mae : 2003/4/1

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2003/4/1 (17:8)
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2003/4/1 (17:8)
はじめに
本書は日本で初となる Red Hat の認定資格「RHCE(Red Hat 認定エンジニア)」取
得に向けた書籍です。
RHCE 資格は、Red Hat の日本法人が設立された 1999 年から導入され、日本におい
ても 2002 年末には 1,400 名を越える RHCE 資格取得者が存在するまでになりました。
そして、現在では Linux システムの大企業や官公庁への浸透、ネットワークシステム
から基幹業務への広がりに伴い、現在では Linux 市場への参入や社内への本格導入に
あたって、組織的かつ戦略的な選択として受験される方が増えています。
RHCE は、Linux 関連の資格では現在唯一の実技試験をベースにしたものである点
で特色付けられる資格です。市場からの迅速な対応が求められている中、知識だけで
なく現場での業務に対応できる実力を証明できることが高い評価を得ているものと自
負しています。反面、実技中心であるために試験内容を分かりやすく解説した資料が
ほしいという声も寄せられていました。
本書はその声に応えて RHCE 試験に精通した執筆・監修陣によって、その全貌をご
理解いただける書籍となっています。これから RHCE 試験を受験する方が資格試験の
全体像を把握し受験に向けた学習の指針を確立されること、そして実際に受験される
方が試験直前に全体の復習に役立てていただけることを狙ってまとめられたものです。
ご活用にあたっては以下の 2 点について特にご留意いただければ幸いです。
(1)本書は執筆時点で RHCE 認定試験に利用されている Red Hat Linux 8.0、および
7.3 をベースに解説していますが、今後も Red Hat Linux のバージョンアップに
伴って、RHCE 試験の問題も更新されます。OS としての仕様変更(対応ハード
ウェアスペックの強化やアプリケーションソフトウェアの追加・変更など)が問
題にも反映されるので、受験にあたってはどのバージョンの Red Hat Linux が
利用されるかを確認し、Red Hat Linux のリリースノートやテンアートニが提供
する読者向けサポートページで最新情報を確認されることをお勧めします。
(2)RHCE 資格試験では、Red Hat Linux のインストールからトラブルシューティン
グ、主要なサーバアプリケーションの設定から運用管理まで幅広い内容に対する
本質的な理解と実務能力が求められます。本書で試験範囲を確認いただいたうえ
で、理解が不足されている点については、トレーニングコースの受講や専門書籍
を参照されるなどして補っていただきたいと思います。
3
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はじめに
また受験されるバージョンの Red Hat Linux を入手して実際に試していただくこと
は言うまでもなく効果的な勉強方法です。本書にある例題を実際に手元で試しながら
学習を進められることをお勧めします。
本書が RHCE 取得を目指すエンジニアのみなさんの一助となれば幸いです。
2002 年 3 月吉日
レッドハット株式会社
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chap00 :
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RHCE 試験の試験構成
RH253 Red Hat Linux ネットワークサーバ構築およびセキュリティ管理コース
Red Hat Linux を使用して、一般的なネットワークサービスの設定およびセキュリ
ティ管理のスキルを取得しようと考えている Linux(あるいは UNIX)のシステム
管理者向けのコース。講習日数:4 日間。最終日に RHAP Gold 試験が開催される。
RHAP Gold 試験は、50 問の選択試験。所要時間は 60 分。
RH300 RHCE 速習エキスパートコース
短期間で RHCE を取得しようと考えている Linux(あるいは UNIX)のプロフェッ
ショナル技術者向けコース。このコースには RH302 認定試験 1 日が含まれてい
る。講習日数:5 日間。最終日に RH302 認定試験が含まれる。夜間コース(10 日
間)もある。
RH302 RHCE 試験のみ(実技重視の演習試験)
。
マークシートでの選択試験ではなく実技重視の試験。試験日:随時、合格発表:試
験終了後 2 週間以内、受験料 9 万円。出題構成は次の表を参照のこと。
RHCE 試験の試験構成
RHCE 試験の試験構成
トラブルシューティング試験
トラブルが発生した OS をデバッグする。
試験時間 2 時間 30 分、フェーズ 1 とフェーズ 2 の 2 問=
100 満点
マルチプルチョイス試験
Red Hat Linux に関する広範な話題について出題される。
試験時間 60 分、50 問× 2 点=100 点満点
サーバ構築試験
Red Hat Linux を使ってサーバ環境を構築する。
試験時間 2 時間 30 分、インストール、ローカル、ネット
ワークサービス、選択の 4 つのカテゴリに分けられて出
題= 100 点満点
合格ライン
● 3 つの試験の合計得点の正解率が 80%以上。
● 3 つの試験のうち 50%未満の正解率の試験が 1 つもな
いこと。
●トラブルシューティング試験開始 1 時間後までに、必
須問題をすべて正答していること。
●サーバ構築試験のローカル/ネットワークサービスの
カテゴリにおいて、それぞれ 70%以上の正解率をあげて
いること。
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chap00 :
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RHCE 試験とは
RHCE 試験の出題課目
次に、実際の RHCE 認定試験がどのように行われるのかを説明してゆく。この試験
は午前 9 時 30 分から始まり、午後 4 時 45 分頃に終了する。受講生の数や試験官の裁
量により、終了時刻も変わる可能性があるので、覚えておくとよい。
試験会場に入ると、1 台のコンピュータの前に着席する。すべての問題はこのコン
ピュータ上で行われることになっている。基本的にすべてのコンピュータのスペック
は同じであるので、どのコンピュータを選んでもよい。開始時間ぎりぎりに会場に入っ
た場合は、他の受験者の座っていないコンピュータの前となる。空調の場所、窓の場
所などにこだわりがあるのであれば、早めに会場に入ることをお勧めする。
トラブルシューティング試験
まず、最初に実施される試験はトラブルシューティング試験である。オペレーティン
グシステムが正常に起動しない、もしくは機能が正しく設定されていない状態の Red
Hat Linux がインストールされるので、どこに不具合があるのかを解析しながら、正
常に起動するように、正しく設定すればよい。配布される試験用紙にも「どのように
立ち上げるか」の指示が表示されるので、その指示に従ってデバッグを行う。
トラブルシューティング試験の所要時間は、2 時間 30 分である。この時間内でフェー
ズ 1 とフェーズ 2 の 2 問を解かなければならない。このフェーズ 1 とフェーズ 2 は、必
ずフェーズ 1 から実施される。フェーズ 2 から先に実施することはできないし、フェー
ズ 1 に正答できなくてフェーズ 2 に進んで、フェーズ 2 はすぐに正答を導き出せたとし
ても、フェーズ 1 に戻って再度挑戦することはできないので、注意していただきたい。
また、フェーズ 1 には必須問題がある。この必須問題は試験開始 1 時間以内に正答
を出さなければならないものもあり、非常に注意する必要がある。
試験開始 1 時間後には、試験官より「中間採点を行うから作業を止めるように」と
指示が出るので、その時点ですべての作業を止めなければならない。試験官が採点用
のスクリプトを用意して各自の PC 上で採点を行うので、その作業が完了するまでは
PC に触れてはならない。この採点だが、試験官は採点の結果を画面に表示したまま、
次の PC へ移動してしまうので、採点結果をよく注視しよう。自分の PC ではどの問
題に正答を出していて、どの問題には正答を出していないかが表示されている。試験
開始 1 時間以内に正答を出さなければならない問題に、正解していない場合は、残念
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chap00 :
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トラブルシューティング試験
ながらその時点で不合格が決まってしまう。たとえ、不合格であることが分かった場
合でも気を落とさずに最後まで頑張っていただきたい。
なお、この中間採点は依頼すれば何度でも行ってもらえる。試験開始 30 分後であっ
ても、フェーズ 1 のすべての問題に回答しているのであれば、手を挙げて試験官を呼び
「採点をお願いします」と依頼すればよい。その採点の結果、不正解のものがあった場
合は、再度その問題に挑戦すればよい。試験開始後 40 分、もしくは試験開始後 50 分
になっていようと、依頼すれば何度でも採点してくれるので、これを見逃す手はない。
フェーズ 1 に関しては時間制限のある必須問題以外にも問題がある。試験開始 1 時
間を経過し中間採点が行われたあとでも、すべての問題を解き終えていないのであれ
ば、続けてこの問題に取り組むべきである。すべての問題を解き終え、試験官に採点
をしてもらって、すべてが正解であった場合には、フェーズ 2 の問題に進むよう指示
が出る。フェーズ 2 の問題をインストールするための FD を受け取ってドライブに挿
入後、再起動をかければ自動的に次のフェーズ 2 の問題がインストールされる。イン
ストールにかかる時間は 2∼3 分程度である。
中間採点の終了後もフェーズ 1 の残りの問題に取り組んだが、どうしても正解を導
くことができない場合もあるかと思う。その場合は試験官に申し出ることで、フェー
ズ 2 の問題に進むことも可能である。
過去の試験中によく見かけたのは、試験官が採点を行っている最中に、
「どこに問題
があった」
「何のコマンドを実行した」などの情報を、試験官に対して言葉で教えてく
れる方である。どんな試験であっても、試験時間に私語は謹むようにすべきである。
その方が話してくれた情報は、他の受験生にとっての解答となっているのだから。
フェーズ 2 では途中採点は行われない。試験官に採点を依頼しても実施してはくれ
ない。フェーズ 2 は、自分がすべての問題を解き終えたと判断したら、静かに会場か
ら退出する。採点は受験生全員が退出したあとで行われるので、フェーズ 2 の結果を
知る術はない。
長年、試験官を務めてきた著者が感じていることは、ほとんどの受験生は 2 時間 30 分
という時間を、あまりうまく利用できていないということである。この時間内でフェー
ズ 1 とフェーズ 2 の 2 問を解くのだから、試験開始後 90 分くらいまでにはフェーズ 1
を終えていたいものである。それにもかかわらず、フェーズ 1 に 120 分以上時間をか
けてしまっては、フェーズ 2 に解り組む時間はほとんどない。フェーズ 1 に全問正答
を出せない場合でも、思い切ってフェーズ 2 に進んでしまうことも必要である。
また、あまり考え過ぎないのも大切だ。他にも不具合点があるのではないかと、必
要以上に設定ファイルを見ていても、時間の無駄である。初めに見た現象が何である
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chap00 :
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RHCE 試験とは
かを考え、例えばオペレーティングシステムが起動しないのであれば、起動するよう
になった時点で、試験官に採点をお願いするのもよいだろう。
マルチプルチョイス試験
次に実施されるのが、マルチプルチョイス試験である。Web ブラウザ上に 50 問の
選択問題が表示されるので、正解と思われるものを 1 つだけ選ぶ。選択肢の中には「こ
の 2 つとも正解と思える」ものがあるようだが、そのような場合はよく問題を読み直
してほしい。正解は 1 つしかないか、以下のようにわざと間違えるように書かれてい
るものもある。
問題 1
Red Hat を日本語に直訳すると何になるか?
A. 赤い帽子
B. 赤帽
C. 赤い本
D. A と B
E. 正解は存在しない
この問題における正解は、D である。もちろん A も B も正解なのだが、選択できる
のは 1 つだけなので、A もしくは B のうちの 1 つだけを選んでも正解とはならない。
選択問題の所要時間は 60 分である。これだけの時間に対して 50 問という時間があ
れば余裕をもって取り込めるはずである。あせらずにじっくりと取り組んでいただき
たい。
選択問題は 1 問につき 2 点の配点となっている。2 点× 50 問でこちらも 100 点満点
となっている。
なお、選択問題に関してはデバッグ問題と異なり、その場で採点されるわけではな
いので、試験官に結果(点数)を尋ねてはいけない。
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chap00 :
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合否判定
サーバ構築試験
最後に実施されるのがサーバ構築試験となる。
「どんなサーバを構築するのか」を印
刷した問題用紙が試験官より配布されるので、その用紙に書かれた指示に従ってサー
バを構築する。この問題は Red Hat Linux のインストールから開始することになるが、
どんな RPM パッケージをインストールすべきかは、実際にインストールを開始する
前に決めてしまう。もちろん不足があったとしても、あとで追加インストールするこ
とも可能なので、最初からインストールをやり直す必要はない。
ただし、あとで追加インストールを行う方法が分からないのでは、やはり問題であ
る。検索時に使用するオプションなどは、日頃から使用することも限られるので、その
都度調べてからでよいのだが、新規登録/更新/削除などの使用頻度の高いオプショ
ンは、調べなくとも使えるようになっているべきである。
このインストール問題では、パーティションの作成、ユーザーアカウントの作成、
サーバアプリケーションの構築、セキュリティの設定などが重要となってくる。DNS、
Apache、Sendmail、Samba、NFS、DHCP、POP、IMAP、xinetd などは、設定ファ
イルの内容を自分で書き換えられるようになっていてほしい。
セキュリティに関しても、xinetd、tcp_wrappers、ipchains、iptables などの機能や
設定方法を正しく理解しておくべきである。特にセキュリティに関しては、その設定
を間違えたために、正しく構築したサーバアプリケーションのサービスが提供できな
い状態となっている受験者が多い。注意すべき点でもある。
サーバ構築問題の所要時間は 2 時間 30 分である。あせらずにゆっくりと取り組んで
も時間には余裕を持てるはずである。
合否判定
RHCE 認定試験は、トラブルシューティング試験、マルチプルチョイス試験、サー
バ構築試験の 3 つの試験で構成されており、3 つの試験の合計得点の正解率が 80%以
上の場合に合格と見なされる。ただし、3 つの試験のうち 50%未満の正解率の試験が
1 つもないことと、トラブルシューティング試験開始 1 時間後までに、必須問題をす
べて正答していること。そして、サーバ構築試験のローカル/ネットワークサービス
のカテゴリにおいて、それぞれ 70%以上の正解率をあげていることが条件となる。
残念ながら RHCE 認定試験は不合格となってしまった場合でも、試験の結果によっ
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chap00 :
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RHCE 試験とは
ては別の資格を取得することも可能である。
目指す目標が異なる結果となってしまうが、トラブルシューティング試験開始 1 時
間以内に、必須問題をすべて正答していて、サーバ構築試験におけるローカルのカ
テゴリにおいて、70%以上の正解率をあげている場合は、RHCT(Red Hat Certified
Technician)として認めてもらえるようになっている。これは Red Hat Linux 8 対応
の RHCE 試験から採用された資格である。RHCT を目指す方もいらしゃるかも知れな
いが、ぜひ RHCE を目指して頑張っていただきたい。
2 週間程度待っていると、米国 Red Hat 社より電子メールにて合否が通知される。
すべて英語で書かれているので、普段から英語のメールなどを受け取ったことのない
人には新鮮かも知れないが、じっくりとそのメールを読んでほしい。それぞれの問題
ごとにどの程度正解できたかが分かるはずである。そして、正解率の最後に“PASS”
と書かれていれば、あなたはこの試験に“合格”したことになる。
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chap01 :
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第1部
トラブルシューティング試験
トラブルシューティング試験は、RHCE 認定試験の中で最初に行われる試験である。
会場に入ると数台のコンピュータに Red Hat Linux のインストールが終了しているこ
とが分かる。その中の 1 台の前に座り、試験官の指示に従ってトラブルシューティン
グ(デバッグ)を開始することになる。
トラブルシューティング試験で一番驚くことは、Linux が正常に起動しないことで
ある。もちろんその状況を正しく把握し、問題点を修正して正常に起動するように設
定することである。
普段、正常に起動しないコンピュータなどは、あまり見かけることもないはずなの
で、最初は非常に驚いてしまう人も多いが、落ち着いて取り組めば、想像しているよ
りも早い時間に会場を退出することも可能となるはずである。
2 時間 30 分という時間は、想像以上に長い。時間を有効に活用するコツを模擬問題
を元に訓練しよう。
chap01 :
2003/4/1 (17:8)
トラブルシューテ
ィング試験
第1章
トラブルシューティング試験
1-1 例題と解説
フェーズ 1
必須問題:Red Hat Linux を正常に立ち上げなさい。
必須問題:初期のランレベルを 3 に設定しなさい。
必須問題:startx のコマンドで X Window System が正常に起動されるよう
に設定しなさい。
前準備(この作業は誰かに依頼して実施してもらうこと。)
( 1)ブートローダに LILO を使用していることを確認すること。
( 2)システム管理者に移行する。
( 3)以下のコマンドを使用して、ブートセクタを消去する。
# dd if=/dev/zero of=/dev/hda bs=446 count=1
( 4)Red Hat Linux を再起動させる。
( 5)正常に起動しなければ、その時点からデバッグを開始すること。
解説:この問題の場合、ブートセクタが消去されているため、Linux を起動させる
ためのいろいろなデーモンの起動画面は表示されない。BIOS のチェック画面の次に
本来表示されるはずの画面が、一切表示されずそのまま停止しているようになってし
まう。
本来は LILO もしくは GRUB の起動画面が表示されるはずなので、LILO もしくは
GRUB に問題があると判断してよい。どちらに問題があるのかは、この状態では判断
できない。
まったく起動しない状態なので、ランレベル 1 で起動させることも当然、不可能で
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chap01 :
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第 1 章 トラブルシューティング試験
ある。このような場合はレスキューモードで起動させ、問題を解決することになる。
CD-ROM もしくは bootnet.img の書き込まれた FD を用意し、マシンの電源を投入
する。最初に表示される画面で、linux rescue と入力することを忘れてはいけない。
その後で、言語/キーボードの設定などを聞いてくるので、自分の環境に合わせて
答えれば問題ない。ただし、CD-ROM からレスキューモードに移った場合は、英語環
境を選択すること。
レスキューモードで起動したならば、/etc ディレクトリ配下を確認し、lilo.conf も
しくは grub.conf ファイルの存在を確認する。その次に個々のファイルの内容に関し
て確認すること。
この問題の場合、どの部分に不具合があるかは、前準備の部分を見ていただければ
すぐに判断できると思うが、lilo.conf や grub.conf ファイルの内容に不具合などは発見
できない。
ブートセクタが消去されているだけなので、以下のコマンドを使用して lilo もしく
は GRUB を再インストールしてみる。
LILO を再インストールする場合
lilo -v -v
GRUB を再インストールする場合
grub-install /dev/hda
LILO でも GRUB でも、問題なくインストールできると思う。これはどちらを選択
してもよい。この後でレスキューモードを終了させ、Red Hat Linux が正常に起動す
ることを確認できれば、試験管に採点をお願いしてみよう。
次にランレベルの初期設定値をチェックする。これは/etc/inittab ファイルの中で設
定されているので、要求されているランレベルに設定する。最後は X Window System
の設定となるが、redhat-config-xfree86 ユーティリティを使って、Xサーバの設定と
モニタ等の情報を正しく設定することで完了となる。
ここまでの設定に間違いのないことを再度確認し、試験官に採点を依頼しよう。試
験官よりコンピュータの再起動を依頼された場合は、その指示に従うこと。試験官が
採点を行い、すべての問題に正解していることが確認されたならば、次の問題に進む
ことができる。次の問題に取りかかるには、次の問題のための環境を再度インストー
ルしなければならない。問題のインストールは試験官の指示に従って操作を行えば、
自動的に行われる。実際のインストール時間は 3∼5 分程度である。この時間を使っ
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chap01 :
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1-1 例題と解説
トラブルシューテ
ィング試験
て、少しでも気持ちを落ち着かせておこう。
フェーズ 2
ランレベル 3 で起動させなさい。
前準備(この作業は誰かに依頼して実施してもらうこと。)
( 1)ブートローダに LILO を使用していることを確認すること。
( 2)/etc/lilo.conf の任意の行に以下の 1 行を追加すること。
append="mem=1m"
( 3)LILO マップインストーラを起動させる。
# lilo -v -v
( 4)Red Hat Linux を再起動させる。
( 5)正常に起動しなければ、その時点からデバッグを開始すること。
解説:この問題の場合、/etc/lilo.conf が不正に書き換えられているので、その部分
を見つけることが重要となる。
もちろん実際に試験を受けている時に、/etc/lilo.conf に不正があることなど、簡単
に判断できるはずはないので、実際に起動させどんな障害が発生するのかを、確認し
ながらデバッグしていかなければならない。
マシンに電源を投入すると、最初に確認できる画面は BIOS のチェック画面である。
メモリのチェックなどの処理が終了すると、ブートローダが起動する画面となる。今
回はブートローダに LILO を採用しているので、LILO の起動画面が表示される。そし
て、Linux を起動させるために必要な処理が順次開始されていくことになる。
注意しておきたいのは、どの部分まで起動が行われたら、異常が発生するかにある。
赤い文字で「Red Hat Linux」と表示されたなら、init デーモンが起動されたと判断で
きる。この文字が表示される前に異常が発生した場合には、init デーモンの起動前に
問題が発生していることが分かる。
この問題の場合、init デーモンが起動される前に異常が発生するので、Linux 起動の
シーケンスを思い返し、init デーモンが起動される前の処理の中で、参照されるはず
のファイルを、1 つ 1 つチェックしていくべきだろう。
ここで重要なことは、通常ここで参照するようなファイルには、どのような内容が
記述されているのかを、認識しておくことである。記憶の中のファイルと、実際に自
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chap01 :
2003/4/1 (17:8)
第 1 章 トラブルシューティング試験
分の目で見ているファイルとの間に違いを指摘できなければ、これらの問題を解くこ
とは難しい。
ただし、この問題の場合、
「append="mem=1m"」という 1 行を追加しただけなので
この 1 行そのものには問題がないため、不正を指摘することは難しいかも知れない。
あとは個々の行の意味を正しく把握しておくことかも知れない。append 命令の意
味を正しく把握していれば、この問題を解決することも簡単かも知れない。この行の
意味は、Linux の起動時にカーネルで認識できないだけのメモリが実装されていた場
合、その正しいメモリ容量をカーネルにオプションとして渡すのが append 命令の用
途である。ここではメモリの容量は 1M バイトと指定している。実装されているメモ
リ容量が 1M バイトであるはずはないので、この行が不正であると気づくことができ
れば、あとの操作は簡単であろう。
まず、この 1 行をコメントとして、lilo コマンドを実行後に再起動させてみよう。お
そらくそれだけで、この問題は解決してしまうかも知れない。まだ、不具合が発生す
るようであれば、実際に実装されているメモリ容量を指定してみよう。これでこの問
題が解決すれば、試験官を呼んで採点してもらうだけとなる。
トラブルシューティング試験(デバッグ問題)では、このようにフェーズ 1 とフェー
ズ 2 の 2 問が出題されるので、その都度不正箇所を見つけ正常に起動させることの繰
り返しとなる。
注意していただきたいのは、すべての問題において Red Hat Linux が起動しないわ
けではないということだ。問題によっては正常に起動するものもあるので、その場合
は異常が発生している箇所に関連する設定ファイルを、1 つずつチェックしていくこ
とだろう。
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chap02 :
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第2部
マルチプルチョイス試験
第 2 部では、マルチプルチョイス試験(選択問題)の例題を出し、1 問ずつ解答解
説をしていく。学習の分野ごとに以下の 11 章に分類してある。試してみよう。
第 2 章 Red Hat Linux の特徴
第 3 章 Red Hat Linux のインストール
第 4 章 パッケージマネージャ
第 5 章 X Window System
第 6 章 ディレクトリ、ファイル操作コマンド
第 7 章 ファイルのパーミッション
第 8 章 vi エディタ
第 9 章 システム管理
第 10 章 ネットワーク
第 11 章 サーバアプリケーション
第 12 章 セキュリティ
chap02 :
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第2章
Red Hat Linux の特徴
Power PC、Motorola 68k、SPARC アーキテクチャなど、各種のプラットフォーム向
けにも移植されている。
なお、RHCE 認定試験は x86 アーキテクチャのみを対象としているので、覚えてお
いてほしい。
Linux の核となるのはカーネルである。このカーネルは、デフォルトで最大 1G バイ
トまでのメモリを起動時に認識することができる。ただし、この容量もカーネルにより
若干異なっている。例えば、i386 / i586 カーネルはデフォルト通り 1G バイトまでのサ
ポートとなっているが、i686 / athlon カーネルの場合は 4G バイトまでのサポートと
なっている。さらに、Intel「物理アドレス拡張」
(Physical Address Extensions: PAE)
をサポートしているプロセッサ上では、64G バイトのメモリ(若干の制約あり)をサ
ポートしている。この 64G バイトまでサポートされているカーネルのことを bigmem
カーネルと呼んでいる。
smp カーネルや bigmem カーネルでは、対照型マルチプロセッシング(SMP)がサ
ポートされている。Red Hat Linux では、x86 アーキテクチャ上で最大 8 個の CPU を
サポートしている。しかも、8 個の CPU までは、比例的な性能の向上も得ることが可
能である。
CPU やメモリのことを記述したが、このようにハードウェアに対するアクセスを制
御することは、あらゆるオペレーティングシステムの主要な役割の 1 つである。Linux
カーネルは、システムの CPU、メモリ、コンソールならびに PCI バスのような基本
的コンポーネントへのアクセスのための中核的機能を提供している。通常、これらの
ハードウェアリソースの検出と設定は、自動的に行われている。
周辺機器へのサポートは、一般的にカーネルのデバイスドライバによって行われて
いる。カーネルは様々なドライバのうち、割り込み、入出力ポート、I/O マップメモ
29
の
Red Hat Linux
特徴
Red Hat Linux は、Intel 互換 x86、Intel IA-64、Compaq Alpha、IBM S/390 アー
キテクチャで使用することが可能なオペレーティングシステムである。このほかにも
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第 2 章 Red Hat Linux の特徴
リ、直接メモリアクセス(DMA)のような低レベルリソースの調整を行っている。大
半のデバイスドライバは、静的にコアカーネルイメージにコンパイルされているか、
動的にロードされるカーネルモジュールとして実現することが可能となっている。
Linux では UNIX 同様、デバイスドライバへのアクセスは、ファイルシステムのデ
バイスノードを介して行われる。UNIX ではすべてのデバイスがファイルであるよう
に、Linux でもすべてのデバイスはファイルとしてのアクセスが可能である。
下記のコマンドの例は、それぞれデータを直接パラレルポートのプリンタやフロッ
ピーディスクへ送る例である。
cat 2003 > /dev/lp0
cat /etc/resolv.conf > /dev/fd0
上記の例は極端な例ではあるが、ファイルシステムのインターフェイスにより、プ
ログラマーは同一の手段によりハードウェアに適合したアプリケーションの設計を行
うことが可能となっている。
デバイスノードはファイルシステム内のどこに保存されていてもよいのだが、通常
は/dev ディレクトリ配下に置かれている。下記は ls -l /dev コマンドの実行例である
(抜粋)。
brw-rw---brw-rw---crw-rw---brw-rw----
1
1
1
1
root
root
root
root
floppy
disk
lp
disk
2,
3,
6,
9,
0
0
0
0
8月
8月
8月
8月
31
31
31
31
2001
2001
2001
2001
fd0
hda
lp0
md0
デバイスノードには、キャラクタデバイス用のデバイスノードとブロックデバイス
用のデバイスノードがある。キャラクタデバイスはストリーム指向であり、ブロック
デバイスはランダムアクセス用となっている。これを見分けるには、上記例の左端の
1 文字を参照すればよい。キャラクタデバイスは c となっていて、ブロックデバイス
は b となっている。
デバイスノードは/bin/mknod コマンドで作成することも可能である。以下に/bin/mk
nod コマンドの構文を示す。
mknod myfd0 b 2 0
30
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
2-1 例題
1
複数のユーザーが同時に作業を行えることを、一般的に何と呼ぶか。
マルチジョブ
B.
マルチユーザー
C.
マルチタスク
D.
デュアルユーザー
E.
デュアルジョブ
の
Red Hat Linux
特徴
A.
Linux の主な特徴の 1 つは、マルチユーザー/マルチタスクのオペレーティングシ
ステム(OS)であることにある。複数のユーザーが同一のコンピュータに同時にログ
インすることができる。また同じユーザーが、2 台以上の端末から同時にログインす
ることも可能。複数のプログラムを同時に実行させることも可能である(マルチタス
ク)。その他の特徴には、マルチプラットフォームであることなどが挙げられる。
この問題は「複数のユーザーが同時に作業を行えることを何と呼ぶか」と聞いてい
るので、正解は B のマルチユーザーとなる。
正解( B )
31
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第 2 章 Red Hat Linux の特徴
2
複数のタスクが同時に作業を行えることを、一般的に何と呼ぶか。
A.
タイムシェアリングシステム
B.
ダウンストリーム
C.
ジョブスケジューラ
D.
マルチタスク
E.
マルチユーザー
タイムシェアリングシステムとは、時分割利用システムのことを示し、ダウンスト
リームとは、通信回線を流れるデータのうち、上流のマシンから下流のマシンへ流れて
いくものを示す。ジョブスケジューラとは、ジョブの実行スケジュールを定め、優先
度を割り当てて待ち行列を作り、その順にジョブを実行するためのプログラムを示す。
正解( D )
3
Red Hat Linux 8.0 は、6 つの仮想コンソールをデフォルトで
利用できるように設計されている。では、X Window System
から仮想コンソールへ切り替える場合、どのキーの組み合わせを
入力すべきか。
A.
Ctrl + ファンクションキー
B.
Ctrl + Alt + ファンクションキー
C.
Shift + ファンクションキー
D.
Shift + Alt + ファンクションキー
E.
Ctrl + Shift + ファンクションキー
X Window System が起動していない状態であれば、 Alt キーとファンクションキー
の組み合わせを使用できるが、この問題の場合は X Window System が起動している状
態とあるので、 Ctrl キーと Alt キーとファンクションキーの組み合わせが正解となる。
正解( B )
32
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
4
Red Hat Linux 8.0 では、提供されていない Web ブラウザは
どれか。
Internet Explorer
B.
Netscape Communicator
C. Mozillai
D. Lynx
E.
Links
Internet Explorer とは、Windows 98 等の OS の一機能として統合されているもの
である。その他の B∼E はすべて Red Hat Linux 8.0 で提供されている Web ブラウザ
である。Lynx はコマンドベースの Web ブラウザであるため、画像データなどの表示
は不可能だが、テキスト中心のサイトを閲覧する場合には有益なプログラムであると
言える。Mozilla はオープンソースで開発されている Web ブラウザである。Links も
Lynx 同様、テキストモードのブラウザである。
正解( A )
5
A.
Linux がデータの格納等に使用するファイルの中で、各種デバイ
スを使用する時に用いられるファイルを何と呼ぶか。
デバイスファイル
B.
デバイスアクセスファイル
C.
リムーバルメデイアファイル
D.
リムーバルメディアアクセスファイル
E.
正解はない
Linux がファイルを介してハードウェアデバイスにアクセスするということは、ユー
ザーがデバイスについて特殊な詳細事項を知る必要がないことを意味している。例え
ば、1 台目の SCSI ディスクのドライブ上にあっても 2 台目の EIDE ドライブの 4 番目
のパーティション上にあっても、ユーザーが任意のファイルにアクセスする場合、こ
うした情報を知る必要はない。
正解( A )
33
の
Red Hat Linux
特徴
A.
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
第 2 章 Red Hat Linux の特徴
6
A.
問題 5 で示されるファイルは、データの転送方法によってその型
が異なる。どのような型があるか。
パケット型デバイスとブロック型デバイス
B.
ブロック型デバイスとキャラクタ型デバイス
C.
キャラクタ型デバイスとバイト型デバイス
D.
バイト型デバイスとパケット型デバイス
E.
AとD
ハードディスクのようなブロック型デバイスは、データをバイトのブロック単位で
転送する。これらのブロックの一般的なサイズは、512 バイトから 32K バイトである。
ブロック型デバイスは、データにランダムにアクセスすることが可能である。
キャラクタ型デバイスは、例えばシリアルポートやモデムの場合に、1 バイトずつ
データの転送を行う。キャラクタ型デバイスは、順番(シリアル)に読み書きしなけ
ればならない。他の選択肢に書かれている型は、基本的に存在しない。
正解( B )
34
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
7
ext3 ファイルシステムの 3 つのジャーナリングモードに含まれ
ないものはどれか。
journaled
B.
ordered
C. writeback
D. chattr
E.
AとB
journaled モードは、データおよびメタデータのジャーナリングを行う。ordered モー
ドは、デフォルトのモードでメタデータのみのジャーナリングを行う。writeback モー
ドは、より高速な fsck が可能である。ext3 ファイルシステムにおけるジャーナリング
モードは、この 3 種類である。chattr はコマンドである。ext2 ファイルシステム構造
はある程度のデータ制御/ファイル属性を用意しているが、この属性を変更する場合
に使用するコマンドが chattr である。
正解( D )
35
の
Red Hat Linux
特徴
A.
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
第 2 章 Red Hat Linux の特徴
8
A.
シェルの基本機能には、対話型機能/環境調整機能の他に、どの
ような機能があるか。
システム管理機能
B.
システム整備機能
C.
バックアップ機能
D.
プログラミング機能
E.
リブート機能
簡易プログラムを作成する場合には、シェルスクリプトとして作成することが便利
であると言える。シェルで使用できるコマンドやプログラム制御の命令を記述するこ
とで、簡単にプログラミングが可能となるからだ。この選択肢の中で最も適切と思わ
れるのは D のプログラミング機能。
正解( D )
9
Red Hat Linux 8.0 にて、一般ユーザーでもマウントが可能なデ
バイスは何か。
A.
floppy
B.
cdrom
C. hda1
D.
すべて
E.
一切存在しない
B、C は root のみマウントを行うことができる。
正解( A )
36
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
10
x86 アーキテクチャでカーネル 2.4 では、最大何個までの CPU
の SMP サポートを行っているか。
256 個
B.
128 個
C. 64 個
D. 32 個
E.
8個
x86 アーキテクチャでは最大 8CPU までサポートされている。しかも 8 個の CPU ま
では、比例的な性能の向上を得ることが可能である。
正解( D )
11
Red Hat Linux 8.0 では、デフォルトで物理 RAM を何バイト
まで自動認識可能か。
A.
4G バイト
B.
8G バイト
C. 2G バイト
D.
無制限
E.
512M バイト
UNI、SMP カーネルでの認識は 4G バイトまで行われ、bigmem-kernel は 4G バイ
ト以上のメモリも自動認識する。
正解( A )
37
の
Red Hat Linux
特徴
A.
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
第 2 章 Red Hat Linux の特徴
12
lspci コマンドは、どのバス(とそこにつながっているすべてのデ
バイス)に関する情報を表示するコマンドか。
A.
MCA
B.
PCI
C. USB
D. IEEE1394
E.
シリアルポート
lspci は PCI バスに接続されたすべてのデバイスの情報を表示する。
正解( B )
13
カーネル 2.4 において ISA バスのプラグアンドプレー対応はどう
なっているか。
A.
対応していない
B.
カーネル側でデバイスの設定が行えるようになった
C. 2.2 のレベルと同じ
D.
すべて違う
E.
特定メーカーが開発している ISA バスにのみ対応
従来、isapnptools を用いて設定していた ISA PnP デバイスは、カーネル側で行え
るようになった。カーネル構築時に明示的に CONFIG_ISAPNP を選択することで利
用できるようになる。2.4 でも対応しているので A は誤り。D はすべての機能に対し
て言っているので誤り。E はありえないので誤り。
正解( B )
38
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
14
高性能グラフィックカード用に設けられた新型バスとは何か。
A.
PGP
B.
AGP
D. EISA
E.
正解はここにはない
A は暗号化技術の 1 つ。C の PCI バスは AGP の登場はグラフィックカード用バス
として使われてきた。D の EISA バスは ISA バスの拡張規格として以前使われていた。
正解( B )
39
の
Red Hat Linux
特徴
C. PCI
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
第 2 章 Red Hat Linux の特徴
15
/dev/hda ファイルは、どのデバイスへのアクセスのためのファ
イルか。
A.
IDE ディスクのプライマリマスタードライブ
B.
最初に検出した SCSI ディスクの a パーティション
C. 1 台目のフロッピーディスクドライブ
D.
ディスクへのアクセス状況が格納された特殊デバイス
E.
テキストファイル
Linux がデバイス表現する際には文字と数字の組み合わせを使用する。この命名体
系はファイルベースであり、/dev/xxyN のような形式のファイル名を使用する。デ
バイス名の最初 xx は、デバイスのタイプを表す。hd は IDE ディスクを、sd は SCSI
ディスクを、fd はフロッピーディスクを表す。IDE ディスクの場合、次の文字 y によ
り、プライマリ、セカンダリー、マスター、スレーブが区別される。プライマリマス
ターの場合は a、プライマリスレーブの場合は b、セカンダリマスターの場合は c、セ
カンダリスレーブの場合は d となる。最後の N はパーティションを表す。最初の 4 つ
の(プライマリもしくは拡張)パーティションには 1 から 4 までの番号が割り当てら
れる。論理パーティションは 5 から始まる番号が割り当てられる。N に相当する部分
がない場合、例えば/dev/hda のような場合は、ディスクそのものが表される。
正解( A )
40
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
16
A.
デュアルブートシステムを構築する場合の問題点はどれか。
通常、購入したばかりの PC に Linux 以外のオペレーティングシステ
ムがインストールされている場合、あとから Linux をインストールす
B.
Windows ファイルシステムと Linux ファイルシステムはハードディ
スク上に共存させることができない。
C. LILO や GRUB といったブートローダは、他のオペレーティングシス
テムをブートさせることができない。
D. Windows NT ブートローダのみ、Windows NT と Linux のマルチブー
トシステムに対応しているので、共存可能な他 OS が Windows NT に
限定されている。
E.
マルチブートシステムを構築するには、商用のブートローダを購入し
ないと実現不可能である。
購入したばかりの PC は、1 つのオペレーティングシステムがハードディスクを占
有していることがほとんどなので、Linux をインストールするための領域は存在しな
い。Windows のファイルシステムである FAT32 と Linux のファイルシステムである
ext2、ext3 ファイルシステムは共存可能である。LILO や GRUB は Windows 98 など
のオペレーティングシステムを起動させることが可能である。そのため Windows NT
に限定されることはない。商用のブートローダを別途用意する必要はない。
正解( A )
41
の
Red Hat Linux
特徴
る領域は存在しない。
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
第 2 章 Red Hat Linux の特徴
17
Red Hat Linux 7.3 からデフォルトに追加された ext3 ファイ
ルシステムの特徴として不適切なものはどれか。
A.
ext3 はほとんどのケースで ext2 より速い情報処理をする。
B.
ext2 から ext3 への移行には、ファイルシステムの再フォーマットは
必要ない。
C. e 不完全なシステム停止の後で、ext3 ファイルシステムが復帰するの
に必要な時間は約 5 分間である。
D. A∼C すべて。
E.
正解はここにはない。
不完全システム停止の後で、ext3 ファイルシステムが復帰するのに必要な時間は、
ファイルシステムの大きさや、ファイルの数によって決まるものではない。それは一
貫性を保持するために使用されるジャーナルのサイズによって左右される。デフォル
トのジャーナルのサイズでは、ハードウェアのスピードにもよるが、回復まで約 1 秒
かかる。
正解( D )
42
chap02 :
2003/4/1 (17:8)
2-1 例題
18
Red Hat Linux 8.0 では、認証に利用可能な機能がいくつか提
供されている。 以下のもので、Red Hat Linux 8.0 で利用でき
ない認証方式はどれか。
NIS
B.
NIS+
の
Red Hat Linux
特徴
A.
C. LDAP
D. Kerberos
E.
MD5
Red Hat Linux 8.0 ではローカルな認証方式(MD5 と shadow パスワードの利用を
含む) 以外に、NIS、LDAP、Kerberos、SMB を用いた認証が利用できる。
正解( B )
19
SCSI のテープデバイスには、どのようなデバイスファイル名が
設定されているか。
A.
/dev/st
B.
/dev/sr
C. /dev/mt
D. /dev/sg
E.
正解はここにはない
/dev/sr は SCSI CD-ROM、/dev/sg はスキャナなどの SCSI Generic デバイスに用
いられるデバイスファイル名である。
正解( A )
43