【会員専用コーナー】 CAP講演会「ドバイは今!」の要約文 20090529 講師 瀨川 昌彌 (特定非営利活動法人 建築から社会に貢献する会 副理事長) ■ドバイへ 今回見た「ドバイの今」は、動きが早いので既に「昨」になっているかも知れません。ドバイはスエズ運河を経 由してヨーロッパに近く、モスクワとは時差がないなど、旅行に便利な位置にあります。日本とは5時間の時差 です。ドバイの砂漠は「未開の地」で石油などがあるかも知れません。外海に比べて静かなアラビア湾内と、さ らに静かなドバイ・クリーク(運河)を交易の拠点として古くから栄えています。 ■アラブ首長国連邦簡単講座 7つの首長国の連邦国家で略称はUAE、各首長国は世襲の首長による絶対君主制で、それらは アブダビ、 ドバイ、シャルジャ、アジマン、ウム・アル・カイワイン、フジャイラ、ラアス・アル・ハイマ です。 面積は、ほぼ北海道と同じ、 ドバイ首長国は埼玉県とほぼ同じです。 人口は、約450万人(2004年) ドバイは約226万人(2008年)です。 民族は、インド系42.3% UAE17.0% パキスタン系13.3% アラブ系9.1%その他18.3% です。 最高意思決定機関の連邦最高評議会は7首長で構成され、予算は8割がアブダビ、1割がドバイ、残りの1割は 連邦政府の税収によっており、残りの5首長国の負担額はゼロです。 首都はアブダビ、経済は、GDPの約40%が石油と天然ガスで占められ、日本がその最大の輸出先です。 現在、石油依存からの脱却を図るため、産業の多角化が進められています。 ■歴史・産業・風物 古代からメソポタミアとの交易が盛んで、ナツメヤシが栽培されています。真珠採りが盛んでしたが、日本の養 殖真珠の影響で衰退しました。 イギリスの東インド会社に支配されていました。アブダビから一族が移動して建国し、イギリスがスエズ以東か ら撤退した後、湾岸の九つのうちの七つの首長国で連邦を結成しました。現在は、原油生産が主な産業です。 古い建物の屋根には、「風の塔」がついており、風により新鮮な空気を取り入れています。木製の伝統的なダ ウ船は、釘を使わず紐とタールで造られています。金細工が盛んで、材料の金はインドから入って来ます。細 工品の値段は交渉の腕次第では30%引きになります。 ■最近のドバイ アブダビの石油が後100∼120年、ドバイは10∼20年と言われており、将来を考えて、フリーゾーンを設け、99 年間は建物の保有を認め、50年間は法人税と所得税をなしにして、外国企業の誘致を図っています。 「ドバイの錬金術(プリセール)」では、地元の有力者に事前に割当て販売を行い、正式発表後に彼らは転売 して利益を得ています。 ■ドバイの主な施設 ・パーム・ジュメイラは、椰子の葉形の巨大な人工島で、ホテルやコンドミニアムが建設されています。 ・ドバイ・モールは、世界最大のションピングモールで、スケートリンクや屋内スキー場もあり、世界最大の水族 館があります。 ・ナキール社のザ・ワールドは、モザイク模様の小島を造り、世界の国の縮図を造ります。「日本」はこの地図の 端になり、訪れるのに便利な位置にあります。 ・内陸の都心部の開発は、杭打ち機は見当たらず、−5m位のところで床付けしています。 ・ブルジュ・ドバイは、世界最高高さを目指しており、高さは818m位との噂があります。施工は韓国のサムスン、 ライトの「摩天楼 (高さ1マイル=1600m)」に似ています。 ・商業・観光中心ですが、天然ガス利用の電力発電所、淡水化プラント(飲料)もあります。「Yellow to Green」と いうことで、砂漠から緑化した国造りを目指しています。 ・ドバイ・メトロの建設は、都市中心部の朝夕の混雑防止のためです。(大林・鹿島・トルコのヤク社のJVで施工。 車両は三菱重工)。世界最長の無人走行で、平成21年9月9日からオープン予定です。 ・バージュ・アル・アラブは、沖合280mの海中に建つホテルで、 高さは321mと世界一の高さを誇っています。 ■今後の開発計画 ・内陸部はエマール社が開発しています。サトワという地区の開発では800m×14kmの商店街を計画し、これを ブロック分けして世界のコンサルタントに依頼しています。日本からは日建設計が参加しています。 ・ドバイランドは米国のディズニーランドの倍もあります。最近の世界金融の信用収縮により、一部中断されてい る開発計画もあります。 ■ドバイの問題点 とにかく、世界No.1好きで、問題点としては、 ①建設物の事業継続・維持管理が不透明。 ②産業構造が歪んでいる。観光・商業中心で製造業なし(ドバイ・アルミがある位)。 ③UAEは17%の人口比で、外国人中心の人口。 などが挙げられます。 ■終わりに 「ドバイはサンドストームの中だった。世界経済が視界不良の中でも、絶対君主制によりドバイの開発はまだま だ続く。」と言ったところでしょうか。 以上
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