ナンシー便り(2) 世界史分野 3 年:井上まな 研究テーマのキーワード:「ルネサンス、美術史、図像学」 【学習面】 ロレーヌ大学は、2,3 年ほど前にロレーヌ圏にある理系、文系の大学と情報系の専門学校が統合され、 総合大学となりました。私の通っているキャンパスは、Campus de Lettre (Sciences Humaines et Sociales) という名で、人文社会科学部に相当します。心理学、哲学、社会学、歴史学、美術史学、音楽 学、地理学、言語科学、教育科学、言語文化学といった多様な学科があります。 私は、このキャンパス内にある DEFLE という大学付属 の語学学校でフランス語を学んでいます。大学の専門講義 は、DELFB2 (仏検でいう準一級) を取得しなければ履修 登録することはできないので、交換留学生という身分であ りながら、こちらでは語学学校の授業しか受けていません。 語学学校は、グループが 7 段階に分けられています。私 は、前期は真ん中のグループでしたが、後期は上から二番 目のグループにいます。各グループは、15~20 人ほど、生 徒は大学生だけでなく、パティシエや弁護士、専業主婦な どといった社会人も多いです。国籍は、中国、韓国、コロ ンビア、カザフスタン、アメリカ、ベトナムなど様々です キャンパス風景 が、日本人は少ないように思います。そういった面でも、 ナンシーは、フランス語を学ぶのに適した環境だと言える でしょう。 1 コマの授業は 2 時間、全てフランス語で行われます。文法、筆記、リスニング、会話といったフラン ス語の基礎を学ぶ必修科目が週 12~14 時間ほど、選択科目が週 6~8 時間の計 20 時間です。選択科目は、 グループのレベルが高くなるにつれ、選択できる授業の数も増えます。例えば、後期の私の選択授業は、 語学試験の対策授業を 2 コマ、フランスの文明、芸術に関する授業を、それぞれ1コマずつ受講してい ます。 フランス人は、議論をすることが大好きです。これは、もはや国民的文化ともいえるほどで、テレビ、 ラジオ、食事の席でも常に議論をしています。そのため、どの授業においても、意見を主張することを 求められることが多いです。また、意見を述べたら、次に「なぜ」を問われます。 「なぜ」そのように考 えるのか、 「なぜ」その結果が生まれたのか。この問いかけに、フランス人は慣れていて、幼少期から esprit crithique (批判的精神) を鍛える教育を受けています。日本の教育との大きな違いは、ここにあるのでは ないかと私は思います。 授業中は、ヨーロッパ系の学生が積極的に自分の意見を発言しています。というより、積極的に発言 しないのは、アジア系の学生ぐらいです。アジア系の学生は大人しく、私も含め、最初の頃はあまり自 分から発言しようとしませんでしたが、時間が経つにつれ、発言することにも慣れてきました。 先ほど、大学の授業に「登録」できないと述べましたが、 「聴講」はできます。例えば私は、美術史系 の授業を、聴講しています。専門用語がかなり多く、全ての内容を理解できているとは言いがたい状態 ですが、日本の大学とは違う教育システムを体験することができます。 こちらでは、授業中、教授が学生に向けて質問をすることが多いですが、これに対して学生は積極的 に答えます。また、学生のほうからも教授に向けて質問が飛びます。このように、教授と学生が一緒に なって授業を作り上げるのがこちらの教育スタイルであり、日本ではあまりお目にかかれない一面のよ うに思います。 図書館、ジム、食堂など大学の付属施設は、 学生証があれば利用することができます。ジム では、バレー、バトミントン、ダンス、ヨガ、 水泳などさまざまなスポーツを楽しむことが できます。私は、まだ利用したことがありませ んが、さまざまな学生と触れ合うことのできる、 きっかけづくりの場だそうです。 付属図書館に関しては、学習スペースと蔵書 数は割と充実していますが、平日の 9 時から 19 時までしか開いていません。しかし、ナンシー には市立図書館がいくつかあり、こちらは土曜 日も空いていることが多いです。そこでは、本 だけでなく、雑誌、マンガ、CD,DVD など様々 なものを閲覧できるので、Bibliothèque (図書 とあるナンシー市立図書館 館) というより、Médiathèque (情報館) と呼ば れています。 食堂・カフェテリアは、大学内や寮の近 くにいくつかあります。ちなみに、学食は 日替わりでパン、サラダ、メイン、デザー ト、チーズ付きで 3.20 ユーロ、かなりのボ リュームがあります。フランスでは、普通 のレストランだと一人 10 ユーロ以上すると ころが多いのでコスパとしてはかなり良い ですが、毎日通い続けると間違いなく太る と思います。 ある日の学食
© Copyright 2024 Paperzz