COLUMN COLUMN ● シリーズ 私 の 見 た 日本 Vol.158 日本の神社とベルギーの教会の比較 ベルギーのアントワープ出身。 ルーバンカトリック大学日本学科 2010 年卒 業。 大阪大学大学院文学研究科 2013 年卒 Lynn Van Acoleyen(ヴァン・アコレーアン・リン) 私 が 初 め て 日本 に 来 た の は 2007 年 の 10 月です。 ベルギーの 大学 で 2 年間日本語・日 本文化を勉強した 後、大阪外国語大学 で 1 年 業。 2015 年結婚、息子 を 出産。 現在 ベ ル ギーの DCMEMBA で勤務。 黙って 神父 さんのお 話しを 聞 かないといけな て 神社 へよく行きました 。良 い 天気 のときは 、 な 雰囲気 が 重要 なポイントであることが 分 か す。 もう一 つの 例として 、伏見稲荷大社 の 多 には 創建当時 は 内部にも 装飾 がほどこされて いという寒さの 中 の 思 い 出 です。 梅 の 木 の 近くに 座って 、 お 参りする人々 を 見 りました 。 数 の 鳥居 は 、参道 の 山 を 使って 、 とても 印 いたそうですが 、現在 あまり色彩 は 残ってい 象的 なものになっています。同じ数 の 鳥居を ません 。石造りで 入口 が 狭く、神社 のように 自然 の 少 な い 町中 の 京都 に 建 てたら、同じ 開放的 でも 明るくもありません 。 また 、 ベル 印象にはならないでしょう。 ギ ー の 友達 が 日本 に 来 て 神社 に 一緒 に 行く ヨーロッパの 教会 の 建築 は 、入る人にわざ て 過ごした 大好 きなところでした 。 そこでは 間 留 学 す る 奨 学 金 を 取 得 で き た からで す。 と自分自身 の 小 ささを 感じさせるために設計 いつも 、神社と寒 い 教会との 大きな 違 いを感 一生懸命勉強した日本語を、日本 で日本人と されています。 教会 は 、神様 へ の 敬 虔 の 念 じていました 。教会 の 寒さ・神社 の 温 かさは 、 同じことがいえると思 います。 1 つ の 大 きな 神社 を 構成しているいろいろな 建物 からも 話 すことができることをとても 楽しみにして をもたねばいけないという目的 を 持って 建 て 建築 スタイルだけではなく、使っている材料 建物 ではなく、手水舎・本殿・拝殿・神楽殿・ 参道 も 大事 な 神社 の 見 どころの 一 つ では と、 い つも「神社って 楽しいところだね!」と いました 。 られて います。 ベ ル ギ ー の 教会 は いろいろ にも 違 い が あると 思 います。 ベ ル ギ ー の 教 社務所 など、広 い 地域 にいろいろな 建物 が な い かと 思 います。 教会 の 多くは 町 の 真 ん びっくりして 言 います。 おみくじを 引くことや のスタイルがありますが 、 スタイルや 特徴 が 会 は 石造 で 、日本 の 神社 は 木造 です。 石 は 建って いるそ の 全体 を「神社」と 言 います。 中 で 、 とても 行 きや す いところにあります。 絵馬 に 書くことなど、楽しいことがたくさん 違っても 、考 え方 は 同じです。 冷 たい 材料 で 、木 は 触 れると温 かいです。 ど 教会 にも 同じ目的 を 持っている場所 がありま 神社 は 広 い 敷地をもっているので 、参拝 する できるところでワクワクするようです。 ちらも自然 の 材料 ですが 石と異 なって 木 は 成 すが 、 それは 全部同じ建物 の 中に入っていま ためには 長 い 距離を歩 かなければならないと 今回 は 、神社と教会 の 比較について 書きま 関西空港に着陸してすぐ、日本人 の 親切さ を 感じました 。日本 では 皆丁寧 で 、何 も 分 か らな い 外国人 をできる 限り手伝ってくれまし あまり残っては いませ ん が 、 10 世紀−12 長していると感じています。 た 。 1 年間 の 留学 は あっという間 に 終了し、 世紀 のロマネスク教会 は 強 い・堅 いイメージ 2 年後 ベルギーの 大学 の 日本学科を卒業しま を 持って い ます。 12 世紀以降 の ゴシック 教 神社建築 の 周囲 の 自然についてみると、こ す。例 えば 、手水舎 のように、自分を清 める ころもあります。前述 の 伏見稲荷大社 もそう した 。 日本 の 神社 は 温 か い 要素 をたくさ ん ところはあります。 聖水盤 がドアの 隣 にあっ です。最初に行ったのは 夏 のとても 蒸し暑 い 持った 場所 だと思 います。日本 で 生活 するな した 。しかし、日本 のことが 忘 れられず 、 そ 会 は 高く、天を 見上 げる感じです。 また 写真 れこそが 私にとって日本 の 神社 の 建築 の 一番 て 、入 るとき 指 を 入 れて 、十字 を 描 きます。 日で 、山 の 上まで 登るのがとても 大変 でした 。 かで日本 が 大好 きになりました 。本当に住 み して 日本語 をもっと 上手 になりた いと 思 い 、 2 のようなガーゴイルは、雨樋 の 機能 をもつ の 見どころだと思 います。 神社建築と言うと しかし、 それは 教会 の 中にあります。 そ の 違 い は 宗教 の ありかた の 違 いにあるの やすいところだと思 います。しかし、 それで 再 び日本に戻ることを決意しました 。 ものですが 、普通 のチューブだけではなく、 一般的に建物をさしますが 、神社 の 場合自然 ではないかと思 います。 キリスト教 では 、神 も 時々ホームシックになって 、自分 の 国 のベ 2 回 目 は 2010 年 10 月 か ら 2013 年 4 月 ま 怖 い 動物 の 姿 をつけています。 無学 の 庶民 も 大事 なポイントではないかと考 えます。 大 またヨーロッパの 教会 は 、町 の 一番高く大 様 へ の 信仰義務 は 重要 で 、教会 に 行くだけ ルギーのことを 思 い 出しました 。 ベルギーの での 間、大阪大学大学院文学研究科 に 入学 に 悪 の 存在 を 連想 させ 、大聖堂 から 罪 を 外 学 の 留学生 たちと、初 めての 見学旅行 で 伊 きい 建物として 作られています。 つまり、壮 では 神様 への 義務 を 果 たしたことになりませ 好きなところだけでなく、あまり好きでなかっ し、共生文明論 コー スの 研究室 で 日本 の 文 部 へ 吐き出 す意味 があります。 勢神宮 に 行 きました 。 そこでびっくりしたの 麗 で目立っていて 、周囲と適合しない 建物 だ ん 。儀式に参列 することや 告解 することが 大 た 教会 も 日本 では 懐 かしくなり、多くのよい 化と歴史 について 研究しました 。 この 2 度目 このようなヨーロッパの 教会と比 べて 、同 は 、建物 には 入 れなくて 、外 から 建物( ほと と 思 い ます。 一方、神社 は 、 さまざまな 建 事 な の です。 日本 の 神道 では 、自らが 神社 点 もあると考 えるようになりました 。しかし、 の 留学 でも 同じ研究室 の 学生に温 かく受 け 入 じ宗教建物 でも 、日本 の 神社 は 温 かく気持 ち んどが 屋根 でしたが )を 見 ることしかできな 物 が 別々に建 ち 、周囲と調和しています。神 に 行くことにもっとも 重要 な 意味 が あり、 こ 日本 の 神社 は 宗教 の 場所 としても 、建築的 れてもらいました 。 のよいところだと思 います。日本 で 住 んでい かったことです。 それにも 関 わらず 、伊勢神 社 は 美しいですが 、 その 美しさは 周囲 の 自然 れは 神社を参拝 するための 過程 が 最 も 難しい に見 ても 、自然との 調和を考 えても 、最高 だ 私 のふるさとであるヨーロッパの 教会 は 寒 たアパートは 大阪府茨木市 の 茨木神社 のすぐ 宮 の 自然 がとても 美しく、場所 の 雰囲気 が 神 によって 強調 され、一方 で 周囲 の 自然 の 美し ことからのではないかと思 います。 と 思 います。 今度 は 生 まれた 息子 を 日本 に い 場所 です。 多くの 教会 は 広く天井 も 高 い 前にあって 、よく神社に行きました 。ベルギー 秘的 でおだやかであったことに 感動し、本当 さをも 強調 すると思 います。 一例 としては 、 ので 、建物全体 を 暖 めることが 本当に難しい で 大 きな 庭 の ある 比較的広 い 家 に 住 んでい に来 てよかったと思 いました 。神宮式年遷宮 厳島神社 の 有名 な 鳥居 は 、宮島 の 美しい 自 明 るく、人 を 喜 ばせる要素 をもっていると思 です。子どもの 時 の 教会 の 一番 の 思 い 出 は 、 ましたので 、日本 のアパートは 当初とても 狭 のことについても 勉強し、 やはり建物 だけで 然を強調し、神社 の 美しさは 、周囲 の 自然と います。 ベルギーの 教会 はステンドグラスの 厚 い コ ートを 着 て 、 ベ ンチに 座って 長 い 間 いと感じました 。 そのような 時 は 、通りを渡っ なく、守られてきた 儀式・豊 かな 自然・荘厳 ともに 神社 の 美しさがあると言 えると思 いま 窓以外に、色 がほとんどありません 。歴史的 写真 1 トゥルネーのロマネスクなノートルダム 大聖堂 前 62 写真 2 オステンド 教会 のガーゴイル 絵 1 神社 の 構成 写真 3 茨木神社 の 梅苑 最後に、教会に比 べて 神社 は 、色彩に富 み 、 連 れて 行き、神社を見 せたいと思っています。 (編集/藤森衣子) 写真 4 厳島神社 の 鳥居 前 63
© Copyright 2024 Paperzz