第3章 - 慶應義塾大学理工学部

第
章
3
補助事業の実績と成果
Webによる教育評価システムの構築事業(A-1)
岡田 英史
の回答者名は閲覧できない)、回答内容にWeb上でコ
補助事業の目的
メントすることができるようにシステムを構築した。コメ
Webによる教育評価システムは、電子化を中心とし
ント内容は学生に対して公開され、次年度に科目を履
た教育環境の拡充ならびに学生の勉学に対する新た
修する学生へ情報を提供するとともに、アンケートに回
なインセンティブ導入の試みとして、従来は主として紙
答した学生へのインセンティブとなることが期待される。
ベースで行っていたアンケートによる学生の授業評価
また、教員がアンケートに回答することによって自律的
をWeb上で実施するものである。学生による授業評価
なFDの効果が生じるものと考えられる。一方、FDの委
は、ファカルティ・ディベロップメント(FD)において必
員会やワーキンググループ(FD-WG)を組織すること
要不可欠なものと考えられている。一方、集計業務に
によって、授業改善に対する検討を行う組織的FDに
対する人的負担が大きいことやアンケート結果の活用
関しても、JABEE教育プログラムを導入した学科など
法に関しては多くの議論がある。本事業では、教育調
を中心に積極的に導入が進められている。
「理工学部
査を全面的にWeb上で実施するシステムを導入するこ
FD授業アンケートシステム」は、このような組織的FD
とで、アンケート結果の集計等の作業を自動化し、人
にも対応できるよう、科目群のアンケート回答結果を
的負担を増やすことなく学部全科目を対象とした授業
管理者が一括して扱えるようにシステムを構築してい
評価アンケートの実施を可能とした。
る。
「理工学部FD授業アンケートシステム」では、アン
ケート回答の集計結果を教員が直接閲覧でき(個々
各年度における成果の概要
1. 事業初年度(平成16年度)
FD授業評価アンケートをWeb上で実施するため、
(B-2)「電子ポートフォリオ・システム構築事業」と共
用する形でサーバーを導入した。試験的に運用するた
めのWeb上での教育評価システムを試作した。
2. 事業2年度(平成17年度)
初年度に構築した試作システムを利用して、一部学
科の専門科目を対象にWeb上で教育調査を試験的
に実施した。一方、平成18年度より共通認証システム
(keio.jp)を全学的に導入し、学生に対して生涯アド
レスを提供することを大学が決定した。このことに伴い、
図 A-1.1 Web による教育評価システム
20
補助事業の実績と成果
教育評価システムの学生に対する利便性の向上を図る
◆ 学生に関する情報
ため、独自のサーバーを導入するとともに、共通認証シ
・所属(理工学部、大学院・理工学研究科、他学
ステムを効果的に運用したシステムへの設計変更に関
部、他研究科、他、無回答)
する検討を開始した。
・学年
◆ 全体評価(4段階で選択回答)
3. 事業3年度(平成18年度)
設問1.授業の内容を理解できた。
共通認証システムを利用してWeb上で教育調査を行
設問2.授業について総合的に満足できた。
う「理工学部FD授業評価アンケートシステム」を構築
設問3.授業の内容に興味を持ち、有意義であっ
し、学部全体で統一した形態によって教育調査を実施
た。
することが可能になった。学生がWeb上で授業評価の
◆ 教員の教授方法、熱意(4段階で選択回答)
設問4.十分に準備された講義であった。
トをWeb上でフィードバックする自律的FDの一連のプ
設問5.授業に対する熱意が感じられた。
ロセスを、1年次の必修科目である数学、物理、化学に
設問6.毎回の授業の狙いが明確に示された。
関する9科目、および希望する学科の専門科目を対象
設問7.黒板、OHP等の補助教材が効果的に利
として試験的に運用した。
用されていた。
設問8.教員の声は聞き取りやすかった。
4. 事業最終年度(平成19年度)
設問9.説明は明快で、抽象的な概念も分かりやす
事業3年度の試験運用の結果を踏まえて、学生のア
く説明された。
ンケート回答の利便性を向上させるための回答ページ
設問10.学生の質問や相談に適切に答えていた。
の再構築、アンケートの設問の科目群による多様化
設問11.テキストや配布資料が内容理解に効果的
などを中心にシステムの改善を行った。春学期にアン
であった。
ケート対象科目を増やして試験運用を行った上で、秋
◆ 授業の内容・構成(4段階で選択回答)
学期には理工学部設置科目の全科目(これまでの授
設問12.講義の水準について。
業評価との連続性の観点から別途に評価を実施した
設問13.シラバスや授業要項の予定通りに進めら
科目を除く)を対象としたアンケートを実施した。
れた。
設問14.講義のペースについて。
理工学部FD授業
アンケートシステムの概要
設問15.演習は適切に行われた。
◆ 学生の学習行動(4段階で選択回答)
設問16.私はこの講義によく出席した。
1. 理工学部FD授業アンケートシステムの構成
設問17.私は板書や解説などをよくノートにとった。
理工学部FD授業アンケートシステムの構成と授業
設問18.私は宿題に意欲的に取り組んだ。
評価の流れについて説明する。理工学部FD授業アン
設問19.私は予習・復習を必ずした。
ケートシステムは、以下の要素で構成されている。
◆ 自由記述
(1)授業アンケートの設問設定
設問20.この講義でよかった点
①基本設問
設問21.この講義で改善を希望する点
アンケートシステムには、初期設定の設問が用意
設問22.その他(質問、意見、コメント等思いつい
されている。総合教育科目、語学、専門科目、実
たことを自由に記入してください)
験科目などの科目の種別によって適切な設問項
◆ 追加設問
目が異なるため、これらの種別に対応した初期設
設問23.講義の水準が高いと思う場合、その理由
定が割り当てられている。
を記述してください。
(自由記述)
専門科目に対する設問の初期設定の例を以下に
設問24.講義における演習量を5段階評価してく
示す。
ださい。
21
第3章
アンケートに回答し、担当教員が回答に対するコメン
②科目担当者による設問の確認・追加
アンケートの回答期間が与えられる。学生は、共通
科目担当者は、アンケート調査開始前の一定期
認証システムを利用して理工学部FD授業アンケート
間、共通認証システムを利用して理工学部FD授
システムにログインし、アンケートに回答(選択回答
業アンケートシステムにログインすることで、担当
および自由記述)する。
科目に関する設問の追加を行うことができる。設
問の追加は科目毎に設定することが可能である。
(3)アンケート回答結果の自動集計と閲覧
このことで、各教員が学生に対して独自調査を行
①科目担当教員による回答集計結果の閲覧
いたい事項について、アンケートを実施すること
教員は、共通認証システムを利用して理工学部
ができる。
FD授業アンケートシステムにログインすることで、
アンケートの選択回答の集計結果および自由記
(2)学生によるアンケートへの回答の入力
述について随時閲覧することができる。選択回答
学生に対して、春・秋学期の終了前の一定期間、
の集計結果は棒グラフおよび点数化された数値と
トップページ(共通認証システム keio.jp の利用)
アンケート回答フォーム
図 A-1.2 理工学部 FD 授業アンケートシステム学生入力画面の例
図 A-1.3 アンケート集計結果の例
22
補助事業の実績と成果
図 A-1.4 アンケート回答への教員のコメント例
2. 理工学部FD授業アンケートシステムのFDへの利
して表示される。自由記述に関しては、回答内容
がそのまま表示される。なお、回答を行った学生
用
の個人情報は教員に開示されない。
理工学部FD授業アンケートシステムのFDにおける
役割を図A-1.5にまとめた。
現在の利用形態において学部全体で実施されてい
組織的なFDを実施することを目的として、FD-
るのは自律的FDであり、
「教員から学生に対するアン
WGは各組織の会議体等での合意に基づき、シ
ケートの呈示(一部設問は担当教員自身が独自に追
ステム管理者からアンケートの回答結果の資料を
加)」、
「学生から教員への回答」、
「教員から学生への
取得し閲覧することが可能となっている。
コメント」という情報のやりとりによって、次年度の授
業における改善点を教員が自ずと意識するプロセスを
(4)科目担当教員によるコメントの入力
構築している。
学生のアンケート回答期間が終了すると、教員に
また、一部の学科ではすでに実施されている、授業
対してアンケートの回答へコメントする期間が与えら
アンケートをワーキンググループ等によって客観的な
れる。共通認証システムを利用して理工学部FD授
立場から組織的に検討する試みも重要であり、今後は、
業アンケートシステムにログインして、コメントを入力
学部全体で組織的なFDが検討されていくものと考え
する。また、各設問について、集計結果を公開とする
られる。現在のシステムでは、システム管理者から一括
か非公開とするかについて、設定を行うことができ
して評価結果を取得するようになっているが、組織的
る。
な検討そのものにWebを活用することに関しては今後
の課題である。ただし、人的負担をほとんど増やすこ
図 A-1.5 理工学部 FD 授業アンケートシステムによるファカルティ・ディベロップメント
23
第3章
②FD-WGによる回答結果の閲覧
となく、学部全体で授業評価アンケートを実施し、そ
評価は、試験運用も含めて、事業3年度(平成18年
の集計結果を一括してダウンロードできるようになっ
度)の秋学期、事業最終年度の春・秋学期の計3回実
たことは、組織的FDに対しても大きく貢献できたもの
施された。この3回の実施における最大の課題は、回
と考える。
答率の向上であった。授業の最終回に紙ベースで実施
していたアンケートに比べて、Webによるアンケートで
補助終了後の事業継続と
今後の課題
は明らかに回答率の低下が見られた。最終年度の秋
学期には、担当教員からの授業時のアナウンス、試験
時のアナウンス、ポスターの掲示等によって積極的に
慶應義塾大学理工学部においては、ファカルティ・
アンケートへの回答を働きかけ、このことで回答率は
ディベロップメント(FD)委員会が組織されている。
大きく向上した。また、長期的には、アンケートの回答
「Webによる教育評価システムの構築」は、FD委員会
に対して担当教員がコメントすることによって、学生の
との綿密な連携の基で行われた。具体的には、授業
アンケート回答に対するインセンティブが高まることも
評価をWeb上で実施するためのシステム構築などのイ
期待される。一方で、PCの前に座らなければアクセス
ンフラ整備は特色GPの事業として実施し、
「理工学部
できない現状の理工学部FD授業アンケートシステム
FD授業アンケートシステムの構成」に示したアンケー
では、回答率の向上には限界があることも事実である。
トの評価項目の検討などに関してはFD委員会が中心
学生のWebへのアクセスが、PCからではなく、携帯電
的な役割を果たしてきた。特色GP事業終了後は、引き
話から行われることが一般化した昨今の状況も勘案す
続き理工学部FD委員会が授業アンケートシステムを
ると、今後のインフラ整備として、授業の最終回に携帯
利用したFDに関する事業を継続する予定である。
電話からアンケートに回答できるシステムの構築など
理工学部FD授業アンケートシステムを用いた教育
についても検討の余地はあるものと考える。
24
補助事業の実績と成果
創発のためのネットワーク環境の国際化推進事業(A-2)
小尾 晋之介
(Ecole Centrale Intergroup、以下ECグループ)
補助事業の目的
からの働きかけにより、学部から修士課程へと接続す
る学年においてダブルディグリー・プログラムを実施に
様々な取り組みを通じて実現することにあるが、事業
移行するための最終的な調整を行った。
の性質上、「自立と創発の未来先導理工学教育」の助
平成17年3月のダブルディグリー協定への署名を受
成により単独に実行するような規模に留まらず、また時
け、同年9月には受入れ1期生3名が理工学研究科に
間的にも助成期間中に限るものではない。従って、ここ
入学した。本事業の助成により、教員1名が平成18年1
に述べる事項は継続的かつ発展的に取り組むべき事
月にエコール・セントラル・ナントと同パリを訪問し、平
業の一部ととらえるのが妥当である。
成18年9月に本学に入学を希望する受入れ2期生学生
ともあれ、この取り組みの期間中に目的とした主な
6名に対して面接を行い、運用方針について現地担当
事項は以下のとおりである。
者と懇談した。
・様々な交換留学制度導入のための活動
このECグループとのダブルディグリー・プログラムに
・諸外国の高等学校からの推薦入学制度の制定
関しては、当初、本取り組みにおける国際化推進事業
本節では、上記の2項目についてさらに具体的に事
の一部に含まれていたが、平成17年度に「大学教育の
業に移された内容について報告する。
国際化推進プログラム(戦略的国際連携支援)」
(戦
略GP)に「ダブルディグリーによる先進的高等工学教
1.エコール・セントラル・インターグループ
育」として採用さたことを機に、平成18年1月の面接員
との連携強化
派遣を最後にこの取り組みの対象には含まないことと
フランスの理工系グランゼコールの中でも国際教育
した。
に注力しているエコール・セントラル・インターグループ
受入れ1期生3名の修了式(平成19年9月)
25
第3章
本補助事業の目的は、学部教育の国際性の向上を
2.アジア諸国との連携強化
平成19年3月3日から同年3月7日にかけて、インドの
アジア圏各国の大学とのネットワーク整備に関して
デリー市において、デリー大学、インド工科大学デリー
は、韓国・東義大学校との学生交換に関して協議を続
校、ジャワハル・ネル大学を訪問し、語学と文化研修を
け、平成16年に協定書の調印を行った。また、平成17
組み合わせた国際教育導入プログラムの設置について
年3月にはタマサート大学工学部(タイ)、アジア工科大
意見交換を行なった。また、主に情報工学と生命情報
学(同)、タマサート大学Sirindhorn International
分野において専門家の情報交換ルートを確立するこ
Institute of Technology(SIIT)等を訪問し、学生
とができた。
交換を中心とする協同カリキュラムの策定について意
見交換を行った。SIITとはその後理工学部との部局間
3.欧州他国への展開へむけて
協定を締結した。
ECグループとのダブルディグリー・プログラムを開
平成18年8月27日から同年9月2日まで、ベトナムの
始するにあたり、派遣先での語学運用能力の確保が
ハノイ市とホーチミン市のそれぞれにおいて慶應義塾
重要課題として認識されたため、派遣学生に対する語
大学主宰の「日越交流サマーワークショップ2006」へ
学・文化研修を施した。これは学部の1,2年次という
の参加者を2名派遣した。ワークショップでは、理工学
初学者に対する導入教育と同時に、派遣が決まった学
教育と並んで行なわれた日本語教育の紹介を通じ、カ
生に対して精神的な準備期間として有効であることが
リキュラムの実行に際し専門課程と外国語の習得の双
認められた。このことに鑑み、欧州他国など非英語圏
方バランスの重視が重要であると確認された。また、ハ
への学生派遣プログラムの運用に際しての語学・文化
ノイ貿易大学と新たに包括協定を締結した。
研修を順次取り入れることを試みた。この一環として、
平成19年7月に、アーヘン工科大学(ドイツ)で慶應義
塾大学学生向けのサマースクールが先方の全面的な
協力によって開催され、本取り組みの助成により視察
のため教員1名を現地に派遣した。
このサマースクールは平成18年10月にアーヘン工科
大学と慶應義塾大学の交流50周年を記念して先方で
開催された祝賀会の席で、今後の両校の交流を促進す
るための手段の一つとして企画されたものである。プロ
グラムの内容は、3週間の派遣期間中、午前中はドイツ
語教習、午後はいくつかの予め選ばれた研究所におい
て一部実習を含むエンジニアリング導入プログラムが
設置された。また、現地学生との交流の機会が十分に
ジャワハル・ネル大学でのセミナー風景
インド工科大学デリー校での懇談風景
デリー大学での懇談風景
26
補助事業の実績と成果
用意されていて、大学でドイツ語の履修経験はあるも
得ることができた。
のの初めてドイツへ渡航した学生にとって先方の大学
平成19年3月にも、次年度以降の円滑な生徒の推薦
のしくみや規模の大きさなどにじかに触れることのでき
および留学生入試での受験生増加を目的として当該
る優れたものであった。
高校に赴き、校長、副校長、日本語の教員と意見交換
大学が主催する同様の短期在外研修の参加者の中
を行った。また、教育施設の見学、本学部・学科の説
には、研修への参加をきっかけに本格的な留学を考え
明会を行った。この訪問により、平成19年度入学者とし
始める者も一定数いることから、アーヘン工科大学で
て優秀な生徒が推薦されたことと、さらに優秀な生徒
の研修は将来の大学院での研究研修などへの参加を
が外国人留学生入試で入学していることが確認でき、
考えるきっかけとなったことが期待される。今後も、同
当該校教師との信頼関係を確立することができた。ま
種の在外プログラムを他国への展開を図る際に活用す
た、学部説明会では、本学部における勉学、研究の内
ることが有効であろう。
容について、および卒業生の社会での活躍など、多数
の具体的な質問があり、本学部への関心の高まりが実
4.中国東北部の高等学校からの推薦入学制度
感された。これら一連の活動の結果、今後、他国高等
本制度導入にあたり、平成18年2月に、中華人民共
学校へと推薦入学制度を展開する礎を築くことができ
和国の高等学校である東北育才外国語学校(遼寧省
た。
瀋陽市)を訪問し、近い将来の提携について意見交換
を行った。当該高校は平成10年に創設され、日本の中
学1年から高校3年にあたる6学年で千名弱の生徒が
学んでいる。また、日本語による大学教育の予備教育
に重点を置いた教育がなされている。具体的には、生
徒の留学希望地域のニーズにより、日本語と中国語、
あるいは英語と中国語で数学、物理学、化学の教育が
なされている。これらの事が確認され、推薦入学制度
の導入へ向けて具体的な検討を開始した。
検討の結果、平成19年度の理工学部指定校推薦入
学において、本学部初めての海外推薦指定校として当
該高校を指定するにいたり、同年、1名の推薦入学者を
東北育才外国語学校での本学部説明会風景
27
第3章
アーヘン慶應サマースクール参加者(宿舎の前で)
(A-3)
外国語教育・総合教育の充実事業(外国語教育)
萩原 眞一
本補助事業は、英語統一テストの2年次への拡張
2006年度
および問題発掘・解決型教育の充実を目的としたも
のである。本稿では、そのうち外国語教育に関する
補助事業の実績
部分について報告する。
1. 2007年2月3日、2年生を対象に英語統一テスト
(G-TELP)を実施した。使用したテストは1年次の
2005年4月に実施したものと同一である。グラマー、
2004年度
リスニング、リーディングの各セクションは、それぞれ
補助事業の実績
100点で計300点満点。
1. 2002年度より、1年次の4月と翌1月の年2回、1年
生を対象に実施している英語統一テスト(General
補助事業の成果
Tests of English Language Proficiency 以
1. 受験者の総数は866名であった。受験はあくまでも
下G-TEL Pと略記。英検準1級程度に相当)を、
任意であったにもかかわらず、在籍者数の約8割弱
G-TELP以外の外部テストの使用も視野に入れて、
に当たる学生が受験した。
2年次に拡張するための準備作業を行なった。
2. テスト結果は、4月の学科ガイダンスの折にスコア・
レポートの形で学生に配布し、3年次以降の英語学
補助事業の成果
習の動機付けに活用した。
1. 2年生対象に英語統一テストを2月に実施すること
3. 1年次の2005年4月のテスト結果と2年次末の
に関し、英語専任教員より理解と承認を得た。
2007年2月のテスト結果を比較した結果、下記の点
が判明した(資料参照)。
1) 受験者全体の平均点は161.1点から13.3点上
2005年度
昇し174.4点であった。
補助事業の実績
2) セクション毎に見ると、グラマーは59.9点から
1. 2年次末の英語統一テストにおいて、G-TELP以外
3.2点減少し56.7点であったものの、リスニングは
に、TOEICやTOEFL等を使用する場合の利便性・
43.6点から11.6点上昇し55.2点、リーディングは
有効性を調査・検討する方向で準備を進めた。
57.6点から4.9点上昇し62.5点であった。
3)レベル別で見ると、レベル1(基礎)は105.7点
補助事業の成果
から22.8点上昇し128.5点、レベル2(標準)は
1. TOEICやTOEFLの内容・経費・利便性・有効性等
159.9点から12.1点上昇し172.0点、レベル3(上
を調査・検討した結果、2006年度の2年次末に実
級)は216.1 点から7.8点上昇し223.9点であり、
施する英語統一テストは、引き続きG-TELPを使用
全てのレベルにおいて総合点が上昇した。
することに決定した。
4)入試形態別で見ると、入試形態9では微増、入
試形態8では5.8点の減少があったものの、その
他では総合点が大幅に上昇した。
4.以上の結果から、1・2年次における英語教育が英
語力向上に一定の成果をあげていることが確認され
た。
28
補助事業の実績と成果
<資料> ■全体人数
■入試形態別平均点
2005年度
2005年度
(1月) 実
(4月)実施
施
人数
1,116
1,035
2006年度
(2月) 実
施
866
■全体平均点
2005年度
(4月)
2005年度
(1月)
2006年度
(2月)
GRM
59.9
62.1
56.7
LST
43.6
51.7
55.2
RDG
57.6
67.7
62.5
TTL
161.1
181.4
174.4
2005年度
(4月)
2005年度
(1月)
2006年度
(2月)
レベル1
105.7
138.2
128.5
レベル2
159.9
180.1
172.0
レベル3
216.1
222.1
223.9
入試形態
2005年度
(4月)
2005年度
(1月)
2006年度
(2月)
1
136.7
156.2
158.7
2
143.5
170.1
173.5
3
147.8
167.8
158.4
4
161.6
175.1
182.5
5
167.3
189.3
180.0
6
174.4
188.2
197.9
7
186.0
176.0
216.8
8
223.3
226.1
217.5
9
229.2
221.6
230.2
第3章
■レベル別平均点(TTL)
2007年度
1) 受験者全体の平均点は162.1点から2.8点上昇
し164.9点であった。
補助事業の実績
2) セクション毎に見ると、グラマーは60.0点から
1. 2008年2月2日、2年生を対象に英語統一テスト
0.5点減少し59.5点、リスニングは44.0点から2.6
(G-TELP)を実施した。使用したテストは1年次の
点上昇し46.6点、リーディングは58.2点から0.6
2006年4月に実施したものと同一である。グラマー、
点上昇し58.8点であり、各セクション共、ほぼ横
リスニング、リーディングの各セクションは、それぞれ
ばいである。
100点で計300点満点。
3)レベル別で見ると、レベル1(基礎)は109.4点
から11.2点上昇し120.6点、レベル2(標準)は
補助事業の成果
161.8点から2.9点上昇し164.7点、レベル3(上
1. 受験者の総数は776名であった。受験は2006年度
級)は218.6 点から4.2点減少し214.4点であっ
同様、任意である。在籍者数に対する受験者の割合
た。
は、2006年度が約8割弱であったが、2007年度は
4)入試形態別で見ると、すべての入試形態におい
約7割であり、1割弱減少したものの、任意受験と期
て上昇が確認された。入試形態3・4・6・7では
末試験期間最終日の土曜日に実施という点を考慮
微増であったものの、その他では総合点が2桁近
すると、妥当な数字であると思われる。
く上昇した。
2. テスト結果は、4月の学科ガイダンスの折にスコア・
4. 以上の結果から、2006年度に引き続き、1・2年
レポートの形で学生に配布し、3年次以降の英語学
次における英語教育が英語力向上に一定の成果を
習の動機付けに活用する予定である。
あげていることが確認された。ただし、2007年度だ
3. 1年次の2006年4月のテスト結果と2年次末の
けを見る限りだが、レベル3の総合点が減少したこ
2008年2月のテスト結果を比較した結果、下記の点
とは等閑視できず、高い英語力を持つ学生をさらに
が判明した(資料参照)。
いかに伸ばすかが、今後の課題の1つと言える。
29
<資料>
■全体人数
人数
■入試形態別平均点
2006年度
(4月) 実
施
2006年度
(1月) 実
施
2007年度
(2月) 実
施
1,112
1,034
776
■全体平均点
2006年度
(4月)
2006年度
(1月)
2007年度
(2月)
GRM
60.0
61.4
59.5
LST
44.0
52.5
46.6
RDG
58.2
69.0
58.8
TTL
162.1
182.9
164.9
2006年度
(1月)
2007年度
(2月)
■レベル別平均点(TTL)
2006年度
(4月)
レベル1
109.4
142.4
120.6
レベル2
161.8
182.4
164.7
レベル3
218.6
227.6
214.4
30
入試形態
2006年度
(4月)
2006年度
(1月)
2007年度
(2月)
1
140.9
157.6
150.7
2
141.4
159.8
151.3
3
149.7
162.4
155.0
4
154.4
171.4
156.8
5
162.9
186.2
178.7
6
168.3
193.5
169.0
7
173.1
180.4
176.4
8
187.3
193.1
237.3
9
219.3
228.8
238.5
補助事業の実績と成果
(A-3)
外国語教育・総合教育の充実事業(総合教育セミナー)
金田一 真澄
本補助事業は、英語統一テストの2年次への拡張お
2005年度
よび問題発掘・解決型教育(総合教育)の充実を目的
としたものである。本稿では、そのうち総合教育に関す
補助事業の実績
る部分について報告する。
1. 特色GP予算からセミナー授業のために非常勤講師
(9名)を採用した。その結果、クラス数を16(春
学期8クラス、秋学期8クラス)増設することができ
2004年度
た。
2.「環境デザイン」
「メディア」
「現代社会」
「日本語表
1. 総合教育セミナーにおける受講生の成果報告書の
現法」など、学生の興味を惹く斬新で現代的なテー
電子化システムの整備
マのセミナーを新たに開講した。
2. 総合教育セミナーにおける受講生のプレゼンテー
3. TA(春学期5名、秋学期5名)を採用し、セミナーの
ションのコンテンツ作成(例えば、メディアセンター
授業形態の活性化を図った。
のKITIEなどを参考に、担当者会議などで独自のも
補助事業の成果
のを作成する)
3. 思考能力・表現能力の更なる養成を行うための工夫
1. 学生履修者の総数が、昨年の293名から508名
(自分で考えプレゼンをさせる)
に増加した。そのうち増設したクラスの履修者数は
4. デジタルビデオカメラ2台を学事センターに置き、常
224名であった。
時貸し出し可能な体制をとる(学生のプレゼンテー
2. 学生のプレゼンテーションをデジタルビデオカメラ
ションの際にビデオ撮影を行い、後で本人に見せ、
に撮り、ビデオVHSにダビングして学生に渡し、自
長所・短所を気づかせる。開講が並行する場合に備
宅で自分のプレゼンを見て長所短所を自覚させるや
えて2台を用意する。また1台目を本人撮影に、2台
り方を推進した。学生にはふだん気づかない点が発
目をパワーポイントや教室の撮影に使用する場合も
見でき、反省材料になると好評だった。
ある)
3. TAには、プレゼンテーションにおけるパワーポイン
5. セミナーの活用を図るためTAの導入準備(授業の
トの使い方やレポートの書き方などに先輩としての
活性化:授業の準備、IT関係の補助、学生へのプレ
模範を示してもらい、学生にも極めて好評であった。
ゼンやレポートの手本、実験補助、成果報告書の作
TAには、その他、最終論文の作成、実験授業の補
成補助など)
助の役割を果たしてもらった。
補助事業の成果
2006年度
それまでの受講生のセミナー成果報告書の電子化
システムによる整備を行い、スキャナーによりセミナー
補助事業の実績
の成果報告書(2002年度2冊、2003年度3冊、
1. 特色GP予算からセミナーの授業のために非常勤講
2004年度6冊、計11冊)をすべて電子化し、ファイ
師(9名)を引き続き採用した。
ルに収めた。
(表2参照)
2. クラス数も16(春学期8クラス、秋学期8クラス)増
設を引き継いだ。
3. テーマもなるべく学生の関心の高いテーマをたて、
また前年度と目先を変える工夫も行った。
31
第3章
補助事業の実績
4. TA(春学期3名、秋学期5名)を採用し、教員の希
自覚させるやり方をとった。DVDの方が学生が見や
望をとり必要と認めたクラスに配置した。
すい環境になっていると判断したためである。
3. TAには、プレゼンテーションにおけるパワーポイン
補助事業の成果
トの使い方やレポートの書き方、その他撮影、最終
1. 学生履修者の総数は467名で、増設したクラスの履
論文作成、実験補助などの役割を引き続き果たして
修者数は223名と半数近い数に達した。
もらった。
2. 学生のプレゼンテーションをデジタルビデオカメラ
4. 2005年度、2006年度、2007年度の学生のセミ
に撮り、ビデオVHSにダビングして学生に渡し、自
ナー最終成果レポート集の電子化を行った。
(表2
宅で自分のプレゼンを見て長所短所を自覚させるや
参照)
り方を続けた。パワーポイントを使用する場合に、2
5. 最後に(2007年9月)9名の非常勤のセミナー担
台目のデジタルビデオカメラを全体撮影に利用した。
当教員と、セミナーでTAを利用した教員9名にアン
3. TAには、プレゼンテーションにおけるパワーポイン
ケートをとった。
(アンケート設問A、アンケート設問
トの使い方やレポートの書き方やビデオ撮影、実験
B参照)
補助などの役割を、引き続き果たしてもらった。
◆アンケート設問A
(3年間セミナーを担当した非常勤講師9名に対するもの) 2007年度
1)自分がこの3年間に掲げたテーマは何ですか
補助事業の実績
2)それらのテーマや授業に対する学生の反応・感想
1. 特色GP予算からセミナーの授業のために非常勤講
を教えて下さい
師(9名)を引き続き採用した。クラス数も16(春学
3)その他、授業を担当して気づいた点を挙げて下さ
期8クラス、秋学期8クラス)増設を引き継いだ。
い
2. テーマもなるべく関心の高いテーマをたて、また前
◇回答(9名中8名の方から回答があった)
年度と変える工夫も行った。
3.TA(春学期3名、秋学期5名)を採用し、前年度同
1)自分がこの3年間に掲げたテーマに対する回答
様、必要なクラスに配置した。
(キーワードの形で示す):
メディア、生命倫理、カルチャーショック、言葉、
補助事業の成果
文字、デザイン、化学、先端技術、外国語、武士道、
1. 学生履修者の総数は483名で、増設したクラスの履
文化社会、ネット公開作品、現代社会、多言語社
修者数は208名であった。
会、大衆文化、先人解剖、人物探検、日本語、世
2. 学生のプレゼンテーションをデジタルビデオカメラ
界の怪談、コミュニケーション能力など
に撮り、今回からはビデオVHSをやめ、DVDにダビ
2)それらのテーマや授業に対する学生の反応・感想
ングして学生に渡し、パソコン上で見て長所短所を
に対する回答:
表1:総合教育セミナーの履修者数の変遷
年度
総合教育セミナー
履修者総数
新設の16クラスの
履修者総数
2003年度
272名
―
2004年度
293名
―
2005年度
508名
224名
2006年度
467名
223名
2007年度
483名
208名
表2:年度別電子化された学生の成果報告書(レポート集)
32
年 度
冊 数
2002年度
2
2003年度
3
2004年度
6
2005年度
7
2006年度
7
2007年度
1
補助事業の実績と成果
◆アンケート設問B
(i) テーマに対する学生の反応・感想:
教員の意図に理解を示した、熱意・関心があった、
(TAを利用したセミナー担当教員9名に対するもの)
自由に選べて良いと言った、テーマ(デザイン)に
1)TAは授業に役立ったと思いますか? 惹かれ単位取得後も出席するリピーターがいた
①いなかったら授業が成立しなかった (ii) 授業に対する学生の反応・感想:
②大いに役立った
プレゼン・レポート等負担は大きいが達成感も
③まあまあ役に立った 大きい、教師と身近に接することができて良かっ
④いてもいなくても同じだった
た、積極性があった、他の学生のプレゼンに無関
⑤むしろいない方がよかった
心だった、クラス合同発表会を希望していた、総
2)TAをどのように活用しましたか
花的に感じた、対象レベル設定が低い、留学生の
3)その他、TAに関して気づいた点を挙げて下さい
話に刺激を受けた、ビデオでのプレゼン自己観察
◇回答(9名中7名の方から回答があった)
予習復習に時間をとられ過ぎるという理由で辞め
1)に対する回答:
た学生がいた、受講生同士での励ましが見られた、
(複数のTAを使用した教員から複数回答あり)
他の学生の意見が聞けて面白い、やりがいがあっ
①5名 ②2名 ③1名 ④0名 ⑤0名 た
2)TAの活用の仕方に対する回答:
3)その他、授業を担当して気づいた点に対する回
提出課題の整理、ディスカッションへの参加、配
答:
布資料のチェック、実験補助、レポート添削、見
(i) 理工の学生の幅広い才能に素晴らしい可能性
学会引率、発表のお手本、発表のコメント、パ
を感じた。
ワーポイント補助、連絡係、リーダーシップ、名札
(ii) 学生の意欲や質が高く教えやすい。学生の男
作成、写真付名簿作成、プレゼンテーションなど
女比が近いとさらに教えやすい。
の撮影、画像管理、模擬学会発表、最終レポート
(iii) 1学期13回では、20名の学生をきちんと
集の印刷・整理、レポート集の修正・編集
教えるのに時間が足りない。
3)その他、TAに関して気づいた点に対する回答:
(iv) 多くを教えようとして盛りだくさんになり、散
(i) このような素晴らしい授業企画を3年で終わ
漫な授業になってしまった。
らせては意味がない。更に続ける工夫がぜひ必
(v) 非常勤講師の身分だと施設の使い勝手が悪
要。
い(個人指導の部屋が取れない等)
(ii) 複数名のTAがいれば、更に充実した授業が
(vi) テーマを理系に近づけると希望者は多くなる
可能である。
が、本来の趣旨に矛盾する。
(iii) 評価を教員とTAの総合評価とすることで、
(vii) 追加履修の機会は、やる気のある学生が来
お陰で客観性を高める事ができた。
るのでなるべく増やしてほしい。
(iv) TAにも優秀なものとそうでないものとがいた。
(viii) 半期ごとの担当者会議での授業の情報交
(v) TAに1・2年生を教える機会を持たせることは、
換が大変役に立った。
TAにとっても大変有意義である。
(ix) 課題添削、製本、ビデオ編集、メールのやり
とりなど、かなりの時間を費やした。
(x) 学生は自ら問題設定することが苦手である。
(xi) 理工の学生はプレゼンはうまくこなすが、文
章を書くのが一般に下手である。
(xii) この授業は教員にとってもやりがいがあり、
今後も続けられたらと強く思う。
33
第3章
は発表力の向上に有益だった、文章力が向上した、
e-Learning導入事業(B-1)
神成 文彦、野口 裕久
説と解答、講義を支援する解説も資料としてWebに置
補助事業の目的
くことで、教育支援効果があるかどうかも調べた。
本補助事業は「ケア・プログラム充実事業」の一
環として、理工学基礎教育における補習システムの
2.試行結果
構築を目的としたものである。以下、本補助事業の
当該科目が設置されている第1学年生にWebを閲
活動について、実績および成果を紹介する。
覧してもらい、アンケートに回答してもらう形で調査を
行った。
補助事業の実績と成果
<e-Learning物理教材に関する
一般入試、AO入試、帰国生入試、留学生入試、と
アンケート:集計結果>
いった入学形態の多様化に伴う授業習熟度の個人差
1. 復習に役立つ
を埋める一手段として、e-Learningによる補習システ
1. 全くそう思わない
0
ムを開発するために、基礎教育科目の「物理学」、
「化
2. 少しは思うが多分使わない
15
学」、
「数学」に関して、それぞれ講義内容の特徴を反
3. 有用なので、問題によっては使う 83
映したe-Learningシステムを作成した。
4. 非常に有用。頻繁に使う
54
<1、2を選んだ理由>
・実際に手を動かす以上に身につく方法はない。
物理学
・PDFファイルで演習問題が載っていれば印刷して
1.教材
自分でやったほうが時間を節約できる。
電磁気学自習用の演習問題を作成し、必要に応じ
・勉強方法を工夫するのも生徒の役目。Webに掲
て、学生がヒント、さらにヒントの中に埋め込まれてい
載する問題数は多くして欲しい。
るキーワードについての解説を選ぶとそれぞれ別画面
・そこまで親切にしてくれる必要はない。
でその内容が現れる形をとった。解答のタグを選択す
・問題の解法テクニックだけ勉強するのではなく講
ることで、設門別に解答と解説が表示される。
義全体を理解したいので。
・PCに向かって勉強することに慣れていない。
2. 使いやすいか
1. 使いにくい
5
2. 悪くはない
53
3. 良いが、すぐ答えを見てしまうだろう。 22
4. 階層構造が非常に使いやすい。 71
3. このWeb教材にあればいいと思う機能
・問題に難易度の表示が欲しい。
本事業では、
「物理学B」、
「物理学D」の電磁気学
・アニメーションで感覚的にわかるような機構
に関して、講義ノートをPDF化し学生がWebからダウ
・3次元表示の図
ンロードできるようにし、加えて、演習問題集とその解
・他の学生との習熟度の差異がわかるデータ
34
補助事業の実績と成果
・専門用語をクリックして、解説と例題が出る機能
化学
・携帯電話での利用
1.教材
4. 演習問題を解く形の教材以外にWebで活用しても
化学B講義用に、講義ビデオ、講義ノートを1画面に
らいたい教材、学習支援方法
同時に掲載した教材を作成した。ビデオカメラは、教員
・講義ノート
およびOHP画面を随時切り替えて撮影した。
・演習問題とその詳細な解答、解説
・過去の試験問題とその解答、解説(多数)
・答えを入力して、採点し、間違った場合にはさらに
ヒントを提示する機能
・生徒から出た質問とその解説(よくある質問コー
ナー)
第3章
5. 講義ビデオは必要か?
・病欠のようなときには有用。
・聞き逃したところを確認できる。
・講義に出なくなる(多数)。
・90分再度聞くことはまずない。
2.試行結果
・講義時間が足りなくなった部分の補足的ビデオは
製作したビデオ教材を、2年生以上の学生に体験し
欲しい
てもらい、アンケートに回答してもらう形で調査を行っ
た。
6. Web教材とオフィスアワーによる教員による質問受
<e-Learning化学教材に関する
付とどちらを利用すると思うか?
Web
オフィスアワー
アンケート:集計結果>
125
31
1.予習に役立つか
・オフィスアワーは質問をまとめて行かないと質問し
づらい
1.全くそう思う
2
2.そう思わない
5
3.そう思う
・オフィスアワーの時間帯が合わない場合が多い
7. 基礎教育科目学習で一番欲しいサポートは何か?
・講義を聞きながら説明を加える程度の講義ノート。
21
4.強くそう思う
5
5.わからない
1
<1、2を選んだ理由>
・理系の講義では、図だけでも書かなくて済むよう
・動画を事前に確認するのは難しい
にしてもらいたい。
・授業前に勉強を自分で行ってこそ予習であるから
・過去の試験問題
・予習は本を読む
・先生に質問できる科目ごとの掲示板機能
・めんどうくさいから
・生徒が自由に使えるBBS
・予習をしないのでわからない
・当然高校で習ったはず、と講義で言われた基礎的
事項の解説
2.復習に役に立つか
1.全くそう思わない 0
・Webではなく、演習問題集を印刷して売って欲し
2.そう思わない
い
・誤答例
35
4
3.そう思う
18
4.強くそう思う
12
<1、2を選んだ理由>
・ノートのリンク機能・印刷できる機能(3)、テキス
・苦手な教科であってもテスト前しか見ないと思う
ト化(Copy & Paste)
・本を読めば済む
・分かりにくかった箇所にマーク付けをし、後でその
・特定の個所を確認するには便利
位置にジャンプできる機能
・総合的な復習には効果的かもしれないが、個別に
・コンテンツごとのスキップ
見るには手間がかかる
・字幕(2)
・演習問題
3.使いやすいか
・気軽に質問できる仕掛けとその回答(3)
1.全くそう思わない 2
2.そう思わない
3.そう思う
4.強くそう思う
・ノイズを落とす。反響が聞き取りにくくしている
2
29
6. 改善する点があれば書いて下さい
1
・起動が遅い
<1、2を選んだ理由>
・文字が小さい
・余計な間をもっと編集しないと時間の無駄感があ
・画面の拡大(2)
る。といって、早送りするのも使いにくい
・プリント部分の画質。ぼやけて見にくい(4)
・声が聞きづらい
・声、音質 (4)
・ノートを紙で配布すればあとは音源のみで十分だ
・聞きづらいので字幕が欲しい
と思う。動画にする必要はない
・巻き戻し中も音が出て欲しい
・聞き逃した場合や以前の内容を少しだけ確認した
・動画は不要。
い場合には便利
・講義前にアップすると欠席する学生が増える。ノー
トだけアップすれば予習に役立つ
4.教材の内容を理解できたか
・手ぶれが気になる
1.全くそう思わない 1
・カメラ1台で頑張るのは良くない
2.そう思わない
・スライドを撮影するよりOHPを直接見せた方がい
3.そう思う
4.強くそう思う
5
24
い
4
・授業出席者のみが見れるようにする
<1、2を選んだ理由>
・単位取得者に復習として活用できるようにする
・内容が簡単すぎるので答えられない
・メールでの質疑応答の公開
・やはり化学は難しいので
・声が聞き取りにくかった。ノートの字が小さくメモ
7. e-Learning化学教材に関するご意見があれば書
がとれない
いて下さい
・早期導入
5. あれば良いと思う機能について書いて下さい
・不要
・2倍速機能
・授業への出席が減る(4)
・書き込み機能
・他の分野も見てみたい(2)
・コメントを書き込む機能(アンダーラインなども)
・理解できなかった部分の再確認には役立つ
・画像の拡大機能(3)、全画面表示が欲しい
・e-Learning専用の授業を作った方が良い
・周囲の不必要な枠の一時非表示化
・講義の要点や中央のノートの部分の一括表示
数学
・2視野(板書と先生)欲しい
・OHPだけが映ったスライドショー
1.教材
・PDFによるノートの出力機能
数値解析を用いて2階偏微分方程式を解く手法を
36
補助事業の実績と成果
体得することを目的として、片側荷重を受ける片もち梁
ミュレーションによる学習を表している。その結果から
の有限要素解析を通じて、正しい入力データを用意し、
次のことが判明した。
正しい出力が得られているか自分で判断できるかどう
・e-Learningを用いることで、従来の文書だけによる
かの検討を行った。尚このための対話型システムにつ
教育よりも教育効果を上げられる
いては、新たにWebベースのシステムを開発した。この
・e-L ear ningと文書による教育を合わせた、ブレ
システムでは、従来のe-Learningに加えて、文章によ
ンディングe-L ear ningについて検討した結果、
る手法の理解も行う、ブレンディングe-Learningを採
e-Learningによる教育のみよりも、文書による教育
用している。
を組み合わせた方が教育効果が高い
・e-Learningによる教育では、同じ内容を教えていて
システムの概要
もUser interfaceにより教育効果が異なる
・中級者と初級者でも必要となるinterfaceが異なる
学習内容
方がよい
・e-Learningシステムとしてはユーザの要望に応じて、
・e-learningシステムの操作方法
変更が容易で拡張性が高いものが望まれる
・e-learningシステムによる
シミュレーション実習
学習用教材
・HTML文書
(有限要素法概要とシミュレーション例)
・Flashアプリケーション(e-learningシステム)
・ワークシート(練習問題、応用問題)
アンケート対象者
・有限要素法初学者 (8名)
・有限要素法既習者 (7名)
有限要素法初学者による各学習項目評価
有限要素法既習者による各学習項目評価
2.試行結果
構築した補習システムの試験的運用を行い、その結
まとめ
果の評価を行った。具体的には、20名の被験者を初
級者と中級者に分け、使用前後の解析能力、使用した
学生の学習支援にはさまざまな方策がありうる。講
システムの評価についてアンケートを実施した。わかり
義中における理解を助ける方策としては、講義ノート、
やすさを5段階評価したアンケートの結果を以下に示
講義資料を事前に公開しておくことで講義ノートをとる
す。図中 HTMLは文章だけの学習、Flash アプリケー
ことだけに時間をとられないようにできる。しかし、こ
ションは文章に加えてe-Learningシステムを用いたシ
れもPower Pointで製作したノートをWebで配信し、
37
第3章
・有限要素法の概要
講義中にそのまま表示したのでは効果は半減する。講
いるが、講義支援教材としてそこまでのものを開発す
義中にはもう一度OHPで書くことが学生の理解のス
る必要性はないと考える。
ピードには丁度よく、その過程で適切な解説を加えるこ
今回、物理・化学の教材開発を行った講義は、いず
ともできる。また、学生の中には、忙しくても講義ノート
れも1年次の教科であり、受験勉強的学習から脱皮し
をとることで頭に入るタイプの人間も多い。
切れていない学生が多いので、期末試験の過去問題
講義をビデオ録画した教材は、復習用にはその有用
の解法、解法テクニックに対する要求が強いが、むしろ、
性が高い。また、留学生、帰国生、さらには高大連携に
講義の時間には紹介できないような、関連した現象や
対しては価値あるアーカイブになるであろう。内容編集
身の回りの応用、また学生に考えさせるような教材を
を行うことで復習時間の効率化を進められるが、逆に
揃えてWebに配置することが、むしろ必要な学習支援
それでは、講義に出席する学生数が減ってしまうこと
であると考える。
が学生自身から指摘されている。また、画質、音質の点
また、数学の教材を通じて、e -L e a r n i ng シス
で改良が必要である。
テムと文書による学習の両方を利用するblended
問題を解くという内容の講義に関しては、学生の要
e - L e a r n i n g についても検 討した。その結果、
求は、圧倒的に演習問題の解法のサポートにある。イ
e-Learningだけでは、学生の思考能力や解決能力を
ンタラクティブにヒント、解説を呼び出すことができる
増すことには困難であるが、従来の学習方式に加えて、
教材は一定に評価が得られたが、十分な解説をつけた
それを補助する形で、正解への論理的誘導、具体例の
解答をPDFで掲載しておくことでも学生にとっては同じ
提示による明快な説明、別の視点による理解の補助、
ようである。解答を記入して自動採点し、他の学生との
等を e-Learningシステムを利用して学習者に提示す
点数の比較ができるようなシステムを提案した学生が
ることで、より学習効果を高められると考えられる。
38
補助事業の実績と成果
電子ポートフォリオ・システムの構築事業(B-2)
志澤 一之
テム(富士通製DynaEye:学籍番号、氏名、得点の
補助事業の目的
電子化用)と総合的教育支援ソフト(日本ユニシス
本補助事業は「ケア・プログラム充実事業」のための
製RENANDI:成績データ、答案画像データの管理
一貫として位置づけられるものである。具体的には次
用)などのソフトウェアを導入した。
の2点を実現することを目的としている。
2.RENANDIサブシステムの開発
(1)紙媒体としての学習成果物(採点済みの定期試
当事業の使用目的に適するよう「RENA NDI学
習成果物統合管理システム」と称する当学部専用
それらを学生に電子的に返却することで教育効果
のR ENA NDI用OCR対応サブシステムを開発し
を高める。
た。本システムは、まず採点済み答案用紙を高速ス
(2)電子学生カルテを作成し、一人の学生に対する
キャナでTif画像データに変換し、OCRを介して画
複数のケア担当者(クラス担任、学習指導担当教員、
像データから学籍番号、氏名、得点を抽出して電子
卒業研究指導教員など)が、その学生の相談経緯、
化する。次に、得られた成績データおよび画像デー
指導経緯、現状などに関する情報を、Web(学内イ
タをRENANDIに登録し、答案画像を学生に返却
ントラネット)を介して共有することでケア体制を強
したり、成績データから成績評価を電子処理によっ
化する。
て決定するなどの成績管理を行うものである(図
以下、本補助事業の活動について、年度を追って実
B-2.1参照)。
績および成果を紹介する。
3.スキャナ用答案用紙の設計
開発したOCR対応サブシステムを介して採点済み
答案を電子化できるよう、OCRで読み取れる定期
2004年度
試験答案用紙(B5、A4、B4判)、平常成果物提出
補助事業の実績
用紙(宿題、レポート)ならびに実験レポート表紙を
1.学習成果物電子化のためのハードウェア・ソフト
設計し、そのテストランを実施した。
ウェアの導入
2004年度には、まず試験答案などの学事情報を
補助事業の成果
電子化できるように、高速スキャナ(答案のTif画像
1.学習成果物電子化のためのハードウェア・ソフト
化用)、制御用PC(RENANDIシステムとOCRシス
ウェアの導入
テムの制御用)、ファイルサーバ(答案画像、採点情
電子ポートフォリオ作成に必要なハードウェアなら
報の保管用)などのハードウェア、ならびにOCRシス
びにソフトウェアの導入が完了し、2005年度春学
図B-2.1 学習成果物統合管理システムの構成
39
第3章
験答案、宿題、実験レポートなど)を全て電子化し、
期からの試験運用の準備が整った。
に期末試験答案などの電子化処理を定常的に実施
2.RENANDIサブシステムの開発
した。
当学部の教育体制に適合した答案のスキャニング、
7.日吉スキャナと矢上RENANDIの単独LAN接続
OCRによる学籍番号、氏名、得点情報の電子化、答
日吉キャンパス設置の学習成果物電子化システム
案電子画像ファイルの保存といった一連の処理が
(高速スキャナ、制御用PC)と矢上キャンパス設置
効率よく行えるようになった。
のRENANDIサーバを単独LANで接続した。
3.スキャナ用答案用紙の設計
8.本取組の社会への発信
設計したOCR対応の各種用紙を用いてダミー答
開発したRENANDI学習成果物統合管理システ
案用紙を作成し、テストランを実施したところ、学籍
ムに関するニュースリリースを行い、日経産業新聞、
番号、氏名、得点の読み込みにおいて誤動作もほと
日刊工業新聞および三井グループPR誌「三井グラ
んどなく、2005年度からの試験運用に十分耐え得
フ」に掲載された。また、e-Learning World 2005、
ることが確認できた。
キャンパスシステム研究会合同研修会、私立大学情
報教育協会全国大会などにおいて、本答案電子化
システムの事例紹介を行った。
2005年度
補助事業の実績
補助事業の成果
1.答案電子化の試行
1.答案電子化の試行
春学期を試行期間として3科目の平常点(演習、
3科目における答案電子化を試行的に行った結果、
宿題)および中間試験答案を高速スキャナで電子化
本学習成果物統合管理システムは本格的運用に十
した。
分に耐え得ることが確認できた。
2.スキャナ用答案用紙の改良
2.スキャナ用答案用紙の改良
20 04年度に設計したスキャナ用答案用紙・レ
試行運用に協力してもらった教員からOCR対応
ポート表紙について、使い勝手を試行運用協力教員
用紙の使い勝手に対する意見を聴取し、読み取り
に調査し、それに基づいて当該表紙の設計・改良を
誤動作の原因になりそうな箇所を修正することがで
行った。
き、秋学期の本格的運用へ向けての準備が整った。
3.RENANDI利用説明会の開催と簡易マニュアルの
3.RENANDI利用説明会の開催と簡易マニュアルの
配布
配布
当学部全教員を対象としてRENANDI利用説明
RENANDI利用説明会を開催することで、答案電
会を5月に開催した。また、教員用のRENANDI簡
子化の意義および利点を当学部全教員に周知する
易マニュアルを作成し当日配布した。
ことができた。また、教員用RENANDI簡易マニュ
4.春学期末試験答案の電子化
アルを作成したことで、製品付属の膨大なマニュア
春学期末試験より学習成果物統合管理システム
ルを読むことなく、教員が利用に必要な情報のみを
の本格的運用に入り、主に1学年1,000名の履修者
簡単に得られるようになった。
をもつ基礎系科目(1・2年次設置)を中心に答案を
4.春学期末試験答案の電子化
電子化し、RENANDIシステムを用いて電子的に採
学習成果物統合管理システムを用いて春学期末
点・評価を行った。
試験の採点済み答案用紙を電子化した科目は、計
5.RENANDIシステムのヴァージョンアップ
11科目、計15名の教員であり、総読取枚数(延)は
開発を進めてきたRENANDIシステムのヴァー
11,478枚、総読取人数(延)は5,273名であった。
ジョンアップ版(Ver.1.4)のインストール作業を9月
特に、1科目1,000名規模の膨大な学習成果物を有
に実施した。
する1年次の基礎系科目における成果物を電子画
6.秋学期からの学習成果物の電子化処理
像として保管できるようになり、保管スペースの大幅
秋学期からは平常成果物、中間試験答案ならび
削減と情報の取り出しが極めて容易になった。また、
40
補助事業の実績と成果
成績評価も全て電子的に行えるようになり、作業時
2.学習成果物の電子化処理
間が短縮され、一連の採点作業の効率化が実現で
年間を通じて定常的に、学生の平常成果物(中間
きた。
試験答案、レポート、宿題)および定期試験答案用
5.RENANDIシステムのヴァージョンアップ
紙の電子化処理を実施した。
秋学期からの本格的な定常運用を開始するに当
3.RENANDIシステムの継続的開発
たって、RENANDIの使い勝手を向上させることが
学習成果物統合管理システムを利用した教員によ
できた。
るシステム改善要求の声を反映すべく、RENANDI
6.秋学期からの学習成果物の電子化処理
ソフトウェアを日本ユニシスとともに継続的に開発し
学習成果物統合管理システムを用いて秋学期に
た。
成果物の電子化を行った科目は、計7科目、計11名
4.スキャナ用答案用紙の改善
スキャナ用答案用紙を利用した教員ならびに学
(延)は2,536名であった。春学期と合わせると本
事事務部門からの改善要望に基づいて、当該答案
年度の統計値は、利用科目数:18科目、利用教員:
用紙の書式変更を行った。特に、平常成果物答案
26名、利用学科数:7学科/全11学科中、総読取枚
用紙と定期試験用答案用紙を一目で区別できるよ
数(延):15,776枚、総読取人数(延):7,809名
うにデザインを改めた。
であり、本格的運用の初年度としてはまずまずのス
5.RENANDIシステムのヴァージョンアップ
タートとなった。
開発を進めてきたRENANDIシステムのヴァー
7.日吉スキャナと矢上RENANDIの単独LAN接続
ジョンアップ版のインストール作業を半期に1回ずつ
日吉キャンパスで読み込んだ答案電子情報を単
実施した。春学期末の8月にはVer.1.6.0ヘ、また秋
独LAN通信によって矢上キャンパスのRENANDI
学期末の3月にはVer.1.7.0へ当該システムをヴァー
サーバへ送信できるようになり、個人情報に関する
ジョンアップした。それに伴い教員用RENANDI簡
セキュリティを保ったまま遠隔キャンパス間でのデー
易マニュアルを更新し、Webへアップロードした。
タのやり取りを容易に実行できるようになった。
6.共通認証システムによる学生のRENANDIサーバ
8.本取組の社会への発信
への直接アクセス開始
諸新聞・雑誌に本学習成果物統合管理システム
共通認証システムを介して学生がネットワーク経
に関するニュースリリースを行い、その記事が掲載
由でRENANDIサーバへ直接アクセスすることを秋
されるとともに、諸団体企画の講演会などにおいて、
学期から実現した。学生のアクセスに際するネット
本システムの事例紹介を行うことで、選定補助事業
ワーク上のセキュリティを向上させるために、学内の
の取組を積極的に広く社会へ発信することができた。
アクセス区域を日吉キャンパス(当学部1・2年生)と
矢上キャンパス(同3・4年生)に制限した。また、学
生用のRENANDI利用マニュアルを作成して当学部
2006年度
の全学生に配布するとともに、学生サポート用の窓口
補助事業の実績
(Emailアドレス)を新設した。これによって、採点
1.共通認証システムによる教員のRENANDIサーバ
済電子答案用紙の学生への返却を秋学期から開始
への直接アクセス開始
した。
当 大 学 で 導入した共 通 認 証システム( I D 、
Password認証システム)を介することにより個人情
補助事業の成果
報を保護しつつ、教員がRENANDIサーバへネット
1.共通認証システムによる教員のRENANDIサーバ
ワークを介して直接アクセスすることを2006年度春
への直接アクセス開始
学期から実現した。また、それに伴いRENANDIの
共通認証システムを介することによって、全対象
利用マニュアルを更新し、 Webを介して当学部全
科目の教員が各自の居室からネットワーク経由で
教員に配布した。
RENANDIサーバへ直接アクセスできるようになっ
41
第3章
の教員、総読取枚数(延)は4,298枚、総読取人数
たため、学習成果物統合管理システムの利用頻度な
2007年度
らびに利用科目数を着実に増加させることができた
補助事業の実績
[5. 参照]。
2.学習成果物の電子化処理
1.学習成果物の電子化処理
学生の諸成果物を電子化することによって、省ス
年間を通じて定常的に、学生の平常成果物(中間
ペースで成果物を保管できるようになるとともに、授
試験答案、レポート、宿題)および定期試験答案用
業評価用エビデンスを作成する際の各成果物の検
紙の電子化処理を実施した。
索・抽出を極めて容易にすることができた。
2.RENANDIシステムの継続的開発
3.RENANDIシステムの継続的開発
学習成果物統合管理システムを利用した教員に
RENANDIシステムを継続的に開発・更新して
よるシステム改善要求の声を反映し、RENANDIに
ユーザインターフェースを充実することで、学部共通
おける成果物返却期間を設定するためのユーザイン
基礎系科目と学科専門科目間における個別事情の
ターフェースを使い易い形式に変更した。
差異にも対応できるようになり、答案電子化処理効
3.電子学生カルテの開発
率を高めることが可能となった。
当初予定していたRENANDI内の電子掲示板を
4.スキャナ用答案用紙の改善
利用しての電子学生カルテ運用では、特定のケア担
スキャナ用答案用紙の書式設計変更を行うことで、
当教員のみにアクセス権を与えることに困難がある
OCR認識時の誤動作を最小限に抑制することがで
ことが判明したため、当該カルテを「教員連絡会」な
きるようになった。また、平常成果物答案用紙と定
る一つの科目と見なして担当教員のみがアクセス可
期試験答案用紙のデザインを変更し、それらの区別
能なアカウントを作成した。また、学生の個人情報を
を明瞭にしたため、定期試験時の学生による答案
保護するため、学生カルテの電子情報を暗号化した。
用紙持出・持込の不正行為防止を強化できた。
さらに、学生カルテ運用のための教員用マニュアル
5.RENANDIシステムのヴァージョンアップ
を作成し、サーバ上にダミー学生を設定して開発者
RENANDIシステムをヴァージョンアップして、教
ならびに学部学習指導主任とでテストランを行った。
員から得た要望を実現することで、利用科目数およ
さらに、数名の学生に対して電子カルテの運用を実
び利用教員数をさらに増加させることができた。ち
際に開始した。なお、すでに紙媒体として保管され
なみに2006年度の利用実績は春・秋学期合わせて、
ている既存のカルテを全て電子化する作業は次年
利用科目数:30科目(12科目増)、利用教員数:38
度以降に行うこととした。
名(12名増)、利用学科数:9学科/全11学科中(2
4.茨城大学からのRENANDI見学
学科増)、総読取枚数(延):43,953枚(28,177枚
茨城大学からRENANDIの利用について見学し
増)、総読取人数(延):23,010名(15,201名増)
たい旨依頼があったため、8月に見学会を実施し、学
であった (
[ )内は2005年度比]。
習成果物統合管理システムの運用について事例紹
6.共通認証システムによる学生のRENANDIへの直
介を行った。
接アクセス開始
5.スキャナ用答案用紙の改善
成績関連電子データのセキュリティを確保しつつ、
平常成果物用答案用紙のヘッダ部分に黒帯状の
共通認証システムを介して学生がネットワーク経由
デザインが使用されており、この用紙をリソグラフで
でRENANDIサーバへ直接アクセスすることが可能
印刷して排出すると黒帯部分に残った未乾燥インク
となったため、当初の目的のように採点済電子答案
によって重なった紙どうしが癒着してしまうという不
用紙を即座に学生へ返却できるようになり、学生へ
具合があるとの指摘を利用教員から得たため、当該
のフィードバックを促進して教育効果を高めるととも
ヘッダ部分のデザインを改め、この問題を解決した。
に、採点に関する透明度を向上させることができた。
6.RENANDIシステムのヴァージョンアップ
RENANDIシステムにおける成果物返却サイトを
使い易い形式に改修したヴァージョン(Ver.1.8.0)
42
補助事業の実績と成果
を8月にインストールした。また、それに伴い教
行うことができた。
員 用 R E N A N D I 簡易マニュアルおよび学生 用
5.スキャナ用答案用紙の改善
RENANDI簡易マニュアルを更新のうえWebへアッ
平常成果物答案用紙と定期試験答案用紙の区別
プロードした。
を明瞭に保ったまま前者のヘッダデザインを変更し
たため、定期試験時の学生による答案用紙持出・
補助事業の成果
持込の不正行為防止機能を保持したまま、当該用紙
1.学習成果物の電子化処理
をリソグラフ印刷し易い形式に変更することができ
2006年度に引き続き、学習成果物保管の省ス
た。
ペース化ならびに授業評価用エビデンス作成の効率
6.RENANDIシステムのヴァージョンアップ
化を促進することができた。
RENANDIシステムをヴァージョンアップして、教
2.RENANDIシステムの継続的開発
員から得られた要望を実現することで、利用科目数
および利用教員数をさらに増加させることができた。
定用ユーザインターフェースを改修し、学習成果物
ちなみに2007年度の利用実績は、春学期・秋学期
統合管理システムの利用率をさらに高めることがで
を合わせて、利用科目数:47科目(14科目増)、利
きた [6. 参照]。
用教員数:55名(17名増)、利用学科数:9学科/全
3.電子学生カルテの開発
11学科中(増減なし)、総読取枚数(延):86,028
一人の学生に対する複数ケア担当教員(クラス
枚(42,075枚増)、総読取人数(延):48,034名
担任、基礎系学習指導教員、専門系学習指導教員、
(25,024名増)であった (
[ )内は2006年度比]。
卒研指導教員など)が、暗号化によるセキュリティ確
保を保証された環境下においてWebを通して各々
まとめ
の指導経緯および学生の状況変化を閲覧できるとと
もに、自身の指導内容を電子的に記録することが可
以上のようにして、当初の目的であった学習成果物
能になった。これにより、その学生の経緯や現状を
および学生カルテを一つのシステムで電子化し、管理・
複数のケア担当教員が共有でき、より適切な指導を
運用する「電子ポートフォリオ・システム」を構築すること
行えるようになった。
ができた。特色GP補助事業は2007年度で終了する
4.茨城大学からのRENANDI見学
が、今後も引き続き、さらなる使い勝手の向上ならびに
茨城大学からRENANDIの担当者をむかえ、学
効率化を目指して、本システムを改良していく予定であ
習成果物統合管理システム利用見学会を実施し、
る。
本システムに関する広報活動を他大学に対して直接
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第3章
RENANDIシステムにおける成果物返却期間設