活動報告 - JFA Community

トゥーロン国際大会より
훿Jリーグフォト㈱
活動報告
JFA GK
プロジェクト
JFA Goalkeeper Project
since 1998
今号ではU-23日本代表、U-19日本代表、U-16日本代表の
遠征報告をお送りします。
U-23 第36回
日本代表 トゥーロン国際大会
極的なゴールキーピング」、「良い準備」、
「DFとの連携」
、
「効果的な攻撃参加」をテ
ーマとし、ヨーロッパ、南米、アフリカの
強豪との試合の中で相手の意図と試合の流
【報告者】川俣則幸(U-23日本代表GKコーチ)
1.遠征期間
U-23日本代表は5月19日から31日まで、
フランス遠征を行い、第36回トゥーロン
国際大会に参加した。
2.参加GK
●山本海人(清水エスパルス)
1985年7月10日生 188cm/81kg
れを読み、どれだけ効果的にプレーし、闘
えるかに挑戦した。
4.トレーニング
今大会は、フランス到着の2日後にオラ
ンダと初戦を戦い(Jリーグの日程の都合
で清水エスパルス、アビスパ福岡所属の5
名は1日遅れでの到着)
、中1日(準決勝の
み2日間)で5試合を戦うという厳しい日
程で行われた。
●西川周作(大分トリニータ)
1986年6月18日生 183cm/79kg
そのためトレーニングは、試合に向けた
準備が中心となった。GKグループでのト
●林彰洋(流通経済大学)
1987年5月7日生 192cm/83kg
レーニングでは、試合への準備と試合での
課題を中心にシュートストップ(特にゴー
3.GKとしてのテーマ
ル前の混戦からのシュートと至近距離から
のシュート)、クロス対応、セットプレー
チームは、日本代表の「情熱と誇り」を
の守備を行い、チーム練習の中で、GKか
持ち、「集中」、「コミュニケーション」、
「闘う」を90分とどまることなく連続する
らの攻撃参加やDF陣との連携を確認した。
特にDF陣との連携は、試合ごとに選手
「NON STOP PLAY」、さらに「RUN A
RISK」リスクを冒すことをテーマとした。
の構成を変えたので、いつも以上に選手間
で確認作業を行うことを意識した。
5.試合結果
グループリーグ
5月20日 U-21オランダ代表 1-0
出場GK:西川
5月22日 U-21フランス代表 2-1
出場GK:西川
5月24日 U-23チリ代表 0-2
出場GK:山本
※グループリーグ 2勝1敗、2位で通過
決勝トーナメント
5月27日 準決勝
U-23イタリア代表 0-0 PK4-5
出場GK:西川
5月29日 3位決定戦
U-23コートジボワール代表
2-2 PK3-4
出場GK:林
5試合を戦い、通算2勝3敗(うちPK負け2回)、
得点5、失点5という結果であった。
6.成果
まず、このチームなって初めて世界基準
GKもチームの掲げるテーマに加え「積
の中での真剣勝負ができたこと。そして3
人のGK全員がその経験を積めたことが成
果として挙げられる。前回のアテネオリン
ピック(2004年)で、試合開始早々の失
点により試合を優位に進められなくなった
という教訓を生かし、今大会では、立ち上
がりの失点をしないこと、そのために慎重
かつ高い集中力を持って試合に臨むこと
を、GKには特に要求した。結果的に試合
開始早々のピンチを防ぐことができ、互角
の試合展開に持ち込むことができた。選手
個々も、何ができて、何ができなかったの
かを確認できたことは成果と言える。また、
試合ごとに選手の組み合わせが変わる中
で、選手間の連携もとれるようになってき
トゥーロン国際大会より훿Jリーグフォト㈱
22
たことも自信につながるであろう。
7.今後に向けて
年のFIFA U-20ワールドカップでの活躍が
記憶に新しいが、今大会も、非常に積極的
●権田修一(FC東京)
1989年3月3日生 187cm/80kg
今大会優勝のU-23イタリア代表は、5試
なポジショニングから広いプレーエリアを
合戦って失点0のすばらしい成績であった。
われわれの目標である北京オリンピックで
保ちつつ、至近距離からのシュートやブレ
イクアウェイのシーンでの反応の早さが目
良い成績を残すためには、失点を減らすこ
とが重要である。日本は、オリンピックで
立った。攻撃参加も非常にスムーズであり、 (2)良い準備
試合の流れを読む力が際立っていた。「良
(3)DFとの連携
闘う相手との試合では、互角または劣勢に
いフットボーラー=良いGK」という例と
(4)つかむか弾くかの判断とそのプレー
立たされる時間帯が長くなると予想され
る。そうした時間帯に失点をしないことが
して、彼のプレーも非常に参考になるもの
であった。
(5)攻撃への参加
(6)リスクマネージメント
勝利のためには不可欠である。そのために
GKが何をできるかをさらに追求すること。
また、2回のPK戦では2人のGKがプレーし
たが、相手選手の失敗が1回あったのみで、
ストップできなかったことも今後の課題で
ある。
ベルギー遠征
オランダ遠征
U-19
(フルーナベイヘン
日本代表 国際ユース大会
2008)
【報告者】慶越雄二(U-19日本代表GKコーチ)
8.他国のGK
今大会の優秀GK賞は、U-23イタリア代
4.試合結果
5月7日 U-19ベルギー代表 1-2
出場GK:松本
5月10日(25分ハーフ)
出場GK:松本
2008年11月にサウジアラビアで開催され
12月4日生、190cm/82kg)であった。彼
は非常に落ち着いたGKで、ピンチになっ
るAFC U-19選手権(アジア最終予選)に向
けて、5月4日から14日まで、ベルギー・オ
ても慌てず冷静で正確な状況判断から、確
実にゴールを守る技術発揮を行い、攻撃参
ランダ遠征を行い、強化を図った。
5月5日にアムステルダム到着後、ベルギー
加も効果的だった。どんな場面でも構えが
に移動し、7日にU-19ベルギー代表と親善試
ぶれない、無駄なステップを踏まないプレ
ーは、日本のGKにとっても参考になる。
合を行った。翌8日、オランダ・Uitgeestに移
動してトレーニングを行い、10日からのフル
しかし、その彼が、オリンピックのヨーロ
ッパ予選では控え選手であり、試合に出て
ーナベイヘン国際ユース大会2008に参加し
た。予選では25分ハーフのゲーム3試合を行
いないことは、イタリアのGKのレベルの
い、中1日で決勝トーナメント(20分ハーフ)
高さと選手層の厚さをあらためて感じさせ
るものであった。
を3試合を行い、大会・遠征を終えた。
1988年6月15日生、181cm/71kg)も、昨
(1)積極的かつ堅実な守備
13:00 Groenewegen 3-1
1.概要
表のDavide Bassi(エンポリ所属 1985年
また、決勝でイタリアに敗れたチリの
Christopher Toselli(Univ. Catolica所属
3.GKテーマ
15:00 Leverkusen 1-0
出場GK:権田
17:00 Ajax 2-0
出場GK:松本
5月12日(20分ハーフ、PK)
10:55 Vitesse 0-0 PK3-4
出場GK:権田
12:45 Willem Ⅱ 0-0 PK4-5
出場GK:松本
14:45 Ajax Capetown 2-1
出場GK:権田
2.招集選手
●松本拓也(順天堂大学)
5.成果
1989年2月6日生 182cm/76kg
・積極的にトレーニング、ゲームに取り組ん
でくれた。
・ハイプレッシャーの中でアグレッシブにプ
レーできた。
・シュートストップの状況下で、ミドルシュ
ートや至近距離からの難しい状況の中でし
っかりDFと連携して守れた。
・決勝トーナメントでステージアップの真剣
勝負のPK戦を2試合経験することができ
た。
6.課題
フルーナベイヘン国際ユース大会より
・ブレイクアウェイの状況下で、ボール保持
者が優位で浮いているボールに対し、DF
23
が対応しているにもかかわらず、安易に飛
5月26日に大阪に集合してコンディション
び出してピンチを招き、失点してしまっ
た。ボール保持者の状況とDFとの関係を
調整を行い、その夜の便でサウジアラビアに
向かい、27日にサウジアラビア・ダンマンで
見極めて判断しなければならない。
・20分、25分ハーフのゲームで攻撃的に進
めて点を取らなくてはいけないので、配球
の面で味方との連携や投げるタイミングを
失うとゲームがスムーズに展開できない。
トレーニングを行いながら、地元クラブチー
ムと29日を皮切りに、1日おきに3試合行い、
く、勝たなければいけないとき、負けてい
るときに、自分たちのリズムでゲームを運
●権田修一(FC東京)
1989年3月3日生 187cm/80kg
ぶことができない。
●大谷幸輝(浦和レッズ)
や、相手の入り方によって修正できていな
いので、一番危ない所で先に触られたり、
触れず抜けたりしている。
・PKに関しては、コースを読めているが踏
み込みが甘くて触れなかったり、触ってい
てもプレー方向が後ろで弾ききれなかった
出場GK:権田
5月31日 AL-NAHDA 4-0
2.参加選手
●松本拓也(順天堂大学)
1989年2月6日生 182cm/76kg
のコントロールや、CK時のストーン、前
ストーンといった部分がキッカーの蹴り足
5月29日 AL-ITEFAQ 3-2
チームの強化を図った。
決断を早くし、切り替え、プレーを早くし
ていかなくてはいけない。残り時間がな
・セットプレーの部分でDFのオーガナイズ
がしっかりなされていない。FKのライン
4.試合結果
1989年4月8日生 185cm/80kg
3.GKテーマ
(1)積極的かつ堅実的なゴールキーピング (大胆さと繊細さ)
出場GK:松本
6月2日 Aramco 8-0
出場GK:大谷
5.成果
・気温が日中40度を上回り、夕方になって
も30度のサウジアラビアの気候を体感し、
その中で集中力を切らさずトレーニング、
ゲームに取り組んでくれたこと。
(2)良い準備
(位置と姿勢、観る→状況把握→予測→
・ミドルシュートの場面でボール方向に足
を運んでダイブし、一発でキャッチした
判断/決断→実行)
(3)DFとの連携
こと。
・攻撃の参加で、奪ったボールを素早くキ
(コミュニケーション、コンビネーショ
ック・スローインで高い位置の選手につ
りしている。アジア最終予選に向けてどこ
かのタイミングでバーチャルトレーニング
ン)
(4)攻撃への参加
的なことを含めてやっていく中で、基本的
な構え・タイミングはしっかり押さえた上
(サポートプレー、効果的な配球)
(5)つかむか弾くかの判断
6.課題
で、キッカーのボールに対しての入り方を
意識させてゲームの中でのPKに対処して
(6)リスクマネージメント
・DFとの連携の部分で「誰に、何を」
、フ
なげ、決定的なシュートチャンスに結び
つけ攻撃をサポートしたこと。
いきたい。
7.今後の展開
次回のサウジアラビア遠征に今まで招集で
きなかった選手が招集可能なので、アジア最
終予選に向けてのシミュレーションの場とし
て、選手との連携を高めると同時に、中東の
サッカーに対し、場所・気候等への対応を含
め良い準備の場にしていきたい。
U-19
日本代表
サウジアラビア
遠征
【報告者】慶越雄二(U-19日本代表GKコーチ)
1.概要
AFC U-19選手権(アジア最終予選/サウ
ジアラビア)に向けて、シミュレーションの
意味も兼ねて、最終予選の地であるサウジア
ラビアへ遠征した。
24
サウジアラビア遠征より
活動 JFA Goalkeeper Project
報告 JFA GKプロジェクト
ァーストDFの決定と、チームとしてどの
ようにして守備をするのかが明確にない
ままゲームが流れてしまうことが多かっ
た。そのため、簡単にシュートまで持ち
込まれてしまう。
・リスク管理の部分でカウンターの起点を
つくられることが多かった。その後相手
のミスで助けられたが、DFの連携と重な
るが、攻撃時の具体的なDFへの指示でマ
ークの確認ができていないので、その部
分の徹底が必要である。
・セットプレーの場面で、相手の出方を見
第7回バニコフ記念国際ユーストーナメント2008より
た中でのオーガナイズと予測をもっとし
2.選出GK
ていかなくてはいけない。相手との駆け
引きの部分で警戒心と集中力を欠いてし
●藤嶋栄介(熊本県立大津高校)
1992年1月31日生 186cm/75kg
まっての2失点は不用意な失点であった。
・攻撃の参加の部分でファーストタッチや
パスの質をもっと上げていかなくてはい
●松澤香輝(流通経済大学付属柏高校)
1992年4月3日生 182cm/75kg
3.試合におけるテーマ
けない。また、厳しい状況にパスしたり、
コントロールが悪くて相手に追い込まれ
(1)ゲームに向けて良い準備をする
てチャンスを逃し、スムーズな展開にな
らない場面が目に付いた。
(2)味方DFとの連携
的確なコーチング
(3)積極的なGKからのビルドアップ
7.今後の展開
アジア最終予選を迎えるにあたり、現地
早く安全に一番良い所へフィード
(4)積極的なゴールキーピング
サウジアラビアで予選と同じ日程でキャン
プを行えたのは大きかった。その課題を次
シュートストップ・ブレイクアウェ
イ・クロス・ディストリビューション
からのキャンプに生かしていきたい。また
選手選考の部分で、公式戦に絡んできてい
(5)セットプレーの重要性の再確認と責任感
る選手の現状把握をし、キャンプの準備等
を進めていきたい。
U-16
日本代表
第7回
バニコフ記念国際
ユーストーナメント
2008
【報告者】柳楽雅幸(U-16日本代表GKコーチ)
つかむ・弾くの判断、パンチングスタ
イルの向上、弾く場所
4.試合結果
6月6日 トルコ 1-6
出場GK:藤嶋
6月7日 ポーランド 2-2
出場GK:松澤
1.概要
2008年10月、ウズベキスタンで開催され
るAFC U-16選手権(アジア最終予選)に
向け、3月のフランス遠征に続き、ウクライ
ナ遠征を行った。チームとしての闘い方が、
世界の一流どころにどれくらい通じるのか、
6月9日 スロバキア 3-1
出場GK:松澤
順位決定戦(3位)
知ることはもちろんのこと、その中で自分
たちのプレーを発揮することで、結果を求
める。チーム一丸となり、For the Team
で闘う姿勢は見られるようになってきた。
ゲームに向け、良い準備とは何か。トレー
ニングだけではなく、生活面においても重
要であることの認識がまだ低い。
ゲームの中でのビルドアップにおいて
は、まだ観えている所が狭く、状況に合っ
たフィードができていない。GKからのミ
スで相手にボールを奪われ、ピンチを自ら
つくってしまうケースも見られた。
第1戦のトルコ戦では、6失点と大敗し
てしまった中で、GKが絡んだ失点が2点あ
り、ゲーム中の安定感が感じられず、続け
て失点し、チームのリズムをさらに悪化さ
せてしまった。このような反省点を踏まえ、
第2戦以降、リズムが悪い中でも、続けて
失点しないよう心掛けることにより、個々
の意識が変わり、苦しいときに踏ん張る姿
勢も見られてきた。ただし、この大会でも
FKからの失点が2失点あり、さらなる改善
を必要とする。
シュートストップにおいては、至近距離
からのシュートに反応できており、折り返
されたボールにも、素早くポジション移動
ができ、シュートに対応していた。
6.今後の展開
セットプレーに対してDFとの連携をも
6月9日 ロシア 3-2
っと密にし、今後のトレーニングに取り組
んでいきたい。クロスボールに対しては、
出場GK:松澤
判断の伴ったチャレンジを積極的に行う。
また、その中で結果を求めていく遠征であ
った。
●日程:2008年6月2日∼13日
5.成果と課題
●開催地:ウクライナ/マリウポル
3月のフランス遠征の戦い方を反省し、
今回のウクライナ遠征では、世界レベルを
今後は、パンチングスキルの向上が必要で
あり、弾く場所まで突き詰めていきたい。
配球においては、素早く正確に、一番良い
所へフィードできるように、常に実戦を意
識させながらトレーニングを行う。
25
JFA
エリート プログラム活動報告
AFC U-14
フェスティバル
報告
吉武博文
(U-14日本選抜監督/ナショナルトレセンコーチ)
イペイ、マカオ、グアム、モンゴル、日本
移動して前泊。トレーニングとJリーグ観戦
4月17日、11時50分、定刻に北京首都国
の9カ国が参加。
すべての選手に均等に出場機会を与える
(鹿島アントラーズvsガンバ大阪)のプログ
ラムを体験。昨年のJFAエリートプログラ
際空港に到着。それから待つこと1時間半。
空港でよく見かける出口に出迎える大勢の
方式。すべての国と対戦できるように配慮
されていた。
はじめに
人ごみの中をうろうろと…。出迎えに来て
様子見状態」は見られずスムーズに活動に
いるはずの方が見当たらず、雑多な人ごみ
の中でプラカードを探したが、「いない」。
・AFC C級コーチコース(4月13日∼27日)
海外でよくある洗礼…フットボールセンタ
ーまで自分で行こうか?待つべきか?イン
人の参加者。指導者のレベルアップ・各国
の情報交換が目的。
上記9カ国からマカオを除く8カ国より21
きか?大声を出すべきか?…選択肢を持ち
ながら行ったり来たり…。『Japan Head
・レフェリーコース(4月13日∼27日)
Coach』のプラカードを見たときの『ほっ
と感』は言葉に表せない。出迎え役の「リ
の育成が目的。AFC U-14フェスティバル
のゲームのレフェリーも行った。
活動でした。昨年に続きJFAエリートプロ
上記9カ国より18人が参加。レフェリー
フェスティバル日記
グラムの延長線上の海外遠征活動となる
AFC U-14フェスティバルを日記形式で報
4月17日
告します。
翌日からの「ワークショップ打ち合わせ」
の予定であったが、急遽ミーティングはキ
フェスティバル全体の概要
ャンセルとなった。海外では予定通りにな
1994年1月1日以降生まれの選手を対象に、
アジアを西・南西・中南・東の4つの地域に
分け、アジア全体のレベルアップを目的と
入ることができ、今回の遠征の充実を予感
させてくれた。
4月20日
早朝から10時間かけて北京のNFTBまで
フォメーションセンターに助けを求めるべ
ー」という学生は、到着を13時30分と聞い
ていたらしい…。という幕開けで始まった
ムから、初顔は2人だけでこの年代の男の子
によく見られる「人見知り、借りてきた猫、
監督のみが大会の3日前に現地入りした。
の移動とトレーニング、そしてミーティン
グが主な活動であった。
∼以下ミーティングの内容∼
【2008年の活動目標(コンセプト)
】
『楽しさの追求』
① 知覚を高める
情報収集、自分を知る、感謝の気持ち
② 判断を磨く
選択肢、プラス思考、フェアプレー
③ 実行を習慣化する
やりきる、関わる、挑戦する
らないことがやはり多い…。4日前から日本
より現地入りしているAFC C級コーチコー
以上の目標のもとに『個のレベルアップ』
を目指す。
ス、レフェリーコースの参加者に様子を聞
き、ここでの活動のイメージをした。
そのためにピッチでは動きながらのスキ
ルを発揮するという「技術の追求」
、自らの
判断を基に質の高い行動をとるという「選
してのフェスティバルである。サッカーを
Enjoyable(楽しむ)ことを念頭に置いて、
順位を決めず必要以上に『Competitive』
(競
4月18日
7カ国(マカオは途中から参加、DPR
択肢の追求」
、ゲームのみならずトレーニン
グ中でも勝つことへの執着心を持つという
技的)にならないように配慮されていた。
また、同時に各国の監督によるワークショ
KOREAは不参加)の監督が参加してのワー
クショップがAFCのDr.アナ氏のリードで開
「勝負へのこだわり」を大切にする。
そして『一言えば十わかる選手』
、
『自ら
ップ、アジアのC級コーチ講習会コース、
催された。このフェスティバルの主旨と目
プログラムを楽しむ選手』
、
『集団の中で力
レフェリー講習会コースが開催されていた。
的、各国の現状、コーチとしての選手への
働きかけ方、中国U-14の選手を起用しての
を発揮する選手』の育成を目指したいとい
うスタッフの心を伝えた。
・場所
北京近郊(空港からバスで90分)
、国家
指導実践、パソコン研修等が行われた。片
言の英単語、身振り手振り、図を書いて…
4月21日
足球訓練基地(NFTB:ナショナルフット
ボールトレーニングべース)
。天然芝5面、
すべての伝達方法を駆使し、コミュニケー
ションを図っての1日。他国の監督とのワー
トレーニングとミーティング、参加国や
中国についてのグループ発表会。4人または
人工芝1面、3棟の宿泊施設(ジム、プール、
クショップは文化の違い、アジア地域の広
5人のグループで事前に学習してきたそれぞ
大小会議室など完備)
さ、指導者のレベルアップの大切さを再確
認させられた。
れのテーマについて、協力しまとめたもの
を発表、そしてディカッションした。調べ
4月19日
たことをもとに「この2日間のここでの体
験」を踏まえての感想を入れた発表は興味
・AFC U-14フェスティバル(4月21日∼27日)
中国、韓国、朝鮮民主主義人民共和国
(DPR KOREA)
、香港、チャイニーズ・タ
26
選手は、東京駅に集合し、鹿島ハイツに
深く、それぞれの選手たちの「人となり」
JFA
を垣間見ることができた。
エリート プログラム活動報告
分をその理想像に近づけるには「今」「何
GK報告
を」しなければならないのかを具体的に考
4月22日
韓国、マカオ、モンゴルと30分1本のゲ
え話したことは、それぞれの夢の実現に向
けて今後が明確になったと信じたい。
【報告者】望月数馬(ナショナルトレセンコーチ)
1.参加選手
ームを行った。競技規則は22人の選手を2
チームに分け、30分間交代なし、2チーム
4月26日
が交互にゲームに出場するというものであ
った。選手はゲームに均等に出場できる喜
前日同様のルールで香港、韓国とゲームを
行った。永遠のライバル韓国とのゲームは迫
びを感じながらコンセプトを意識し、ゲー
力のある拮抗したゲームとなった。1年前と
ムに打ち込んだ。
3試合目の対戦相手モンゴルの気合いの入
5カ月前の対戦同様に勝利することはできな
かったが、自分たちがやろうとしたサッカー
2.GKテーマ
ったディフェンスを肌で感じることができ
たことは、日本にはない異体験として有意
が実行できた時間帯もあったことは評価でき
る。しかし、拮抗すればするほどそれぞれの
ル・クロス)
②良い準備(観る・ポジショニング・予測)
義であった。
プレーの精度をもっと高めなければならない
③攻撃への参加(ビルドアップ・ダイレク
斉藤康平(清水エスパルスジュニアユース)
1994年4月3日生 181cm/71kg
こともあわせて実感してほしい。
中村航輔(柏レイソルU-15)
1994年2月27日生 162cm/46kg
①積極的なゴールキーピング(DF背後ボー
トプレー)
4月23日
前日同様のルールでDPR KOREA、グア
ム、チャイニーズ・タイペイ、香港とゲー
4月27日
ムを行った。選手たちは「いつでも・どこ
ろされたターミナル1が間違っていたという
でも・誰とでも」のスローガンのもとに、
与えられたポジションで、小雨の降る中、1
ハプニング。3kmほど離れたターミナル3に
荷物を持って移動。10日も滞在すると、予
●積極的なゴールキーピングにおいて、特
にDF背後のボールに対してペナルティー
人1日30分×2本=60分の時間内で、それぞ
れ戦い方や体格差、技術や育った環境の違
期せぬ問題が起こり解決するごとに楽しさ
を感じるように変化した自分に気づき驚く
エリアを飛び出し、スイーパーの役割を
十分に果たしていたこと。
うチームとゲームをする体験を積み重ねた。
ばかり。問題解決には時間的な余裕のある
●良い準備のポジショニングにおいて、ボ
香港の小さいながらもうまい体の使い方
や自分の今ある力でどうゲームに有効に関
行動が不可欠と実感した。
われるかという「すべを持つ」選手たちの
たくましさを感じた。
大会結果
4月24日
午前中はスキルテスト、午後はバスでオ
リンピックスタジアム、デパート見学とい
うプログラムであった。
スキルテストではキック(ゴロ・浮き
球・シュート)
、ドリブル、リフティングの
3.成果
朝5時にバス出発の帰国移動。バスから降
vs
vs
vs
vs
vs
vs
vs
vs
vs
vs
韓国
マカオ
モンゴル
DPR KOREA
グアム
チャイニーズ・タイペイ
香港
中国
香港
韓国
●トレーニング、試合において、積極的な
姿勢で取り組んでいたこと。
ール・DFラインの位置の状況に応じて、
適切なポジションを常にとる意識があっ
0-0
10-0
1 -0
5-0
8-0
3-0
7-0
1-0(1-0、0-0)
10-0(4-0、6-0)
0-2(0-0、0-2)
たこと。
●ビルドアップに参加する意識が高かった
こと。
●試合において、攻撃している時間が多か
ったが、常にリスクマネージメントを心
掛け、未然にピンチを防いでいたこと。
4.課題
●トレーニングでフィールドプレーヤーと
同様にパス&コントロール・ポゼッショ
5つの種目に取り組んだ。選手たちはボール
を意のままに操るというパーフェクトスキ
ルにはまだまだ程遠いということを実感し
おわりに
ンを行ったが、パスの質が低いのと、ボ
ールを受ける前の準備(観ること)がで
た。今後の取り組みに期待したい。スタジ
アム見学ではすぐそこに見えているのに、
この年代の選手たちには、いろいろな体
験を伴う刺激を与えることの大切さをあら
きていないため、ワンタッチパスが良い
のかコントロールしてパスした方が良い
その周りを2時間バスで「たらいまわし」さ
ためて実感した。試合ではもちろんのこと、
のかなどの判断が悪く、簡単にボールを
れる異文化体験も学習した。
各国の選手たちとテラスで腕相撲をし、名
前を呼び合い、写真を取り合うという光景
失うことが多かった。
●シュートに対するプレーの方向が後ろに
4月25日
は、言葉の壁を感じさせない交流となった。
このような体験は、選手たちの、私とは違
なる傾向がある。
●DF背後のボールにおいて、成果にあるよ
中国と30分ハーフのゲームを行った。前
後半で選手は総入れ替えという出場機会均
等の同じルールであった。拮抗したゲーム
い「物怖じしない日本人」への成長に、そ
してこれからもっと進むと思われる「国際
うに積極的にプレーしていたが、判断が
あいまいになり、決断の声が遅れてDFと
となった。選手たちはオフ・ザ・ボールの
化社会を生きる日本人」への成長につなが
うまくコミュニケーションがとれていな
状態で「観ておくこと」
、ボールをタッチす
るぎりぎりまで「観る」ことの大切さを再
ると感じた。また、短期間でも成長・変化
する選手に頼もしさも感じた。次回の招集
い場面もあった。
●ディストリビューション(配球)におい
確認できた。そして人とボールが動く中で
質の高いサッカーを目指す姿が随所に見ら
でさらに成長した選手たちに再会できるこ
とが楽しみでならない。
れた。
て、観ている範囲がまだ狭いため、質の
高い選択肢を持つことができていない。
最後に怪我で遠征に参加できなかった選
ただ単純に前方に蹴ってしまったり、相
午後の空き時間を使って「理想とするサ
ッカー選手」を考えながら、その資質につ
手が出たのは残念であったが、各チームの
活動計画のある中、選手を派遣していただ
手が来ているのにコントロールしてカッ
トされそうになったりなどあった。
いてグループでディスカッションした。自
き心より感謝しています。
●ゴールキックからのビルドアップ。
27
各地のユース育成の取り組み
東北地域、
愛知県の活動から
▼
日本サッカーの強化・発展を目的とし、個
を高めていくことを目標とする「トレセン
活動」とリーグ戦の創出。ナショナルトレ
センをはじめ、全国各地でさまざまな形の
トレセン活動やリーグ戦の取り組みが行わ
れています。
※写真はイメージ훿AGC/JFAnews
われる各県予選にまで調整の必要性が生じることが見えてきた。実
現のためには県FA技術委員会だけではなく、種別委員会やクラブ
東 2008東北地域U-15リーグ みちのくリーグ
北
今号では、東北地域と愛知県の取り組みを
ご紹介します。
連盟、さらに中体連の理解を得て進めることが重要になってくる。
【報告者】立崎 晃
(青森県FAユースダイレクター/みちのくリーグ総事務局)
今年度はインフォメーションの方法にも課題が残り、すべての関係
者が一堂に会して意見交換を持つことができずに進んでしまう結果
となった。
2008東北地域U-15リーグ
「みちのくリーグU-15」について
県内リーグの整備に着手している3種委員長らからは、
「県リーグ
今年度トライアルでスタートした「みちのくリーグU-15」
。現在、
各県で調整、実施している県U-15リーグの頂点を東北地域へ交流の
の整備が先」という意見があったことも事実である。参加チームの
既存の各県内予選の扱いや、東北レベルの既存の大会日程の調整な
場を広げたいという目標で実施に踏み切った。
地域の特性から南3県(福島、宮城、山形)
、北3県(青森、秋田、
ど、多くの障害もあった。これは実施に踏み切った現在でも課題と
して残され、各県での対応と次年度は東北全体の調整課題としてと
岩手)の2リーグ制を導入し、初年度は、各県2チームの参戦によ
らえなければならないという認識を持たせることができた。
り、6チームがホーム&アウェイを戦い、各チーム10試合を確保し
た。クラブチーム10チーム(JFAアカデミー福島含む)
、単独の中
2007年9月に計画の素案ができ、2008年4月にスタートしたこの
リーグも、同年6月21日に2009年度の完全実施に向けての3種委員
学校が2チームという構成での実施になった。
2009年から2010年への入れ替
長を中心とした本格的な会議が実施され、確実に進展を見せてい
えに関しては、図に示した通り、 2008∼2010みちのくリーグ構想図
みちのくリーグ6位のチームが自
動降格し、5位と各県リーグ1位
2008年度
2009年度
2010年度
みちのくリーグ
みちのくリーグ
の計4チームで入れ替えリーグを
行い2チームが昇格することと
し、県枠を設けないこととした。
各県内リーグ整備時に発生す
るさまざまな問題点と同様に、
この東北リーグに関しても問題
点はあった。既存の大会として
リーグ戦化を進めてきた高円宮
杯全日本ユース選手権東北大会
や日本クラブユース選手権の東
北新人大会、またそのために行
28
2チーム推薦
↑
↓
↑
↓
↑
↓
↓
↑
6 県 U-15リーグ
6 県 U-15リーグ
■みちのく6 位自動降格
5 位+ 3 県 1 位の 4 チームで入れ替
えリーグ
上位 2 チームが 2010 年昇格
■高円宮杯東北大会
みちのく参戦 12 チームと各県予選 1
位チームの合計 18 チームによるシード
を生かしたトーナメント
る。この会議では出席者が積極的に意見を交わし、さらに進んだ
2010年までの具体的な方向性が見えてきた。
「本当の東北U-15のト
別の枠を超えて統括するポストを創出した。愛知県ではこのユース
ダイレクターを県内の6地区にも配置して、トレセン活動や指導者
ップリーグをつくりたい」という趣旨のもと、各県リーグとの入れ
養成事業の「質」を高めていこうとしている。
「愛知県版」ユース
替え案や既存の大会とのリンク(具体的な試合方法から日程まで)
のさせ方など、共通で取り組むことが確認された。
ダイレクターには県内の指導者養成のインストラクターが当たるこ
とになり、チーフインストラクターは県選抜および県トレセンを担
今年度は参加チームの負担が大きく、南北に分けた各事務局(モ
当することとした。その他のインストラクターが6地区に割り当て
られて、各地区をカバーすることとした。
ンテディオ山形村山、FCあきた)にも多大な苦労をかける結果と
なったが、このトライアルでの実施が東北全体から6県の県内リー
グの整備に少なからず影響があったと思われる。ここ10年来、東北
県トレセン
トレセンU-14に携ってきたが、近年は各県の指導者の充実や東北マ
ッチデーによるリーグ戦の導入もあって、その変化は一目瞭然であ
3種(中学生)年代の県トレセンは、長い間3種のトレセンとして
活動が続けられてきたが、近年は愛知県FA技術委員会の活動とし
る。自分の県内さらには自分のチームの選手を見ても目的を持った
て位置づけられている。1980年ごろには名古屋地区3種を中核とし
M-T-Mをリーグ戦を通じて継続して実施することにより、確実に効
果を上げていると思う。
て、主に9月以降、平日ナイターで「県トレセン」はスタートして
いた。その中で選手や指導者が確実に育ってきた。しかし、県全域
また、このリーグ戦文化を経験した子どもたちが将来、指導者や
さまざまな形でサッカーの文化・環境に携わることを考えると、現
から選手や指導者が平日ナイターのトレーニングに参加すること
は、時間的に不可能に近いものがあり、休日開催へのニーズも高ま
在の自分たちの取り組みにも光が見えてくるような気がする。リー
グ戦の目的、育成年代に対する大きな効果をさらに活性化させ、東
ってきていた。そこで、2000年ごろから愛知県FA技術委員会主催
で月末の休日を利用した「県トレセン」へと移行してきた。
北の3種年代がスタッフも含めレベルアップしていくことに期待し
ている。
愛 愛知県トレセン
知 【報告者】石原明
県 ((財)愛知県FA3種トレセン委員長)
2008サッカーカンファレンス愛知
1993年、Jリーグがスタートし、愛知県では名古屋グランパスユ
ースが活動を開始した。県内の優秀選手が徐々にJクラブへ集まる
ようになり、県トレセンがJクラブの選手で過半数を占める学年も
出てきた。折しも、JFAは2009年度よりNTC(ナショナルトレーニ
ングセンター)の活動にJクラブを参加させない方針となり、愛知
でも県トレセンにはJクラブは参加せず、中体連や街クラブの選手
で組織することになってきた。
平日ナイターの復活
“愛知県版”第1回サッカーカンファレンスが2008年2月3日、開
2007年度の県トレセンは、月末のトレセンマッチデーを中心に
催された。ユース年代の育成や強化の現状を振り返り、これからの
愛知県のサッカーをつくり上げるためのプレゼンテーションとディ
活動してきた。地区トレセンのリーグ戦をスタートしたために、試
合は増えたものの、トレーニングの回数は減ってしまい、トレーニ
スカッションが行われた。カンファレンスは愛知県FA技術委員会
が主催し、県内の公認指導者83名が参加した。
ングとマッチのバランスが崩れてしまった。そこで、2008年度、月
末のマッチデーとマッチデーの中間にナイターのトレーニングを設
日本のトップ10を当面の目標として設定する。そうすると、2種
定した。
および3種年代の愛知県のサッカーは常にトップ10に名を連ねるど
ころか、ここ30年間で何回トップ10に届いたかを数える方が早い
実は以前からこのアイデアはあったものの、物理的な、あるいは
時間的な問題から躊躇していた。幸いJクラブの練習場を使用でき
状況であることに気づかされる。
登録選手数、登録指導者数ともに決して少なくない本県におい
ることになり、5月、6月と県全域から選手と指導者が参集してトレ
ーニングを実施した。
て、県の代表チームが全国大会で通用していないのである。原因は
いろいろあると思われるが、現状はまさに厳しい。
選手の移動については保護者の協力によるところが大きく、誌面
を借りて労をねぎらいたい。トレーニングについては47FAチーフ
こうした現状を踏まえ、愛知県を変えていく推進力になろうとい
インストラクターから直接アドバイスをもらい、選手を変えるため
う愛知県FA技術委員会の取り組みとしてカンファレンスはスター
トした。
に指導者もまた変わろうとしている姿が見られた。
愛知県のトップの選手たちのプレーが常に日本のトップ10となり
ユースダイレクター
うるために、私たちは今活動を始めたところであり、この活動を継
続し、進化させていくことが選手を変えることになると信じてい
る。
JFAは47FAにユースダイレクターを配し、ユース育成の全体を種
29
ポ
ゼ
ッ
ボシ
ー
ルョ
を
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第12回
︵
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︻
報
告
者
︼
高
田
哲
也
か
す
훿AGC/JFAnews
はじめに
私が湘南ベルマーレユース監督時代に、グラウンドがハーフコー
気よくやり続けて、少しづつではありますが、質も上がり、選手の
トしか使えない中で、毎週継続して行ったトレーニングです。
判断が速くなったと思います。狭いエリアの中でボールを動かしな
ボールコントロール、ドリブル、パスという「技術」が高くなけ
ればクオリティーの高いプレーを求めることはできません。3年間根
がら、オフ・ザ・ボールの動き、判断、サポートの質、ポジショニ
ングを意識しながらの技術を習得させる狙いのトレーニングです。
トレーニング1 3人1組のパス&コントロール
ルール
フリータッチ。3人組で動きながらパッシング。
他のグループをディフェンスと思いながら、
空いているスペースへボールを動かすことを要求。
サポートの質(アングル・タイミング・距離)は
特にこだわる。
〔オプション〕
タッチ数を制限、エリアを拡大
狙い
●観ること・観ておくこと
●ドリブルとパスの使い分け(判断)
●コントロール・パスの質(特にファーストタッチ)
●サポートの質(アングル・タイミング・距離)
●ポジショニング(拡がり)
30
ルール
フリータッチ。必ず青→黄→赤の順番でパッシング。
トレーニング2 9人組のパス&コントロール
全員で1つのボールに関わりながら、良い準備を行う。
できるだけ良いアングルにサポートが入ることを要求。
〔オプション〕
タッチ数を制限、エリアを拡大
狙い
●観ること・観ておくこと
●ドリブルとパスの使い分け(判断)
●コントロール・パスの質(特にファーストタッチ)
●サポートの質(アングル・タイミング・距離)
●ポジショニング(拡がり)
トレーニング1、トレーニング2では、常に動きながら、観ること
を要求し、ボールに寄ること、パスしたら動くことを要求すること
周りが観えてくることによって、状況に応じての動き直しやコミ
ュニケーションをとりながらオーバーやスルーなどのプレーも出て
でオフ・ザ・ボール時の準備が早くなっていき、サポートの質も上
くる。選手同士でやりながらアイデアやイメージの共有もできてく
がり、判断も自ずと速くなる。
る。
トレーニング3 6対3
ルール
奪われた組がディフェンスになり、切り替わる
〔オプション〕
ディフェンスを固定してもよい。タッチ数を制限、エリ
アを拡大
狙い
●観ること・観ておくこと
●ドリブルとパスの使い分け(判断)
●コントロール・パスの質(特にファーストタッチ)
●サポートの質(アングル・タイミング・距離)
●ポジショニング(拡がり)
●切り替え
トレーニング3では全体のバランス、拡がり、ディフェンスを観て、
選択肢を持ってボールを動かすこと。ディフェンスには積極的にボ
ールを奪いに行くことを要求し、プレッシャーの厳しい中でパス・
コントロールの質や判断を速くすること、切り替えが入るので、的
確にバランスの良いポジショニングをとること(サポート)を働き
かけていくことが大切だと思う。
最後に
今回紹介したトレーニングはシンプルですが、その中にサッカー
に必要な要素はたくさん含まれています。ディフェンスが100%でプ
てレベルアップにつながるものと考えます。
あとは選手のレベル、状況、コンディションを観てオーガナイズ
レーし、プレッシャーをかけボールを奪いに行くことが攻守におい
することが重要です。ぜひ皆さんも一度試してみてください。
31
훿AGC/JFAnews
トレーニングの発展
【執筆者】眞藤邦彦
(JFA指導者養成ダイレクター)
パス&コントロール
学習の目的:過ぎ去りし過去の再現ではなく、来るべき未来への準備
今回も非常にシンプルなトレーニングの発展を紹介します。シ
シンプルなトレーニングから、ゲームに生かされていくトレー
ンプルなドリルですが、判断を伴うものであり、自己評価しやす
ニングの発展を紹介します。
い状況での反復なので、適切なコーチングを加えていけば、選手
は集中して取り組むことができます。
これはナショナルトレセンU-14で実施したトレーニングのひと
つです。
今回のトレーニングも、オーガナイズの工夫によって課題を発
展させていくことができます。課題解決のプロセスを反復するこ
パスの出し手はカラーコーンの間を通してマーカーへパスし、
受け手はマーカーでスピードを落とさず、ボールと出合うトレー
とで、より良い解決策を編み出す能力を獲得していくことを目的
ニングです。カラーコーンをギャップに見立て、そこをうまく通
にしているのです。トレーニング1に相当するこのトレーニングを
正確にやりきれば、トレーニング2やゲームにおいて状況に応じた
しながらマーカーへパスするのですが、そのギャップの置き方で、
ファーストタッチをどこにするかが決まってきます。単純な練習
プレーが選択できる力も培われていきます。基本を身につけるこ
とにより、ゲームで起きるあらゆる状況に対応できるようになっ
ですが、自己評価がしやすく、選手も集中してトレーニングでき
ます。もちろん最初はゆっくりでかまいませんが、慣れてくれば、
ていきます。
パスの質、ファーストタッチの精度、動き出しのタイミング、ボ
ベースのトレーニング
ールの移動中に観ることを追求していきましょう。
また、止めてから次のプレーまでを早くすることも求めていき
ましょう。ゲームでよく起こりうる難しいことを、トレーニング
でしっかりと身につけることが大事です。プレーを確保するため
にはボールの数も考えましょう。そうすると、流れが悪くなるこ
ともありますが、パスのタイミングでためをつくるために、ワン
ツーやドリブルで時間をつくる工夫も出てきます(協調) 。
レベルが上がれば、カラーコーンの間を狭くしたり、置く位置
を変えたり、距離を伸ばしてはどうでしょうか。そしてコーチ役
がサインを出したり、DF役になって観るものを増やす中で状況に
応じたプレーを選択させることもできます。観るものが増えると、
プレーの質が落ちることもあります。ここでシンクロコーチング
の活用が重要になってきます。また、逆周りにさせることも忘れ
ず、左右の足が自由に使えるようにしていくことが大切です。選
手は、絶えず判断しながらファーストタッチやパスの精度、動き
出しのタイミングを追求していけるようにしましょう。
パス、ドリブル、コントロールが最良であれば、テクニッ
逆にトレーニングのレベルが高ければ、まずカラーコーンを取
り除き、マーカーへ正確にパスします。マーカーでうまく出合う
クの上では最良のプレーヤーになる。
何かをする前には取り入れる情報がたくさんある。
ことを求めるのです。慣れてくれば、カラーコーンを同じ位置に
置きます。プレーの質が上がればカラーコーンの幅を変えたり、
置き方を変えて、ベースのトレーニングに持っていきましょう。
32
トレーニングの修正
高い
戦術的な要求
目指すべき基準
スピード
プレッシャー
選択肢多く
選手のレベル
技術的な要求
低い
正確に
ゆっくりと
選択肢少なく
持っている技術でサッカーのゲームを経験させる
ーや判断を変えられることにつながるのです。
動き方や方法に慣れてくれば、カラーコーンの置き方もバラエ
ティー豊かなものにし、トレーニングに変化をつけることができ
ます。そして、ドリブルやパスあるいは壁パスと、さまざまなプ
レーを選択できるようにしながら、パスの質、動き出しのタイミ
トレーニングを発展させるには、レベルを上げることばかりを
考えるのではなく、もし難しければ、負荷を下げ、漸進性を持っ
てトレーニングすることが大切なのです。
ング、関わり方等をプレーの反復の中でしっかりと身につけてい
きましょう。
サッカーの基本である①テクニック ②判断 ③コミュニケーショ
ン ④フィットネスの4つの要素を、徐々にレベルを上げていくこ
とができれば、獲得はスムーズにいきます。そうなれば、きっと
続いて、カラーコーンをコースに平行に置いて、壁パスに挑戦
です。外の選手と中の3人の選手が入れ替わりながら、トレーニン
ゲームの中で生かされていくでしょう。
選手に観るものを増やしたり、プレースピードを上げることで
グを成立させていきます。ここでも、パスの精度や壁に入る選手
のタイミングが重要です。中を3人にしているのには狙いがあって、
負荷を上げていきますが、その際にプレーの精度が落ちているこ
4カ所ある中で、どこのカラーコーンで壁パスに入るのかを探しな
がら、外の選手とコミュニケーションをとり、タイミング良く連
携をとって壁パスを成立させていきます。タイミングがずれれば、
他の選手が助けに入ってくるので、リアリティーはますます上が
ってきます。ここで忘れてはならないのが、パスの精度です。右
足、左足のどちらにパスするかも要求していくことでレベルは上
がっていきます。もし中の人とうまく合わなければ、次のマーカ
ーで待機している選手とコミュニケーションをとりながらマーカ
ーへパスします。これは対角線のマーカーや逆側のマーカーかも
しれません。選択肢のあるボールの持ち方が、状況に応じてプレ
とに気づかずトレーニングしていることがあります。ここでトレ
ーニングの発展を紹介しましたが、ひとつの練習ですべてをやろ
うとすることは危険です。単にメニューを消化しているだけでは、
落とし穴にはまってしまいます。もちろん選手が理解しているの
であれば別ですが。
良い習慣化がされると、次への発展を考えていく必要がありま
す。また負荷を上げたときにプレーの質が落ちている場合、シン
クロコーチングで気づかせれば、精度を上げることができます。
意識すればできるようになります。トレーニングオーガナイズを
工夫し、フリーズやシンクロを上手に使って、目の前の選手をう
まくすることが目的であることを忘れないようにしましょう。
トレーニングの発展1
トレーニングの発展2
質と正確性を強調しながら反復する。
しっかりと考えた動きの連続性を求める。
目的は、目の前の選手をうまくすること。
33
훿Jリーグフォト㈱
国内大会視察報告
JFAプレミアカップ2008
supported by NIKE
[報告者]
足達勇輔
(ナショナルトレセンコーチ/JFAプレミアカップ2008テクニカル
スタディグループ)
大会概要
らもベースの獲得を犠牲にしてまで行われる大会や試合は、この年
代には存在してはならない。これをコントロールできるのは、大人
であるわれわれ指導者である。このような観点から大会を考察して
みると、残念ながらポジションを固定して闘うこと、登録選手で試
合に出場しない選手が多くいること、勝つための選手の配置など、
挙げたらキリがないが、これらがまだ今大会のピッチ上にあったこ
この大会は、1993年にヨーロッパでスタートした大会で、1997年
とは否めない。
今回、TSG(テクニカルスタディグループ)では、前育成の年代
からヨーロッパ、アジア、北米、南米、アフリカの各地区代表クラ
ブが世界の頂点を目指して対戦する世界大会へと発展したものであ
である大会として必要なベースを各参加チームがどのようにとらえ
ているかについて分析してみた。
る。日本においては、今年で12回目の開催となり、7月31日より始
まる「マンチェスター・ユナイテッド・プレミアカップ・ワールド
ファイナルズ」への出場権をかけ、各都道府県大会を勝ち上がった
12チームにより争われる大会である。参加チームの地域別内訳は下
表の通り。
大会は12チームを3グループに分けた4チームによるリーグ戦(1
(1)組み立て
●ポジションの距離感
拡がりを意識できるようになったが、あまりに広がりすぎて、ま
たは近すぎて効果的な組み立てができない。また、後方の選手が攻
撃に無関心になってしまう。
次リーグ)を行い、各グループ1位の3チームと各グループ2位チー
ムのうち成績上位1チームの計4チームによる決勝トーナメントを行
攻守にゲームに関わるための中間ポジションの獲得が必要である。
●選手全員がゲームに関わる重要性
い、勝者を決定した。
1994年1月1日以降生まれの選手による大会であり、中学3年生の
ボール保持者にできるだけ多くの、質の高い選択肢をつくるのは、
オフの選手の役割である。1人のボールホルダーに10人の選手が関
北海道 コンサドーレ札幌ユースU-15
JFAアカデミー福島
東 北
レイソルS.S.盛岡
関 東 横浜F・マリノスジュニアユース
北信越 星稜中学校
東 海 静岡学園中学校
ヴィッセル神戸ジュニアユース
関 西 ガンバ大阪ジュニアユース
吹田JFC千里丘
中 国 サンフレッチェ広島ジュニアユース
四 国 徳島ヴォルティスジュニアユース
九 州 アビスパ福岡U-15
早生まれも参加できる大会で
わり続け、選択肢をつくることを植え付ける必要がある。コンサド
あった。優勝した静岡学園中
学校は、早生まれ選手が最も
ーレ札幌ユースU-15とJFAアカデミー福島の2チームは、1次リーグ
で敗退したものの最後までボールを大切に、チーム全体が関わりな
多いチームで、先発に5名の選
手を含んでいた。数年前であ
がら質の高い組み立てをしていた。
●ボールを失う罪悪感の欠如
れば早生まれ選手の活躍の場
は限られていたが、少しずつ
攻め急ぎや不安定なプレーからボールを失うことに罪悪感を持た
ない選手が多い。
早生まれの発掘が定着してき
た証だと考えられる。
大会全般
U-14年代に求められるサッカーとは?
サッカー選手としての基本の徹底
『Footballのできる選手の育成』
(前育成)
この年代は、サッカー選手として完成期に入る前の前育成である。
後に迎える「甘えの許されない世代」に入る前に、この年代まで
に習得しておかなければならない基本がたくさんある。このことか
34
世界に出れば失ったボールは、そう簡単には戻ってこない。相手
のミスでボールが戻ってくる試合展開がほとんどであった。ボール
に関わる選手が「質の高い選択肢」をつくり出すためには、常にボ
ールに関わり続けながらプレーする必要があるが、ボールから遠い
選手、後方の選手があまり関わりを持たないため、結局はゲームの
主導権を握り続けられなくなっていた。
(2)攻守に関わり続ける(スキル+持久力)
日本人の特長を生かすためのベースづくり(Japan's way)
持久性、勤勉性、俊敏性、器用さなどの日本人の特長を生かした
指導者が勝負に固執し過ぎることは慎むべき年代である。
サッカーをする上でのベースをつくる年代である。そのベースをつ
ガンバ大阪ジュニアユース、レイソルS.S.盛岡、JFAアカデミー福
くるためには、トレーニングからの取り組みが不可欠であるが、試
合時間中を通してパフォーマンスを保つことがまだできていなかっ
島は、全選手が出場機会を得ながら大会を闘っていた(全員が20分
以上プレー)
。また、JFAアカデミー福島は、試合ごとに選手のポジ
た。
ションも変えて、経験をさせながら大会を闘っていた。
(3)自らアクションする力(質の高い選択肢)
最初にアクションするものがすべてを決定する
(7)U-14年代の選手に対する指導者の役割とは?
プレーしている自チーム選手、相手選手、相手ベンチ、レフェリ
能動的にスペースを奪いに行く動き出し、スペースをつくり出す
ーは、すべて試合を構成する仲間である。決勝戦でも監督の退席が
動き出しを意図的にしていく必要性がある。そのときには、タイミ
ングが最も重要なファクターになるが、ほとんどの選手がタイミン
あったように、残念ながらいくつかのチームで育成の現場にはふさ
わしくない光景がまだ見受けられた。サイドコーチングで選手の判
グに無頓着であった。
「質の高い選択肢」が不可欠になってきている現代サッカーにあ
断を奪わない。相手選手、レフェリーを尊重する。指導者が育成現
場でのフェアプレーを理解し、率先して行動することを切に願う。
っては、ボールのない選手のサポートの質が問われる。今後、日本
なぜならわれわれの現場は育成であり、選手の将来に触れているの
が世界で闘っていく上でのカギを握るプレーでもある。足元でボー
ルを受けてプレーする時代は、既に終わった。ボールのない選手が
だから…。
タイミングを計って動き出してスペースを有効に使ったり、タイミ
ング良くスペースをつくり出したりといった選択肢がゲームを支配
するために重要である。今大会でも多くの選手が、拡がりのあるポ
ジションをとれるようになってきているが、そこから動き出せない
ために拡がりすぎていたり、容易にマークされてボールを失ったり
といったプレーが多く見受けられた。ボールの移動中に動き出せる
選手、それを見逃さない視野の広い選手の育成が次なる課題である。
JA全農杯チビリンピック
小学生8人制サッカー全国決勝大会2008
[報告者]
中山雅雄(ナショナルトレセンコーチ)
JA全農杯小学生8人制サッカー全国決勝大会が2008年5月4日、5日
の2日間、神奈川・日産フィールド小机と日産スタジアムで行われ
ました。全国9地域から9チームが参加し、そのうち7チームが初出
(4)ボールを奪いに行く力、カバーリング能力
守備の基本であるボールを奪いに行く意識は、多くのチームで実
場でした。3チームを3グループに分けて1次リーグを行い、各グル
ープ1位と2位チームの中から1チームが決勝トーナメントに進み、
践されていた。いくつかのチームは、ボールを奪いに行かずにブロ
ックを形成してから守備を行うことをしていた。能力の高い選手が
決勝戦は日産スタジアムで、同時に開催されている他種目のイベン
ト参加者も観戦する中で行われました。結果は、関東代表の柏イー
そろっていても、ボールを奪いに行く位置が低かったために攻撃に
うまくつながらなかったことが、上位に進出したチームにも見られ
グルスTOR'82が優勝し、次いでSSS札幌サッカースクール、3位は
名古屋グランパスエイトU-12と就将サッカークラブでした。
たのは残念であった。コンサドーレ札幌ユースU-15、ヴィッセル神
戸ジュニアユース、サンフレッチェ広島ジュニアユース、JFAアカ
デミー福島は、常に全員がボールを奪いに行く意識を持ってプレー
浸透してきた8人制サッカー
U-12年代でのゲーム形式として、JFAでは8人制サッカーを推奨し
していた。
逆に攻撃と守備が二分されていたチームは、カウンターを受けや
ています。それは、一人ひとりのボールに触れる回数が多くなるこ
と、ゴール前での攻防が多くなることから、この年代で身につけて
すく、1次リーグで大量失点していた。この原因としては、ボール
おくべき技能の発揮をゲームの中で反復できるからです。また、一
を奪いに行く選手に対してカバーをする選手が確定してこないため
に1対1が連続する守備になってしまっていたことが言える。この年
人でも多くの選手がゲームに出場できるように3ピリオド制を採用
しています。さらに、1人制審判でゲームを行うことでフェアプレ
代は、まずボールを奪いに行く中からカバーリングの感覚を養い、
多くを獲得していく年代である。失ったら、ボールを奪いに行き、
ーの精神を理解し、プレーできる選手の育成を目指しています。
次の選手がカバーをする基本を習慣化していくことが課題である。
したが、多くのチームが8人制サッカーの意義を理解し、大会に臨
(5)審判との協調
審判のゲームコントロールは、すばらしかった。選手の闘う姿勢
を引き出し、ゲームが途切れないようにコントロールしていた。こ
今大会は、9チーム中7チームが全国決勝大会への出場が初めてで
んでいたと感じました。つまり、これは日本の多くのチームがこれ
らを理解し取り組んでいることの証であるととらえています。
目指すべきゲームの質
の年代の選手は、手を使ったファウルが非常に多い。今大会でもヘ
サッカーではボール保持(ポゼッション)を失わずに前に向かっ
ディングの競り合い、1対1の競り合い時など、不必要に手を使って
いる選手が多く見受けられた。そういう意味では、現場の指導者も
てプレーすることが重要です。そのためには、子どものころからそ
のようなサッカーを志向し、トレーニングし、ゲームに臨むことが
審判も世界基準で闘える選手の育成を目指してお互い取り組んでい
く必要性を感じた。
大切です。もちろん簡単なことではありません。多くの失敗やミス
を犯すことになると思います。しかし、
「大きく蹴って、こぼれを拾
(6)選手の出場時間
え」といったゲームをやっていてはいつまでたっても、必要な技能
は獲得できません。
登録18名の選手が3日間の大会を通してできるだけ全員均等に出
センターディフェンスが絡みながら攻撃を組み立てることができ
場し、ポジションも固定されずに出場することが望まれるが、全選
手の出場時間からも、いくつかのチームを除いて勝ちに固執し過ぎ
ているチームがありました。GKも積極的に攻撃に絡もうとしていま
した。特にGKを専門としていない選手が、GKとしてプレーしたと
る傾向が見て取れる。繰り返しになるが、この年代は前育成であり
きには非常に効果的に攻撃参加していました。8人制サッカーの特
35
長の一つは、自分たちのゴール前から数本のパスをしっかりとつな
サイドコーチングはするべきではありません。ただしこれはノー
ぐことができれば、相手のゴール前にボールを運べることです。ま
た、ボールを持たない選手がしっかりとサポートしながらゲームに
コーチングを意味するものではありません。練習してきたことをゲ
ームでうまく発揮させるための働きかけ、コーチングは必要です。
関わることによって、効果的なドリブルがなされ、突破し、相手ゴ
また、選手の戦う気持ちを高めたり、勇気づけたりすることも必要
ール前に攻め込むこともできます。ディフェンスの選手がシュート
する場面も多く見ることができました。グランパスエイトは全員が
だと思います。選手とともに戦い、喜び、悔しがる。そして常に冷
静に子どもを見守ることができる指導者がこの年代では必要です。
5年生でしたが、一人ひとりの技術がしっかりしており、その技術
をベースに、全員がプレーに絡みながらゲームを展開していました。
そのような指導者が今大会では多かったのではないかと思います。
体力が技術を凌駕してしまうことが多い年代ではありますが、体力
GKのプレーについて
差でゲームの勝ち負けを競うのではなく、技能を中心としたゲーム
で勝負することが大切ではないでしょうか。この年代のゲームでも
すでに述べましたが、GKを固定せずにフィールドプレーヤー
(FP)がGKを行うチームが増えてきています。そのことによって、
やみくもにボールを蹴ったら損をするケースが多くなってきていま
す。
GKもFPの1人としてゲームへ関われていたり守備範囲が広かったり
と、ポジティブな面が多く出てきています。その一方で、ゴールキ
指導者の働きかけ
1人制審判のゲームに選手も指導者も随分慣れてきたと感じまし
ックやGKからの配球で前線へ大きく蹴ってボールを簡単に失うチー
ムがまだ多くあります。 U-12年代で必要とされるGKの基本技術を
さらに徹底させていく必要があると感じられました。
た。選手は審判の判定にクレームをつけることなく、すぐに次の準
備をしていました。さらに、足がかかって倒されてもすぐに起き上
女子選手の活躍
がってプレーを続けるといった場面を多く見ることができました。
また、ベンチ前での微妙なオフサイドの判定に対しても、指導者が
今大会では1名の女子選手が含まれていました。男子の選手たち
と全く変わらないパフォーマンスを発揮していました。この年代で
冷静に対応していました。このような態度は今後も多くの大会で当
は、能力の高い女子選手は男子選手と一緒にプレーする機会を持つ
たり前の光景となることを期待しています。
対戦相手によって守備的なスタイルをとることによって、自分た
ことが大切だと思います。
ちの持っている良さを出せなかったケースが散見されました。相手
チームの方が自チームよりも劣ると判断した指導者が、何らかの意
子どもが主役の大会
大会は選手を育てるために重要な役割を担っています。その大会
図を持って行ったことであると思われますが、この年代では、対戦
をどのように運営していくかは大人の問題です。指導者、審判、運
相手によって何をするかではなく、いろいろな状況の中で、今持っ
ている力を最大限にゲームの中で発揮することに挑戦することが大
営、保護者がベクトルを合わせ、選手育成にふさわしい大会を実施
していくことが大切であると考えています。その方向にこの大会は
切ではないかと考えています。
向かっていると思います。
チビリンピック優勝チーム
柏イーグルスTOR'82 代表 野寄順三氏インタビュー
Q:チビリンピックでの8人制の大会についての感想を聞かせてく
ださい。
野寄:8人制の少人数なのでボールタッチの回数が多く、ゲームの
聞き手:布啓一郎
な意見はなかったですね。
コーチの立場で考えると、11人制よりも8人制では、さぼること
中で個人の技術を発揮する機会が多く、大変良かったと思いまし
ができないですね。それはどういうことかというと、FWも守備を
しなければならないし、DFも攻撃ができますね。11人制だとDFが
た。技術を上達させるために重要であり、少年の大会は8人制のよ
うな少人数の大会が多くあるべきだと感じています。
攻撃参加してシュートをうつ場面はほとんどありません。しかし8
人制ではDFがボールを奪ってシュートに絡むことができます。こ
また、チビリンピックの競技規則がすばらしいと思いました。具
体的には3ピリオド制が良かったですね。1ピリオドと2ピリオドで
れは攻守に関わることであり、選手全員が体だけでなく、頭を使
ってサッカーを行うことにつながります。11人制だとゴールが遠
選手を全員交代させて、3ピリオド目はベストメンバーで戦えるこ
いので、ボールをまずは相手陣内に入れようという、前に急ぐサ
とで、選手を多く出場させることができます。前後半戦のゲームだ
と交代選手が少なくなってしまう傾向があります。そしてチームの
ッカーになりがちです。
Q:その他、この年代にどのようなことが必要だと思いますか。
エースプレーヤーは勝つために常に出場して過負荷になり、逆に全
く出場しない選手が出てしまうなど、ゲーム出場時間に差ができて
野寄:プライベートですが千葉県ではU-11でゴールデンエイジリ
ーグを8対8で行っています。最初は11対11で始めたのですが、途
しまうのが現実です。また、ベンチでも相手チームの闘い方などを
中から8対8に変更しました。最初は私を含めて8人制の考えはなか
考えながら、選手の起用方法など作戦を立てるおもしろさがありま
した。決勝戦では相手がどのピリオドでエースプレーヤーを出して
ったのですが、8対8のリーグをやってみてすごく好評でした。そ
れはボールに多く触れて技術面の上達ができることに加えて、リ
くるのかを考えながら選手を選んでいきました、多少予想と違う展
開もありましたが、自分たちの狙った闘い方ができて良い結果を得
ーグ戦であるので毎回チャレンジできるということですね。もう
一つ、同じ力量のチーム同士で対戦していくことが重要だと思い
られ、コーチも十分楽しむことができたと思います。
ます。選手は考えながらプレーしなければ上達しません。そのた
Q:11人制と8人制の違いはあったでしょうか。
野寄:子どもたちは単純に全員出られて良かったと言っていまし
めには実力が拮抗していることで緊張感のあるゲームになり、体
と頭の両方を使う状況が増えると思います。ぜひそのようなゲー
た。子どもの中から11人制でなければおもしろくないというよう
ムを増やしていってもらいたいと思います。
36
MY GAME IS FAIR PLAY
フェアプレーコンテストの実施
【報告者】
布
(JFA技術委員会副委員長)
【報告者】
布 啓一郎
啓一郎
(JFA技術委員会副委員長)
1.日本代表(1種)と4種年代のフェアプレー
コンテストを実施
ゴールデンウイークの5月5日に行われた4種年代の8対8の大会「チ
ール代表、パラグアイ代表)もすばらしいチームで、激しいプレー
の中に、多くのポジティブなプレーが見られた。その結果として、少
年大会と比較するとポジティブプレーの差よりもイエローカードに
よる差が、相対的に多く反映された結果となった。
ビリンピック」と、5月下旬の日本代表強化試合「キリンカップサッ
ここで感じたのは、警告に関しては、審判個人あるいは、ゲーム
カー2008」の2大会でフェアプレーコンテストを実施した。
カテゴリーによる違いの検証も兼ねて、少年と大人の両大会での
の流れによって微妙に左右されるということである。ゲームの終盤
に激しさを増し、荒れかけてきたときにはやや早めにイエローカー
実施となった。チビリンピックではJFAの技術委員とトレセンコーチ
が複数名で行い、キリンカップサッカーではJFA技術委員1名と主管
ドが出されていた印象の試合もあった。だが、イエローカードもポ
ジティブプレーもある程度主観が入るのは当然だと思われる。その
協会から1名の計2名で行った。
主観の中で判断していることであれば、主観の基準が1つではなく、
(1)チビリンピック
多面的な角度から判断することで、そもそもは主観的なものである
「フェアプレー」という概念により客観性を持たせた判断が可能にな
少年の大会なので、判定に対してのクレームやプレー時間を遅ら
せるなど、いわゆる「ずるい」プレーは少なく、ベンチの姿勢や相
ると思われた。
手への敬意に関してはほとんど差のない結果となった。また、倒れ
2.ポジティブおよび複数指標による
フェアプレーコンテストの必要性
てもすぐに起きてプレーする、審判にファウルを要求しないなど、ポ
ジティブなプレーが多く、ポジティブプレーの項目には高得点がつ
いた。そしてこの項目が最終的にフェアプレー賞の結果を左右した。
チビリンピックでは各ゲームを3人で見て各自が採点してから合わ
今回のフェアプレーコンテストの導入により、機械的な警告・退
場の数によりフェアプレーを判断するのではなく、カードでは判断
せたゲームと、8名が各自で採点し提出したゲームを試みたが、いず
れの場合も大きな違いはなく、同じ結果と言えた(SD=0.99)
。また、
できない「フェアプレーの精神」を評価し、フェアプレー賞を決定
することが重要であると思われた。
決勝戦の前に準決勝までの得点は伏せて、各自の主観でフェアプレ
「タフでたくましい選手」を育成するために、ベンチのコーチや
ー賞の1位から3位までを提出した場合、トップとトップ2で100%、ト
ップ3で約75%が一致していた。このことは観る人によっての違いは
応援者の姿勢などがどうあるべきなのか、そして選手は笛が鳴るま
でプレーを続ける基本的な姿勢を持つことなど、フットボールの原
少なく、イエロー・レッドカードの少ない少年大会においては、ポ
ジティブなプレーこそがフェアプレー賞の重要な要因になると言え
点がこのフェアプレーコンテストに含まれていると思われる。
また、このコンテストのために特別な人的配置をすることは必要
た。そして少年における「タフでたくましい選手」を育成するため
ではない。今回、テクニカルスタディグループ(TSG)とフェアプ
のモデルとなるチームを、フェアプレー賞でクローズアップできる
と思われた。
レーコンテストの両方を行うことは十分可能であった。運営的に手
間が掛かるからではなく、技術委員・審判インストラクター・会場
(2)キリンカップサッカー2008
キリンカップサッカー2008に参加した海外2チーム(コートジボワ
係等を兼務してでも行えることである。望ましいゲームの価値観を
広めサッカー文化を醸成させるためにも、フェアプレーの精神に沿
ったこのコンテストが広がることが必要ではないかと思われた。
37
UEFA
カンファレンスレポート
17th UEFA Course for Coach Educators
2008年4月7日∼11日/ポルトガル・リスボン
〔報告者〕小野 剛(JFA技術委員長)
1.コース概要
UEFAの試みようとしているクラブライセ
ンス制度、そしてスペシャルユースライセ
すでに世界をリードしているUEFAが、
さらなる発展のための施策をどんどん打ち
指導者養成ダイレクター、インストラク
ンスに関しても最新の情報提供を行い、グ
出していく現状を見るにつけ、われわれも
ター(あるいはテクニカルダイレクター)
のためのカンファレンスで、UEFA
(ヨーロ
ループディスカッションの材料としてい
た。
危機感と相当な覚悟でチャレンジしていく
必要性をあらためて感じた。
ッパサッカー連盟)
としての情報共有、互
いの情報交換などによって、コーチの資質
向上、ひいてはヨーロッパ全体のサッカー
の発展を目指したものである。
すでに17回目を数えていることからも、
(2)UEFAスタディグループスキーム
Per Ravn OMDAL
(ノルウェーサッカー協会名誉会長)
オムダル氏はUEFA理事会メンバーの中
(3)コーチをコーチする
指導者養成担当者の実際ということで、
Paulo Sousa(ポルトガル)のコーチング
UEFAとして指導者養成を非常に重視して
いることが分かる。UEFA以外では、チリ
でも最もテクニカルに近く、理解を示して
くれている存在である。今回はそのオムダ
セ ッ シ ョ ン を Andy Roxburghと Erich
Rutemoeller(ドイツ)が指導するシーン
および日本から1名ずつゲストとして招待
ル氏が力を入れて進めているフットボール
を、ビデオと本人のコメントを交えて振り
され、有意義な時間を共有することができ
た。
デベロップメントスタディスキームについ
て説明をした。
返るという試み。
コーチングのポジションや、何を観てい
コースの内容は、講義、実技に加えグル
ープディスカッションで構成されている。
これはサッカーの発展のため、相互交流
を推し進めるための制度で、UEFA、ホス
て、どのようにコーチングしているかなど
を指摘しながら進んでいく。
ト協会、ビジター協会による“マジック・
トライアングル”で成り立っている。ビジ
かつてのスーパースターが、コーチとし
ては「スタートしたばかり」
(UEFA プロ
ター側は5∼11名のスタディグループを組
ライセンスは持っているが)という謙虚な
織、4日間の日程で訪問先への計画を立て
る。ホスト側はその受け入れ体制を確保し、
姿勢で指導を受けていたのが印象的だっ
た。
2.レクチャーより
(1)指導者養成担当者の役割
Andy Roxburgh(UEFA技術委員長)
基調講演の形で講義はスタート。
指導者養成担当者の役割とその重要性、
視察、レクチャー、ディスカッション等の
要望に応える。それぞれの協会はそのレポ
(4)指導者養成フォーラム
そして担当者自身が向上していくためのキ
ートをUEFAに提出し、UEFAはそれに関
ーポイント等を、豊富な映像や壇上での実
演を交えながらプレゼンテーションを行っ
わる費用を規定の範囲内(1グループ1ト
リップにつき1,000ユーロ)で補助すると
Felipe Scolari(前ポルトガル代表監督)
、
Trevor Brooking(イングランドFAテクニ
た。このコースの流れをしっかりとつかむ。
締めくくりは、コーチングトレンドとい
いったものであり、相互訪問による交流の
中で互いに刺激し合い、サッカーの発展を
カルダイレクター)、Lars Lagerback(ス
ウェーデン代表監督)
、Packie Bonner(ア
うことで、指導者ライセンス制度の動向、
促していくのを狙いとしている。
イルランド:UEFA JIRA Panel)の各氏を招
38
3.実技セッション
なもの!」とその重要性の認識をあらため
て皆で共有した。
プラクティカルセッションは、歴史と趣
のあるナショナルスタジアムに移動して、
U-19ポルトガル代表チームおよびスポル
ディング・リスボンの選手を指導する形で
行われた。
5.ホスピタリティ
初日は場所を変えてUEFA主催によるデ
ィナー。中日にはセッション終了後、バス
による約2時間のリスボンツアーが組まれ、
(1)中央からの攻撃
ドイツコーチングスクール・
和やかな雰囲気を生み出していた。また、
最終日はクロージングセレモニー後、スタ
Erich Rutemoeller
(2)ポルトガルのやり方
ジアムに移動。スタジアムVIPルームでポ
ルトガルFA主催のディナーが催され、ポ
Agostinho Olivaeila
き、Andy氏の進行によるフォーラム。
ルトガルFAのGilbert Madail会長はもちろ
「若手の育成のため、まずはグッドコー
(3)ルーマニアコーチングスクール
Mircea Radulescu
んのこと、ポルトガルスポーツ大臣も出席
した。ディナー後はスポルティング・リス
チの養成を」重視しているといったイング
ランドの話から始まり、スウェーデンにお
(4)テクニカルスキルトレーニング
Jorge Castelo
ボン対グラスゴーのUEFAカップを観戦、
協会をあげてのすばらしいホスピタリティ
けるFAとリーグとの関係構築の話。さら
には、土曜まで選手だった者が日曜にはコ
(5)オーストリアコーチングスクール
を見せてくれた。
ーチとして大手を振っているといったブラ
ジルでの問題点を嘆きながら、逆に指導者
ライセンス制度に熱心なパラグアイの話を
披露したりと、話題は多岐に渡ったが、そ
れぞれ第一線で活躍している面々の話は実
に興味深かった。
(5)各国の指導者養成の取り組み
コーチングに関するトピックをいくつか
取り上げプレゼンテーションを行うコーナ
ー。
Nico Romeijn氏はオランダFAで試みてい
る指導者養成における評価法「アセスメン
トコンセプト: オランダFA」を報告した。
また、Peter Rudbaek氏は、デンマーク
FAにおけるリフレッシュ講習会の試み
Paul Gludovatz
6.所感
4.グループディスカッション
(フィードバック)
指導者養成担当者の役割」というテーマ
の基、以下の4つのトピックについてグル
ある。ここに来ると「足踏みは、すなわち
ープディスカッションを行い、互いに困っ
ていることやそれに関する解決の試み等を
後退を意味する」ということをあらためて
痛感させられる。その一方で、われわれの
情報交換した。
(1)あなたの国で直面している主要な問題
考えている以上に、日本のサッカーは大き
な関心を持たれていることも再認識した。
は何か?
および帰国後メール等で多く寄せられた。
絶えずこのような機会にアクセスできる
どの程度必要だと思うか?
(4)自国の指導者養成プログラムにどのよ
環境を維持していくことの必要性を深く感
じ、また、この機会を与えてもらった
うな改革を行ってきたか?
フィードバックでは、さまざ
告した。
最後は筆者(小野)が「ジャパニーズア
まな意見とともに「代表チーム
が成功しているときは認識もさ
プローチ」と題し、「JFA2005年宣言」実
現のためのさまざまな試みを報告した。予
れず、悪くなると指導者養成が
UEFA、そしてJFAに感謝したい。
非 難 さ れ る 」( S u c c e s s f u l
National Team - No Recognition,
方やテクニカルハウスのこと、公認A級コ
Unsuccessful National Team Criticism of Coach Education)
ーチU-12ライセンスの試みなどは、講義
終了後においても度々問い合わせがあっ
と、指導者養成の仕事の切なさ
が出てきたが、それ故
た。
相互交流を進めていきたいという話は現地
(2)困難をどのように克服してきたか?
(3)専門的な分野へのトレーニングは、
「リフレッシャーコースコンセプト」を報
想以上に反響が大きく、特に指導者養成、
ユース育成、代表チームを統合させる考え
いつもながらに強い印象を受けるのは、
これだけ世界をリードしていきながら、さ
らなる進歩を追求し続けるUEFAの姿勢で
「名声も金もない、しかし重要
39
公認キッズリーダー
インストラクター
養成研修会
【報告者】山出久男
(JFA技術委員会委員)
2008JFA公認キッズリーダーインストラクター養成研修会は、各都道府県FA、Jクラブの推薦を受けた80名
にナショナルトレセンコーチ9名が参加し、5月16日∼18日、Jステップ(静岡県)
で開催されました。
「キッズリ
ーダーインストラクター」は、各都道府県FAで「キッズリーダー」を養成するだけでなく、中心となって、キッズ
プロジェクトを推進していく重要な役割を有しています。
まずキッズプロジェクトの「コンセプ
「クラッキ」はこどもたちの「動きづ
の団体にチャレンジステーションとなっ
ト」を確認していただいた上で、グラウ
くり・ボールフィーリング」に視点を当
ていただき、多くのこどもたちがチャレ
ンドへ出てアイスブレイク。
「アイスブレ
イク」は、さまざまなゲームを通じて受
て、2006年にスタートしました。こども
とおとなのコミュニケーションツールと
ンジしてくれています(詳細は、P44-45およ
講者の緊張をほぐし、コミュニケーショ
ンを深めていくのに有効であり、各講習
しても有効で、サッカーの現場のみなら
ず、教育現場、他競技団体、各家庭で広
challengegame.com/をご参照ください)
。
会での冒頭に導入されることをお勧めし
く取り上げていただきたいと考えていま
陣による「こども像」、「キッズのサッカ
ます。続いて、JFAチャレンジゲーム「ク
ラッキ」
「ファンタジスタ」を各地で積極
す。また、2007年には、さらにボールフ
ィーリング、テクニックにフォーカスし
ーとは…」、「こどもたちへの接し方」と
キッズ(U-6、U-8、U-10)に関わる3講義。
的に展開していただくために、受講者の
皆さんで体験していただきました。
た「ファンタジスタ」もスタートし、既
に日本全国に広がりつつあります。多く
加えて、三森ゆりか先生の「論理的思考
を育むことの重要性」により、こどもた
40
びJFAチャレンジゲーム公式サイト http://www.jfa-
講習会では、ワーキンググループ講師
ちが自分の考えを持ち、論理的に表現し、
発に出され、また、アセスメントを提出し
きます。しかしながら、「知識」として理
伝えていくことの重要性についての講義を
ていただく中で、以下のような成果と課題
解していることをインストラクターとして
受けるという3日間で10時間の講義が実施
されました。
が出てきました。
受講者へ「伝える」には、経験も必要です。
それだけにキッズの年代のこどもたちの実
また、グラウンドレベルでは、好天の中、
「動きづくり」、「おにごっこ」、「ボールフ
成果・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
態を十分に熟知し、こどもたちへの指導経
験も積んでおく必要があります。講義によ
ィーリング」、「ゲーム」という4領域を、
●研修を通じてキッズへの取り組みへのベ
りコンセプトを伝えていくこと、実技によ
U-6、U-8、U-10の発展性を加味しての4.5
時間の実技が実施されました。長時間の実
クトル合わせができたこと。
●講義を通じて、コンセプトの確認ができ
りポイントを押さえていくことも大切です
が、自らの経験、知識により、受講者への
技ではありましたが、童心に戻って楽しん
で身体を動かしておられる参加者の皆さん
たこと。
●実技を体験していただくことにより、
的確なアドバイスをしていくことも重要だ
と考えられるからです。今回の養成講習会
の「笑顔」に、楽しそうに遊ぶこどもたち
「からだを動かすことの楽しさ」を実感
を終え、全国で500名近くのキッズリーダ
の姿を思い浮かべてしまいました。「おと
な」が楽しまなければ、「こども」には楽
していただいたこと。
●指導実践を通じて、伝えていくことの大
ーインストラクターが活動されることにな
ります。受講後のキッズリーダーへのアド
しさが伝わらない、と今年も実感しました。
最終日には、実際に各都道府県でキッズ
切さと難しさを感じていただいたこと。
バイザー、各都道府県FAでのキッズへの
取り組みのアドバイザーとしての積極的な
リーダーを養成されるにあたってのシミュ
レーションという趣旨での指導実践を実施
課題・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
活躍を期待しています。
さて、今年も各都道府県で多くの公認キ
しました。ここでは、受講者の皆さんが日
●「キッズリーダーインストラクター」の
ごろそれぞれの現場で行われているオリジ
ナルメニューをもとに各グループで実施さ
役割と重要なミッションを担っているこ
との認識を深めていただくこと。
U-10のそれぞれのカテゴリーで開催され
ていきます。今年は受講資格が16歳以上
れました(このメニューは、随時、本誌
「キッズドリル」で紹介します)
。
●「キッズリーダー」コース開催時の実技
において、インストラクターとして、コ
(高校生年代)ということになります。今
までもいろいろな場面でサポートしてくれ
こどもたちに楽しく動いてもらうための
ーチングデモンストレーションとポイン
ていた多くの高校生年代の皆さんにもキッ
アイデアが豊富に盛り込まれた実践内容
は、たいへん有意義なものでした。実践後
ト説明のメリハリをつけ、バランスをと
っていくこと。
ズリーダーとなっていただき、さらに力添
えしていただければと考えています。
●講義、実技で、キッズの各年代U-6、U8、U-10について、こどもたちの実態に
日本サッカーの土台をさらに広げ、しっ
かりしたものにしていくためにも、スポー
実践者の皆さんが難しさとして感じられて
基づいたアドバイスができるようにこど
ツおよびサッカーへの理解者・サポーター
いたのは、受講者の皆さんに実技を楽しん
でいただく中で、いかにこどもたちへの関
もたちの実態把握、理解をもっともっと
進めておくこと。
層を広げていくためにも、
「DREAM」を実
現させていくためにも、たくさんの方がキ
わり方の大切さ・ポイントを伝えていくか
ということでした。日ごろ多くのこどもた
養成事業5年目を迎え、今回の受講者の
ッズリーダー養成講習会に参加していただ
きたいと考えています。他のカテゴリーの
ちに遊びの楽しさを伝えていく経験はお持
皆さんは、プロジェクトの主旨をよく理解
有資格者の皆さんもキッズリーダー養成講
ちの方でも「対おとな」という視点でレク
チャー、プレゼンテーションしていく経験
していただいておられる方が多く、キッズ
への取り組みに対しての熱心さがひしひし
習会に参加し、こどもたちの「スタート」
の部分に触れ、楽しくからだを動かしてみ
を積んでいくことが必要ということでしょ
う。
と伝わってきました。
「キッズリーダーインストラクター」は、
ませんか!
には、真剣なディスカッションが行われ、
密度の濃い研修となりました。この中で、
最終日の総括では、研修を終了された受
講者の方々からさまざまな質問、意見が活
「キッズリーダー」U-6、U-8、U-10養成コ
ースをスクールマスターとして運営してい
ッズリーダー養成講習会が、U-6、U-8、
「私たちおとなは、こどもたちによろこ
びと夢をあたえる責任があります!」
41
海外で活躍する指導者⑦
、
連載 「海外で活躍する指導者」
7回目の今回はシンガポールで活躍する
企画 影山雅永氏からの報告です。
●プロフィール
影山 雅永(かげやま・まさなが)
福島県いわき市出身。1967年5月23日生まれ。筑波大学卒業後、当時の
JSL
(日本サッカーリーグ)
、古河電気工業を経てJEFユナイテッド市原
(現ジ
ェフ千葉)
、浦和レッズ、
ブランメル仙台
(現ベガルタ仙台)
でプロサッカー選
手生活を過ごす。その後、日本代表テクニカルスタッフ、筑波大学大学院体
育研究科修了、
ドイツ留学を経て、サンフレッチェ広島トップチームコーチ。
2006年からマカオ代表監督
(U-18監督兼任)
兼テクニカルダイレクター。2008
年、指導の場をシンガポールに移し、U-16代表を率いて10月にウズベキス
タンで行われるAFC U-16選手権
(FIFA U-17ワールドカップ アジア最終
予選)
に向けてチームの強化を行っている。公認A級コーチ。AFCプロフェ
ッショナルディプロマライセンス。
훿AGC/JFAnews
影山雅永氏。2006年から2年間、マカオ代表監督を務め、その後、シンガポールに活躍の場を移す
ガポール国民をまとめるのには、このような厳しい罰金や法律、規
則で縛ることが必要だったのでしょう。細かなオーガナイズ、さま
●派遣国・地域の紹介
シンガポール共和国。マレー半島南端のマレーシアに隣接し、シンガポー
ル本島と63の島からなる。気候は、赤道に近いため、1年を通して雨が多い。
比較的気温の変動が小さく、多湿(日中の平均気温は26.8度)
。面積は699
平方キロメートル(東京23区とほぼ同じ)で、人口は約448万人。中華系
(75.2%)
、マレー系(13.6%)
、インド系(8.8%)
、その他(2.4%)の民族
が暮らし、英語、中国語、マレー語(国語)
、タミール語が公用語として用
いられている(以上、在京シンガポール大使館、外務省ホームページより)
。
FIFAランキングは127位(2008年7月現在)
。
ざまな制約、これらを含めて人々は「Fine」と呼んでいるようです。
サッカーにおいても指導者養成、ユース育成など、積極的に取り
組んでいる国の一つで、代表チームは2010 FIFAワールドカップ
アジア予選において、3次予選まで進出する快挙を見せました。
U-16代表チーム
マレーシア
私の働いているシンガポールサッカー協会は、総勢40名ほど。そ
れぞれの部署でシステマチックに仕事が行われているのはシンガポ
ールらしいところでしょう。その中にアカデミーと呼ばれるユース
育成の部署、NFA(National Football Academy)があり、U-15か
らU-18までの代表チームを持っています。その中のU-16代表が、私
シンガポール
が指導しているチームで、昨年のAFC U-16選手権1次予選を勝ち
抜き、今年のAFC U-16選手権本大会(ウズベキスタン/FIFA U-
インドネシア
17ワールドカップ アジア最終予選)に参加するチームです。彼ら
の多くは国立のシンガポールスポーツスクールに通っており、そこ
で寝食を共にしています。他の選手たちは他の公立学校からの選手
たちで、25名のうち、マレー系が70%、残りの30%が中国系とイ
ンド系です。選手リストの中に生年月日やパスポートナンバーとと
紹介
もに、Race(人種)の欄があるのもシンガポールならではでしょ
う。毎日一つのチームとしてトレーニングを行っており、国内のU-
Fine Country…シンガポールを表現するときによく用いられる言葉
です。Fine…「すばらしい」
、
「きれいな」というのが元々の意味で
18リーグにもこのチームで参加しています。シンガポールの選手た
ちの特徴は、最低限のスキルを持っている。フィジカルレベルも悪
すが、もう一つの意味は、Fine…「罰金」です。
くはない。そして何よりも規律がある、といったところでしょう
か。
訪れたことのある人ならばなんとなく想像がつくでしょうが、き
れいな国を維持するために、シンガポールではさまざまな罰金によ
って人々を管理しているのです。さまざまな人種、中国系、マレー
マカオで仕事をしていた当時、AFC U-19/U-16選手権において
シンガポールのU-18、U-15と同じグループだったということもあ
系、インド系、そして各外国から移住してきた人々。これらのシン
り、彼らに対するある程度のイメージを持つことができました。そ
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してシンガポール赴任当時、試合や練習を見ることに徹していた私
は、このままのプレースタイルではアジアで競争することはできな
っては優れた頭脳を生み出すことこそが唯一の道であるということ
でした。
い、10月までには十分な時間がある、などの理由から、根本的なコ
ンセプトを変えるべく、プログラムを組みました。当初は怪我人の
続出、筋力トレーニング開始によるコンディションの低下、プレー
16歳の私の選手たちは、Secondary Schoolの最終学年。彼らは
10月にO-Level、N-levelと呼ばれる国家試験を受験しなければなら
スタイルへの不適応などが重なり、パフォーマンス、結果がついて
こないことから、選手が私への信頼を失い、不穏な空気の中でのト
ないのです。この試験を放棄すると次のチャンスは来年…。現在、
教育委員会、各学校と折衝を続けていますが10月にはどんな答えが
レーニングが続きましたが、ここに来てようやくそれらしいサッカ
ーになってきています。今だから言えますが、当時は自分の信念を
出ているのでしょう…。
貫くか、選手たちの意見になびくのか、どこでバランスを取り、信
さらにはAFC U-16選手権の前月、9月はムスリムのラマダンの
頼を回復するかで相当悩んだことを思い出します。シンガポールの
子たちは、自分の意見、感情をストレートに表現することが日本の
時期。わがチームの大多数を占めるマレーの選手は、1カ月間、太
陽が出ている間は水さえも口にすることを許されません。せっかく
子たちよりも強いようです。
つくり上げたコンディションもこれでは大きな打撃を受けてしまい
ます。栄養面からのサポート、そして海外キャンプなどを含めて対
さまざまな困難
策を練っているところです。
国内では日本のアルビレックス新潟も参加しているプロリーグ
AFC U-16選手権では、ホスト国のウズベキスタン、イラン、バ
「Sリーグ」を筆頭に、U-18、U-16、そして学校対抗のリーグなど
が整備されています。しかし、U-12レベルでの指導体制が整ってい
ーレーンという強国と一緒のグループになったわれわれU-16シンガ
ポール代表チーム。彼らの長所を生かすべくチームづくりを行って
ないため、基本的なスキルを身につけないまま育ってきている子が
いますが、チームづくり以前に、ピッチ以外の部分の理解が他の国
ほとんどです。その結果、そのような基礎を抜きにした、結果だけ
を求めるサッカーに終始している感が否めません。
での指導においては非常に重要となります。すべてに納得はせず、
改善のために努力する。しかし押し過ぎるとすべてを失う可能性が
具体的には、
「観る」
、
「判断する」
、そして「必要な技術を発揮す
あるので情勢を理解しつつ話し合う。このオフ・ザ・ボールにおけ
る1対1のような駆け引きは、マカオでの経験により分かっていたは
る」というプロセスができない子がほとんどなのです。そのような
欠落している部分をU-16代表チームのトレーニングの中で補いなが
ずでしたが、所違えば諸問題も変わる。ここはFine-Country、シン
ガポールなのでした。
ら、チームとしての指導を行わざるを得
ない中で、日本で行われている普及、育
成全体のピラミッドの中で次のレベルに
選手を送っていくというシステムの重要
性、特にゴールデンエイジにおけるスキ
ルの習得がいかに後にとって大事なのか
を痛感しています。
そのような選手たちを率いて、現在ト
レーニングに励み、最高の状態でウズベ
キスタンに乗り込みたいところですが、
問題は山積です。能力のある子を代表選
手として選ぶことができない可能性が高
いからです。いまや、シンガポールはア
ジア、そして世界においても先進国の一
つですが、歴史の中において彼らが導き
出した解答は、小国のシンガポールにと
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ざ
め
せ
ファンタジスタ!
検定実施レポート
훿Jリーグフォト㈱
個人練習を促し、基本技術を向上させることを主目的に、2007年
10月より「JFAチャレンジゲーム めざせファンタジスタ!」を開始
ションとして、引き続きファンタジスタの通り道の役割を果たして
いきたいと思います。
しています。
導入の背景、方法詳細については、本誌Vol.21 46∼47ページおよ
<千葉県柏市 新柏サッカークラブ>
びホームページ(www.jfa-challengegame.com)をご参照ください。
1回目の検定会を5月24日中原小学校グラウンドで実施しました。
2008年7月4日現在、324団体から検定の申し込みがあり、基本セ
ット「白バッチ+検定手帳」15,086セットの申し込みがありました。
検定会には1年生から6年生までの32名が参加。3つのエリアを設定
しマニュアル通りに①ボールフィーリング(手)
、②フェイント&タ
オープン検定(自団体のみでなく一般参加可能な検定)を実施する
団体は現在16団体、今後予定している団体は98団体となっています。
ーン、③ボールフィーリングの順に検定を受けてもらいました。
初めての検定会ということで不安もありましたが、お母さん方が
なお、現時点での各ステージの合格者の人数は下記の通りです。
記録系等のお手伝いをしてくれたお陰で 、コーチは検定に専念する
ステージ19が1名出ています。
■これまでのステージ別検定合格者数
ステージ7
1,657人
ステージ8
402人
ステージ9
240人
ステージ10
127人
ステージ11
59人
ステージ12
32人
ステージ13
23人
ことができ、比較的スムーズに運営できたと思います。
「うーん、もう一回やってみせて。
」と合格させてあげたいという
ステージ14
ステージ15
ステージ16
ステージ17
ステージ18
ステージ19
検定実施レポートは、ホームページにも掲載していますが、最近
のレポートをいくつかご紹介させていただきます。
<神奈川県相模原市 相模原FC>
2008年1月からチャレンジゲームを開催していますが、6月7日の
検定会でチャレンジステーションとしては最高レベルのステージ19
を合格する選手が出ました。
その選手は山梨県在住。山梨県ではチャレンジステーションがな
いということで相模原まで遠征し、ステージ7から自主練習しては
チャレンジの繰り返し。最後の方は技も難しく、合格する選手がい
るんだろうか? と導入当初は心配していましたが、現実に目の前で
クリアしていくファンタジスタ候補を見て驚きと感動を覚えました。
残すところはJFA主催のステージ20。意気込みを聞いたところ、
「苦手の部分を克服し、最後まで合格します!」と力強く答えてくれ
ました。日本初のファンタジスタが近く誕生するでしょう。相模原
フットボールクラブとしては、神奈川県で唯一のチャレンジステー
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コーチの親心からか、中でもシザース、マシューズの合格判断に結
構時間がかかりました。ジャグリングでは、最後の1回で落として
しまい、崩れ落ちて悔しがる子や、
「できた∼!」と大喜びする子ど
もたちなどさまざまでした。また、多くの子どもたちが非利き足だ
けでのボール扱いにてこずっており、今後の技術指導に大いに勉強
になった一日でもありました。
結局、合格者はステージ7が9名(小学6年生8名、小学4年生1名)
、
ステージ8が1名(小学6年生)でした。時間の都合でバッチ獲得ま
めざせファンタジスタ!
であと一息のところで終了させられた子どもたちも多く、コーチと
ができたら最高です。
しては申し訳ない気持ちでいっぱいです。次回はぜひがんばってく
ださい。
もっと多くの選手に「めざせファンタジスタ!」を知っていただ
き、チャレンジしてもらいたいと思います。実際のバッチを一覧表
ボランティアチームではありますが、
「個の育成」に軸足を置いた
にした手作りの普及促進グッズを作りました。これからも、いろい
指導方針のもと、いつぞや原石が大きく光輝いてくれることを信じ
て、われわれコーチ陣も大いに頭に汗したいと思います。
ろな工夫を凝らして参加者をどんどん増やしていきたいと考えてい
ます。
次回はオープン検定を実施し、地元の子どもたちにも気軽に参加
してもらえればと思います。
<東京都八王子市 みなみ野SC>
昨年度のクリスマスに、子どもたちにチャレンジブックをプレゼ
<愛知県豊田市 NPO法人スポーツクラブ豊田>
5月18日、豊田市五ヶ丘運動公園においてNPO法人スポーツクラ
ントして以来、満を持して、4月5日に最初の検定会を開催しました。
今回は、新4年生から6年生の約60人が検定会に臨みました。日ご
ブ豊田の第2回ファンタジスタオープン検定を検定員4人に補助4人
も加わって開催しました。
ろのやさしいコーチが厳しい表情で検定員として座っているのを見
て、子どもたちが普段になく真剣で緊張している様子が伝わってき
当日は晴天に恵まれ、芝生の上で行いました。初めてのオープン
ました。
「めざせファンタジスタ!」の練習は基本的には各自で時間
参加者も迎え、小学3年生から6年生まで57名が参加しました。時々
強風が吹く中、ジャグリングのタイミングを見計りながらチャレン
をみつけてやるという方針の下、自分で「よし」と判断して練習場
から順次検定会場へ移動してくる姿には、子どもたちのチャレンジ
ジしました。
前回は初めてだったこともあり、少し好奇心要素がありましたが、
精神を強く感じることができました。
この日は、ステージ7を通過した子どもが9名、ステージ8を通過
今回は高学年においては明らかに自主トレーニングをしてきたチャ
レンジ精神が見受けられ、合格して飛び上がって喜ぶ子ども、ジャ
した子どもが1名にとどまりましたが、全員が日ごろの成果を見せ
てくれました。
グリングで2回足らずに合格できず、悔し涙を流した子どもとさま
全体としては非利き足でのジャグリングがハードルとなっていま
ざまでした(1名∼2名あきらめた子どももいましたが…)が、低学
年においてはまだまだ意識は低いようでした。
したが、検定員以
外のコーチが、こ
今後の課題は、6年生卒業時にステージ20をクリアするためにも、
低学年で楽しく取り組めるよう工夫をする必要があると思います。
の日ばかりはと練
習場で子どもたち
にマンツーマンで
<岐阜県高山市 新宮サッカー少年団>
実施日:4月19日
アドバイスを行う
等、普段の練習で
記念すべき1回目の検定会は、オープン検定で実施しました。高
山市内のたくさんの選手に「めざせファンタジスタ!」を普及させ
はなかなか発見し
きれなかった一人
ようと考えましたが、実際は広報活動がうまくいかず、少人数の参
ひとりの課題をつ
加者での開催となりました。
「合格できないと恥ずかしいから挑戦し
ない。
」という子どもが多く、今後はチャレンジすることに意義があ
かむ良い機会とも
なりました。
ることを伝えていかなければならないと感じました。
今回はステージ7のみの検定会となりました。検定の順番は①ボ
今後も本検定会
を、子どもたちの
ールフィーリング手、②フェイント&ターン、③ボールフィーリン
モチベーションを
グの順番にし、検定員は2名で行いました。普段の実力が発揮でき
るように和やかな雰囲気の中で検定会ができるように配慮しました
上げるためにうま
く活用し、サッカ
が、選手達は緊張した様子でした。練習では完全に成功しているの
に検定で失敗を繰り返し何度もチャレンジする姿が印象的でした。
ーをもっと好きに
なってもらいつ
「めざせファンタジスタ!」は個の基本技術だけではなく、精神
面の向上にも役に立つと実感しました。また、見学に来ていたご父
つ、各自のスキル
向上に努めていき
兄の中に、楽しそうな子どもたちの様子を見て、ぜひチャレンジし
たいと思います。
たいという方も現れました。今後、親子で競い合う光景を見ること
훿Jリーグフォト㈱
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