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5.アセスメントのポイント
発達障害児の特性をふまえた
アセスメントとその支援の考え方について
うめだ・あけぼの学園
(地域支援専門員)
竹谷 志保子
「発達の障害」分類と重複図
広汎性発達障害
学習障害
自閉症
ADHD
知的障害
発達障害の発達特性
☆遅れではない、特異的発達(非定型発達)
• 知的障害がない
• イマジネーションの障害
• 実行機能の障害
• ディスクレパンシー(discrepancy)
発達障害の子によく見られる様子
• 困ったときに不適切行動でヘルプコールする
• 結果を白黒で判断してしまう。
友だち関係も、勉強も・・・ 早急に結果を求める
• あきらめやすい、頑張りきれない
• 自己中心的であると共に自己評価が低く
マイルールで対応してしまいやすい
• 人の気持ちや集団の動きに気づきにくい
など
発達障害のある子どもは
• 何らかの脳機能の障害による発達の特異的(遅れでは
ない)な発達特徴のために
• 活動・行動、コミュニケーション、生活、学習等に不自由
さと困難さを抱えているこども。
• それらの発達特徴故に、幼児期から適切な理解と関わり
を受けられずにいる場合には
• 行動や精神面での二次的障害も併発しやすく
• より一層の困難を抱え
• その困難への適切な対応と自己感情・行動の適切な社
会化ができずにいることが少なくない。
思春期に起こりやすい二次障害
• 素行障害、反抗挑戦性障害
• チック
身体表現性障害(身体化障害/疼痛症状・胃腸症状)
睡眠障害
摂食障害
気分障害(うつ病、双極性障害)
不安障害(パニック発作、強迫性障害、PTSD)
パーソナリティ障害
解離性障害(解離性健忘、解離性同一性障害・・・特に
PDD、ASP)
• 統合失調症
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発達障害のある子の
保護者の負担とリスク
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育てにくさ
関わりにくさ
理解のしにくさ
行動の問題への心配
将来への心配
子育ての辛さ・負担感
達成感・喜びの少なさ
親としての自信の喪失
適切に関わる回数の減少
<知っておきたい 発達背景の一つ>
感覚統合が正常な状態
(イメージ図:感覚統合Q&Aより)
第4段階
第3段階
第2段階
第1段階
聴覚
前庭覚
固有覚
触覚
視覚
<知っておきたい 発達背景の一つ>
感覚統合障害
(イメージ図:感覚統合Q&Aより)
第4段階
第3段階
第2段階
第1段階
聴覚
前庭覚
固有覚
触覚
視覚
感覚およびその統合と最終産物
(イメージ図:感覚統合Q&Aより)
感覚
入力の統合
第1段階
第2段階
眼球運動
固有覚
触覚
言葉
姿勢
第4段階
集中力
組織力
バランス
身体知覚
自尊心
筋トーン
身体の両側統合
自己制御
重力に対する安心
感
運動企画
目と手の協応
自信
活動レベル
視知覚
学習能力
注意力
目的的活動
抽象的思考や論理的
能力
吸う
食べる
視覚
第3段階
話し言葉
聴覚
前庭覚
最終産物
母と子のきずな
触覚的心地よさ
情緒的安定
身体と脳の特殊化
発達障害と二次障害
本人の素因
環境
(大人)
感情の社会化の未形成
反応性愛着障害
自尊心の喪失
自己認識の未形成
傷つき体験の悪循環
二次障害
の併発
外在化表現・内在化表現
(1)相談支援時の状況把握
(1)相談支援時の状況把握
☆主訴の聴き取りと受け止め
・・・・・・保護者の葛藤の大きさ
z 理解しにくい子ども
z 関わりにくい子ども
z 保護者の傷つき体験
z 子どもについての理解・気づきの少なさ
z 医療機関利用情報
(2)アセスメント
(2)アセスメント 初期状態の把握
初期状態の把握
☆発達特性(障がい特性、個人内差)の
スクリーニング
z 「検査の数値」に表れない状態の観察
z 子ども自身の混乱や不安の把握
z 複数の検査・評価の組み合せ(テストバッテリー)
田中ビネー、WISC-Ⅲ、K-ABC、DN-CAS
CHAT、ASQ、PRS など
(通常は、療育開始後に加えて実施)
(2)アセスメント
(2)アセスメント ②基本的ニーズの把握
②基本的ニーズの把握
☆「生活」に即したニーズ把握
z 家庭内での困っていること
z 外出時に困っていること
z 「園」で困っていること
z 将来困ると思われること
(2)アセスメント
(2)アセスメント ③課題の整理
③課題の整理
z認知特性の把握
z社会性・行動・情緒の発達課題の把握
z遅れと特異性の見極め
z誤学習と未学習の視点からの理解
z得意さ・強み、苦手さ・弱さの把握
(3)個別支援計画の作成
(3)個別支援計画の作成
●
発達支援・・・
教育学的支援
心理・教育的/神経心理学的
神経生理学的アプローチ
●
z 発達障がいを対象にした
種々のアプローチ法につ
いて、基本的知識を身に
つけていること。
生理学的・医学的アプローチ
z 個別支援による、認知・学習領域へのアプローチ
z 小集団支援による、社会性支援のアプローチ
自己理解、自信、自尊心につながる支援
z 一般集団への般化プログラム
z 保護者の子ども理解支援プログラム
(4)個別支援計画の実施
(4)個別支援計画の実施
z環境の構造化と構造化はずし
z感覚刺激情報の整理
z補助的(視覚的)手がかりによる
理解のサポート
z空間の理解、時間理解、役割理解を
促す工夫
z般化プログラム
個別・集団・家庭・地域
z行動・活動の自己評価と他者評価
(6)他機関との連携
(6)他機関との連携
z保育園・幼稚園との連携(協働)
z医療機関との連携
(7)就学支援
(7)就学支援
z地域の通常学級での特別支援教育の
状況の把握
z入学前、入学後の連携
認知特性、行動特性、言語特性と対
応などを、エピソードを加えてしっかり伝
える。