国際レビューに向けた包括的技術報告書の 英訳および海外専門家による品質確認 仕様書 2016年9月 原子力発電環境整備機構 1. 委託件名 国際レビューに向けた包括的技術報告書の英訳および海外専門家による品質確認 2. 委託業務の内容 2.1 背景・目的 機構はこれまで,安全な地層処分の実現性を示すセーフティケース(※)として,包括的 技術報告書の作成を進めている。本報告書を完成させた後は,その技術的な内容の妥当性等 について客観的な評価を得るため,報告書を英文化し,国外の第三者機関にピアレビューを 依頼することを計画している。 ピアレビューを依頼する国際機関の候補としては,スウェーデンやスイス等,諸外国のセ ーフティケースをピアレビューした経験・実績を有し,中立的な国際機関であるOECD/NEA 等が挙げられる。このような著名な国際機関によるレビューを受けるにあたっては,以下に 示すような包括的技術報告書の品質確認を十分に行っておくことが必要である。 ※ セーフティケースとは,科学技術的な論拠と証拠を尽くして処分場の安全性が確かなものであ ることを説明する一連の文書のこと ① セーフティケースの技術的内容に対する品質の確認 包括的技術報告書は,日本語で本編約300ページ,付属書約5,000ページの膨大な技術資料と なる。これまでOECD/NEAが諸外国のセーフティケースに対して実施してきたピアレビュー の状況を踏まえると,膨大な技術資料に対しても,例えば個々の解析パラメータ設定値の妥 当性といった詳細なレベルで,技術的根拠の妥当性に対して厳格なチェックと評価が行われ る傾向にある。したがって,ピアレビューを受けるにあたっては,報告書における技術的な 内容の細部に至るまで,海外の最新知見に照らし合わせても適切な品質となっているかどう かを十分に確認し,不足がある場合は補強を行っておく必要がある。 機構は,国内外の地層処分の専門家から構成される技術アドバイザリー委員会を設置し, 包括的技術報告書の作成過程においてその確認を受けているものの,技術アドバイザリー委 員会はセーフティケースの全体構造や主要な検討内容に対する「助言」が役割であり,個々 の技術的内容に対する詳細なレベルでの「品質確認」まではその役割ではない。そこで, OECD/NEAのような国際機関のピアレビューにおいて適正な評価を得るためには,諸外国の セーフティケースならびに最新知見に精通している海外の地層処分の専門家に機構が作成す る包括的技術報告書の技術的な検討内容を確認してもらい,レビューで指摘されそうな弱点 等を事前に洗い出してもらうことが必要である。 ② 専門性の高い技術的な内容が正確かつ明快に伝わる品質の高い英文の作成 報告書の技術的な品質を確保しても,その内容がレビューワーに的確に伝わらなければ, 適切な評価を得ることはできない。したがって,地層処分の技術的な内容を理解しているネ イティブによって,技術報告書としての内容が正確かつ明快に伝わる品質を満たす英文に仕 上げる必要がある。 1 以上の①②を同時に達成するためには,地層処分の業務経験・知識を有する英語を母国語 とする海外専門家を活用することが必須である。本業務は,国際レビューに向けて,海外専 門家を活用し,機構が作成する包括的技術報告書の技術的な品質と英文品質を確保するため に実施するものである。なお,的確な英語表現を行ううえでは,日本の地層処分事業を理解 している海外専門家であることが重要な要件となる。 2.2 委託業務の項目 (1) 包括的技術報告書の付属書の英訳 (2) 包括的技術報告書の本編・付属書に対する英文品質の向上 (3) 包括的技術報告書の本編・付属書に対する技術的品質の確認 3. 委託業務の概要 3.1 包括的技術報告書の付属書の英訳 機構が提示する包括的技術報告書の付属書の和文について,英訳を実施する。なお,数量につい ては8. 特記事項①に従う。 3.2 包括的技術報告書の本編・付属書に対する英文品質の向上 3.1で英訳する付属書の英文, および機構が提示する包括的技術報告書の本編の英文ドラフトにつ いて,地層処分の業務経験・知識を有する英語を母国語とする海外の専門家数名を活用し,テクニ カルタームを含めて,国際機関のレビューに供する技術報告書としてふさわしい品質を確保した, 正確かつ明快な英文に修正する。なお,数量については8. 特記事項②に従う。 3.3 包括的技術報告書の本編・付属書に対する技術的品質の確認 3.1および3.2で英訳した包括的技術報告書の本編および付属書を対象として,地層処分の業務経 験・知識を有する英語を母国語とする海外の専門家数名を活用し,国際的な最新知見に照らしあわ せて,あるいはOECD/NEA等のピアレビューを受けた諸外国のセーフティケースと比較して,技術 的に妥当な品質となっているかの確認を行う。確認にあたっては次の視点で行い,その結果を報告 書に取りまとめるものとする。 【確認の視点】 z 国際的な最新の知見が反映されているか z 技術的な根拠の提示に不足はないか z 諸外国のセーフティケースがレビューワーから指摘された事項についての記述は適切か z 解析モデルの選定やパラメータの設定に技術的な不適切さはないか z その他,セーフティケースとして必要な要件 なお,確認対象とする数量については8. 特記事項②に従う。ただし,安全評価は国際的にスタン ダードな方法論があること,また安全評価解析の結果は安全性の議論に対して影響が大きく,特に 品質確保に留意する必要があることを鑑み,安全評価の方法論や評価解析のデータ設定・解析モデ ルについて,重点的に品質確認を行うものとする。具体的な確認の対象や視点については,機構と 2 協議を行って決定するものとする。 海外専門家の人選にあたっては,その業務経験や技術レベル,わが国の地層処分事業に対する理 解度等を確認するため,機構と協議を行って決定するものとする。 4. 実施期間 契約締結日 ~ 2017年3月10日まで 5. 委託者側実施責任者 原子力発電環境整備機構 技術部長 出口 朗 〔担当箇所:技術部 技術企画グループ〕 6. 実施場所 受託者にて適切な実施施設を準備して使用する。 7. 提出書類等 提出書類等一覧表 提出書類等 提出期限 提出先 提出部数 備考 実施計画書注) 契約締結後速やかに 技術部 1部 印刷物 委託成果報告書 2017年3月10日 技術部 1部 印刷物 委託成果報告書 の電子ファイル 2017年3月10日 技術部 1式 マイクロソフトWord形式 及びPDF形式でCDまたは DVDに保存して提出 1式 マイクロソフトWord形式 及びPDF形式でCDまたは DVDに保存して提出 英訳された包括 的技術報告書の 電子ファイル 2017年3月10日 技術部 注)実施計画書は,仕様書に記載された委託業務の範囲を実行するうえで,具体的な計画, 実施工程,実施体制(再委託を含む) ,品質保証計画等を記載したものとする。委託成 果報告書は,機構の「業務委託及び役務調達における技術報告書作成マニュアル」に 準拠して作成するものとする。 8. 特記事項 ① 英訳の対象として機構が提示する包括的技術報告書の付属書の分量は,A4サイズ・和 文1,760文字/頁の換算にて,最大2,500ページとする。 ② 英文および技術的な品質確認の対象として機構が提示する包括的技術報告書の分量は, A4サイズ・和文1,760文字/頁の換算にて,本編:最大300ページ,付属書:最大5,000 3 ページとする。 ③ 本仕様書に記載されている事項及び本仕様書に記載のない事項について疑義が生じた 場合には,機構と協議のうえ,その決定に従うものとする。 ④ 機構が既に行った調査資料で,本業務に必要なものは随時提供する。 ⑤ 納入日より1年以内に受注者の責任に帰すべき瑕疵及び不都合が発見された場合には, 無償にて速やかに必要な措置を講じること。 ⑥ 本業務の成果は,機構が行う様々な業務に反映するため,協議の上,作業の進め方の変 更や中間とりまとめなどを実施させることがある。また,委託成果および報告書の提出 前であっても,協議の上,機構が本業務の成果物を使用することができるものとする。 以 上 4
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