Photo by Ringo グラミー賞11冠に輝きアルバム総セールス2000万枚超を誇る モンスター・ロック・バンドFOO FIGHTERS 全米8都市を舞台にアメリカン・ミュージックの歴史を辿る8thアルバムをリリース!! Dave Grohl (Vo/Gt) Taylor Hawkins (Dr) Nate Mendel (Ba) Chris Shiflett (Gt) Pat Smear (Gt) -アメリカを横断してアメリカの音楽を追求してそれを音と映像にしようなんていう“偉業” は、これまで誰かがやったなんて聞いたことがなかったのですが、そもそもこのアイディア を思いついたいきさつは何ですか? Dave:数年前に、前作をうちのガレージで録音したことだね。とても楽しかったよ。レコー ディングのちゃんとした環境から抜け出してガレージに入ったわけだから。ワクワクすること でもあったし、そういう環境でやるのは試練でもあった。不思議な感じだったよ。それで思っ たのは、レコーディングの環境がその結果に大きく影響するんじゃないかってこと。ニュー ヨークで曲を録音したら、同じ曲をロサンゼルスで録音するのと違う音がするかもしれな い。ナッシュビルでも。シカゴでも。そういう様々な場所が、何らかの形で音に影響を与える んだ。それから、俺は『Sound City - Real To Reel』というスタジオのドキュメンタリーを 撮ったんだけど、そこでスタジオの歴史について話している。それの反応がとても良かった んだ。音楽やレコーディング・スタジオのこと何も知らなかった人たちがその場所の歴史を 高く評価してくれた。そこで働く人たちのこともね。そういう人のことを考えたことがなかっ たのかも知れない。お気に入りのTom Pettyのアルバムを聴いていても、録音された場所 のことを考えたことがなかったって。だからこの映画を見せたら、その人たちは“ワォ! 彼が アルバムを作るために、この人たちのこんな努力があったなんて!”と言っていたよ。そうい うアイディアを組み合わせて、新しいFOO FIGHTERSのアルバムをやりがいのある環境で 作ってみようと考えた。そして各曲を録音した都市やスタジオを称えようってね。 -『Sonic Highways』というアルバム・タイトルに込められた意味は何ですか? Dave:これが象徴していると思うのは、アメリカン・ミュージックの歴史がファミリー・ツ リーみたいな感じだということ。誰もが何らかの形で繋がっている。だからBuddy Guyみ たいなブルース・レジェンドでも、CHEAP TRICKのギタリストでも、THE DOORSの面々 でも、PUBLIC ENEMYのChuck Dでも、みんな何らかの形で繋がっているんだ。そして それが何であれ、みんなを繋げているのは音のハイウェイ(ソニック・ハイウェイ)なんだよ。 -今作は8作目ということもありアートワーク中央にも“8”を描く建物がありますが、同時 にこの建物は“無限”を意味する∞にも見えます。そういった意図はあったのでしょうか? Dave:うん。 Chris:あれはDaveの家だよ。 Dave:そう、プールがあるんだ。無限のプールがね。なかなかクールだろう(笑)? という のは冗談で……。アイディアで遊んでいたんだ。8枚目のアルバムだからね。タイトルなんて 要らないと思っていた時期もあったよ。空欄だけ作っておくのもどうかな、と。みんなそれ を見て“8かな。8枚目のアルバムだし”なんて言うんだ。でも……。 Taylor:混乱させちゃうだろうね。今までタイトルのないアルバムを出した奴らもみんなそ うだった。THE BEATLESの『The White Album』。 Dave:METALLICAの『Black Album』 (=5thアルバム『Metallica』) Taylor:LED ZEPPELINの4枚目も変な記号になるはずじゃなかったっけ? Pat:そうそう。 Dave:あとLED ZEPPELINの『Presence』も、小さなオベリスクみたいなのが立ってた よな。 Taylor:デカくて黒い性具みたいな。 Dave:あれはいったい何だ? その周りに座って人々がそれを崇拝している。ほんと、ミス テリーだよ。 -8都市を回って経験したこととは何でしょうか? Dave:100人もの人に会ってインタビューを行ったんだ。クレイジーだよね。Buddy Guy から、PUBLIC ENEMYのChuck Dから、オバマ大統領から、SOUNDGARDENの Chris Cornellから、Willie NelsonからBUTTHOLE SURFERSまで、本当にいろんな 人たちと会って話をしたよ。1番面白かったのは、みんな一見まったく違う人たちに見える んだけど、実は大筋のところは同じだったということなんだ。誰もが情熱的で夢見る人たち で、自分の人生の中に大切なものを見つけて、どんなことがあろうともそれを追っかけてい る。オバマ大統領なんて、アメリカ初のアフリカ系アメリカ人の大統領なんだよ。誰もが共 通して持っているのは、夢を持ってそれを追っかけているところ。だから、インタビューの会 話は素晴らしかったし、素晴らしいストーリーになったよ。 -オバマ大統領はどんな人でしたか? Dave:素晴らしい人だったよ! 実は前にも会ってるんだ。ホワイトハウスで2~3回演奏し てるし、ケネディ・センターでも2~3回演奏してる。彼は本当にナイスな人なんだ。彼に会っ て、目を見て、笑顔で話をすればわかるよ。今回もホワイトハウスに行ってインタビューをし たんだけど、 “子供は元気? ああ、良かったね!”って感じで話しかけてくれて。インタビュー の中でも“いつでも遊びに来てくれよ。ハングアウトしよう”って言ってくれたから、俺も “OK。ホワイトハウスに遊びに行くよ”って答えたね(笑)。 “子供を連れて遊びに来てくれ よ” “OK”って。それで2週間後にホワイトハウスに遊びに行ったよ。彼はまぎれもなく生身の 人間なんだよ。しかも良い人間なんだ。だからオバマ大統領にインタビューできたのは良かっ た。今回のドキュメンタリーのストーリーは、様々な世代によって語られるアメリカ音楽の歴 史になるからね。だから、このストーリーの最後に、アメリカ大統領に向かってアメリカのこ とを聞くのは面白かった。アメリカはチャンスのあるところなんだ。俺にしてみても、ヴァージ ニア州の小さなベッドルームから出てきて、ロックの殿堂入りまで行くことができたんだから。 ルイジアナの綿花畑から出てきて、ブルースのレジェンドになって、ケネディ・センターに行く 人だっているんだ。そういういろんな人の話をインタビューで聞けたんだ。素晴らしかったよ。 -たくさんの著名人が登場するドキュメンタリー番 組のトレイラー映 像にはPharrell Williamsもいますが、彼とのインタビューはどうでしたか? Dave:素晴らしかったよ。Pharrell Williamsはヴァージニア・ビーチ出身で、俺の住んで たところからそう遠くはない。彼の成功を見ていると素晴らしいと思うし、本当にいいヤツ で、実際にスゴく才能に溢れてるんだ。超有名人の中にはそれほど才能のないヤツだってい ロックンロールのレコードが好きな人なら、FOO FIGHTERSを聴かない人でも このアルバムは好きになってくれると思う るよ。だけどPharrellには彼ならではの音楽観があって、他の人とは違う見方でものを見て いる。Pharrellみたいな人と話していると、インタビューなのにまるで彼らからレッスンを 受けてるような感覚になるんだ。だから、ストーリーと歴史を共有するのはスゴく重要なこ となんだよ。それは俺たちの先祖から受け継いだ文化なんだ。 ことをやってもらったんだ。Butchには8都市のまったく異なるスタジオでレコーディング 環境を作ってもらったわけだから、彼にとってもかなり大きなチャレンジだったと思う。だ けど、アルバムの持つエネルギーを形にしてくれたことは大きかったよ。Butchに実際に 会ってみればわかるけど、彼は冒険好きな男なんだ。 -これだけの大きなプロジェクトをどのように形にしていったのですか? -20年間第一線で活躍し続けるのはすごいことですが、この20年FOO FIGHTERSが1 番大事にしてきたことは何ですか? Dave:まず最初に俺がこのアイディアを思いついて、何をやりたいのかをバンドのメンバー に話した。そこからマネージメントに話をして、スケジュールや制作費も含めてどのようにし たら実現できるのかを検討した。それからテレビ局に話をしたところ、HBOが“OK。やろ う”って手を挙げてくれた。だけどこのアイディアって、企画書に書かれたのを見ると面白そ うなんだけど、いざやるとなったときに、 “これ、本当にできるのかな?”と思ってビビってし まってね。だけど、やり遂げたよ。 “上手くいくぞ。上手くいくぞ”って暗示をかけて祈ったん だ。今までにやってきたどんなことよりも誇りに思うよ。本当にスケールの大きなプロジェク トだからね。でもまだみんなこれがどれだけ大きなことなのかを理解できてるとは思えない んだ。もうまるで映画を8本撮ったような感じだよ。映画8本分の仕事で100人もの人とのイ ンタビューを行ったんだから。そこで過去100年に渡るアメリカ音楽について語り合った。と 同時に、のアルバムの制作も行ったんだよ。どうやって制作をやったのかと言うと、ひとつひ とつの都市に1週間行って、1日目は機材を持ち込んで、スタジオでマイクのセッティング等を 行う。2日目はドラムの録りを始め、ギターの録りに取りかかる。そこで俺はスタジオから出 て、インタビューを開始する。次の日はベースとキーボードを録って、そのあとにインタビュー に出かける。4~5日間、レコーディングとインタビューを行って、ヴォーカル録りの前の日に、 インタビューの起こしを読んで、そこから言葉や文章、フレーズをピックアップして歌詞を書 き上げていったんだ。だから、レコーディングを始めるときに歌詞は用意してなかったんだよ。 ヴォーカル録りの前日に歌詞を書いて、その翌日に歌を歌って、その曲をバンドで演奏したも のを撮影したんだ。観ている人は、各エピソードのフィナーレで初めて曲を聴くことになるん だ。そこでスクリーン上に映し出された歌詞を見たら、インタビューの中の言葉を思い出すこ とになると思う。これって、今まで誰もやったことのなかったことだし、俺自身もこのやりかた で上手くいくかどうかわからなかった。だから頭の中で想像しなくちゃいけなかった。 “上手く いくぞ。上手くいくぞ”って。結果、スゴく上手くいったから、本当に素晴らしいよ。 -アルバム冒頭のTrack.1「Something From Nothing」はシカゴの曲ですが、この曲を アルバム1曲目、そして1stシングルにした理由は何ですか? Dave:アルバムの曲順を決めていたとき、シリーズの順番通りにしようと思った。だから、 それをうまくやるのがちょっとした試練だったね。どんな響きになるのか考えないといけな かった。先に演奏するのはアルバムだから、それが音楽的にどんな響きがするか、それをど ういうふうに各都市に当てはめるか。大きな試練だったよ。そして、シカゴが最初の都市に なった。シカゴを最初の都市にすることに決めたときに、じゃあ、あの曲にしようと。1stシ ングルも絶対それにしようとね。 Pat:おまえが音楽の洗礼を受けた都市だから最初にしたかったんだろ? Dave:そう。初めてコンサートに行ったんだ。インスピレーションをもらったよ。 Pat:じゃあシカゴのサウンドが何であれ、最初のシングルだったんじゃないか。 Dave:いいかい、意思決定はこういうプロセスでやるのさ。 -今回、アルバム制作をドキュメンタリー制作と同時進行で行ったわけですが、1番意識し た部分はなんでしょうか? Dave:まずこのプロジェクト全体で最も重要なのはアルバム制作なんだよ。それは常に俺の 中で意識していたところだね。1日の終わりに何が1番重要なのかって考えたら、それはFOO FIGHTERSの素晴らしいアルバムを作ることなんだ。アルバム制作が第一だから、それ以外 のことは二の次なんだ。アルバム用の新曲は2年間かけて書いていた。だから、結構前に作っ た曲もあるんだ。重要なのは、バンド全体で演奏して、形にしていって、FOO FIGHTERSのア ルバムにしていくことだった。今回、俺たちはたくさんの疑問点を残しておきたかった。自分た ちがこれから何を演奏するのかそのすべてを把握しておきたいとは思わなかった。 “?”マーク をたくさん残しておきたかったんだよ。ナッシュビルに行ったときは、着いてから曲を書き上げ ようっていう話になった。ニューオリンズではホーン・セクションを入れたいと思ったんだけど、 向こうに行くまではそんなことは思いもしなかった。謎のままの部分を残しておきたかったし、 実際にそうしたんだ。だからこそ面白かったね。今回のアルバムで俺たちはいろんなことに対し て前よりもオープンだったと思う。通常アルバムを作るときは、自分たちのやりたいことをきち んと把握してから取りかかる。だけど、今回できあがったのは、まぎれもなくFOO FIGHTERS のアルバムだし、他のバンドのアルバムに聴こえることはない。俺たちは俺たちでしかないって 感じなんだ。だけど曲の中には、今までに俺たちがやったことのないような要素が入っている。 アルバムの1曲目「Something From Nothing」からしてちょっとクレイジーだと思うよ。聴い たらFOO FIGHTERSの曲だってわかるけど、アレンジにしろ、最初から最後までの曲の構成 にしろ、最後の方で爆発する感じにしろ、今までとはどこか違う。俺はすごくエキサイトしてい るよ。ロックンロールのレコードが好きな人なら、FOO FIGHTERSを聴かない人でも、このア ルバムは好きになってくれると思う。そこは自分でもすごく誇りに思っているね。 -今回もButch Vigをプロデューサーに迎えていますが、Butchと一緒に仕事をする魅力 は何ですか? Dave:Butchのことは大好きすぎるね(笑)。Butchのことはプロデューサーだとは思わ ないな。ファミリーの一員だよ。現時点で他のプロデューサーと仕事をするなんて考えられ ないね。すごくいい人だしね。 -8都市のレコーディングもずっと一緒だったわけですよね。 Dave:そうなんだ。今回のアイディアは全員に対してもチャレンジすることだったからね。 みんなが居心地の良いと思っているところから引っ張り出して、今までにやったことのない Dave:Chris、どう思う? Chris:ひとつだけに決めるのは難しいよ。長年の間に……。俺がこのバンドに入ったとき は、どんな活動になるかわからなかったからね。今までやってきたことは、やることが想像 もつかなかったことばかりだよ。俺にはわからないけど、とにかく、こいつらと一緒にいる と、一瞬一瞬が最高なんだ。最高の水位標で……。 Dave:クソッタレ。嘘だね。 Pat:あのころのことはどうなんだ? Dave:あのころのことはどうなんだ? Chris:ありすぎるよ! ひとつに決められない。素晴らしい瞬間がありすぎるんだ。 Dave:長続きの秘訣は……Nateは何だと思う? Nate:忍耐。 Dave:おお! Nate:好きなことをやることだね。 Taylor:7年分のウズウズ感も払拭しないといけないよな。 Chris:俺がバンドに入ったころだな。 一同:(笑) Dave:俺たち乗り越えたぜ! やったぜ! な? Chris:俺がメンバーになって初めてのアルバムを作ったとき、完成しなくて“何だよそ れ”って思ったよ。 Taylor:ただのクリエイティヴ面での問題だよ。 Dave:あと5枚は作らないと。 Taylor:そういう時期を乗り越えないと。バンドが脆くて、今にも解散しそうな時期をね。 あのときはそういうのを望んでいたかのようだった。あの時期を一旦超えたら……(大丈 夫)。それからもうひとつは、子供を持つと、不思議な形でひとつの大きなファミリーになっ て内側でまとまるんだ。子供を持つと、ガキだったのが大人の男になる。その時点で俺たち は“解散なんてあり得ない”と思うようになった。そうする理由なんてない。長い休みを取 ればいいし。みんなバンドの外で好きなことをやればいい。それぞれ他の音楽的なはけ口 がある訳だから。それはよほどバンド内の人間関係が悪いときだと思う。そういう兆候はな いね。長続きの秘訣は、とにかくアルバムを作り続けること。そして真摯な判断をすること だね。音楽的に。そんな感じかな。 Dave:例えば自分の祖父母が離婚するとする。 Taylor:そう、そんな感じ。 Dave:それってよくあることなのか? 70代くらいでも? 祖父母を呼び出したら“離婚す る”って言われる訳? Taylor:実際にあるよ。 Dave:本当に? Taylor:“一体何がいけないんだ?”と思うよね。 Dave:離婚するには歳が行き過ぎてるじゃないか。 Taylor:違う養老院に入るんだよ。 Dave:“さっさとオムツを替えやがれ”みたいな? Chris:THE ALLMAN BROTHERS BANDのギタリストが追い出されたときみたいだな。 5年くらい前だっけ。 Dave:ああ。 Chris:“あんなに長い間いたのに?”って。 Dave:50年だよ。なのに“ごめん、うまくいかない”だぜ。 Taylor:“今までずっとおまえのことが大嫌いだった”ってね。 Dave:やっとか。 -残念ながらFOO FIGHTERSとしての来日がしばらく実現できていませんが、日本の思 い出は何かありますか? Dave:しばらく日本に行けていないけど、また行くよ。 Taylor:できる限りね。 Dave:ああ、具体的にはまだ分からないけど。 一同:(笑) Dave:でもきっと。 Taylor:最善を尽くすよ。 Dave:その通り! インタビューの続きは 激ロックウェブサイトをチェック! ! >> GEKIROCK.COM FOO FIGHTERS Sonic Highways 2014.11.12 ON SALE!! LABEL : SONY MUSIC JAPAN GENRE : ALTERNATIVE ROCK FOR FANS OF : ALL ROCK FANS 余分なものをそぎ落とし、初期衝動を剥き出しにした前作で、すっか りデトックスした印象のFOO FIGHTERS。一時の休息期間を経て、 ゼロからスタートした彼らが新たに始めたプロジェクトは、結成20 周年を飾るに相応しい、アメリカン・ロックを旅するロード・ムービー だった。8つの都市を巡り、それぞれの都市でインスパイアされた楽 曲を、様々なゲスト・ミュージシャンを迎えてレコーディング。骨太な ハード・ロックはもちろん、ニュー・ウェイヴの色気にブルージーなグ ルーヴや、心の故郷に寄り添うカントリーの調べ……壮大なアメリカ の大地とそこに息づく音楽の歴史を、鬼才Dave Grohlのフィルター を通して体感できる大作に仕上がった。アルバムと同時に制作された ドキュメンタリー・フィルムも要注目だ。 山本 真由
© Copyright 2024 Paperzz