日本語 - 兵庫県立大学看護学研究科看護基礎科学分野

2008年度兵庫県立大学大学院がんプロ:Advanced Health Assessment in Oncology Nursing Seminar
栄養評価
Miranda Kramer, RN, MS
Nurse Practitioner/Clinical Nurse Specialist
2008年度兵庫県立大学大学院がんプロ:Advanced Health Assessment in Oncology Nursing Seminar
全般的な考察
• 総カロリー摂取量は十分ですか、足りない、また
は摂り過ぎ?
• カロリーには何か含まれているか?-脂肪、
炭水化物、タンパク質、微量栄養素/ビタミン類
• 水は十分であるか、足りない、またはとり過ぎ?
• 私たちのエネルギー所要量はどれくらいか?
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患者に特有な問題
• 問題がある場合、私たちは記録をつけるため
にどのように患者に訊けばよいか?
• カフェインやアルコールの消費については?
• 患者の体重は最近安定しているか?もし安
定していないなら、増えているか、減っている
か、どのくらいの期間にわたっているか?
• 患者はどのような医学的な問題を他に抱え
ているか?
• 患者はどのような薬剤やサプリメントを摂取
しているか?
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栄養評価においてあなたは
どのようなことを求めているか?
症状?
社会的要因?
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私たちはどんな客観的尺度を持っ
ているか?
• 肥満度指数(BMI):一般的に使われている
• 望ましい体重(DBW):頻繁には使われないが
体重の変化を表すには良い
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肥満度指数
•簡便、客観的尺度
•完璧な測定ではないが、非常に良く
使われる。
•調査研究で頻繁に使われる。
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肥満度指数
• 計算
o
• 結果を表の参照値と合わせる。
• オンライン計算機のURL :
http://www.nhlbisupport.com/b
mi/
• 限界:
o
o
o
o
肥満度
分類
体重(ポンド)×703÷身長2(イン
チ)=BMI
子供には適さない。
民族性に合わせて変えても良い。
体格を考慮していない。
実際に推定しているのは体脂肪
であり、筋肉質ではない。
低体重
< 18.5
18.6 – 24.9
正常
過体重
肥満
極度の肥満
BMI
25 – 29.9
I
30.0 – 34.9
II
35.0 – 39.9
III
≥ 40
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望ましい体重(DBW)
• 女性:身長5フィートにつき100ポンド;それ以
降1インチごとに5ポンドを足す。
• 男性:身長5フィートにつき106ポンド;それ以
降1インチごとに6ポンドを足す。
• 大柄な場合は10%加える;小柄な場合は
10%引く。
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有意な体重減少を計算すること
• 望ましい体重に対する割合
• %通常の体重
• %体重の変化
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有意な体重減少を計算する
• 1週間に1~2%
• 1ヶ月間に5%
• 3ヶ月間に7.5%
• 6ヶ月間に10%
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例
• 70歳の女性で大腸がん患者は6ヶ月前の体
重は165ポンドだったと言っている。現在の体
重は143ポンドである。彼女は大腸切除をし
ており、現在外来で化学療法を受けている。
彼女の身長は5フィート4インチである。
• 体重減少前後のBMI、望ましい体重を計算せ
よ、そして%変化が有意な体重減少かどうか
検討せよ。
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例
• 元の体重165ポンドのBMIは28.3(「過体重」)であっ
た。
• 現在の体重143ポンドのBMIは24.5(「正常」)である。
• 望ましい体重:106 ポンド(最初の5 フィート分) +
(4×5ポンド 4インチの追加分) = 106 + 20 = 126 ポ
ンド
• %通常の体重=143/165=通常の体重の86.66%
• %体重の変化 (165 – 143)/165 = 22/165 = 6ヶ月
間に13.3% の体重変化
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望ましい体重への調整
• 切断
o 腕全体 6.5%
o 脚全体 18.65%
o 下肢および足 7.1%
• 対麻痺/四肢麻痺
o 対麻痺 5-10%を引く
o 四肢麻痺 10-15%を引く
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患者による主観的総合評価(PGSGA)
• 主観的および客観的データを利用する。
• Faith Ottery1により考案された。
• 腫瘍学で使われる唯一の有効なツール
• 簡便な栄養評価ツールで入院しているがん患者の
栄養不良を速やかに同定し、優先順位をつけるこ
とが可能。2
FD Ottery:患者による栄養状態の主観的総合評価 栄養腫瘍学、1996年;
2(8-9)
Bauer, J, Capra, S & Ferguson, M. ヨーロッパ臨床栄養学術誌 (2002) 56,
779-785. doi:10.1038/sj.ejcn.1601412
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PG-SGA
• PG-SGAは他のタイプの患者(移植、透
析、老齢、放射線腫瘍など)と同様、特
定のがん患者集団に使用されてきた。
• オンラインツールは以下のサイトで入手
可能。
http://www.medicine.nevada.edu/nerp/pgsga.html
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主観的データ
•
•
•
•
•
•
•
•
性別
年齢
現在の体重:
•
•
食物摂取
•
体重の変化
食欲がなく、食べたくなかった。
吐気
便秘
口の痛み
痛みのため食べられない。
へんな味がする、または味がしない。
匂いが気になる。
嘔吐
下痢
口渇
現在の身長:
1年前の体重:
6ヶ月前の体重:
過去2週間の体重:
減った
変わっていない
増えた
いつもの自分の摂取と比べて、過去1ヶ月間
の食物摂取を評価すると、
変わらない。
いつもより多い。
いつもより少ない。
いつもより非常に少ない。
現在、私は
o
固形食をほとんど摂っていない。
液体のみ摂っている 。
栄養補助食品のみ摂っている。
ほとんど何も摂っていない 。
症状
過去2週間に以下の問題を抱えていたので、
十分食べられなかった(当てはまるものすべて
にチェックをつけること)。
機能的能力
•
過去1ヶ月間について、自分の活動を全般的
に評価すると:
正常、何の制約もない。
いつもの自分とは違うが、ほとんど正常な活動に参
加することが出来る。
ほとんどのことに対して、気分がすぐれないが、寝
ているのは半日未満である。
ほとんど活動できず、一日の大半をベッドか椅子で
過ごしている。
ほとんど寝たきり、ベッドから起きることはほとんど
ない。
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客観的データ
• 代謝のストレス要因(この項目の記入に手助けが必要な場合は、医師、看護師、
または栄養士に会うこと)。
• 10日以内に熱が出たが、その時の体温は
o 99F以上101F未満
101F以上102F未満
102F以上
• 熱が出た場合、どのくらい続いたか?
o 72時間未満
72時間以上
• 体調を整えるためステロイド剤を服用している。その投与量は
o 低用量
中用量
高用量
• これまでに受けた診断名(当てはまるものすべてにチェックすること)
o がん
AIDS
心臓悪液質
外傷
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PG-SGAスコア
•
患者の年齢:41歳
患者の体重:132ポンド(60kg)
患者の身長:68インチ(173 cm)
6ヶ月前の患者の体重:140ポンド(64 kg)
1年前の患者の体重:145ポンド(66 kg)
***** 算出された臨床値 *****
肥満度指数(BMI): 20
基礎エネルギー消費量(ハリスーベネディクト式):1473 kcal
安静時エネルギー消費量(ミフリンーセント・ジョア式):1479 kcal
基礎エネルギー消費量(ハリスーベネディクト式)がん診断付:2356 kcal
安静時エネルギー消費量(ミフリンーセント・ジョア式)がん診断付:2366 kcal
***** 体重変化の要約 *****
昨年の体重に比べて9%の体重減少があった。
6ヶ月前の体重に比べて6%の体重減少があった。
過去2週間で体重が減少した。
•
•
過去1ヶ月に食物摂取が減少した。
患者はほとんど何も食べていない。
栄養状態スコアの総合評価は6
このスコアは医師の治療介入または症状の薬理学的管理に用いられるような臨床
専門看護師とのやり取りが必要であることを示している。
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PG-SGAスコア
• このスコアは重症度判定ならびに看護の指
示に役立つであろう。
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患者の年齢:70歳
患者の体重:143ポンド (65 kg)
患者の身長:64インチ(163cm)
6ヶ月前の患者の体重:165ポンド (75 kg)
6ヶ月前の患者の体重:165ポンド (75 kg)
***** 算出された臨床値 *****
肥満度指数(BMI): 25
基礎エネルギー消費量(ハリスーベネディクト式): 1293 kcal
安静時エネルギー消費量(ミフリンーセント・ジョア式): 1320 kcal
基礎エネルギー消費量(ハリスーベネディクト式)がん診断付: 2069 kcal
安静時エネルギー消費量(ミフリンーセント・ジョア式)がん診断付: 2113
kcal
***** 体重変化の要約 *****
昨年の体重に比べて13%の体重減少があった。
6ヶ月前の体重に比べて13%の体重減少があった。
過去2週間で体重が減少した。
過去1ヶ月に食物摂取が減少した。
栄養状態スコアの総合評価は5
このスコアは医師の治療介入または症状の薬理学的管理に用いられるよう
な臨床専門看護師とのやり取りが必要であることを示している。
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栄養に関するその他の客観的尺度
• アルブミン
• プレアルブミン
• 検討すべき基礎検査:
o
o
o
o
マグネシウムを含む電解質、リン、BUN、クレアチニン、
カルシウムイオン (なぜカルシウムイオンで総カルシ
ウムでないのか?)
ヘモグロビンおよびヘマトクリット
フェリチン、葉酸、B12
ビタミンD
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体液バランス
• 人体の55~78%は水から成る。
• 健康な人では毎日入れ替る体内の水分量は体重の
およそ4%である。
• 平均すると、成人では1日当たり2~3Lの水が必要で
ある。
• 2C 水=1ポンド重=480mL=0.5 kg重
• 体液バランスを評価する場合、全体の栄養だけでなく、
患者の体重も調べること。
• 浮腫を評価すること。患者にかなりの浮腫がある場合、
患者は十分に水分補給されているだろうか?
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がん患者の中で、必ず栄養
相談を受けるべき特定のタイプは
あるか?
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その通り!
•
•
•
•
•
•
頭頸部
食道
膵臓
胃
直腸結腸の場合、考慮すること。
これらの集団に栄養チューブの設置を考慮すること。
-それにより患者の栄養状態だけでなくQOLも向上する
可能性がある。
• 一部の集団にはビタミンとミネラルの補充を検討すること。
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食餌、栄養、がんの生存者権
• がんの生存者は慢性疾患のリスクが高くなる。
• 健康的でバランスの良い食事は、がんの生存者にプラスに
なると同時に、慢性疾患の重篤化を防ぐ、もしくは低減させ
ることができる。
• バランスの良い食事(低脂肪、植物由来の食品に富む)は全
生存と有意に関連しているが、再発しない生存とは関連し
ていない。
• ある種のがんの再発は、適切な食事により低減する可能性
がある(大腸がん)。
Toles M & Demark-Wahnfried W (2008年) 栄養とがん生存者 腫瘍学看護実践を導くた
めのエビデンス、腫瘍学看護におけるセミナー 24(3) 171- 179.
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一般的な減量の薦め
• がん患者が健康的に減量するために
どのような減量計画であっても、それを開始する前に腫瘍
医に相談すること。
o 減量戦略で患者を補佐すること。
o
 教育を行うこと。
 減量が週当たり2ポンドを超えないように薦めること(短期間の減量
計画よりも健康的で、脂肪が減少し、痩せた筋肉が増加する機会
が増す)。
o
o
運動を薦めること。
他にどのような医学的問題が同時に治療されているかに留
意すること(糖尿病、高血圧、冠動脈疾患など)。
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がん予防のための栄養および運動に関する
米国癌学会ガイドライン
• 生涯にわたり健康的な体重を維持すること。
o
o
o
カロリー摂取と運動のバランスをとること。
ライフサイクルを通して過剰な体重増加を避けること。
現在過体重または肥満であれば、健康的な体重を獲得し、それを維持すること。
• 運動する生活習慣を取り入れること。
o
o
成人:週のうち5日以上、通常の活動に加えて、少なくとも30分の中等度から激しい運
動をすること;45~60分の意図的な運動が出来ればより望ましい。
小児および青年:週のうち5日以上、少なくとも60分の中等度から激しい運動をすること。
• 健康的な食事を摂り、植物性の食材に重点を置くこと。
o
o
o
o
健康的な体重を獲得し、維持するために助けとなる量の食物及び飲料を選ぶこと。
毎日5品目以上のさまざまな野菜および果物を食べること。
加工された(精製された)穀物より全粒粉を選ぶこと。
加工肉および赤身の肉の消費量を制限すること。
• アルコール飲料を摂る場合は、消費量を制限すること。
o
女性なら1日当たり1杯まで、男性なら2杯までとすること。
臨床価のための癌雑誌 J Clin 56:323-353,
2006年