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特 集

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特 集
ブラジルのお葬式
大浦 玄(おおうら・げん)
1949 年、札幌市生まれ。北海道大
学水産学部卒業。ブラジル在住33年。
サンパウロの邦字新聞社で 25 年勤務
後、現在はフリーで執筆や編集業務
を行っている。
行われます。ただ、同じカトリック
ブラジルの国教はカトリックなの
で、お葬式は一般にカトリック式で
見えません。
ベールがかけられ、顔ははっきりは
は薄化粧が施されます。遺体全体に
いことから、簡略化されたお葬式が
は大量に葬式を出さなければならな
えるサンパウロ市のような大都会で
ス ト が 死 者 を 守 る と い う 意 味 で す。
派なものが飾られます。救い主キリ
ラを表す光の輪と組み合わされた立
棺おけの頭の所には大きな十字架
が立てられます。十字架は後光オー
婚指輪がはめられます。女性の場合
式の葬式でも大都市と小都市では形
出されております。小都市や田舎で
神父が死者のための祈りを唱え、そ
千万人を抱
は昔ながらのヨーロッパ式のお葬式
の間、少年の侍者が香をたき香を入
が異なり、例えば人口
が行われ、日本人が横で見ていても
れた美しい器を死者に向けて振りま
をそり黒か濃紺の背広にネクタイを
も使われます。男性の場合は、ひげ
近はカスミソウ、白いコチョウラン
の花がいっぱい埋め込まれます。最
代わりに使われているアルコール度
留酒で、車の燃料としてガソリンの
から造られるブラジルの代表的な蒸
人もおります。ピンガはサトウキビ
通夜の間、のどが乾くという理由
で、ピンガと呼ばれるラム酒を飲む
のどの渇きをピンガで潤す
になりかねません。
後で﹁冷たい奴だ﹂と言われること
肩を貸してやります。これを断ると
けで行われ、友人は泣きたい遺族に
い出させます。通夜は家族と友人だ
す。儀式の荘厳さは日本の茶道を思
〝天国〟が近く感じられます。
伝統的な田舎のお葬式
オ ﹂︵ 死 者 と の 別 れ と お 祈 の 部 屋 ︶
で日本でいうお通夜を行います。通
夜はふつう死者の家で行われ、棺お
締め、手を組まされてロザリオがか
の強い酒です。
けに死者が安置され周りに白い菊
けられます。既婚者は左の薬指に結
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昔ながらの伝統的な田舎の葬式で
は、死者が出るとまず﹁ヴェローリ
古い田舎町のお墓
出発していないほど長いものだった
れた告別式会場から最後の車がまだ
遺体が教会に着いたとき、五キロ離
例えば、日本人移民の世話をよく
し た 熊 本 県 出 身 の 上 塚 周 平 の 場 合、
知ることができます。
死者の生前の人徳の高さをうかがい
い ま す。 こ の 行 列 の 長 さ に よ っ て、
を作って町の中心にある教会へ向か
翌日、告別式が盛大に行われ、遺
体を載せた霊柩車を先頭に車の行列
絶賛します。
いに助け合う﹁素晴らしい文化﹂と
日本人が持ち込んだ香典制度を、互
慣はありません。ブラジル人神父は、
ラジル人には、香典や香典返しの習
こにいるという信仰の表れです。ブ
にという意味があり、死者の霊がそ
ろうそくの光は死者が見えるよう
物﹂が供えられることはありません。
ように死者が生前好きだった﹁食べ
通夜同様に香がたかれます。日本の
に 花 が 飾 ら れ、 ろ う そ く が 灯 さ れ、
ことはなく、花とローソクだけが供
せん。墓地でも食べ物が供えられる
景は、あまり情緒があるとはいえま
トをぺたぺたと塗ってふたをする情
者のアパートさながらです。セメン
棺おけを安置するたなが作られて死
は高く、家族がすべて入れるように
くなっています。都会の墓地の値段
様、ブラジルの都会人の宗教心は薄
けが行われ、埋葬されます。日本同
けられており、そこで通夜の祈りだ
門の場所が長屋のようにいくつも設
葬儀や墓地の費用は様々
えられます。
と言われています。上塚は﹁移民の
父﹂と言われて、今も日系人社会の
ミサが終わると、遺体を霊柩車に
載せて墓地まで行きます。墓地では
墓堀人がすでに穴を掘っており、棺
おけを入れ、家族、友人がスコップ
ブラジル人は死体を忌み嫌うこと
はありません。むしろ死者に対する
で少しずつ土をかけていきます。葬
式参列者の多くは埋葬の儀式までは
親しみがあり、ベールを取って遺体
うでない人は市営のただの共同墓地
に入ります。
日の法要﹂に当たるものはありませ
ん。日本人が七の七倍の日に死者を
弔 う こ と に 興 味 を 覚 え ま す。 ま た、
カトリックでは一年忌のミサを盛大
に行います。
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みならずブラジル人にも尊敬されて
います。
遺体は教会に運ばれ、死者のため
のミサが立てられます。棺おけの前
付き合わず、教会のミサでおしまい
カトリックには、死んでから七日
目に行われる﹁初七日のミサ﹂とい
に接吻したり、手を触ったりして生
きている人のように扱います。神父
葬式の費用、神父への謝礼は自由
となっています。金銭的に余裕のあ
が行われます。その代わり﹁四十九
うのがあります。その後、毎月ミサ
となります。
サンパウロ市中心街にあるアラサ墓地の入口前には、花屋が 10 軒以上並んでいる
は遺体に聖水をかけ﹁死者の罪が許
されますように﹂と祈ります。聖水
は清める意味と洗礼を想起させる意
なす数は十前後ですから、とても間
る人は私立の豪華な墓地に入り、そ
味があります。
に合いません。墓地に通夜をする専
一つの教会で葬式のミサを一日にこ
大都市では教会でのミサが省略さ
れ ま す。 ミ サ は 一 時 間 近 く か か り、
大都市でのお葬式
家族のお墓には複数の遺体が入っている
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