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ジオサイト案内書 09
お
や
す
小 安
恵まれた温泉と地熱をいかして‥
地球の鼓動を感じる大噴湯
湯沢市ジオパーク推進協議会
小安峡温泉
小安峡温泉の特徴
小安峡温泉は「子宝小町の湯」と呼
ばれ、泉質はナトリウム塩化物硫酸塩
泉 と アルカリ性単純 温泉の 2 種類で
す。お湯は透明で無味無臭です。
小安峡温泉の昔
小安峡温泉は、その昔、温泉の効能を
知った狩人達や村人が湯つぼ(風呂場)
を作り、これに入ってさまざまな病気や怪
我を治したとして語りつがれ、広く知られ
るようになった温泉です。
江戸時代には、院内銀山を見まわりに
来た佐竹の藩士がお供を連れて利用し
たなどの記録もあり、温泉湯治、保養の
場、交易の場としてにぎわいました。
昭和30年頃の小安峡温泉
江戸時代中期には湯治客から湯銭を徴収して、秋田藩に運上金を納めていました。また、江
戸時代後期には、湯沢、稲川の問屋衆が、仙台藩から運ばれた物資を院内銀山や湯沢で売っ
たり、矢島藩から米を買い付けて気仙沼などへ運んだりと、仙台藩との交易が盛んになったた
め、中継地点として栄えました。
戊辰(ぼしん)戦争の頃、江戸幕府を守る奥羽列藩同盟は秋田藩を攻略するため、1868年7
月末、雄勝峠を越えて院内から湯沢へ侵攻したのを皮切りに、小安からも仙台軍1,000人が横
手市増田町まで侵攻しました。途中、庄内軍と合流しながら秋田藩の南軍(湯沢、横手、神宮
寺)を攻略し、秋田市の久保田城へ迫る勢いでした。しかし、東北各地の幕府軍が降伏したた
め、9月19日、幕府側の仙台軍3,000人余りの兵は、小安から花山峠を越えて仙台領に撤退し
ました。途中、大砲や砲弾を不動滝に投げ入れたと伝えられています。実際、不動滝の滝つぼ
から大砲の弾が発見されています。
-1-
小安峡付近の地下構造
皆瀬川流域の地熱系モデル(地下温度と温泉水)
中性~アルカリ性
地下水
栗駒山
(須川温泉)
天水=雨や雪解け水
地熱流体
温泉
酸性
断層
(湯浜温泉)
(小安温泉峡)
(木地山高原)
大噴湯 小安
+1000m
大湯
火山性ガス
海抜0m
100℃
基盤層
-1000m
隆起帯
基盤層
沈降帯
-2000m
キャップロック
(熱の遮蔽)溶結凝灰岩
貯留層
熱の伝導
マグマ
熱源
出典:NEDO「地熱開発促進調査報告書No.20,皆瀬地域
木地山高原から小安にかけては、地下深くにあるマグマの熱が、土地の基盤となる花こう岩
などを加熱するため、地下の温度は250~300℃と高温です。
大湯~小安周辺にはたくさんの断層や割れ目などが交差しています。雨や雪どけ水が、この
断層などを通って地下深くまでしみこみ、高温の花こう岩などにより加熱されて軽くなり、別の
断層などを伝って上昇します。その一部が地表で蒸気や熱湯となって噴気しています。この際
に重要な役割を果たしているのが、虎毛山火山活動で厚くこの地域をおおったぎょう灰岩類で
す。この地層はち密で、熱せられた地下水の熱が発散されて冷めるのを防ぎ、高温を保つ作
用を果たしています。(熱にふたをする岩という意味で「キャップロック」と呼ばれています。)こ
れらの条件が重なったことにより、小安、大湯周辺では100℃の等温線が地表付近に近づき、
地表で高温の蒸気が噴出しているのです。
-2-
小安峡
大噴湯
小安峡の地形は、皆瀬川が長い年月を掛けて刻
んだ約8kmの険しいV字谷で、国道から川底まで
の高低差は約60mです。
大噴湯周辺の地層は、古い時代に三途川カルデ
ラ湖にたい積した砂岩・泥岩の互層である三途川
層です。地層は、板状になっており、縦にも割れ
目が発達しています。
大噴湯は、この三途川層のすき間や割れ目か
ら、高温(98℃)の蒸気と温泉が噴き出ている
ところです。断崖絶壁の岩の割れ目から轟音と共
に白煙化した熱気と蒸気が噴き出す様は迫力があ
ります。江戸時代の紀行家・菅江真澄がここを訪
れたとき、大噴湯の様子を描いています。
橋の上から見た小安峡大噴湯
菅江真澄が描いた大噴湯
現在の噴気口の様子
高温の温泉水や蒸気は、雨や雪解け水の一部が
断層や割れ目を伝って高温になった地下に入り込
んだことで熱せられ、湯や蒸気として湧出したも
のです。水平な岩石の境目や縦の割れ目からも噴
き出ています。
大噴湯周辺の三途川層は、他の場所で一般的に
見られる三途川層と様相が違っています。温泉に
よる硬化作用が働き、カチカチに硬くなっている
のです。
-3-
板状に発達した泥岩と砂岩の互層(三途川層)
不動滝
不動滝は、小安峡総合案内拠点施設のすぐ裏側にあり、周辺は
三途川層がぎょう灰岩などをおおう形で分布しています。
8kmに及ぶ小安峡の大渓谷は、周辺の三途川層を皆瀬川が深く
削り取って出来たものですが、この不動滝のところで終わっていま
す。不動滝より上流側では深い渓谷となっていないのです。これ
は、不動滝周辺の地質の変化と関係しています。
3万~1万年前、不動滝周辺の三途川層は、温泉の作用によって
硬く変質しました。また、皆瀬川による浸食作用が盛んになったの
は約7万~1万年前のウルム氷河期の頃です。
温泉による硬化作用とは? ―その仕組―
浸食は下流から長い年月をかけて行われ
るため、小安峡渓谷に浸食作用が及んだと
きには、不動滝周辺の地層はすでに硬くな
っており、下に削られなかったと推測されま
す。
つまり、不動滝は、三途川層が温泉変質
を受けた地層の「化石」といえます。ここで
は、温泉変質により硬くなった三途川層の
様子が良く観察できます。
また、不動滝周辺は、三途川層の上に川
底にたまった岩の層が重なっていますが、こ
の岩の層も同様に温泉変質作用を受け硬く
なっています。
川底にたまった
岩の層
三途川層
砂岩・泥岩互層
虎毛山層
ぎょう灰岩類
深いところから、シリカ成分を含む熱水が
割れ目などを通って上昇し、割れ目で固ま
って硬い地層を作る。
シリカ(SiO₂)を含む熱水
不動滝の三途川層
不動滝の下流側のV字谷の渓谷
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不動滝の上流の浅い渓谷
地熱の利用
地熱発電と農業への利用 1
3坑の地熱発電試験井戸
隣接するガラス温室
ガラス温室内の様子
地熱発電試験井戸は、かつてNEDO(独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構)
が地熱発電の試験研究のために試し掘りをしたもので、還元井戸を含めた計3坑があります。
敷地に隣接して、温泉熱を利用したガラス温室2棟とビニール温室2棟があります。この温室
施設では現在、シクラメンや花の苗などを栽培しています。
農業への利用 2 (みつ葉栽培)
みつ葉栽培団地は、温泉熱を利用したハウス栽培施設で、
1棟100坪のビニールハウスが20棟あります。
温泉源(73℃)は、ここから約2.7km離れた小安峡温泉の温
泉井戸で、温泉水は、井戸から国道沿いのパイプラインで運
ばれ、その後、ハウスに供給されます。
加工品産業への利用 1 (栗駒フーズ)
栗駒フーズは、昭和62年度地域エネルギ
ー開発利用モデル事業を活用して作られた施
設で、温泉熱を利用しての低温殺菌法(65℃
で30分間殺菌)による牛乳の殺菌で乳製品
を製造しています。
この施設では、98℃の温泉を毎時10t使用
しています。
加工品産業への利用 2
(地熱利用農産加工所)
地熱利用農産加工所は、皆瀬温水プール
の向かいにあります。温泉熱を利用して、大
根やリンゴ、カボチャなどの乾燥食品を作る
施設です。
その工程は、原料を細かく切った後、温泉
(90℃)で湯がき、その後、50~60℃の熱
風を送って6~8時間乾燥させるものです。 -5-
みつ葉栽培団地
栗駒フーズ商品
栗駒フーズ
農産加工所
温泉熱利用の切干大根
周辺の大自然
めたきさわ
女滝沢天然林
至 大湯温泉
至 大噴湯
-6-
総合案内所
ジオパークの範囲
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小安ジオサイト案内図
ジオサイト 09 : 恵まれた温泉と地熱をいかして‥
地熱利用
温室農業
小安沢渓谷
小安峡大噴湯
とことん山
小安峡
小安峡温泉
不動滝
女滝沢天然林
地熱産業利用
(牛乳)
地熱利用農産
加工所
桂沢河床岩盤
地熱発電試
験井戸