[講義] 第2学年 前期 1単位 歯科補綴学 《担当者名》歯学部教授/越智 守生 越野 寿 歯学部准教授/會田 英紀 歯学部講師/廣瀬 由紀人 歯学部助教/川西 克弥 【概 要】 齲蝕による歯の崩壊と喪失により失われた形態と機能をクラウンやブリッジでいかに回復するかを理解し、補綴治療全体の流れ と技工操作との関連を理解する。また修復された口腔の健康を維持するための患者に対する指導について学ぶ。さらに、無歯顎 補綴および欠損補綴に関しては、その治療的あるいは予防的な意義と有床義歯の在り方を理解し、診査・診断、製作・装着およ び装着後の監視・処置などの臨床面における診療補助および患者指導を行うための学理を学ぶ。 【学習目標】 ☆クラウンおよびブリッジの種類とその構造について説明できる。 ☆補綴治療の流れを理解する。 ☆クラウンやブリッジ製作について説明できる。 ☆クラウンとブリッジの補綴治療に必要な機器や材料について説明できる。 ☆クラウンやブリッジの装着後の患者指導について説明できる。 ☆無歯顎補綴および欠損補綴の目的および意義を説明できる。 ☆顎口腔系機能(咀嚼・嚥下・発音)について説明できる。 ☆正常有歯顎者の下顎運動、下顎位について説明できる。 ☆各種補綴装置について、その適応や構造について説明できる。 ☆歯科補綴処置における感染予防対策や器材の滅菌・消毒について説明できる。 ☆歯科補綴処置における歯科衛生士の役割・歯科技工との関連、患者に対する指導方法などについて説明できる。 ☆部分床義歯の分類法、構成要素の名称とそれぞれの種類および目的を説明できる。 ☆部分床義歯および全部床義歯の製作にあたっての臨床ステップを、技工操作との関連とともに説明できる。 ☆部分床義歯および全部床義歯の製作前ならびに装着後の患者指導方法、調整方法、経過観察項目や術後管理について説明でき る。 ☆全部床義歯の構成要素の名称、目的を説明できる。 ☆即時義歯、治療義歯などの目的により名称の異なる義歯について、その目的と製作術式の違いを説明できる。 ☆オーバーデンチャー、インプラント義歯、顎顔面補綴装置などの特殊な義歯について、その概要を説明できる。 ☆咬合接触状態の検査法、下顎運動検査法、咬合音検査法を説明できる。 ☆ゴシックアーチ描記法、チェックバイト法、パントグラフ法、電気的下顎運動検査法などについて、それぞれの目的や使用す る器材などについて説明できる。 ☆在宅寝たきり老人などに対する訪問口腔衛生指導事業の概要について、とくに補綴処置に関連する事項を説明できる。 【学習内容】 回 テーマ 授業内容および学習課題 担当者 1 ◎歯科補綴学の意義および定義 ・歯科補綴学の定義について学び、歯科補綴学の意 義と目的を理解する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P10−P13 越智 守生 廣瀬 由紀人 2 ◎歯科補綴の基礎 ・歯列・咬合 ・下顎位・下顎運動 ・補綴学的理想咬合について学習する。 各種下顎位および下顎運動について学習する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P23−P39 越野 寿 3 ◎補綴関連検査 ・フェイスボウトランスファー ・ゴシックアーチ描記装置とチ ェックバイト ・パントグラフ ・下顎運動再現装置 ・マイオモニター ・咬合音・筋電図 ・フェイスボウトランスファー、ゴシックアーチと チェックバイト、咬合検査機器について学習する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P161−P167 越野 寿 回 テーマ 授業内容および学習課題 担当者 4 ◎補綴方法の種類 ・全部床義歯 ・部分床義歯 ◎補綴治療における歯科衛生士の 役割 ・補綴処置を必要とする患者 ・補綴治療と共同動作 ・補綴装置の分類について学習する。 部分床義歯とブリッジを比較して、それぞれの特 徴を理解する。 補綴処置を必要とする患者の特徴を理解する。 補綴治療における歯科衛生士の役割について学習 する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P13−P16、P20−P22 川西 克弥 5 ◎部分床義歯補綴 ・部分床義歯補綴の概要 ・部分床義歯の分類 ・部分床義歯の構成要素 ・部分床義歯の各種分類法を理解し、さらにその構 成要素の名称、種類、目的を学習する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P66−P74 川西 克弥 6 ◎部分床義歯製作のための臨床ス テップ ・部分床義歯製作時の患者指導 ・部分床義歯製作にあたっての臨床ステップを、技 工操作との関連とともに理解する。 部分床義歯製作前ならびに装着後の患者指導方法 を学習する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P75−P90 川西 克弥 7 ◎クラウン ・クラウンの分類 ・臨床ステップの概説 ・クラウンの種類、その特徴と適応症について理解 する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P16−P18、P91−P94 越智 守生 廣瀬 由紀人 ・クラウン(特に全部鋳造冠)による形態と機能の 回復を計る場合の検査・診断から術後管理までの臨 床ステップを理解する。この回は診査・診断から精 密印象までを学ぶ。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P96−P107 8 ◎全部床義歯の分類および構成要素 ・全部床義歯の分類法ならびにその構成要素の名称、 會田 英紀 目的を学習する。 全部床義歯製作にあたっての臨床ステップを理解 する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P40−P42 9 ◎全部床義歯製作のための技工ス テップ ・全部床義歯製作時の患者指導 ・全部床義歯製作にあたっての技工ステップを理解 する。全部床義歯製作前ならびに装着後の患者指導 方法、および装着後の調整方法、経過観察項目や術 後管理について理解する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P42−P65 10 ◎クラウン ・臨床ステップの概説 ・患者 指導 ・咬合採得からクラウンの合着までを学び、その概 越智 守生 要を理解する。またクラウンの技工操作も理解する。 廣瀬 由紀人 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P107−P119 ・合着されたクラウンは口腔内に長期間維持されな ければならない。このために必要な患者指導につい て理解する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P155−P159 會田 英紀 回 テーマ 授業内容および学習課題 担当者 11 ◎特別な名称をもつ義歯 下顎運動および咬合の機能検査 ◎在宅訪問指導 ・まとめ ・即時義歯、暫間義歯、治療義歯などの目的により 名称の異なる義歯について、その目的と製作術式の 違いを理解する。また、オーバーデンチャー、イン プラント義歯、顎顔面補綴装置などの特殊な義歯に ついて学習する。 ・咬合接触状態ならびに下顎運動の検査法、咬合音 検査法について学習する。 ゴシックアーチ描記法、チェックバイト法、パン トグラフ法、電気的下顎運動検査法などについて、 それぞれの目的や使用する器材などについて理解す る。 ・在宅寝たきり老人などに対する訪問口腔衛生指導 事業の概要について、とくに補綴処置に関連する事 項を学習する。 ・部分床義歯、全部床義歯を中心に、それぞれの補 綴装置の特徴および臨床ステップ、使用する器材や 診療補助行為、患者への指導方法などについて復習 し、理解を深める。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P144−P148、P150−P154 會田 英紀 12 ◎クラウン ・前装冠 ・ジャケット冠 ・継続歯 ・部分被覆冠 ・全部鋳造冠以外のクラウンの適応症とその構造に ついて理解する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P93−P94 越智 守生 廣瀬 由紀人 13 ◎ブリッジ ・ブリッジの構成と材料 ・臨床ステップの概説 ・診査、診断、前処置 ・支台歯形成 ・印象、咬合採得、技工依頼 ・ブリッジの構造を理解し、ブリッジの種類とブリ ッジの適応症について学ぶ。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P94−P95 ・ブリッジの臨床ステップについて理解する。特に クラウンの場合との違いを理解する。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P99−P113 越智 守生 廣瀬 由紀人 14 ◎ブリッジ ・技工操作(1) ・試適、コア採得 ・技工操作(2) ・完成ブリッジの試適、調整、 セメント合着 ・装着後の注意、口腔清掃指導 ◎インプラント(人工歯根) ・ブリッジにおける技工操作をクラウンの場合と比 較しながらその違いを理解し、ブリッジの完成まで の工程と完成後の口腔内に装着されたブリッジの清 掃指導について学ぶ。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P112−P119 越智 守生 廣瀬 由紀人 ◎補綴治療に用いられる器材とそ の管理 ・切削、研削、研磨用器材 ・印象採得用および模型調整用 器材 ・咬合採得用器材と咬合器 ・人工歯 ・器材の管理 ◎補綴装置の補修、除去 ・クラウン、ブリッジの補修 ・除去 ・有床義歯の補修 ・エアータービン用ハンドピースのような精巧な器 材の使い分けとその管理について学ぶ。 ・咬合器の種類と使用目的や人工歯の種類と選択に ついて理解し、前回と同様にそれらの管理について 学ぶ。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P98−P107 15 ・インプラント(人工歯根)の構造と適応について 学ぶ。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P19−P20、P120−P143 ・補綴物の調整や修理、除去、再製作などについて 学ぶ。 ・「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」 P63−P65 越智 守生 廣瀬 由紀人 【評価方法】 ◇筆記試験、クラウン・ブリッジ50%、有床義歯学50% ※クラウン・ブリッジと有床義歯学を合せて試験で60%以上を合格とする。 【備 考】 教科書 : 「新・衛生士教育マニュアル 歯科補綴学」佐藤 亨、越智守生、越野 寿ら共著 クインテッセンス出版 参考書 : 「歯科補綴学(新衛生士教本)」石橋寛二ら共著 医歯薬出版 【学習の準備】 ☆指定した教科書の該当ページを事前に読んでおくこと。
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