マイクロ水力発電及び小水力発電について

政務調査報告書
園田
調査内容
調査日
調査場所
小水力発電の先進地の動向について
平成25年7月2日
山梨県南アルプス市大師687
対応者
萩原
調査日
調査場所
対応者
平成25年7月3日
長野県大町市 NPO 地域づくり工房
代表理事 傘木 宏夫氏
調査場所
対応者
調査場所
対応者
長野県大町市大町3887
建設水道部建設課 課長補佐 遠藤 久氏
長野県須坂市大字須坂1528-1
環境部生活環境課環境政策係課長補佐 上原
調査日
調査場所
対応者
調査場所
平成25年7月4日
群馬県伊勢崎市茂呂南町5098
都市計画部下水道管理課 伊勢崎浄化センター所長
群馬県高崎箕郷上芝705-1
対応者
調査場所
対応者
東京発電㈱群馬事業所所長 小林好一氏
ぐんまフラワーパーク
株式会社 ぐんまフラワー管理
浩之
博文氏
祥弘氏
斎藤卓也氏
調査理由
当市においても小水力発電の企画・計画書はできているようだが、事業として先に進
まないでいる。先進地の実態を研修し問題点を把握するために調査をおこなった。
南アルプスのマイクロ水力発電
萩原氏は試行錯誤の末敷地内を流れる農業用水を利用し60万円の金額でマイクロ
水力発電機を完成された。つい最近まで水車を回し、150W ほどの発電で居間や外
灯の照明に使用されていた。発電機が不具合を起こし始め、高齢ということもあり改
良は諦め現在は、太陽光発電に切り替えられていた。このことは、視察前に知らさて
いたが、60 万円の金額で発電を起こす仕組みに非常に関心と興味があったので足を
運ぶことになったが、実際の仕組みを視て原理の簡単さに驚かされた。
長野県大町市 NPO 地域づくり工房のミニ水力発電
タイプの違った水車で発電をされていて、全て農業用水路を利用しての発電であった。
水路の状況で水車の形が変わることにより費用もまちまちであったが、いずれも高額
なものではなかった。発電された電気を使う用途によっては、助成金がでる事業もあ
る。農業用水路を利用し発電された電気を個人が使う場合でも、環境学習拠点という
観点から発電の仕組みを公開することで水利権の問題はクリアーされていた。NPO
の話では、「この環境学習拠点とすること」にたどりつくまで水利権のハードルは高
かったそうです。
長野県大町市小水力発電
平成 22 年 4 月から運転が開始され、総工費 1 億 5 千 942 万円で
地域新エネルギー等導入促進事業補助 50.0%
合併特例債
47.5%
単独事業費
2.5%
最大出力
140kw
発電された電力は近くのクリーンプラント(し尿処理場)に使われ余った電力(24.5%)
は売電されている。
長野県須坂市マイクロ水力発電
ネットによる資料は1ヶ所だけであったが、その後数か所設置されていた。発電量は
150W前後と少ないが設置場所と用途が参考になった。その用途はイノシシ、猿の
対策の電気さくと外灯に使用されており、当市においても試験的に取り組める事業で
はなかろうか。
事業費:水車発電機設置工事 189万円、電気柵設置工事262万5千円
県コモンズ支援交付(補助率2/3)
群馬県伊勢崎市浄化センター
マイクロ水力発電
浄化センターで処理された水を河川に放流する1.2m落差を利用したサイフォン式
立軸水車で設置場所は1mも満たないスペースで 1.5kw発電できるのが特徴である。
3150 万円の事業費も全額県の補助金と説明を受け驚いた。
水力発電よりバイオマスガス発電機の説明を担当者は熱が入り、予備知識がなかった
ので残念であったが、これは農業集落排水の施設で利用可能な発電施設であり、バイ
オマスガス発電も勉強の必要性を感じた。
群馬県高崎市白川小水力発電所
この発電所は地球温暖化防止、エネルギー使用の合理化を目的とし東京発電㈱と共同
で設置し東京発電㈱が全て管理する。発電した電気は白川浄水場内で自家消費し、余
った電気は東京電力㈱へ売電。
ぐんまフラワーパーク マイクロ水力圧電
この施設の発電所は、平成23年度群馬県新エネルギー導入モデル支援事業として認
められ、補助金を約半分の 100 万円の交付を受けて設置された。長野県の NPO 地域
づくり工房で設置されていた物と同じ発電機が稼動していた。ここの水利は井戸水を
くみ上げ、園内の池の水を循環浄化するポンプの高低差を利用したマイクロ水力発電
であり水利権の問題は井戸水のため発生していないと説明を受ける。発電能力は50
0wで園内の照明やイルミネーションに利用されていた。
事業費: 2,121,000 円
補助金: 1,000,000 円
調査の感想
今回、民間・NPO・行政が設置した小水力発電所数箇所、それぞれ視察調査をおこな
った。
民間が設置した小水力発電の費用は60万円、200万円(園内の LED 照明設置
分も含む)とコストを抑えて設置されており条件さえ整えば誰でも設置可能なものと
いえる。
NPO 地域づくり工房の発電は、コストを抑えることは勿論補助金も視野に入れな
がら、設置する場所に応じた発電タイプを選択されていた。農業用水路でも「環境学
習拠点とする」事を踏まえれば発電された電力を個人が利用しても法的に(電力会社
に対して)水利権の問題が避けられることは大きな収穫である。
行政が取り組む小水力発電は、コストが数千万円から億を越す高額なもので、費用
対効果を考えれば自主財源だけでは到底設置できないものであった。
当市において、小水力発電の計画書もできあがっており、太陽光発電等自然再生エ
ネルギーを推進するならば、この分野の補助金には目を光らせ早く事業に取り組むべ
きである。また、当市は他市町村より水資源には恵まれていると思われる。長野の
NPO 地域づくり工房の発電や長野県須坂市のマイクロ水力発電を嬉野市のコミュニ
ティ、観光協会等が母体となり市内のあちこちで小水力発電用の水車が回れば観光の
一役を担うはずである。