プレゼン

顕微授精技術
(ICSI:細胞質内精子注入法)
マイクロマニピュレータ
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顕微授精の歴史
• ウニやカエル
卵細胞質内への精子直接注入による顕微授精
1960年代から
• UeharaとYanagimachi(1976)
ヒト精子およびハムスター精子をハムスター卵子に注入
して前核形成を確認
• 産子の報告
ウサギ(Iritani et al., 1989)
ウシ(Goto et al., 1990)
ヒト(Palermo et al., 1992)
マウス(Kimura et al., 1995)
サル(Hewiton et al., 1998)
ハムスター(Yamauchi et al., 2002)など
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顕微授精の分類
•
透明帯開孔法
–
–
–
•
顕微授精の分類
•
透明帯を機械的に開孔
透明帯開孔 Zona opening (ZO)
透明帯穿孔 Zona drilling (ZD)
透明帯部分切開 Partial zona dissection (PZD)
卵細胞質内精子注入法
Intracytoplasmic sperm injection (ICSI)
卵細胞質内に精子を1個注入する。
Elongated spermatid injection (ELSI)
伸長精子細胞を用いた顕微授精
Round spermatid injection (ROSI)
円形精子細胞を用いた顕微授精
囲卵腔内精子注入法
Subzonal insemination of sperm (SUZI)
囲卵腔内に精子を数個~10個注入する。
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顕微授精の利用
(1) 不妊治療
(2) 生殖細胞に関する基礎研究
(3) 遺伝資源の保存
(4) 遺伝子改変動物の作出
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ICSIピペット(スパイク付き)
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ピエゾ式マイクロ
マニュピレーター
ステージ上
ICSIピペット(フラット)
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ピエゾドライブ
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操作用ドロップ
卵子と精子の準備
PMSG/hCG
14h後
卵丘除去
採卵
a
b
c
d
♀
♂
a:注入用
b:精子不動化用
c:精子浮遊液
d:ピペット洗浄用
採精
インジェクション
ピペット
Oil
フロリナート
空気
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不動化処理
運動性を持たない精子
凍結融解処理により運動性を停止させた精子
頭部のみの精子
凍結乾燥精子
円形精子細胞などの未成熟精子
1匹の精子を吸引
〈培地の特性〉
粘張性
精子の付着防止
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不動化処理
尾部圧迫
または
尾部に
ピエゾパルスを負荷
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精子尾部の必要性
ピエゾ処理
圧迫処理
Oil
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使用できる精子
•
•
•
•
ホールディング
ピペット
a
b
c
d
希釈・調製
•
ステージ上部(模式図)
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• マウスとラットは、受精後にできる中心体は卵子
由来のものなので、頭部のみの注入で発生が可
能。
• ヒトや家畜など、他の動物は、精子頸部に存在
する中心体が染色体の動態を支配する。そのた
め、頭部のみの注入では、正常な発生が期待で
きない。
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尾部切断処理
注入
切断後
切断前
4日間
培養
精子
活性化処理
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注入後の様子
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活性化処理
注入した精子の尾部
電気刺激・アルコール
カルシウムイオノフォア処理
SrCl2処理
イオノマイシン処理
など
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効率と問題点
• ICSIは、通常の受精過程を省略しているため、卵
子に活性化刺激を与える必要がある。
• 精子は、卵子活性化因子(Sperm factor)をもつ
• 卵子活性化因子の働きが不十分な場合は活性化
処理が必要
※活性化=卵細胞内Caイオン濃度の一過性上昇
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効率と問題点
●精子について
• 運動性の低い精子ほどDNAの断片化が多い
• 培養時間や操作手順が増えるにつれて、異常の発生
率は高くなる
• マウスやラットでは、中心体が卵子から生じるので精
子頭部のみの顕微授精で産子が得られているが、他
の動物種では、尾部に中心体形成部位があるので、
頭部のみの注入で正常な受精は得られていない
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●卵子について
• 卵子は、卵丘細胞除去操作などの際に傷害を与えな
いようにすることが重要
• 卵細胞膜の硬さは、種によって異なる。げっ歯類など
では、卵細胞膜の抵抗性が強いので、ピエゾ装置を
使用。
• 胚盤胞への発生率は、ICSIが通常のIVFよりも低い
傾向にあるが、着床率については同等
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臨床応用
精管から精子を採取する方法
精管精子吸引法
(Vascular sperm aspiration : VSA)
精子回収法のひとつ。精巣上体の近くの精管を穿
刺して、精子を回収(精管内精子)する方法のこと。
精管に細い吸引針を刺し、吸引することで精管内
精子を回収する方法。
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精巣上体から精子を採取する方法
精管に障害がある場合に適用される。
適応症例:閉塞性無精子症・射精障害、精管欠損、パイプカットなど
顕微鏡下精巣上体精子吸引法
(Microscopic epididymal sperm aspiration : MESA) 腰椎麻酔または全身
麻酔下で陰嚢を切開し、手術用顕微鏡下で、精巣上体被膜を小切開す
る。露出した精巣上体管からカテーテル等で精子を吸引採取する。鈍
痛を伴うが、精子回収率は高い。
経皮的精巣上体精子吸引法(Percutaneous Epididymal Sperm Aspiration :
PESA) 陰嚢皮膚より直接精巣上体を穿刺して精子を吸引する方法。
MESAに比べて、少量の精子しか採取できないことが多い。
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精巣精子を採取する方法
精巣上体から精子が採取できない場合に適用される。
適応症例:重症乏精子無力症・精子死滅症・射精障害・無精子症
精巣内精子採取法 (Testicular sperm extraction : TESE)
麻酔下で陰嚢を切開し、精巣白膜を小切開して、露出した精巣組織を
少量採取する。組織は、顕微鏡下で細切し、精巣内精子が確認できた
ら手術を終了する。
顕微鏡下精巣内精子採取法(Microdissection TESE:MD-TESE)
麻酔下で陰嚢を切開し、露出した精巣組織を手術用顕微鏡下で調べ
て、精子を作っている可能性の高い太い精細管を選んで採取する。採
取した精細管は、顕微鏡下で細切して、精巣内精子の存在を確認する。
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精巣精子を採取する方法
精巣内精子吸引法
(Testicular sperm aspiration : TESA) 陰嚢の皮膚を切開しないで直接皮
膚の上から精巣を針で刺して精巣の組織を吸引して精子を採取する。
TESEに比べて深い位置の細胞を採取することができるが、採取できる
組織の量は少ない。
精巣精子
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