タバコとビジネスの関係

タバコとビジネスの関係
<Gr,3>
岡本
雄志
西川
祥平
藤井
里恵
亀岡
祐実
山田
祥子
1
目次
まえがき(西川
第二章
タバコ税がビジネスに与える影響(岡本
第三章
電子タバコが与えるタバコビジネスへの影響(西川
第四章
分煙によるタバコビジネスの変化(藤井
第五章
海外のタバコビジネス(亀岡
第六章
taspo 導入によるタバコビジネスの変化(山田
第七章
あとがき(山田
参考文献
祥平)
P3
第一章
雄志) P4~6
祥平) P7~9
里恵) P10~13
祐実)P14~17
祥子) P21
P22~23
2
祥子) P18~20
第一章
まえがき
西川
祥平
現在日本では、タバコの禁煙化が広がりつつある。タバコの是非が問われる
時代となってきた。その1つにあげられるのは、タバコ税の増税である。現在
のタバコ1箱の値段は約300円程度である。この国の政策により、喫煙者の
減少が予想される。ということは、日本のタバコ産業にも影響が及ぶと予想さ
れる。それと同時に電子タバコなどの禁煙グッズの販売が促進され、禁煙ブー
ムが広がりつつある。分煙エリアや禁煙エリアなどの規制もはじまり、喫煙者
にとっては、肩身が狭い思いをしなくてはならなくなってきている。
また未成年がタバコを購入しないように taspo も導入された。しかし、あま
り普及されていないのが現状である。また、海外のタバコビジネスについても
調べてみて、日本と海外を比較してみて、日本のタバコビジネスについて考え
てみようと思う。このようにさまざまな側面からタバコについて考え、現代人
の健康意識がどのように変わっていくかを推測しながら、将来タバコ事業がど
のように変化していくかを考えていこうと思う。それと同時に、タバコ事業の
経営戦略を理解してこれからの、タバコビジネスの動向や、社会がタバコ事業
に与える影響など推測してみようと思う。
3
第二章
タバコ税がビジネスに与える影響
岡本
雄志
まず、タバコ税増税が言われているが、増税すべきかどうかを考える。
2-1
タバコ税とは
タバコ税法に基づき、製造タバコに対して課される税金。いわゆる「国タバコ
税」と言う。
2-2
日本と他国のタバコ税についての比較
最近の報道では、日本のタバコの価格が欧米と比較して安いという議論があり
ますが、各国のタバコの価格は、税構造や物価などが全く異なる環境下で決め
られています。なので、単純に他国と比較をして、日本の価格が安いというの
は適切ではないと考えられます。
2-3
タバコ税増税を希望する人たちの意見
タバコ税を増税することで、確かに消費量は減るものの、最終的には税収増が
見込まれるというのが調査の結果でている。私の意見では、タバコ税を増やす
ことで喫煙者が減ることは嬉しい。そして、喫煙者が減ることで、癌などの病
気にかかる人も少なくなるので、みんなが健康になって医療費がかからなくな
るのでいいのではないかと考えられる。
2-4
タバコ税増税に反対する人たちの意見
これまでもたびたびタバコに関する税は増税されており、特に平成10年から
導入されたタバコ特別税では、一見なにも関係のない国債整理基金特別会計に
税収が組み入れられていることもあり、
「とりやすいところから取っているだけ
ではないか」と愛煙家はうんざりしていると言われている。
私の意見では、確かに、喫煙者のお陰でタバコ税という税金を徴収できて、国
が助かっていることはいいことだと考える。
喫煙者が減ることで、徴収できる税金が減少し、消費税などが増税されること
4
は反対である。なので、タバコ税増税反対の意見も、必ずしも全否定はできな
い。
2-5
タバコ税増税に対する見解
私はタバコが嫌いで、受動喫煙によっての体への害なども考えると、タバコ税
を増税して喫煙者を減らしてほしいが、喫煙者減少による消費税増税も好まし
くないので、どちらとも言えないというのが実情である。なので、これからの
喫煙者の様子を見てゆっくりと最善策を練っていけばよいと考えられる。
 タバコ税とタバコビジネスとの関係
図2-1
タバコ販売数量の回帰分析
タバコ税増税のため、最近タバコの価格が上昇している。1989年から15
年間の調査によると、成年人口が1単位増加したときタバコの販売数量が0.
50増える、実質価格が1単位上昇したとき販売数量は-0.76減少する関
係が観測されたことを意味している。
96年度に販売数量が増加、翌97年度に減少しているのだが、これは消費税
アップの際の駆け込み需要と反動減の影響が考えられる。また、回帰した推定
パラメーターをみると、人口に対する弾力性は1を下回っており、健康志向の
5
高まり等による減少トレンドがあることがみられる。さらに喫煙率については、
元々男性の方が高かったが近年は低下傾向で、若年女性の喫煙率が上昇してき
ている。なので、タバコ税増税によってたばこの購入者が減少しているが、若
年女性向けのタバコを販売していけばタバコビジネスが成功すると見込まれる。
次に、タバコ税収のグラフを表示する。
図2-2
タバコ税収の回帰分析
上の2つグラフの分析により、タバコ税が上昇することでたばこ消費量は減少
するが、最終的には税収増加が見込まれるという結果が出た。しかしながら、
どの程度までの増税ならば税収が増加できるのか、また、どの程度から、税収
減少になってしまうのかは、これからのタバコ利用者の対応を見ていかなけれ
ば確実なところは言えない。
以上の分析により、タバコ税を増税するのか、また、どのようなタバコを販
売すればタバコビジネスが成功するのかは、これからのタバコ利用者の様子を
見てじっくりと検討していかなければいけないという結論に至った。
6
第四章
分煙によるタバコビジネスの変化
藤井
4-1
里恵
現在のたばこ事業
現在のたばこ事業では、今日の社会情勢、消費者のニーズを先取りした製品
開発を軸にした戦略を展開している。
分煙の基本原則は、非喫煙者への受動喫煙の影響を排除、減少させるため、
分煙推進が必要である。分煙は、空間を分ける分煙、施設の態様や利用者のニ
ーズに応じた分煙対策、分煙機器の積極的活用、看板などによる喫煙場所と禁
煙場所の表示の明白化といったあらゆる分煙の方法を自主的に推進していく必
要がある。
現在、飲食店や空港、会社など、特に人がたくさん集まる場所でその場所に
あった分煙方法が取り入れられている。
4-2
分煙をするにあたってのメリット
飲食店で、完全分煙(隔離された喫煙席)をするにあたってのメリットは、
非喫煙者に嫌な思いをさせたり、受動喫煙による非喫煙者の健康に対する影響
を少なくしたり、煙の中に含まれている有害物質で喫煙者自身も多くのがんや
循環器疾患、呼吸器疾患、歯周疾患、心筋梗塞などの病気にかかってしまうこ
とがなくなる点である。
4-3
分煙をするにあたってのデメリット
デメリットは、従業員が受動喫煙を受けることや、喫煙席に同席している非
喫煙者(未成年含め)も受動喫煙を受けることや、分煙工事、維持などに大き
なコストを強いられることである。完全分煙(隔離された喫煙席)は、小規模
店舗ほど物理的な面や分煙機器導入のコスト問題などで、実現が難しい。
結果として、完全分煙ができる大手の飲食店に喫煙客が集中してしまうとい
うことも考えられる。このようなリスクをこれからどのようにして回避してい
くかが問題になってくる。
7
従来は、客席を禁煙席、喫煙席といった形式で分けていたが、客席部分は完
全禁煙となって、受動喫煙を防止する。
飲食店は、個人の好みに応じて利用する場所であるから、たばこの煙は非喫
煙者にとって不快である一方、喫煙者としては喫煙したくなる場所である。
比較的狭い店舗では、人が集中して集まる時間帯は、分煙が難しいため、禁
煙とすることが望ましいが、困難な場合は、分煙機器を活用し、受動喫煙に対
する配慮を行うべきである。
企業の事務所・オフィス・公共施設等といった共用・共有スペースで分煙化・
分煙対策を進めると、喫煙スペースをどうしても離れた場所や屋外に作る事に
なってしまいがちになる。そうなると、とっさに喫煙者とコミュニケーション
を取りたい時に喫煙スペースまで行く手間と時間が発生してしまう。
しかし、分煙機(分煙器)を導入すれば、企業の事務所、公共の施設などの共
用・共有スペース内もしくは近い場所に喫煙スペースを設ける事ができるので、
いつでも喫煙者とコミュニケーションが取れる空間作りが可能になり、手間と
時間が発生しない合理的な分煙化・分煙対策が可能になる。
さらに、タバコを吸う人、吸わない人がお互いにタバコの嫌な臭いや煙を気に
しなくて済む。分煙化・分煙対策が行われていない屋内の同一フロアでは、タ
バコを吸う人は周りの吸わない人に気を使い、吸わない人はマスクをして自己
防衛するといった事もなくなる。外食業界にも、禁煙・分煙化の波が押し寄せ
ている。
4-4
「受動喫煙防止条例」について
「受動喫煙防止条例」という公共的空間や施設での喫煙規制で、この4月1
日に施されるのを前に、大手外食チェーンが全面禁煙や分煙に積極的に協力す
る動きを見せている。健康への悪影響から県民を守る条件の趣旨にかなってい
る。居酒屋など飲酒を伴う店や個人経営の小規模店では、対策を検討中や未検
討の店も少なくない。
条例では、間仕切りや排気設備など分煙や喫煙所に必要な基準を明確にした
うえで、学校や病院、映画館、百貨店などは指定された喫煙所を除いて全面禁
煙とする。守らなかった施設管理者には2万円、禁止区域で喫煙した個人には
2千円の過料という罰則も設けられた。
飲食店やホテル・旅館など一定の規模を超えた店では、施設側が禁煙か分煙
を選択する。ただ、罰則は来年4月からの適用に先送りされている。
それ以下の飲食店やホテル・旅館と、キャバレー・パチンコ店などでは、禁
煙・分煙の対応は「努力義務」とされ、罰則はない。飲食店のうち7割強がこ
8
の努力義務に当たる。禁煙・分煙の表示義務も課されるが、扱いや罰則の有無
は同じだ。だが、「吸わない人には(受動でも)吸わせない」ためには、強制
されない店でも禁煙や分煙への対応に十分意を用いるのは当然で、その旨の分
かりやすい表示にも努めるべきである。
小規模な店では、喫煙者専用の店とする選択もできるが、ここでも表示は大
切だ。もちろん、排煙設備をきちんと備えるなどの配慮は言うまでもない。懸
念は、なお周知不足と思われる点である。
県が昨年秋に行ったアンケートでも、条例そのものや、その内容を知らない
とする県民が85%に上った。中途半端な理解のままでは、喫煙をめぐる店内
トラブルが続発しないか心配だ。ことに、未成年者は喫煙所や分煙店の喫煙区
域への立ち入りが禁じられていることも忘れてはならない。
県は今後、飲食店へ個別に電話をかけたり、説明会や各種媒体を使ったりして、
アピールを続けるという。景気の低迷で飲食店などは、県外に顧客を取られ、
売り上げがさらに減ることも恐れている。
全国から注目を集める試みだけに、失敗させるわけにはいかない。そんな中、
ロイヤルホールディングスは、グループ全59店舗で “全席完全分煙化”を終
え、そのうち、傘下のロイヤルホスト16店舗は全面改装などに伴い、3月末
までに喫煙ルームを設置する。全面改装は2011年12月末までに県内外1
75店舗で実施予定である。客席部分を完全分煙化したことにより、改装店の
来客数が非改装店の13%増となった。
「今までは煙の流れが嫌だったが、これからは利用したい」、「周りを気にす
ることなく吸える」と非喫煙者、喫煙者ともに好評で売上げを伸ばした。
一方、喫煙ニーズが高い居酒屋チェーンでは、そう簡単に事は進まない。白
木屋などを展開するモンテローザなど大手は11年3月末までに、神奈川県内
の店舗を条例に則して分煙対応していく考えである。
居酒屋チェーンは、05年にワタミが出した全面禁煙居酒屋が1年で撤退を
余儀なくされるなど、禁煙店舗の多くは存続自体が難しいとされる。分煙対応
したとしても、条例に則した禁煙面積を設けると「実験では売り上げは3割ほ
ど落ち込む」(居酒屋チェーン関係者)というから、ただ事ではない。
しかもこの条例における分煙への設備投資は、多額のコストがかかる。
居酒屋チェーンの多くはビルのテナントとして出店するが、その形態では平均
して500万円超、多いところでは1000万円近くかかってしまう。
4-5
これからの分煙化の広まりについて
分煙実施によりあらゆる意見がでてきている。
9
飲食店においては、客やその施設利用者のニーズにどれだけ効率よく答えられ
るかが重要になる。喫煙スペースの設置にも、最新の技術を活用するなどして、
適切な分煙スペースづくりの工夫が必要である。
これから、喫煙に関して次々と制限され、ますます完全分煙化あるいは全面
禁煙化が進んでいくだろう。
このような動きが世界中に広まれば、いずれ、タバコがこの世からなくなる
日も、もしかすると来るのかもしれない。
今後もどんな風に分煙化が広まっていくのか。分煙化に対応するあらゆる企
業の動きがあるはずである。
10
第五章
海外のタバコビジネス
亀岡 祐実
5-1
WHO地域別喫煙率
成人喫煙率は、先進国では男女の差が小さく、途上国では男性で高く女性で
低いため男女差が大きいという違いがある。日本など西太平洋地域は特に男女
の差が大きいのが特徴だが、最近若い女性の喫煙率の上昇が問題になっている。
図5-1
地域別喫煙率
60
50
(
成
人 40
喫
煙 30
率
男性
)
% 20
女性
10
0
5-2
世界の喫煙人口
WHOによると1990年代前半には、世界で11億人が喫煙しており(毎
日及び時々)、世界の15歳以上人口の1/3を占める。途上国の喫煙者(8億
人)が多く、大部分が男性(7億人)である。先進国の喫煙者は3億人(男性
2億人、女性1億人)で、中国1国の喫煙者数に相当する。
11
5-3
タバコ規制枠組み条約
「タバコ規制枠組み条約」は、WHOが提案した保健医療に関する初めての
国際条約である。加盟国によって条約作成が承認され、2001年から、世界
各国の代表が集まって条約の草案作成のために会議を重ねた。 そして、20
03年5月の世界保健会議での条約が採択された。日本政府は、2004年6
月に条約を批准。
・目的…タバコの消費、および受動喫煙が健康、社会、環境、および経済に及
ぼす破壊的な影響から、現在、および将来の世代を保護する。
・内容…
*タバコの需要を減少させるための価格、および課税に関する措置 (第6条)
様々な人々、特に年少者のタバコの消費を減少させる上で効果的、かつ重要な
手段であることを認識し、課税政策、および価格政策を実施。
*タバコの煙にさらされることからの保護 (第8条)
屋内の職場、公共交通機関、屋内の公共の場所等におけるタバコ煙からの保護
についての措置をとる。
*タバコ製品の包装、およびラベル (第11条)
健康警告表示(権限のある国家当局により承認)のサイズ(理想的には50%以
上、最低30%)、ローテーションを義務付け。
*教育、情報の伝達、訓練、および啓発 (第12条)
喫煙の健康に与える悪影響についての普及・啓発、教育、禁煙指導の実施。
*タバコの広告、販売促進、および後援 (第13条)
憲法に抵触しない範囲内でタバコに関する広告に関して、全面禁止、または適
切な制限措置をとる。
*未成年者への、および未成年者による販売 (第16条)
未成年者がアクセスできないよう、自動販売機について適切な措置をとる。
5-4
アメリカにおけるタバコ対策
1996年8月23日、米国クリントン大統領は「子供と青少年を守るため
に紙巻タバコと無煙タバコの販売・流通を規制する規則」を大統領命令として
発表した。既に、1995年8月に「規制案」が公表されており、国民の幅広
い意見を収集した上で、最終版としてとりまとめたものである。
*販売規制(青少年のタバコ製品への接近を減らすため)
:購買可能年齢を1
8歳とし、自動販売機及びセルフサービス販売を禁止。また、
「子供向け」の包
装、ばら売り、無料見本を禁止している。
12
*広告規制(青少年に対するタバコ製品のアピールを減らすため)
:学校や運
動場から半径330m以内での看板を禁止し、その他の看板や広告、若者が主
な読者層の雑誌等では黒白の文章のみに制限。会社名でなく、ブランド名を冠
としたスポーツの後援や、帽子、Tシャツ等に、ブランド名をつけることを禁
止。
*教育啓蒙(青少年にタバコの健康に対するリスクについて教育するため):
規制案においては、国家的な教育キャンペーンを実施するために、タバコ製造
業者に年間1億5000万ドルの基金を支払うことを要求している。
FDAは、1995年8月、連邦食品医薬品化粧品法第518条を用いて提
案された教育施策の目標を遂行する予定である。この条項の権限において、F
DAは6社のタバコ会社に対し、青少年に対するタバコ販売金額の相当割合を
用いて、これらの会社の製品を使用することの健康リスクについて、青少年を
教育するよう要請することを提案する予定である。
5-5
フランスのタバコ対策
フランスでは、1993年1月11日よりタバコ広告の全面禁止を行ってい
る。タバコとアルコールに関する法律。91/32により、店頭販売以外を除
くあらゆる形態のタバコ広告(直接的広告、間接的広告、スポンサーシップ)
を禁止している。公共の場所での喫煙は複数の法律により厳しく規制されてい
る。 喫煙は、閉鎖空間、屋根付きの公的な空間および職場において禁止。また、
あらゆる輸送機関、公立および私立学校、大学、高校でも同様に禁止。 フラン
ス航空会社による飛行時間2時間以内の国内航空路線は全線禁煙。 喫煙区域以
外での喫煙に対しては、600~1300フラン(91~198ECU)の罰
金。また、法的実施を怠った場合は、3000~6000フラン(457~9
13ECU)の罰金。
5-6
オーストラリアのタバコ対策
価格は、個人、特に若者の購買意欲、喫煙行為に対して強力な決定因子である
との認識。 連邦消費税は、消費者物価指数に沿って半年ごとに引上げ、現在の
税率は、1kgあたり63.56豪ドル。 1993年以降のタバコ消費税の増
加により、紙巻タバコの価格は23」%上昇。 1992/93年のタバコの連
邦消費税からの歳入は、約13億豪ドル。 また公共の場所における喫煙対策と
して、連邦政府レベルでは、1986年以降、連邦政府の所有及び管理下にあ
13
る建物の殆ど全てにおいて禁煙を実施。 殆どの州、準州で、公共の建物、病院
での禁煙。 ニューサウスウェールズ州では、ビクトリア州、南オーストラリア
州では、全ての公共輸送機関での禁煙。南オーストラリア州では、全ての首都
タクシーやハイヤーでの禁煙。 オーストラリア首都域では、公共の場所での禁
煙の最前線にある。1994年9月に、殆どの公共の場における喫煙が禁止す
る法律:
「公共の場における無煙法(The Smoke Free Area(Enclosed Public Places)
Act 1994)」が成立。
表5-1
国名
各国のタバコ価格政策
内容
欧州連合(E
タバコ製品の課税に関する3つのEU指令採択
U)
指令により課税の最低基準は紙巻タバコの最終小売価格の
70%
フランス
紙巻タバコの価格を57%(31.35%)引き上げ
英国
若年層に対してタバコ税がタバコ消費削減の手段として位
置づけ
紙巻タバコの価格を57%(9.66%)引き上げ
英国大蔵大臣、毎年最低3%タバコ税引き上げ
イタリア
タバコ価格を37.5%(5%)引き上げ
ドイツ
紙巻タバコ価格を16.8%(4.09%)引き上げ
タイ
稼働能力の低い若者に喫煙習慣をつけさせないという観点
から課税
大蔵省は、毎年インフレ率に比例して消費税額を増加
14
第六章
taspo の導入がビジネスに与える影響
山田
6-1
祥子
タスポとは
未成年者の喫煙防止の取り組みは社会全体ではもちろん、タバコ業界でも最
重要課題として位置づけていることから、2008年7月から taspo(タスポ)
対応のICカード方式成人識別タバコ自動販売機を全国で稼動開始した。
この取り組みは、社団法人日本たばこ協会、全国たばこ販売協同組合連合会
および一般社団法人日本自動販売機工業会が主体となって行っている。
カードの発行は申し込みが必要であり、成人であることの審査に通れば自宅
に送られてくる。カードの発行手数料、年会費は無料である。
現在では全国のタバコ自動販売機の99.5%がタスポ方式であり、タスポ
カードの普及率は、2009年8月15日の時点で934万4373枚、日本
全国の推計喫煙人口である約2680万人の34.9%に達している。これは
80%以上を自動販売機で購入する自動販売機常時利用者の96.3%に相当
する。
6-2
タスポの効果
タスポの導入後、様々な視点から効果を見てみると、全国の警察によると、
未成年者が自動販売機からタバコを購入することは減っているが、対面販売で
は年齢確認が徹底されていないため、未成年者の購入経路がコンビニエンスス
トアなどの対面販売に大きくシフトしている。販売店の視点から見ると、未成
年者らしき者が店頭や自動販売機の前でたむろする光景は減った。自動販売機
で未成年者と思われる者の購入は無くなったが、同時に成人喫煙者の購入も減
った。消費者の視点で見ると、未成年者がタバコの自動販売機を利用できなく
なることは良いことだが、証明写真や本人確認書類の添付など、申し込みが面
倒である。また、自動販売機で購入できなくなっても対面販売なら購入するこ
とが可能であるのは未成年者喫煙防止の仕組みとして不十分であるという意見
もある。
また、これまで未成年者喫煙防止のため夜11時から翌朝5時まで自動販売
15
機が使えなかったが、タスポの導入で24時間稼動が可能になった。
6-3 タスポの問題点
タスポはタバコ自動販売機での未成年者の購入に対して有効に機能している
が、カードの貸し借りについて問題が発生する。この規制はタバコ自動販売機
によってタバコを販売するタバコ小売業者に対しての規制であるため、購入者
やタスポ所持者に対しての法律上の規制や罰則などは整備されていない。その
ため、タスポの会員規約で自主規制されているにとどまり、違反してもタスポ
の利用停止を行うことができるだけで、法律では罰せられないことが問題とな
っている。
また、タスポ対応タバコ自動販売機のみを備えた小売店、飲食店、ホテルな
どで、タスポを所持していないがタバコを購入希望の成人客に店員や従業員の
タスポを貸し出したり、福岡県では、タスポ導入によって売り上げが約2割落
ちた販売店で自動販売機にタスポを吊るしているところがあった。
タスポがなくてタバコを購入できず、万引きして宮城県の高校2年生が逮捕
された例もある。
6-4
タスポが与えるビジネスへの影響
タスポシステムが導入され、ほとんどの自動販売機ではタスポがなければ購
入できなくなったわけだが、タスポカードの普及率は、喫煙者全体の約3割に
とどまる。タスポの作成には専用申込書に必要事項を記入し、顔写真や身分証
明書のコピーを添えて窓口に郵送する必要があるが、この手間が面倒でタスポ
を申請しない喫煙者が多い。加えて、子供の誕生などを機に禁煙したはずの男
性が家族に内緒で喫煙している“隠れ喫煙者”や、
“タバコをやめたいのにやめ
られない喫煙者”にとって、タスポを申請することは意思に反することになる
ため、これらの層では普及率が伸びない。このため、これまで自宅のみの送付
しかできなかったが、最近では自宅以外の場所でも送付可能とし、普及率の上
昇を図っている。
しかし未だに全喫煙者の3割程度の普及率から、自動販売機の売り上げは大幅
に落ち、店先の自動販売機の売り上げに頼っているたばこ販売店などが次々に
閉店に追い込まれている。
また、たばこの自動販売機の隣には必ずと言っていいほど飲料自動販売機が
あるが、飲料の「ついで買い」が減ったため、飲料自動販売機の売り上げも約
2割減少している。
16
逆に、自動販売機で購入しなくなった喫煙者は、タスポがなくてもタバコを
簡単に買うことのできるコンビニエンスストアなどの対面販売に集中している。
たばこをコンビニで購入する際、他にも弁当などを「ついで買い」する客が多
く、外食を控える消費者の節約志向が追い風となり、
“タスポ特需”と呼ばれる
ほど売り上げが増加し、平成21年2月期決算では、セブンイレブンジャパン、
ローソン、ファミリーマートの大手3社がチェーン店売上高、営業利益ともに
過去最高を更新した。
このように、カードひとつで多くのタバコ販売店が廃業に追い込まれ、意外
なところで特需が起こっていることをみると、国の政策はビジネスに大きな影
響を及ぼすことが分かった。
17
第七章
あとがき
山田
祥子
近年、禁煙ブームが広がり、ありとあらゆるところで禁煙が謳われ、喫煙者
やタバコ業界は窮地に追い込まれている。
タバコ税増税の議論や、タスポシステムの導入でタバコ販売業者は売り上げ
が落ち込んだり、これから落ち込むかもしれないという不安な状態であったり、
逆にコンビニエンスストアなど、売り上げが伸びた業界もあり、タバコに関す
る政策そのものがビジネスに影響していることがよく分かる。
また、海外のタバコビジネスを見てみると、日本以上にタバコの健康への害
に対する意識が強く、タバコに関する規制が強い。タバコの広告が全面禁止で
あったり、タバコの害を宣伝していたり、タバコ業界が売り上げ不振に追い込
まれていることはもちろん、これまでタバコを宣伝してきた広告会社へも影響
が及んでいる。
しかし、ビジネスというものはどこからでも生まれるものであり、このよう
な嫌煙社会になっても新たなビジネスができた。最近、飲食店や空港、会社な
どの多くの公共施設で、分煙というものが進んでいる。喫煙者と禁煙者をきっ
ぱり分け、お互いに嫌な思いをせず快適に過ごせる。この分煙のために新たな
機器が開発されている。
また、喫煙者の中には禁煙の波に押され、タバコをやめたいとのぞむ人も少
なくないが、禁煙グッズや電子タバコというニコチンの入っていないものが出
現している。JTも電子タバコの発売に乗り出し、今後、タバコ業界の中でも
このような害のないタバコ代わりの製品が発展していくだろう。
タバコが消えて行く中で、タバコの売り上げを伸ばすことを考えるよりも、
タバコ代わりのものを発展させるようなビジネスを構築するべきである。
18
参考文献リスト
第二章 タバコ税がビジネスに与える影響(岡本 雄志)
・タバコ税
http://100.yahoo.co.jp/detail/%E3%81%9F%E3%81%B0%E3%81%93%E7%A8%8E/
・LIBERTAS
http://www.libertas.co.jp/report/20051202tabako.html
第三章 電子タバコが与えるタバコビジネスへの影響(西川 祥平)
・電子タバコ
http://e-tobacco.biz/
・ライブドアブログ
http://blog.livedoor.jp/cleanair/archives/50995070.html
・ウィキペディア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%82%BF%E3%83%90%E3%8
2%B3
第三章 分煙によるタバコビジネスの変化(藤井 里恵)
・JT 分煙
http://www.jti.co.jp/sstyle/manners/bunen/index.html
・分煙
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%86%E7%85%99
・yahoo ニュース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100324-00000000-diamond-bus
_all
第四章 海外のタバコビジネス(亀岡 祐実)
・海外のタバコ情報
http://openweb.chukyo-u.ac.jp/~ieda/P-kaigai.htm#TV
・最新タバコ情報
http://www.health-net.or.jp/tobacco/menu06.html
19
第五章 taspo 導入によるタバコビジネスの変化(山田 祥子)
・taspo
http://www.taspo.jp/top.html
・社団法人 日本たばこ協会
http://www.tioj.or.jp/
・日本タバコ産業
http://www.jti.co.jp/
・全国タバコ販売協同組合連合会
http://www.zenkoku-tabakoya.jp/topics/taspo_sameday.html
20