今日の臨床サポート - 集団食中毒

□ 薬剤の保険適⽤ ご確認のお願い
□ 「評価・治療例(詳細)」ページの薬剤に、保険適⽤表記を追記させていただきましたので、ご確認をお願いします。
□ 疾患に対して、記載されている薬剤処⽅は保険適⽤があるのかないのか、また、⽤量内なのかを読者が確認できるようにすることを⽬的としています。
□ この保険適⽤情報は、エルゼビアの責任として、レセプトチェックソフトなどを参考に案を作成しておりますが、先⽣のコンテンツに掲載することから、違和感がないかな
ど、公開前に先⽣に内容をご確認いただけたらと考えております。
□ 添付⽂書記載の保険適⽤の内容が査定の現場の内容と異なることがあります。例えば、筋緊張型頭痛は、厳密にはロキソニンの保険適⽤外です。しかし、慣習的に⽤いられて
おり査定対象にならないことがあります。このような場合には、“筋緊張型頭痛は厳密にはロキソニンの適⽤外だが、査定の対象とならないこともある”のような記載を付け加
えられたらと考えています。このような記載が必要かどうかについて、先⽣の現場の感覚にてご指導を御頂戴できたら幸いです。
注釈 「評価・治療例(詳細)」の下に、以下のような注釈を掲載
薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、編集部によって記載⽇時に添付⽂書・社会保険診療報酬⽀払基⾦レセプト請求計算事例・レセプトチェックソフ
トなどで確認し作成しております。ただし、これらの記載は、実際の保険適⽤の査定において保険適⽤及び保険適⽤外と判断されることを保証するものではありませ
ん。また、症状のオーダーセットや検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛しています。
例:⾚芽球癆
表現⼀覧
㊜XX → 薬剤は、厳密には病名○○の適⽤外と査定される可能性がある。薬剤は病名XXの適⽤と記載されており、XXに対する⽤量として評価した場合⽤量が範囲内である。
記載(〇〇には病名が⼊ります)
意味
[適⽤内/⽤量内/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名に適⽤と想定される。⽤量も範囲内
[適⽤内/⽤量適宜増減2倍以下㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名に適⽤と想定される。⽤量は添付⽂書量を超えるが2倍以内である。添付⽂
書に適宜増減等の記載がある。
[適⽤内/⽤量適宜増減2倍超㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名に適⽤と想定される。⽤量は添付⽂書量の2倍超である。添付⽂書に適宜増
減等の記載がある
[○○は適⽤外/他適⽤⽤量内/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名○○では適⽤外と査定される可能性がある。薬剤は病名××に対して適⽤と
想定され、病名××に対する⽤量として評価した場合範囲内である。
[○○は適⽤外/他適⽤⽤量適宜増
減2倍以下/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名○○では適⽤外と査定される可能性がある。薬剤は病名××に対して適⽤と
想定され、病名××に対する添付⽂書量を超えるが2倍以内である。添付⽂書に適宜増減等の記載がある。
[○○は適⽤外/他適⽤⽤量適宜増
減2倍超/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名○○では適⽤外と査定される可能性がある。薬剤は病名××に対して適⽤と
想定され、病名××に対する添付⽂書量の2倍超である。添付⽂書に適宜増減等の記載がある。
[適⽤内/⼩児⽤量内/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名に適⽤と想定される。⼩児⽤量も存在し、その範囲内である
[適⽤内/⼩児⽤量外/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名に適⽤と想定される。⼩児⽤量は存在するが、その範囲外である
[適⽤内/⼩児⽤量記載無/㊜××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名に適⽤と想定される。⼩児⽤量が存在せず、成⼈での⽤量範囲内である
[○○は適⽤外/他適⽤⼩児⽤量内/㊜
××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名○○では適⽤外と査定される可能性がある。薬剤は病名××に対して適⽤と
想定され、病名××に対する⼩児⽤量が存在し、その範囲内である
[○○は適⽤外/他適⽤⼩児⽤量外/㊜
××]
薬剤が、同じページ内に記載されている想定病名○○では適⽤外と査定される可能性がある。薬剤は病名××に対して適⽤と
想定され、病名××に対する⼩児⽤量が存在し、その範囲外である。
[薬価未収載]
海外の薬剤など
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■評価・治療例(詳細)
#274
集団⾷中毒
⼤川清孝
⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 消化器内科
初診時、フォローアップ時
対象患者・コメントを隠す/表⽰する
※下記は、⼀部を除き、執筆者が過去に診た20⼈の患者で2⼈以上に⾏った事を羅列して頂いています。実際の1⼈の患者に
⾏った内容は、下記の⼀部分であることを了解下さい。
評価⽅針
便培養や毒素検査で菌を特定する。
脱⽔の状態や合併症の有無を検索する。
バイタルサイン
バイタル(⾎圧、脈拍)来院時
対象:
集団⾷中毒を疑う患者(推奨度1)
コメディカルへの依頼
⾷事指導(低残渣⾷)
対象:
集団⾷中毒の⼊院患者(推奨度2)
検体検査
CBC
対象:
集団⾷中毒を疑う患者(推奨度1)
CRP
対象:
集団⾷中毒を疑う患者(推奨度1)
Na,Cl
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
K
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
ALT
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
AST
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
T-Bil
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
TP
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
Alb
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
BUN
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
2015/11/10
Cr
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
BS
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
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尿⼀般
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
尿沈渣
対象:
中等症以上の⾷中毒を認める患者(推奨度2)
⽣理・画像検査
胸部12誘導⼼電図
対象:
必要に応じて(推奨度2)
X線 胸部・腹部正⾯
対象:
必要に応じて(推奨度2)
治療⽅針
脱⽔がある場合は輸液を⾏う。
菌の種類、患者背景により抗菌薬の投与を決定する。
薬 剤
抗菌薬(キノロン系)
クラビット錠 [500mg] 1錠 分1 [適⽤内/⽤量内/㊜⾷中毒](編集部注:本ページで想定する適⽤病名「⾷
中毒」/2015年7⽉)
薬剤情報を⾒る
対象:
患者背景により抗菌薬投与が必要と判断された患者(推奨度2)
エンピリックセラピー
⼩児には⽤いない
コメント:
クラビット、ホスミシンはいずれか1つを⽤いる
抗菌薬(ホスホマイシン系)
ホスミシン錠 [500mg] 4〜6錠 分3〜4 [適⽤内/⽤量内/㊜⾷中毒]
薬剤情報を⾒る
対象:
患者背景により抗菌薬投与が必要と判断された患者(推奨度2)
エンピリックセラピー
コメント:
クラビット、ホスミシンはいずれか1つを⽤いる
合併症のコントロール
溶⾎性尿毒症症候群
対象:
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎患者
脳症
対象:
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎患者
腎不全
対象:
サルモネラ腸炎など
コンサルト
腎臓内科
対象:
腎不全を起こしている患者
神経内科
対象:
脳症を起こしている患者
推奨度1:明らかに利益が害やコストよりも上回る。必ず⾏う必要があり得る⾏為。
推奨度2:害、コストよりも、利益が上回る可能性が⾼い。半数以上の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度3:利益よりも、害、コストが、上回る可能性が⾼い。半数以下の状況で⾏われ得る⾏為。
推奨度4:明らかに利益が害やコストよりも下回る。医学的に原則禁忌といわれている⾏為。
(詳細はこちら参照)
2015/11/10
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※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、編集部によって記載⽇時に添付⽂書・社会保険診療報酬⽀払基⾦
レセプト請求計算事例・レセプトチェックソフトなどで確認し作成している。ただし、これらの記載は、実際の保険適
⽤の査定において保険適⽤及び保険適⽤外と判断されることを保証するものではない。また、症状のオーダーセットや
検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛している。
(詳細はこちらを参照)
最終更新⽇ : 2015年10⽉20⽇
<<ページ末尾:#situationDetails6.aspx?DiseaseID=274&situationno=1>>
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■トップページ
集団⾷中毒
#274
監修:上村直実 国⽴国際医療研究センター国府台病院
⼤川清孝
⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 消化器内科
概要
疾患のポイント:
⾷中毒とは、飲⾷物の摂取に際し有害物質が体内に⼊ることにより引き起こされる疾患であ
る。同⼀の⾷物を⾷べた集団など特定の集団に発⽣した⾷中毒を集団⾷中毒という。
原因物質には病原微⽣物のみでなく、⾃然毒、化学物質などもある。
症状と便の性状から⼤腸粘膜の炎症(⼤腸型)か、それより上位の障害(⼩腸型)かをまず判
断する。[ID0701]
⼤腸型は、毒素または病原微⽣物による組織侵襲のため、発熱、腹痛、⾎便、テネスムス
などがある。
⼩腸型は病原微⽣物や毒素による腸管分泌亢進であり、⼤量の⽔様下痢があり、悪⼼や嘔
吐を伴う。
⼤腸型、⼩腸型に含まれないものとして穿通型がある。発熱や全⾝症状を伴い、下痢は軽
度のことが多い。
診断:[ID0011] [ID0701]
⾷中毒の診断には問診が最も重要である。特に⾷事歴が⼤事で、例えば、この1週間で⽣の
鶏・⾁・⽜レバー・⿂介類などを⾷べたかどうか、などと具体的に聞く必要がある。
⾷中毒を疑ったときには、まず最寄りの保健所へ電話などで連絡する。([[⾷中毒患者の届出
の義務]])
確定診断のためには細菌では培養検査や毒素検査を、ノロウイルスでは便中抗原の検査を⾏
う。
⾎便がある場合には潰瘍性⼤腸炎、⼤腸憩室症などとの鑑別のため、⼤腸内視鏡検査を⾏うこ
とがある。
重症度・予後評価:[ID0013]
感染性腸炎研究会の重症度判定基準を⽤いる([ID0601])。重症度は体温、下痢の回数と性
状、腹痛、嘔吐の程度から判定する。
初期治療:[ID0014]
軽症例:
⾷中毒は⼀般的には⾃然治癒傾向が強く、治療は⽔分補給と電解質の補給が中⼼で、多く
の場合、抗菌薬投与の必要はない。
⼀⽅、⾚痢、コレラ、チフス、パラチフスなどでは抗菌薬療法が必須である。
重症例:
症状が強い場合や、⾚痢、コレラ、チフス、パラチフスなどを疑い抗菌薬の適応と考えら
れた場合は、エンピリックセラピーを⾏う。
ニューキノロン系抗菌薬かホスホマイシンを原則3⽇間投与する。
カンピロバクター腸炎が強く疑われる場合はマクロライド系抗菌薬を⽤いる。
抗菌薬は原則3⽇で中⽌する。急性の感染性腸炎は腸管内に菌が残っていても⾃然に
排除される。
抗菌薬投与時には投与前に便培養を⾏い、培養の結果がわかった時点で抗菌薬を変更
または中⽌する。
下痢が10回以上あり、⾼熱や強い腹痛や嘔吐がある場合、下痢・嘔吐による脱⽔が著明な
場合や、経⼝摂取不能の場合は⼊院を考慮する。 [ID0601]
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎で溶⾎性尿毒症症候群や脳症を起こしている場合、サルモネラ腸炎
で敗⾎症、他臓器感染、腎不全などを起こしている場合は、集中治療が必要である。
肝硬変や免疫不全患者が⿂介類を⾷べた場合、Vibrio vulnificusによる重症感染を起こす
ことがある。重症の敗⾎症と軟部組織感染を起こし、抗菌薬治療とともに、後者に関して
は外科的治療が必要である。
臨床のポイント:
腹痛・下痢・嘔吐に遭遇した際には、集団⾷中毒を念頭に置いた問診を⾏う。
患者集団の共通する症状と原因と思われる⾷物から原因菌ないしはウイルスを想定した初期治
療を⾏う。
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重症度に応じた治療法が必要となる。
評価・治療の進め⽅
※選定されている評価・治療は⼀例です。症状・病態に応じて適宜変更してください。
■脱⽔や合併症を把握するための検査例
脱⽔、肝障害、腎障害、⾎⼩板減少などをチェックする。
○ 脱⽔・電解質バランス異常の有無をチェックし重篤度を判定するために下記の検査を⾏う。
1)CBC
2)CRP
3)Na,Cl
4)K
5)ALT
6)AST
7)T-Bil
8)TP
9)Alb
10)BUN
11)Cr
■⾷中毒の抗菌薬治療例
⾷中毒は⼀般的には⾃然治癒傾向が強く、輸液、⾷事療法、対症薬物療法を優先する。
発熱や炎症所⾒が⾼度である場合のみ、抗菌薬療法が必要である。
○ 発熱や炎症所⾒が⾼度であり、感染性腸炎が疑われる場合、下記の抗菌薬を使⽤する。
1)クラビット錠 [500mg] 1錠 分1 [適⽤内/⽤量内/㊜⾷中毒](編集部注:想定する適⽤病
名「⾷中毒」/2015年7⽉)
薬剤情報を⾒る
2)ホスミシン錠 [500mg] 4〜6錠 分3〜4 [適⽤内/⽤量内/㊜⾷中毒]
薬剤情報を⾒る
追加情報ページへのリンク
集団⾷中毒に関する詳細情報
集団⾷中毒に関する評価・治療例(詳細) (1件)
初診時、フォローアップ時
集団⾷中毒に関するエビデンス・解説 (10件)
集団⾷中毒に関する画像 (2件)
※薬剤中分類、⽤法、同効薬、診療報酬は、エルゼビアが独⾃に作成した薬剤情報であり、
著者により作成された情報ではありません。
尚、⽤法は添付⽂書より、同効薬は、薬剤師監修のもとで作成しております。
※薬剤情報の(適外/適内/⽤量内/⽤量外/㊜)等の表記は、編集部によって記載⽇時に添付⽂書・社会保険診療報酬⽀払基⾦
レセプト請求計算事例・レセプトチェックソフトなどで確認し作成している。ただし、これらの記載は、実際の保険適
⽤の査定において保険適⽤及び保険適⽤外と判断されることを保証するものではない。また、症状のオーダーセットや
検査薬、輸液、⾎液製剤、全⾝⿇酔薬、抗癌剤等の薬剤は保険適⽤の記載の⼀部を割愛している。
(詳細はこちらを参照)
最終更新⽇ : 2015年10⽉20⽇
<<ページ末尾:#searchDetails4.aspx?DiseaseID=274>>
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■詳細情報
#274
集団⾷中毒
⼤川清孝
⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 消化器内科
病態・疫学・診察
疾患情報(疫学・病態) [ID0001]
⾷中毒とは飲⾷物の摂取に際し有害物質が体内に⼊ることにより引き起こされる疾患である
[1]。
原因物質には病原微⽣物のみでなく、⾃然毒、化学物質などもある。
同⼀の給⾷を⾷べた集団、同⼀の⾷物を⾷べた集団など特定の集団に発⽣した⾷中毒を集団⾷
中毒という。
病原微⽣物による⾷中毒は感染型と毒素型に分けられ、感染型⾷中毒と感染性腸炎は同⼀であ
る。
⼀⽅、毒素型⾷中毒は⾷品中で産⽣された毒素による⾷中毒であり、感染性腸炎とはいえな
い。
問診・診察のポイント [ID0002]
問診では、海外渡航歴、汚染された⾷物摂取の可能性、集団発⽣の可能性について聴取する。
抗菌薬起因性腸炎や潰瘍性⼤腸炎などとの鑑別のため、症状とその発現時期、抗菌薬使⽤歴な
どを聞く。
例えば、この1週間で⽣の鶏・⾁・⽜レバー・⿂介類などを⾷べたかどうか、などと具体的に
聞く。
症状と便の性状から⼤腸粘膜の炎症(⼤腸型)か、それより上位の障害(⼩腸型)かをまず判
断する[2][ID0701]。
⼤腸型は、毒素または病原微⽣物による組織侵襲のため、発熱、腹痛、⾎便、テネスムスなど
がある。
⼩腸型は病原微⽣物や毒素による腸管分泌亢進であり、⼤量の⽔様下痢があり、悪⼼や嘔吐を
伴う。
⼤腸型、⼩腸型に含まれないものとして穿通型がある。発熱や全⾝症状を伴い、下痢は軽度の
ことが多い。
診断⽅針
0:想起 [ID0010]
発熱、下痢、腹痛、嘔吐などがあり、同じ⾷事をした他の⼈も同様の症状がある場合は集団⾷
中毒を疑う。
途上国からの海外旅⾏より帰ってきた⼈が発熱、下痢、腹痛、嘔吐などの症状を⽰した場合、
⾷中毒を疑う。
1:診断 [ID0011]
確定診断のためには細菌では培養検査や毒素検査を、ノロウイルスでは便中抗原の検査を⾏
う。ノロウイルス抗原迅速定性検査は3歳未満および65歳以上が保険適⽤である。
⾎便がある場合には潰瘍性⼤腸炎、⼤腸憩室症などとの鑑別のため、⼤腸内視鏡検査を⾏うこ
とがある[3]。
2:疾患の除外 [ID0012]
抗菌薬を服⽤している場合は、まず抗菌薬による菌交代に起因する腸炎を考えて診断を進め
る。
⾮ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)やプロトンポンプ阻害薬を服⽤している場合は、これらに
起因する腸炎を除外しなければならない。
途上国への渡航歴がある場合は、⾚痢、コレラ、チフス、パラチフスなどの可能性も考える。
特にチフス、パラチフスは潜伏期が8〜14⽇と⻑く、初発症状は発熱で、下痢は伴わないため
注意が必要である。
治療⽅針
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3:重症度・予後 [ID0013]
感染性腸炎研究会の重症度判定基準を⽤いる[ID0601]。
重症度は体温、下痢の回数と性状、腹痛、嘔吐の程度から判定する。
合併症を起こさなければ予後は良好である。
4:治療 [ID0014]
⾷中毒は⼀般的には⾃然治癒傾向が強く、輸液、⾷事療法、対症薬物療法を優先する。
抗菌薬の適応は、原因菌、重症度を含めた患者背景から決定する。
⾚痢、コレラ、チフス、パラチフスなどでは抗菌薬療法が必須である。
初診時に原因菌が不明の場合、ニューキノロン系抗菌薬かホスホマイシンを原則3⽇間投与す
る。
⾚痢は、ニューキノロン系抗菌薬を第1選択とし、5⽇間投与する。
腸チフス・パラチフスは、ニューキノロン系抗菌薬を第1選択とし、14⽇間投与する。
コレラはニューキノロン系抗菌薬かホスホマイシンを3⽇間投与する。
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎では抗菌薬投与の是⾮は結論が出ていないが、投与する場合はホスホマ
イシン、ニューキノロン系抗菌薬(⼩児にはノルフロキサシン)、カナマイシンのいずれか1
剤を病初期に3〜5⽇間投与する。
5:フォローアップ⽅針 [ID0015]
治癒後のフォローアップは基本的に必要がない。
しかし、腸管合併症を伴った場合はそのフォローアップが必要である。
⾚痢とコレラは治療終了後48時間以降24時間以上の間隔で2回培養を⾏い、いずれも陰性であ
れば法律上除菌されたとみなされる。
腸チフス・パラチフスは治療終了後48時間以降24時間以上の間隔で連続3回培養を⾏い、いず
れも陰性であれば法律上除菌されたとみなされる。
6:難治症例の治療 [ID0019]
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎で溶⾎性尿毒症症候群や脳症を起こしている場合は、集中治療が必要で
ある[5]。
サルモネラ腸炎で敗⾎症、他臓器感染、腎不全などを起こしている場合は、集中治療が必要で
ある。
7:治療の中⽌ [ID0016]
急性期に輸液、対症薬物療法を⾏うが下痢、嘔吐などの症状が軽快すれば中⽌する。
抗菌薬は原則3〜5⽇で中⽌する。急性の感染性腸炎は腸管内に菌が残っていても⾃然に排除さ
れる。
8:⼊院適応 [ID0018]
下痢が10回以上あり、⾼熱や強い腹痛や嘔吐がある場合は⼊院治療が必要である。[ID0601]
下痢・嘔吐による脱⽔が著明な場合や、経⼝摂取不能の場合は⼊院の必要がある。
9:⼿術・専⾨医相談のタイミング [ID0017]
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎でまれに腸管壊死が起こり、⼿術が必要なことがある。
肝硬変や免疫不全患者が⿂介類を⾷べた場合、Vibrio vulnificusによる重症感染を起こすこと
がある。重症の敗⾎症と軟部組織感染を起こし、抗菌薬治療とともに、後者に関しては外科的
治療が必要である[4]。
3類感染症と診断した場合は専⾨医に相談する。
脱⽔が強く意識障害がある場合、菌⾎症が疑われる場合、強い腹痛と⾎便がある場合などは専
⾨医に紹介する。
イメージ
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[ID0601]
細菌性感染性腸炎重症度判定基準
感染性腸炎研究会の定めた重症度分類である。
1: ⼊交昭⼀郎:⽇本の感染性腸炎Ⅱ 細菌性感染性腸炎に対する抗菌薬臨床試験ならびに臨床効果の
判定基準 菜根出版 1996 363-374
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アルゴリズム
[ID0701]
⾷中毒診断のアルゴリズム
1: 著者提供
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鑑別疾患
抗菌薬起因性腸炎
Clostridium difficile腸炎
MRSA腸炎
急性出⾎性⼤腸炎
腸結核
ロタウイルス腸炎
特発性炎症性腸疾患
潰瘍性⼤腸炎
クローン病
腸管ベーチェット病
虚⾎性⼤腸炎
過敏性腸症候群
collagenous colitis
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エビデンス/解説
1. ⾷中毒の原因としてウイルスではノロウイルスが、細菌ではカンピロバクターが多
い。
詳しく⾒る
2. ⼤規模⾷中毒の原因として多い病原微⽣物はサルモネラ、ウェルシュ菌、腸炎ビブリ
オ、病原性⼤腸菌、ノロウイルスである。
詳しく⾒る
3. ⾷中毒の原因物質として1990年代後半まではサルモネラと腸炎ビブリオが最も多かっ
たが、現在はノロウイルスとカンピロバクターが多い。
詳しく⾒る
4. ⾷中毒治療の基本は⽔分と電解質の補給である。
詳しく⾒る
5. ノロウイルスは⾷中毒で最も多い原因であるが、ヒト―ヒト感染も多い。
詳しく⾒る
6. 腸管出⾎性⼤腸菌腸炎の抗菌薬投与の是⾮については結論が出ていない。
詳しく⾒る
7. カンピロバクター腸炎はニューキノロン系抗菌薬耐性の場合が多く、第1選択はマクロ
ライド系抗菌薬である。
詳しく⾒る
8. サルモネラ腸炎ではニューキノロン系抗菌薬が第1選択であり7⽇間投与する。
詳しく⾒る
9. ⾷中毒のエンピリックセラピーとしてはホスホマイシンかニューキノロン系抗菌薬を
⽤いる。
詳しく⾒る
10. Vibrio vulnificus感染症は肝硬変患者では致死的な⾷中毒であり、早期治療が必要で
ある。
詳しく⾒る
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症例検索
[https://clinicalsup.jp/jpoc/SearchExternal.aspx?
s=%E9%A3%9F%E4%B8%AD%E6%AF%92 症例くん]での検索(⾷中毒)
(「症例くん」は⽇本内科学会地⽅会の症例報告の検索システムです。⽇本内科学会のID、パ
スワードにてアクセスしてください。)
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1: 相楽裕⼦:腸管感染症とは? 腸管感染症Q &A 相楽裕⼦,編. 東京:医薬ジャーナル社; 2005.p.10-2.
2: 横⽥恭⼦,古川恵⼀:感染性下痢の便の特徴、性状から分かること. ⽇医雑誌2010;139(5):1029-32.
3: ⼤川清孝:感染性腸炎総論 感染性腸炎 A to Z.第2版,⼤川清孝,清⽔誠治,編.医学書院,2012;2-11.
4: 坂本光男:宿主の易感染性要因は? 腸管感染症Q &A.相楽裕⼦,編. 東京:医薬ジャーナル社; 2005
p.47-8.
5: 神⾕ 亨:成⼈の感染性下痢の診断と治療. ⽇医雑誌2010;139(5):1037-42.
最終更新⽇ : 2015年10⽉20⽇
<<ページ末尾:#actionDetails4.aspx?DiseaseID=274>>
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■エビデンス・解説
#274
集団⾷中毒
⼤川清孝
⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 消化器内科
1: エビデンス [ID0501]
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⾷中毒の原因としてウイルスではノロウイルスが、細菌ではカンピロバクターが多い。
まとめ:2010年度の⾷中毒統計の患者数は、ノロウイルス、サルモネラ、カンピロバクター、ウェルシュ菌、そ
の他の病原性⼤腸菌、ブドウ球菌、腸炎ビブリオ、腸管出⾎性⼤腸菌の順に多かった。しかし、⾷中毒
統計は届出のあったもので、本当の患者数を反映していない。例えばカンピロバクター腸炎の届出患者
数は2,092⼈であるが実際は150万⼈、ノロウイルス腸炎の届出患者数は13,904⼈であるが実際は数百
万⼈と推測されている。
結 論:⾷中毒の原因としてノロウイルスとカンピロバクターが多い。
1: 相楽裕⼦:感染性下痢の疫学的な⾒⽅―季節的、地域的観点から. ⽇医雑誌2010;139(5):
1023-28.
2: 厚⽣労働省:⾷中毒に関する情報―⾷中毒統計資料
2: エビデンス [ID0502]
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⼤規模⾷中毒の原因として多い病原微⽣物はサルモネラ、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、病原性
⼤腸菌、ノロウイルスである。
まとめ:⼤規模⾷中毒にめやすとされる500⼈以上の細菌性⾷中毒事件は1998〜2010年に29件発⽣している。起
因菌はサルモネラ9件、ウェルシュ菌7件、腸炎ビブリオ5件、病原性⼤腸菌5件、ブドウ球菌2件、セレ
ウス菌1件である。
結 論:⼤規模⾷中毒の原因として多い細菌はサルモネラ、ウェルシュ菌、腸炎ビブリオ、病原性⼤腸菌であ
る。
1: 厚⽣労働省:⾷中毒に関する情報―⾷中毒統計資料 3: エビデンス [ID0503]
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⾷中毒の原因物質として1990年代後半まではサルモネラと腸炎ビブリオが最も多かったが、現在
はノロウイルスとカンピロバクターが多い。
まとめ:腸炎ビブリオ腸炎は、汚染菌数の規制や⽣⾷⽤⿂介類の洗浄⽔の規制、10℃以下の低温保存が義務づけ
られたため減少した。サルモネラ腸炎は鶏卵の低温保存、期限表⽰、農場での衛⽣管理の普及により減
少した。2000年以降はノロウイルス腸炎とカンピロバクター腸炎が多くなった。
結 論:⾷中毒の原因物質として1990年代後半まではサルモネラと腸炎ビブリオが最も多かった。
1: 相楽裕⼦:感染性下痢の疫学的な⾒⽅―季節的、地域的観点から. ⽇医雑誌2010;139(5):
1023-28.
4: エビデンス [ID0504]
⾷中毒治療の基本は⽔分と電解質の補給である。
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推奨度
2015/11/10
2
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まとめ:⽔分と電解質の補給は経⼝摂取が基本である。経⼝摂取が可能な患者は絶⾷にする必要はない。⾷事摂
取により腸管の浸透圧の変化を低下させ、罹患期間を短縮することができる。吐気が強いため経⼝摂取
ができない場合は経静脈的に輸液を⾏う。対症療法として整腸薬、乳酸菌製剤を投与するが、⽌痢薬や
鎮痙薬は原則⽤いない。抗菌薬は原則必要ないが、起因菌、患者の重症度、患者の基礎疾患により必要
なことがある。
結 論:⾷中毒治療の基本は⽔分と電解質の補給であり、可能なら経⼝摂取をさせる。
1: 遠藤和郎:感染性下痢の治療の原則. ⽇医雑誌2010;139(5):1033-36.
5: エビデンス [ID0505]
ノロウイルスは⾷中毒で最も多い原因であるが、ヒト―ヒト感染も多い。
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まとめ:ノロウイルスは最も多い⾷中毒の原因であり、冬季(12⽉〜1⽉)に流⾏する。感染⼒が強いためヒト
―ヒト感染も多く、⾷品媒介例の2倍といわれている。感染1〜2⽇後に嘔吐、下痢で発症し、発熱はな
いかあっても軽度である。通常3⽇以内に回復する。診断は臨床症状と地域の流⾏状況から判断する。⾷
中毒の可能性があり⼆次感染を防ぐ必要がある場合は迅速診断キットで診断する。治療は⽔分、電解質
の補給であり抗菌薬の適応はない。下痢が⽌まってから3⽇間は隔離が必要である。
結 論:ノロウイルスは⾷中毒で最も多い原因であるが、ヒト―ヒト感染も多い。
1: 神⾕ 亨:成⼈の感染性下痢の診断と治療. ⽇医雑誌2010;139(5):1037-42.
6: エビデンス [ID0506]
腸管出⾎性⼤腸菌腸炎の抗菌薬投与の是⾮については結論が出ていない。
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まとめ:腸管出⾎性⼤腸菌腸炎は主に⽜⾁や⽜レバーにより起こる⾷中毒である。ベロ毒素を産⽣するものを腸
管出⾎性⼤腸菌と呼ぶ。O157が6〜7割を占め最も多いが、O26、O111なども⽐較的多い⾎清型であ
る。下痢発症後1週間程度で5〜10%に溶⾎性尿毒症症候群(HUS)が起こる。また脳症も発症する。抗
菌薬使⽤の是⾮は結論が出ていない。わが国の報告では、早期に抗菌薬を投与されたものほどHUSの発
症率は低かったため、初期には抗菌薬投与を推奨している。⼀⽅、海外では、HUS発症のリスクが⾼ま
るため使⽤しないほうがいいという意⾒が多い。抗菌薬による腸内細菌叢の排除が菌の増殖を招き、毒
素の産⽣と腸管からの吸収を促進すること、抗菌薬の菌体細胞に対する溶菌あるいは致死的作⽤によっ
て毒素が⼤量に遊離されること、などが理由とされている。そのため、わが国では抗菌薬に使⽤につい
ては主治医の判断にまかせるとしている。
結 論:腸管出⾎性⼤腸菌腸炎の抗菌薬の是⾮については結論が出ておらず、主治医の判断にまかされている。
1: 厚⽣労働省:⼀次、⼆次医療機関のための腸管出⾎性⼤腸菌(O157等)感染症治療の⼿引き(改
訂版). 2: 神⾕ 亨:成⼈の感染性下痢の診断と治療 ⽇医雑誌2010;139(5):1037-42
3: Risk factors for the progression of Escherichia coli O157:H7 enteritis to
hemolytic-uremic syndrome.
PMID 2181099 J Pediatr. 1990 Apr;116(4):589-92.
7: エビデンス [ID0507]
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カンピロバクター腸炎はニューキノロン系抗菌薬耐性の場合が多く、第1選択はマクロライド系
抗菌薬である。
推奨度
2015/11/10
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まとめ:カンピロバクターは⾷中毒を起こす細菌のなかで最も多い。原因は鶏⾁が最も多く、⽜レバーも多い。
重症の場合や⼩児、⾼齢者、免疫不全の場合は抗菌薬を投与する。カンピロバクターはニューキノロン
系抗菌薬耐性の場合が多く、第1選択はマクロライド系抗菌薬である。症状が発現してから4⽇以内に適
切な抗菌薬を開始すると保菌期間を短縮できるといわれている。下痢発症後2〜3週で0.05%の頻度でギ
ランバレー症候群を起こす。
結 論:カンピロバクター腸炎は対症療法が基本であるが、抗菌薬を投与する場合はニューキノロン系抗菌薬耐
性が多く、第1選択はマクロライド系抗菌薬である。
1: 神⾕ 亨:成⼈の感染性下痢の診断と治療. ⽇医雑誌2010;139(5):1037-42.
2: Early treatment with erythromycin of Campylobacter jejuni-associated dysentery
in children.
PMID 3488385 J Pediatr. 1986 Aug;109(2):355-60.
8: エビデンス [ID0508]
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サルモネラ腸炎ではニューキノロン系抗菌薬が第1選択であり7⽇間投与する。
推奨度
2
まとめ:サルモネラ腸炎は夏に多く起こり、潜伏期は8〜48時間と⽐較的短い。症状は、⾼熱、下痢、腹痛が主
であり、細菌性腸炎のなかで最も症状が激しい。⾎便を来すこともある。5%以下の患者で菌⾎症を起こ
し、感染性動脈炎、⾻髄炎、髄膜炎、⼼内膜炎などの腸管外感染症を起こすことがある。腎障害や肝障
害も起こすことがある。 そのため、重症例、⼩児・⾼齢者、免疫不全者、⼈⼯関節・⼈⼯⾎管・⼈⼯
弁置換術後などでは積極的に抗菌薬を投与する。ニューキノロン系抗菌薬が第1選択であり、7⽇間投与
する。投与終了後10⽇以上たってから培養検査を⾏い菌陰性であれば除菌と判定できる。合併症のない
サルモネラ腸炎には抗菌薬の投与は薦められない。
結 論:サルモネラ腸炎は菌⾎症を来すことがあり、ハイリスク群ではニューキノロン系抗菌薬を投与する。
1: 神⾕ 亨:成⼈の感染性下痢の診断と治療. ⽇医雑誌2010;139(5):1037-42.
9: エビデンス [ID0509]
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⾷中毒のエンピリックセラピーとしてはホスホマイシンかニューキノロン系抗菌薬を⽤いる。
推奨度
2
まとめ:⾷中毒が原因と思われ症状が強い場合や患者背景で抗菌薬の適応と考えられた場合はエンピリックセラ
ピーを⾏う。ニューキノロン系抗菌薬かホスホマイシンを原則3〜5⽇間投与する。カンピロバクターが
強く疑われる場合はマクロライド系抗菌薬を⽤いる。抗菌薬投与時には投与前には必ず便培養を⾏い、
培養の結果がわかった時点で抗菌薬を変更または中⽌する。
結 論:⾷中毒のエンピリックセラピーとしてはホスホマイシンあるいはニューキノロン系抗菌薬を⽤いる。た
だし、⼦どもの場合はホスホマイシンを⽤いる。
1: ⼤川清孝:質疑応答 感染性腸炎への抗⽣物質投与. ⽇本医事新報 2009;4440:75-77.
10: エビデンス [ID0510]
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Vibrio vulnificus感染症は肝硬変患者では致死的な⾷中毒であり、早期治療が必要である。
推奨度
2015/11/10
2
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まとめ:Vibrio vulnificusは健常⼈では腸管感染は起こらないが、肝硬変では経⼝的に感染し重篤な敗⾎症を起こ
す。敗⾎症からショック、播種性⾎管内凝固症候群(DIC)、⽪膚の⽔泡・壊死を起こし数⽇以内に死
亡することが多い。腸炎ビブリオと同様に海⽔に存在するため、⿂介類から感染する⾷中毒であるが、
下痢は少なく便培養で菌は検出されない。経過が早く本症が疑われる場合は早期に抗菌薬(テトラサイ
クリン、第3世代セフェム)を投与し、⽪膚病変に対して外科的処置を⾏う。
結 論:Vibrio vulnificus感染症は肝硬変患者では致死的な⾷中毒であり、早期治療が必要で
ある。
1: 坂本光男:宿主の易感染性要因は? 腸管感染症Q & A 相楽裕⼦,編 東京:医薬ジャーナル
社;2005 p.47-8.
最終更新⽇ : 2015年10⽉20⽇
<<ページ末尾:#evidenceDetails4.aspx?DiseaseID=274>>
2015/11/10
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#274
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①ガイドライン
【編者名】編:【ガイドライン名】【策定年度】年版、p【掲載】or【図版番号】、【発⾏元】、【出版年】
②雑誌
著者名:表題. 雑誌名 発⾏年(⻄暦);巻(号):⾴-⾴.
〔例1〕⼭⽥⼀郎:中枢神経の構造的特徴.脳と神経 1998;45(7):12-15.
〔例2〕参考⽂献:Hauenstein EJ, Marvin RS, Snyder AL, et al.: Stress in parents of children with diabetes
mellitus. Diabetes Care 1989; 12(1): 18-23. PMID: 2714163
③単⾏本
著者名: 表題. 編者名. 書名. 発⾏所所在地(⽇本の出版社の場合は不要):発⾏所,発⾏年(⻄暦);掲載⾴.
〔例1〕⼭⽥⼀郎: 脳と脊髄への⾎液供給. 吉⽥次郎編. 神経科学.エルゼビア・ジャパン, 2003;125.
〔例2〕参考⽂献:Kettenmann H, Ranson BR: Neuroglia. New York: Oxford University Press,1955; 154.
④その他
「××⼤学●●先⽣よりご提供」等、明記してください。
集団⾷中毒
⼤川清孝
⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 消化器内科
[ID0601]
細菌性感染性腸炎重症度判定基準
感染性腸炎研究会の定めた重症度分類である。
1: ⼊交昭⼀郎:⽇本の感染性腸炎Ⅱ 細菌性感染性腸炎に対する抗菌薬臨床試験ならびに臨床効果の
判定基準 菜根出版 1996 363-374
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[ID0701]
2015/11/10
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⾷中毒診断のアルゴリズム
1: 著者提供
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2015/11/10
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集団食中毒
食中毒は、飲食にともなって有害物質が体
内に入ることにより生じる病気です。
細菌性の食中毒は夏に多く、ウイルス性の
食中毒は冬に多くみられます。
症状としては、腹痛や下痢、吐き気や嘔吐
などの消化管の症状のほか、頭痛、発熱な
どが現れることもあります。
食物を口にして数時間以内に起きる食中毒
は、食べ物に毒素が付着していた可能性
が高いといえます。
原因は、主に腸内ビブリオやサルモネラ、
黄色ブドウ球菌などの細菌や、ノロウイル
ス、ロタウイルスなどのウイルスです。それ
以外に、フグやキノコなどの自然毒や、農
薬や貴金属に含有される化学物質で起き
る場合もあります。
数時間を過ぎて食中毒の症状が出るの
は、食べ物の中に入っていた菌やウイルス
が腸内で増殖して食中毒が起きたと考えら
れます。
治療の基本は、水分の摂取と点滴に
よる電解質の補充です。下痢止めは
毒素や菌の排出を遅らせるので処方
しません。
ウイルス性はもちろん細菌性食中毒
では抗菌薬はほとんど効きません。た
だし、乳幼児や高齢者、持病があるよ
うな人には抗菌薬を投与します。発
熱、腹痛、嘔吐などの症状が重い場
合にも抗菌薬を投与することがありま
す。
猫や犬などのペットが持っている細菌が原因のこ
ともあるので注意しましょう。
海外旅行先では病原菌付着の可能性もあるの
で、生水や生野菜の摂取に注意しましょう。
生の鶏肉、牛肉、牛レバーが原因のときは今後
食べるのを控えましょう。特に子どもは重症化し
やすいので生肉を食べさせてはいけません。
発熱、嘔吐などで脱水症状がひどく、
口から水分が摂取できないときは入
院が必要です。
2015/11/10
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執筆者ご紹介
⼤川清孝
⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 消化器内科
2015/11/10
執筆者
⼤川清孝
専⾨分野
消化器内科 特に⼤腸疾患の診断と治療
専⾨医
⽇本内科学会認定医
⽇本消化器内視鏡学会専⾨医
⽇本消化器病学会専⾨医
⽇本⼤腸肛⾨病学会専⾨医
⽇本消化管学会胃腸専⾨医
所属学会
⽇本内科学会
⽇本消化器内視鏡学会
⽇本消化器病学会
⽇本⼤腸肛⾨病学会
⽇本消化管学会
⽇本⼤腸検査法学会
経歴
1979年3⽉:⼤阪市⽴⼤学医学部卒業
1986年10⽉:⼤阪市⽴⼤学医学部第3内科助⼿
1989年10⽉:⼤阪市⽴城北市⺠病院 医⻑
1994年4⽉:⼤阪市⽴総合医療センター消化器内科副部⻑
2001年4⽉:⼤阪市⽴総合医療センター消化器内科部⻑
2008年4⽉:⼤阪市⽴総合医療センター 副院⻑
2010年4⽉:⼤阪市⽴住吉市⺠病院 院⻑
2011年4⽉:⼤阪市⽴⼗三市⺠病院 院⻑ 現在に⾄る
著書
1)⼤川清孝、清⽔誠治編集「感染性腸炎 A to Z」 医学書院 東京 2008
2)⼤川清孝、ほか3名著 内視鏡所⾒のよみ⽅と鑑別診断 下部消化管
第2版 医学書院 東京 2009
3)⼤川清孝、清⽔誠治:潰瘍性⼤腸炎・クローン病の鑑別診断アトラス
厚⽣労働省難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班2009年業績集別
冊 2010
治療アドバイス
感染性腸炎のほとんどは⾷中毒ですので、多くの場合抗菌薬の投与は必
要ありません。 下痢で熱がある場合に感染性腸炎疑いとして安易に抗
菌薬が投与されているのが現状です。 抗菌薬投与前に感染症以外の疾
患も考えることが必要と思います。
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