行いました。2 年目の 2010 年
支援するために立ち上げた助成プログラムです。
度は、
「 病気の子ども支援ネット遊びのボランティア」、
「しぶたね」への継続
タケダの支援団体と支援対象分野
助 成 に 加 え 、新 規 に
活動全体
人材育成
インフラ支援
〈パフォーマンス〉
〈ボランティア育成〉
〈交流スペース〉
子ども劇場千葉県センター
生きるちから
病気の子ども支援ネット
遊びのボランティア
VIVACE
「 子ども 劇 場 千 葉 県
センター」、
「 生きるち
から VIVACE」の2団
〈心のケア(震災対応)〉
〈クラウン育成〉
日本クリニクラウン協会
〈全国大会〉
体 へ 助 成を行ってい
日本ホスピタル・
クラウン協会
エスビューロー
ます。3 年目の 2011
〈ハウスマネージャー育成〉
〈冊子〉
ファミリーハウス
しぶたね
〈長期支援情報提供〉
がんの子供を守る会
〈パフォーマンス〉
ロー 」と「日本クリニ
クラウン協会」への助
ゆいの会
〈 〉内:支援分野 黒文字:団体名
年 度 は「 エ スビュー
成を実施しています。
:
「タケダ・ウェルビーイング・プログラム」の支援団体
ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。http://www.takeda.co.jp/chouki/
[企業財団]
武田科学振興財団
「武田科学振興財団」は、1963 年、タケダからの寄附
金 を 基 金として 設 立 されました 。現 在 の 主 要 事 業と
2010年度実績[( )内]は以下の通りです。
①科学技術に関する研究機関および研究者に対する
奨励金の贈呈( 446 件、22 億 66 万円)、②外国人留学
研究者に対する奨学金の贈呈( 41 名、1 億 878 万円)、
尚志社
「尚志社」は、1923 年に五代武田長兵衞が私費を投
じて苦学生に学費支援をはじめたことにそのルーツが
あります。その遺志が受け継がれ、1960 年に育英事業
を目的とする財団法人「尚志社」に発展しました。本事業
の開始から2010 年度までに奨学金の提供を受けた学
生の数は、573名に及びます。
ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.shoshisha.or.jp/
③科学技術に関する注目すべき研究業績に対する褒賞
(武田医学賞)
( 西田栄介博士:京都大学教授、間野博行
発酵研究所
博士:自治医科大学教授、東京大学特任教授)、④科学技
「発酵研究所」は、1944年に当時の内閣技術院と武田
術に関する国際シンポジウムの開催、⑤科学技術の振
薬品との共同出資により設立され、微生物株の保存機関
興に関する出版物の発刊、⑥図書資料館「杏雨書屋」に
として、2002年まで国内外の研究を支援してきました。
おける東洋医書その他図書資料の保管、整理、公開。
2003年度からは微生物学の進歩発展に寄与することを
ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。
目的として、微生物研究への助成事業を行っています。
http://www.takeda-sci.or.jp/
2010年度の助成総額は4億4,275万円でした。
ホームページで、活動の詳細をご紹介しています。
http://www.ifo.or.jp/
96
Takeda Annual Report 2011
[東日本大震災による被災地への支援]
「緊急」
「復旧」
「復興」の3段階に分けて、
被災された皆さまを継続的に支援していきます
回復を支援するため、東北・関東地方の特産品を従業員向
けに販売する
「企業内マルシェ」を継続的に開催していま
■「緊急」支援策
す。タケダでは、時間の経過とともに変化する現地ニーズ
災害義援金として 3 億円を日本赤十字社に寄付する
に対応できる柔軟な支援スキームを検討していきます。
とともに、製薬企業の社会的責任として、日本製薬工業
協会および日本 OTC 医薬品協会と協働のうえ、医療用
医薬品および一般用医薬品の提供を行いました。この
ほか、海外関係会社からも、総額約 1 億円(日本円換算)
にのぼる寄付金が、各国の赤十字社などを通して拠出さ
労働組合の取り組み
武田薬品労働組合では、会社と連携し、被災され
た皆さまの救済支援および被災地の復旧支援を目
的として、組合員をはじめ従業員に募金を呼びかけ
れています。
ました。多くの従業員の積極的な参加を得て、約
■「復旧」支援策
わせ、
ジャパン・プラットフォームに寄贈しました。
に会社がマッチング(同額上乗せ)する形で、認定 NPO
また、モンゴルへの支援活動は「手から手へ」を
法人ジャパン・プラットフォームに約7,600万円を寄付し
コンセプトに14年間にわたって、継続して取り組ん
ました。また、
「 被災地におけるボランティアに参加した
でいます。毎年、現地の学校に文房具・衛生用品な
い」との従業員の声を受けて、
「特別有給休暇の付与」
どを寄贈するとともに、子どもたちとの文化交流も
「ボランティア保険の保険料負担」など、従業員の自発的
ステ ー ク ホ ル ダ ー との 関 係
3,800 万円が集まり、会社からの同額の拠出と合
武田薬品労働組合との共同により、従業員からの募金
行い、心の通った活動を実施しています。
今後も、ボランティア活動・災害支援活動・各種カ
なボランティア活動をサポートする制度を整えました。
ンパ活動など、さまざまな社会貢献活動に、積極的
■「復興」支援策
被災地の「復興」には、長期・継続的な支援が必要であ
に取り組んでいきます。
るとの認識から、
「日本を元気に・復興支援」
として、
アリナ
ミン類の収益の一部を複数年にわたって拠出することを
決定しました。その一部として、認定NPO法人 日本NPO
センターに対して、8 億円の寄付を実施します。このほ
か、被災地で長期間にわたり活動する地元のNPOを支え
るため、
「東日本大震災現地NPO応援基金」に2,000万
円の寄付を実施しました。また、震災による被害に加え、
風評被害によって大きな影響を受けている被災地の消費
ジャパン・プラットフォームへのマッチングギフト寄贈
被災地支援の考え方と具体的活動
緊急
復旧
●医療用/一般用医薬品の
供給
●マッチング・ギフト
●被災された方々への義援金
●従業員ボランティア活動の
サポート
復興
●東日本大震災現地 NPO 応
援基金への寄付
● アリナミン の 収 益 による
「日本を元気に・復興支援」
●「企業内マルシェ」の開催
「 CSR データブック」
( PDF 版)で、活動の詳細と、その他の活動をご紹介しています。
http://www.takeda.co.jp/csr/
Takeda Annual Report 2011
97
経営管理体制
99 コーポレート・ガバナンス
100 コンプライアンス
101 危機管理
102 取締役、監査役およびコーポレート・オフィサー
104 主要子会社および関連会社
98
Takeda Annual Report 2011
コーポレート・ガバナンス
構成される業務執行会議を定期的に開催し、重要な経
基本的な考え方と仕組み
営課題を検討するなど、各機能間の一層の連携とより
コーポレート・ガバナンスの考え方
迅速で柔軟な業務執行が推進され、事業が円滑に運営
タケダでは、
「優れた医薬品の
される組織・体制を構築しています。
創出を通じて人々の健康と医療
タケダでは、取締役会を「会社経営の意思決定を行う
の未来に貢献する」
という経営理
と同時に、業務執行を監視・監督することを基本機能と
念のもと、グローバルに事業展
する機関」と位置付けています。取締役会は取締役 8 名
開する世界的製薬企業にふさわ
から構成され、原則月 1 回の開催により、経営に関する
しい 事 業 運 営 体 制 の 構 築に向
重要事項について決議および報告が行われています。
け、健全性と透明性が確保された迅速な意思決定を可能
タケダでは、当社事業に精通した取締役会メンバーと
とする体制の整備を進めるとともに、
コンプライアンスの
社外を含む監査役により、効率的で透明性の高い事業
徹底を含む内部統制の強化を図っています。これらの取
運営体制を推進してまいりました。
しかしながら、
グロー
り組みを通じて、
コーポレート・ガバナンスのさらなる充実
バルでの事業展開が急速に進むなかで、環境変化に柔
を目指し、企業価値の最大化に努めてまいります。
軟に対応し持続的成長を果たしていくため、
グローバル
事業の経験が豊富な社外の有識者からのご意見を積極
的に取り入れ経営に刺激と緊張感をもたらすことが、業
タケダでは、取締役会においてタケダグループの基
界の常識にとらわれないイノベーションの推進につな
本方針を定め、その機関決定に基づいて、経営・執行が
がると考え、社外取締役制度を採用いたしました。
行われる体制をとっています。また、多様化する経営課
また、タケダでは、グローバルに事業を展開していく
題に機動的かつ迅速に対応し、
グローバル運営を強化・
うえで直面しうるあらゆるリスクについて、各基本組織
推 進するため、研 究 開 発 機 能 、米 欧 販 売 機 能 、アジア
の責任者が担当領域ごとに管理するとともに、そのリスク
販売機能および経営管理機能にかかわる統括職を設置
の程度・内容に応じた回避措置・最小化措置を行う体制
しています。さらに、各統括職を含む経営幹部によって
をとっています。
経営管理体制
経営体制
内部統制体制の概要図
株
報告
取
締
付議・報告
社
選任・解任
役
主
総
選任・解任
会
監査
務
執
指示
長
行
会
議
(経営戦略・経営上および業務執行上の
重要事項の審議)
付議・報告
査
役
会
報告
会 計 監 査 人
監 査 室
環境安全管理室
品質保証監査室
執行指示/監督
各 統 括 職
付議・報告
監
選任・解任・
不再任
選任・解任/監督
報告
業
会
報告
付議・報告
執行指示/監督
内部監査
執行指示/監督
各 部 門 長・グ ル ー プ 会 社 社 長
Takeda Annual Report 2011
99
コーポレート・ガバナンス
さらには、
「タケダグループ経営管理ポリシー」および
タケダグループ各社のコンプライアンス推進
「関係会社管理のあり方」に基づき、
グループ各社の役割・
タケダグループ各社では、
グローバル・コンプライアン
責任を明確にするとともに、定期的な内部監査やコント
ス推進体制のもと、
「タケダ・グローバル行動規準」に即し
※
ロール・セルフ・アセスメント( CSA )プログラム 等の実
たコンプライアンス・プログラムの強化を進めています。
施により、
グループ各社における法令遵守ならびに適正
グローバルレベルでの対応が必要な場合は、グロー
な事業運営を確保しています。
バル・コンプライアンス・オフィスがグループ各社のコン
※各社・各部門の責任者が内部統制の状況を自己診断し、改善計画の実行を約束した
うえで、その適正性について宣誓するプログラムです。タケダでは、経営者による財
務報告にかかる評価・確認の根拠としています。
プライアンス担当部門と協力します。
武田薬品におけるコンプライアンス推進
監査体制
武 田 薬 品では、1999 年 4 月に
組織形態は監査役設置会社です。タケダでは、監査役
「武田薬品コンプライアンス・プログ
の重要な会議への出席や重要な文書の閲覧権限などを
ラム」をスタートさせ、武田薬品コン
「監査役監査規程」として定めることにより、監査役の監
プライアンス・オフィサーおよびコン
査が実効的に行われることを確保するための体制を整
プライアンス推進委員会を置いて、
備しています。なお、経営の透明性向上については、社
コンプライアンスを推進しています。
外監査役2名(監査役4名中)
による監査が十分に機能し
また、
「タケダ・グローバル行動規準」を元に、武田薬品の
ていることから、経 営 監 視 機 能 の 客 観 性・中 立 性が確
役員・従業員が遵守すべき基準として「武田薬品コンプラ
保されていると考えています。また、会計監査人はあず
イアンス行動規準」を制定しています。
さ監査法人が担当しています。
そして、各種の研修や職場における意見交換会その
他の取り組みを通じて、役員・従業員に対し、コンプライ
コンプライアンス
アンスに関する啓発および教育を実施しています。
また、コンプライアンスに関する通報を受け付ける
タケダ・グローバル行動規準およびグローバル・
コンプライアンス推進体制
システムとして、
「 Voice of Takeda System( VTS )」
タケダが社会の信頼に応え存在価値を認められるた
窓口)を設けています。電子メール、郵便等を利用して
めには、タケダグループの全役員・従業員が、法令を遵守
寄せられる通報については、通報者の保護を確保しな
することはもちろん、
「タケダイズム」の実践により、高い
がら適切な対応を行っています。
および社外 VTS 通報窓口(外部法律事務所の弁護士が
倫理観・道徳観をもって企業活動を展開していくことが
100
不可欠です。このような観点から、タケダでは、
グローバ
研究に関するコンプライアンスの推進
ルに、
より統一の取れた事業運営を行っていくため、
グル
タケダでは優れた医薬品開発のため薬事法などの法令
ープ各社に共通するコンプライアンスの基本ルールとし
および社内の諸規定を遵守して研究活動を行っています。
ての「タケダ・グローバル行動規準」を制定しています。
新薬の研究・開発に必要不可欠な動物実験の実施にあ
また、
グローバルにコンプライアンスを推進するため、
たっては、
「動物の愛護及び管理に関する法律」等の法令
グローバル・コンプライアンス・オフィサーおよびグロー
を遵守し、生命を尊重して動物を愛護するとの考えに基
バル・コンプライアンス・コミッティを設置し、
グローバル・
づいた倫理的かつ科学的な基盤である3Rs※ の実践に最
コンプライアンス・オフィス(武田薬品法務部)が補佐
大限に配慮しています。
する体制を構築しています。
また、バイオハザードおよびケミカルハザードなどの
Takeda Annual Report 2011
取り扱いには、研究者だけでなく環境への影響も配慮
して万全な対策を講じています。
※ Reduction(使用する動物数の削減)、Replacement( 動物を使用しない実験へ
の置き換え)、Refinement( 動物の苦痛軽減 )
ガイドラインで想定している危機
■会社資産、経営および事業活動に重大な損害を
被る事態
■役員および従業員の生命・身体の安全、人権に関
危機管理
わる事件・事故により安全等が損なわれる事態
■会社の信用、
ブランドへの信頼を著しく損なう事態
タケダグループの危機管理体制
タケダグループにおけるコーポレート・ガバナンスの
■株主、顧客、取引先をはじめ、社会一般に重大な
影響を及ぼす事態
一環として、経営に大きな影響を与えるリスクの未然防
止と発生時の的確な対応は重要であり、グループ全体
で監査など内部統制の充実、
コンプライアンスの推進と
ともに危機管理体制を確立・強化する必要があります。
危機管理に際しては、株主・顧客・取引先・従業員・地域・
社会などのステークホルダーに対する責任として、
タケダ
グループの人的な安全確保と経済的な損失を回避する
ため、
公正で誠実な対応が重要です。タケダでは、
「タケダ
グループにおける危機管理ガイドライン」および「危機
タケダの各部門およびグループ各社は、それぞれの
自己責任において、危機管理体制の構築、予防措置と
発生時の対策を実施します。タケダとして全社的対応
を要する事態、グループ共通で対処すべき事態につい
ては相互に連携を保ち、人事部を事務局とする武田薬
品 の「 危 機 管 理 委 員 会 」で統 一 的に情 報・状 況を把 握
し、
トップマネジメントへの報告、各部門・グループ各社
経営管理体制
管理規則」を定めるとともに、災害や事故等の発生に伴
グループ会社との連携
に対する対策の指示とフォローを行います。
う事業活動の中断を防ぐため、あるいは中断したとして
も可能な限り短期間で再開するために、事業継続計画
( BCP:Business Continuity Plan )の策定に取り
危機管理ガイドラインの位置付け
タケダグループ
組んでいます。
2011 年 3 月に発生した東日本大震災および原発事
故による放射線問題などを受け、リスクに関する前提
グループ各社
タケダグループにおける危機管理ガイドライン
条件の見直しなど事業継続計画をブラッシュアップし、
今後とも使命である「安定した医薬品供給」を継続的に
危機管理規則
果たしていきます。
危機管理ガイドライン
タケダグループの危機管理に関する基本的な考え
方、原則・基準をまとめた「タケダグループにおける危機
管理ガイドライン」に従い、発生が予測される危機に対
し可能な限りの予防措置を講じています。また本ガイド
事業継続ガイドライン策定指針
新型
想定される危機別の
事業継続ガイドライン インフルエンザ
自然災害
想定される危機別の事業継続
ガイドライン(各社適用版)
ラインに沿って、危機の種類に応じて的確・迅速に対応
できるような体制・仕組みを構築し、危機が発生しても
業務継続のための対策
(各基本組織別)
タケダグループが受ける人的・経済的被害や社会に及ぼ
す影響を最小限に抑えるようにしています。
Takeda Annual Report 2011
101
取締役、監査役およびコーポレート・オフィサー
取締役
常務取締役/経営管理統括職
代表取締役 社長
長谷川 閑史
1970年 当社入社
1998年 医薬国際本部長
1998年 コーポレート・オフィサー
1999年 取締役
2001年 経営企画部長
2002年 事業戦略部長
2003年 代表取締役 社長(現)
2011年 公益社団法人経済同友会 代表幹事(現)
吉田 豊次
1971年 当社入社
1998年 広報室長
2000年 コーポレート・オフィサー
2002年 コーポレート・コミュニケーション部長
2003年 取締役
2007年 常勤監査役
2009年 常務取締役(現)
2009年 経営管理統括職(現)
2011年 武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル株式会社 社長(現)
取締役/研究開発統括職
常務取締役/医薬営業本部長
山中 康彦
1979年 当社入社
2003年 事業戦略部長
2004年 コーポレート・オフィサー
2007年 医薬営業本部長(現)
2007年 取締役
2011年 常務取締役(現)
大川 滋紀
1979年 当社入社
2005年 医薬研究本部長
2007年 コーポレート・オフィサー
2008年 取締役(現)
2009年 研究開発統括職(現)
2009年 武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル株式会社 副社長(現)
取締役/米欧販売統括職
取締役
フランク・モリッヒ
山田 忠孝
1998年
2000年
2002年
2004年
2004年
2005年
2008年
2009年
2010年
2010年
2000年 グラクソ・スミスクライン社研究開発部門長
2004年 同社取締役
2006年 ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団
バイエル社一般用医薬品本部長
同社経営委員
バイエルヘルスケア社経営委員長
AMファーマ社最高経営責任者
フォービオン社科学諮問委員長
イノジェネティックス社取締役兼最高経営責任者
ノクソン・ファーマ社最高経営責任者
タケダ・グローバル・アドバイザリー・ボード メンバー
米欧販売統括職(現)
武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル株式会社副社長(現)
2011年 取締役(現)
2007年
2009年
2011年
2011年
2011年
2011年
2011年
グローバル・ヘルス・プログラム プレジデント
コヴィディエン社取締役
タケダ・グローバル・アドバイザリー・ボード メンバー
アジレント・テクノロジー社取締役(現)
業務執行会議第三部会議長(現)
取締役(現)
メディカル&サイエンティフィック・アドバイザー(現)
武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル株式会社副社長(現)
社外取締役
數土 文夫
1964年
1994年
1997年
2000年
2001年
2002年
2003年
2005年
2010年
2010年
2010年
2011年
2011年
川崎製鉄株式会社(現 JFEスチール株式会社)入社
同社取締役
同社常務取締役
同社代表取締役副社長
同社代表取締役社長
ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社取締役
JFEスチール株式会社代表取締役社長
ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社代表取締役社長
同社取締役
同社相談役(現)
株式会社住生活グループ社外取締役(現)
日本放送協会 経営委員会委員長(現)
取締役(現)
社外取締役
小島 順彦
1965年
1995年
1997年
2001年
2001年
2004年
2005年
2010年
2010年
2010年
2011年
三菱商事株式会社入社
同社取締役
同社常務取締役
同社取締役副社長
同社取締役副社長執行役員
同社代表取締役社長
日清食品ホールディングス株式会社社外取締役(現)
ソニー株式会社社外取締役(現)
三菱商事株式会社取締役会長(現)
三菱重工業株式会社社外取締役(現)
取締役(現)
(注)取締役 數土文夫および小島順彦は、会社法第2条第15号に定める社外取締役です。
102
Takeda Annual Report 2011
監査役
常勤監査役
常勤監査役
武田 直久
櫻田 照男
1972年 当社入社
2000年 医薬国際本部欧州部長
2003年 欧州アジア部長
2005年 コーポレート・オフィサー
2007年 海外事業推進部長
2008年 常勤監査役(現)
1970年 当社入社
2000年 医薬営業本部東北支店長
2005年 医薬営業本部大阪支店長
2006年 コーポレート・オフィサー
2009年 常勤監査役(現)
監査役
藤沼 亜起
監査役
1970年 アーサーヤング公認会計士共同事務所入所
1974年 公認会計士登録(現)
1986年 監査法人朝日新和会計社社員
1991年 同監査法人代表社員
1993年 太田昭和監査法人(現・新日本監査法人)代表社員
2004年 日本公認会計士協会会長
2007年 新日本監査法人退職
2007年 株式会社東京証券取引所グループ社外取締役(現)
2007年 東京証券取引所自主規制法人外部理事(現)
2008年 中央大学大学院戦略経営研究科 特任教授(現)
2008年 監査役(現)
2008年 住友商事株式会社社外監査役(現)
2008年 野村ホールディングス株式会社社外取締役(現)
2008年 住友生命保険相互会社社外取締役(現)
2009年 株式会社セブン&アイホールディングス社外監査役(現)
石川 正
1967年 東京大学法学部助手(行政法専攻)
1973年 弁護士登録(大阪弁護士会)
( 現)
2002年 弁護士法人大江橋法律事務所代表社員
2005年 監査役(現)
2006年 西日本旅客鉄道株式会社社外取締役(現)
2008年 弁護士法人大江橋法律事務所社員(現)
経営管理体制
(注)監査役 石川 正および藤沼 亜起は、会社法第2 条第 16 号に定める社外監査役です。
コーポレート・オフィサー
コーポレート・コミュニケーション部長
業務統括部長
事業戦略部長
製薬本部長
大槻 浩
禰宜 寛治
井上 益光
隠居 孝志
製品戦略部長
医薬営業本部マーケティング部長
アジア販売統括職
医薬開発本部長
岩崎 真人
鈴木 直之
平手 晴彦
ナンシー・ジョセフ=リッジ
武田ファーマシューティカルズ・
インターナショナル株式会社 GLBD ヘッド
武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル
株式会社 チーフ・インテグレーション・オフィサー
ミレニアム・ファーマシューティカルズ
株式会社 社長 兼 CEO
武田ファーマシューティカルズ・
ヨーロッパ株式会社 社長
アンナ・プロトパパス
本田 信司
デボラ・ダンサイア
トレバー・スミス
タケダ・グローバル・アドバイザリー・ボード( TGAB )
■社外アドバイザー
TGABでは、医薬品業界を取り巻く環境が急変するなかにおいて、タケダの
元Pfizer副会長、現Essex Woodlands Health Ventures社シニア・アドバイザー
さまざまな経営上の課題について、経営幹部と活発な意見交換を行って
Mr. Sidney Taurel
います。TGAB は、グローバル製薬企業のエグゼクティブとしての経験を
有する3 人の社外アドバイザーから構成されています。
Ms. Karen Katen
元Eli Lilly CEO兼会長、現同社名誉会長
Mr. Bruno Angelici
元Astra Zeneca, International上級副社長
2011年7月末現在
Takeda Annual Report 2011
103
主要子会社および関連会社
15
3
1
2
14 7
16 9
11 10
6
5
4
8
13 12
17
4
3
2
11
4
2
5
5
12
7
1
3 6
武田薬品工業株式会社
6
10 9
1
8
欧 州
【医薬事業】
1 武田ヨーロッパ・ホールディングス有限会社
議決権比率: 100%
7 英国武田株式会社
議決権比率: 100%(3)
13 武田ポルトガル株式会社
議決権比率: 100%(3)
2 武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ株式会社
議決権比率: 100%(3)
8 タケダ・イタリア・ファルマチェウティチ株式会社
議決権比率: 76.9%(3)
14 武田アイルランド株式会社
議決権比率: 100%
3 武田ケンブリッジ株式会社
議決権比率: 100%(3)
9 タケダ・ファルマ有限会社
議決権比率: 100%(3)
15 武田ノルディック有限会社
議決権比率: 100%(3)
(欧州)株式会社
4 武田グローバル研究開発センター
議決権比率: 100%(3)
10 タケダ・ファルマ・オーストリア有限会社
議決権比率: 100%(4)
16 武田ベネルクス有限会社
議決権比率: 100%(3)
5 ラボラトワール・タケダ株式会社
議決権比率: 100%(3)
11 タケダ・ファルマ・スイス株式会社
議決権比率: 100%(4)
17 武田トルコ有限会社
議決権比率: 100%(3)
6
IDMファーマ株式会社
議決権比率:
100%(6)
12 武田スペイン株式会社
議決権比率: 100%(3)
● 所在地・連絡先の最新情報についてはホームページに掲載しています。
104
Takeda Annual Report 2011
http://www.takeda.co.jp/about-takeda/global-operations/article_83.html
日 本
【医薬事業】
【その他事業】
1 日本製薬株式会社
議決権比率: 87.5%
5 和光純薬工業株式会社
議決権比率: 70.3%
2 武田ヘルスケア株式会社
議決権比率: 100%
6 水澤化学工業株式会社
議決権比率: 54.2%
3 武田バイオ開発センター株式会社
議決権比率: 100%
6
4
2
8
5
4 天藤製薬株式会社
議決権比率: 30%
7
9
米 州
1
3
【医薬事業】
1 武田アメリカ・ホールディングス株式会社
議決権比率: 100%
10
2 武田ベンチャー投資株式会社
議決権比率: 100%(1)
3 武田サンディエゴ株式会社
議決権比率: 100%(1)
4 武田サンフランシスコ株式会社
議決権比率: 100%(1)
5 武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル株式会社
議決権比率: 100%(1)
経営管理体制
11
6 武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ株式会社
議決権比率: 100%(1)
7 武田カナダ株式会社
議決権比率: 100%(1)
アジア
【医薬事業】
1 武田ファーマシューティカルズ・
アジア株式会社
議決権比率:
8 インドネシア武田株式会社
議決権比率: 70%
100%
9 武 田グローバル 研 究 開 発
2 武田
(中国)投資有限公司
議決権比率:100%
センター(アジア)
株式会社
3 武田薬品
(中国)有限公司
議決権比率:100%(7)
10 武田シンガポール株式会社
議決権比率: 100%(5)
4 天津武田薬品有限公司
議決権比率: 100%
11 韓国武田薬品株式会社
議決権比率: 100%
5 台湾武田株式会社
議決権比率: 100%
12 インド武田薬品株式会社
議決権比率:100%
議決権比率:
100%
8 武田グローバル研究開発センター株式会社
議決権比率: 100%(2)
9 ミレニアム・ファーマシューティカルズ株式会社
議決権比率: 100%(1)
10 武田メキシコ株式会社
議決権比率: 100%
11 武田ブラジル有限会社
議決権比率: 100%
持株会社ほか 研究 開発 製造 販売
(1)武田アメリカ・ホールディングス
(株)を通じた出資
(2)武田ファーマシューティカルズ・ノースアメリカ(株)の100%子会社
6 フィリピン武田株式会社
議決権比率: 50%
7 タイ武田株式会社
議決権比率: 52%
(3)武田ヨーロッパ・ホールディングス
(有)を通じた出資
(4)タケダ・ファルマ(有)の100% 子会社
(5)武田ケンブリッジ
(株)の100% 子会社
(6)ラボラトワール・タケダ(株)の100% 子会社
(7)武田(中国)投資有限公司の 100% 子会社
Takeda Annual Report 2011
105
財務セクション
107 事業および財務の概況
114 11 年間の要約財務データ
116 連結貸借対照表
118 連結損益計算書
118 連結包括利益計算書
119 連結株主資本等変動計算書
120 連結キャッシュ・フロー計算書
122 連結財務諸表注記
145 独立監査人の監査報告書(訳文)
106
Takeda Annual Report 2011
事業および財務の概況
武田薬品工業株式会社および子会社 2011 年 3 月期(2010 年度)
■ 業績全般の概況
■ 売上高
医薬品業界においては、技術革新の壁に直面し、新薬
前年度から466 億円(3.2% )減収の 14,194 億円と
の創出が困難になりつつあることに加え、世界的な承認
なりました。
[グラフ①、表①]
審査の厳格化や医療制度の抜本的な見直しが進められ
• 米国「ミレニアム社」の多発性骨髄腫治療剤「ベルケイ
ていることなどにより、厳しい事業環境が継続しており
ド」の伸長や、
「武田ファーマシューティカルズ・ノース
ます。また、海外売上高比率の高い当社の業績に大きな
アメリカ株式会社」
(以下、
「 TPNA 社」)における2 型
影響を与える為替レートも不安定に推移しております。
糖尿病治療剤「アクトス」および2009 年新発売した逆
当社では、このような状況の変化に柔軟に対応するた
流性食道炎治療剤「デクスラント」
と痛風・高尿酸血症
「 10–12 中期計画」をス
めに、2010 年度を起点とする
治療剤「ユーロリック」の伸長に加え、国内で抗癌剤
タートさせました。本中期計画では、
「新たなタケダへの
「ベクティビックス」、2 型糖尿病治療剤「ネシー ナ」、
変革」の実現に向けて、
「革新への挑戦( Innovation )」
高血圧症治療剤「ユニシア」など8 品目を新発売したこ
と
「活力ある企業風土の創造( Culture )」を通じて「持続
とによる増収効果がありましたが、米国で特許期間が
的な成長( Growth )」を達成することを経営方針として
満了した消化性潰瘍治療剤「プレバシド」が大幅な減収
掲げ、その実現に向けて取り組んでまいりました。
となったことや為替レートが対ドル、対ユーロとも円高
2010 年度の成果と環境変化を踏まえた「 11–13 中
期計画」においても 、当社は引き続き、経営方針に基づ
く基本戦略を着実に実行し
「新たなタケダへの変革」を進
などにより、全体
となった影響(607 億円のマイナス)
では減収となりました。
• 医療用医薬品の主要品目の売上高は下記のとおりで
す。
[表②]
めてまいります。
当社は、グローバルに事業を展開する企業の責務とし
て地球環境への配慮、コンプライアンスの遵守を徹底し、
売上高の地域別内訳[表①]
(単位:億円)
「優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来
に貢献する」という経営理念の実現を目指し、中長期的
2009
2010/
2009
7,214
50.8%
4,964
35.0%
1,729
12.2%
287
2.0%
14,194
6,890
47.0%
5,618
38.3%
1,891
12.7%
261
1.9%
14,660
4.7 %
年度
日本
な成長と株主の皆さまへの確実な利益還元を図ってま
米州
いります。
2010
欧州
売上高合計
(11.6)%
(8.6)%
財務セクション
その他
年度
10.2 %
(3.2)%
下段は構成比、
( )内数値は減少を示す。
(注)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用
売上高および海外売上高比率[グラフ①]
16,000
60
49.2%
6,981
12,000
8,000
45
している。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
2008 年度以前については組み替えていないため、記載していない。
国際戦略製品売上高(連結)
[ 表②]
(単位:億円)
30
7,213
4,000
海外売上高比率
売上高
(%)
(億円)
2009
1,164
1,336
2,180
3,879
1,204
2,161
2,183
3,833
年度
リュープロレリン
ランソプラゾール
15
2010
カンデサルタン
ピオグリタゾン
年度
2008
年度
2010/
2009
2009/
2008
1,261 (3.3)% (4.6)%
2,714 (38.2)% (20.4)%
2,303 (0.2)% (5.2)%
3,870
1.2 % (1.0)%
( )内数値は減少を示す。
0
’05
国内
’06
海外
’07
’08
海外売上高比率
’09
’10 年度
0
の体系を一部見直した
(注)2010 年度より、国内個別製品の仕切価(卸への販売価格)
ため、現行体系に合わせた比較ができるよう2009 年度の数値を組み替えて表示
している。
Takeda Annual Report 2011
107
• 連結医療用医薬品(仕入品を除く)の売上高は、前年度よ
り695 億円(5.8% )減収の 11,252 億円となりまし
■ 当期純利益
前年度から499 億円(16.8% )減益の 2,479 億円と
なりました。
[グラフ④]
た。
[表③]
• 税金等調整前当期純利益の減益に加え、前年度には
アイルランドにおける製造子会社 2 社の事業再編に伴
■ 営業利益
前年度から531 億円(12.6% )減益の 3,671 億円と
い税金が減少しましたが当年度にはこのような要因
がないことも影響し、当期純利益は減益となりました。
なりました。
[グラフ②]
• 販売費および一般管理費が 260 億円(3.4% )減少し
ましたが、減収により売上総利益が 791 億円(6.7% )
減益となったことにより営業利益は減益となりました。
(億円)
(%)
5,000
60
4,000
• 研究開発費以外の販売費および一般管理費は、円高に
よる影響などで 185 億円(4.0% )減少しました。
40
3,671
3,000
■ 税金等調整前当期純利益
20
2,000
前年度から443 億円(10.6% )減益の 3,716 億円と
増益率︵対前年度︶
フ③]
営業利益
[グラ
• 研究開発費は 、75 億円(2.5% )減少しました。
営業利益[グラフ②]
0
–12.6%
1,000
なりました。
• 固定資産にかかる撤去費用が前年度より減少したこと
などにより、その他の収益(費用)
は 89 億円増加しま
0
–20
’05
営業利益
’06
’07
’08
’09
’10 年度
–40
増益率(対前年度)
したが、営業利益の減益を吸収できず、税金等調整前
研究開発費および対売上高比率[グラフ③]
当期純利益は減益となりました。
研究開発費
5,000
50
4,000
40
対売上高比率
(%)
(億円)
連結医療用医薬品売上高の地域別内訳[表③]
(単位:億円)
2010 年度
国内製商品売上高
5,805
45.7%
[国内製商品売上高
(仕入品除く)]
海外製商品売上高
[ 4,373]
5,518
41.8%
54.2%
30
2,000
22.3%
20.4% 20
(10.2)%
1,000
10
(11.2)%
0
[ 2.3 % ]
(11.4)%
84.3 %
(12.5)%
’
06
研究開発費
(10.2)%
14.0 %
’
05
’
07
’
08
対売上高比率(全社)
’
09
’
10 年度
0
対売上高比率(医療用医薬品)
当期純利益[グラフ④]
(%)
(億円)
4,000
40
3,000
20
2.479
(3.8)%
[ (5.8)% ]
2,000
0
58.2%
下段は構成比、
( )内は数値は減少を示す。
−16.8%
1,000
–20
(注 1)売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでいる。
(注 2)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用
している。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
2008 年度以前については組み替えていないため、記載していない。
108
Takeda Annual Report 2011
0
’
05
当期純利益
’
06
’
07
’
08
増益率(対前年度)
’
09
’
10 年度
–40
増益率︵対前年度︶
連結医療用医薬品
海外売上高比率
5.2 %
当期純利益
[ 4,276]
6,455
7,191
50.8%
54.4%
米州
4,754
5,352
37.4%
40.5%
欧州
1,467
1,634
11.6%
12.4%
アジア他
234
205
1.8%
1.6%
知的財産権収益・役務収益
445
502
3.5%
3.8%
国内
10
6
0.1%
0.0%
海外
435
496
3.4%
3.8%
売上高 合計
12,705
13,211
[売上高合計(仕入品除く)
] [ 11,252] [ 11,947]
2,889
3,000
2009 年度 2010/2009
• 1 株当たり当期純利益(EPS)は、前年度から63 円18 銭
(16.8%)
減少し、314 円01 銭となりました。
[グラフ⑤]
• 「特別損益および企業買収などによる特殊要因除きの
1 株当たり当期純利益
」は、前年度から75 円 24 銭
(注)
(16.8% )減少し、373 円 57 銭となりました。
了による大幅な減収影響を吸収できず、現地通貨ベース
で減収となりました。欧州においては、現地通貨ベース
では「カンデサルタン」、
「アクトス」などの伸長などによ
り増収となりましたが 、円高影響を吸収しきれず円換算
額では減収となりました。
(注)当期純利益から、特別損益および企業買収によるのれん償却費、無形固定資産償
却費等の特殊要因を控除して算定しております。
〔ヘルスケア事業〕
• 自己資本当期純利益率( ROE )は 11.8%となり、前年
度から2.6 ポイント減少しました。
[グラフ⑤]
ヘルスケア事業の売上高は 、
ドリンク剤「アリナミンド
リンク類」、総合感冒薬「ベンザ類」等の増収により、前
年 度から 20 億 円(3.5% )増 収 の 603 億 円となりまし
■ セグメント別の状況[表④⑤]
た。営業利益は増収に伴う売上総利益の増益と期間経費
の減少により、12 億円(10.9% )増益の 122 億円とな
〔医療用医薬品事業〕
医療用医薬品事業の売上高は前年度から 503 億円
りました。
( 3.8% )減収の 12,674 億円となり、営業利益は前年
度から546 億円( 13.6% )減益の 3,460 億円となりま
〔その他事業〕
その他事業の売上高は前年度から15 億円(1.6% )増
した 。
このうち国内売上高は、関節リウマチ治療剤「エンブレ
ル」の増収や「ベクティビックス点滴静注」等の新製品発
収の 963 億円、営業利益は 2 億円(1.9% )増益の 110
億円となりました。
売による寄与により、296 億円(5.4% )増収の 5,784
億円となりました。
一方、海外売上高は 、米国における「プレバシド」の特
許期間の満了による減収や為替の対ドル、対ユーロでの
円高による減収影響などにより、前年度から799 億円
事業セグメント別売上高[表④]
(単位:億円)
(10.4% )減収の 6,890 億円となりました。
2010 年度
米国においては 、
「アクトス」、
「ベルケイド」の伸長や
「ユーロリック」の
2009 年新発売した「デクスラント」、
寄与などがあったものの、
「プレバシド」の特許期間の満
医療用医薬品
国内
海外
ヘルスケア
12,674
13,177
(3.8)%
5,784
6,890
603
963
5,488
7,689
582
948
5.4 %
(10.4)%
3.5 %
1.6%
財務セクション
その他事業
2009 年度 2010/2009
( )内数値は減少を示す。
(注)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用
している。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
2008 年度以前については組み替えていないため、記載していない。
EPS および ROE[グラフ⑤]
(%)
(円)
20 R
E 500
P
S
O
E
400
事業セグメント別営業利益[表⑤]
(単位:億円)
2010 年度
16
医療用医薬品事業
314.0
300
12
11.8%
200
ヘルスケア事業
8
その他事業
100
4
3,460
93.7%
122
3.3%
110
3.0%
2009 年度 2010/2009
4,006
94.8%
110
2.6%
108
2.6%
(13.6%)
10.9%
1.9%
下段は構成比、
( )内数値は減少を示す。
(注)2010 年度より、改正後の「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等を適用
0
’05
EPS
’06
ROE
’07
’08
’09
’10 年度
0
している。
比較を容易にするため、2009 年度は改正後の区分に組み替えて表示している。
2008 年度以前については組み替えていないため、記載していない。
Takeda Annual Report 2011
109
■
2011 年度の見通し
〔見通しの前提条件〕
為替レートは、1 米ドル=85 円、1 ユーロ=120 円を
〔売上高〕
前年度に発売した 2 型糖尿病治療剤「ネシー ナ錠」や
前提としています。
抗癌剤「ベクティビックス点滴静注」をはじめとする国内
新製品の寄与や、米国での「アクトス」等の売上伸長によ
り、米国での「プレバシド」の減収を吸収し、前年度から
306 億円(2.2%)増収の14,500 億円となる見込みです。
〔見通しに関する注意事項〕
• 米国におけるアクトス関連の後発品の参入時期につ
いて
米国における「アクトス
(一般名:ピオグリタゾン)」の後
発品は 2012 年 8 月に、
「アクトプラスメット
(ピオグリタ
〔営業利益〕
経費が前年度並みとなることを見込んでいることか
ゾンとメトホルミンの合剤)」、
「デュエットアクト
(アクトス
ら、増収による売上総利益の増益により、営業利益は前
とグリメピリドの合剤)」の後発品は 2012 年 12 月に参
年度から229 億円(6.2% )増益の 3,900 億円を見込ん
入することを前提に策定しています。本前提に関する考
でいます。
え方は、2010 年 12 月 22 日のニュースリリース
「糖尿
病治療剤アクトス、アクトプラスメット、デュエットアクト
〔当期純利益〕
の米国における後発品に対する特許侵害訴訟の和解に
営業利益増益により、当期純利益についても前年度
から 21 億円( 0.9% )増益の 2,500 億円を見込ん で
います。
ついて」にて開示を行った時点から変更ありません。詳
細については、次の URL をご参照ください。
(当社ホームページ)
http://www.takeda.co.jp/press/
article_40952.html
なお、当社の業績は、事業環境の変化や為替変動によ
る影響など、現在および将来において様々なリスクにさ
らされています。本業績見通しに織り込まれていない事
貸借対照表サマリー[表⑥ ]
(単位:億円)
2010
年度
流動資産
有形固定資産
投資および
その他の資産
総資産
負債
純資産
2009
年度
2008
年度
2010/
2009
2009/
2008
15,862 15,729 14,756
0.9 %
6.6 %
4,075 3,189 2,585 27.8 % 23.4 %
7,927 9,315 10,261 (14.9)%
27,864 28,233 27,602 (1.3)%
6,497 6,585 7,063 (1.3)%
21,367 21,647 20,538 (1.3)%
(9.2)%
2.3 %
(6.8)%
5.4 %
象が発生し、財務上重要な影響があると判断した場合に
は、適宜ご報告します。
■ 資本の運用•調達の状況[表⑥]
2010 年度末の総資産は 2 兆 7,864 億円となり、前
年度末から369 億円減少しました。
[グラフ⑥]
2010 年度末の負債合計は前年度末から88 億円減少
( )内数値は減少を示す。
し、6,497 億円となりました。
総資産[グラフ⑥]
なお 、現在当社単体では 、借入および社債の発行を
(億円)
行っていません。連結子会社の一部で借入を行っていま
40,000
すが 、2010 年度末における残高は 、短期借入金 13 億
27,864
30,000
円、長期借入金 13 億円です。
2010 年度末の純資産は 2 兆 1,367 億円となりまし
た。自己資本比率は、前年度末と同様の 75.1%となり、
20,000
1 株当たり純資産( BPS )は前年度末から37.5 円減少の
10,000
0
110
Takeda Annual Report 2011
2,649.7 円となりました。
’
05
’
06
’
07
’
08
’
09
’
10 年度
■ キャッシュ・フロー[表⑦]
■ 利益配分に関する基本方針および配当
1)利益配分に関する基本方針
当年度のキャッシュ・フロー は 、202 億円のプラスと
当社は、当社グループの着実な成長と企業価値の最大
なりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー(3,269 億円)
で、
化に向け、新たな成長軌道の確保のために必要となる戦
新研究所の建設等の有形固定資産の取得による支出
略投資を実施してまいりますが、
「 11–13 中期計画」期
(1,242 億円)
や配当金の支払(1,421 億円)
などを吸収
間中の利益の配分につきましては、
「安定的な配当」を行
うとの観点から、1 株当たり配当金について年間 180 円
しました。
前年度との比較では742 億円収入が減少しています。
を維持することを基本方針といたします。
当年度の設備投資総額は 1,318 億円となりました。
2)2010 年度の配当[グラフ⑧]
■ 人員[グラフ⑦]
2010 年度の期末配当金は 、1 株当たり90 円といた
は、18,498人となり
2010年度末の連結人員(就業人員)
しました。
この結果、当年度の配当金は第 2 四半期末配当金(1
ました。また、国内人員は、9,467人、海外人員は9,031人
株当たり90 円)
と合わせ 、前年度と同額の 1 株当たり
となりました。
180 円となりました。
3)2011 年度の配当
2011 年度の配当金については 、2010 年度と同額
の 1 株当たり180 円とさせていただくことを予定して
います。
キャッシュ・フロー サマリー[表⑦ ]
(単位:億円)
2010
2009
2008
3,269
(993)
(1,465)
(609)
202
3,811
(1,175)
(1,480)
(212)
944
3,262
(7,673)
(4,258)
117
(8,552)
年度
営業活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フロー
換算差額
現金および現金同等物の純増減額
現金および現金同等物の
期首からの増減額
年度
202
年度
944
(8,552)
財務セクション
( )内数値は減少を示す。
1 株当たり配当金および配当性向[グラフ⑧]
人員の状況[グラフ⑦]
9,031
15,000
60
51.2%
48.8%
10,000
9,467
5,000
0
’
05
国内
’
06
海外
’
07
国内構成比
’
08
’
09
’
10 年度
(%)
(円)
1 200
180.00
150
80
60
57.3%
40
100
40
20
50
20
0
0
海外構成比
配当性向
80
株当たり配当金
20,000
構成比
人員の状況
(%)
(人)
’05
’06
1 株当たり配当金
’07
’08
’09
’10 年度
0
配当性向
(注)就業人員数である。なお、2010 年度から工数換算ベースで表示しており、2009
年度末についても変更後の基準に基づき組み替えて表示している。
Takeda Annual Report 2011
111
■ 事業等のリスク
3)特許権満了等による売上低下リスク
当社の業績は、現在および将来において様々なリスク
当社は、効能追加や剤型変更等により製品のライフサ
にさらされており、リスクの顕在化により予期せぬ業績
イクルを延長する努力をしておりますが 、多くの製品に
の変動を被る可能性があります。以下では、当社が事業
ついて、特許が満了すれば、後発品の市場参入は避けら
を展開していくうえで直面しうる主なリスクを記載いた
れません。これに加え、競合品の特許満了によるその後
します。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した
発品、および競合品のスイッチOTC 薬の出現などによっ
上で、可能な限り発生の防止に努め、また、発生した場合
て、国内外、特に米国での競争環境は格段に厳しいもの
の的確な対応に努めていく方針です。
になってきており、その影響如何で当社製品の大幅な売
なお、本項目に含まれる将来に関する事項は、2010
上低下を招く可能性があります。
年度末現在において判断したものです。
4)副作用に関するリスク
1)研究開発に関するリスク
医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を伴う製
当社は、日米欧アの各極市場への一日も早い新製品の
造・販売承認を得て発売されますが、市販後の使用成績
上市を目指し、効率的な研究開発活動に努めております
が蓄積された結果、発売時には予期していなかった副作
が 、医薬品は 、自社創製化合物、導入化合物にかかわら
用が確認されることがあります。新たな副作用が確認さ
ず、所轄官庁の定めた有効性と安全性に関する厳格な審
れた場合には、
「使用上の注意」への記載を行う、使用方
査により承認されてはじめて上市可能となります。
法を制限するなどの処置が必要となるほか 、販売中止・
研究開発の途上において、当該化合物の有効性・安全
回収等を余儀なくされることもあり得ます。
性が、承認に必要とされる水準を充たさないことが判明
した場合またはその懸念があると審査当局が判断した場
合、その時点で当該化合物の研究開発を途中で断念、ま
5)薬剤費抑制策による価格引き下げのリスク
最大市場である米国では 、低価格の後発品の使用促
たは追加の臨床試験・非臨床試験を実施せざるを得ず、
進や、連邦・州政府およびマネジドケアの強い要請に伴う
それまでにかかったコストを回収できないリスクや製品
ブランド品への価格引き下げ圧力が一層高まっており、
の上市が遅延するリスク、および研究開発戦略の軌道修
日本においても、医療保険制度により定められている薬
正を余儀なくされる可能性があります。
価が現在 2 年に 1 度引き下げられていることに加え、後
発品の使用促進が積極的に進められております。欧州に
2)知的財産権に関するリスク
当社の製品は、物質・製法・製剤・用途特許等の複数の
特許によって、一定期間保護されております。
当社では特許権を含む知的財産権を厳しく管理し、第
おいても、薬剤費抑制策や並行輸入の増加により、同様
に価格引き下げが行われております。これら各国の薬剤
費抑制策による価格引き下げは、当社の業績および財務
状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
三者からの侵害にも常に注意を払っておりますが、当社
の保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合
6)為替変動による影響
には、期待される収益が失われる可能性があります。ま
当社の当年度における海外売上高は6,981 億円であ
た、当社の自社製品等が第三者の知的財産権を侵害した
り、連結売上高全体の 49.2%を占めており、そのうち米
場合には損害賠償を請求される可能性があります。
州地域での売上高は 4,964 億円にのぼり、連結売上高
全体の 35.0% を占めております。このため、当社の業
績および財務状況は、為替レート、特に円の対ドルレート
変動に大きな影響を受けます。
112
Takeda Annual Report 2011
■ 訴訟等について
1)訴訟案件
米 国 における 一 部 の 医 薬 品 の 販 売 に 関し、AWP
( Average Wholesale Price:平均卸売価格)
として公
表されている価格と実際の販売価格とが乖離しているこ
と等により損害を受けたとして 、患者本人、保険会社お
よび州政府等から損害賠償を請求する民事訴訟(いわゆ
る「 AWP 訴訟」)
が、大手を含む多数の製薬会社に対し提
起されております。TPNA 社は 、
「ピオグリタゾン
(米国
製品名:アクトス)」につき複数の州裁判所において、また
「ランソプラゾール
(米国製品名:プレバシド)」につき、合
併前に「 TAPファーマシューティカル・プロダクツ株式会
社」
(以下、
「 TAP 社」)
に提起されていた事件を含め、複
数の連邦および州裁判所において、それぞれAWP 訴訟
を提起されております。うち、
「プレバシド」にかかる1 件
については当社も被告とされております。
2)移転価格税制に基づく更正処分の件
当社は、2006 年 6 月28 日、大阪国税局より、当社と
TAP 社との間の 2000 年 3 月期から2005 年 3 月期の 6
年間の「プレバシド」にかかる製品供給取引等に関して 、
米国市場から得られる利益が、当社とTAP 社間の利益配
分において、当社に対して過少に配分されているとの判
断により、移転価格税制に基づく更正通知書を受領しま
した。更正された所得金額は 6 年間で 1,223 億円であ
り、地方税等を含めた追徴税額 571 億円について同年
7 月に全額を納付しましたが 、当社はこの更正処分を不
財務セクション
服として、同年 8 月25 日、大阪国税局に対し異議申立書
の提出を行っておりました。
2008 年 7 月 8 日には 、本更正処分により生じている
二重課税の解消を目的として 、国税庁に対し、米国との
相互協議申立書を提出いたしました。また、これに伴い、
大阪国税局に対する異議申立てを一旦中断する手続き
を実施いたしました。
現在、日米両当局において相互協議プロセスが進行中
です。
上記 1)
および 2)
のいずれにつきましても遺漏なく対
応してまいります。
Takeda Annual Report 2011
113
11 年間の要約財務デー タ
武田薬品工業株式会社および子会社
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
2008 年 3 月期
2007 年 3 月期
売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥1,419,385
¥1,465,965
¥1,538,336
¥1,374,802
¥1,305,167
営業利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
367,084
420,212
306,468
423,123
458,500
税金等調整前当期純利益 . . . . . . . . . .
371,572
415,829
398,546
576,842
625,379
法人税、 住民税および事業税 . . . . . . . .
121,325
115,668
161,351
218,766
285,844
少数株主利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2,379
2,417
2,810
2,622
3,730
当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
247,868
297,744
234,385
355,454
335,805
資本的支出 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
148,886
114,505
906,855
38,908
38,510
減価償却費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
106,722
114,825
118,081
31,690
28,820
研究開発費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
288,874
296,392
453,046
275,788
193,301
1 株当たり金額
1 株当たり当期純利益
(円および米ドル). . . . . . . . . . . . .
¥
314.01
¥
377.19
¥
289.82
418.97
¥
386.00
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益
(円および米ドル). . . . . . . . . . . . .
313.94
377.14
289.80
–
–
1 株当たり配当金(円および米ドル) . .
180.00
180.00
180.00
168.00
128.00
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥1,586,252
¥1,572,874
¥1,475,584
¥2,243,792
¥2,357,713
有形固定資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
407,480
318,949
258,494
236,134
238,446
投資およびその他の資産 . . . . . . . . . .
792,670
931,451
1,026,110
369,353
476,342
総資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2,786,402
2,823,274
2,760,188
2,849,279
3,072,501
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
436,596
428,477
472,106
428,711
442,407
固定負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
213,150
230,051
234,242
98,035
168,978
少数株主持分 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
–
–
–
–
–
純資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2,136,656
2,164,746
2,053,840
2,322,533
2,461,116
株主数(人). . . . . . . . . . . . . . . . . . .
256,291
236,480
196,437
149,478
112,113
従業員数(人). . . . . . . . . . . . . . . . . .
18,498
19,654
19,362
15,487
14,993
連結財務諸表注記をご参照ください 。
• 当報告書の米ドル額は、便宜上、2011 年 3 月 31 日現在におけるおよその為替レートである1 米ドル=83 円で換算しています。
• 2007 年 3 月期から少数株主持分を純資産に含めて計算しています。
114
¥
Takeda Annual Report 2011
単位:百万円
単位:千米ドル
(注記 1)
2006 年 3 月期
2005 年 3 月期
2004 年 3 月期
2003 年 3 月期
2002 年 3 月期
2001 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥1,212,207
¥1,122,960
¥1,086,431
¥1,046,081
¥1,005,060
¥ 963,480
$17,101,024
402,809
385,278
371,633
310,686
281,243
226,102
4,422,699
517,957
441,102
446,144
431,898
373,427
263,076
4,476,771
201,361
160,231
157,911
157,485
134,892
114,148
1,461,747
3,347
3,433
2,969
2,651
2,879
2,073
28,663
313,249
277,438
285,264
271,762
235,656
146,855
2,986,361
32,616
49,230
62,472
35,888
44,766
27,411
1,793,807
28,728
31,226
28,083
29,962
28,430
33,605
1,285,807
169,645
141,453
129,652
124,230
100,278
89,846
3,480,410
¥
353.47
¥
313.01
¥
321.86
¥
307.63
¥
267.02
¥
166.39
$
3.78
–
–
–
–
–
3.78
106.00
88.00
77.00
65.00
60.00
50.00
2.17
¥2,371,970
¥1,969,915
¥1,730,147
¥1,542,198
¥1,345,094
¥1,138,951
$19,111,470
215,670
220,133
230,538
203,282
213,385
220,356
4,909,398
454,654
355,387
374,975
313,889
406,737
388,465
9,550,240
3,042,294
2,545,435
2,335,660
2,059,369
1,965,216
1,747,772
33,571,108
488,227
365,500
370,562
344,705
371,785
345,626
5,260,193
158,444
133,685
141,628
106,339
134,099
152,065
2,568,072
47,194
44,836
42,460
40,593
39,251
37,217
–
2,348,429
2,001,414
1,781,010
1,567,732
1,420,081
1,212,864
25,742,843
108,111
118,042
116,343
76,107
53,364
50,921
–
15,069
14,510
14,592
14,547
14,511
15,900
–
Takeda Annual Report 2011
財務セクション
–
115
連結貸借対照表
武田薬品工業株式会社および子会社
2011 年および 2010 年 3 月期
単位:百万円
資産
単位:千米ドル
(注記 1)
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 872,710
368
1,140
¥ 852,480
13,736
17,000
$ 10,514,578
4,434
13,735
9,514
281,566
2,915
(891)
293,104
137,127
229,909
51,894
1,586,252
13,857
263,305
3,487
(950)
279,699
137,697
236,236
36,026
1,572,874
114,627
3,392,361
35,120
(10,735)
3,531,373
1,652,133
2,769,988
625,229
19,111,470
流動資産
現金および現金同等物(注記 6 ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
有価証券(注記 6 および 7). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
短期投資(注記 6) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
売上債権
受取手形(注記 6). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
売掛金(注記 6) . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
関連会社に対する売上債権(注記 6 ) . . . . . .
貸倒引当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
売上債権計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
棚卸資産(注記 8) . . . . . . . . . .
繰延税金資産(注記 16) . . . . . .
その他の流動資産 . . . . . . . . . .
流動資産合計 . . . . . . . . . . . .
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有形固定資産(注記 10)
土地 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
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71,594
412,110
273,979
61,673
20,305
16,789
856,450
(448,970)
407,480
62,896
276,616
269,466
55,063
19,658
74,505
758,204
(439,255)
318,949
862,578
4,965,181
3,300,952
743,048
244,639
202,277
10,318,675
(5,409,277)
4,909,398
投資有価証券(注記 6 および 7 ). . . . . . . . . . . .
関連会社に対する投資(注記 6 および 7). . . . . .
賃貸用不動産(注記 18) . . . . . . . . . . . . . . . .
のれん . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
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158,804
6,215
19,593
217,123
293,131
26,560
71,244
792,670
¥2,786,402
189,251
8,595
20,208
256,117
375,966
6,599
74,715
931,451
¥2,823,274
1,913,301
74,880
236,060
2,615,940
3,531,699
320,000
858,360
9,550,240
$33,571,108
建物および構築物 . . . . . . . .
機械装置および運搬具 . . . . .
工具・器具および備品 . . . . . .
リース資産 . . . . . . . . . . . . .
建設仮勘定 . . . . . . . . . . . . .
取得価額計 . . . . . . . . . .
減価償却累計額 . . . . . . . . . .
有形固定資産合計 . . . . . . .
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投資およびその他の資産
特許権 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
繰延税金資産(注記 16) . . . . . . . . . . . . . . . .
その他の資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
投資およびその他の資産合計 . . . . . . . . . . .
資産合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結財務諸表注記をご参照ください 。
116
Takeda Annual Report 2011
単位:百万円
2011 年 3 月期
負債および純資産
流動負債
短期借入金(注記 9 ). . . . . . . . . . . . .
一年内返済長期負債(注記 9 ). . . . . . .
支払債務
支払手形(注記 6 ). . . . . . . . . . . . .
買掛金(注記 6 ) . . . . . . . . . . . . . .
関連会社に対する仕入債務(注記 6 ) .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
仕入債務計 . . . . . . . . . . . . . . . .
................
................
41,977
166,991
12,673
436,596
48,875
164,230
13,959
428,477
505,747
2,011,940
152,686
5,260,193
.
.
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16,387
17,920
2,498
112,295
6,859
57,191
213,150
15,519
18,580
2,618
141,731
–
51,603
230,051
197,434
215,904
30,096
1,352,952
82,639
689,047
2,568,072
総負債合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
649,746
658,528
7,828,265
....
63,541
63,541
765,554
....
....
....
49,638
2,272,067
(1,014)
49,638
2,166,303
(980)
598,048
27,374,301
(12,217)
....
2,384,232
2,278,502
28,725,686
73,944
17
(366,604)
(292,643)
334
44,733
2,136,656
¥2,786,402
91,037
157
(248,523)
(157,329)
166
43,407
2,164,746
¥2,823,274
890,892
205
(4,416,916)
(3,525,819)
4,024
538,952
25,742,843
$33,571,108
.
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16,205
26,952
........................
........................
........................
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.
$
6,578
967,711
26,482
1,545,892
2,546,663
.
.
.
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.
2,035
3,471
611
69,825
2,383
123,088
195,907
.
.
.
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.
¥
546
80,320
2,198
128,309
211,373
.
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1,345
2,237
2011 年 3 月期
.
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未払法人税等 . . . . . . . . .
未払費用 . . . . . . . . . . . .
その他の流動負債 . . . . . .
流動負債合計
固定負債
長期負債(注記 9 ) . . . . . .
退職給付引当金(注記 11).
スモン訴訟填補引当金. . . .
繰延税金負債(注記 16) . .
資産除去債務(注記 20) . .
その他の固定負債 . . . . . .
固定負債合計 . . . . . . . .
.
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¥
単位:千米ドル
(注記 1)
2010 年 3 月期
.
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偶発債務(注記 19)
.
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財務セクション
純資産(注記 12)
株主資本
資本金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
授権株式数:3,500,000,000 株
発行済株式数:普通株式
2011 年 3 月 31 日、789,666,095 株
2010 年 3 月 31 日、789,666,095 株
資本剰余金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
利益剰余金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
自己株式 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2011 年 3 月 31 日、295,436 株
2010 年 3 月 31 日、286,209 株
株主資本合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
繰延ヘッジ損益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
為替換算調整勘定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他の包括利益累計額合計 . . . . . . . . . . . . . . . .
新株予約権(注記 13). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
少数株主持分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
純資産合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
負債および純資産合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結財務諸表注記をご参照ください 。
Takeda Annual Report 2011
117
連結損益計算書
武田薬品工業株式会社および子会社
2011 年、2010 年および 2009 年 3 月期
単位:百万円
売上高(注記 7 および 17). . . . . . . . . . . . . . . . . .
営業費用
売上原価(注記 7 ) . . . . . . . . . . . . . .
販売費および一般管理費(注記 14). . .
営業費用計 . . . . . . . . . . . . . . . . .
営業利益(注記 17). . . . . . . . . . . . . . .
その他の収益(費用)
受取利息・配当金 . . . . . .
支払利息 . . . . . . . . . . .
持分法投資利益(注記 7 ).
固定資産売却益 . . . . . . .
事業譲渡益(注記 15). . .
その他(純額). . . . . . . .
.
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その他の収益(費用)計 . .
税金等調整前当期純利益 . . .
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単位:千米ドル
(注記 1)
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥1,419,385
¥1,465,965
¥1,538,336
$17,101,024
.
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317,582
734,719
1,052,301
367,084
285,063
760,690
1,045,753
420,212
289,543
942,325
1,231,868
306,468
3,826,289
8,852,036
12,678,325
4,422,699
.
.
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6,191
(1,335)
451
–
–
(819)
4,488
371,572
6,157
(1,429)
837
–
–
(9,948)
(4,383)
415,829
17,040
(1,621)
2,898
16
71,330
2,415
92,078
398,546
74,590
(16,084)
5,434
–
–
(9,868)
54,072
4,476,771
法人税等(注記 16)
法人税、住民税および事業税 . .
法人税等調整額 . . . . . . . . . . .
法人税等計 . . . . . . . . . . . .
少数株主損益調整前当期純利益 . .
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.
154,214
(32,889)
121,325
250,247
129,090
(13,422)
115,668
300,161
229,578
(68,227)
161,351
237,195
1,858,000
(396,253)
1,461,747
3,015,024
2,379
¥ 247,868
2,417
¥ 297,744
2,810
¥ 234,385
28,663
$ 2,986,361
少数株主利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:円
1 株当たり金額(注記 2)
1 株当たり当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益 . . . . . . . .
1 株当たり配当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
314.01
313.94
180.00
¥
377.19
377.14
180.00
¥
289.82
289.80
180.00
単位:米ドル
(注記 1)
$
3.78
3.78
2.17
連結財務諸表注記をご参照ください 。
連結包括利益計算書
武田薬品工業株式会社および子会社
2011 年、2010 年および 2009 年 3 月期
単位:百万円
少数株主損益調整前当期純利益 . . . . . . . . . . . . . .
単位:千米ドル
(注記 1)
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 250,247
¥–
¥–
$ 3,015,024
(17,099)
(140)
(119,998)
1,540
(135,697)
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
(206,012)
(1,687)
(1,445,759)
18,554
(1,634,904)
¥ 114,550
¥–
¥–
$ 1,380,120
¥ 112,555
1,995
¥–
–
¥–
–
$ 1,356,084
24,036
その他の包括利益(注記 4 )
その他有価証券評価差額金 . . . . . . . . . . . . . . .
繰延ヘッジ損益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
為替換算調整勘定 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
持分法適用会社に対する持分相当額 . . . . . . . . . .
その他の包括利益計 . . . . . . . . . . . . . . . . .
包括利益(注記 4 ). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
(内訳)
親会社株主に係る包括利益 . . . . . . . . . . . . . .
少数株主に係る包括利益 . . . . . . . . . . . . . . . .
連結財務諸表注記をご参照ください 。
118
Takeda Annual Report 2011
連結株主資本等変動計算書
武田薬品工業株式会社および子会社
2011 年、2010 年および 2009 年 3 月期
単位:千株
流通株式数
期首残高 . . .
自己株式取得
自己株式処分
期末残高 . . .
2011 年 3 月期
.
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.
2010 年 3 月期
789,380
(13)
4
789,371
2009 年 3 月期
789,363
(9)
26
789,380
842,861
(53,512)
14
789,363
単位:百万円
株主資本
資本金
期首残高
期末残高
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
¥
¥
63,541
63,541
¥
¥
63,541
63,541
¥
¥
63,541
63,541
$
$
765,554
765,554
.........................
¥
¥
49,638
(0)
49,638
$
¥
49,638
–
49,638
¥
.........................
49,638
–
49,638
598,048
–
598,048
...............................
...............................
資本剰余金
期首残高 . . . . . .
自己株式処分差益
期末残高 . . . . . .
利益剰余金
期首残高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
在外子会社の会計処理の変更に伴う増減(注記 3 ).
.
.
当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
配当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 株当たり配当金:
2011 年 3 月期 180.00 円( 2.17 米ドル)
2010 年 3 月期 182.00 円
2009 年 3 月期 172.00 円
自己株式の処分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
自己株式の消却 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
期末残高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
自己株式(注記 12 )
期首残高 . . . . . .
取得額 . . . . . . . .
処分額 . . . . . . . .
自己株式の消却 . .
期末残高 . . . . . .
株主資本合計
期末残高 . .
.
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¥
$
.
.
.
.
¥2,166,303
–
247,868
(142,102)
¥2,012,251
–
297,744
(143,680)
¥2,523,641
(1,476)
234,385
(142,522)
$26,100,036
–
2,986,361
(1,712,072)
...
...
...
(2)
–
¥2,272,067
(12)
–
¥2,166,303
(7)
(601,770)
¥2,012,251
(24)
–
$27,374,301
.
.
.
.
.
¥
¥
¥ (322,644)
(280,267)
73
601,770
¥
(1,068)
$
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.
¥
(980)
(51)
17
–
(1,014)
¥
(1,068)
(34)
122
–
(980)
$
(11,807)
(615)
205
–
(12,217)
¥2,124,362
$28,725,686
....................
....................
....................
¥
91,037
(17,093)
73,944
¥
¥ 130,453
(51,038)
¥ 79,415
$ 1,096,831
(205,939)
$ 890,892
............................
............................
............................
¥
157
(140)
17
¥
¥
$
..........................
..........................
..........................
¥
¥
¥
¥
79,415
11,622
91,037
215
(58)
157
¥
(118)
333
215
$
1,892
(1,687)
205
¥ (248,523)
(118,081)
¥ (366,604)
¥ (192,627)
(55,896)
¥ (248,523)
¥ (163,728)
(28,899)
¥ (192,627)
$ (2,994,253)
(1,422,663)
$ (4,416,916)
¥ (292,643)
¥ (157,329)
¥ (112,997)
$ (3,525,819)
.......................
.......................
.......................
¥
166
168
334
¥
¥
–
86
86
$
.............................
.............................
.............................
¥
43,407
1,326
44,733
¥
41,750
639
42,389
$
新株予約権(注記 13)
期首残高 . . . . . . . .
純増減 . . . . . . . . . .
期末残高 . . . . . . . .
...................
...............................
¥
¥
¥2,136,656
¥
¥
86
80
166
42,389
1,018
43,407
¥2,164,746
¥
¥
¥
¥2,053,840
$
$
財務セクション
¥2,278,502
その他の包括利益累計額合計
期末残高 . . . . . . . . . . . .
純資産合計
期末残高
.
.
.
.
.
.
.
.
.
¥
¥2,384,232
為替換算調整勘定
期首残高 . . . . .
純増減 . . . . . . .
期末残高 . . . . .
少数株主持分
期首残高 . .
純増減 . . . .
期末残高 . .
.
.
.
.
.
.
.
.
.
.............................
その他の包括利益累計額
その他有価証券評価差額金
期首残高 . . . . . . . . . . .
純増減 . . . . . . . . . . . . .
期末残高 . . . . . . . . . . .
繰延ヘッジ損益
期首残高 . . .
純増減 . . . . .
期末残高 . . .
単位:千米ドル
(注記 1)
2011 年 3 月期
2011 年 3 月期
2,000
2,024
4,024
522,976
15,976
538,952
$25,742,843
連結財務諸表注記をご参照ください 。
Takeda Annual Report 2011
119
連結キャッシュ・フロー計算書
武田薬品工業株式会社および子会社
2011 年、2010 年および 2009 年 3 月期
単位:百万円
単位:千米ドル
(注記 1)
2011年3月期
2010年3月期
2009年3月期
2011年3月期
¥ 371,572
¥ 415,829
¥ 398,546
$ 4,476,771
(141,824)
92,592
4,479
862
(397)
–
–
14,130
(138,656)
99,755
–
1,352
9
–
–
15,070
(220,365)
103,227
–
1,139
(2,774)
(71,330)
159,859
14,854
(1,708,723)
1,115,566
53,964
10,386
(4,783)
–
–
170,241
(20,261)
(557)
11,658
(5,316)
326,938
16,695
(7,370)
4,823
(26,339)
381,168
(30,387)
(10,997)
4,467
(19,966)
326,273
(244,108)
(6,711)
140,458
(64,049)
3,939,012
(3,658)
16,755
(1,140)
17,000
(124,165)
690
(396)
4,217
–
3,411
(11,969)
(99,255)
(15,850)
6,659
(27,000)
10,000
(86,960)
753
(1,196)
6,549
(6,882)
–
(3,594)
(117,521)
(58,619)
100,260
(500)
26,800
(39,464)
559
(507)
472
(833,546)
41,384
(4,095)
(767,256)
(44,072)
201,867
(13,735)
204,819
(1,495,964)
8,313
(4,771)
50,807
–
41,096
(144,203)
(1,195,843)
(663)
1,250
(1,250)
(50)
(142,055)
(3,776)
(146,544)
(1,137)
–
–
(34)
(143,554)
(3,321)
(148,046)
630
–
(800)
(280,268)
(142,446)
(2,956)
(425,840)
(7,988)
15,060
(15,060)
(602)
(1,711,506)
(45,494)
(1,765,590)
(21,203)
11,665
94,398
(855,158)
758,082
1,613,240
¥ 852,480 ¥ 758,082
(733,844)
243,735
10,270,843
$10,514,578
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
営業活動によるキャッシュ・フローへの調整
法人税等の支払額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
減価償却費. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
減損損失 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
固定資産除売却損益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
持分法による投資損益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
事業譲渡益. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
企業結合に伴う仕掛研究開発費 . . . . . . . . . . . . . .
のれん償却費 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
資産・負債増減額. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
売上債権の増減額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
棚卸資産の増加額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
仕入債務の増加額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
営業活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . .
投資活動によるキャッシュ・フロー
有価証券の取得による支出 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
有価証券の売却および償還による収入 . . . . . . . . . . .
定期預金の預入による支出 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
定期預金の払戻による収入 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
有形固定資産の取得による支出 . . . . . . . . . . . . . . .
有形固定資産の売却による収入 . . . . . . . . . . . . . . .
投資有価証券の取得による支出 . . . . . . . . . . . . . . .
投資有価証券の売却による収入 . . . . . . . . . . . . . . .
連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出 . .
連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入. .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
投資活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . .
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金の純増減額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
長期借入れによる収入 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
長期借入金の返済による支出 . . . . . . . . . . . . . . . . .
自己株式取得による支出 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
配当金の支払額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
財務活動によるキャッシュ・フロー . . . . . . . . .
現金および現金同等物に係る換算差額 . . . . . . . . . . . .
現金および現金同等物の増減額 . . . . . . . . . . . . . . . . .
現金および現金同等物の期首残高 . . . . . . . . . . . . . . .
現金および現金同等物の期末残高 . . . . . . . . . . . . . . .
連結財務諸表注記をご参照ください。
120
Takeda Annual Report 2011
(60,909)
20,230
852,480
¥ 872,710
単位:百万円
2011年3月期
2010年3月期
2009年3月期
¥1,329
¥ 1,424
¥
¥
–
–
–
–
–
–
–
–
¥ 1,186
9,298
1,480
(1,583)
(3,245)
7,136
(254)
¥ 6,882
¥ 203,721
598,212
314,986
(73,032)
(114,195)
929,692
(96,146)
¥ 833,546
–
–
–
¥
–
–
–
¥ 98,718
169,581
¥ 268,299
–
–
–
¥ (88,299)
(79,016)
¥(167,315)
単位:千米ドル
(注記 1)
2011年3月期
キャッシュ・フローに関する追加情報
支払利息 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1,772
$16,012
子会社株式の取得に伴い増加した資産および
負債の主な内訳
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
固定資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
のれん . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
固定負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
株式の取得価額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
現金および現金同等物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
差引:取得による支出 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
$
$
–
–
–
–
–
–
–
–
非資金取引
会社分割に伴い、連結子会社となった
TAP 社の連結開始時の資産および負債の
主な内訳は次のとおりです。
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
固定資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
資産計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
固定負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
負債計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
–
–
–
¥
¥
¥
$
$
$
$
–
–
–
–
–
–
財務セクション
Takeda Annual Report 2011
121
連結財務諸表注記
武田薬品工業株式会社および子会社 2011 年、2010 年および 2009 年 3 月期
1. 連結財務諸表作成基準
この連結財務諸表は、日本の金融商品取引法の規定および関連する会計基準および日本において一般に公正妥当と認められた会
計原則(国際財務報告基準が要求する会計手法、開示原則とは異なる面があります)
に基づき作成されています。
2008 年 3 月期までは、在外子会社は、各々 の国において一般に公正妥当と認められた会計原則に基づいて、その会計帳簿およ
び記録を保持していましたが 、2009 年 3 月期より、注記 3 に記載の通り、在外子会社の財務諸表は 、国際財務報告基準、または米
国で一般に公正妥当と認められた会計原則に基づき作成された上、連結決算上必要な修正を行っています。
この連結財務諸表では、日本において一般公正妥当と認められた会計原則に基づき作成され、金融商品取引法の要請にしたがい
管轄財務局に提出された連結財務諸表を組替えて表示しています。表示については、国内で要求されていない追加的な情報も記載
されています。ただし、国内で要求されている注記情報のうち、財務諸表の適正開示の観点から不要と認められるものは、この連結
財務諸表には記載されていません 。
この連結財務諸表には、海外の読者の便宜のために、2011 年 3 月 31 日現在におけるおよその為替レート、1 米ドル=83 円で米
国ドルへ換算した金額を付しています。この換算は、期末日時点、または将来においても実際に日本円金額を当該あるいは他のレー
トで米国ドルへ交換できることを意味するものではありません 。
2. 重要な会計基準の概要
連結の原則
この連結財務諸表は、当社と全ての子会社(併せて「当社グループ」)
を連結しています。支配力基準および影響力基準のもとで、
当社が直接的または間接的に意思決定機関を支配している会社は連結し、当社グループが重要な影響を及ぼすことのできる会社に
は持分法を適用しています。連結にあたって、連結会社間の重要な残高、取引および未実現利益はすべて消去されています。
2009 年 3 月期中に、当社は 、新たに設立した 3 社の子会社と株式取得により子会社となった 1 社を連結の範囲に加えました。ま
た、子会社の清算により子会社数は 2 社減少し、1 社の関連会社の株式を売却しました。さらに、米国事業の再編に伴い、持分法適用
会社の 1 社を会社分割により子会社化しましたが、同期間中に子会社間の合併を行ったことにより連結の範囲より除外しました。
2010 年 3 月期中に、当社は 、新たに設立した 6 社の子会社と株式取得により子会社となった 3 社を連結の範囲に加えました。ま
た、子会社の清算により子会社数は 3 社減少しました。
2011 年 3 月期中に、当社は、新たに設立した 5 社の子会社と、従来持分法を適用していた関連会社の株式を追加取得したことに
より子会社となった 1 社を連結の範囲に加えました。
連結子会社の天津武田薬品有限公司、武田メキシコ株式会社および武田(中国)投資有限公司の決算日は 12 月 31 日です。連結
財務諸表作成にあたり、連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。
見積りの使用
当社は連結財務諸表を作成するために、種々 の仮定と見積りを行っています。それらの仮定と見積もりは資産および負債の計上
金額、ならびに偶発資産および債務の開示情報に影響を及ぼします。実際の結果が、これらの見積りと異なる場合もあります。
現金同等物
現金同等物は、随時に現金化ができ、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない短期投資です。現金同等物には、取得
日より3ヶ月以内に満期が到来する定期預金、譲渡性預金、コマーシャルペーパー、債券投資信託などの短期投資が含まれます。
有価証券および投資有価証券
有価証券および投資有価証券等につき、経営者の意図にしたがって下記のように分類しています。
i )売買目的有価証券 短期間で売買することを目的に保有する有価証券で、市場価格により評価され、未実現利益又は損失は損
益に含められます。
ii )満期保有目的の債券 満期まで保有する意思と能力を有する有価証券で、償却原価により評価されます。
iii )その他有価証券 前述のいずれにも分類されない有価証券で、市場価格により評価されます。未実現利益又は損失は税効果
を考慮した額を純資産の部の独立項目として表示しています。
売却原価は移動平均法により算定されます。
時価のないその他有価証券は移動平均法に基づく取得原価により評価されます。その他有価証券の一時的でない価値の下落が
あった場合には、正味実現可能価額まで評価減を行い、損益に計上されます。
122
Takeda Annual Report 2011
棚卸資産
2008 年度 3 月期までは 、当社および国内子会社はすべての棚卸資産について 、主として平均法による低価法を採用していまし
た。注記 3 に記載の通り、
「棚卸資産の評価に関する会計基準」の適用に伴い、2009 年 3 月期より原価法(貸借対照表価額は収益性
の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)
により棚卸資産を評価しています。
また、在外子会社は主として平均法による低価法を採用しています。
有形固定資産および賃貸用不動産
有形固定資産および賃貸用不動産は取得原価で表示しています。当社・国内子会社の有形固定資産および賃貸用不動産の減価償
却費は 、主として定率法で算出しています。1998 年 4 月 1 日以降に国内の会社が取得した建物については定額法で算出していま
す。また、海外の子会社は、主として定額法によっています。耐用年数は、建物および構築物が 15 年から 50 年、機械装置および運
搬具が 4 年から 15 年となっています。
また、所有権移転外ファイナンス・リース取引に係るリース資産について、リース期間に基づく定額法を採用しています。
のれん
買収した事業の取得価額が 、当該事業の時価評価された資産および負債の純額を超過する部分をのれんとして計上しており、定
額法により主として 20 年間で償却しています。
特許権
特許権の償却は定額法を採用しています。なお、償却期間は利用可能期間に基づいています。
固定資産の減損
当社は、減損の兆候がある場合には資産又は資産グループについて減損損失を認識するかどうかを判定しています。減損の兆候
がある場合に、当該資産又は資産グループの帳簿価額が、資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見
込まれる割引前の将来キャッシュ・フローの総額を超過する場合には減損損失を認識します。減損損失を認識すべきであると判定さ
れた資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額、すなわち資産の継続的使用と使用後の処分によって生ずると見
込まれる将来キャッシュ・フローの割引現在価値と正味売却価額のいずれか高いほうの金額まで減額し、当該減少額を減損損失とし
て計上しています。
退職給付引当金
当社および国内子会社の従業員は、退職時の給与、勤続年数、その他の要素に基づいて計算された退職一時金または年金を受け
取る権利を有しています。
当社および国内子会社は企業会計審議会により発行された「退職給付に係る会計基準」を適用し、期末日における予測退職給付債
務および年金資産に基づいて退職給付引当金を計上しています。
数理計算上の差異は 、従業員の平均残存勤務期間以内の一定年数(概ね 5 年)
で 、主として定額法により按分した額をそれぞれそ
財務セクション
の発生した年度から償却しています。
過去勤務債務は、主に定額法により、従業員の平均残存勤務期間以内の一定年数(概ね 5 年)
で償却しています。
また、一部の連結子会社の取締役および監査役に対する退職慰労金の支払に備えるため、会社内規に基づく期末要支給額を退職
給付引当金に含めて計上しています。
2007 年 5 月 16 日、当社の取締役会において 、役員退職慰労金制度を廃止することが決議されました。2008 年 6 月 26 日、株
主総会において 、同日までの在任期間に対応する退職慰労金については打ち切り支給することとし、支給時期は各役員の退任時と
することが決議されました。
連結財務諸表において、取締役および監査役に対する引当額は、固定負債の部の退職給付引当金として表示しています。
スモン訴訟填補引当金
当社は、当社が販売した医薬品によりスモンに罹患し損害を受けたとして日本政府および他の製薬会社とともに、提訴されてきま
したが、1996 年 12 月 25 日をもってすべての原告患者との間に和解が成立しました。
当社は、連結財務諸表に、成立した和解の内容に従い対象者の余命にわたり支払われる諸手当の将来の支払見積額を、引当計上し
ています。
研究開発費
研究開発費は発生時に費用計上しています。
Takeda Annual Report 2011
123
外貨換算
当社および国内子会社は企業会計審議会により発行された「外貨建取引等会計処理基準」を適用しています。全ての外貨建金銭
債権・債務は期末日レートにより、収益および費用は発生時レートにより換算されています。また、換算により生じる利益又は損失は
発生時の損益に計上されています。
在外子会社および関連会社の資産・負債項目は、期末日レートで、収益・費用項目は期中平均レートで換算されています。
これらの換算によって生じる差異は、純資産の部の独立項目である「為替換算調整勘定」として表示されています。
法人税等
法人税等は、資産・負債法に基づいて計上しており、財務諸表での資産および負債の計上額とそれらに対応する税務上の金額との
差異、ならびに繰越欠損金および繰越外国税額控除に関する将来の見積税額について 、繰延税金資産および負債が認識されます。
繰延税金資産および負債については、これらの一時差異が解消すると見込まれる会計期間の税率に基づいて計算されます。税率の
変更を伴う繰延税金資産および負債への影響額は、改正税法の公布日を含む会計年度の損益として認識されます。
日本における法人事業税には、外形標準課税が含まれており、当該課税額は利益に関連する金額を課税標準とはしておりません 。
外形標準課税については 、
「法人事業税における外形標準課税部分の損益計算書上の表示についての実務上の取扱い」
( 2004 年
2 月 13 日 企業会計基準委員会)にしたがい、販売費および一般管理費に含めて表示しております。
在外子会社および関連会社の未分配利益については、将来、日本に配当されると想定して、繰延税金負債を認識しています。2009
年に公表された税制改正にともない 、将来在外子会社から受け取る配当を非課税扱いとしています。これにより、在外子会社の未
分配利益にかかる繰延税金負債が減額されています。
デリバティブ取引
当社グループは為替レートおよび金利の変動リスクをヘッジしています。当社グループでは為替レートおよび金利に関するリスク
を軽減するために、先物為替予約取引、通貨オプション取引、金利スワップ取引および金利オプション取引を利用しています。当社グ
ループは、デリバティブ取引を投機目的では利用していません 。
デリバティブは時価により評価し、繰延ヘッジ処理を適用しています。デリバティブ取引がヘッジ目的として使われ、かつ、一定の
ヘッジの要件を満たしている場合には 、時価の変動による損益の認識が繰り延べられます。一定の基準を満たす為替予約等につい
ては、振当処理を行っています。この振当処理では、為替予約に基づく換算レートにより資産、負債を換算します。特例処理の要件
を満たす金利スワップは時価評価せず、その金銭の受払の純額を、関連する借入金利息に加減して処理しています。
剰余金処分
各年度の剰余金処分は株主総会での承認を受けて、次年度の連結財務諸表に反映されています。
1 株当たり金額
1 株当たり当期純利益は、普通株主に帰属する当期純利益を加重平均発行済普通株式数で除して算出しています。2011 年、2010
年および 2009 年 3 月期の計算上使われた株式数はそれぞれ 789,376 千株、789,373 千株、808,735 千株です。
潜在株式調整後 1 株当たり当期純利益は 、新株予約権の行使により普通株式が発行される場合に生じる希薄化を考慮したもので
す。2011 年、2010 年および 2009 年 3 月期の潜在株式調整後の 1 株当たり当期純利益の算出に使用した株式数はそれぞれ、
789,529 千株、789,470 千株、808,780 千株です。
連結財務諸表における1 株当たりの現金配当額とは、当該年度に支払われる中間配当と決算期終了後に支払われる期末配当を含
みます。
3. 会計方針の変更
「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」の適用
「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」
( 実務対
2006 年 5 月17 日、企業会計基準委員会は、
応報告第 18 号)
を公表しました。この報告では、1 )連結財務諸表を作成する場合、同一環境下で行なわれた同一の性質の取引等に
ついて、親会社及び子会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一しなければならない、2)在外子会社の財務諸表
が 、国際財務報告基準又は米国会計基準に準拠して作成されている場合には 、当面の間、それらを連結決算手続き上利用すること
しかしながらこの場合であっても下記 6 項目について、重要性がない場合を除き、連結財務諸表作成過程において、日
ができる、3 )
本基準に修正しなければならない、と規定しています。
(1)のれんの償却
(2)退職給付会計における数理計算上の差異の費用処理
(3)研究開発費の支出時費用処理
(4)投資不動産の時価評価及び固定資産の再評価
124
Takeda Annual Report 2011
( 5)会計方針の変更に伴う財務諸表の遡及修正
(6)少数株主損益の会計処理
これにより、2009 年 3 月期の期首における利益剰余金が 1,476 百万円減少しています。また 、2009 年 3 月期の営業利益は
13,832 百万円、税金等調整前当期純利益は 13,835 百万円減少しています。
「棚卸資産の評価に関する会計基準」の適用
2006 年 7 月 5 日、企業会計基準委員会は、「棚卸資産の評価に関する会計基準」( 企業会計基準第 9 号)を公表しました。
2008 年 3 月期までは、当社及び国内子会社は棚卸資産について、主として低価法を採用していましたが、当該会計基準では、通
常の販売目的で保有する棚卸資産を、取得原価または正味売却価額のいずれか低い価額で評価するよう要求しています。また一定
の条件の下では、正味売却価額に代えて再調達原価によることも認められています。
2009 年 3 月期にて、当該会計基準の適用による営業利益、および税金等調整前当期純利益への影響額は、それぞれ1,960 百万
円の減少となっております。
「リース取引に関する会計基準」の適用
2008 年 3 月期までは、当社および国内連結子会社は、所有権移転外ファイナンス・リース取引については、一定の注記を条件と
して通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っていました。
「リース取引に関する会計基準」
(企業会計基準第 13 号)
を公表しました。当該会計
2007 年 3 月 30 日、企業会計基準委員会は、
基準では全てのファイナンス・リース取引の資産計上が要求されます。
当社および国内関係会社では、2009 年 3 月期よりこのリース取引にかかる当該会計基準を適用しました。
なお、これによる営業利益、および税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。
「持分法に関する会計基準」及び「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」の適用
当年度より、
「持分法に関する会計基準」
(企業会計基準第 16 号 平成 20 年 3 月10 日公表分)及び「持分法適用関連会社の会計処
理に関する当面の取扱い」
(実務対応報告第 24 号 平成 20 年 3 月 10 日)
を適用しております。
これによる当年度における税金等調整前当期純利益に与える影響はありません 。
「資産除去債務に関する会計基準」等の適用
当年度より、
「資産除去債務に関する会計基準」
(企業会計基準第 18 号 平成 20 年 3 月31 日)及び「資産除去債務に関する会計基
準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 21 号 平成 20 年 3 月 31 日)
を適用しております。
これによる当年度における営業利益、および税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。
「企業結合に関する会計基準」等の適用
当年度より、
「企業結合に関する会計基準」
( 企業会計基準第 21 号 平成 20 年 12 月26 日)
、
「連結財務諸表に関する会計基準」
(企
(企業会計基準適
業会計基準第 22 号 平成 20 年 12 月 26 日)及び「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
用指針第 10 号 平成 20 年 12 月 26 日)
を適用しております。
なお 、これらの適用により、子会社の資産及び負債の評価方法を部分時価評価法から全面時価評価法へ変更しております。当該
変更による資産、負債又は損益に与える影響はありません 。
財務セクション
「包括利益の表示に関する会計基準」等の適用
当年度より、
「包括利益の表示に関する会計基準」
(企業会計基準第 25 号 平成 22 年 6 月30 日)及び「連結財務諸表に関する会計
基準」
(企業会計基準第 22 号 平成 22 年 6 月 30 日改正)
を適用しております。
これらの適用により、当年度より連結財務諸表に包括利益計算書を表示しております。
ただし、
「その他の包括利益累計額」及び「その他の包括利益累計額合計」の過年度の金額は 、
「評価・換算差額等」及び「評価・換
算差額等合計」の金額を記載しております。
Takeda Annual Report 2011
125
4. 包括利益
2010 年 3 月 31 日現在における包括利益は次の通りです。
単位:百万円
包括利益
親会社株主に係る包括利益 . . . . . . . . . . .
少数株主に係る包括利益 . . . . . . . . . . . .
包括利益計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥253,412
2,359
¥255,771
2010 年 3 月 31 日現在におけるその他の包括利益は次の通りです。
単位:百万円
その他の包括利益
その他有価証券評価差額金 . . . . . . . . . .
繰延ヘッジ損益 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
為替換算調整勘定 . . . . . . . . . . . . . . . .
持分法適用会社に対する持分相当額 . . . . .
その他の包括利益計
¥ 11,687
(59)
(56,134)
115
¥(44,391)
5. 企業結合
米国事業の再編における米国企業結合会計基準の適用
( 1)分割会社の名称及びその事業の内容、会社分割を行った主な理由、会社分割日、会社分割の概要及び取得した議決権比率
① 分割当事会社の名称
TAPファーマシューティカル・プロダクツ株式会社(以下、TAP 社)
② 分割当事会社の事業内容
医薬品の開発・販売
③ 会社分割を行った主な理由
会社分割によるTAP 社の100% 子会社化を通じて、TAP 社ならびに当社連結子会社である武田ファーマシューティカルズ・ノー
スアメリカ株式会社(以下、TPNA 社)
、武田グローバル研究開発センター株式会社(以下、TGRD 社)
に分散していた当社グ
ループの米国における開発および販売機能を集約することにより、事業運営の効率化ならびに市場ニーズや製品ラインの状
況の変化にフレキシブルに対応可能な体制を整備します。
④ 会社分割日
平成 20 年 4 月 30 日(米国時間)
⑤ 会社分割の概要
本会社分割により、分割・子会社化する以前の TAP 社の合弁先であったアボット社は前立腺癌・子宮内膜症治療剤リュープロレ
リン
(米国製品名「ルプロン・デポ」)等に関するTAP 社保有の資産を獲得しました。一方、本会社分割を含めた事業再編により
100% 子会社化した TAP 社は販売中の消化性潰瘍治療剤ランソプラゾー ル(米国製品名「プレバシド」)、承認申請中( * )の同治
療薬 dexlansoprazole( TAK-390MR )
および痛風・高尿酸血症治療薬 Febuxostat( TMX-67)
、ならびに開発中( * )の消化
性潰瘍治療薬 ilaprazole( IY-81149)
などの資産を保有し続けます。
なお、アボット社および当社にとって均等な価値での会社分割とするための調整が別途実施されます。
( )
* 会社分割時点
⑥ 分割前後の TAP 社に対する議決権比率
分割前の議決権比率:50%
分割後の議決権比率:100%
( 2)2009 年 3 月期に係る分割当事会社の業績の期間
TAP 社の業績につきましては、平成 20 年 4 月 1 日から同年 4 月 30 日までの期間については従来どおり持分法を適用し、平成 20
年 5 月 1 日以降の期間については連結対象としています。
(3)2009 年 3 月期に計上されている分割において譲渡した事業に係る損益
事業譲渡益 709,473 千米ドル
(4)のれん
本会社分割時点において、のれんは発生していません 。
126
Takeda Annual Report 2011
( 5)企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額並びにその内訳
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . .
固定資産 . . . . . . . . . . . . . . .
資産計 . . . . . . . . . . . . . . . .
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . .
固定負債 . . . . . . . . . . . . . . .
負債計 . . . . . . . . . . . . . . . .
950,401 千米ドル
1,632,632 千米ドル
2,583,033 千米ドル
850,093 千米ドル
760,718 千米ドル
1,610,811 千米ドル
取得原価の配分において、無形固定資産として 820,000 千米ドル、仕掛研究開発費として 540,000 千米ドルをそれぞれ配分し
ており、無形固定資産については利用可能期間に基づき償却しています。
なお、本会社分割後の TAP 社は、TPNA 社との合併にかかる法的手続きを、2008 年 6 月30 日に完了しました。また、TPNA 社は、
本合併とともに、TAP 社が保有する開発にかかる機能を、TGRD 社に現物出資しました。
ミレニアム社株式の公開買付けによる取得における米国企業結合会計基準の適用
(1)被取得企業の名称及びその事業の内容、企業結合を行った主な理由、企業結合日、企業結合の法的形式、結合後企業の名称及び
取得した議決権比率
① 被取得企業の名称
Millennium Pharmaceuticals, Inc.(ミレニアム社)
② 被取得企業の事業内容
バイオ医薬品の研究開発・販売
③ 企業結合を行った主な理由
ミレニアム社は癌領域と炎症疾患領域を重点研究開発領域と位置付け 、同領域において強力な研究開発パイプラインを有す
る、世界有数のバイオ医薬品会社です。同社が特に強みを有する癌領域は当社の研究開発の重点疾患領域の一つであり、当
社が真の世界的製薬企業へと飛躍するには、今後高い成長が見込まれる癌領域においてリーディングカンパニーとしてのポ
ジションを確立することが必要と考えています。
同社の子会社化は、当社のこの戦略展開に大きく資するものです。当社は、同社を「当社グループの癌領域における製品戦略
機能を始めとする関連機能の中核」として位置付け、買収の相補効果の最大化を図っていきます。
④ 企業結合日
平成 20 年 5 月 8 日(米国時間)
⑤ 企業結合の法的形式
公開買付けによる株式取得
⑥ 取得した議決権比率
取得した議決権比率 : 100%
財務セクション
( 2)2009 年 3 月期に係る連結損益計算書に含まれる被取得企業の業績の期間
平成 20 年 5 月 9 日から平成 21 年 3 月 31 日まで
( 3)被取得企業の取得原価
取得の対価 . . . . . . . . . . . . .
現金 8,844,705 千米ドル
取得に要した費用 . . . . . . . . .
21,330 千米ドル
8,866,035 千米ドル
資産計 . . . . . . . . . . . . . . . .
(4)発生したのれん金額、償却方法、償却期間
① 企業結合日において発生したのれん金額
3,003,872 千米ドル
② 償却方法及び償却期間
米国企業結合会計基準では、企業結合により発生したのれんは非償却資産として取り扱われますが、連結決算上「連結財務諸
表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」
(実務対応報告第 18 号 平成 18 年 5 月 17 日)の適用により
20 年にわたる均等償却を実施しています。
Takeda Annual Report 2011
127
( 5)企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額並びにその内訳
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . .
固定資産 . . . . . . . . . . . . . . .
資産計 . . . . . . . . . . . . . . . .
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . .
固定負債 . . . . . . . . . . . . . . .
負債計 . . . . . . . . . . . . . . . .
1,942,788 千米ドル
8,708,734 千米ドル
10,651,522 千米ドル
696,468 千米ドル
1,092,691 千米ドル
1,789,159 千米ドル
取得原価の配分において、のれん以外に、無形固定資産として 4,440,000 千米ドル、仕掛研究開発費として 1,050,000 千米ド
ルをそれぞれ配分しており、無形固定資産については利用可能期間に基づき償却しています。
6. 金融商品の時価の開示
1. 金融商品の状況に関する事項
(1)金融商品に対する取組方針
当社グループは、資金運用については事業への再投資に必要な資金・流動性の保全を目的としており、格付の高い短期の銀行預
金及び債券等に限定して運用する方針であります。デリバティブは、後述するリスクを回避することを目的とし、実需の範囲で行
うこととしております。
( 2)金融商品の内容及びそのリスク
営業債権である受取手形及び売掛金は、顧客の信用リスクに晒されております。また、グローバルに事業を展開していることか
ら生じている外貨建ての営業債権は、為替の変動リスクに晒されております。投資有価証券は、主に取引先企業の株式及び純投
資を目的とする株式であり、市場価格の変動リスクに晒されております。
営業債務である買掛金は、その一部に原材料の輸入に伴う外貨建てのものがあり、為替の変動リスクに晒されております。
デリバティブ取引は、外貨建ての営業債権債務に係る為替の変動リスクに対するヘッジ取引を目的とした先物為替予約取引であ
ります。なお、ヘッジ会計に関するヘッジ手段とヘッジ対象、ヘッジ方針については、
「 2. 重要な会計基準の概要」の「デリバティ
ブ取引」をご覧ください 。
( 3)金融商品に係るリスク管理体制
① 信用リスク
(取引先の債務不履行等に関するリスク)の管理
当社は、債権管理に係る社内規定に従い、営業債権について、取引先ごとに期日管理及び残高管理を行うとともに、主要な取
引先の信用状況を定期的に把握し、回収懸念の早期把握や軽減を図っております。
グループの手元資金につきましては、その大部分を、プーリングを通じて当社及び欧米の持株会社に集中しております。この
資金は、資金運用に係る社内規程に従い、格付の高い短期の銀行預金及び債券等に限定し、格付・運用期間などに応じて指定
している限度額に基づいて運用しているため、信用リスクは僅少であります。プーリングの対象としていない資金につきまし
ては、連結子会社において当社の規程に準じた管理を行っております。
デリバティブ取引の利用にあたっては、カウンターパーティーリスクを軽減するために、格付の高い金融機関とのみ取引を行っ
ております。
当期の連結決算日現在における最大の信用リスク額は、信用リスクにさらされる金融資産の貸借対照表価額により表されてお
ります。
(為替や金利等の変動リスク)の管理
② 市場リスク
当社は 、原則として本社と在外子会社との取引は現地通貨建てとし、子会社には為替リスクを負わせず 、本社で一元管理して
おります。本社で晒されている為替リスクは、翌年度の事業計画が確定した時点において、翌年度に確実に発生すると見込ま
れる外貨建て営業債権債務について、通貨別、月別に把握された債権債務をネットしたポジションについて先物為替予約等を
利用してヘッジしております。
上記先物予約取引等を含め、デリバティブ取引については、取引権限や限度額等を定めた社内規程に基づき、経理部が取引を
行い、経理部とは別の組織である会計センターが記帳及び契約先との残高照合等を行っております。連結子会社においても、
当社の規程に準じた管理を行っております。
投資有価証券については 、定期的に時価や発行体の財務状況等を把握するとともに、発行体が取引先企業である場合には 、
当該企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しております。
( 4)金融商品の時価等に関する事項についての補足説明
金融商品の時価には、市場価額に基づく価額のほか、市場価格がない場合には合理的に算定された価額が含まれております。当該価
額の算定においては変動要因を織り込んでいるため、異なる前提条件等を採用することにより、当該価額が変動することもあります。
128
Takeda Annual Report 2011
2. 金融商品の時価等に関する事項
2011 年および 2010 年 3 月31 日における連結貸借対照表計上額、時価及びこれらの差額については、次のとおりであります。
なお、時価を把握することが極めて困難と認められるものは、次表には含めておりません((注 2 )
を参照ください)
。
単位:百万円
2011 年 3 月期
連結貸借対照表
計上額
時価
差額
¥872,710
1,140
293,995
156,315
¥872,710
1,140
293,995
156,315
¥–
–
–
–
83,064
83,064
–
479
480
1
資産
( 1)現金および現金同等物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 2)短期投資 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 3)受取手形及び売掛金 ※ 1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 4)有価証券及び投資有価証券 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
負債
( 5)支払手形及び買掛金 ※ 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
デリバティブ取引
(6)デリバティ ブ取引 ※ 3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:百万円
2010 年 3 月期
連結貸借対照表
計上額
時価
差額
¥852,480
17,000
280,649
200,111
¥852,480
17,000
280,649
200,122
¥ –
–
–
11
72,819
72,819
–
315
304
資産
( 1)および現金同等物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 2)短期投資 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 3)受取手形及び売掛金※ 1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 4)有価証券及び投資有価証券 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
負債
( 5)支払手形及び買掛金※ 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
デリバティ ブ取引
( 6)デリバティ ブ取引※ 3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
(11)
単位:千米ドル
(1)現金および現金同等物 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 2)短期投資 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 3)受取手形及び売掛金 ※ 1 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
( 4)有価証券及び投資有価証券 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
時価
差額
$10,514,578
13,735
3,542,108
1,883,313
$10,514,578
13,735
3,542,108
1,883,313
$ –
–
–
–
1,000,771
1,000,771
–
5,771
5,783
12
財務セクション
2011 年 3 月期
資産
連結貸借対照表
計上額
負債
(5)支払手形及び買掛金 ※ 2 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
デリバティ ブ取引
デリバティ ブ取引 ※ 3 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
(6)
※ 1 連結貸借対照表上の「受取手形」、
「売掛金」、
「関連会社に対する売上債権」を「受取手形及び売掛金」として合算しております。
※ 2 連結貸借対照表上の「支払手形」、
「買掛金」、
「関連会社に対する仕入債務」を「支払手形及び買掛金」として合算しております。
※ 3 デリバティブ取引によって生じた正味の債権・債務は純額で表示しており、合計で正味の債務となる場合は( )
で表示する方法によっております。
Takeda Annual Report 2011
129
(注 1)金融商品の時価の算定方法ならびに有価証券及びデリバティブ取引に関する事項
( 1)現金及び現金同等物、ならびに
(2 )短期投資
これらは短期間に決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。現金及び現
金同等物に含まれたコマーシャルペ ーパー、債券投資信託、債券現先等の短期投資は 、取引所の価格または取引先金融
機関から提示された価格によっております。
( 3)受取手形及び売掛金
これらは短期間に決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。
( 4)有価証券及び投資有価証券
これらの時価について 、株式は取引所の価格によっており、債券は取引所の価格または取引先金融機関から提示された
価格によっております。
( 5)支払手形及び買掛金
これらは短期間で決済されるため、時価は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっております。
( 6)デリバティブ取引
これらの時価について、取引先金融機関から提示された価格によっております。
(注 2)時価を把握することが極めて困難と認められる金融商品
以下については、市場価格がなく、時価を把握することが極めて困難と認められるため、
「( 4)有価証券及び投資有価証券」に
は含めておりません 。
非上場株式※ . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:百万円
単位:千米ドル
連結貸借対照表
計上額
連結貸借対照表
計上額
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥8,804
267
¥11,167
303
$106,072
3,217
※関連会社に対する投資 6,215 百万円が含まれております。
(注 3)金銭債権及び満期のある有価証券の連結決算日後の償還予定額
単位:百万円
2011 年 3 月期
現金及び現金同等物 . . . . . . . . . . . . . . . . .
短期投資 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
受取手形及び売掛金 . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 年超
5 年超
1 年以内
5 年以内
10 年以内
¥ 872,760
1,140
293,995
¥ –
–
–
¥–
–
–
10 年超
–
71
–
–
–
368
¥1,168,263
–
–
¥71
–
–
¥–
–
–
–
1 年超
5 年超
¥
–
–
–
有価証券及び投資有価証券
満期保有目的の債券 . . . . . . . . . . . . . . . .
その他有価証券のうち満期があるもの
①公社債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
②その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
単位:百万円
2010 年 3 月期
現金及び現金同等物 . . . . . . . . . . . . . . . . .
短期投資 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
受取手形及び売掛金 . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 年以内
5 年以内
10 年以内
¥ 852,548
17,000
280,649
¥ –
–
–
¥–
–
–
10 年超
500
–
–
1,000
–
12,268
¥1,162,965
–
–
¥ –
–
–
¥–
–
–
¥1,000
¥
–
–
–
有価証券及び投資有価証券
満期保有目的の債券 . . . . . . . . . . . . . . . .
その他有価証券のうち満期があるもの
①公社債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
②その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
130
Takeda Annual Report 2011
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
現金及び現金同等物
短期投資 . . . . . . . .
1 年以内
.................
.................
受取手形及び売掛金 . . . . . . . . . . . . . . . . .
有価証券及び投資有価証券
満期保有目的の債券 . . . . . . . . . . . . . . . .
その他有価証券のうち満期があるもの
①公社債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
②その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 年超
5 年超
5 年以内
10 年以内
10 年超
–
–
–
$–
–
–
$–
–
–
–
855
–
–
–
4,434
$14,075,458
–
–
$855
–
–
$–
–
–
$–
$10,515,181
13,735
3,542,108
$
7. 有価証券および投資有価証券
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における有価証券および投資有価証券の取得原価および時価は次の通りです。
単位:百万円
2011 年 3 月期
有価証券
売買目的有価証券
その他有価証券
持分証券 . . . . .
負債証券 . . . . .
取得原価
.................
¥
.................
.................
満期保有目的の債券 . . . . . . . . . . . . . . . .
未実現利益
–
¥
未実現損失
–
¥
時価
–
32,968
2,779
71
120,598
–
–
101
–
–
取得原価
未実現利益
未実現損失
–
¥ –
36,124
13,636
1,500
148,904
–
11
53
–
–
取得原価
未実現利益
未実現損失
¥
–
153,465
2,779
71
単位:百万円
2010 年 3 月期
有価証券
売買目的有価証券
その他有価証券
持分証券 . . . . .
負債証券 . . . . .
.................
¥
.................
.................
満期保有目的の債券 . . . . . . . . . . . . . . . .
–
¥
時価
¥
–
184,975
13,636
1,511
単位:千米ドル
.................
.................
.................
満期保有目的の債券 . . . . . . . . . . . . . . . .
$
–
397,205
33,482
855
$
–
1,452,988
–
–
$
–
時価
$
–
1,217
–
–
1,848,976
33,482
855
財務セクション
2011 年 3 月期
有価証券
売買目的有価証券
その他有価証券
持分証券 . . . . .
負債証券 . . . . .
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における関連会社への投資は次の通りです。
投資額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
未分配利益のうち持分相当額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 417
5,798
¥6,215
¥ 689
7,906
¥8,595
$ 5,024
69,856
$74,880
Takeda Annual Report 2011
131
2011 年と2010 年 3 月31 日現在および過去 3 年間の持分法が適用された関連会社についての財務情報の概要は次の通りです。
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥31,900
8,221
40,121
16,334
2,111
¥21,676
¥36,353
8,157
44,510
17,683
2,164
¥24,663
$384,337
99,049
483,386
196,795
25,434
$261,157
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥60,166
2,544
¥62,591
2,613
¥79,706
5,893
$724,892
30,651
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥8,756
7,120
¥10,123
10,814
¥32,238
12,029
$105,494
85,783
流動資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他の資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
流動負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他の負債 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
純資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
当期純利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
関連会社に対する売上高および仕入高は次の通りです。
売上高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
仕入高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
8. 棚卸資産
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における棚卸資産は次の通りです。
製品・商品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
仕掛品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
原材料・貯蔵品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 59,668
39,899
37,560
¥137,127
¥ 61,120
40,334
36,243
¥137,697
$ 718,892
480,711
452,530
$1,652,133
9. 短期借入金および長期負債
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における短期銀行借入加重平均利率はそれぞれ 1.3% 、1.5% です。
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における長期負債の明細は次の通りです。
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 1,250
¥ 1,250
$ 15,060
17,374
18,624
2,237
¥16,387
17,740
18,990
3,471
¥15,519
209,326
224,386
26,952
$197,434
担保付借入金(借入先:銀行等金融機関)
[返済期限:2016 年 3 月期、
加重平均利率 2011 年 1.7% 、2010 年 2.1% ] . . . . . . . .
リース債務
[返済期限:2012 年∼ 2041 年 3 月期、
加重平均利率 2011 年 5.2% 、2010 年 5.3% ] . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 年内返済分 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
差引長期負債計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
132
Takeda Annual Report 2011
2011 年 3 月 31 日現在における長期負債の年度別返済額は次の通りです。
単位:百万円
単位:千米ドル
.
.
.
.
.
.
.
¥ 2,237
3,668
2,109
1,744
2,555
6,311
¥18,624
$ 26,952
44,193
25,410
21,012
30,783
76,036
$224,386
単位:百万円
単位:千米ドル
有形固定資産(減価償却累計額控除後) . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥4,127
$49,723
2012 年 3 月期 . . .
2013 年 3 月期 . . .
2014 年 3 月期 . . .
2015 年 3 月期 . . .
2016 年 3 月期 . . .
2017 年 3 月期以降
計 . . . . . . . . . . .
.
.
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2011 年 3 月 31 日現在において長期負債の担保に供している資産は次の通りです。
日本の慣行として、貸付銀行が求める場合は担保を差し入れる必要があります。銀行は返済期限が到来した債務について、あるい
は債務不履行やその他の特殊事情が起こった場合はあらゆる債務について、その銀行に預け入れた預金と相殺する権利を持ってい
ます。いかなる貸付銀行も当社グループの債務に対してこの権利を行使したことはありません 。
10. リース
1. 2011 年 3 月期の所有権移転外ファイナンス・リース取引の状況は次の通りです。
(1)リース資産の内容
① 有形固定資産
主として、建物です。
② 無形固定資産
ソフトウェアです。
(2)リース資産の減価償却の方法
リース期間を耐用年数とし、残存価額を零とする定額法によっています。
2. オペレーティング・リース取引
未経過リース料
単位:千米ドル
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 3,244
12,016
¥15,260
¥ 3,289
8,277
¥11,566
$ 39,084
144,771
$183,855
Takeda Annual Report 2011
財務セクション
1 年内 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1 年超 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:百万円
2011 年 3 月期
133
11. 退職年金制度
当社および連結子会社は、確定給付型の制度として、企業年金基金制度ならびに退職一時金制度を採用しており、これに加え確定
拠出年金制度も採用しております。
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における退職給付引当金は次の通り構成されています。
2011 年 3 月期
予測退職給付債務 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
年金資産の公正価値 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
未認識数理計算上の差異 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
未認識過去勤務債務 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
小計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
前払年金費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
退職給付引当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥ 221,256
(229,611)
(9,753)
2,265
¥ (15,843)
(32,648)
¥ 16,805
単位:百万円
単位:千米ドル
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 229,806
(239,255)
(15,356)
5,083
¥ (19,722)
(37,685)
¥ 17,963
$ 2,665,735
(2,766,398)
(117,506)
27,289
$ (190,880)
(393,350)
$ 202,470
(注)一部の連結子会社は、退職給付債務の算定にあたり、簡便法を採用しています。
退職給付費用は次の通りとなっています。
2011 年 3 月期
勤務費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
利息費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
期待運用収益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
数理計算上の差異の償却額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
過去勤務債務の償却額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
退職給付費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
確定拠出年金への掛金支払額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥ 4,568
4,499
(4,774)
9,733
(2,853)
11,173
1,364
¥12,537
単位:百万円
単位:千米ドル
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 4,570
4,690
(4,335)
718
(2,846)
2,797
1,421
¥ 4,218
$ 55,036
54,205
(57,518)
117,264
(34,373)
134,614
16,434
$151,048
2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在における計算基礎は次の通りです。
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
退職給付見込額の期間配分方法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
期間定額基準
期間定額基準
割引率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1.3% ∼ 2.0%
1.5% ∼ 2.3%
5年
5年
1.3% ∼ 2.0%
1.5% ∼ 2.3%
5年
5年
期待運用収益率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
過去勤務債務の処理年数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
数理計算上の差異の処理年数 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
取締役および監査役に対する退職慰労引当金は退職給付引当金に含められています。2011 年および 2010 年 3 月 31 日現在に
おける残高は、それぞれ 1,115 百万円(13,434 千米ドル)
、618 百万円となっています。
12. 純資産
日本の会社法においては、株式払込金の全額が資本金として計上されます。ただし、取締役会の決議により、当該金額の 2 分の 1
を超過しない金額を資本剰余金として計上することが容認されています。
会社法では 、利益準備金(利益剰余金に含まれる)および資本準備金(資本剰余金に含まれる)の合計額が資本金の 25% に達する
まで、配当金の支払時に配当額の 10% を利益準備金または資本準備金として積み立てる必要があります。商法では、資本準備金お
よび利益準備金の合計額のうち資本金の 25% を超える金額は、株主総会の決議により配当に充てることができましたが、会社法で
は、上記のような制限なしに、資本準備金および利益準備金を減少することができます。また、会社法では、資本金、利益準備金、資
本準備金、その他資本剰余金およびその他利益剰余金は 、株主総会決議により一定の条件の下で 、科目間の振替を行うことが可能
です。
134
Takeda Annual Report 2011
分配可能額は、会社法の規定により個別財務諸表に基づき計算されております。
会社法では 、取締役会決議により自己株式の取得、処分及び消却を行うことが認められています。一定の計算式で計算された株
主への分配可能額を超えて自己株式を取得することはできません 。会社法においては、従来負債の部に表示されていた新株予約権
は、純資産の部の独立した項目として表示されます。また、会社法においては、自己株式だけでなく自己の新株予約権を取得するこ
とも認められています。このような自己の新株予約権は純資産の部の独立した項目として表示するか 、または既存の新株予約権か
ら直接控除します。
2008 年度において、取締役会決議に基づき 99,606 千株の自己株式の消却を行いました。これにより、自己株式が 601,770
百万円減少し、利益剰余金も同額減少いたしました。
2008 年度、2009 年度、2010 年度における、剰余金の配当は、それぞれの年度において支払われた配当金額です。2010 年
度の連結財務諸表には、2011 年 6 月 24 日の株主総会において、2010 年度の配当金として決議された、一株当たり90 円(1.08
米ドル)
、総額 71,051 百万円(856,036 千米ドル)の現金配当は含まれていません 。
13. ストック・オプション
当社は 2008 年度に、取締役に対して新株予約権を割り当てるストック・オプション報酬制度を導入しました。2011 年、2010 年
および 2009 年 3 月期において 、販売費および一般管理費にそれぞれ 180 百万円(2,169 千米ドル)
、180 百万円、86 百万円を
計上しております。
2011 年 3 月 31 日現在のストック・オプションの概要は下記のとおりです。
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
付与対象者の区分及び人数(名). . . . . . . . .
当社取締役 5 名
当社取締役 5 名
当社取締役 7 名
株式の種類及び付与数(株). . . . . . . . . . . .
普通株式 64,600 株
普通株式 66,900 株
普通株式 62,400 株
付与日 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2010 年 7 月 10 日
2009 年 7 月 10 日
2008 年 7 月 11 日
対象勤務期間 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
対象勤務期間の定めはあ
りません 。
対象勤務期間の定めはあ 対象勤務期間の定めはあ
りません 。
りません 。
権利行使期間 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
自 2013 年 7 月 11 日 至 2020 年 7 月 10 日
自 2012 年 7 月 11 日 自 2011 年 7 月 12 日 至 2019 年 7 月 10 日
至 2018 年 7 月 11 日
なお、権利行使期間の開始前であっても、任期満了により退任した場合その他正当な理由のある場合には、退任の日の翌日よりス
トック・オプションの行使が出来るものとしております。
ストック・オプションの数の変動状況及び単価の状況は、次のとおりです。
権利確定前
2011 年 3 月期
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当期末未確定残 .
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2010 年 3 月期
66,900 株
2009 年 3 月期
31,900 株
66,900 株
31,900 株
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
–
–
–
–
–
–
–
–
–
–
2009 年 3 月期
7,800 株
–
64,600 株
–
–
64,600 株
–
–
–
–
–
–
財務セクション
期首残高 . . . . .
付与 . . . . . . . .
権利確定前失効
権利確定 . . . . .
権利確定後
期首残高 . . . . .
権利確定 . . . . .
権利行使 . . . . .
権利確定後失効
.
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.
当期末未行使残 .
–
2,600 株
–
5,200 株
Takeda Annual Report 2011
135
単価情報
単位:円
2011 年 3 月期
権利行使価格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
1
–
3,028
行使時平均株価 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
公正な評価単価(付与日). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2010 年 3 月期
¥
1
–
2,735
2009 年 3 月期
¥
1
3,995
4,395
単位:米ドル
2011 年 3 月期
権利行使価格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
$ 0.01
–
36.48
行使時平均株価 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
公正な評価単価(付与日). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2010 年 7 月 10 日に付与したストック・オプションの公正な評価単価の見積もり方法は、次の通りです。
2011 年 3 月期
使用した算定技法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ブラック・ショールズ式
株価変動性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
24.04%
6.5 年
4.47%
0.54%
予想残存期間 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
予想配当率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
無リスク利子率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
14. 研究開発費
2011 年、2010 年および2009 年 3 月期の研究開発費はそれぞれ288,874 百万円(3,480,410 千米ドル)、296,392 百万円、
453,046 百万円です。
15. 関係会社株式の売却、事業譲渡
当社グループは、2008 年 4 月 30 日に TAPファーマシューティカル・プロダクツ株式会社の分割・子会社化に伴いアボット・ラボラ
トリーズに対してルプロン事業を譲渡しました。その結果、2009 年 3 月期の事業譲渡益は 71,330 百万円となっています。
16. 法人税等
当社グループの実効税率は以下の要因により法定税率と異なっています。
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
法定税率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
40.9%
40.9%
40.9%
税法上損金不算入の費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
評価性引当金増減額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
1.4
1.1
1.1
(0.6)
1.2
0.9
持分法による投資利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
–
(0.1)
(0.3)
(0.2)
(6.0)
–
–
1.3
0.3
(2.5)
(6.7)
0.3
27.8%
(0.2)
(8.2)
16.4
(7.3)
1.5
(4.0)
(1.4)
–
1.0
40.5%
受取配当金益金不算入 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
研究開発費等の税額控除 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
企業結合に伴う仕掛研究開発費の償却額 . . . . . . . . . . . . . . . . .
事業譲渡益等永久に益金に算入されない項目 . . . . . . . . . . . . . .
のれん償却額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
在外子会社の未分配利益にかかる税効果増減 . . . . . . . . . . . . . .
連結子会社との法定実効税率差異. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結子会社清算による影響 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 ̶ 純額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
実効税率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
136
Takeda Annual Report 2011
(0.1)
(7.8)
–
–
1.4
0.1
(3.2)
–
(1.1)
32.7%
繰延税金資産および負債は次の項目から構成されています。
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 19,664
113,911
3,761
14,845
31,972
8,220
51,668
5,583
44,516
9,709
24,662
47,366
375,877
(34,025)
341,852
¥ 15,001
117,739
3,585
8,166
30,063
10,577
55,577
6,150
41,687
9,557
23,188
51,911
373,201
(28,503)
344,698
$
(13,353)
(16,890)
(36,373)
(12,413)
(103,321)
(15,328)
(197,678)
¥ 144,174
(15,413)
(16,615)
(46,208)
(12,078)
(137,062)
(16,273)
(243,649)
¥ 101,049
(160,880)
(203,494)
(438,229)
(149,554)
(1,244,831)
(184,675)
(2,381,663)
$ 1,737,036
繰延税金資産
賞与引当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
委託研究費等 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
事業税 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
棚卸資産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
未払費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
棚卸資産未実現利益 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
試験研究費等の税額控除 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
退職給付引当金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
特許権 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
販売権 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
税務上の繰越欠損金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
繰延税金資産小計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
評価性引当額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
繰延税金資産計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
236,916
1,372,422
45,313
178,855
385,205
99,036
622,506
67,265
536,337
116,976
297,133
570,675
4,528,639
(409,940)
4,118,699
繰延税金負債
前払年金費用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
在外子会社および関連会社の未分配利益 . . . . . . . . . . . . . . . .
その他有価証券評価差額金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
固定資産圧縮積立金 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
企業結合に掛かる無形固定資産の税効果 . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
繰延税金負債計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
繰延税金資産の純額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
財務セクション
Takeda Annual Report 2011
137
17. セグメント情報
当年度より
「セグメント情報等の開示に関する会計基準」
(企業会計基準第 17 号 平成 21 年 3 月 27 日)及び「セグメント情報等の
開示に関する会計基準の適用指針」
(企業会計基準適用指針第 20 号 平成 20 年 3 月 21 日)
を適用しております。
当社は、製品・サービス別に事業を管理し、各事業の本部機能を担う親会社又は関係会社は、取り扱う製品・サービスについて国内
及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しております。
当社では、
「医療用医薬品事業」、
「ヘルスケア事業」及び「その他事業」の 3 つを報告セグメントとしております。これらは、各々に
ついて分離した財務情報が入手可能であり、すべての報告セグメントについて 、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績の評価
を実施するために定期的に検討しております。
「医療用医薬品事業」は 、医療用医薬品を製造・販売しております。
「ヘルスケア事業」は 、一般用医薬品、医薬部外品を製造・販売
しております。
「その他事業」は試薬、臨床検査薬、化成品の製造・販売等を行っております。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法は、
「重要な会計基準の概要」に基づいております。
セグメント間の内部売上高は、市場の実勢価格等に基づいております。
2011 年および 2010 年 3 月期におけるセグメント情報は次の通りです。
報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産、負債その他の項目の金額に関する情報
単位:百万円
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
138
Takeda Annual Report 2011
単位:千米ドル
売上高
売上高
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥1,267,436
60,254
96,327
¥1,424,017
(4,632)
¥1,419,385
¥1,317,713
58,232
94,816
¥1,470,761
(4,796)
¥1,465,965
$15,270,313
725,952
1,160,566
$17,156,831
(55,807)
$17,101,024
単位:百万円
単位:千米ドル
セグメント利益
セグメント利益
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 345,990
12,235
11,018
¥ 369,243
(2,159)
¥ 367,084
¥ 400,564
11,036
10,814
¥ 422,414
(2,202)
¥ 420,212
$ 4,168,554
147,410
132,747
$ 4,448,711
(26,012)
$ 4,422,699
単位:百万円
単位:千米ドル
セグメント資産
セグメント資産
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥1,599,363
30,575
156,821
¥1,786,759
999,643
¥2,786,402
¥1,591,976
30,646
170,035
¥1,792,657
1,030,617
¥2,823,274
$19,269,434
368,373
1,889,410
$21,527,217
12,043,891
$33,571,108
単位:百万円
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
減価償却費
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥
¥
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥
¥
¥
¥
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
$
$
164,663
–
5,578
170,241
–
170,241
単位:百万円
単位:千米ドル
持分法適用会社への投資額
持分法適用会社への
投資額
¥
¥
$
1,447
2,893
1,875
6,215
–
6,215
¥
¥
4,139
2,710
1,746
8,595
–
8,595
2011 年 3 月期
$
$
$
17,434
34,855
22,591
74,880
–
74,880
単位:百万円
単位:千米ドル
有形固定資産及び無形固定資産の増加額
有形固定資産及び無
形固定資産の増加額
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 144,718
444
3,724
¥ 148,886
–
¥ 148,886
¥ 110,643
461
3,401
¥ 114,505
–
¥ 114,505
$ 1,743,590
5,349
44,868
$ 1,793,807
–
$ 1,793,807
財務セクション
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
¥
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
14,612
–
458
15,070
–
15,070
2010 年 3 月期
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
13,667
–
463
14,130
–
14,130
2011 年 3 月期
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
$ 1,037,373
9,048
63,049
$ 1,109,470
(7,494)
$ 1,101,976
のれんの償却額
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥
92,975
785
5,642
99,402
(694)
98,708
単位:百万円
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
86,102
751
5,233
92,086
(622)
91,464
のれんの償却額
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:千米ドル
減価償却費
セグメント間の取引で重要なものはありません。
Takeda Annual Report 2011
139
売上高およびセグメント利益のうち、
「調整額」に含めた主な内容及び金額
不動産子会社の賃貸損益をその他の収益(費用)
に振替えたもの
売上高
当年度
(4,632)百万円(( 55,807)千米ドル)
前年度
(4,796)百万円
セグメント利益
当年度
(2,309)百万円(( 27,819)千米ドル)
前年度
(2,338)百万円
セグメント資産のうち、
「調整額」に含めた主な内容及び金額
全社資産
当年度
1,004,643 百万円(12,104,133 千米ドル)
前年度
1,035,389 百万円
(注)全社資産は、全社余資運用資金(現預金及び有価証券)
・米国持株会社等での長期投資資産(投資有価証券)及び当社の長期投資資産(投資有価証券)
であります。ただし、長期投資資産(投
資有価証券)のうち、各報告セグメントの事業における取引関係の維持のための投資にかかる資産につきましては、全社資産には含まれておりません 。
<関連情報>
地域ごとの情報
単位:百万円
日本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
米州 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
[うち米国]. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
欧州 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
アジア他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
売上高
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 721,326
496,435
[483,410]
172,883
28,741
¥1,419,385
¥ 688,921
561,817
[544,493]
189,148
26,079
¥1,465,965
単位:百万円
日本 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
米国 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
140
Takeda Annual Report 2011
単位:千米ドル
売上高
$ 8,690,675
5,981,145
[5,824,217]
2,082,928
346,276
$17,101,024
単位:千米ドル
有形固定資産
有形固定資産
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥ 347,557
36,295
23,628
¥ 407,480
¥ 252,871
40,445
25,633
¥ 318,949
$ 4,187,434
437,289
284,675
$ 4,909,398
主要な顧客ごとの情報
(株)メディ セオ . . . . . . . . . . . . . . .
単位:百万円
単位:千米ドル
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥269,486
¥254,862
$3,246,819
関連する報告セグメント名
医療用医薬品
(注)当社では、当年度と同様の基準で算定した前年度の情報を参考情報として開示しております。
報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報
単位:百万円
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
単位:千米ドル
減損損失
減損損失
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥4,377
–
102
¥4,479
–
¥4,479
¥–
–
–
¥–
–
¥–
$52,735
–
1,229
$53,964
–
$53,964
単位:百万円
単位:千米ドル
(注)当社では、当年度と同様の基準で算定した前年度の情報を参考情報として開示しております。
報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
医療用医薬品 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
ヘルスケア . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
連結計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
償却額
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥13,667
–
463
¥14,130
–
¥14,130
¥14,612
–
458
¥15,070
–
¥15,070
$164,663
–
5,578
$170,241
–
$170,241
単位:百万円
単位:千米ドル
期末残高
期末残高
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2011 年 3 月期
¥216,938
–
185
¥217,123
–
¥217,123
¥255,470
–
647
¥256,117
–
¥256,117
$2,613,711
–
2,229
$2,615,940
–
$2,615,940
財務セクション
その他 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
合計 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
償却額
(注)当社では、当年度と同様の基準で算定した前年度の情報を参考情報として開示しております。
Takeda Annual Report 2011
141
18. 賃貸等不動産
2011 年および 2010 年 3 月31 日現在における連結貸借対照表に計上されている賃貸等不動産の公正価値に関する情報は次の
通りであります。
1. 賃貸等不動産の概略
当社及び一部の国内連結子会社では 、東京都その他の地域において 、主として賃貸用のオフィスビル
(土地を含む)及び事業の用
に供していない不動産を有しております。2011 年および 2010 年 3 月期における当該賃貸等不動産に関する賃貸損益は、それぞ
れ 2,310 百万円( 27,831 千米ドル)
、2,316 百万円であります(賃貸収益はその他の収益に、主な賃貸費用はその他の費用に計
上しております)
。
2. 賃貸等不動産の公正価値
賃貸等不動産の当年度および前年度の連結貸借対照表計上額、増減額及び時価は、以下の通りであります。
2011 年 3 月期
単位:百万円
連結貸借対照表計上額
賃貸等不動産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
¥32,563
¥33,690
期末時価
増減
¥(1,127)
2011 年 3 月期
¥85,095
2010 年 3 月期
単位:百万円
連結貸借対照表計上額
賃貸等不動産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
¥33,690
¥34,614
期末時価
増減
¥(924)
2010 年 3 月期
¥89,980
2011 年 3 月期
単位:千米ドル
連結貸借対照表計上額
賃貸等不動産 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
期末時価
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
増減
2011 年 3 月期
$392,325
$362,258
$30,067
$1,025,241
(注)1. 連結貸借対照表計上額は、取得原価から減価償却累計額を控除した金額であります。
2. 時価は、主要な物件については社外の不動産鑑定士による不動産鑑定評価額に基づく金額、その他重要性が乏しい物件につきましては主として路線価、固定資産税評価額に基づいて
自社で算定した金額であります。
3. 上記のうち、当年度の連結貸借対照表に計上されている賃貸用不動産は 19,593 百万円(236,060 千米ドル)であり、時価は 24,617 百万円(296,590 千米ドル)であります。前年
度の連結貸借対照表に計上されている賃貸用不動産は 20,208 百万円であり、時価は 24,474 百万円であります。
4. 上記の米ドル額は、便宜上前年度末残高は 2010 年 3 月 31 日現在のおおよその換算レートである1ドル=93 円で、当年度末残高は 2011 年 3 月 31 日現在のおおよその換算レート
である1ドル=83 円で換算しています。
19. 偶発債務
2011 年 3 月 31 日現在における偶発債務は次の通りです。
債務保証 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
142
Takeda Annual Report 2011
単位:百万円
単位:千米ドル
¥1,230
$14,819
20. 資産除去債務
1. 資産除去債務の概要
建物・製造設備等の石綿障害予防規則等に伴うアスベスト除去に係る費用、PCB 含有設備等の PCB 特別措置法等に伴う処理費用
であります。
2. 資産除去債務の金額の算定方法
当該債務に係る資産の使用見込期間を1–46 年と見積り、割引率は 0.4–2.4%を使用して資産除去債務の金額を計算しております。
3. 2011 年 3 月期における資産除去債務の総額の増減は、以下のとおりであります。
単位:百万円
期首残高(注). . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
有形固定資産の取得に伴う増加額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
時の経過による調整額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
資産除去債務の履行による減少額 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
期末残高 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
¥6,590
405
27
(163)
¥6,859
単位:千米ドル
$79,398
4,880
325
(1,964)
$82,639
(注)当 年 度より
「資 産 除 去 債 務に関 する会 計 基 準」
(企 業 会 計 基 準 第 18 号 平 成 20 年 3 月31 日)及び
「資 産 除 去 債 務に関 する会 計 基 準 の 適 用 指 針」
(企 業 会 計 基 準 適 用 指 針 第 21 号 平成 20 年 3 月 31 日)
を適用したことによる期首時点における残高であります。
21. 係争事件
(1)訴訟案件
米国における一部の医薬品の販売に関し、AWP( Average Wholesale Price: 平均卸売価格)
として公表されている価格と実際
の販売価格とが乖離していること等により損害を受けたとして、患者本人、保険会社および州政府等から損害賠償を請求する民事訴
訟(いわゆる「 AWP 訴訟」)
が、大手を含む多数の製薬会社に対し提起されております。TPNA 社は、
「ピオグリタゾン
(米国製品名:ア
クトス)」につき複数の州裁判所において 、また「ランソプラゾー ル
(米国製品名:プレバシド)」につき 、合併前に TAP 社に提起されて
いた事件を含め、複数の連邦および州裁判所において、それぞれ AWP 訴訟を提起されております。うち「プレバシド」にかかる1 件
については当社も被告とされております。
( 2)移転価格税制に基づく更正処分の件
当社は、2006 年 6 月28 日、大阪国税局より、当社とTAP 社との間の 2000 年 3 月期から2005 年 3 月期の 6 年間の「プレバシド」
にかかる製品供給取引等に関して、米国市場から得られる利益が、当社とTAP 社間の利益配分において、当社に対して過少に配分さ
れているとの判断により、移転価格税制に基づく更正通知書を受領しました。更正された所得金額は 6 年間で 1,223 億円であり、
地方税等を含めた追徴税額 571 億円について 2006 年 7 月に全額を納付しましたが、当社はこの更正処分を不服として、2006 年
8 月 25 日、大阪国税局に対し異議申立書の提出を行いました。
2008 年 7 月 8 日には 、本更正処分により生じている二重課税の解消を目的として 、国税庁に対し、米国との相互協議申立書を提
出いたしました。また、これに伴い、大阪国税局に対する異議申立てを一旦中断する手続きを実施いたしました。
現在、日米両当局において相互協議プロセスが進行中です。
財務セクション
Takeda Annual Report 2011
143
22. 後発事象
当社は、平成 23 年 5 月、スイスのチューリッヒに本社を置くNycomed A/S(以下、
「 Nycomed 社」)
を96 億ユーロ
(株式価値+
純負債ベース)
で買収することについて、同社の株式保有者と株式譲渡契約を締結しました。本買収は、両社の取締役会において全
会一致で承認されたものであり、契約締結以後、必要な規制当局の承認を受け、当社は同社の株式 100% を取得し、90 日から120
日の間に同社を子会社化する予定であります。
(注)米国皮膚科事業を運営するNycomed US Inc. は本買収契約の対象外です。
(1)本買収の目的
当社の掲げる「 11–13 中期計画」における持続的成長の実現に向けた基本戦略を大きく前進させるものであり、当社が高いプレ
ゼンスを有する日本および米国の事業に、Nycomed 社が広く自社販路を有する欧州および高い成長を続ける新興国の事業基盤が
加わり、当社の開発力・販売力が強化され、当社の製品・パイプラインのポテンシャルが一段と高まることになります。また、買収初
年度から安定的なキャッシュ・フロー を当社にもたらし、加えて、Nycomed 社のグローバルに活躍する多様な人材が加わることに
より、企業文化の変革を推進することを期待するものであります。
( 2)対象会社の概要
①名称
②本社所在地
③代表者
④従業員数
⑤資本金
⑥株式の種類
⑦主な事業内容
Nycomed A/S
スイス チューリッヒ
Håkan Björklund(ハーカン・ビョークランド)
約 12,500 人( Nycomed US Inc. の従業員数を含む)
98,836 ユーロ
非上場の普通株式
医薬品の製造・販売・研究開発
( 3)株式取得の対象者
Nycomed 社の株式保有者(投資会社※ 、従業員および経営者)
※
Nordic Capital Funds, DLJ Merchant Banking Partners, Coller International Partners, Avista Capital Partners など
(4)発行済株式総数
13,778,110 株(平成 22 年 12 月 31 日現在)
(5)株式の取得方法
現金(6,000 億円程度の借入を実施予定)
( 6)買収価額
当社が引き継ぐ負債を含め 9,600 百万ユーロ
(ドイツ証券と野村證券からフェアネス・オピニオンを取得)
(7)取得完了予定日
平成 23 年 9 月末
144
Takeda Annual Report 2011
独立監査人の監査報告書(訳文)
武田薬品工業株式会社
取締役会 御中
当監査法人は 、武田薬品工業株式会社及び連結子会社の 、日本円で表示されている、2011 年及び 2010 年 3 月 31 日現在の連
結貸借対照表、2011 年 3 月 31 日をもって終了した連結会計年度の連結包括利益計算書並びに 2011 年 3 月 31 日をもって終了し
た 3 年間における各連結会計年度の連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書及び連結キャッシュ・フロー計算書について監査を
実施した。この連結財務諸表の作成責任は経営者にあり、我々 の責任は監査に基づいて 、独立の立場から連結財務諸表に対する意
見を表明することにある。
我々は、我が国において、一般に公正妥当と認められる監査基準に準拠して監査を行った。この監査基準は、我々に連結財務諸表
に重要な虚偽の表示がないかどうかの合理的な保証を得るように監査を計画し、実施することを求めている。監査は、連結財務諸表
に含まれる金額や開示の基礎となる証憑を試査により検証する手続を含んでいる。また 、監査は経営者が採用した会計方針及び経
営者によって行われた重要な見積りの評価、並びに全体としての連結財務諸表の表示を検討することを含んでいる。我々 は 、監査
の結果として意見表明のための合理的な基礎を得たと判断している。
我々 は 、上記の連結財務諸表が 、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に準拠して 、武田薬品工業株式会社及び
連結子会社の 2011 年及び 2010 年 3 月 31 日現在の財政状態並びに 2011 年 3 月 31 日をもって終了した 3 年間における各連結
会計年度の経営成績及びキャッシュ・フロー の状況をすべての重要な点において適正に表示しているものと認める。
追記情報
( 1)注記 22 に記載されているとおり、会社は Nycomed 社の買収について、同社の株式保有者と合意し、株式譲渡契約を締結した。
( 2)注記 4 に、2010 年 3 月 31 日をもって終了する連結会計年度の包括利益が記載されている。
2011 年 3 月 31 日をもって終了した連結会計年度の連結財務諸表は、便宜のため米ドルへ換算されている。我々の監査は、円貨
金額の米ドル金額への換算を含み、当連結財務諸表の換算金額が、注記 1 の基準に従って算出されているものと認める。
財務セクション
KPMG AZSA LLC
日本、大阪
2011 年 6 月 24 日
(注)本監査報告書は 、
「 Takeda
を翻訳したものです。
Report ”
“ Independent Auditors ’
Pharmaceutical Company Limited Annual Report 2011」に掲載されている
Takeda Annual Report 2011
145
(2011 年 3 月31 日現在)
会社情報
武田薬品工業株式会社
創
業:1781 年 6 月12 日
設
立:1925 年 1 月29 日
資
本
金:635 億 41 百万円
株
主
数:256,291 名
発行済み株式数:789,666,095 株
独 立 監 査 人:有限責任 あずさ監査法人 〒541-0048 大阪市中央区瓦町3-6-5 銀泉備後町ビル
American Depositary Receipts( ADR )
:
比率:2ADR=1 普通株
取引:OTC(店頭取引)
シンボル:TKPYY
CUSIP 番号:874060205
ADR 名簿管理人:
The Bank of New York Mellon
101 Barclay Street, New York, NY 10286
上場証券取引所:東京、大阪、名古屋、福岡、札幌 (証券コード4502)
お問合せ先:
電話:
(201)680-6825
フリーダイヤル
(米国内)
:
(888)269-2377
株主名簿管理人:三菱 UFJ 信託銀行株式会社 〒100-8212 東京都千代田区丸の内一丁目 4 番 5 号
URL: http://www.adrbnymellon.com
主要株主(上位 10 名)
株主名
持株比率( % )
持株数(千株)
55,647
43,104
30,372
17,912
15,077
13,105
10,229
8,725
8,507
7,997
日本生命保険相互会社
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)
日本マスタートラスト信託銀行株式会社(信託口)
公益財団法人 武田科学振興財団
SSBT OD05 OMNIBUS ACCOUNT-TREATY CLIENTS
バークレイズ・キャピタル証券会社
ステート ストリート バンク アンド トラスト カンパニー 505225
ステート ストリート バンク ウェスト ペンション ファンド クライアンツ エグゼンプト
日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口 9)
メロン バンク エヌエー アズ エージェント フォー イッツ クライアント メロン オムニバス ユーエス ペンション
7.05
5.46
3.85
2.27
1.91
1.66
1.30
1.11
1.08
1.01
株価の推移(東京証券取引所)
株価(円)
TOPIX
3,000
TOPIX 月末値の推移
9,000
7,500
2,500
6,000
2,000
4,500
1,500
3,000
1,000
1,500
500
0
(月)
(年)
0
4
2005
8
12
4
8
2006
12
4
8
2007
12
4
8
2008
12
4
8
2009
12
4
8
2010
12
2011
出来高の推移
(百万株)
200
160
120
80
40
0
(月) 4
(年) 2005
8
12
4
2006
8
12
4
2007
8
12
4
2008
8
12
4
2009
8
12
4
2010
8
※ TOPIX(東証株価指数)
は株式会社東京証券取引所の知的財産であり、当該指数の算出、数値の公表、利用および TOPIX の商標に関するすべての権利は東証が所有しています。
146
Takeda Annual Report 2011
12
2011
社会的責任に関する主な指標
2011 年 3 月期
2010 年 3 月期
2009 年 3 月期
合計
18,498 人
19,585 人
19,362 人
日本
9,467 人
9,031 人
9,305 人
10,280 人
9,072 人
10,290 人
16,470 人
16,035 人
435 人
2,028 人
17,568 人
17,125 人
443 人
2,016 人
17,194 人
–
–
2,168 人
33 人
36 人
–
実施
労働慣行
(注)
従業員数
海外
医薬事業
医療用医薬品事業
ヘルスケア事業
その他事業
グローバルリーダー育成プログラム 受講者
グローバル従業員サーベイ
実施
28 人
(注)就業人員数を表示しております。なお、2011 年 3 月期から工数換算ベースで表示しており、2010 年 3 月期についても変更後の基準に基づき組み替えて表示しております。
環境
総エネルギー投入量
水資源投入量
CO2 排出量
SOx(硫黄酸化物)排出量
NOx(窒素酸化物)排出量
ばいじん排出量
廃棄物発生量
PRTR 対象物質 大気排出量(日本)
6,449 百万 MJ
7,309 千 m3
332 千トン-CO2
40 トン
236 トン
18 トン
44 千トン
48 トン
6,113 百万 MJ
7,461 千 m3
329 千トン-CO2
49 トン
231 トン
12 トン
58 千トン
51 トン
5,823 百万 MJ
7,771 千 m3
347 千トン-CO2
211 トン
290 トン
30 トン
54 千トン
60 トン
コミュニティ参画および発展
寄付金
武田科学振興財団 研究助成金
法人税等合計
4,416 百万円
2,201 百万円
121,326 百万円
5,517 百万円
2,053 百万円
115,668 百万円
お問い合わせ先: 本 社 〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目 1 番 1 号
東京本社 〒103-8668 東京都中央区日本橋二丁目 12 番 10 号
ホームページアドレス http://www.takeda.co.jp/
4,371 百万円
1,513 百万円
161,351 百万円
Tel: 06-6204-2111 Fax: 06-6204-2880
Tel: 03-3278-2111 Fax: 03-3278-2000
Takeda Annual Report 2011
147
2011年7月発行
この印刷物は植物油インキを使用しています。
Printed in Japan
www.takeda.co.jp