知的所有権センター

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産業用ロボットで世界のトップシェアを誇る株式会社安川電機
は、人の腕と同様の動きができる7軸ロボットを開発した。1915年
の設立以来、モータとその制御技術で成長してきた同社は、1977年
からモートマン(MOTOMAN)ブランドで、独自開発した電動式
VOL.
産業用ロボットを展開してきた。
自動車産業を中心に産業用ロボットが普及し、ロボットは6軸(関
節)が主流になった。しかし、6軸の場合、アームは水平あるいは垂
直方向に動き、障害物を避けるような回り込み姿勢ができない。そ
人の代わりに働く産業用ロボット のような中、製造や物流の多様な作業を自動化するニーズの高まり
を受け、人と同じような運動・作業能力と自在性を可能にする7軸
「MOTOMAN-SIA、
MOTOMAN-SDA」 への挑戦が始まったのは1990年代のことである。関節に当たる軸
にはモータ、減速機(ギヤ)
、ブレーキなどによる動力機構がある。
特許 第3402378号
人と同等のスペースでの作業をするためには、その小型化が不可欠
同 第4888582号 ほか
だった。
同社には開発研究所が開発した小型動力機構があった。
モー
タなどを一体化したギヤ内蔵アクチュエータである。これを進化さ
せ、作業に求められる動作、荷重、スピード、耐久性などをクリアす
るものにした。このアクチュエータは中心部が大口径の中空になっ
ており、配線、配管を通すことができるのも大きな特長だ。アームの
外側に配線などが出ないため、周辺機器との干渉もない。小型アク
チュエータの採用により各軸間のアームも短くなり、細かい動作を
可能にした。7軸化のもう一つの課題は、6軸より格段に複雑にな
る制御だった。同社の強みはハード、ソフトの両面で技術の蓄積が
あり、機械と制御の同時進行で開発を進められたことだ。
2006年には、業界で初めて7軸単腕・双腕ロボットをシリーズ
化し、2009年には腕構造や駆動系を改良した7軸単腕ロボット
「MOTOMAN-SIA」
、7軸双腕ロボット「MOTOMAN-SDA」が
市場に投入された。双腕は2本のアームで協調動作ができ、電子基
板にマスキングテープを貼るといった複雑な作業を、人より正確か
つコンスタントに行う能力を備えている。同社ロボット事業部東部
営業部第1営業課長の山崎聖明さんは「技能の伝承をデジタル化し、
国内外のどの工場でも品質を安定化できる」とロボット導入のメ
リットを語る。
2010年以降、スリム化を進めて家電や一般産業で既存の生産ライ
ンに配置するなど、用途は大きく広がっている。
ライフサイエンス分野で新たな用途を開拓するため、産業技術総合研究所などと共同で開発した、汎用ヒ
ト型ロボット「まほろ」がその一例である。人の目や感覚に当たるセンシング機能を加え、臨床検査のベン
チワークを自動化して、PCの仮想空間を利用したオンラインティーチングができるようになったことも、多
様な用途に対応する上で大きなポイントだった。
同社のロボット技術の水準は世界でも群を抜いているが、
「たまたま開発の方向が同じで争いになること
はあるので、当社の技術者は海外の技術情報について常に眼を光らせている」と技術開発本部知的財産部
課長補佐の安川優さん(弁理士)はいう。同社では年間200件から300件の特許出願(国内)をしているそう
だ。世界トップの技術力は知的財産権によって守られている。
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関連知財:特許 第3402378号 特許 第4888582号 他
ヒット商品を支えた知的財産権(季刊誌パテント・アートニーVol.69、2013春号、日本弁理士会発行)
http://www.jpaa.or.jp/?cat=689 より転載
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BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.7
お問い合わせ 知的所有権センター TEL:092-622-0035