北海道バスケットボール協会 指導者育成専門委員会 2014/03/09(日) タクティクス(HBA指導者育成専門委員会ブログ) NO. 140 第 65 回全日本大学バスケットボール選手権大会(インカレ)を終えて 札幌大学女子バスケットボール部 泉 春美 大学 32 チームがトーナメントで日本一を決めるインカレが平成 25 年 11 月 19 日~24 日 に山口県周南市にあるキリンビバレッジ周南総合スポーツセンターで開催されました。開 催地となった山口県周南市は平成 15 年に旧徳山市、新南陽市、熊毛町、鹿野町の合併によ り誕生から 10 年を迎え、 「周南市誕生 10 周年記念事業」のひとつとしてインカレが開催さ れました。 今季の女子インカレの頂点に立ったのは松蔭大学(関東 2 位)。決勝は連覇を狙っていた 大阪体育大学(関西 1 位)と接戦の末、82-78 で破り 8 年振り 2 回目の優勝となりました。 インカレは出場 32 チームのトーナメント。一発勝負は何が起こるか分からないこともあり、 今回は西南女学院大(九州 1 位)がベスト 8 入りで躍進しましたが、最終的に関東 3 チー ム、関西 1 チームがベスト 4 のシード権を守った大会となりました。 北海道代表として出場した本学は 1 回戦、松蔭大学との対戦で今季もインカレ 1 回戦の 壁を破れず敗退となりましたが、今季の優勝チームとの対戦から学びが多い大会だったと 思っております。昨季に以下、本学のインカレへの挑戦を振り返ります。 【スカウティングから事前準備】 1.相手のオフェンスに対して ①オフェンスはドライブ崩しからきっかけ作り。ドライブするとキックアウトするよりも ゴール下まで入りこみシュートに持ち込む。 ②核となる選手への対応。強豪ひしめく関東リーグでも常に 20~30 点(最高 41 点)を獲 ってくるスコアラー、それに 3P シューター、高さがあってオールラウンドにプレーでき る選手の 3 名が総得点の大半を占めている。 ④セットプレーやスローインなどナンバープレーを抽出。 ◇対策 ①これまで持っていたチームディフェンスの他に、松蔭大学の判断時間を遅らせる目的と 相手がドライブ中心の攻撃に対応したいと考え、ハーフコート 2-2-1 マッチアップゾーン ディフェンスというのを新たに作った。常にゴール下に 1 人ヘルプがいる状態にして、 他の 4 人はボールを激しく追いかけまわす。アウトサイドはシュートを打たせない間合 い、ドライブされても粘り強く追ってゴール下のヘルプまで追い込むディフェンス。 それとボール運びは自分達で簡単にボールを失うような相手ではなかったので、オー ルコートの仕掛けはギャンブルはせず、時間をかけさせるよう確認。ハーフからシュー トエリアでは絶対にフリーにさせないように指示をした。 -1- ②攻撃の核となる 3 名については、各選手の状況判断の仕方とどういったプレーを選択し ているか、その傾向を個人別に研究。ナンバープレーに関してはよく使っているプレー を絞って確認。相手がどうフィニッシュさせる動きを作っているかを掴ませるようにし た。 ◇検証 出だしにディフェンスを 2-2-1 マッチアップゾーンとマンツーマンを併用し、相手の判 断を鈍らせたかったのだが、中途半端なプレッシャーは相手のシュートやオフェンスリ バウンドにつながりスタートダッシュをかけられてしまった。 2-2-1 マッチアップゾーンでドライブを仕掛けさせるまでは良かったが、試合の途中か ら 2 線目のローテーションが遅れはじめ、ドライブからパスで振られる状況となり試合 中に修正。ターンオーバーが少ない相手に対し 2・3 を誘い出すことは成功。相手のオフ ェンスリバウンドと、本学のオフェンスミスが相手のオフェンス回数を増やす要因とな った。 2. 対戦相手のディフェンスに対して ◇対策 ほぼ Man to man で戦ってくるだろうと予測。本学は取り組んできたカッティングから ポストアップが有効と考え、インサイドからの崩しで勝負していくことにした。相手が本 学のメンバーにマッチアップした時にミスマッチで本学が有利になるポジションが出てく るので、そのチャンスを狙わせた。ディフェンスが収縮すればアウトサイドへの展開も狙 う。ディフェンスがタイトな場合はボールを受ける前の崩しを作り出し積極的に 1on1 を仕 掛ける。もし、2 線目のディフェンスが厳しくボールを受けられない時はディフェンスをだ しきってバックカット。新たなスポット作りをして違う展開にする。あとは試合の状況を 判断しで有効なプレーを選択していく。 ◇検証 試合開始から過程は良いがシュートの決定力に欠け苦しい展開になった。ハイローやア ウドサイド陣のポストアップは効果的だったし、選手も有効なプレーを察知していた。メ ンタルは気負わずプレーできていたが、プレーの精度(特にシュートとパス)は低すぎて 大問題。これが決まっていたらというのは幾度もあった。2Q で 5 点差に追い上げが成功し たところで追いつけない弱さ。競った状況での自分たちと相手のメンタルとプレーの精度 の差を感じた。 【他、インカレ前に準備したこと】 ①インカレを経験してきた中で、いつも自分達が戦える感覚を掴めてきた時には追いつく のが困難な点差になっていること。場馴れやチーム遠征経験は必須。 ②1 カ月半に渡るインカレ予選(リーグ戦)から選手の自信に結びつくものが少ない。馴ら されてしまった感覚の改善と不安を払拭する。 ◇対策 長い遠征経験は夏休みに実施し経験させておいた。インカレ予選は学生たちが数値目標 を掲げ取り組んだ。インカレ前は道内の強豪のクラブチームや高校、そして本学男子との 練習試合の機会を頂き、スピードと高さへ対応する感覚を掴む作業を行った。 そして、インカレ前に現地もしくは関西か九州で大学女子チームとの練習試合を組もう と考えていた。組み合わせが決まり、運良く関西や関東の強豪 3 チームとの練習試合を計 画できた。 -2- ◇検証 マッチアップゾーンを完成させるために本学男子に手伝ってもらい、修正を重ねて戦え る自信をつけられた。また、インカレ前の大学女子との練習試合により強く良い刺激を体 感。適応力が上がっていることを感じることが出来た。4 年生中心にまとまり、試合に向か うモチベーションが大幅に高くなった。 全体を通して、事前準備がうまくいった部分も感じたが、この試合の敗因は自分達のフ ァンダメンタルの欠如が大きく、この例年通りの反省は私の選手に対するアプローチの甘 さが出た。 また、そのような状況でも試合は変化する状況下でいかに自分達の戦いに持ち込むか、 劣勢ならば相手の勢いを最小限に留めることやそこから好転させられるように最善のコー チングができたかというとまだまだやれる事があったと思う。 【来季にむけて】 ・ファンダメンタルの作り直し:原点回帰。特に 1on1 攻守の強化。 ・シュート決定力:これがなくては勝てない。 ・練習の質と量の見直し:まだまだ工夫できることはある。 ・チーム組織の再構築:メンバーが入替わり新チームの組織作りに着手。 最後に、今回のインカレの際に 2011 年山口国体に出場した際にお世話になった下松市 にご挨拶に伺ってまいりました。国体同様に下松市長をはじめお世話になった久保地区の 方々に盛大に迎えて頂き、試合でも最後まで大声援を送って頂きました。この再会の様子 は地元の新聞 3 紙にも掲載され驚きましたが、学生達は人の温もりを感じ、久保地区の皆 さんとの絆を更に深めることが出来ました。この場をお借りしまして改めてお礼を申し上 げます。 ありがとうございました。 HBA(北海道バスケットボール協会)指導者育成専門委員会 -3-
© Copyright 2024 Paperzz