1 病気知らず、医者・薬要らず 進化が示す健康法則 良い食事、良い運動

病気知らず、医者・薬要らず
進化が示す健康法則
良い食事、良い運動、良い考え方
Ⓒ Japan Verlag
出版 Japan Verlag
この本の印税は、www.souji.eu.de に寄付されます。
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推奨の言葉
『キャベツで花粉症がウソのように治る!』でセンセーショナル的に日本でキャベツの重要
性、食事の重要性を強く訴えた川崎英一郎氏が、この度、さらに包括的に健康を考え、
一人でも多くの人が健康で幸せな生活を送れるようにと道を示したのが、この『進化が示
す健康法則』 という一冊の本である。
健康をひとつの方法だけでで済むように書くのは簡単だが、事実は、そう甘くない。十三
歳で筋無力症になり、東洋医学の思想と技術で一命を取り留め、それが縁で整体師、
合気道家になり、人々の健康に携わってきて 40 年の歳月を重ねた小生にとっても健康
は包括的に捉えておく必要と、ひとつの大きな原則を持って、指導していくことの必要性
をずっと痛感してきた。
この度、川崎氏がその大きな原則を、進化の方向性に則ってという大方針を打ち立て、
単なる健康術の羅列に終わりがちな大きなテーマを見事にまとめ上げたのが、本書であ
る。
残念ながら、現代医療は症状の緩和に留まり、せいぜいが病気のプロであり、健康のプ
ロにはほど遠い現状である。その中で、川崎氏の指摘は鋭く、示唆に満ちあふれている。
一人でも、多くの人がこの書を読み、健康を自分のものとして欲しいと思う。
日本を愛し、日本の歴史を愛する日本男子が、遠く海外より日本人に愛を込めて執筆
してくれた本でもある。氏の熱い情熱を感じながら、一人でも多くの人が幸せになって貰う
ことを望んで止まない。
合気道家、整体師 三枝 誠
www.aikido.co.jp
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前書き
私は子供の頃から花粉症に悩まされ、その症状は年々ひどくなるばかりで
した。ある時、キャベツが花粉症に良く効くことを何かで知り、ステロイド
系の注射に頼っていた私はそれをやめて、早速キャベツを試さずにはいられ
ませんでした。そうしたら何と、花粉症や下痢が嘘のように治ってしまった
のです。弱かった皮膚は強くなり、風邪も引かなくなりました。
また、サッカーをしていて膝をひねりながら転んでしまい、左膝の半月板
損傷で手術を受けて、膝がとても弱くなってしまいました。でもそのお陰で
膝がまるでセンサーのように敏感になり、正しい歩き方や走り方が分かるよ
うになりました。そしてオートバイの事故による腰痛は、正しい姿勢と動き
を教えてくれるようになりました。
人間万事塞翁が馬。病気や怪我に悩まされたことによって、健康の価値、
ありがたさを実感するとともに健康になる方法がわかり、花粉症ともおさら
ば、下痢とも腰痛とも肩こりともおさらば、風邪ひとつ引かぬ超健康優良オ
ヤジへと進化を遂げました。
風邪を引かないという表現には少し説明が必要かもしれません。例えば家
族が全員風邪を引いたとします。私を除けば家族みんなには風邪の症状が出
ますが、私だけは熱、だるさ、鼻水などの症状が出ません。でも免疫が病原
菌と戦って、両者の死骸が体外に出されるタンは出ます。つまり、免疫が楽
に風邪の菌に勝ってしまうようなのです。
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なぜそんなに健康になってしまったのか。その不思議な変化を自分自身の
身体で実際に体験してとても驚きました。驚きは興味に結びつきます。興味
は知識欲へと高まります。多数の書籍やインターネットでいろいろと調べ始
めると、
いろいろなことが次第に明らかになり、その関連性が見えてきます。
知れば知るほど不思議な生命の力にすっかり魅了されてしまいました。そ
して、健康でいるための秘訣は、実は昔から伝わり続けていたことだと分か
りました。先人の経験に基づく知恵、教えにはきちんと説明可能な理由があ
ることが分かりました。
現代医学では治せないような末期ガンですら、薬も使わずに治してしまう
方法が存在します。ひどいアトピーに悩まされ続けた人が、嘘のように治っ
てしまう例も多数あります。現代医学以外にもさまざまな療法があり、現代
医学では手に負えない患者さんたちを治癒させています。それらを調べてい
くうちに、私はあること、ある原則に気付きました。健康の原則、その根底
にあるもの、それが「進化」です。
生物は 35 億年前の生命誕生以来進化をつづけてきました。その結果とし
て現在の地球上の生命があります。
「進化」に着目すると、不思議な生命現象
の謎がひもとかれてゆき、昔から伝わる健康法がいかに理にかなっているの
かが非常によく分かるようになりました。末期ガンすらも治してしまう生命
の力。その秘密は進化の過程にありました。
実は、一部の医師や専門家たちは、それらのことを既に以前から訴えてい
ることにも気が付きました。昔から「医食同源」”You are what you eat.”, ”
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Du bist, was du isst.”「食べるものが身体になる」と言われます。また、
「身
体は動くためにできている」とも言われています。これらは、考えてみれば
当たり前のことですが、意外と軽んじられているのではないでしょうか。
人間の身体には、とても長い進化の過程で食べ続けたものを食べるのが一
番良いのです。また、進化の過程でどう動き続けてきたかを考えれば、身体
に一番良い動きが分かります。
人間の身体は動くために出来上がっています。特に大きく発達した足腰を
見れば、歩く動作が重要であることに気が付きます。それにもかかわらずに
歩かなくなってしまったら、どういうことになるでしょうか。私たちの腕も
あらゆる方向に動かせるようにできています。それを動かさなければどうい
うことになるでしょうか。
私のすぐ近くには、ダーウィンの進化論などをはなから相手にせず、人間
がアダムとイヴから始まったと信じて疑わないイタリア人の同僚がいます。
他にも、アダムとイヴこそは登場しないものの、人間は決して猿から分かれ
て進化したのではないと主張するイギリスの友人もいます。でもその友人は、
ではどうやって人間が誕生したのかという問いには答えられません。その問
いに答えられる人はきっとこの世にいないでしょう。ダーウィンの進化論を
信じない人たちは別として、どうしたら健康に一番良いのかは、実は進化が
詳しく教えてくれていたのです。
病気はお医者さんが治してくれるのでしょうか。健康はお医者さんが管理
してくれるのでしょうか。答えはどちらも「ノー」です。病気は自分の身体
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が治し、健康も自分で管理をするしか他に方法はありません。お医者さんは
そのお手伝いをしてくれるだけです。でも殆どのお医者さんは、患者を薬漬
けにするなど、健康になるのとは真逆のことを勧めます。
本文中に出てきますが、100 年ほど前にノーベル賞候補にもなった北里柴
三郎医師は、
「医者の使命は病気を予防することにある」と素晴らしいことを
仰られています。また、
「医の真の目的は大衆に健康を保たせ国を豊かに発展
させることにある。ところが医者という地位について勉強せず、自分の生計
を目あてに病気を治すことで満足する者がいる。今から医学に入る者は大い
に奮発勉励し、この悪弊を捨て医道の真意を理解しなければいけない」とも
仰っています。
お医者さんはどうやって生計を立てているでしょうか。全てのお医者さん
が北里医師のように素晴らしく、自分が食べていけようがいけまいが、患者
のためだけを考えて医療行為を行っているでしょうか。医者の収入は患者が
支払う治療費から成り立っています。当たり前のことながら、患者が多けれ
ば多いほど収入が増えます。
医者も人の子、人間です。そして医薬品メーカーも人類のためになる慈善
事業ではありません。薬が売れれば売れるほど儲かって会社として成功しま
す。自分自身による健康管理をないがしろにして、病気になった時に医者に
かかるというのは間違っていますし、不自然な化学系の医薬品に長く頼り続
けるのが身体に良いわけがありません。
医学の発達は、昔なら簡単に命を落としてしまったような病気を怖いもの
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ではなくしてしまったり、不治の病を治したりと、死亡率を下げて人間の寿
命を延ばしました。それは車や家電のように、長所の面で計り知れないもの
があります。でもそれらを頼り過ぎるとおかしなことになってしまいます。
時代を逆行することはできません。私たちの今日の生活で、発達した医学、
近代的な移動手段や家電に頼らないわけにはゆきません。でもなるべく頼ら
ないように心がければ健康を維持できるのです。問題は、バランスを考えた
自己管理です。
太陽の中心核では4つの水素が融合して1つのヘリウムを作っているそう
です。水素の質量の 0.7% がエネルギーに転換して放出され、それにより太
陽が輝いているそうです。もしその放出量が 0.71% だったら星の進化スピ
ードが早過ぎて、太陽は既にないそうです。そしてもしそれが 0.69% だと
スピードが遅過ぎてヘリウム結合ができずに 137 億年たっても炭素が作ら
れないため生命は生まれていないそうです。
太陽と地球の距離も、現在の距離でないと現在の美しい地球の姿はあり得
ません。海水の成分や、空気中の酸素と窒素の比率から、日々のほんの些細
なことまで、世の中の全てのことは絶妙なバランスによって成り立っていま
す。
過ぎたるは及ばざるが如し。普段から自分自身でバランスの良い健康管理
を行い、病気の予防を心がければ、つまり進化で出来上がった身体に必要な
ことを行っていれば、病気とは無縁になることをどうかご理解下さい。病気
にかかるのは人間とペットだけで、野生の動物は滅多に病気にはかからない
はずです。もし既に、拙著「キャベツで花粉症がウソのように治る!」をお
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読みでしたら、この本の「良い食事」の章の部分で重複する部分があります
が、どうかお許し下さい。
前書きの最後に、本の題名について少し説明させてください。医者知らず
と書いてありますが、それは外科以外の医者を意味します。私は進化が示す
健康法則のお陰で病気にはかかりませんから、いわゆる内科医やホームドク
ターのお世話になることはありませんが、
外科医にはよくお世話になります。
どういうわけか怪我が多いのです。
骨折やヒビは、体中あちこちに十数か所あり、縫い後も、大は 7 針、小は
3針でこれもやはり身体中に合計 20 針跡以上あります。スポーツ中の怪我
も勿論多いのですが、窓を閉める時に指をはさんでしまうなどというくだら
ない怪我も多々あります。おっちょこちょいなのかもしれません。でもこれ
だけ怪我が多いと、そういう星の下に生まれてしまったようだと諦めざるを
得ません。ちなみに遠い親戚の女性にもひとり、同じ運命(?)の人がいます。
この本は毎回 100 部単位で印刷されるので、量産効果が聞かなくて価格を
安くできずに申し訳なく思います。その代わりにと言ってはなんですが、読
んで下さった方々からのご意見やその後に得た情報、ご質問に対するお答え
を逐次掲載させていただいています。
2016 年2月 川崎英一郎
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目次
第1章 良い食事
キャベツを食べたら信じられないことが起こった
10
ほとんどの人が知らないキャベツの偉大な力
14
実は昔から伝わり続けるキャベツの効力
17
人間は何を食べるべきか=今まで何をずっと食べ続けてきたか
20
なぜマクロビオティクスは玄米菜食をすすめるのか
26
田舎道に落ちている馬糞がもし人間の便だったら?
31
ガンをも治す断食
36
食べればやせるダイエット???
42
信じるものは救われる
46
文明の発達が人間をダメにしつつあるのはもう明らかな事実
49
第2章 良い運動
人間にとって一番良い動き、運動とは
54
人間にとって最高の動き、ウォーキング、ジョギング
59
世の中をきれいにする循環
70
Wer rastet, der rostet = 休む者は錆びる
74
なぜ座っているという動作は身体に良くないのか
78
宇宙では寝返りが不要、寝ている時に身体に一番良い姿勢
82
医学といえば予防
87
なぜ男性よりも女性の方が寿命が長いのか
90
進化と男女の脳の違い
92
9
第3章 良い考え方
将来のことは神様にしか分からない、過去のことは神様でもどうにもな
らない
94
ものは考え方次第、全ての人のものさしは違う
100
自分で作ってしまう壁
104
言いたい欲が邪魔するコミュニケーション
114
笑う門には福来る
118
猿の実験でも分かる表情の大切さ
121
情報とは、新鮮な心が幸福を返すもの?
123
なぜ人は生まれてきたのか
125
10
第1章 良い食事
キャベツを食べたら信じられないことが起こった
どこでどのように知ったのかは残念ながらもう忘れてしまいましたが、キ
ャベツが胃腸にとても良い食べ物であり、それを規則的に食べていると、胃
腸が健康になって花粉症が治るということを知りました。テレビはほとんど
見ないので、インターネット、あるいは何かの本で知ったのだと思います。
もしキャベツが花粉症に効くのなら、子供の頃からずっと悩まされ、成人し
てからは大変恐ろしいと言われるステロイド系の注射に頼っていた私にとっ
ては救いの神になってくれるかもしれません。
そういう類のお話に疑いを持たず、
すぐに試してしまう性格の私としては、
早速キャベツを毎日食べてみることにしました。家族持ちなので、朝食と夕
食は家で家内が用意してくれます。そこで自分の自由になる食事といえば昼
食です。近くのスーパーでキャベツを丸々1個買って、毎日昼食に少しずつ
食べてみることにしたのです。大きいものなら8分の1くらい、小さいもの
なら4分の1ほどを毎昼食時に食べてみました。その結果、わずか数日で驚
くべきことが起こりました。長年悩まされ続けた下痢が治ってしまったので
す。多くの食と健康に関する本には、キャベツなどの野菜の食物繊維は便秘
を解消すると書いてありますが、私の場合は下痢が治ってしまいました。
祖父、そして父親も胃腸が弱かったのを覚えていますが、その遺伝が続い
ているせいか、私も胃腸が弱く、牛乳やコーヒーを飲むとすぐに下痢をして
しまいます。下痢に暑さが関係するのかどうか分かりませんが、夏などは普
通に昼食を取るだけですぐに下痢です。それにもかかわらずに 30 代、40 代
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の頃は毎晩晩酌をしていたので、ほぼ毎日酷い下痢でした。アルコールも下
痢の原因となっているのは知っていましたが、意思が弱くて毎晩の晩酌はな
かなかやめることができません。毎日のその下痢が異常なレベルであること
は分かっていても、どうすることもできませんでした。慣れとは怖いもので、
そんなに異常でも毎日のことだとそのまま放っておいてしまいます。1日に
何度もトイレに行き、特に昼食の後はすぐにトイレに駆け込むという、今考
えてみれば本当に異常な排便状況の日々でした。でもそれがわずか数日でバ
ナナ便になってしまったのです。
それだけ多くのトイレットペーパーを使うということは、拭かれる部分の
皮膚にも良くないはずです。その症状は軽くてかゆいだけとはいえ、軽い痔
がそれに関係しているのは容易に想像がつきます。そのひどい下痢がいとも
簡単に治ってしまったのです。トイレットペーパーに汚れが全く付かないこ
ともあり、まるで小学生の頃のそれです。人間は赤ちゃんの頃にはお腹の中
の善玉菌が7割くらい存在しているものの、それが歳を取るにつれて少しず
つ減って悪玉菌が取って代わり、歳を取ると悪玉菌で5割くらい埋まってし
まうそうです。排便後に紙でお尻を拭くのは人間だけです。動物は、お尻の
周りに長い毛でも無い限り、紙で拭かなくても汚くならないし臭くありませ
ん。それを考えると、人間もひょっとしたら食べるべきものだけを食べてい
たらお尻が汚れずに紙が不要なのではないでしょうか。肛門とはそういう作
りになっているのではないでしょうか。とにかく健康を感じさせてくれる嬉
しい大変化でした。
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☆☆☆ 驚きのキャベツ療法 ☆☆☆
1日の食事のうち1回をキャベツ食にする。キャベツを大玉なら8分の1、
小玉なら4分の1ほどを生で食べる。
下痢、便秘、花粉症などに効くだけではなく、免疫力向上により、風邪など
の病気に対して強い身体になります。
現代人は普通1日に3回食事をするので、そのうちの1食くらいキャベツ
を食べるくらいなんとかなるだろうと思う人もいれば、
「え~!、毎日生のキ
ャベツを食べ続けるの?」と嫌がる人もいるかもしれません。でも実は思っ
たよりも簡単なんです。その理由は2つあります。1つ目の理由は、生のキ
ャベツが意外と美味しいことです。
「千切りキャベツをソースやマヨネーズを
かけて食べる、ロールキャベツで食べる、あるいは炒め物で食べるというの
なら分かるけど、生のままで?」と、疑問を持ってしまいそうですが、生食
が意外といけるのです。ドイツにはキャベツが3種類あって、その内の2つ、
Spitzkohl(*1)と Spanisch Kohl(*2)は生で食べてもとても美味しいのです。
*1 先がややとがった円錐形のキャベツ。
*2 上からつぶされたかぼちゃのような形の平たいキャベツ。
残りのひとつである、日本のキャベツに似ている Weisskohl というキャベ
ツは、葉がぎっしりと詰まっていてかなりの重量があり、包丁が真っ直ぐに
入って行かないほどの硬さで、お味の方も生で食べるには美味しいとは思え
ませんのでお勧めできません。でもどういうわけかドイツ料理で有名なザワ
ークラウトにはその Weisskohl が一番合うようです。いずれにしても
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Spitzkohl と Spanischkohl という2種類のキャベツはとても柔らかくて生
でも美味しいのです。日本のキャベツも同じだと思います。マヨネーズ、味
噌やソース、ドレッシング、塩コショウなど全く不要です。それなりに自然
の味がついていて、そのまま食べても美味しいので、是非試してみて下さい。
よく噛めば粉々になって唾液ともよく混ざり、さらに美味しくなります。
2つ目の理由はその驚くべき効果です。あれだけひどい下痢をわずか数日
で完璧に治してしまうその威力には本当にびっくりです。感動してキャベツ
食を毎日続けることが苦になりません。ただやはり、キャベツだけでは嫌な
人は、中にハムやポテトサラダなどを挟んでクルクル巻いて食べるのも良い
と思います。りんごを切る時のように、キャベツを立てて上から縦切りで 4
分の1くらいにして食べると歯ごたえが良くて一番美味しいのですが、保存
の面からは葉を1枚1枚はがして食べるのが良いかもしれません。
普段食べている昼食をキャベツの分だけ減らして食べれば良いのですが、
せっかくなのでもう少し減らしてその分はナッツやドライフルーツのミック
スをポリポリと食べることをお勧めします。スーパーの健康食品売り場など
で、袋に入ったピーナッツ、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、
マカダミアナッツ、ドライナツメヤシ、ドライイチジク、その他各種の木の
実が売られています。それらを大きなタッパーなどに入れて振ってかき混ぜ
て、なるべく多くの種類をまんべんなく食べるようにします。理由は後に詳
しく出てきますが、木の実は、人類が今までに最も長い間食べ続けてきたと
思われる食料で、栄養も豊富だからです。
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ほとんどの人が知らないキャベツの偉大な力
わずか数日で、下痢が嘘のように治ってしまったことにびっくりして、と
ても興味がわき、早速インターネットや書籍でいろいろと調べてみました。
そうするとどうでしょう、キャベツのすごい力については、実は一部の医師
たちや、食に関する健康の専門家たちの間では有名なのです。多くの医師や
その道の専門家が書いた本でもよく紹介されています。ごく一般の人たちの
間で知られていないだけなのです。そしてキャベツの良さには昔から定評が
あるのです。古代ローマの時代やそれ以前の古代ギリシャの時代にも、キャ
ベツは胃腸の調子を整える健康食や薬として食べられていたそうです。
ここで少しキャベツに関する詳しい説明です。キャベツに含まれている栄
養素は多く、ビタミンA、B1、B2、B3、B5、B6、B9、C、U、
K、カルシウム、鉄分、マグネシウム、リン、カリウム、亜鉛などですが、
中でもビタミンCがずばぬけて豊富で、大き目の葉2、3枚で大人が1日に
必要とするビタミンCの摂取量をカバーできるそうです。特に中心部にビタ
ミンCやUが多く含まれています。カルシウムには丈夫な骨を維持してイラ
イラを解消し、精神を安定させる作用もあります。
特に素晴らしいのは、ビタミンUとKで、ビタミンUは、胃腸の粘膜修復
に必要なたんぱく質の合成を促進するので、新陳代謝を活発化して、胃や十
二指腸の潰瘍を修復もすれば、その発生を抑制する働きがあるそうです。ビ
タミンKには、骨にカルシウムが沈着するのを助けるはたらきがあり、骨粗
しょう症の予防に効果があります。もしビタミンKが不足すると骨に十分な
カルシウムが取り込めなくなって骨がもろくなり、貧血や大腸炎などを起こ
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しやすくなるそうです。赤ちゃんの脳内出血を防ぐ作用も認められているの
で、妊婦や授乳期の母親に十分とって欲しい栄養素だそうです。
キャベツの食物繊維は、便秘を改善するだけでなく、腸内環境を良好に保
ち、大腸ガン、高血圧、動脈硬化、糖尿病、肥満などの病気に効果のあるこ
とも判明しています。キャベツの外側の葉の緑色部分には、カロチンが比較
的多く含まれていて、体内で必要な量だけビタミンAに変わり、残りは抗酸
化物質として働くそうです。ビタミンAは、皮膚や粘膜を丈夫にし、ガンの
予防や、活性酸素の害から身体を守る働きもあります。赤キャベツには、血
栓を防止するポリフェノールが含まれているので、動脈硬化防止、免疫力増
強などの分野でも使われています。
キャベツは、アメリカ国立ガン研究所によって提案された「デザイナーズ
フーズ・リスト」の中でトップグループ(ガーリック、キャベツ、カンゾウ、
大豆、しょうが、にんじん、セロリ、パーズニップ)に位置づけされた食品で
もあるそうです。ガンの抑制成分であるイソチオシアナートやインドール化
合物、発ガン物質の活性化を抑制するペルオキシダーゼなどが含まれている
ので、ビタミンCとともにガン予防に大きな効果があるそうです。胃炎や胃
潰瘍の人は、胃粘膜の再生を助けるビタミンUを効果的に摂取するために、
キャベツの絞り汁 250mlを一日二回、食前に飲むと10日ほどで効果が現
れるそうです。私がキャベツを生で食べ始めて一週間もしない内に効果が出
てきたことは少しも不思議なことではなかったわけです。他にもキャベツの
葉には鎮静効果があるので、葉を手でもんで患部に貼っても効くそうです。
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お味噌汁やお新香などの発酵食品、玄米や雑穀、野菜、白砂糖やトースト
などの精白された食べ物の代わりに自然のものを食べるなど、身体に良い食
事とその方法は決して少なくありませんが、私の場合はキャベツ以外はどれ
も花粉症その他が全て治ってから始めたものです。つまり、私の場合はキャ
ベツだけで全て治ってしまったことを強調しておきたいと思います。
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実は昔から伝わり続けるキャベツの効力
キャベツにこれだけの長所があることを知ると、何で今まで知らなかった
のかと悔やまれてしまいますが、考えてみれば日本でも揚げ物やコロッケな
どの脂っこい食事には必ずキャベツの千切りが付いています。ドイツでも肉
料理にはザワークラウト、アメリカでもステーキにコールスローが付いてい
ます。つまり昔から世界中でキャベツの良さは伝えられ続けているのです。
ちなみにドイツ料理で有名なザワークラウトは、納豆と同じように醗酵食
品なので、納豆菌と乳酸菌の違いはあっても、腸にとても良い食べ物です。
そういえばキャベジンという胃腸薬がありますが、キャベジンというのはキ
ャベツに含まれるビタミンU(S-メチルメチオニン)の別称だそうですから、
某製薬会社はその名前をそのまま拝借してしまったのでしょうか。
キャベツなどの野菜の食物繊維は、便秘を解消してくれるとよく言われま
すが、逆に酷い下痢も驚くほど治してくれるので、便秘も下痢もどちらも正
常な方向に振ってくれるということになります。すごいのは、下痢が治るだ
けでなくて花粉症や皮膚の弱さが治ってしまい、さらには風邪などの病気に
対して強くなってしまうことです。胃腸の環境が改善されて免疫力が高まる
からだそうですが、皮膚や粘膜、身体そのものが強くなってしまうわけです。
私は肌が弱くて、冬にはリップクリームやハンドクリーム、頻繁に鼻をか
むのでティッシュの3点セットを片時も離せず、それらを忘れないように自
分の持っている全てのジャケットやジャンパーのポケットにコンパクトタイ
プで用意していました。今ではそれらが全て引き出しの中で、役目も行き場
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も失ってゴロゴロと転がっています。
以前は、あごの下の方に時々にきびのようなものが年齢不相応にできてい
ましたが、それもできなくなりました。さらには、安全剃刀でひげを剃ると、
以前は数ヶ所から出血したので電動シェーバーしか使えなかったのですが、
ひょんなことからその後試してみると、出血もなくなっていました。今では
シャワーを浴びながら安全剃刀で楽に髭をそれるようになりました。他にも、
切り傷、すり傷の怪我、虫刺され後の治りが早くなった気がします。
肌は外界に対する人間の身体の最前線で、病原菌を退治する免疫細胞がた
くさんいるそうです。表皮にはランゲルハンス細胞、その下の真皮にはマク
ロファージやマスト細胞がいます。人間が病気になるかどうかの分けれ道、
病原菌と免疫の戦いも、昔の人間の戦争のように、兵隊の数がものをいいま
す。すばやく分裂して一気に増えていく病原菌の増加を、それをやっつけて
くれる免疫活動のスピードが勝れば病気にはなりません。免疫が強ければ、
極端な話し手を洗う必要さえありません。キャベツによる整腸効果で免疫力
がアップしたと考えれば、上に述べたように私の身体に変化が起きたのも全
く不思議なことではありません。
下痢の解消、花粉症の完治、風邪もひかなくなったり、肌が強くなって傷
の治りも早くなったり。これらの変化はすべて、キャベツを食べ始めてから
劇的に起こったことです。キャベツが腸をきれいにしてくれて免疫力が上が
り、肌や粘膜が強くなったとしか考えられません。これらの驚くべき効果に
益々大きな興味がわいて、さらにいろいろと調べた結果に行き着いた先の一
つがマクロビオティクスです。
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マクロビオティクスは桜沢如一さんが提唱して世界中に広まった健康食養
法です。現代医学では治らないとされる難病、がん、アトピーなどの患者さ
んがマクロビオティクスを実践して完治したという例が数多く報告されてい
ます。なぜマクロビオティクスがそんなにいいのでしょうか。なぜマクロビ
オティクスはガンさえも治してしまうのでしょうか。
マクロビオティクスといえば、陰陽、身土不二、一物全体などが知られて
いますが、別な言い方をすれば、人間が元々長い間食べ続けてきたものを食
べることと言えないでしょうか。人間が食べるべきものを食べて腸が改善さ
れて、その結果として免疫力がアップし、人間本来の持つ素晴らしい自己治
癒力が働くからではないでしょうか。逆にいえば、現代人は食べるべきもの
を食べずに、食べるべきでないものを食べて身体を悪くしているのではない
でしょうか。
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人間は何を食べるべきか = 人間は今まで何をずっと食べ続けてきたか
最近の考古学の偉い先生たちや、DNA 関係の先生たちの研究結果では、最
古の人類の先祖は数百万年前に遡るようです。その頃は身長が低くて約
120cm 前後、体重 45~50kg、脳のサイズはチンパンジー並みで、現生人類
の3分の1程度だったそうです。ただしその身体のつくりから、直立二足歩
行をしていたと思われるそうです。でも足の指でものをつかめるなど、樹上
生活に適した特徴も持っていて、陸上と樹上の両方で生活をしていたと考え
られています。
臼歯が小さくて平らに磨耗しているので、かたいものはあまり食べていな
かったと思われ、果実、木の実、キノコ、小動物などを食べていたようです。
それが本当に正しいのかどうかは別としても、アフリカでその頃そういう先
祖たちが歩き回って活動していたのは間違いなさそうです。ダーウィンの進
化論が正しいのかどうか。その頃に人類が猿から分かれたのか、それとも最
初から人類として発生したのか。その議論はここではおあずけにしておきま
しょう。
1500 万年ほど前に、アフリカの東部で地殻が裂けて噴出した溶岩で、何
千 km にも及ぶ山脈と渓谷、
現在の広大な地溝が形成されたであろうことは、
その地形から明らかだそうです。渓谷の西側はその後も以前と変わらず森林
として残ったものの、東側は風が遮られることから、気候と環境の変化で森
林がまばらになってサバンナ化したそうです。そこで出現した仮説ですが、
サバンナといえば草原。森林が残った方ではそれまで通りにサルは木の上を
移動して、サバンナ化した方ではそれまで木の上で生活していた猿たちが地
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上に降りざるを得なくなったという説です。サバンナ化した方の猿たちがそ
の後猿人に、そして人間に進化してきたというわけです。そのサバンナにな
った東側で猿人の骨が多く見つかったためにそういう仮説が出たそうです。
ただし、その後は西側からも骨が出てきてその説は下火になっているようで
す。
人間の誕生の奇跡には、約 40 億年前に地球上に生命が誕生してから人類
が出来上がるまでに最低3度の大躍進あったと言えるそうです。まずは約5
億年前、単細胞生命の遺伝子が4倍になり、余分の遺伝子が新しい機能を進
化させて目を持つようになったそうです。そして多くの哺乳類がレトロウィ
ルスによって命を落とし、生き残った哺乳類は生殖胎の内部にウィルスの遺
伝子が組み込まれて胎盤を持つようになり、胎内で赤ちゃんを育てることが
できるようになって生存率が高まりました。
さらに人間は、遺伝子の故障という不慮の事故で大脳新皮質を獲得して脳
が大きくなって猿から分かれるようになったそうですが、私たちのお尻には、
尻尾の残りとしか思えない、機能上では不要な尾骨が残っています。これは
私たちが猿から分かれたことを物語っているもののひとつではないでしょう
か。完全になくならなくても支障がないからまだ進化の途中として残り続け
ていると思えないでしょうか。
猿から分かれた後も木の上でも生活をしていたそうですが、木の上には木
の実など十分に食べるものがあり、なおかつ地上の猛獣から襲われる危険が
ないためだったと考えられます。しかし、だんだんと木が少なくなってしま
えば、嫌でも地上で危険を冒して食べ物を探さなくてはなりません。
22
私も含めて耳を動かすことができる人を時々見かけます。あるいは足で器
用に物をつかめる人もいます。これらの人たちは、進化が遅れている人たち
だという考え方があります。昔の人間の耳は、ウサギなどのように敵や獲物
の存在を察知するために動かせたのではないかというわけです。足で物をつ
かめるのは、猿から分かれたとすれば簡単に理解できます。でも私は、それ
は進化ではなくてむしろ退化で、私を含めたそういう人たちは退化が遅れて
いると反論したく思います。
ネアンデルタール人は約 25 万年前に出現した後、その約 22 万年後、つま
り今から3万年ほど前に完全に消えてしまっているそうです。ネアンデルタ
ール人はまだそれほど器用に道具を使いこなせなかった代わりに骨格がかな
りしっかりしていて、現代人とは比べ物にならないほどの力持ちだったそう
です。顎や歯も大きく発達していました。当時の道具は現在のものとは比べ
ようもなく幼稚で、小動物の狩猟などはかなり難しかったであろうと想像で
きます。
当時の化石からは、彼らが昆虫を食べていたことが分かるそうです。「え
っ? 昆虫を食べる?」と聞くと、一瞬気持ち悪く思いますが、よく考えて
みると特に東北の方では、現代日本人もイナゴの佃煮や蜂の幼虫などの昆虫
を食べています。人類が石器を使い出した形跡があるのは 200 万年も前だそ
うで、その頃の頭蓋骨からは既に言葉を話せる能力ができつつあったと判断
できるそうです。それでも食べ物は原始的で、煮炊きをしている形跡はない
そうです。つまり人類は数百万年以上も前から数万年前まで、何と数百万年
もの長い間、ずっとそのような自然のものを生で食べ続けてきたわけです。
23
そういうものをずっと長く食べ続けてきた進化の結果として私たち人間の身
体は出来上がったはずなわけです。
ネアンデルタール人の後、約3万年前から1万年前に現れたとされるクロ
マニヨン人でも穀物を栽培したり、火を使えるようになった形跡がないため
に、農耕や火の使用が始まったのはわずか1万年ほど前頃からと考えられる
そうです。クロマニヨン人はその頃既に精巧な道具を使っていたそうですが、
それでも穀物を作っていた形跡はないそうです。火を使って食べ物を柔らか
くできるようになったのはどんなに早くとも今からわずか1万年前。数百万
年もの長い人類の歴史の中でも本当にまだごく最近のことと言えます。
温かくて柔らかい食事を取るようになったために、顎が小さく退化してい
きましたが、小さな顎に対して歯が大きいと顎に収まりきらずに歯並びが悪
くなります。これは歯の大きさの退化が遅れているためではないかという説
があります。永久歯は成長することがありません。生え始めた時からすでに
大きいということです。これに対して顎は、子供は小さく、成長につれて大
きくなり、大人と子供ではずいぶんサイズが違います。小さな子供の顎には
大きな永久歯が生える場所はないわけで、そのために乳歯の存在があるらし
いのです。そう考えるとそのような説には信憑性があるような気もします。
耳を動かせる人がいればそうでない人がいたり、足でものをつかめる人とつ
かめない人がいたりします。犬や熊が立ち歩きをしているのは、遠い将来は
彼らも歩けるようになる進化の兆しであるという面白い説もあります。
例がちょっと極端になりますが、サメの場合は獲物を鋭い歯で食いちぎっ
てはそれをそのまま胃に送り込んでいるだけなのは、多くの映像を見ていて
24
もわかります。サメは人間や草食動物のように何度も何度も食べ物を口の中
で噛むということはしない、いえ、できないようになっています。きっとそ
のように進化したのでしょう。だから歯はあのようにギザギザになっていて
切るだけの機能です。獲物の骨など、何か硬いものを噛んで歯が抜けてしま
っても、すぐ後ろに控えている次のギザギザの歯が前方にしゃしゃり出てく
るそうです。あのギザギザの歯で切られたまま送られてくる獲物の肉の塊を
そのまま消化しなければならない胃の消化力もたいしたものだと思います。
もし胃の消化力が弱いと、慢性消化不良で以前の私のようにずっと下痢が続
いてしまうでしょう。
トラやライオンなどの猛獣の歯もそういう意味では似たものではないでし
ょうか。それに比べて牛や馬は食べている草を口の中で何度も何度も噛んで
います。我々人間も口に入れた食べ物を何度も噛んでから食道に送り込みま
す。当然のことながら、歯の形もサメや猛獣のような形ではなくて、牛や馬
のそれに近いものが多いです。それは一体何を意味しているでしょうか。数
百万年という長い年月の間に私たちの祖先が食べてきたものが歯をそのよう
に形作った、
進化させたとは考えられないでしょうか。つまり数百万年の間、
木の実や果物、昆虫を食べてきた、そして最後の1万年ほどは穀物を食べて
きたから今の人間の歯の形ができたと思えないでしょうか。そしてそれは歯
に限らず、胃や腸などの内蔵も、人類がずっと食べ続けてきたものに合わせ
て進化したとは考えられないでしょうか。
平たいお皿によそられたものを食べることができない鶴と、細長い入れ物
に入ったものが食べられない狐のイソップ童話のお話ではありませんが、歯
や内臓だけでなく、口の形や体型もその長い年月の生態にもとづいて進化し
25
たと考えられます。猛獣の歯がいかにギザギザでも、例えばもし牛のように
動きが遅いと獲物を捕まえることができずに絶滅してしまいます。キリンの
首が短いと高い木の葉っぱを食べることができません。最も分かりやすい例
ですと、蟻食いの口や舌はまさに蟻を食べるためにできているようにしか思
えません。
人間の口、歯、食道、胃や腸もそのように今までずっと食べ続けてきたも
のを効率よく身体に取り入れるために出来上がっているのではないでしょう
か。精巧な道具を使えるようになってからは魚や肉も食べ始めたと考えられ
ますが、ライフルや罠などの技術はなかった頃の狩は簡単ではないでしょう
から、肉食はかなり限られたもので、それはごく最近になってからだと想像
できます。もし人間がかなりの長い間に猛獣のような食生活をしていたとし
たら、現在のようにほとんどの歯が臼歯となるのではなくて、その多くが犬
歯となっていた方が自然ではないでしょうか。人類数百万年の歴史を通じて
ずっと長い間食べてきたものが身体や歯を進化させてきた。逆にいえば、私
たち人間の体はそういうものを食べるのに適した身体になっている。そう考
えると身体にとって一番良い食べ物が何かということが自ずと明らかになる
のではないでしょうか。
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なぜマクロビオティクスは玄米菜食をすすめるのか
マクロビオティクスにおいては、臼歯や犬歯の数の比率に合わせて食事を
するのが良いとされているようです。つまり一番多い臼歯に合った穀物など
を多く食べ、犬歯に合った肉などは少なくするというものです。臼歯は、穀
物などの食べ物をうすのように何度も噛んで食べるようにできています。そ
して犬歯は獲物を噛み掴んで逃がさずに噛み切るのに適しています。よって
人間の歯、身体には穀物や野菜が良い食べ物であろうというわけです。肉が
なぜ良くないかの理由には、肉は腐敗がひどくて消化しにくいことがあり、
精製食品、加工食品のそれらは新鮮でないというものがあります。
マクロビオティクスでは玄米が良い食べ物の代表のひとつとされています
が、それは特に日本人がお米を主食とするからです。白米ではなく、玄米を
すすめるにはわけがあります。白米は玄米を削りに削って栄養分をたっぷり
とそぎ落とされた上に、生命としては既にもうお亡くなりになってしまって
いるので新鮮ではありません。玄米なら栄養たっぷりでしかもまだ生きてい
て新鮮そのものです。玄米は新鮮で生きていると知り、試してみるのが好き
な私は早速数粒水槽の湿ったところに放って置いてみました。数日たつと本
当に芽が出てきました。つまり玄米は生きています。これ以上新鮮なものは
ありません。ドイツ語では “Du bist, was du isst” 英語では“You are what
you eat” といいます。日本語では「食べるものが身体になる」ですが、食
べるものが自分の身体になるのだということをもっと真剣に考えて、口に入
れるものを選ばなければいけないのではないでしょうか。
玄米といえば、うちの家内は以前から健康のために白米と玄米を半分ずつ
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混ぜて炊いてくれていたのですが、当時の私は、特にお刺身やカレーライス
の時などに「お刺身、カレーライスの時くらいは 100%白米で食べさせて=
美味しくないので玄米を混ぜないで」と文句を言っていました。白米と玄米
のことを良く知った今では逆に、なぜ 100%玄米にしないのかと文句を言っ
ている自分に呆れてしまいます。でもそれは、玄米は噛み応えもあって噛め
ば噛むほど唾液も混ざって甘く美味しくなるのを知らなかったからです。2
日間ほどお水に漬けておくと、発芽玄米となってさらに栄養価が高まり、モ
チモチになって美味しくなります。発芽をさせると酵素が活性化し、必要な
栄養を玄米の内部に増やしてゆくそうです。
発芽によって硬い糠もやわらかくなるため、白米と同様に手軽に炊飯でき
ます。発芽で栄養が増えてしかも柔らかくなって美味しく、何やら良いこと
だらけのようです。でも発芽に必要な2日間、お水が汚くなるので水の取替
えが必要です。玄米炊き機能付きの炊飯器もありますが、普通の炊飯器でも
水をたっぷりと吸った玄米を長めの時間炊けば、お寿司にも向く美味しいお
米になります。このように玄米はとても新鮮で白米より栄養価が高いことを
知れば、現在のほとんどの人が白米を食べていて玄米を食べている人が非常
に少ないという現状はひっくり返ってしまうのではないでしょうか。
玄米>三分つき米>五分つき米>七分つき米>胚芽米>白米
普段私たちが食べているお米は白米で、それは玄米の周りを削りに削った
ものです。ご存知の通り、その作業を精米と言いますが、精米の度合いが進
むにつれて、ビタミンやミネラル、食物繊維などの身体に良い成分がどんど
ん取り除かれてしまいます。その違いは食物繊維で3倍弱、鉄分約2倍、マ
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グネシウムで5倍強です。食物繊維は便秘や下痢を治してしまいますし、マ
グネシウムは筋肉痛などを治してしまいます。実は私たちは、白米の方が美
味しいと勘違いをして、お米のカスを食べているようなものなのです。
日露戦争の時に亡くなった日本の兵隊さんの数は4万人ほどだったそうで
す。その中の約4分の1の兵隊さんたちはロシア軍の大砲や銃弾で亡くなっ
たそうです。そして何と残りの約4分3の兵隊さんたちは脚気という病気で
亡くなったということはご存知でしょうか。あの旅順攻撃でむざむざと殺さ
れてしまった兵隊さんたちよりも、脚気で亡くなった兵隊さんたちの方がは
るかに多かったのです。脚気患者になった兵隊さんの総数は 25 万人にも及
んだそうです。脚気はビタミンB1不足によって起こります。当時の日本の
兵隊さんに支給されていた食事は元々量が少なかったのは当然だと思います
が、ビタミンB1も不足していました。当時のお弁当の内容を見ると、白米
は一日 900g入っていたようです。もしその白米が玄米であったら、あるい
はキャベツを食べていたら、それだけたくさんの兵隊さんが死なずに済んだ
と思うと残念で仕方がありません。
白米と玄米の問題以外にも、甘味料のひとつ、白砂糖にも問題があります。
お恥ずかしながら、私が子供の頃に喉が渇いた時の飲みものといえばジュー
スでした。そして両親が共働きだったこともあって、食事の多くは調理の手
間がなく電子レンジで温めてすぐに食べることが出来る冷凍食品でした。水
を飲めば身体に水分が回ります。水を飲めば水分だけが身体に補給されます
が、飲むものがジュースや炭酸飲料だと、余分なお砂糖も身体に取り入れら
れることになります。白砂糖よりはブラウンシュガー、ブラウンシュガーよ
りは蜂蜜やメイプルシロップの方が良いことになりますが、ジュースなどで
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使用されているのはほとんど砂糖、つまり白砂糖、またはブドウ糖果糖液糖
や人工甘味料ですので、清涼飲料水を飲む毎にお砂糖もしくは人工的に製造
された物質を身体に取り入れていることになります。
マクロビオティクスでは、精白したものが良くないといわれています。つ
まり、白米、白砂糖、食パンなどです。マクロビオティクスで言われている
精白食料品以外にも、私たちの身体には欠かせないお水にも問題点がありま
す。ミネラルウォーターにはいろいろと種類がありますが、現在はそのほと
んどが日本に輸入されているようです。フランスの Contrex のような硬水も
あれば、同じフランスでもほとんど軟水の Volvic までさまざまなものがあり
ます。日本の水道水はその多くが軟水ですが、それは日本の国土が狭くて山
に降った雨が地中のミネラルを十分に吸収する前に地表に出てきてしまって
飲料水となるからだそうですが、大陸の場合は長い間地中の中を伝わるので
たっぷりのミネラルを吸収して硬水となります。
塩分やミネラルは身体に必要なものです。汗をかけばそれらも失ってしま
うので補給しなければなりません。実際には身体への吸収効果が関係するも
のの、そういう意味では軟水よりも硬水の方が本当は身体に良いと言えない
でしょうか。私の住むドイツ、メアブッシュ市の水道には塩素が入っていま
せん。水道局もそのように明言しており、実際に塩素を調べるテストキット
を使って調べてみましたが、やはり反応しないのです。ドイツの水道水の基
準はとても厳しくてミネラルウォーター以上です。つまりメアブッシュでは
水道水が最上な飲み水と言えます。実際に我が家では炭酸無しのお水は水道
のお水を飲んでいます。目隠し飲み比べテストをすると、ミネラルウォータ
ーよりも水道水の方が美味しいと選ばれるのです。そんな素晴らしい水道水
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を飲まずに高額を出し、しかも重い思いをしてミネラルウォーターを買って
来る人の気が知れませんが、それは単にこのような事実を知らないからでし
ょう。
身体が求めていないもの、もっと正確に言えば遠い祖先も含めてずっと昔
から食べ続けられていないものを食べれば病気になっても不思議ではありま
せん。しかし、現代に生きる私たちはそれが分かっていながら、楽だからと
いってついついファーストフードや加工食品を頼ってしまいます。確かに3
度3度の食事を考えるのは大変なことです。でもその食事によって身体が良
くも悪くもなるのです。病気になるということが身体が赤色の危険信号や悲
鳴を出しているしるしだとすれば、便秘や下痢、花粉症などはその前段階と
して身体が出してくれている黄色い注意信号ではないでしょうか。身体が出
してくれているそういうサインを無視し続ければ、身体がおかしくなってし
まうのは当然のような気がします。
マクロビオティクスでは、身体が本来求めているものを摂取しますから、
いろいろな身体の不具合である病気を治してしまうのだと思います。
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田舎道に落ちている馬糞がもし人間の便だったら?
肉と野菜の腐り方を比べると著しい差があります。肉はその辺に放ってお
いて腐るととても臭いですが、野菜はそれほどではありません。人間がそれ
らを食べた後に、お腹の中でも似たようなことが起こっているとは言えない
でしょうか。口に入ってくる時にはきれいな食べ物も、食物は胃の中の胃酸
で溶かされたりと、順を追って消化はされていくものの、最後には汚物とし
て出て行きます。それをより長い間身体の中で保っていたいと思う人(内臓)
はいないはずです。誰の腸でもそういうものはできるだけ早く外に出したい
と思うのが当たり前ではないでしょうか。それとも腸だけは例外的に汚物に
対して強くできていて(実際にはある程度そうでしょう)、長い間汚物がそこ
にあっても大丈夫なのでしょうか。
本当のところは腸も、腐りの激しい肉よりも野菜の方を歓迎してはいない
でしょうか。田舎道には時々牛馬の糞が落ちていて臭い匂いがしますが、も
しあれがあの量で肉食動物や人間のものであったとしたら、とんでもない臭
いのはずです。授乳だけの赤ちゃんの便は大人のものと比べるとほとんど臭
くないのもそんな理由から良く分かります。西洋人の腸は、日本人よりも2
割ほど短いそうです。
日本人よりも長い間、
肉を食べ続けてきた彼らの腸が、
消化に時間がかかって腐りの激しい肉を、少しでも早く体外に排出しようと
いうことで腸が短くなった進化の結果だとは考えられないでしょうか。わず
か 200 年ほど前、ジェンナー(*1)やパスツール(*2)がまだ登場する前は、
菌のことがよく分からず、
手を洗うことの重要性が知られていなかったので、
ある病院ではお産をする時に午前中に死体の解剖を手伝った医学生がそのま
ま手を洗わずに午後にお産を手伝って母子の死亡率を高めていたそうです。
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お産婆さんと自宅でお産するよりも、その病院でお産をする方が死亡率が高
かったという事実が残っているのです。
花粉症は戦前というか、数十年前には無かったそうです。それは食生活が
変ったからだと考えられないでしょうか。実際にそうだと考えている専門家
が多くいます。日本人が肉を食べるようになったのはわずかこの数十年の間
だそうです。そして保存料や着色料などをふんだんに使った加工食品、イン
スタント食品、冷凍食品が出てきたのも比較的最近です。江戸時代の日本人
は、魚もさることながら米やあわ、ひえなどの穀物を主に食べていたそうで
す。
そういう自然の食べものに慣れ続けてきた身体が、腐りの激しい肉や、消
化する能力もないのに牛乳、そして自然に反する保存料や着色料を使った加
工食品を食べ続けたら悲鳴を上げるのは当たり前といえないでしょうか。化
学保存料などを使って長く持たせられるようにしたものは自然に反していま
す。いい色に見せるための着色料なども同じです。自然に反したものに良い
ものはありません。アメリカでは昔、お墓の引越しがあると、お墓の中の土
葬による死体はみんな白骨になっていましたが、最近の死体は白骨にならず
に肉が残っているそうです。スマトラ島の津波の後、現地人の死体は腐って
酷い臭いを発しているのに、先進国から来た観光客の死体は腐らずに残って
いたそうです。これは何を意味するのでしょうか。ひょっとすると私たちの
身体は既に保存料に侵されてしまっているのではないでしょうか。
マクロビオティクスの創始者といわれ、世界中にそれを普及させた前述の
桜沢如一さん(1893-1966)は、ジョージ・オーサワという名前でマクロビ
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オティクスの世界では世界中に知られている人です。牛乳や乳製品はマクロ
ビオティクスでは少なくとも日本人には良くないとされています。日本人に
は牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクターゼ)が不足して
消化する能力がないそうです。そこで下痢を起こすのです。下痢を起こすと
いうことは、身体が拒んでいるからと考えられないでしょうか。身体が拒む
食べ物が身体に良いのでしょうか。桜沢さんは、牛乳とは牛の赤ちゃんが飲
むためにできているものである。牛の赤ちゃんのためにできた飲み物が人間
の大人に良いわけがない。他の動物の赤ちゃんの飲み物を飲む大人などとい
うのは人間だけであると喝破されております。
マクロビオティクスというのは元々ドイツ人のお医者さんで Christoph
Wilhelm Hufeland さん(1762-1836)という人が言い始めたそうですが、
それを世に広めたのが桜沢さんです。マクロビオティクスの世界を少し覗い
て見ると、桜沢さんがものすごい人であったことが分かります。まずは書い
た本の数。ものすごい数の本を書いています。フランス語や英語でも出版さ
れています。戦時中には堂々と反戦の態度をとって、その当時の権力者たち
から大変な目に遭わされています。日本では意外とあまり知られていないマ
クロビオティクスですが、海外ではよく知られています。桜沢さんは、あの
シュバイッツァー博士とも会って議論を交わしているそうです。
桜沢さんを始め、マクロビオティクスの達人たちは食事療法で何人ものが
ん患者さえも治してしまっています。
「えっ? マクロビオティクスはがんも
治しちゃうの?」と驚かれるかもしれませんが、キャベツを毎日食べるだけ
で下痢、花粉症が治り、風邪もひかなくなるくらいですから、ガンが治って
も少しも不思議ではありません。むしろ当然のことといえると思います。ガ
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ンや糖尿病も昔は一部のお金持ちしかかからなかったそうです。美味しいも
のではなくて、身体に良い食事を少な目に食べて免疫が高くなっていれば、
生活習慣病などは元々人間とは縁のないものではないでしょうか。
今からもう 40 年以上も前に、アメリカでマクガバンレポートという、国
民の病気と食生活に関する調査が国家レベルでおおがかりに行われたそうで
す。低所得層の飢えが社会問題となっていたのがその理由だったそうですが、
調べが進むうちに、人間の病気や死因が食生活に大きく関わっていることが
分かってきたそうです。人間の食べものには全粒穀物、果物、野菜、鶏肉、
魚、低脂肪乳を増やして、肉類、バター、卵、脂肪、砂糖、塩分を減らした
方がいいという結果が出ました。それはまるで戦前の日本人の食事やマクロ
ビオティクスです。
日本は敗戦によって食事の面でもアメリカから大きな影響を受けました。
アメリカでは当時、豊作の時にあり余ってしょうがないパンの原料となる穀
物と、先に書いたように日本人には消化する能力もない牛乳を合わせて大量
に日本に持って来て小学校の給食に取り入れました。戦争に負けたという過
去のどうにもならないこともありますが、その後アメリカの政府で出したマ
クガバンレポートの結果が、昔の日本人の食事が一番良さそうだという結論
を出しているのは大変皮肉なものです。
良食を始めたいけどそのスタートの壁は厚くて難しそうだと始める前から
嘆いていませんか。
「よし、私も花粉症を克服しよう!しかも病気に強くなっ
てやろう!」と思っても、マクロビオティクス、ローフードなどはまず本を
読んで理解して覚え、
用意して作って食べ、
それを続けなければなりません。
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もしそれがとっつきにくければ、まずはその前に簡単なキャベツ食を始めて
みてはいかがでしょうか。単にキャベツを食べるだけです。朝食、昼食、夕
食のどこか、あるいはおやつにでも、4分の1でも8分の1でも食べ始めて
みてください。下痢のある人(便秘の方も)はすぐに効果が出てきますし、効
果が出れば効いている証拠なので面白くなってきます。
花粉症対策として始めてみようという場合は、春から 4 ヶ月ほど遡った冬
頃に始めれば次の春の花粉症の時期には何かしら効果が出ると思います。人
間の身体の細胞は3~4ヶ月で全て一巡するそうだからです。体質(腸)の改
善にも最低はそのくらいかかると思うのです。それで春の 4 ヶ月前からとい
うわけです。でも九州にはキャベツ鍋というものがあり、大きなモツ鍋のよ
うなものにキャベツを丸々1個分入れて食べるそうですが、花粉症の季節に
なると食べるそうなので、どうやら即効性もありそうです。もし効果が低け
れば量が少ないと思ってもう少し量を増やしてみてはいかがでしょうか。食
べ物で身体が強くなる。こんなに簡単でうれしいことはありません。
食べ方はやはり生で食べるのが一番です。調理をしてしまうと野菜に含ま
れているビタミンなどが熱でやられてしまうためです。特に弱いのがビタミ
ンC、B1、Uです。そしてよく噛むことも大事です。食べたものは胃酸に
よって胃で消化はされるものの、よく噛んで胃に送るのとそうでないのとで
は胃の負担に大きな違いが出てきます。マクロビオティクスでも回数多く噛
むことを薦めています。人間が最も多く持つ歯である臼歯は元々何度も繰り
返して噛むために作られているのであのような形をしているはずですし、多
く噛むことによって唾液が多く出て甘くなり味もよくなります。
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ガンをも治す断食
断食療法といえば、甲田光雄医師や、石原結實医師が有名です。甲田医師
の場合、子供の頃から胃腸が弱く、中学生の時に慢性胃腸病で2年も休学し
たそうです。そしてそれを何とかしたいと大阪医大に入学し、医学を勉強し
ていた3年の時に急性肝炎の黄疸、十二指腸潰瘍、大腸炎、慢性肝炎、胆嚢・
胆道炎などで、自分が通う大学の付属病院に入院しました。しばらく入院し
ていると担当の医師から、
「甲田君、ここでこうしているよりも、自宅でゆっ
くりと療養した方が良くないかい?」と言われ、
「ああ、自分は医者から見離
された、現代医学ではどうにもならないのだ」と思ったそうです。そこで民
間医療を頼り、いろいろな本を読んでいた時に断食を知ったのです。
担当医や知り合いの医師に相談すると、
「君は医学を3年も学んだのだろう。
肝臓の病気に栄養を送るのならまだしも、
断食などしたら死んでしまうぞ!」
と強く反対されたそうです。でも現代医学ではどうにもならず、他に方法は
ないからと 11 日間の断食療法を受けました。そうすると不思議なことに調
子が良くなり、その後も何回か断食を行う度に具合が良くなり、それ以来少
食を続けてすっかり元気になったそうです。
そして勿論自分の患者さんにも断食を勧め、数多くの患者さんの病気を治
したことは言うまでもありません。詳しくは、YouTube で「甲田光雄」と入
力すると、すぐに1~6まで「少食健康法」というのが出てきます。動画は
なくて音声だけですが、是非一度お聞きください。少食をすることは、殺生
を少なくすることにつながるので、自然を愛することになる摂理だと説かれ
ています。
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https://youtu.be/DkqsqPGTPpQ?list=PL4198A73DFCA06D19
同じ YouTube で、
「石原博士の健康漫談」も是非お聞きください。
https://youtu.be/PWQ0YerI2HQ?list=PL44D0F2213D4B0DDD
このように断食でさまざまな病気が治ることが知られています。ガンまで
治してしまうようです。西洋医学ではほとんど信じられていませんが、ロシ
アやドイツ、日本ではその実例がいくつも出ています。南ドイツやスイスに
は有名な断食の療養所があります。では、なぜ断食や極端な減量をすると、
ガンも含めたさまざまな病気が治ってしまうのでしょうか。
まず、減食、断食によって、身体に必要とされるエネルギーの入力が極端
に減らされた場合に、人間の身体は、生命としてどのような反応をするのか
考えてみましょう。
このような非常事態にまず一番大事なことは「死なないこと」です。その
ために最優先するのは生命維持のための働きであり、人間の身体は自動的に
その他のことを後回しにするようにできています。私たち自身が非常時にど
のように行動するかを考えてもこれは明らかですね。まず「生命」ではない
でしょうか。まず「お金」という人ももしかしたらいるのかもしれませんが、
それで命を落としてしまっては元も子もありません。生命は我々人間よりも
遥かに賢い選択をするはずです。
さて、減食、断食によって栄養(エネルギー)がごくわずかしか供給され
ない場合には、私たちの身体はそのわずかなエネルギーを大切に使います。
つまり、出し惜しみするわけです。生命維持のために必要なところにはエネ
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ルギーを届けますが、生命に「直ちに影響はない」器官や組織には届けませ
ん。無駄にエネルギーを消費されてしまっては困るからです。
このように、身体がエネルギーの供給先を厳密に選ぶのが生命としてのご
く自然な働きです。エネルギーの供給先を生命の存続に関わる、最も大事な
部位のみに極端に絞ることによって、ガン細胞にも栄養が行かなくなり、栄
養供給を断たれたガン細胞は徐々に死滅していくというわけです。そう考え
ると、ガン細胞にとっての天敵は「小食」であると言われるのも非常に納得
がいきます。
元々人間の身体はその時の状況に合せて自動的にいろいろと調整を行う、
実によくできた素晴らしい仕組みを備えています。
例えば血液です。血液は身体のあらゆる場所に必要な酸素、栄養、水分、
免疫系細胞や抗体などのさまざまな必要不可欠のものを隅々まで運ぶと同時
に、それらから排泄物を集めてくるだけではなく、体温の調整までしている
ことから、身体の中でも最も大事なもののひとつと言ってよいでしょう。血
液がどんなに人間という生命にとって大事かを示す一例をあげてみます。
血中のカルシウム濃度が不足した場合には、それを補うために骨からカル
シウムが取り出されます。それによって骨が弱くなってしまうことなどは一
切お構いなしです。なぜなら、骨が弱くなるくらいでは、人間はまだ生き続
けていけますが、血液に必要な成分が不足すると生命の危険にさらされるか
らです。血液の方が骨よりも優先順位が高いわけです。
39
また、非常な寒さになれば、毛細血管の周りに存在する短絡路という血管
が、毛細血管をショートカットしてしまいます。そして毛穴が閉まり、鳥肌
が立って熱を逃がさなくします。ショートカットされた部分には血液が行か
なくなるわけですから、栄養も届きません。つまり、極限の状態になってく
ると生命維持が最優先されるため、身体は自動的に最も大事な心臓、脳、肺
を守ろうとして、
それ以外の周りの部分を犠牲にします。こういったことは、
心臓や肺、内臓の自動的な動き以外でもごく自然に起こることです。
断食や少食によって、なぜガンを始めとしたさまざまな病気が治ってしま
うのか。それは以上に述べたような、非常に優れた生命維持の働きにスイッ
チが入るからと考えてみてはどうでしょうか。そのスイッチが入ることによ
り、一般に「自然治癒力」と呼ばれる働きが活性化されて病気が治っていく。
こうした素晴らしい働きが私たちの身体には本来備わっているのです。
人間の身体は、60 兆個もの細胞から成り立っていると言われています。そ
の1つ1つには完全なる遺伝情報が備わっています。見方を変えると、1つ
1つの細胞が1つ1つの生命体とも言えます。私たちは自分自身を1人、1
個体の生き物だと思いがちです。というよりほとんどの人はそこに何の疑問
の余地もないことと思います。しかし、身体の働きを知れば知るほどその考
えに疑問がわいてくるのです。
私たちの身体は、実に多くの細胞がそれぞれの役割をそれぞれの場で適切
に果たしています。そして、これ以上あり得ないほど絶妙なチームワークに
よって生命が保たれ、さまざまな活動が可能になっています。細胞だけでは
ありません。私たちの体内には無数の菌が共生しています。それらの菌の働
40
きに助けられて初めて私たちの健康が保たれているのです。
そうすると1人の人間は1個体というよりは無数の生命が共生する調和の
とれた共同体、あるいは生態系として見る視点が大切ではないかと思えてき
ます。現に私たちの身体を構成する個々の細胞の寿命は短く、次々に生まれ
ては死んでいきます。数ヶ月も経てばすべての細胞が新しく入れ替わってい
るので、物質的には別の人間になっているというのですから驚きです。しか
し、その細胞の集まりとしての1人の人間は一見何も変わらず生き続けてい
ます。川の流れのように、もしくは自然界そのもののように。そして、時に
は個々の細胞が犠牲になって、この生態系を維持することすらあります。白
血球などはまさにそれが役目です。
もう一度、なぜ小食、断食によってガンが治ってしまうのかについて考え
を整理してみましょう。
まず、小食、断食によって入ってくる栄養(エネルギー)が制限されると、
生態系として生命の危機を察知し、非常事態宣言が行われます。
すると、第一段階として身体に蓄えられていた脂肪が分解されてエネルギ
ーとして供給され、それも不足してくると筋肉も分解されてエネルギーとし
て使われていきます。その際にエネルギーをガン細胞にくれてやる余裕はあ
りません。生命を維持する大切な働きをする部位にのみエネルギーが供給さ
れます。そのために不要な部位への血管は閉じられます。
実は、ガン細胞というのは、自らを成長、増殖させるために、健常な血管
41
に働きかけてバイパスをつくらせています。血管はホルモン分泌によって新
しく血管をつくる働きがあるのです。このガン細胞へのバイパスが非常事態
宣言によって閉じられるのです。エネルギー供給を立たれたガン細胞はやせ
細り、死滅するしかありません。
これと似たことをみなさんは毎年目にしています。秋には、木々が赤や黄
色に美しく色づきます。そう、紅葉です。紅葉がなぜ起こるのか、ご存知で
しょうか。
秋になり、気温が下がってくると、木は冬支度を始めます。春から夏まで
の間、日をいっぱいに受けて光合成を行い、木の成長に大きな貢献を果たし
てきたたくさんの葉も、表面積が広く厚さも薄いので冬の寒さを耐え抜くに
は大変なエネルギーを要します。そこで、木は何をするかというと、なんと
葉のつけ根に「離層」という層をつくって徐々にエネルギーをせきとめてい
くのです。同時に葉の成分のうち再利用できるものをどんどん回収します。
それにともなって葉の中の緑色の色素がだんだん失われて黄色になったり、
赤い色素が作られて赤くなったりするそうです。完全にせき止められてしま
っては、葉は生きていくことができません。やがて、枯れ葉となり、地に帰
ります。
同じことがガン細胞に対して行われると想像してみてください。ガン細胞
だけでなく、他の病巣に対しても同じことが起きていることと思われます。
元々生命には、ホメオスタシス(恒常性)というすぐれた機能が備わって
いるのです。
42
逆に、そこで栄養をたくさん補給してしまうとどうでしょうか。身体は生
命の危機を覚えないのでガン細胞もぬくぬくと栄養をもらって成長、増殖で
きる状態が温存されてしまうことになるのです。
動物は、怪我や病気で具合が悪くなると、何も食べずにぐったりと横にな
り続けています。これはまさに自然の摂理にかなった対処法ではないでしょ
うか。軽い飢餓状態が生命維持の働きにスイッチを入れ、自己治癒力が高ま
り、病気や怪我が治っていくというのは非常に自然なことのように思います。
しかし、一部を除いた西洋医学は科学的でないとしてこの事実を認めよう
としないのが現状です。科学はいかに発達した現在であっても自然のほんの
わずかごく1部、0.1%ほども理解できていないかもしれないというのに。
もし認めてしまったら、医者も薬もほとんどいらずに病気が治ってしまうの
で、大変なことになってしまうからでしょうか。
良い運動のところで詳しく出てきますが、ノーベル賞候補になった北里医
師が「医の真の目的は大衆に健康を保たせ、国を豊かに発展させることにあ
る。ところが医者という地位について勉強せず、自分の生計を目あてに病気
を治すことで満足する者がいる。今から医学に入る者は大いに奮発勉励し、
この悪弊を捨て医道の真意を理解しなければいけない」とたしなめています。
もし少食や断食でほとんどの病気が治ってしまうのなら、今いるお医者さん
と薬はほとんど不要になってしまいます。そうなったらお医者さんと医薬品
メーカーは大変なことになってしまいます。とんでもない巨額の市場が消え
てなくなってしまい、多くの医者がその職を追われてしまうでしょう。
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食べればやせるダイエット???
世に広まるさまざまなダイエット。残念ながら健康のためというよりは、
スタイルのためというのが理由である人たちが多いような気がします。
「何々
を食べるとやせる…」というキャッチフレーズをとても多く見かけます。そ
れがバナナだったり、リンゴだったり、納豆だったり、おからだったりと。
ドイツではそんなことはありません。日本人は凝り性なのでしょうか。間違
いなく凝り性です。だから日本からは素晴らしいものが次々と生まれてきま
したし、その品質は世界でも抜きん出ています。でも、
「何々を食べるとやせ
る…」とは、基本的に最初から間違っていないでしょうか。食べないとやせ
るのであって、食べたら太るはずです。食べ続け、お腹が空かないでやせる
わけがないのです。
太るか痩せるかはイン(食事)とアウト(運動などの消費) のバランスです。
食べた量より多く消費すればやせますし、その逆なら太ります。だからイン
を減らすか、アウトを増やすかです。両方できれば効果テキメンです。イン
を減らせばお腹が空きます。アウトを増やすのは楽ではありません。でもそ
れしか方法はありません。ダイエットにマジックはありません。
インを減らす方ですが、沖ヨガの創始者、沖正弘さんは「空腹を楽しむ」
という言葉を残しています。お腹が減るのを楽しむのです。言われてみると
少し理解できるような気がします。食事の後に、ついつい「フ~、食った~!」
というような食べ過ぎの時は、次の食事の時にそれほど食欲がありません。
腹八分で我慢しておくと、次の食事の時に食欲がわいて食事が美味しくなり
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ます。毎食腹八分にして、常に次の食事を楽しみにするのです。
「そうか、その状態を楽しむんだ!」
食欲もないのに食事の時間だからといって何となく食事を取るくらいなら、
一食抜いてしまった方が良いのです。その方が健康的だし、次の食事がとて
も美味しくなります。食べないと身体に良くないというのは、現代の迷信で
す。後で食事をする時間がないかもしれないから今食べておこうとか、ばて
ちゃうから、あるいは風邪を引いているから食べておこうとかなどはみんな
嘘。それは昔のお話。現代ではそれはもう迷信。
マクロビや断食がガンをも治すというよりは、人間が元々長い間ずっと食
べ続けてきた食べ物を、食べ続けてきた分量だけ食べれば病気が寄りつかな
いというのが本当のところではないでしょうか。
アウトを増やす方に関して、何冊も本を出しているような著名のお医者さ
んたちも、意外と分かっていないことがあります。運動ではあまり痩せない
というのは大きな間違いです。散歩(ウォーキングレベル) やジョギングによ
るアウトの効果はとても大きいのです。
人間が横になっている時、それでも動いている脳や肺などが消費するエネ
ルギーを基礎代謝といい、普段の生活の約 60%のエネルギー消費量だそう
です。
「横になっているだけでどうしてそんなにエネルギーを使うのか?」と
疑問に思いがちですが、横になっている時でも頭、心臓、肺、内臓等動き続
けています。普段の生活の 100%と極端に大きな違いはありません。
45
でも運動をするとそれが 200%とかそれ以上になるわけです。中学や高校
の野球部やサッカー部の学生の食べる食事の量を知っていますか。3人前を
ペロッと平らげても平気な顔をしていて、それでいて痩せているのです。プ
ロ級のアスリートの食事も凄い量です。北京オリンピックの水泳で8個の金
メダルを独り占めにしたマイケル・フェルプスさんの食事の量の写真が以前
雑誌に出ていましたが、唖然のボリュームでした。
横になっている時の基礎代謝が 60%、 普通一般の生活が 100%でも、そ
こにウォーキングやジョギングが加わると、何百%にもアウトが著しく上が
るわけです。インの Max.は断食で、普段の食事との差は1日わずか3食分
でそれ以上減らすことは出来ません。でもアウトの方は、運動ゼロから Max.
の過激な運動、代謝数百パーセントまでの範囲はかなりあります。つまりダ
イエット(健康)にはアウトの効果は大なのです。著名な先生方には運動部の
友だちがいなかったのかも知れません。インを減らしてアウトを増やす。空
腹を楽しむ。
これが痩せることのコツではないでしょうか。肥満は万病の元。
しっかり痩せましょう!
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信じるものは救われる
信じる者は救われるという言葉があります。実際にこの私も疑うことなく
キャベツを食べてみることで幸せになれました。そしてマクロビの桜沢さん
が、
「良いものを自分で満足しているだけならそれはただのエゴイスト。それ
を多くの人たちに知ってもらって初めて世に貢献したと言える」ではありま
せんが、こんなに良いことを知っている数少ないひとりとして独占していて
は申し訳ないので、友人知人には自分の口からじかに、そしてウェブサイト
で、さらにはブログでも、キャベツを食べることによる信じがたい効果をし
ばしばご披露させていただいています。
ある飲み会の席でした。いつものようにキャベツのお話をしていたら、参
加していた1人が、
「花粉症も治る」というところがとても気になったようで、
詳しく聞かれました。
キャベツを食べると下痢は数日で治りますが、花粉症には多少お時間がかか
ると思うので、
「前年の秋・冬頃から食べ始めてください。」とお話しました。
その人はその後、実直にキャベツ食を行ったそうですが、翌年の春に花粉症
は一体どうなったでしょうか。
キャベツの信じられない効果を花粉症持ちの人たちに説明して回っても、
まずはそれを信じてくれる人たちと、信じてくれない、あるいは興味を示さ
ない人たちに分かれます。仮にそれが半々だとすると、信じない人たちが
50%。残りの 50%の信じてくれた人たちの中で 「じゃあ、やってみよう」
と思う人たちと、信じるけどやらない、面倒くさい人たちに再び半々に分か
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れるとします。その時点で残り 25%。その後、実際にやってみる 25%の人
たちの中でも、続けられる人たちと三日坊主で終わってしまう人たちに分か
れて残り 12.5%。このような単純計算でも8人に1人にしか試してもらえま
せん。私ももうずいぶんと多くの人にこのことをお話していますが、その中
でも私が羨ましいと思うほどの効果が出ているのが、飲み会で興味深く聞い
ていた人です。
その人は何と花粉症が 100%治ってしまいました。なぜ羨ましいのかとい
うと、私の場合は花粉症が治ったと言ってもその治癒度は 70%~80%くら
いです。元々が重度の花粉症で、治癒度ゼロの時にはステロイド系の注射を
打たないと日常生活もままならないくらいだったので、70%~80%治っただ
けでも薬は一切不要で、普通の生活を送ることが出来ます。その時期には時々
くしゃみも出て目もかゆくなりますが、それ程気にならない程度で昔と比べ
たら正に天国です。それで治癒度 70%~80%と表現しています。
花粉症が 100%治ってしまった人が実感したキャベツ食の効果を詳しく教
えていただいたので、以下にまとめます。
1.
大量に飲酒をすると必ず下痢をしていたのが、全く下痢をしなくなった。
2.花粉症が 100%治ってしまった。
3.今までは、年に2、3回風邪を引いていたのが、1回以下に減った。
100%治る人もいれば、70%~80%治る人もいるので、その効果は人によ
ってさまざまなようです。でも万物に必ず長所も短所もあります。短所の方
はおならがよく出てしまうのです。その人からも、
「おならがよく出るけど何
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とかならない?」と聞かれました。残念ながら、おならを減らすこれといっ
た方法は見つかっていません。草食の便同様、それはあまり臭くないはずで
すから音さえ何とかすれば良いのです。その時に人がいない方に移動すると
か、何か別の音でごまかすとかです。慣れてくると足の開き具合やお尻のポ
ーズで音なしのおならにすることもできますので練習してみて下さい。善玉
菌が増えてその活動が活発になり、それらがガスを発生させるので、それは
正に腸の調子が良くなっている証拠です。
さらにその後もうひとり、大向佐保さんというクラリネット奏者の方から次
のメッセージをいただいています。
2016 年 2 月上旬、川崎さんが書いた、
「進化が示す
健康法則」の校正のお
手伝いをさせていただいた関係で、出版前に読ませていただきました。そこ
で目に留まったのが「キャベツ」の話。私も日本では小学生の頃から、ドイ
ツに来た 1 年目からも花粉症に悩まされてきました。特にあの時期の目のか
ゆみは堪えがたく、朝起きた瞬間から強烈なかゆみを感じるという、うんざ
りする日々でした。
キャベツを食べるだけで花粉症が治るなんて…。迷う暇はなく読んだ次の日
からキャベツを毎日の食事に取り入れることにしました。私の場合は、大き
めの葉 2,3 枚程度を食事に取り入れています。生が栄養的には一番良いです
が、
スープやパスタ、
炒め物等何にでも合うので飽きずに続けられています。
この本がきっかけでキャベツはもちろん、
食事や食材に気を使うようになり、
食べることが楽しみになりました。
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そして運命の春、花粉症の季節の到来です。見るだけでも目がかゆくなる綿
のようなものが街中を舞っていて、いつもだったらかゆくてたまらないはず
が…「あれ、何も感じない…!!」
。未だに信じられませんが、もう一生治ら
ないと思っていた花粉症が、本当に治ってしましました。目のかゆみ感じな
い春なんて 20 年以上前のこと…本当に驚きです。花粉症の時期は外に出る
のが恐怖でしたが、症状が出なければとても良い季節。この時期に、再びス
トレスを感じることなく外を歩ける日が来るなんて思ってもみませんでした。
なんと、本当にキャベツだけで花粉症が治ってしまい、著者の川崎さんには
感謝です。つらい花粉症でお悩みの方はもちろん、他にも気軽に始められる
良い習慣がわかりやすく紹介されていますので、健康に少しでも不安を感じ
ている方々の手元に置いておいてもらいたい一冊です。
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文明の発達が人間をダメにしているのはもう明らかな事実
もっと正しく言えば、便利に発達した文明にあぐらをかいてしまっている
人が不健康になっています。科学の発達、数々の文明の利器の発明は私たち
の生活をとても便利で快適にしてくれました。ですが世の中いいことだらけ
のものはひとつもありません。やはり万物に長短必ず備わっていると言えま
す。楽をすればそのしっぺ返しは必ずあります。俗にいう「温室育ちは弱い」
はそのいい例です。温室で育てると、見てくれの良い野菜や植物がスクスク
と育ちますが、含まれている栄養分は少なくてひ弱です。それに比べて道端
で育つ雑草などは人間の目には美しくないかもしれません、そして美味しく
もないかもしれません。でもとても強く育ちます。そして栄養価も非常に高
いことが知られています。
冷蔵庫や冷凍庫、保存料や着色料などの登場は、人間に大きな快適さと食
生活の変化、バラエティーをもたらしてはくれましたが、それと引き換えに
大きな短所ももたらしました。
冷蔵庫のない昔は干物や燻製、漬けもの、醗酵食品が唯一の日持ちする保
存食でした。それらには善玉菌がうようよしていて身体にいいものばかりで
す。そのような保存食以外はすぐに食べなければ腐ってしまうので、その当
時の食べる物と言えば、鮮度の高いものか、あるいは醗酵食品で身体に良い
もののどちらかだけだったことになります。それがその後、消費者のニーズ
に答えて、インスタント食品やレトルト食品などの簡単に用意できてすぐに
食べられるもの、保存料や着色料などによって鮮度を良く見せかけてはいる
ものの、本当は身体に良くないものが巷にあふれるようになり、この数十年
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の間で食べ続けられてきました。
我々消費者が快適さを求めた結果、それに答える商品が登場し、多くの消
費者がそれを喜んで買うことによって世の中に広がって行ったのです。
「お客
様は神様」の言葉を勘違いしたのかどうかわかりませんが、手間いらず、速
い、安い、美味しいを求める消費者の欲求はとどまることを知りません。食
品メーカーも必死にその要求に答えようとします。もし消費者が、
「何よりも
健康で美味しいものを」と求めていたとしたら、今ごろ事情はまるで違って
いたでしょう。
現在のように不健康な食品があふれかえってしまったのはもちろん消費者
のせいだけではなく、そこには営利を目的とする各メーカーの売上至上主義
も大きく関係しています。メーカーは営利団体なので、売り上げが下がれば
経営が成り立たず、社員のお給料も払えません。身体に良い物とは鮮度の高
い物か醗酵食品ですが、食べ物を加工するというのが食料品メーカーのお仕
事なので、鮮度の高いものだけや醗酵食品ばかりを売っていたら商売になり
ません。そこでいかに日持ちをして簡単に調理できる食料品を作れるかが腕
の見せ所になってきます。冷凍食品や加工食品の開発・販売競争もそうです
が、冷蔵庫や冷凍庫の開発・販売競争も同じです。なるべく身体に悪いもの
をたくさん作って売ってやれというメーカーはいないと思います。消費者が、
いかに安く、楽をして食事を取れるか、頭を悩ませて毎日買物をする代りに
買いだめをして冷蔵庫や冷凍庫に保存して、電子レンジで暖めるだけで済む
かなどと、いかに簡単に食事の準備をすませられるかを求めるからメーカー
もそれに応えるのです。
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安く売るためには当然コストもおさえなくてはいけません。コストをおさ
えるといってもよい原材料は安くは手に入りません。メーカーも消費者から
の厳しい要求とライバル会社との厳しい競争に生き抜くために、社員を養う
ために必死なのです。
スーパーはスーパーで、所狭しといろいろな食料品を置いています。スー
パーの存在目的もやはり売上です。それは決して買い物客の身体の健康を思
うものではありません。スーパーの棚の配列が、1人1人の買い物客に、い
かに多くの物を買ってもらうかという心理学にもとづいてレイアウトされて
いるのを知らない人は少ないと思います。買い物の最後にレジに並べば、前
の人の支払いが終わるのを待つわずかな間にも、これでもか、これでもか、
とチョコレートやガムなど、買わなくてもよい物がズラリと並んでいます。
スーパーやメーカーの思う壺にはまり、手を伸ばしてしまう人が多いのが事
実です。私も時々してやられます。
現代は、ありあまるほどの食べ物にあふれた豊かな時代になりました。し
かし、その豊かな環境にあっても、食べるべきものを食べずに、食べるべき
でないものを食べ続ければ身体はおかしくなってしまいます。逆に食べるべ
きものを食べ、食べるべきでないものをできるだけ食べないようにすれば免
疫がきちんと働いて便秘や下痢、花粉症や病気にもなりません。
新谷弘実さんという内視鏡手術の専門医がいます。新谷さんは職業柄、毎
日患者さんのお腹の中を見ているわけですが、マクロビオティクスやベジタ
リアンの人たちの胃腸の内側の壁は、それはそれはきれいな色をしていて表
面もスベスベ、ツルツルしているそうです。それに比べて肉食、悪食の人た
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ちのそれは、色も悪くて表面もでこぼこ。いつどこにポリープができてもお
かしくないような状態だそうです。それを聞くと西洋人の腸が一生懸命頑張
って2割も短くなったのが理解できるような気がしてきます。そして、身体
に良いものを食べて腸内環境を改善すれば、ポリープができにくくなるだけ
ではなくて、善玉菌が増えて免疫力がアップして、ガンさえも治してしまう
のは当たり前のことのように思えます。
ところで面白い実験があります。人間が好んで食べるけれども添加物や合
成保存料などの化学物質がたくさん使われている加工食品と、見た目は同じ
ようでも自然な製造過程で作られて化学物質が使われていない加工食品とを
地面において観察したところ、後者にはたくさんのアリが群がるのに前者に
はまったくアリが来なかったのです。
これを見ても分かるように、アリが見向きもしないような食品を私たち人
間は喜んで食べているのですから、勘、感覚が非常に鈍ってしまっているの
は間違いないと思います。現に添加物が入った食品を食べると舌がしびれた
り具合が悪くなるという人もいます。そうした人は普通の人よりも鋭敏な野
性の感覚を残しているのかもしれません。
人間も、昔は野生の動物のようにもっと勘が良く働いて、色々なサインを
見逃さずに生きていたのではないでしょうか。それがわずかこの 100 年の技
術の進歩で生活がとても楽になった代わりに、その必要がなくなって勘が鈍
くなってきてしまっているのではないでしょうか。
勘とか気とかは大変大事なものだと思います。なぜならそれも身体や心が
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発信する信号と考えられるからです。その人がいままでに積んだ経験、体験
が記憶されている頭と身体の情報に個人の個性や好みをミックスして自分に
合う合わないなどを瞬時に総合的に計算してくれているのが勘だと考えてみ
てください。つまり自分の心の声とも言えるはずです。仮にもしそれをコン
ピューターで計算させたなら、もっとはるかに時間がかかることでしょう。
先日スーパーコンピューターの世界選手権のようなものでダントツだった富
士通の「京」でもまだまだ人間の脳にはかなわないのではないでしょうか。
さすがに若い時は経験、体験が少ないですから経験豊富な他者の意見やア
ドバイスを聞いてそれを参考にするのは必要なことだと思いますが、それで
も何となく気が乗るとか、何となく気が進まないとかいう自分のフィーリン
グ、自分の心に耳を傾けるというのはそういう意味では大切なことだと思い
ます。でも、
「気が進まない」 と、自分を甘やかすことには要注意です。
「勘
に頼るな!」とはよく言いますが、あえて「勘には頼ってください。」と言い
たい気がします。詳しくは最後の章、
「良い考え方」のところにありますが、
日本語には「気」という漢字を使った言い回しがとてもたくさんあって、そ
れだけ「気」が重要視されていることにお気づきでしょうか。マクロビオテ
ィクス、ヨガ、断食などの先生方も、重病患者に対して目の前に何種類もの
軽い食事を用意して出して、何が今本当に心から食したいかを自分の心に聞
いてもらって与える方法があるそうです。
ちなみに日本人は世界の中でも「気
配り」のよさが飛び抜けていると言われるそうです。
最初の印刷バージョン(1冊目から 100 冊目)を読んで下さった友人の1人から、「キャ
ベツを万能の神のごとく書き過ぎじゃない?」 と言われました。確かにご指摘の通り(笑)。
何故ならそれは、少しでも多くの人にキャベツの良さを知ってもらいたいからです。例がおか
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しいかもしれませんが、例えば反日日本人を日本ファン日本人に変える(?)には(笑)、日
本ファン日本人陣営に引っ張り込まなければなりません。(これで次なる本がどんな本か
バレてしまいますが(笑)...
綱引きを想像していただければ分かりますが、人をこちらに引っ張り込むには、中間(中
立)の位置から引っ張るのでは弱過ぎます。そこでかなり反対側の方に身体を入れる必
要があります。そこでついつい反対側に入り過ぎてしまいます(笑)。でも事実しか書いてな
いのです。キャベツを食べて健康になった後で、玄米や納豆などを良く食べるようになりま
したが、私の花粉症を治してくれたのは何と言ってもキャベツ(笑)。他の健康食は全て健
康になってから食べ始めました。
でもここで追記したいのは、その後に知人の1人で「キャベツはどうしてもダメみたい」という
人が現れました(汗)。私の言うことを信じて下さり、キャベツを食べるようになって下さった
のですが、どうもお腹が痛くなってしまうようです。
整腸効果で確かに多量のガスがお腹の中で発生し、それが上手くオナラで出ないとそう
なってしまうのかも知れません。実際に私の場合も、下痢を治してくれているはずのキャベ
ツが稀に、「これはキャベツの仕業?」と思えるフシがある下痢が稀にあります。
人間は十人十色。各人の個人差はとても大きく、「キャベツで花粉症が 100%治った。
普段言っていることの 90%くらいは冗談だらけでも(笑)、これだけは川崎に感謝してい
る。」と仰って下さる人もいれば、私の様に 7、8 割効く人間もいるので、全然効かない、
あるいはマイナス効果の人も中にはいるかも知れません。
そこで提案ですが、もし試してみようと思われる方は、最初は少ない量から始めて、様子
を見ながら続けてみては如何でしょうか。
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第2章 良い運動
人間にとって一番良い動き、運動とは
現代人は、文明の発達によって素晴らしい快適さを享受できるようになり
ました。この世に乗り物がまだ存在しなかった頃に歩いて移動した距離を、
今や電車や車に乗ればあっという間に移動できます。自分の身体を使って行
っていた家事は、みんな家電がやってくれます。とても便利な世の中です。
でもそこで欠けてしまったことは何でしょうか。そうです、身体の動きです。
生活を快適にしてくれた数々の機器が人間の代わりに動いてくれるので、人
間は身体を動かさなくなってしまいました。元々動くように作られている身
体が動かなくなってしまったのです。前章にあるように、動かなくなってし
まったところへ追い討ちをかけるように飽食の時代です。しかも身体によく
ないものばかりを食べています。
私はたまたま 23 歳の頃から週に最低1回はジョギングをしていました。
そして 40 代の後半に始めたサッカーで怪我をして、左膝の半月板損傷で手
術を受けてからは走れなくなってしまいました。健康のために 20 年以上続
けたジョギングを断念することになったのです。走ると左膝が腫れて重くな
ってくるからです。運動をしないのは身体に良くないと分かっていたので、
走る代わりに水泳を始めました。週に1回から初めて、最終的にはほぼ毎日
のように早朝泳いでいました。便利なことに、ドイツのプールは平日の朝は
6:00 に始まります。5 年間くらい続けていました。
そんなある日、ソフトボールの練習試合で運良く大きなホームランを打て
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たのですが、3塁からホームベースへの最後の部分を走っていた時でした。
頭の中では相変わらず1塁から3塁までと同じように走っているつもりなの
ですが、足がそれについていけずにもつれるような気がしました。周りの人
は見ていて気が付かない程度だったそうです。幸いセーフで間に合ってホー
ムランにはなりましたが、足腰の運動不足は間違いのないものでした。
そしてまたある時は座って仕事をしている時に立ちくらみが起きました。
元々貧血気味なので、横になっている状態や、座っている状態から立ち上が
る時に時々立ちくらみが起こりますが、立ちくらみと同じ状態が、座ったま
まの状態で起こりました。そばにいた人によると、顔が真っ青ではなくて真
っ白で、全身冷や汗をかいていました。座っていてもつらいので床に寝て待
つこと約3時間。その後は何ともなくなりました。何ともなくなったので、
医者に行っても原因が分かるはずがなく行きませんでした。そのめまいのご
く軽い症状は、車の運転中にも起きました。もし運転中に重い症状が出たら
大変です。毎日通勤や営業で出て歩くということがなく、ほとんど座りっぱ
なしの事務仕事なので、足腰を使う運動が不足しているとしか考えられませ
んでした。
ちなみに貧血気味で立ちくらみを起こす人に、バタンと倒れてしまわない
ようにする方法があります。立ちくらみを起こしたらすぐにしゃガンで下さ
い。しゃがむのさえ大変だったら腰を曲げて頭を垂れるだけでも大丈夫です。
頭の位置を心臓と同じか心臓より低くすることで、血液を送るポンプとして
心臓の働きを助け、脳に血、酸素を送りやすくします。そうせずに立ったま
ま壁に頼ろうとしたりするのは良くありません。立ちくらんだらすぐに頭の
位置を低くするのです。
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そこで水泳だけでは心配で、走れないのならせめて歩こう、ウォーキング
を始めようと思ったのです。ウォーキングは腰痛を治してしまうなど身体に
良いことは以前から知っていましたが、ほぼ毎日の水泳という運動で十分だ
と思っていました。でもいくら毎日泳いでも、歩く、走るの運動の代わりに
はなっていなかったのです。人間は何百万年もの長い間、歩き続けた結果と
して現在の大きくて強い足腰が出来上がったのだと思います。猿から人間へ
の進化を1コマ漫画のように表した、本誌の表紙にあるような絵を時々見か
けます。左右どちらかの端に猿らしきものが描かれていて、反対の端に人間
らしきものがいます。その間に何種類かの私たちのご先祖様たちが描かれて
いて、猿から人間の方に行くにしたがって丸い背中がまっすぐになると同時
に身長が伸びていきます。あれは数百万年もの間の猿から人間への進化を大
変良く表してはいないでしょうか。
人類の祖先の身体は最初の頃は非常に小さかったそうですが、二本足で歩
き続けたことによって段々と身長も伸びたようです。背が高い人間の身体の
一番上には頭があります。動物の中で最も大きくて重い頭を持つ人間。その
頭には大切な脳が入っていて頭蓋骨で守られています。脳の重さは一般成人
で 1.2kg から 1.4kg ですが、頭部全体の重さは体重の 10%もあります。そ
の重くて大切な頭を支えて歩くために身体が出来上がっています。
人間の身体は、地上から頭までの間にアーチ状の足先から、足首、膝、腰、
そして長いS字の背骨と、いくつものクッションで重い頭をうまく支えて歩
けるように出来ています。歩き続けて人間の身長が伸びると同時に、足腰が
強く大きくクッション性の高い身体が出来上がりました。人類の祖先が、何
百万年もの間、餌を捜し求めて常に歩き続けてきた結果です。文明が作り出
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したいろいろな乗り物の長所には、短時間で遠いところへ早くて楽に移動で
きるという計り知れない大きなものがあります。しかし、その快適さと引き
換えに、人間の身体にとって一番大切な動きである「歩く」という運動を奪
って足腰を使わせなくしてしまったのです。
誰でも歩こうと思えば歩けるのですが、便利な乗り物につい頼ってしまい
ます。歩かないことが長く続けばそれが当たり前になりますし、人間は元々
怠け者でもあります。廃用症候群という言葉があります。筋肉でも何でも使
わなければ衰えてしまいます。怪我をしてギブスなどをするとよく分かりま
すが、身体はわずか数日の間動かさないだけでリハビリが必要になってしま
います。生き物の身体は動かさないということに対して大変弱い仕組みに作
られているといえます。ドアとちょうつがいではないのですから、動かすた
めにあるものが動かされなければ動かなくなってしまうのは当然です。いえ、
ドアのちょうつがいでさえ長い間動かさなければ錆びて動かなくなってしま
うでしょう。自動車などでもそうですが、毎日適度に使っている方が、長い
間放置しておくよりも調子よく保たれます。動くようにできているものは動
かさなくてはダメなのです。
人間は、文明の利器に胡坐をかいてしまい、野性や勘が薄れて鈍くなって
しまいました。運動が不足しても、自然に自分からそれを補おうとせずに、
身体の不具合のサインである腰痛や四十肩などの障害が出ても、せいぜいお
医者さんに行く程度です。自分から運動をしようとしません。動物園の檻の
中にいる動物は、運動不足なので頻繁にウロウロと歩いています。身体がそ
れを求めています。人間も本当は身体がそれを求めているのですが、動こう
としません。
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自分のことはそのように放っておきながら、例えば犬や馬を飼っている人
はそれらの動物たちのために散歩を欠かしません。犬や馬には運動が必要不
可欠だからということで散歩をさせます。犬は散歩、つまり運動が不足して
くると、
「ワンワン」 と鳴いて催促をするほどです。犬を飼っている人は、
犬の散歩で自分の散歩にもなるので、そういう意味では犬を飼っていない人
よりは幸いにも健康的です。馬を飼っている人は、乗馬は上半身結構を使っ
て汗をかくほどですが、下半身は止まっています。ハムスターやネズミを飼
う時は、かごの中にクルクル回って運動のできる器具を用意します。全ての
動物に運動が欠かせないことを人間は知っており、動物を飼う時にはそのこ
とに気をつけます。それにもかかわらず、自分の運動不足には無頓着です。
予防医学ということで、そうした運動を医者が勧めなければいけないので
はないでしょうか。勧めるくらいではしない人が多いので、脅かす程度言う
必要があるかもしれません。例えば誰かが犬を飼う時に、犬の販売主などの
専門家が、
「運動不足になってしまうので、犬は毎日散歩に連れて行く必要が
ありますよ!」 と言うように、医者も患者に、
「人間の身体は運動が不可欠
なので、毎日ウォーキングなどの運動をしないとたいへんなことになります
よ!」 と言うべきなのでしょうか。
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人間にとって最高の動き、ウォーキング、ジョギング
私の場合も、ウォーキングから始めて、その後ジョギングに切り替えるこ
とが出来てからは、自覚できるほどに健康を感じられるようになりました。
立っていられる時間の長さは伸びて、座りくらみはその後一度も出ていませ
ん。手術の後に、もうジョギングはできないと思っていたのは単に自分がそ
う思い込んでいただけでした。ウォーキングを始めてからジョギングが出来
るようになるまで1年以上はかかったでしょうか。いつか頭部あるいは心臓
周りの血管がつまって急に死んでしまうのは嫌なので真剣です。
ウォーキングを始めた最初の頃は、ウォーキングのみを続けて、しばらく
したらわずか数十メートルの軽い走りを時々追加したりして、時間をかけて
少しずつジョギングに近づけていきました。数百万年の間に人間はずっと走
っていたわけではなく、ずっと歩き続けてきたはずですから、ウォーキング
でも良いと思うのですが、やはりかかる時間と効果を考えるとどうしてもジ
ョギングになってしまいます。走った方が身体がより速く温かくなって汗も
かき、血液の循環にも良いからです。ご先祖様たちも、餌の小動物を追いか
けたり、あるいは反対に猛獣に追いかけられたりと、意外と頻繁に走ってい
たかも知れません。
そう考えると、最近ドイツで流行っているノルディックウォーキングとい
う、ストックを持ったウォーキングはどうでしょうか。人類の歴史で、スト
ックを使って歩いた過去は一度でもあるでしょうか。いえ、ノルディックウ
ォーキングが悪いと言っているのではありません。し過ぎを除き、運動はし
ないよりした方が良いことは間違いありません。でも、できることならウォ
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ーキングの時に、ストックをつくことによって腕を使うより、水泳やラジオ
体操、掃除などによって、腕を肩より上の方向に動かす動きを行った方が良
いと思います。一番良いのは、我々の先祖が数百万年もの間続けた、頭上に
ある木の実や果物などの餌を取るように、手を上に上げる動作が一番良いの
は言うまでもありません。また、雑巾掛けの掃除などは特にお勧めです。
本格的なランナーではなく、健康のためにジョギングをしている人にはお
勧めがあります。それはジョギングをしている最中に横向きや後ろ向きのジ
ョギングを加えることです。横向きは左右の足を交互に前後させます。つま
り右足が前方で左足と交差したり、後方で交差したりします。後ろ向きは勿
論時々振り向いて後ろを注意しながらジョギングします。身体のつくりから
考えてそれらをあまり長くする必要ないと思いますが、普段使わない筋肉が
使われるし脳も使われます。横向きの場合は腰の運動にもなります。
同じように水泳も簡単なクロールや平泳ぎばかりをずっと続けるのではな
く、背泳やバタフライも練習してできるようになり、なるべく4種目全てを
交互に泳ぎ分けます。つまり個人メドレーです。同じ動きをずっと続けるよ
りも、いろいろな動きを混ぜた方が、より自然で身体に良いからです。バタ
フライはできるようになるまでかなり時間がかかるかも知れませんが、慌て
ずに時間をかけてゆっくりやれば、いつかはできるようになります。その際
には YouTube などの動画がとても参考になります。世の中には親切な人が
多く、YouTube 動画にはいろいろなスポーツの練習方法が紹介されています。
歩く、走る際には靴に関して注意が必要です。靴というものの存在が人間
の本来の歩き方を変えてしまいつつあると思うからです。特に靴のかかとの
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存在です。つい先ほどアーチ状の足先と書きましたが、そこに大きな意味が
あります。人類の長い歴史の中で、人間は靴無しで歩くことを数百万年間も
続けてきました。足の裏は平らのように思いがちですが、人間の足首から先
は縦にも横にもアーチ状、ブリッジの形になっています。少し大げさに言っ
てみれば吸盤のような形です。歩いている時、走っている時に、このアーチ
状の足先もクッションの役割をしてくれています。ドイツでは、もし子供が
偏平足だとお医者さんから「家では裸足で歩かせて下さい」と言われます。
足首もクッションの役目をしてくれています。但し、かかとから着地をし
なければです。靴が発達するようになって、靴底が足を守ってくれるように
なりました。特に最近のスポーツシューズのようにかかとの部分が柔らかく
なると、それに頼ってしまいます。そうなると着地の時に完璧にかかとから
着地してしまうのです。
1960 年のローマオリンピック、そして 1964 年の東京オリンピックのマ
ラソンで2度続けて金メダルを取ったエチオピアのアベベ選手のことを聞い
たことがあるでしょうか。フルマラソンの 42km を何と素足で走りました。
素足でフルマラソンを走り、アスファルトの道でかかとから着地したらかな
り足が痛くなるだろうと思ったので、ひょっとしてつま先着地ではと考えて
みました。早速調べてみると案の定その通り。インターネットで「アベベ」
、
「つま先着地」などのキーワードでいくつもの情報が出てきます。アベベは
やはりつま先着地でした。42.195km の科学、マラソン「つま先着地」vs
「かかと着地」 (角川 one テーマ 21) などという本も出て、ランナーの世
界ではここ数年そのことが静かな話題になっています。
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つま先着地をすれば、足先のアーチと足首の関節が大きなクッションにな
ります。ところがかかとからの着地だと、それらのクッションが全く活かさ
れません。靴のメーカーの努力で、かかとの部分のクッションがとても良く
なり、中には2m の高さからの落下でも卵が割れないなどというすぐれた材
質もあるそうです。
でも「ちょっと待った!」です。それって、交通機関が発達して足腰が弱
くなったり、家電の発達で身体を動かさなくなってしまったのと似ていない
でしょうか。元々つま先着地、正確に言えばベタ足着地で歩いたり走ってい
た人間が、靴の登場で足の退化を始めてしまっているのではないでしょうか。
人間以外の四足動物は、かかとが退化して後部上方に行ってしまっています。
馬などは、強く速く走れるということで、指がたったのひとつ、ひづめにな
ってしまいました。かつては4本あったそうです。靴を履かないアフリカの
原住民や、ペラペラのサンダルのような履物で暮らしていて長距離も走るメ
キシコのタラウマラ族などには、膝の故障などないそうです。そういう意味
では、現代人の膝の弱さは靴がもたらしている可能性が大きいと思います。
あの天才的数学者、岡潔さんも「皮底の靴は頭に響く..
」と言いました。
人間の歴史は猿と人間の間の先祖まで入れれば数百万年。靴の歴史はわず
か数千年。しかもかかとの部分が厚くなってきたのはほんの近代。わずか数
百万分の百とかそういうレベルです。さて、どちらの方が人間の身体により
良いでしょうか。瞬時の動きや短距離走、階段の昇り降り、縄跳びなど、ど
れも全てつま先着地です。自転車こぎだってつま先をペダルに乗せた方がふ
くらはぎが働くので有利です。どんなにいい靴でも、足先のアーチ状の足先
プラス足首という自然のクッションにはかなわないのです。スポーツなどで
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膝を痛めなくても、多くの高齢の人たちが膝の故障で悩まされています。革
靴などでコツコツと音を立て、もろにかかと着地をしているのが、
「骨、骨、
骨、
」という膝の悲鳴に聞こえてしょうがありません。そういう膝への負担を
自分で気が付かない日々のレベルでも、何十年も続けていれば、歳を取って
から膝が悪くなってもおかしくありません。
とても面白いことに、プールサイドなどのタイル張りなどで、地面が硬い
場合はみなさん誰でもかかと着地はしていません。自然にベタ足着地になっ
ています。つまり、足の裏全体での着地です。ところが靴を履いてしまうと
それをしないのです。かかとの柔らかい靴などに頼ってしまうから、かかと
着地になってしまうわけです。ちなみに日本の青年海外協力隊でアフリカに
行き、ひょうんなことから現地のアフリカ人の足をさわらせてもらった知人
がいるのですが、
「きっと硬くなっているに違いない」という予想を裏切って、
彼らの足の裏はたいへんに柔らかいそうです。
もしかかとの柔らかい普通の靴でかかと着地をやめようとする場合にはひ
とつ注意点があります。つま先着地はふくらはぎの筋肉を余計に使うので、
その分ふくらはぎが疲れます。特にジョギングの場合にはそれが顕著です。
だから最初はある程度慣らしが必要です。退化を戻すにも苦労が要ります。
でも靴の裏の薄い靴なら大丈夫です。それはプールサイドを歩く人たちの足
の裏の着地を観測すれば良く分かります。かかとが受けるショックが大きい
ので、自然にベタ足着地になるのです。つまり、靴の裏は薄ければ薄いほど
良いことになります。世の中、医療や薬に限らずあらゆることに関してメー
カーや産業の思惑に一般消費者である私たちは騙されっぱなしなので、もっ
と一人ひとりが自分で気をつけて生活しなければいけないと思います。
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さてふくらはぎは、その形を大きく変えて静脈弁のポンプ機能に貢献する
ゆえんから第2の心臓と言われているくらいなので、活発に使った方が血液
の循環のために、つまり身体にもいいことになります。静脈弁については、
後で詳しく出てきます。つま先着地とはいえ、本当につま先から着地するの
ではなく、ランナーの間ではミッドフットと言われていますが、足の外側部
分と足の指の付け根あたりで着地をします。ベタ足着地のようなものです。
足を地面に付かずにぶらぶらさせた場合、ちょうどその部分が一番低い位置
になります。大切なのは、完璧なかかと着地をするのではなく、足先のアー
チ状を利用できれば良いのです。
なぜこのことに気が付いたかと言いますと、私の膝は弱者の長所でセンサ
ーのように敏感なのです。
半月板損傷の手術の後に弱くて敏感になりました。
ジョギングをしている時に、ジョギング用のかかとの厚い靴でも長くかかと
着地で走っていると膝が重くなってきます。ミッドフット着地で走るとそれ
がありません。あるいはアスファルトの上よりも草地、あるいは雪が積もっ
た所を走ると膝の調子がとても良いのです。走る時の膝の保護のためには、
靴の裏、特にかかとの部分の柔らかさは不要なのです。本当に必要なのは自
分の身体に備わっている自然のクッションなのです。本格的なランナー達の
間で使われている靴底が薄いワラーチというサンダルのようなものでも同じ
なのです。
人間がいろいろなスポーツで上達する、つまり上手くなるには、上手い先
生に付いて教わるのが一番です。水泳、テニス、野球、ゴルフ、どんなスポ
ーツでもそうです。ところが、最も大事な基本である歩くことに関してはあ
まり先生がいません。
スポーツとしての走ることに関しては先生がいますが、
どういうわけか歩くことについての先生は、モデルさんでもない限りほとん
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どいないのです。それは人間が生まれてきて一番最初に習い、誰でも自動的
にマスターできると勘違いされているからでしょうか。歩くという、人間に
とって最も大事な動きを甘く見ずに、モデルさんが美しく歩くための歩きを
習うように、腰や膝に優しい歩き方を考えるべきではないでしょうか。歩く
ことにもやはり上手い下手があり、上手く歩けば身体に良いし、下手に歩け
ば身体に良くないと思います。
メーカーが競い合って履き心地を向上させる靴や、早くて簡単に食べられ
る食料品に限らずに、
ありとあらゆる製品、
商品に関していえることですが、
身体に良くない嘘がたくさんあります。日本で湿潤治療を広めたとされる夏
井睦さんという形成外科の先生がいます。1日に3千人も 4 千人も訪問者の
あるその先生のサイト(http://www.wound-treatment.jp/)や著書でも紹
介されていますが、石鹸やシャンプーは本当に毎日、毎回必要でしょうか。
落ちにくい汚れに対してそれらは確かに効果的ですが、人間の身体がかく汗
だけを落とすのにそれらは不要です。そして夏ならまだしも冬にはあまり汗
もかきません。油だとか、化学系のもの、タバコの匂いなどが頭髪や身体に
ついてしまったのなら話は別ですが、
汗だけなら水やお湯で十分に取れます。
洗った後に石鹸やシャンプーのいい匂いがすることがイコール洗ったという、
おかしな常識になってしまっていないでしょうか。
試してみて分かるのは、石鹸を使わずに身体を洗ってしばらくすると、今
まで脂性だったおでこなどの肌の脂の分泌が減ってくることです。つまりあ
まりテカテカしてこなくなります(注: 但しそれはキャベツ等の食事の影響
も含まれるかもしれません)
。そしてシャンプーを使わずにお湯だけで洗髪す
ると脱毛の数が著しく減り、
髪の毛がしなやかになってきます。一度試しに、
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シャワーの時の頭髪の洗浄をお湯だけにしてみて下さい。バスタブの床に残
った脱毛の数があまりに少なくて驚きます。腸の中だけではなくて人間の肌
にもたくさんの微生物が存在しているそうですが、それらは適度な汗や脂質
などの本来は肌が必要としているスベスベさと共に共存共栄しているそうで
す。それらの微生物が必要以上に洗い流されてしまうのは肌にとっては迷惑
なことになるそうです。きれいに洗っているつもりが、実際には肌をいため
てしまうことになっていないでしょうか。
かくいう私も以前はいい匂いがすることイコール洗ったことだと大きな勘
違いをしていて、水泳に行くと、泳ぐ前と泳いだ後、そして1日の終わりに
シャンプーかボディーシャンプーで頭髪と身体を洗っていました。つまりそ
ういう時は人の3倍も洗剤の費用を使い、洗い過ぎで自分の髪や肌を傷め、
さらには地球を汚していたのです。同じことは洗濯や食器洗いに関しても言
えます。洗濯をしようと思っている衣服やタオルは、本当に洗濯が必要なほ
ど汚れたのでしょうか。例えばバスタオルですが、何となく雰囲気で毎週洗
っていないでしょうか。
バスタオルは、きれいになったばかりの身体についた水道水を吸っている
だけです。そのバスタオルを本当に毎週も洗う必要があるでしょうか。多く
のホテルでは、既にその面で気を使うようになり、
「タオルの交換を望む場合
は床に置き、望まない場合は壁にかけておいてください」と明記してありま
す。バスタオルをどのくらいの間洗わずに使えるかを試してみると、数ヶ月
は問題ありません。数ヶ月たつとゴワゴワになってきて少し臭いも出ますが、
毎週洗う必要はないはずです。同じように食器洗い。脂汚れはしょうがあり
ませんが、水やお湯で十分に落ちる汚れも結構あります。そういう洗い物ま
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で、何気なく食器洗剤をたっぷりつけたスポンジで洗っていないでしょうか。
洗剤もスポンジも使わず、基本的には手とお水かお湯で洗い、手が脂を感じ
る洗い物だけ洗剤の付いたスポンジを使うだけで十分です。わざわざ洗剤メ
ーカーさんの売上に貢献する必要はありません。
グーグルの代表者が先日何と言ったかご存知でしょうか。2人の創業者の
内の1人がトップに返り咲いた少し後です。
「毎日使う歯磨き粉のような存在
になる」というようなことを発言したそうです。私が知っている元々のグー
グルのモットーは、
「世界中の情報を誰でも利用できるようにする」というよ
うなものだったと思いますが、この時はつい本音が出てしまったのでしょう
か。歯磨き粉、石鹸、シャンプー、食器洗剤... わずかながらも毎日誰でも
使うこれらの消費財、一回に使う量が倍でも3倍でもそれほど変わりないよ
うに思えます。でもそれが積もり積もったら...
もし世界中で全員から1
人1円ずつ集めても 70 億円以上の大金になります。メーカーにとっては数
が出ることが一番大事です。繰り返し繰り返し使ってもらうことによって売
上が伸びます。売上を伸ばすために、あの手この手と宣伝をします。
他の全ての動物たちが食べることと種の保存で精一杯の人生が終わってし
まうのに比べて、人間は、動物界の頂点にいて、マズローの欲求段階説でい
うところの、最低のレベルの1段階目以外に4つも次元の上のことが与えら
れています。
マズローの欲求段階説というのは、人間の基本的欲求を序列化したもので
す。一番低次の欲求が「生理的欲求」
、つまり食事、排泄、睡眠などの根源的、
本能的な欲求です。次に「安全の欲求」
、これらが充たされると初めてより高
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次の「社会的欲求」
「承認(尊重)の欲求」
「自己実現の欲求」が生じるとさ
れています。
動物は生理的欲求、つまり本能にのみ従って生きているとみなされていま
す。それに対して人間はそれらの欲求が満たされるとより高次の欲求を持つ
という考えです。
ところが近代化、快適化によってその生き物の基本となる、最低のレベル
である生理的欲求の取り扱い方がおろそかにされてしまっているような気が
します。食、安全が当たり前となったためにそれらに対する野性、勘を失っ
ているだけでなく、肉体的にも退化しているのではないでしょうか。高次の
欲求がどんどんふくらむにつれ、土台がぐらついてきている、足元がおぼつ
かなくなっているように思います。これでは種の保存すら危なくなってしま
います。現に精子数の減少や奇形精子、不妊症が増えてきていることはまさ
にその表れではないでしょうか。
メーカー主導とはいえ、メーカーは売れるものを作って売ります。買うの
は私たち消費者です。つまり結局は全て消費者である私たちが招いている問
題です。
「もっと便利に」
、
「もっと楽に」のしっぺ返しが健康に現れているの
です。買う衝動を抑えて、買わせる側の心理作戦に抵抗して、いかに自分の
健康を考えて必要な物しか買わないか。そして使わないか。自分を守ってく
れる最後の頼み綱はやはり自分だけです。なるべく車には乗らない、便利な
機器を使わずになるべく自分の身体や頭を使う、楽な食事は取らないという、
便利な世の中にあってもしっかり自分で必要なことと不必要なことを判断で
きれば健康になれるのではないでしょうか。
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世の中をきれいにする循環
ご存知の通り、心臓は全身の細胞に欠かせない血液を 24 時間くまなく循
環させ続けてくれています。1人の人間の血管を1本につなぐと 10 万 km
もあり、地球を 2.5 周ほど回るそうです。それをわずか1分ほどで、全身の
血液を循環させてくれているのです。1分間で地球2周半と聞けば驚かない
人はいないでしょう。
人間の場合、他の全ての動物と違って心臓がかなり高い位置にあります。
心臓から四肢、特に足の先まで血液を送る動脈は、重力の助けで比較的簡単
に送れますが、その逆に血液を心臓まで戻す静脈の仕事は大変です。普段忘
れてしまいがちな重力。重力はものを地面にたたき落としてしまうという強
力な力を持っています。高い階から飛び降りることを想像したり、逆立ちや
腕立て伏せをすればその力の強さはすぐに分かりますが、どうしても普段忘
れてしまっている強い力です。その力に逆らって静脈は血液を心臓に戻さな
ければなりません。立っているより座った方が楽で、座っているより寝た方
が楽なのは、やはり重力があるからです。これは、健康な時はあまり意識し
ませんが、病気になったり疲れてくるとすぐに分かります。
その静脈にはところどころに静脈弁という閉じたり開いたりする弁が存在
しています。血液を一方向、つまり心臓の方向にしか向かわせず、逆流させ
ないためのものです。静脈弁は内臓や頭部には見られず、特に人間の四肢で
よく発達しているそうなので、背も心臓も位置が高くなった人間の進化の過
程で出来上がってきたと言われています。静脈弁がある所では、筋肉が動く
ことによって血液が一方向のみにポンプで押される仕組みになっています。
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つまり筋肉の動きが血液を心臓に戻す作業を手伝っているのです。
静脈の中には深静脈という、動脈を取り囲むように併走しているものと皮
静脈がありますが、深静脈の場合は、動脈の脈動の動きでも静脈弁のポンプ
の仕組みが動くそうです。そのような小さな動きで影響を受けるのなら、筋
肉の動きによる影響はかなり大きなものになると言えます。
つまり、歩く、走るという運動を適度に行っていれば、筋肉が良く発達し
てそのポンプの動きも良くなるわけです。だから良く歩く、走る人とそうで
ない人との間には血液の循環に違いが出てきます。エネルギーも血液で運ば
れています。血液の滞りのない循環が健康に非常に大切で、病気の治癒にも
大事であることは、血液が酸素、水、栄養、免疫、不要物も運ぶことからい
うまでもないことです。だからこそ血液がスムーズに運ばれるかどうかが健
康に大きく影響するわけです。
血液がスムーズに運ばれるには、ドロドロの血液よりもサラサラの血液の
方が良いことは分かります。ドロドロの血液は詰まりやすくもあります。血
液が詰まってしまえば大変なことになることは誰でも知っています。日本人
の三大死因は、1位:ガン、2位:心疾患、3位:脳血管疾患です(2014
年度)
。
2位と3位はともに血管の詰まりによる動脈硬化が原因のものがほと
んどで、合わせると死因の4分の1以上になります。
循環とは、身体の中の水分や血液の循環だけではなく、世の中のあらゆる
ところで欠かせないようです。例えば水槽のお水なども動かさずにじっと置
いておくとすぐによどんできて汚くなってしまいますが、フィルターポンプ
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などを使って水を循環させていると、つまり動かし続けているときれいに保
たれるのは、フィルターの力だけではなくて、水が動いているからだという
ことは、アクアリウムの業界では良く知られた事実です。しかもその循環、
流れが多くて速いほど効果が大きくなります。それは人間の集まりである組
織でも同じことが言えないでしょうか。
激しい運動をすると心拍数が上がる、つまり血液を送り出す回数が増える
だけではなくて、一度の拍動で送り出される血液の量も増えます。その量は
最大で 35 リットルだそうで、安静時の7倍にもなります。その場合、特に
多くの酸素が必要とされる筋肉への供給量は 30 倍まで増えるそうです。私
の場合は、
静かにしている時の脈拍数が1分間に約 50 とゆっくりな方です。
トップアスリートは 40 前後、普通の人は 60 から 90。その 50 という数値
が、ダッシュで泳いだりすると 140 以上にもなります。
そのように血液が速く、多く運ばれれば、栄養も酸素も免疫系の細胞など
もたくさん運ばれるので、運動は身体にとってとても良いことになるわけで
す。流れが滞り、少しゴミが詰まり始めている川などで、何かの理由で水量
が増して早くなるとそれらのゴミが流されてしまうということを想像してみ
て下さい。
入浴は健康に良いと言われますが、その理由はお湯につかって温まると血
液の循環を良くするからです。腕に血管がはっきりと見える人は、お風呂に
入った後にそれらの血管がよりくっきりと浮かび上がっていると思います。
血流が良くなるからです。
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普段シャワーをあびるだけの人と、お湯を張った浴槽につかる人との比較
実験で、リンパ球の数にかなり違いが出るそうです。シャワーだけの人たち
のリンパ球数の平均が1マイクロリットルあたりで 1900 個、お湯につかる
人たちの平均が 2200 個だそうです。リンパ球は体を細菌などの外敵から守
る免疫システムの一部なので、その数が多いのと少ないのではどちらが身体
に良いかは明白です。
血の循環だけではなくて、振動も身体には大事であることが分かっていま
す。骨折の後の骨のつき具合も、振動を与えている方が、安静にしているよ
りも直りが早いそうです。強い重力が働く地球上で進化してきた人間の身体
には、地面とのコンタクトは不可欠のようです。野球のあの松井選手が骨折
した時も、特殊な振動を使う治療方法が行われて4割も早く治せたそうです。
ところで宇宙飛行士は地面とのコンタクトもなく重力もないので、地球に
帰ってくるまでに身体や骨が弱くなってしまっています。同じことが水泳に
関しても言えます。水泳の唯一の欠点は、地面とのコンタクトがなくて骨が
鍛えられないことです。宇宙での生活や水泳、寝たきりはカルシウムの損失
を起こすそうです。筋肉組織も失われて足が細くなります。重力の中での生
活に慣れた身体には、地面とのコンタクトが欠かせないようです。ただ、水
泳が全身を動かせるという点において、お勧めのスポーツであることには変
わりありません。私たちの先祖は、長い間ずっと泳ぎ続けていたわけではあ
りませんので、身体が水泳で出来上がったわけではありません。しかし、水
泳に必要な動きは、身体を動かすのにとても都合が良いのです。
「停滞はよど
みを生む」というのはあらゆることに対してあてはまるようで、重力のある
地球で生まれて進化を続けてきた生き物には、長い時間じっとしている時間
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をなるべく少なくして、動いて変化を続けるということがどうしても必要な
ようです。
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Wer rastet, der rostet = 休む者は錆びる
腰痛のある人が、ウォーキングを始めてしばらくすると治ってしまうとい
うお話を良く聞きますが、それはごく当たり前のことではないでしょうか。
「ウォーキングで腰痛が治った」という表現は実は間違った表現で、本当の
ところは「歩くという動作が人間の身体にとって必要不可欠なのにもかかわ
らず、それを十分にしていないから腰痛などの身体の痛みが出てくる」とい
うのが正しい表現ではないでしょうか。人間の身体に欠かせない動きを再び
始めれば腰痛が治るという単純な仕組みです。
私も腰痛持ちです。しかもそれは若い頃のオートバイ事故が関係している
ようで、引っ込めるのも一筋縄ではいきません。それでも定期的なジョギン
グに加えてストレッチ、ブリッジ、逆立ちなどで鍛えて柔らかくし、見事に
引っ込めてしまっています。普通の腰痛の人、つまり運動不足から来る腰痛
は、ウォーキング等で比較的簡単に治しやすいと思います。私の腰痛のよう
に、オートバイで転倒して気を失い、坐骨骨折、腎臓出血で1週間以上入院
し、触っても分かるほど骨が曲がってしまったような腰痛はタチが悪くてウ
ォーキングだけでは症状が軽くはなっても治りません。
でもだからといって諦めて常に違和感を引きずって生活し続けるわけには
いかないので、故障した膝同様、周りの筋肉を鍛え、ストレッチでまわりの
スジを伸ばしてみることにしました。それには週に3回の腰のストレッチ、
ブリッジ、逆立ちを続けるという手間がかかりますが、それらによって腰痛
をほぼ完全に引っ込めることに成功しています。逆立ち歩きはジョギングの
途中、ストレッチとブリッジはジョギングの後で身体が温まっている時に行
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います。
ブリッジも最初は腰が全然曲がらずにできませんでした。肘と膝の部分だ
けが曲がり、体はほぼ真っすぐなので無理もありません。それでも半年や1
年という長い時間をかけて少しずつやわらかくしてゆくとできるようになり
ます。逆立ち歩きも同じです。最初は難しいのですが、諦めずに時間をかけ
て練習するとできるようになります。逆立ち歩行をしていると、腰への負担
が良く分かり、腰が鍛えられているのが感じられます。
それらを始める前、つまりジョギングと水泳では腰痛を完全に抑えること
はできませんでした。ほとんど引っ込んではいたものの、ちょっとした腰の
動きで腰の辺りに変な感じがあり、自分が腰痛持ちであることをその度に思
い出します。
ストレッチ、
ブリッジと逆立ちで今はほぼ完全に消せています。
現代人にとっては車での移動が当たり前のようになってしまい、本来なら
歩くはずの距離でもついつい車を使ってしまいます。そういう私も以前はわ
ずか1km 強の通勤に車を使っていました。建物内の上下の移動もエレベー
ターがあるからといって、わずか1~2階上がるのにもついついエレベータ
ーを使ってしまっていないでしょうか。ひどい人は1階降りるのにも使って
います。身の周りで知っている例では、早朝のプールに健康のためにわざわ
ざ泳ぎに来る人が、わずか1階の上り下りにエレベーターを使っているので
す。エレベーターは人を運ぶために作られたものですが、人間はエレベータ
ーに乗るために作られたのではありません。椅子は座るためにできています
が、人間の身体は座るためにできているわけではありません。人間の身体は
動くためにできています。座るのは休む時だけです。
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スポーツをしている人のやり過ぎや怪我などを除けば、成人の腰痛も、四
十肩も、その他体中様々な支障や痛みの原因のほとんどは、運動不足による
ものではないでしょうか。そこへゆくと子供たちの身体はまだ柔らかいので
そういう心配がほとんどありません。問題になってくるのは大人になって身
体も固まり、運動量も減ってくる頃です。歳を重ねれば重ねるほどひどくな
ってゆきます。そこへ飽食が追い討ちをかけます。
足腰に限らず、腕も勿論動かすためにできています。前方、横、上下、そ
して一部を除いた後方、いろいろな方向に動かせます。そのようにあらゆる
方向に動かせるように、関節も、筋肉も、腱も作られているにもかかわらず、
一日中座ったままでパソコンのキーボードを打っていたら衰えないはずがあ
りません。四十肩や五十肩が出てくるのは当然のように思えます。長い間座
り続けて仕事を続けていると、例えば机に対して椅子の高さが少し低いと肘
が机の上に乗ってしまってすぐに肩がこりますが、それは姿勢が不自然だか
らです。マクロビで言う機能別の歯の比率で食事を取るのがベストだとすれ
ば、身体を動かす優先順位や頻度も身体の出来具合の比率に合わせればベス
トではないでしょうか。つまり、最も発達した足腰を使う、つまり歩く、走
るという動作をメインに行って、その次には腕や肩などを良く動かすという
方法です。
森信三さんという、国民教育の師父と呼ばれる偉大な方が昔教育界にいま
した。寝る時は枕無しが健康に良いと仰ることだけはどうしても納得できま
せんが、座っている時の姿勢に関して、腰を起して背筋を伸ばすことを提唱
されていました。腰の骨を前方に押し出す動作なのですが、それをすると自
然に背筋が伸びて姿勢が良くなります。姿勢が良くなると腰の負担が軽くな
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って楽になります。
何とか引っ込めていますが、私のような特殊な腰痛持ちにとっては、腰を
立てて背筋を伸ばした姿が一番楽なので、ついつい自然とそういう姿勢にな
り、その正しさが良く分かります。人から姿勢が良いと言われることがあり
ますが、実はそうしているのが一番楽だからです。弱くなってしまったがゆ
えにセンサーになってくれているのは膝だけではなくて腰も同じです。座り
続けたり、動かずに立ち続けたり、
姿勢が悪いとすぐに腰が痛くなりますが、
姿勢が良いとより長い時間姿勢を保つことができます。良い姿勢が一番楽で
あることを腰が教えてくれています。
センサーと言えば、私の左手の中指の先もセンサーになっています。やは
りオートバイ事故で転倒した時にオートバイのハンドルと路面の間に挟んで
しまい、関節をつぶしてしまいました。指の肉を多少失ってしまったので、
第一関節はもう一生曲がらずに長さが短くなってしまいました。肉を失った
指の先の方はいつまでたっても皮が薄くて敏感です。物を触ると汚れがすぐ
に分かります。わりと几帳面な人が乗っている車のハンドルが汚れているよ
うな時に、たまたまその車を運転させてもらい、ハンドルの汚れに気が付き
ます。相手はちゃんと掃除をしているので、
「いや、汚れているはずはない」
と言います。そこでウェットティッシュなどでひと拭きすると、ウェットテ
ィッシュにうっすらと茶色く汚れがつくのです。
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なぜ座っているという動作は身体に良くないのか
人間の身体は重くて大切な頭を支えるためにアーチ状の土ふまず、足首、
膝、腰、そして長い 120 センチの背骨といくつものクッションで支えていま
すが、座った状態だとそれが背骨だけになってしまいます。背骨はS字を描
いた高機能なクッションですが、歩いている時と比べれば、座るとかなりク
ッションの数が減ります。何十万年、何百万年もの長い間、食べ物を捜し求
めて立って動いている時のために、重い頭を支えるようにできあがった身体。
座った姿勢を長く続ければ腰に支障が出てもおかしくありません。腰に優し
く作られた椅子というのが数多くありますが、それらがどんなに頑張っても
この事実を覆すことは出来ません。だから長い時間座り続けることをなるべ
く避けて頻繁に歩くことが必要です。そして、立っているだけでは不十分で
す。せっかくたくさんあるクッションも、動かなければその機能が働きませ
ん。人間の身体の多くのクッションは、歩いた時、動いた時に初めて機能し
ます。どんなにすぐれたクッションの椅子でも、上下移動せずに静止したま
まだと、背骨にかかる頭の負荷は常に同じです。自転車に乗る時も、座って
こぐよりも立ちこぎした方が身体のために良いのです。
毎日正しい運動をする、例えば歩く、ウォーキングをする、ラジオ体操を
する、というのは身体に良いのではなくて、本来必要不可欠なものです。ド
イツ語には、
“Wer rastet, der rostet”という言葉があります。
「休む者は錆び
る」という意味になりますが、そのことを本当に良く言い表しています。鳥
は飛ぶために、手・羽が発達していて、足腰が痩せ衰えているので長い距離
を歩けない代わりに空を飛べます。魚は泳ぐために流線型をして、いろいろ
な鰭がありますが、陸に上がれません。モグラは土の中で穴を掘って進みや
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すいように手の力と爪が強いですが、その代わりに必要のない眼が衰えてし
まっています。鳥を長い間鳥かごで飼えば長い距離を飛べなくなるでしょう
し、それを何世代も続けていればその内に翼は退化してしまうのではないで
しょうか。
元ケンブリッジ大学教授、車椅子のホーキング博士は、アメリカの大統領
がまだクリントンさんだった頃、クリントンさんとそのおとりまきのVIP
の面々を前にして、
「人間は将来環境の変化についていけなくなって、自らの
身体に遺伝子工学を使わざるを得なくなるだろう」と言ったそうですが、そ
れが大きな環境の変化についていけない身体を変えざるを得ないためならま
だ分かりますが、文明の利器のせいで退化してしまう身体を救うためでない
ことを願っています。
歩くために身体が出来上がっているのだから、身体を健康に保ちたければ
毎日頻繁に歩き、腕を頻繁に動かせば良いわけです。どのくらい歩けば良い
のかは自分の身体が教えてくれます。どのくらい休めば良いのかも教えてく
れますが、前者の方は腰痛などの痛みとなって出るので時間もかかってリカ
バリーが大変ですが、毎日歩いての歩き過ぎにはすぐに身体からサインが出
て来ます。最初は無理をせずに週に1回でも2回でも、距離は1km でも2
km でも良いと思います。大きな個人差があるので一概には言えませんが、
徐々に回数と距離を増やしてゆき、毎日最低5km 前後は歩きたいです。回
数や距離数が多くなり過ぎると、
疲労や筋肉痛でサインを出してくれるので、
その時は距離や回数を押さえます。肩や腕のためには、週に2回は泳ぎに行
くか、あるいは毎日数回ラジオ体操をするくらいが必要だと思います。
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ラジオ体操は長い年月の間に数々の改善などもあって、人間の身体のため
にかなり考え尽くされた究極の運動だそうです。元々はアメリカから来たそ
うで、国が奨励して全国に広まりました。ラジオ体操は、毎朝行うと統計上
病欠が減ることが知られており、多くの企業で採用されている、効果が証明
された運動です。YouTube などの動画で、第1も第2もすぐに出てきますの
で、両方を毎日行うことをお勧めいたします。できれば朝と午後の2回くら
い行えば、腰痛や四十肩等にかなりの違いが出ると思います。
人間の身体は面白いもので、最初はわずかな回数、わずかな時間の運動で
疲労や筋肉痛のサインが出てきますが、続けていると少しずつ身体が慣れて
いくとともに、回数も時間も伸びてきます。そうなったらしめたものです。
身体が強くなってきている証拠です。強くなってくると、しばらく立ちっ放
しでも疲れません。立っていてすぐに疲れて座りたくなる人は要注意です。
運動を始めて一番良くないのは、ついつい頑張り過ぎてしまうことです。
そうすると身体に負担がかかり過ぎて飽きや三日坊主にもつながります。マ
イペースかあるいはそれよりもさらに少な目ぐらいで毎回やめておくと次が
楽しみになって続けやすくなります。
動かすべき身体を動かさなければ動かなくなってきたり、使い過ぎればつ
ったり腫れたりと、身体がいろいろなサインを出してくるので、気をつけて
それに耳を傾けることが大事ではないでしょうか。運動をしなければ体がな
まり、運動をし過ぎれば疲れるので、身体が出すサインに素直に従って身体
を動かし続けてください。時間のない人にはウォーキングよりもジョギング
の方が良いということになってしまうかもしれませんが、ウォーキングの方
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もお勧めです。但し散歩のようにゆっくりと歩くのではなく、なるべく大ま
たで速く歩きます。それによって身体もよく温まり、血液の循環も良くなる
からです。血液の循環を良くする、汗をかいて身体の中の水分を循環させる
ということが大事なことではないでしょうか。
程度にもよりますが、年老いた老人もなるべく歩くようにして身体を動か
し、何かに頼るということをできるだけ避けた方が良いと思います。どうし
ても何かに頼らないと歩けない人は頼るしかありませんが、人間は怠けがち
な生き物です。だからこそ便利な機器が色々と登場しました。頼るものがあ
るとついつい頼り過ぎてしまいます。なるべく他に頼らずに自分自身のみに
頼る方が本当は良いのです。
どんなに歳を取っても元気なお年寄りたちの意見によると、回りの同年代
の人たちが弱っていく過程では、歩かなくなって足腰が弱くなると身体全体
に元気がなくなるそうです。特に車椅子になると極端に元気がなくなるそう
です。自転車、自動車から始まって今日ではセグウェイなどという、歩く動
作を奪ってしまう機器が続々と出てきています。日本の車のメーカーまでそ
の手の機器を開発しています。表向きは歩けない人を助けるのかも知れませ
んが、人間から歩く動作を奪って退化を招いていないでしょうか。それらこ
そが不健康を生んでいる元凶です。
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宇宙では寝返りは不要。寝ている時に身体に一番良い姿勢
食事、運動と同じくらい大切なことがあります。私たちが人生のおよそ3
分の1の時間を費やしていること、そう、睡眠です。長い一生の間でそれだ
けの時間を費やすのですから、睡眠が大事なものであることはすぐに分かり
ます。
寝違えたりすると、数日もの間身体が痛くなるのも睡眠中の姿勢からきま
す。それだけ大事な睡眠と睡眠の時の姿勢。人間の背骨は重い頭を支えるた
めにそうなったのであろうと考えられているゆるいカーブを描いています。
仰向けになって寝た時、特に腰の辺りでそのカーブの一番小さくてきついも
のが上に向かって反っています。
そしてその上には内臓が乗っかっています。
内臓というのは結構重量がありますが、仰向けで寝た場合には、その重い内
臓が上向きに反ったそのカーブを下に押すことになります。つまりもし長い
時間仰向けで寝続けていると、その腰の自然のカーブが無理に下に押し伸ば
され続けることになるのです。これが腰痛の原因の一つとなっていることが
考えられます。子供の頃は、まだ身体が柔らかいのであまり問題なく、若い
うちも大丈夫だとしても、年齢を重ねていくとどうでしょうか。
それに対して横向に寝た時は、背骨のカーブは身体の前後方向でくねって
いるので一直線にまっすぐになります。さらには右に向いても左に向いても
背骨の上には重いものが何もありません。そこで横向に寝るのが健康に良い
と思われるのです。医療関係の人たちの間では、横向き寝が健康に良いとい
う人と、仰向けが健康に良いという人に分かれます。ところが、実際に横向
きで長い時間寝るようになると身体が楽になってくることに気が付きます。
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地球にも重力があります。どんな姿勢で寝ても身体の一番下の部分が押さ
れて不快になってきます。下側の部分の血液や神経などが体重と重力で押さ
れるからです。そこでどうしても寝返りが必要となってきます。つまり寝返
りは重力のない宇宙空間では不要な動作です。いびきも勿論宇宙では出ませ
ん。
横向きで寝ると肩に良くないといわれますが、それにはマットと枕も関係
してきますし、適切な枕の高さがあれば肩の負担が極端に減ります。今まで
に一人だけ、夜寝入った時の姿勢と全く同じ姿でずっと寝続けて、朝そのま
ま目が覚めるという人に会ったことがあります。本人が寝返りを覚えておら
ずにたまたま同じ姿勢の時に目が覚めるのか、それとも本当に一晩中同じ姿
勢で寝ているのか、どちらなのか分かりませんが、後者であれば重力で必ず
身体に痛みが出てくるはずです。
小さな子供にせがまれて一晩一緒に寝ると、
寝場所が狭くなって寝返りが限られて、朝には身体が痛くなっています。一
番良いと思われるのは、右向きと左向きの交互の寝方だと思います。
ちなみにこの本の出版社の代表者は、寝入る時は必ず横向きに寝るのです
が、朝起きると仰向けになっているそうです。どうやら寝入ってすぐに仰向
けになってしまうらしく、また、寝入ると微動だにせず、長い時間同じ格好
で固まって寝続けるそうです。死んでしまったのではないかと家族が心配す
るほどだそうです。数度は寝返りを打つそうですが、回数がかなり少なくて
朝起きると身体がガチガチだそうです。
仰向けに寝る時は 100%仰向けになるのではなくて、少しだけ身体を斜め
に向ける、つまり仰向けと横向きの中間ですが、そうするだけでもだいぶ楽
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になります。つまりなるべく左右どちらかの横向きを交互で一番長い時間過
ごし、それでも足りない場合は仰向きで寝るものの、なるべくその時間を短
くするようにして、さらには少し斜めにすると良いと思います。寝る姿勢も、
歩くのと同じように努力が必要です。
さて、その横向きの場合に問題となってくるのが枕の高さですが、人間の
身体のつくりから、仰向けに寝た時の枕の高さと横向きに寝た時の枕の高さ
を考えた場合に、枕の高さが同じで良いわけがありません。普通の人が仰向
けに寝た時に枕がないとシックリしないのは、後頭部の位置と、背中の表面
の位置、お尻の出っ張った部分が一直線上にないからです。後頭部の下に枕
が入ってちょうど一直線になりますが、それが枕が心地良い理由です。しか
し、横向きに寝た時の肩の線と側頭部、つまり耳の線の高さのずれはどんな
人でも普通 10 センチ前後もあります。したがって、身体にとって最適な状
態を保とうとすれば、横向きに寝ている時は 10cm ほどの高さの枕が必要に
なり、仰向けの時には数センチの低い枕が必要になります。
仰向けに適した最も一般的な枕で横向きに寝た時の姿をよく観察してみる
と、肩がものすごく押しつぶされて、さらに頭が下にたれるように曲がって
いるのが分かります。人間の首は、司令塔である頭と、さまざまな動きを生
み出す身体をつないでいて細くなっています。そして司令塔の頭が前後左右
回転という、かなり自由な動きができるように多くの腱と筋肉が入り乱れて
いる部分でもあり、背骨の一番上の部分や、食道や気管までも通り、さらに
は動脈、静脈、神経などが通っている部分です。まっすぐな通路が曲がれば
中を通るものの行き来は悪くなります。循環の滞りにはいいことはありませ
ん。仰向けは腰に良くないですが、適正な頭の高さを保てない横向きも良く
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ないわけです。ですから枕をうまく使って横向きの時の頭の高さと仰向けの
時の高さをうまく調整することが大事だといえます。
エジプト時代から残る記録の中に、当時の人たちが枕にこだわっていたら
しい記録が残っているそうですから、枕に関しては数千年もの長い間のテー
マであるようです。ちなみに私たち夫婦は特殊な枕で寝ています。横向きの
時には高さが高くなり、仰向けの時には自動的に低くなります。ばねの力を
利用しています。慣れるのに少し時間がかかりますが、慣れたらもう手放せ
ません。他の枕では眠れなくなってしまいます。旅行先・出張先にも持って
行きたいくらいです。インターネットで、
「安眠オートマチックピローZ」で
見つけられます。
寝たいのに眠れないという人はどうしたらいいでしょうか。寝たいのに眠
れないということは、自分が寝たいと思っているにもかかわらず、身体が寝
させてくれないということになると思います。つまり身体は求めていません。
頭、気持ちが求めているだけです。だとしたら身体が求める以上に寝なけれ
ば良いのではないでしょうか。身体が求めてもいないのに、気持ちだけで寝
ようとするから悩みとなるのではないでしょうか。寝不足かそうでないかを、
頭、気持ちで判断するか、身体で判断するか。実際には十分な睡眠を取って
いて、頭と気持ちが寝不足と勘違いしているだけかも知れません。でも実際
に寝不足と思われて、あくびばかりをしている人はどうしたらいいでしょう
か。それには身体を使うことをお勧めします。頭を使って疲れると、逆に目
が冴えがちですが、身体を使って疲れると、バタンキューと良く寝れます。
眠りに関しては身体の方が正直なようです。でも疲れている時などは、眠れ
なくても横になっているだけでかなり身体が休まります。
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横になると心臓と頭部の高さがほぼ同じになるため、血流が頭部に行きや
すくなります。少し意識すると自分でもそれがよく感じとれます。これに対
して座った姿勢、立っている姿勢では、頭部は心臓より 20cm 以上上に位置
するため、重力に逆らって血液を運ばなくてはなりません。首や肩がこって
いるような状況では、なおさら脳に血液を運びにくくなります。
試しに壁に向かって逆立ちをして1分ほどそのまま頑張ってみてください。
慣れない人は、頭にどんどん血液が入ってきて顔が痛くなるのではないでし
ょうか。コウモリは逆さまで寝るくらいですから、辛くないのかと思ってし
まいますが、人間も逆立ちに慣れると数分間ならまったく平気になります。
逆立ちのあとは頭が少しスッキリすることと思います。
ところで脳が消費する酸素の量は膨大です。脳には全身からの神経がつな
がっており、すべての感覚、運動を司るのですからそれもそのはずです。で
すから脳に十分な酸素を供給することは大変重要なことであることは明らか
です。
体を横にすると、全身が心臓と同じ高さになるので、下半身に多く上半身
に少なくなりがちな血液をバランスよく全身に行き渡らせることができ、特
に普段よりも頭部に十分な血流が行くので疲れた体が回復するのではないで
しょうか。その意味でも睡眠というのは体を横にしてこそ効果があるのは言
うまでもありません。ソファでのうたた寝、机に突っ伏してのうたた寝は避
けたいものです。
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医学といえば予防
北里柴三郎さんという、1901 年にノーベル医学賞の候補にもなった細菌
学の医学者をご存知でしょうか。ベルリンに留学し、ロベルト・コッホに師
事し、破傷風菌の培養と血清療法を発見して医学の歴史を変え、北里研究所、
北里大学、慶応の医学部を創り、従二位・勲一等旭日大綬章を受けて男爵に
までなったお医者さんです。その北里さんが、
「医者の使命は病気を予防する
ことにある」
、
「医の真の目的は大衆に健康を保たせ、国を豊かに発展させる
ことにある。ところが医者という地位について勉強せず、自分の生計を目あ
てに病気を治すことで満足する者がいる。今から医学に入る者は大いに奮発
勉励し、この悪弊を捨て医道の真意を理解しなければいけない」と仰ってい
たそうです。予防というとても大切なことを仰っています。
病気を治してくれる医学とは、
一体どのくらい頼れるものなのでしょうか。
プラシーボ効果というのを聞いたことがあるでしょうか。例えば風邪をひい
た患者さんに、風邪薬だと偽り、薬でも何でもないもの、例えば小麦粉など
を入れたカプセルを飲んでもらい、風邪が治ってしまうケースがそれです。
自己暗示のようなものであるわけですが、新しい薬が開発された時などに、
認可を得るための治験でプラシーボがテストされます。医学の歴史がこのプ
ラシーボ効果の歴史であるとよく言われますが、実際に過去の医学を見てみ
るとそれを否定できないものがありました。
200 年前頃、フランスでは病気に対してヒルに血を吸わせるのが効くとい
うことで、1827 年のわずか1年間で、3千3百万匹のヒルを輸入した事実
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が残っているそうです。瀉血(しゃけつ)という、血を抜いて病気を治す治
療方法もありましたし、一角獣の角(例えばサイ)、動物の胃石、マンダラゲ、
ミイラの粉…等は、当時の医師達に経験的な特効薬として是認されていたそ
うです。日本でもその昔、男性の刑死体の肝臓の塩干しが、梅毒、ハンセン
氏病、結核などの万能薬と誤解され、
「脳味噌の黒焼き」や「人油」よりも高
値で売られていた(1870 年に販売禁止)そうです。
これらの話を聞いて、そんな迷信を信じるなんて昔の人はなんてバカだっ
たんだと笑うことなかれ。信じるものは救われる。これらの療法もまったく
効果がなかったのであれば、一時的にせよ広まることはなかったはずと考え
られます。つまり、治ってしまった人がゼロではなかった、確かに治った例
があったのでしょう。それは偶然かもしれません。しかし、
「病は気から」と
昔から言うように、プラシーボ効果によって治ってしまった人も少なからず
いたのではないでしょうか。プラシーボ効果の臨床実験も数多く行われてお
り、
ときには 50%以上の割合で症状の改善が見られることもあるほどです。
このように医学の歴史とは、その時の常識が後に迷信となってしまうとい
う、まるで常識と迷信の入れ替わりの歴史、プラシーボ効果の歴史であると
いうわけです。現在の医学は、内臓や心臓さえも移植してしまい、遺伝子も
組み替えてしまうほど高度なものになってきています。ですがそれでもまだ
まだ人間の身体のことについては分かっていないことだらけです。そして患
者は増え続けて国の医療費も上がりっぱなしです。北里さんがたしなめた、
自分の生計を目当てに患者からの収入を頼りにするけしからん医者たちもそ
れが理由かもしれません。
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ところが医者や誰かのせいにしていても何も解決にはなりません。それよ
りも患者となる私たち一人ひとりがもっと予防に心がけるべきではないでし
ょうか。私たち自身の健康なのですから。食べるべきものを食べて、動かす
べき身体を動かせば、かなりの病気を予防できます。現代人の多くはそれを
せずに医者と薬に頼り過ぎているのではないでしょうか。
病気は医者や薬が治すのではありません。
自分の身体が治してくれます。
医者や薬はそのお手伝いをするだけです。
それなのに不自然な化学系の薬を飲み続ければ身体がおかしくならない方
が不思議です。
「夕張モデル」をご存知でしょうか? あの夕張メロンで有名な夕張市は
2007 年に財政破綻し、市立病院も救急病院も消えてしまったのです。171
あった病床は 19 に激減。小さな診療所が1つだけ。医療崩壊。しかも夕張
市は高齢化率 45%と全国平均を大きく上回る超高齢社会。どんなに悲惨なこ
とになるかと危惧されました。
ところが、結果はまったく正反対となったのです。救急車の搬送回数、医
療費、そして死亡率まですべて下がりました。これは一体なぜなのでしょう
か?
医者や薬に頼れない以上は、自分で病気をしないようにと意識が高まり、
自然に多くの病気を予防できるようになったからではないでしょうか。この
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例を見ても、いかに普段我々が医者や病院に頼りすぎているかということが
良く分かります。
夕張モデルについて、詳しくは以下のリンク先をご覧下さい。
http://youtu.be/DYb8yr1r72w または YouTube で「病院が少なくなった
ら死亡率が低下した夕張市」と検索すると一番上に出てきます。
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なぜ男性よりも女性の方が寿命が長いのか
女性の平均寿命は男性よりも明らかに長くなっています。それには色々な
理由が考えられます。例えば身体のつくりなど生理学的なことや、多くの男
性には扶養義務があることなどが挙げられるかもしれませんが、私が思うに
は、女性の方が長生きする原因が普段の生活にあるのではないでしょうか。
どういうことかと言うと、一般的に女性は子供を生んで家事を行います。
朝から晩まで家族のことで頭も身体もフル回転です。勿論男性も仕事で頭は
フル回転かもしれませんが、身体の使い方の方はそうでもありません。営業
で外に出れば歩きますが、身体全体を使うことはありません。両腕が肩の高
さ以上に上がることもありません。それが四十肩、五十肩につながるのでは
ないでしょうか。
そしてもし事務職ならば、
一日中椅子に座りっぱなしです。
足腰を「使う」
、
「歩く」ということが極端に少なくなります。
それに比べて主婦が毎日行う家事での身体の動かし方ははるかに多彩です。
昔と比べ、現代では世の中をとても便利にしてくれた家電に頼るとは言うも
のの、それでもまだ育児、炊事、掃除、洗濯、洗濯物干しなどで相当身体を
動かします。ちょっと大げさに言えば、まるで一日中ラジオ体操をやり続け
ているようなものではないでしょうか。男性の場合なら、ごく一部の人が週
末にフィットネスセンターなどに通って初めて可能になるような身体の動き
を、主婦の仕事は全てカバーしているように思います。
そして男性は、
年をとって定年退職をするとますます何もしなくなります。
頭まで使わなくなります。一方女性はと言うと、相変わらずに家事を続けて
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います。廃用症候群という言葉があります。使わないものは衰えるという当
たり前の道理です。逆に、使えば維持できるわけです。毎日の生活で身体を
動かし続ける女性と長い仕事生活の中で身体を動かさなくなってしまい、年
とともにさらに動かなくなりがちな男性では、健康と寿命に差が出るのも当
たり前のように思えます。健康の秘訣のひとつは、身体を動かすことです。
人類の進化の過程で身体がそのように出来上がっているのです。
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進化と男女の脳のちがい
進化と健康が密接に結びついているということを思いつた頃、偶然うちの
家内が運転する車の助手席に乗る機会がありました。不思議なことに彼女は
何度同じところに行っても道を覚えません。男は比較的地理に強いものの人
の話を聞かず、女は比較的に地理に弱い代わりにおしゃべりが得意です。こ
こでまたまた進化との関連性が頭に浮かびました。
進化とは遺伝子の変遷の歴史、環境適応の歴史の証拠です。私たち生命を
司っているのは遺伝子。そう考えると、健康にしても人間の性格や思考にし
ても、あらゆることが進化と密接に関係していると考えてもあながち間違い
ではないかと思います。
さて、地理に暗いがおしゃべりが得意な女、地理に明るいが話を聞かない
男になってしまった謎解きを進化の観点から考えてみましょう。その昔、人
間がまだ火を使えずに毛皮などを羽織っていたと考えられる頃、男は家族の
ために食料を探しに外に出かけました。食料が見つかるまでは帰れません。
それは数日間、あるいはそれ以上かかったかも知れません。そしていざ食料
を見つけたら、今度は家族の待つ所に帰らなければなりません。もし地理に
弱かったら、そこで永遠のお別れとなってしまいます。家族と再会できずに
天涯孤独となってしまうかどうかの真剣勝負。人の話しに耳を傾ける代わり
に、常に食料のことや帰りの道のことを考えていなければなりません。
一方、留守を守る女は、出かける必要が無いので地理に明るくなる必要は
ありません。でも残った家族を元気付けたり励ましたりしなければなりませ
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ん。父ちゃんの帰りを腹をすかせて泣く子ら。夜は狼の遠吠えが聞こえたり
と心細い中で、母は子らをなぐさめたり、勇気付けたり、気を紛らわせたり
もしたでしょう。退屈しのぎに色々なお話をしたかもしれません。そうして
会話が上手になったというわけです。良く言えば会話が上手、悪く言えば頼
みもしないのにペラペラと話し続ける能力です。
この仮説を思いついた時に、昔ヒットしたと聞いている、ある一冊の本の
題名を思い出しました。
「地図を読めない女 話を聞かない男」という本です。
せっかく思いついたなかなかの理屈でしたが、その本の題名を思い出して嫌
な予感がしました。その本にこのことが書かれているのではないかと思えた
からです。早速注文して取り寄せて読んでみると案の定、正にそのことが書
かれていました。多くの内容はとても興味深いもので、男女の違い自体が長
い人間の進化にもとづいているので、男はなるべく女の話を聞いてあげなく
てはならないなど、それを読んで実行すれば間違いなくカップルの仲が良く
なりそうです。
読んで実行する...
そうなんです。進化が示す健康法も、読んでも実行しなければ意味がないの
です。
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良い考え方
将来のことは神様にしか分からない...
過去のことは神様でさえどうにもならない...
本書の表紙にも書かれている健康三原則、
「良い食事」
、
「良い運動」
、
「良い考え方」
。
その中でも最も大事なことが、これから述べる「良い考え方」です。最悪の
場合、他の2つができなくても、これさえしっかりしていれば大丈夫かも知
れません。
まずは次の表現を見てください。
気が狂う、気がふれる、気を悪くする、病は気から、気を失う、気の毒、気
が重い、気が気でない、気をもむ、気が沈む、気に障る、気が抜ける、気が
落ち込む、気がそがれる、気に食わない、気が知れない、気が散る、気が遠
くなる、気を吐く、気を取られる、気が乗らない、気が進まない、気が短い、
気にかかる、気が緩む、気が遠くなる、気が立つ、気兼ねする、気が散る、
気が小さい、気が早い、気が急ぐ、気になる、気を遣う、気にとめる、気が
変わる、気がはやる、死んだ気になる、気になる、気が合う、気がある、気
が多い、気が大きい、気が置けない、気が済む、気が長い、気が早い、気が
張る、気が晴れる、気がある、気に入る、気に留める、気を砕く、気を紛ら
す、気を許す、気が若い、気を楽にする、気を確かに持つ、気が利く、気が
回る、気の持ちよう、気がつく、気を良くする、気を配る、気を入れる、士
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気、狂気、殺気、邪気、強気、弱気、気配、気持ち、気合、意気、病気、元
気.
.
.
「気」 を使う表現って、どうしてこんなに多いのでしょうか...
しかも、元気も病気も「気」が入っています。まさに「病は気から」という
ことを「病気」という言葉自体が物語っています。
何かに夢中になっていると、嫌なことや痛いことも忘れてしまいます。落ち
込んで思い悩めば思い悩むほどつらくなります。でも明るく振舞えば気も楽
になります。
「気」 の持ちようで人生がばら色にも灰色にもなります。いか
にストレスなく過ごせるか。
考え方、気の持ちようは、人生に最も大きな影響をおよぼします。
「良い考
え方」は健康三原則の中でも最も大切で、影響力が一番強いものです。気の
持ちようで病気も治ってしまいます。
同じ人生、思い悩んでも、気楽に考えても、結局は同じです。思い悩んだか
らといって、結果が良くなることはありません。むしろその逆です。だとし
たら気楽に構えて楽になった方が良くないでしょうか。
思い悩んで暗くなり、一番損をするのは自分です。そして周りにまで心配や
迷惑をかけます。大事なポイントはポジティブシンキングです。
テレビの番組で、100 歳を越えてもピンピンした方々が、毎回ひとりずつ
登場してインタビューを受けるというものがありました。登場する 100 歳以
100
上の方々からアンケートを取ると、その答えに共通点が見られるそうです。
皆さん例外なく明るくて前向き、後悔をしないそうです。そして何か良くな
い結果が出た時の責任を外に求めません。
天気が悪いから、景気が悪いから、
嫁が悪いから...等。自分以外の何ものかに責任をなすり付けずに、起こった
ことを素直に受け止められるようです。
そこで一度よく考えてみてください。例えば何か困った問題が発生したと
します。仕事で大失敗をしてしまった、友人と口論になった...
「あのとき、ああしておけばよかった...」
残念ながら、私たちはタイムマシンで過去にさかのぼって問題が起こる前の
ことを変更することはできません。また、先の心配もしてしまいます。
「仕事をクビになるのでは...」
「あの人から嫌われるのでは...」
これもタイムマシンがない以上、どうにもなりません。
過去のこと、未来のことの両方は、実はどうにもならないことであること
に気が付きます。それにもかかわらず、私たちは過去と未来のことでついつ
い悩んでしまいます。
これから起こることは神様にしか分かりません。計画を立ててコツコツと
101
事を進めたり、打つべき手を打っておくことは勿論大事なことです。しかし、
結果がどうなるかは神様だけにしか分からないのです。ポジティブシンキン
グでいい結果が出ることを想像するのもいいでしょうが、その場合もし違っ
た結果になると落胆度が大きくなる可能性もあるので、どんな結果が出るか
を考えないのが一番良いのです。悪い結果が出るかもしれないと思い悩むの
が一番良くありません。それでは落ちる可能性のある飛行機には乗れなくな
ってしまいます。飛行機に乗っている時に、落ちたらどうしようかとずっと
考え続けているのが良いことなのでしょうか。
そうはいってもケースバイケースでつい先のことを考えてしまうのは、誰
でも当然のことかもしれません。でもそういう時、そんなことを考えている
自分に気が付いたらすぐに何か別なことに考えをスイッチしてそれに集中し
てみるのです。もし何か嫌なことがあった時、例えば何か嫌な思いをさせら
れた相手に対して不満が発生します。そういう時は相手から謝りの気持ちを
求めてしまいがちですが、本当はただ単になるべく早く忘れてしまうのが一
番なのです。相手の理解を得ることなど到底無理と最初からあきらめて、そ
のことに関わる時間を一刻も早くなくした方がはるかに良いのです。合意が
みられないからこそ問題が発生します。こだわると、そのことについてつい
つい考えてしまい、暗い気持ちになり、貴重な時間を失い、損をするのは自
分です。
すでに起こってしまったことですが、これもどうにもなりません。歴史に、
“if”という言葉は意味のないことだとはよく言われますが、こればかりは神様
でさえもどうにもなりません。過去は神様でも変えられないのです。だとし
たら、過去のことについても、どうこう考えても意味がないことです。反省
102
の材料にして、将来似たケースが出た時に反省を生かしましょう。それでお
しまいです。どういう結果が出てくるかの想像と同じように、なるべくその
ことを考えずに少しでも早く忘れるのが一番です。
反省は良いのですが、後悔は良くありません。何か思い通りの結果が出な
くても、それをいつまでも悔やんで後悔しても、一番損をするのは自分自身
です。さらにはそのことで周りにも心配と迷惑がかかります。これほど無意
味なことはありません。さらに良くないのはその責任を外に求めてしまうこ
とです。これは自分の人生を投げ出して他人任せにするようなものです。
過去、現在、未来の内、過去は神様でもどうにもなりません。
そして未来は神様にしか分かりません。
ではたった一つだけ残った、自分にもどうにかなるのは何でしょうか。
そうです。今現在だけなのです。
つまり今現在のことを精一杯考えて行動するのが一番良いのです。ポジテ
ィブシンキングも現在のことと、過去のことに対してだけです。神様にしか
分からない将来のことや、神様でもどうにもならない過去のことを、我々の
ようなちっぽけな人間がいくら考えても意味がありません。
過去について究極して言うと、何か悪い結果が出てしまった時などに、そ
の責任を全て自分に求めてみると、全てが丸く収まり楽になります。人との
イザコザも出ません。ことが思った通りに進まなかった時、それを全て自分
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のいたらなさのせいにしてみてください。
「クソ~!」と腹が立った時に、
「で
は誰が悪いの?」と心の中で聞いてみてください。そうすると、「自分が悪
い...」という答えが出てくるはずです。第一、腹を立てて損をするのは自分
自身です。
今、自分がしようとしていることが良いことなのか、悪いことなのかの判
断が難しい場合に、それをやさしく判断できるようにする方法があります。
その行為をその方向で何倍にも膨らませてみればよいのです。例えばタバコ
の吸殻のポイ捨てです。一見すると、
「自分ひとりがここでタバコの吸殻をた
ったひとつ捨てても大丈夫...」というケースの場合、ではそれが 10 本だっ
たらどうか、100 本だったらどうなるか、と考えてみるのです。あるいは、
灰皿にたまったタバコの吸殻を道に捨てられるかどうか。そのように考えれ
ば答えは簡単に出てきます。
地球上に生きているのは自分ひとりだけはないので、それを増幅してみれ
ばよいのです。1人1円ずつ集めると、地球人全員から集めれば 70 億円で
す。毎日ひとりひとつのゴミを拾う行動が伴えば、それだけで地球はかなり
きれいになります。
104
ものは考え方次第。全ての人のものさしは違う。
あらゆることは全て見方次第、考え方次第です。人はみなそれぞれが違っ
た物差しを持っています。だからこそイザコザも起こります。出た結果を良
いと思うのも自分。まあまあと評価するのも自分。そして悪いと判断するの
も自分です。
物の色というのは、そのもの自体の色ではなく、そこに当たる光によって
始めて色が表されます。同じ物を見ても、昼間見る色と、夕方、夜見るので
は色が違います。サングラスをかければさらに違う色になり、光がなければ
色も何もありません。考え方も同じように、人それぞれで違いますし、見方
でも全く変ってしまいます。結局は自分自身でいろいろと変えることができ
るのです。出た結果をポジティブにみて明るくなるのか、ネガティブにみて
暗くなってしまうのか。
お日様が出ると良い天気、そして雨が降ると悪い天気と普通はいいますが、
本当にそうでしょうか。植物にとっては大事な雨も良い天気です。植物なし
の地球はあり得ませんから、そういう意味では人間にとっても雨は、本当は
良い天気ではないでしょうか。
自分の物差しで物事を計る、つまり物事をどうとらえるかは、自分が勝手
に決めることです。何かをしようとする時に、それをできるか、できないか
と決めるのも自分です。
105
「こんなのできない、無理だ.
.
.
」と思ったとします。ところが実際はできる
可能性があります。たいていは、自分で勝手にそう思って壁を作ってしまっ
ているだけなのです。
私たちよりもはるかに頭の良い過去の数多くの聖人、偉人たちも、自分が
思い描くこと、思い続けること、言い続けることが、実現につながると断言
しています。だから何かを達成したい時は、できないと思って自分で勝手に
目の前に乗り越えられない、幻の壁を作るのではなく、計画を立てたら過去
と未来を考えずに一日一日に集中して進んでいくことが大切です。
お釈迦様も、
「色をつけるの『つまりどう評価するか』は自分自身である」
といわれたそうです。出た結果を悪く取らずに素直に受け止める。そして必
要ならそれを将来に役立てる。悩みとは、くだらない自分の欲があるから現
れるものですから、欲をなくせば悩みもなくなるという訳です。身長が低い
とか、あるいは逆に大き過ぎるとか、頭髪が薄いとか、美人でないとか、何
か欠点があるとか、いろいろとありますが、変えられないものはどうにもな
りません。身長を高く見せようとか、低く見せようとか、フサフサな頭髪が
欲しいとか、
美人になりたいとか、
変えられないものについて思い悩んだり、
あの人はこうした方が良いとか、人のことのお世話など意味のないことは考
えずに、現実を素直に受けとめて自分の無駄な欲をなくせば、つまりそれら
に不満を持たなければ、悩みもなくなるわけです。それらは元々変えること
ができません。変えることができないことを変えたいと望む欲は意味があり
ません。意味のない欲で悩むのも、これまた意味がありません。だとしたら
最初から欲せず悩まず、です。
106
お釈迦様は、約束はしなければしないほど良いというようなことも言った
そうです。約束というのは将来のこと。将来は何が起こるかわかりません。
つまり約束をすればするほど縛られてしまうことになります。約束は果たせ
て初めて 100 点満点ですが、それで当たり前です。どんなに頑張っても最高
点で、しかもそれで普通。ところがそれができないと嘘つきになってしまい
ます。何が起こるか分からない将来の出来事に対して、今の時点で決めてし
まえば守れない可能性が出てくるのは当然のことです。さすがお釈迦様です
が、約束や有言にはそういった理由で本当はかなり高いリスクがついてまわ
るのです。有言実行は良いことですが、無言実行は楽です。ところが有言不
実行は単なる嘘つきになってしまいます。誰でもついついその場、その場の
格好を良くするために、自分のできる最大限のことを言ってしまいます。だ
から約束をしなければいけない時は、
精一杯余裕を持たせることが大切です。
あるいは約束をしないのが一番です。安請け合いは、自分の信用を落として
しまうリスクなのです。リスク大です。最小限くらいを言った方が良いので
す。
例えば、人との待ち合わせに向かっていてどうしても遅れてしまうとしま
す。遅れを伝える連絡で、余裕を持たせた時間を伝えるということはなかな
かできません。あと 20 分くらいで着ける所へ行く場合、人が待っているか
ら長く待たせる印象を与えてしまっては悪いと思って、良くて 20 分、へた
をするとついつい「あと 15 分くらい」とか言ってしまわないでしょうか。
そこで 30 分と言える人はめったにいないと思いますが、30 分と言っておい
て 20 分で着ければ好印象を与えられます。20 分で行ける所に 20 分で到着
できるのは、数多くある可能性のうちのベスト、最高点の時のみです。ワー
ストである、行くことができないとの間には、20 分、25 分、30 分、40 分...
107
等、いろいろな可能性がありますが、20 分が一番難しいのにもかかわらず、
15 分などと言ってしまうのです。
同じように、やりもしないこと、できもしないことをやる、できると、つ
いつい口に出してしまいます。安請け合いです。話しをしている時点では簡
単に思えてしまい、しないこと、できないことをついつい「する」
、「やる」
と口に出し、その場では良い印象を与えられますが、あとで実行しなければ
ただの嘘つきです。約束をしたわけではないという言い訳があるかもしれま
せん。でも言ったことをやらないのは嘘つき以外の何でもありません。そう
いうことが続くと自分の信用を落としてしまいます。
もうひとつお釈迦様の教えがあります。人にバカにされたり侮辱された時
はどうしたら良いでしょうか。もしそれが本当なら相手の言っていることが
正しいことになります。
「そうだね、その通りだね」と甘んじて受ければ良い
のです。では違っている場合はどうでしょうか。違っているのだから相手に
せず、気にしなければいいわけです。つまり、どちらにしても放っておけば
良いわけです。そうすれば相手も自然に矛先を納めます。
108
自分で作ってしまう壁
スポーツの世界では「意識の壁」の実例がたくさんあります。
昔は 100mを 10 秒より早く走ることは絶対に不可能である、と思われてい
ました。人類にとって絶対に越えられない壁、と思われていたのです。
ところが今やどうでしょうか?
1912 年の世界記録は 10 秒 6 でした。1960 年代までは手動計測されてい
ましたが、初めて正確な電動計測が導入された 1968 年のメキシコオリンピ
ックで、アメリカ合衆国のジム・ハインズ選手が 9 秒 95 の世界新記録で優
勝しました。それから2人目の 9 秒台が出るまでは 9 年かかっています。こ
の2つの記録はいずれも好記録が生まれやすい標高が高い場所で記録された
ので「高地記録」とされています。そのため、まだ「まぐれ」
「運が良かった」
という意識が一般的だったのかもしれません。
しかし、さらに 7 年後、1983 年にカール・ルイスが平地で 10 秒の壁を
突破すると状況は一変します。1980 年代には 9 秒台を出す選手が続出する
ようになりました。1991 年の世界選手権決勝では 6 人もの選手が 9 秒台を
たたき出したのです。
いったん誰かが壁を破ると、他の人も次々と壁を越えてしまう。これはな
ぜでしょうか?実はよくある現象なのです。壁は自分の心が勝手につくって
いるもの。最初に 9 秒台で走った選手は、おそらく「9 秒台は不可能」とは
思っていなかったはずです。地球上の人類の誰もが「無理」
「不可能」と思っ
ていたことに対して「自分はできる」と思う人間がその壁を越えてしまうと、
109
「えっ?越えちゃったの?じゃあ、自分にもできるかも」と思う人が数多く
現れるようになります。つまり、自分で勝手につくりあげていた頭の中の壁
が一瞬にして崩れ去るのです。100m10 秒の壁はもはや存在しません。いい
え、現実には元々存在していなかったのです。人間が頭の中に勝手につくり
あげていた幻だったのです。今の世界記録はご存知、ウサイン・ボルト選手
の 9 秒 58 です。誰もここまで記録が更新されるとは思っていなかったでし
ょう。
「本当は存在しなかった 100m10 秒の壁」は、意識、考え方が変わること
によってできなかったものが本当にできるようになるということを如実に表
しています。
誰でもみんな、それぞれ自分の壁を持っています。一部の世界級アスリー
トなどを除けば、そのほとんどは、その壁を自分で作ってしまっているので
す。世界級アスリートのそれは、今を生きる人間の限界ギワにいるので、間
違いなく人間の壁となりますが、一般の人の壁の場合は、それとは全く違い
ます。何かに挑戦するかしないかの時、挑戦してもできなかった時に、でき
ない理由や言い訳は即座に、そしていくらでも出てきます。でもそうではな
くて、どうしたらできるかの理由を探した方がはるかに得なのです。
できない理由を出すのはかなり簡単ですが、その逆は簡単ではないのです。
人間は易きに流れる生き物なので、ついついできない理由を探してしまいま
す。
そうすれば努力も行動もしなくて済みます。重い腰を上げずに済みます。
しかし、どうしたらできるかを常に追い求める癖を付けると意外と「どうし
たらできるか」が見つかります。そうすればいくらでも出てくるできない理
110
由と同じように、
「どうしたらできるか」の理由もいくつでも出てくるように
なります。そうすると、そこにあったはずの壁はなくなってしまいます。
「人づきあいが得意でない.
.
.
」という人がいたとします。いったい本当に
そうでしょうか。それはただ単に自分で勘違いしているだけではないでしょ
うか。単に自分の前に、
「人付き合いが下手」という自分の壁を作ってしまっ
ているだけではないでしょうか。私も若い頃は自分のことを引っ込み自案で
話下手、人見知りで.
.
.とずっと思っていました。そして実際に赤面症でも
ありました。でも驚いたことに実際は違ったようです。単なる勘違い、自分
で作ってしまった壁だったのです。そしてそれがなくなって自然になると、
とても楽になります。身構えるとストレスもたまり、健康にも良くありませ
ん。何かの理由で人前に出ることを躊躇しているのなら、その欠点を逆にわ
ざとさらけ出してしまうのです。そうすると、何とまあ不思議、周りの人た
ちから愛着を持たれ、好かれるようになるのです。
自分が持っている引け目や欠点とは、自分が勝手にそう思い込んでいるだ
けで、周りの人にとってみれば意外と何とも思われていません。それどころ
か逆にかわいくて、愛すべき点となり得るのです。傲慢は別です。もし欠点
があると思われるのなら、その欠点を時々、
「あっ、わざとやってるな.
..」
と思われるくらいに出すのがちょうどいいのです。どんなに偉大な人でも、
弱点・欠点は必ずあります。どんな英雄でもパーフェクトな人はいません。
醜い点や醜い時は必ずあります。その逆もしかりで、どんなにダサい奴にも
かっこ良い一面が出ることもあり、どんなに嫌な奴にも良い一面が出る時が
あります。でももし欠点が見えないと、尊敬はされても好かれません。弱点・
欠点があるからこそ人は好かれます。万物に長短共にありで、短所だけのも
111
のはこの世に存在しません。それに長所はひっくり返せば短所になります。
短所はひっくりかえせば長所です。だからこそ神は好く対象ではなくて、敬
う対象です。
さて、本題に戻すと、人間の脳の不思議さをご存知でしょうか。
この動画をご覧下さい。
(https://www.youtube.com/watch?v=vujELzwcdpQ)
脳だけに限らず、肝臓は3分の2を切り取っても再生するなど、人間の身
体は実に不思議なものです。この脳のお話は、偶然に発見されたものです。
2人の子供を持ち、役所に勤める 40 歳代の普通のフランス人の頭部、脳み
その部分をたまたまCTスキャンで撮影した時に、脳みその存在がほとんど
認められないことが分かりました。動画中央を見ていただければ分かります
が(動画の1分:06 秒~1分 27 秒)、その道の専門家でなくても異常なこと
が分かります。臨床医学的には異常がないそうですが、脳科学的には考える
時にいったいどの脳みそを使うのかと思われるほど脳みそが半分以下しか見
えません。
別な例では、50 歳前後のトラックの運転手で、頭蓋骨の中の異常がCTス
キャンで偶然に見つかりました。この画像(右側)を普通の放射線科か神経科
の医者に見せれば、良くて深いこん睡状態か、あるいは死亡した人間の脳と
判断されるそうです。もうひとつの例は、最も新しくて世界的に有名な医学
雑誌に 2001 年に発表された、3歳の時に左脳を摘出された少女の脳(画像左
側)なのですが、特殊な炎症があったので、左側の脳を全て摘出するしか命を
112
救う方法が他になかったそうです。ご存知の通り、左脳は言語を司りますが、
7歳の時に調べられたこの少女は、車椅子の生活などをしているのではなく、
ほぼ正常に生活し、オランダ語とトルコ語のバイリンガルになっています。
似たような例は日本人でもあります。月刊誌「致知」の 2015 年 10 月号
の記事からですが、アメリカに住むご家族で、10 分おきに癲癇の発作が起き
る脳炎を患った幼女が、左右の脳の回線を切って、脳炎がある右の大脳を切
除する手術を日本で受けました。当然のごとく、手術後に左半身の機能が麻
痺しました。でもリハビリを頑張った結果、5年後には左脳が発達して、右
脳の機能を上手くカバーするようになり、歩いたり走ったりできるようにな
ったそうです。
「この子は本当に難病だったのだろうか?」と思わせるほどだ
そうですが、それだけではなくて、日本語と英語の立派なバイリンガルにな
っているそうです
あのアインシュタインでさえ、脳みそのわずか数パーセントしか使ってい
なかったと言われますが、これらの事実を見ると、人間は脳の本当にほんの
僅かな一部しか使っていないことがとても良く分かります。つまり逆を言え
ば、脳をもっと使えるのではないでしょうか。私たち人間はとてつもない潜
在能力を秘めていると言えそうです。
横になっているだけの基礎代謝で 60%も消費する人間のエネルギーです
が、成人の約 20%は脳みそが使っているそうです。例えば脳みその重さが約
1.5kg、体重が 70kg の成人の場合、脳みそが体重のわずか2%ほどしかな
いことを意味しますが、その僅か2%が、20%のエネルギーを使うのです。
それは子供になると極端に多く、約 50%にまでなります。生まれてから大
113
きくなるまで、ずっと学習を続けているからだそうですが、身体を動かして
元気に動き回っている子供たちは、実はそのエネルギーの約半分までは脳み
そが消費しているのです。
人間の脳みその中にある、神経回路のつなぎ目であるシナプスは、100 兆
個以上もあるそうです。そしてそれらは良い刺激で成長が促進され、経験や
刺激を積んでいくことで太くなり、より短時間で考えられるようになります。
つまり、使えば使うほど頭は良くなるのです。0歳から3歳までの間に、シ
ナプスの結合が活発で爆発的に増え続け、大脳の基本的な発達は成人の約8
割まで出来上がります。その後の増え方は緩やかになり、6歳で9割ほどが
完成するそうです。つまり、その時期の教育がとても大切であることを表し
ています。子供が文法を覚えるのは、実は生後7ヶ月の頃からだそうです。
「えっ、しゃべれるようになる前から?」と思いますが、実験の結果、それ
が分かったそうです。
文章を変化させて生後7ヶ月の赤ちゃんに聞かせ、その興味の度合いから
それが分かるそうです。子供は爆発的に学習しているので、既に習った形の
文章は退屈となりますが、それが新しい形になると、とたんに再び興味を示
し始めるそうです。ちなみに目の前で飲み物の容器を移し変える動作を、チ
ンパンジーの赤ちゃんと人間の赤ちゃんの目の前で行って目の動きを調べる
と、チンパンジーは動くものだけ見ているのに対して、人間の赤ちゃんはそ
の動作を行っている人の顔も見ているそうです。
両手が不自由、あるいは両手そのものが無くても、足で洋服を着替えるな
ど、普段の生活を足でしてしまう人たちや、足で手のように綺麗な絵や文字
114
を書く人たちに驚かせられることがあります。私たちは誰でも、神様からそ
ういう潜在能力を与えられているのです。とはいえ、それはそういう人たち
が決して諦めずに頑張った成果なので、誰でも簡単にできるわけではありま
せん。
「できない」と諦めて、人や機械に頼るのもひとつの方法ですが、諦め
ずに頑張って自分でできるようになるのもひとつの方法です。そしてその方
が自分の能力が高まり、達成感と自信も得られ、さらに難しいことにチャレ
ンジする勇気も得られるのです。
そういう意味では、人生の中で現れる災難、
トラブルや問題は、現れれば現れるほど良い訳です。何しろ脳のシナプスは、
経験や刺激を積んでいくことで太くなり、より短時間で考えられるようにな
り、使えば使うほど頭は良くなるからです。だから災難、トラブルや問題が
現れた時は、嫌がって避けようとするのではなく、逆に諸手を上げて快く迎
え入れた方が良いのです。そうすれば、温室育ちのモヤシにならずに済みま
す。日本人の向上心の高さ、丁寧さ、巧みさや協調性などは、太古の昔から
天災によって鍛え上げられてきたことが無関係ではないと思います。長年虐
げられ続けているユダヤ人や、暗くて寒い気候の中で育つドイツ人の優秀さ
も同じ理由が考えられると思います。生き物は、頼り甘えれば弱くなり、鍛
えれば強くなるのです。後で詳しく出てきますが、もしすぐ近くに嫌な奴が
いたら、嫌な奴のお面をかぶった神様だと思って過ごせば自分の人間の幅を
広げることができるので、決して避けてはいけません。
115
もっとも大切なこと
世の中で、人間が一人で生きていけないのは当たり前のことですが、その
場合、もっとも大切なことは何でしょうか。コミュニケーションはその1つ
ではないでしょうか。
コミュニケーションとは、人と人がつながることです。
生き物は元々、その両親がつながって出てきますが、生き物にとって「つな
がり」は、切っても切れないものです。コミュニケーションとは、人間が生
きていくのに絶対に欠くことのできない空気、水、食べ物のレベルを除けば、
その次くらいにくる大事なものではないでしょうか。ロビンソン・クルーソ
ーのお話なら別ですが、この世でひとりきりで生きている人間は普通いませ
ん。つまり誰でも必ず誰かと会って話したり、電話や手紙、メールなどでコ
ミュニケーションを取ります。障害があってお話ができない人も、何かの方
法で必ずコミュニケーションをしています。人間だけではなくて動物もしま
す。一部の学者さんの間では植物もするといわれています。
東大の教授で福島智さんという人がいますが、3歳で右目が、9歳で左目
が見えなくなってしまいました。そして 14 歳で右耳が聞こえなくなり、18
歳で左耳も完全に聴力を失い、視覚と聴覚の重複障害者である全盲ろう、つ
まり、全くの闇の中での生活になってしまいました。それでも努力をして、
世界で初めて全盲ろう者として大学教授になりました。しかも東大です。福
島教授も、指点字という特殊な方法でコミュニケーションを取っていますが、
その方法は福島教授が思いついた、今までになかった斬新なもので、全盲ろ
うの人たちにコミュニケーションの光を与えることになりました。
もうひとり凄い人をご紹介いたします。やはり先天的な目の病気である、
116
網膜芽細胞腫によって生後 13 ヶ月で両目が見えなくなってしまった、ダニ
エル・キッシュというアメリカ人です。イルカやコウモリのように、エコー
を使って生活しています。
「舌打ち音(クリック音)
」を立てながら動き回る
のです。キッシュさんは今 47 歳ですが、イルカやコウモリのように、エコ
ーロケーション、
つまり反響定位というものを頼りに行動しているそうです。
舌打ち音を立てると音波が放たれ、周囲にある物体に当たってかすかな反響
が返ってきます。それを耳でとらえて、脳でイメージに変換するそうです。
自転車にも乗れます。
毎秒2回くらい舌打ち音を立てるたびに、弱いカメラのフラッシュがたか
れる感じがするそうです。それを元に半径数十メートルの三次元イメージを
組み立てるそうです。高い集中力を保ち続ける必要があるそうですが、近い
ものでは直径2センチの細い柱も感知でき、車や茂みなどは5メートル先、
建物なら 50 メートル先でも分かるそうです。足元の小さな物や段差はわか
りにくいので、歩く時の白い杖は必要だそうです。
キッシュさんは、視覚障害者の支援団体「ワールド・アクセス・フォー・
ザ・ブラインド」という組織を作り、既に世界 30 カ国以上で 1000 人近く
にその方法を教えたそうです。多くの人はすぐに成果が現れて驚き、想像も
しなかった自由を手に入れているそうです。キッシュさんによると、
「人間は
本来、エコーロケーションの能力を秘めているのではないでしょうか。照明
のない大昔、人類はこの力を駆使していたのかもしれません。おそらく神経
系の『ハードウェア』は元からあって、私はその起動法を見つけただけ。視
覚とは目ではなく、脳の中にあるのです」そう聞きますと、確かに、チェ(チ
ュ)という音を口で何気なく出している赤ちゃんを見かける時がありますの
117
で、ひょっとすると、照明がまだなかった遠い昔の人間にはそういう能力も
備わっていたのかもしれません。
コミュニケーションにとって、重要となるのは質の高さです。英語などの
外国語での会話に限らず、同じ日本人同士の間での日本語のやりとりでも、
世代や育った環境、家庭、教育、経験や体験、本人の好みや興味、趣味など
の違いがあるので、ひとりの人間が思ったことを別の相手に伝えて、それを
完璧に分かってもらうというのは至難の技です。情報の発信者がその思いを
本当に 100%正しく表現できたかどうかから始まり、仮に表現・送信がパー
フェクトであったとしても、今度は相手がそれを聞き間違い、読み間違いな
どなくパーフェクトに受信してくれたかどうか分かりません。もし仮に送受
信が理屈上パーフェクトでも、送信者と受信者では考え方が違います。つま
り送信者が思った通りに受信者に理解してもらえるかどうかは分かりません。
理解の仕方が十人十色です。それゆえに、言った、言わない、聞いた、聞い
ていない、の誤解などのトラブルは世の常です。
ちなみにドイツでは誤解が発生した時によく、
「あなたは私を間違って理解
した」と発信者が言いますが、どうして自動的に受信者のせいになってしま
うのでしょうか。間違った発信、説明だったかもしれません。でも決して「私
は間違って説明したかもしれないよ」とは言いません。さすが自己主張の国
です。
118
言いたい欲が邪魔するコミュニケーション
誤解というものをなくすには、それだけ多く話し合うしかありません。
「話
せば分かる」とはよく言ったものです。そこで忘れてならないのは、人間に
は誰にでも「言いたい欲」があることです。その「言いたい欲」が、スムー
ズなコミュニケーションをしばしば妨げます。
ある2人の間で議論されている内容を詳しく聞いてまとめてみると、結局
2人とも同じようなことを言っている、意味しているのにもかかわらず、ど
ういうわけか、平行線の口論になってしまっていることを見かけたことがな
いでしょうか。ほんのわずかな違い、というか表現が違うだけなのにむきに
なって言い争っているのです。
なぜそうなってしまうのでしょうか。それは、
「言いたい欲」が邪魔をして
いるからです。情報の発信者にとっては、ある情報を受信者に伝えることが
目的です。その目的を達成するための手段であるコミュニケーションの最中
に、
「言いたい欲」 に邪魔されて目的が入れ変わってしまいます。また、相
手の反応が自分の想像と違う場合に、何とかして思い通りにしてやろうと思
ってしまいます。子供を叱る時に求める返事もそれです。何が何でも説得し
て同意を求めるのです。そうなってしまうと議論に勝って、友やお客さんを
失ってしまうことになりかねません。それでは意味がないどころかまったく
目的とは正反対になってしまっているのですが、実際にはそのようなことが
意外と頻繁に行われていて、後でハッと気がついたりします。
通訳の仕事をしているとよく気が付くことがあります。発信者が出す情報
119
を、いかに正確に受信者に伝えるかが通訳にとって最も大切な仕事です。そ
こで本来は、発信者は通訳を通して、自分が出す情報が受信側に正確に伝わ
っているかどうかが気になるはずなのですが、それを気にする人はめったに
いません。多くの情報発信者は、自分が伝えたい情報を通訳に話してしまう
と、それでもう満足してしまうのです。これも、発信者の言いたい欲が、通
訳に伝わることによって満たされてしまうからではないでしょうか。私の経
験でも、発信する情報が通訳を通して受信者まできちんと伝わることまで気
にした人は今までひとりしかいませんでした。通訳を信じきってしまってい
るからでしょうか。通訳も人の子。会話を常に 100%正確に伝えることは不
可能です。もしそれを続けて真剣に行っていると、通訳はあまりの緊張であ
っという間に疲れきってしまいます。そこで通訳の質のレベルの差が出てき
ます。通訳のレベルもピンキリですが、それはバイリンガルも一緒です。一
般にバイリンガルと聞くと、2ヶ国の母国語を自由自在に操るように思いが
ちですが、バイリンガルも人の子。普通、ひとつの母国語を覚えるところを、
その倍の言語を 100%マスターすることはできません。国際舞台で同時通訳
をこなすようなハイレベルの人たちは別としても、片方の母国語が例えば
80%で、別な方は 70%というレベルが精一杯です。日本人両親の元で育つ
日本語とドイツ語のバイリンガルの場合、どちらの言語もなまりなどが一切
なく流暢に話せても、日本語の方は単語数が少なくて漢字に弱くなったり、
ドイツ語の方も単語数が少なくて、例えば文化について深く語れないなどと
いうことがあります。家庭でのドイツの文化のバックグラウンドがないから
です。
さて、コミュニケーションには面と向かって話す方法、電話で相手の顔や
様子がわからずに話す方法、そしてメールや手紙の文章による方法がありま
120
すが、当然どれも一長一短です。昔の小学校では、手紙の一番最初に書く受
け取り人の名前の後に「様」を付けるように教わりました。最近、数人の友
人、知人から、
「様はやめて下さいよ(笑)!」と書かれてしまいました。
「水
臭いじゃないですか(笑)!」というわけです。ですがそれは別にへりくだっ
たりしているわけではなくて、昔そのように学校で習って以来の長い習慣で、
自然にそうなってしまっているだけです。
面と向かってお話をする時を基準に考えると、電話の時にはそれより丁寧
に話す。そして手紙の時はそれよりもさらに丁寧に書く。面と向かって話す
時は、自分の言ったことに対する相手の反応を直接うかがえます。表現や説
明が不適切だったりして、もし相手が納得のいかない思いをすれば、相手の
様子でそれが何となく分かります。だから、すぐに謝る、訂正する、追加情
報を与えるなどのフォローをすることができますが、これが電話となると相
手の顔が見えないので、場合によってはまずいことを言ってしまったのに気
がつかないなどということもあります。そこで電話の場合は面と向かって話
す時よりも、丁寧に話した方が良いというわけです。さらに手紙の時には受
取人に、差出人の口調や思い、雰囲気さえ分かりません。本当に伝えたいこ
とを、その雰囲気や気持ちまで文章で伝えようとすると、大変な文章の量に
なり、細心の注意も必要になり、文法などの文章の完成度の問題も出てきま
す。もし人に何かを伝えようとする時に、仮にそれが話せば簡単なメッセー
ジでも、文章にしようとすると大変な労力が必要なのはそのためです。
インターネットの普及で、知らない人同士が簡単につながるようになりま
したが、トラブルも多発しているようです。ひょっとしたら、最近の若い人
たちの間では、それらの点で考慮が十分ではないのかもしれません。昔の小
121
学校で習った、手紙の最初の名前には様を付けるというのは、知り合いや友
人関係の間では水臭いと思う人も多いのかもしれませんが、親しき仲にも礼
儀ありです。面と向かって話す時でも本当は要注意です。時と場合によりま
すが、お互いに勘違いしていて、思ったことが全然伝わっていなかったとい
うこともあります。日本人同士の面と向かった日本語でのコミュニケーショ
ンですらそうですから、例えばそれが英語によるドイツ人とのコミュニケー
ションとなると、果たして一体どのくらい本当に思ったことを正確に伝える
ことができるのでしょうか。
122
笑う門には福来る
2004 年に、遺伝子工学で世界的権威の村上和雄筑波大学名誉教授が、吉
本興業と協力して糖尿病患者に漫才を聞かせると、血糖値が著しく改善する
という実験を行いました。村上さんが笑いと遺伝子の研究をしていることは
ご存知の方も多いと思います。吉本新喜劇はそれ以前にも、1991 年に伊丹
仁朗さんという、岡山でガン患者の生きがい療法を提唱する医師と一緒に 19
人のガン患者や心臓病患者、健康人を集めて3時間大笑いする実験を行って
います。その実験でも、笑いによって、身体の中のガン細胞をやっつけるこ
とが分かっている NK(ナチュラルキラー)細胞が活性化することや、糖尿病
の血糖値を下げることが分かったそうです。笑いの効用を医学的に証明した
ものだったそうです。
笑いの程度が大きい人ほど効果が高く、結果がその場ですぐに分かるもの
だったので、患者さん同士で「下がった!下がった!」と大騒ぎになったそ
うです。そしてその結果はアメリカの糖尿病専門誌に掲載され、ロイター通
信で世界中に知られました。そこで笑い話がひとつあります。実験の時に漫
才で出ていたのは、当時のB&Bという芸人コンビだったそうです。番組が
終わってから、筑波大学には日本中の糖尿病患者から連絡が入り、
「B&Bと
いう薬はどこで売っているのですか」
という問い合わせが殺到したそうです。
その後奈良県の天理よろず相談所病院というところでは、糖尿病専門外来で
お笑いビデオを診療に使っているそうですが、約 70%の人に効果が出ている
そうです。70%も効く薬は普通特効薬となるそうですが、ではなぜ 30%の
人には効かないか。その人たちは残念ながら笑えない人たちだったのです。
123
ノーマン・カズンズという人はご存知でしょうか。ビタミンCと笑いで、
不治の病とされている、免疫系統がおかしくなってしまう膠原病を治してし
まった人です。元々はアメリカで有名な雑誌、
「サタデー・レビュー」 の編
集長でしたが、膠原病にかかった時に、毎日ビタミンCを大量に摂取すると
同時に、お笑い番組のビデオや本を多く見て治してしまいました。広島原爆
で被害を受けた原爆孤児達に強い衝撃を受けて、その孤児たちや女性(原爆乙
女)たちのために多くの義援金を集め、原爆乙女たちを、ニューヨークの病院
に送って手術を受けさせ、核兵器廃止運動、環境汚染反対運動、世界連邦運
動の指導的活動家としても有名です。義援金を集める際には、原爆乙女たち
やその家族と、原爆を投下した当時のB29、エノラ・ゲイ号の副機長であ
ったロバート・A・ルイスとを、テレビで対面させることによって、大反響
を得て成功させました。それらの功績により、広島市特別名誉市民の称号を
受け、広島県の平和記念公園にノーマン・カズンズ記念碑が建立されていま
す。たかがビタミンC、されどビタミンC、たかが笑い、されど笑い。ガン
だけではなくて、膠原病も治してしまうようです。
ビタミンCと聞くと、風邪を予防したり、肌がきれいになったりと、ポジ
ティブな印象がありますが、実際にもその効果には大きなものがあります。
人間をはじめ、猿、モルモット、コウモリなど、ごく一部の哺乳類は、ビタ
ミンCを体内で合成できないので、食品から摂取するしかありません。しか
も脂肪などとは違って、体内に貯蔵できないので、頻繁に取る必要がありま
す。食べる量の 100 グラムに対して約 100 ミリグラムのビタミンCを含む
レモンは、ビタミンCを多く含む果物の代表格として知られていますが、赤
ピーマンにはそれ以上のビタミンCが含まれているのはご存知でしょうか。
レモンの色が黄色いせいか、ビタミンCを多く含んだドリンクなど、ビタミ
124
ンCを連想させるものには黄色いものが多いのですが、実際のビタミンCは
無色透明だそうです。ビタミンCはとても酸化されやすいので、抗酸化作用
があることになります。その作用を利用して、食品や飲料の酸化防止剤とし
て利用されます。例えばペットボトルのお茶やケチャップなどに、酸化防止
剤としてビタミンCが添加されています。ビタミンCは体内でコラーゲンが
形成される時に必須の成分なので、不足すると歯ぐきや皮膚から出血する「壊
血病」になります。かといって取り過ぎても体内に吸収されにくくなるので
意味がないそうです。厚生労働省では、12 歳以上であれば、一日に 100 ミ
リグラムのビタミンCを取ることを推奨しています。
125
猿のお面の実験でも分かる表情の大切さ
以前、面白い TV 番組を見たことがあります。ある猿の集団の中で端の方
にいる一匹の猿に、猿の着ぐるみを着た人間が近づいて行くとどうなるかと
いう実験でした。最初は怒った顔の猿のお面、次には笑った顔、最後には悲
しそうな顔の猿のお面をつけていました。つまり近づかれる猿にとっては集
団の猿以外の見知らぬ猿が、3種類の違った表情で順番に接近してくること
になります。中が人間なので猿にとっては元々どれも怪しいでしょうが、怒
った顔のお猿さんのお面をつけて近づこうとした時は、猿がすぐに「キー、
キー」と叫んで敵対的行動に出ました。そして悲しい顔をしたお面だとほと
んど無視。笑った顔でも無視でした。表情が相手に与える印象が大変大きい
ことが良く分かる実験でした。人間の場合でも全く同じことがいえます。険
しい表情で向かえば相手もどうしても身構えてしまいますし、微笑んで近づ
けば微笑が帰ってくる可能性が高く、仮に微笑が帰ってこない場合でも、最
低、
無表情は期待できます。険しい表情で敵を作りやすくする方が良いのか、
微笑んで味方を作りやすくする方が良いのか。より多く微笑んでより多くの
味方を作り、より多く笑って免疫を高めた方が楽しい人生を送れるのは間違
いないようです。大事なコミュニケーションの最中に、自分の顔がどうなっ
ているかをその都度考えてみたいと思います。何人もの賢者はそれを鏡の法
則とか、投げたものが帰ってくるブーメランの法則とか表していますが、全
くその通りです。
お面と言えば、
「嫌な奴のお面をかぶった神様」ということを聞いたことが
あるでしょうか。世の中時々嫌な奴がいますが、よりによって運悪くそうい
う嫌な奴が上司だったり先輩だったり、すぐ身近で離れられない所にいるこ
126
とがよくあります。そういう嫌な奴とは少しでも長く離れていたいものです
が、それは「嫌な奴のお面をかぶった神様」だと考えることができます。気
に入った人、好きな人ばかりが一生周りにい続けてくれればそれにこしたこ
とはないかもしれませんが、それだと世の中に存在するいろいろなタイプの
人に対して耐性ができません。もしそういう嫌な奴が現れないと、便利な機
器で身体がなまったり、温室育ちのモヤシになってしまうように、人との付
き合いがへたになってしまいます。実際にも人付き合いができなくなってし
まっている若者が今増えているようです。そうならないように、神様が嫌な
奴のお面をかぶって自分を鍛えてくれていると考えてください。
127
情報とは、新鮮な心が幸福を返すもの?
情報というのは、出せば出すほどいい効果が現れると思います。情報があ
ふれている現在は、情報の過密状態なので、その情報をキャッチしてもらえ
るかどうかは別としても、情報がなければ思いは伝わりません。種をまかな
ければ芽は決して出ません。種をまいたからといって芽が出るとは限りませ
んが、種をまかなければ芽は絶対に出ないのと同じです。困っている時や苦
しい時、人は普通その情報を隠す傾向にあります。恥ずかしいと思うからで
しょうが、実際には自分が恥ずかしいと思うほど人は気にしていないもので
すし、その情報が伝わると助けを出してもらえる可能性が出てきます。でも
その情報が伝わらなければ、助けが出てくる可能性はゼロです。反対にいい
ことの情報も、自慢にならないように気をつけて、単なる情報として出せば、
そこから良い相乗効果が出てくる可能性も生まれます。最近、情報という漢
字は、青い心(つまり新鮮な心)が幸せを返すと書くように思えてきました。
新鮮な心で情報を取り扱えば、幸せが返ってくるのではないでしょうか。
日本の漢字は、日本で独自にできたものも多いようですが、オリジナルは
3500 年前くらいから中国で作られ始めたそうです。それは天下の3大聖人
たちさえもが誕生する以前のお話になります。中国はすごいものを作ってく
れました。夢が叶う時の叶うは、十回口にしていると叶う、と書くそうです
し、信じ(させ)る者が儲かり、忙しいという字は心を亡くすと書くそうです。
ここ最近スマホやアイフォーンでメールのやり取りや、インターネットの
アクセスも自由自在ですが、そういう機器の影響で生活スタイルというか、
生活の姿勢が大きく変わってきてしまったような気がします。以前は人前で
128
携帯電話を受信するのは、目の前にいる相手に対して失礼でしたが、今では
気楽に受けてしまう傾向にあります。数人で集まっている時も、その中の誰
か、ひどい時は数人が、メールなどのチェックを行っている姿を頻繁に見か
けます。つまり皆が納得済みでやっていることのようです。
世界中のビジネスマン・ビジネスウーマンたちも、アイフォーンやスマホ
を使って、ミーティングの最中でも入ってくる情報をチェックして返事まで
書いている人もいるようです。でもそれは本当に正解でしょうか。過去と将
来のことを考えても意味が無く、今現在のことだけを考えるのが良いのと同
じように、今現在目の前にいる人・事を大事にする方が良くないでしょうか。
その理由もごく簡単。誰かと話合っている時に、何かの連絡が入ってくると
します。その連絡の発信者は、受信者が現在どういう状況下にいるのか分か
りません。つまり、今すぐに答えても後で答えても相手に与える印象の差は
ほとんどありません。ところが、今現在、目の前で話している人は、相手の
姿がそこにあってよく見えます。つまりごまかしも利きません。親族の交通
事故や危篤の知らせなら分かりますが、そんなものが頻繁に入るわけでもな
いのに、常に通信機器でスタンバイして応じるということは本当に良いこと
なのでしょうか。
129
なぜ人は生まれてきたのか
なぜ人は生まれてきたのでしょうか。世界三大聖人によると、残念ながら
その理由は特にはないそうです。それなのにその理由を探そうとするから、
人はみな悩み苦しむのだそうです。でもその理由、目的は実はあるのだと思
います。それは生きること、成長することだと思います。それは人間の基本
的な欲が示しています。人間においてもっとも発達している前頭葉が支配す
るものなどではなく、大脳辺緑系の旧皮質が支配する、食欲、性欲(子孫繁栄)、
つまり生き物として最低限必要とされるものが示していないでしょうか?
マズローの欲求5段階説などがあり、一番低いところにある生理的欲求がま
さにそれですが、それは人間以外のどの生き物にもあるので、万物の頂点に
立つという傲慢な考えから来るそれは下等なことなので、人間はもっと上の
欲求に行くべきだといって最も大事なその基本が疎かになってしまっている
から毎日、毎日、日本で 100 人もの人が自分で自分の命を絶ってしまってい
るのではないでしょうか?
人間も含めて全ての生き物は死ぬために生まれてくるわけがありません。最
終的には死にますが、天寿を全うするために生まれてきます。きわめてまれ
な特別の病気などを除いて、生まれてくる生き物で、生まれた後に成長しな
いものはありません。どんな生き物も、生まれてから必ず成長します。だか
ら全ての生き物は、成長するために生まれてきたと思うのです。但し、その
成長にはいろいろなタイプがあります。成長が大きいもの、小さいもの、早
いもの、遅いもの.
.
.
ただ単に成長が早ければ、あるいは大きければ良いというものでもないと
130
は思いますが、どんなに遅くても、必ず成長はします。自分に合ったマイペ
ースで確実に成長すればいいのではないでしょうか。自分はなぜ生まれてき
たのかと悩む必要は無く、一日一日、目の前にいる人・物・事を大事にして、
それだけに的を絞って淡々とこなして前進していけばいいのではないでしょ
うか。長い人生、時には後退しているように思える時もあるかもしれません
が、長いスパンで見て総合的に成長すれば良いのだと思います。スポーツで
も、勉強でも、仕事でも何でも、頑張って上達すると誰でも嬉しくなります。
それは生き物として、生きる目的である成長を本能、そして全身の細胞が喜
んでいるからではないでしょうか。
遠い昔に、猿から分かれた人間は、どういう訳かその後いろいろなことを
考えて頭が発達し、動物界の頂点に立つようになりました。まだ歩くことも
できないくらいに小さいうちに生み落とさないと母親の骨盤の中を通れない
ほどにまで頭は大きくなりました。ネガティブに後ろ向きに考えていたら、
今のようにはならなかったはずです。淘汰されてしまっていたかも知れませ
ん。ポジティブに、前向きに考えてきたから今の人間の姿があり、さまざま
な発明もあったのではないでしょうか。
131
引用・参考文献
新食養療法 桜沢如一
東洋医学の哲学 桜沢如一
健康の七大条件 桜沢如一
病気を治す術、病人を治す法 桜沢如一
体質と食べ物-健康への道 秋月辰一郎
奇跡が起こる半日断食 甲田光雄
腸をきれいにする 甲田光雄
少食が健康の原点 甲田光雄
少食の実行で世界は救われる 甲田光雄
食べない健康法 石原結實
空腹はなぜいいか 石原結實
空腹療法 石原結實
なぜお腹を空かせると病気にならないのか 石原結實
もしガンになったら、でもならないために 石原結實
病気にならない生き方 新谷弘実
胃腸は語る 新谷弘実
腸の健康革命 新谷弘実
薬を一切使わないで病気を治す本 森下敬一
ガンは食事で治す 森下敬一
自然食健康法 森下敬一
人生が変わる食べ方 森下敬一
病気にならない生き方 安保徹
免疫力が上がる!やめるだけ健康法 安保徹
132
薬をやめると病気は治る 安保徹
生命と無生物の間 福岡伸一
免疫力を高める生活 西原克成
内臓が生み出す心 西原克成
究極の免疫力 西原克成
腸内フローラ 医者いらずの脅威の力 藤田紘一郎
脳はバカ、腸は賢い 藤田紘一郎
ウイルスは怖くない 國清拡史
人体常在菌のはなし 青木皐
人体解剖図 坂井 建雄・橋本 尚詞 成美堂出版
血液の不思議 高田明和
免疫力でこどもを強くする
食べもの文化編集部
食は運命を左右する 水野南北
食医 石塚左玄の食べ物健康法 丸山博/橋本政憲
賢い皮膚 傳田光洋
人間 この未知なるもの アレキシス・カレル 訳: 渡部昇一
人間としての生き方 安岡正篤
人生は自ら創る 安岡正篤
人間学 安岡正篤
運命を開く 安岡正篤
運命を拓く 中村天風
ほんとうの心の力 中村天風
成功の実現 中村天風
心に成功の炎を 中村天風
幸せはあなたの心が決める
渡辺和子
133
愛と癒しの 366 日 鈴木秀子
修身教授録 森信三
人生二度なし 森信三
森信三に学ぶ人間力 森信三
日本人への遺言 松原泰道
100%幸せな1%のひとたち 小林静観
宇宙を味方にする方程式 小林静観
神様に好かれる話 小林静観
幸も不幸もないんですよ 小林静観
人間力 船井幸雄
幸之助論 松下幸之助
夢を育てる 松下幸之助
人間の達人 本田宗一郎
人を動かす ディール・カーネギー
道は開ける ディール・カーネギー
こだわりを捨てる ひろさちや
ただいま 100 歳 昇地三郎
なぜそれはおこるのか 喰代栄一
生きるって人とつながることだ 福島智
標準組織学 各論 藤田尚男、藤田恒夫
命は宇宙意志から生まれた
桜井邦朋
宇宙には意志がある 桜井邦朋
原因と結果の法則 ジェームズ・アレン 訳: 坂本貢一
マズローの欲求段階説 Abraham Harold Maslow 訳: 渡辺博文
エドガー・ケイシーの人生を変える健康法 訳: 福田高規
134
人間 この未知なるもの アレキシス・カレル 訳: 渡部昇一
宇宙でトイレに入る法 ウイリアム・R・ポーグ 約: 木南田里子
世界の種 アイリック・ニュート 訳: 猪苗代英
ネアンデルタール博物館資料 ネアンデルタール博物館
笑いと治癒力 ノーマン・カズンズ 訳: 松田銑
植物の不思議な力フィトンチッド
B.P. トーキン 訳: 神山恵三
致知 2015 年 10 月号
ニュートン 2010 年 11 月号、同 2014 年 11 月号
引用・参考ウェブサイト
www.kenkou-jyouhou.net
www.kagome.co.jp
www.vitamin.ketsuekikensa.com
www.white-family.or.jp
www.kotobank.jp
www.i-shokuiku.net
www.wikipedia
www.o-e-c.net
135
イラスト
www.ac-illust.com
まーやん
かえる WORKS
かに砕き
エビマイスター
ピアノ
milktea
KONI
kaeru-ya
たかやん
hozu
acworks
Shrimpgraphic
はるさん
136
後書き
拙著をお読みくださりありがとうございました。世の中、とても多くの人
が下痢や花粉症で苦しんでいると思います。でもそれは食べるものが間違っ
ていたりするからです。私はそれを幸い偶然にも克服してしまいましたが、
こんな素晴らしいことを人に伝えない手はありません。マクロビの桜沢さん
も「良いものを自分で満足しているだけならそれはただのエゴイスト。それ
を広く世に知ってもらって初めて世に貢献したと言える」と仰っていました。
そんな時に、知人の Japan Verlag(日本出版社)の代表である山片さんがこ
の本を出してくださることになりました。
私の下痢と花粉症を治してくれて、
さらには風邪を引かない強い身体にもしてくれ、正しい歩き方や走り方など、
人間にとって一番良い運動を教えてくれた、進化にもとづく健康法。この方
法をひとりでも多くの人が自分で実際に試してその絶大な効力を知り、いま
いましい下痢や花粉症から立ち直り、風邪を引きにくい強い健康体になって
欲しいと思います。
この本に書いてあることは既に知っている、あるいは理解することができ
るけど時間が無いなどと仰いますか? そんなことはないでしょう。誰でも
みんな1日 24 時間持っています。激務をこなしている人でもフリータイム
は必ずあります。そのフリータイムに趣味などの好きなことをしているはず
です。知人に、忙しいと言いながらフェイスブックをやっている人がいます。
本当に忙しかったら、フェイブックなどをしている暇があるでしょうか?
自分のフリータイムに何をするかは、プライオリティーリスト上の順番次第
です。そのプライオリティーリストは他ならぬ自分が作っています。つまり、
137
時間が無くてもすることの優先順位付けは、自分の掌の上にあります。趣味
をするか、健康を保つことをするか。好きなことはどんなに時間がなくても
できますが、身体に良いと分かっていても面倒くさいことは、時間があって
もなかなかできません。それはあなたがまだ大病や、ドキッとする健康上の
心配ごとを経験していないからです。
神様(自然)は絶対公平ですが、一部の人たちにとっては意地の悪いように
思えることもあります。どういうことかと言うと、大病やドキッとするよう
な健康上の心配ごとが発生する幸せな人たちと、それらが発生しないでいき
なりポックリと逝ってしまう気の毒な人たちの両方がいるからです。片方だ
けだと神様(自然)にとっては都合が悪いのでしょう。どちらも両方いないと
気がつかないです。あなたが幸いにも前者の場合ならまだ良いのですが、も
し後者だったら要注意です。でも後者の人も、長年苦しんで逝く人と比べれ
ば幸せなのかも知れません。
ここ数年の間に、私の周りでも中年の知人が3人も寝ている間に逝ってし
まいました。
ひとりはまだ 40 歳前でした。
3人が3人共、
「えっ、どうして?」
と言われるほど元気で、そういう疑いなど全くない人たちでした。つまり後
者の人たちでした。その時まで、自分が前者なのか、あるいは後者か、誰に
も分かりません。自分で注意するしかないのです。
この本の出版前、最終チェックの段階に、たまたま読んでいた月刊誌「致
知」2015 年 10 月号に、偶然この本と深く関係する記事が掲載されていまし
た。その題は「食事療法がひらくガン治療の新たな道」というもので、筑波
大学名誉教授の村上和雄さんと、西台クリニック医院長の済陽高穂さんの対
138
談ですが、この本が述べている、良い食事のことをまるで全面肯定するよう
な記事ですので、少し紹介させてください。
済陽高穂医院長は、元々は外科医で何千人ものガン患者さんの手術を行い
ました。中山恒明医師、アメリカのトンプソン教授という有名な先生のとこ
ろで修行をされたそうです。トンプソン教授からは、
「医師というのは、売名
行為であるとか、金儲けのことを考えてはいけない。患者に本当の恩恵を与
えるのが医療である」と厳しく言われていたそうですが、それは本文中に出
てくる、北里柴三郎先生が言われていることと正に同じです。
そして 2002 年、ご本人と、その後輩が行った 1406 件の消化器ガンの手
術後の追跡調査を行ったそうです。そこで分かったのは、手術後年の患者さ
んの生存率がわずか 52%だったことです。済陽高穂医院長は、その数字に愕
然として、
「手術で患者さんの心身に重い負担を強いても、結局は命を助けら
れない。外科手術だけに頼るのはダメだ」と悟ったそうです。
そして、ある肝臓ガンの患者さんとの出会いがありました。その患者さん
のガンは、既に4ヶ所に転移していて、その内の2ヶ所は手術できれいに取
れましたが、残りの2ヶ所はどうしても取れず、半年ほどしか命がもたない
ことをご家族に伝えていたそうです。そして月に一度は外来で来てもらって
いたそうですが、不思議なことにAFPという、腫瘍マーカーの値がその内
にどんどん減っていったのです。
300 ほどあったその値が最後には1になり、
1年半ほどたったその頃にはガンがなくなってしまったそうです。
驚いて患者さんに聞くと、必死になって見つけた、甲田療法という食事療
139
法を行ったそうです。興味が出て調べてみると、他にも数例似たようなケー
スが見つかったそうです。甲田療法とは、石原療法と並んでこの本の「良い
食事」に出てくる内容の引用・参考文献とさせていただいているものです。
つまり断食や少食です。ドイツの内科医、ゲルソン医師の食事療法でも、97%
の結核患者が完治するだけではなく、ガンにも効くことが分かりました。患
者さんの中に、結核と皮膚ガンを併発している人がいて、ゲルソン医師の食
事療法で、結核もガンも両方治ってしまったことから気がついたそうです。
車や家電など、便利なものは全て人間が作ったものです。そしてそれを使
うのが人間であれば、それらをより多く売ろうとあの手この手を使うのも人
間です。人間の作ったものに縛られるとろくなことがありません。法律もし
かりです。人間の作った法律は、自然の法律(法則)と比べると、あまりにい
い加減なので、全てに当てはめることができません。例えば車が全然通らな
い道での歩行者用赤信号です。今ではセンサーが発達して車が通らないのに、
歩行者専用の信号が赤にはなりませんが、それでも例えば青信号の時間の短
い横断歩道で、普通一般の人にもそのタイミングが短く感じられることが
時々あります。そういう信号では、
足の悪いお年寄りは当然間に合いません。
それでも車は法律を守って青でスタートした方が良いのでしょうか。もうだ
いぶ昔のお話になりますが、オートバイに乗る時にヘルメットは義務付けら
れていませんでした。ほとんどのライダーはノーヘルでオートバイに乗って
いたのです。そしてそれが合法でした。でも事故が多くなり、頭をぶつけて
死亡するケースが多いので、ヘルメットをかぶればそれを防げるということ
でヘルメット着用が義務つけられるようになりました。あるいはシートベル
トも同じように昔はありませんでした。シートベルトが現れた時も、最初は
義務付けられてはいませんでした。事故の際にハンドルに頭をぶつけて怪我
140
をするケースが多いことが分かり、シートベルトの着用も義務付けられるよ
うになりました。このように、人間の作る(法律という)ものは一貫性がなく
てとてもいい加減なものなのです。でもだからと言って法律を守らなくても
良いというわけではありません。多くの人間が一緒に生きていく上で、もし
法律を守らなければ無秩序になってしまいますので、法律は守らなければな
りません。でも、人間の作った法律という物差しでは計りにくいようなケー
スの場合、自然の法律(法則)のことも一緒に考えればよいのです。自然の法
則はどの時代も常に一貫していてブレません。永遠に公平で正しいものです。
もし人間の作った法律では判断がつかない時には、自然の法則の物差しで計
ってみれば良いのです。そうすれば、自衛隊の艦船と漁師の船がぶつかり、
漁師が溺れているのにもかかわらず、自衛隊員が助けに飛び込まず見殺しに
するなどといういうような悲しい、いえ、ばかげた事故など防げると思いま
す。もし仮に、緊急事態に人間の作った法律と自然の法則が違う方向を示す
ような時は、自然の法則に従った方が良いでしょう。不思議なものでそうい
う時は人間の法律を破っていても、天・自然が必ず助けてくれます。
後書きの最後に、この本の中の「良い食事」と「良い運動」 は本人の気持
ち次第で実行するのは比較的簡単なことです。でも、
「良い考え方」は簡単で
はありません。実際に私自身も心がけてはいますが、なかなか実行できませ
ん。でも努力するだけで随分と違います。
この本を出版、校正、一部追記をして下さった Japan Verlag の代表者であ
る山片さん、そして校正をしてくださった大木尚実さん、川崎千恵美さん、
大向佐保さんには心からお礼申し上げます。
141
著者紹介:
川崎英一郎
1959 年静岡県沼津市生まれ、千葉県市川市育ち。1979 年、父親の手に負え
ない不良・非行少年として、周りが悪友だらけの環境を変えるために叔父のい
るドイツへ日本から追い出される。ひょんなきっかけでオートバイレーサー
を目指すようになるものの、あまりの転倒と怪我の多さに加え、競争に向い
ていない性格であることが分かり断念。ビジネス方面で奮闘して、東証一部
上場企業の海外駐在事務所や現地法人を設立、その責任者として業界団体を
まとめて欧州中銀との新紙幣開発のコラボを始めるなどして活躍。その後、
独立して自分の会社を設立。業界初のオンリーワン製品やダントツナンバー
ワン製品を開発して市場を独占するも、取引先とのトラブルで多大な負債を
抱える。負債返済街道まっしぐらの人生 50 代で、下痢や花粉症がキャベツ
で治ってしまったり、怪我から来る腰痛や、膝の痛みを運動で克服できたこ
とから医学に興味を持ち、ドイツでは医者以外に唯一病人を診ることが許さ
れている自然療法士の国家試験準備学校に通って現在に至る。超健康優良オ
ヤジで、トランポリンでバク転やバク宙、逆立ち歩き、ブリッジ歩きなども
こなす。
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Japan Verlag の本
-健康
キャベツで花粉症がウソのように治る!
Das Geheimnis der Gesundheit Japans
Nihonshoku
-日本語・日本
Learn Japanese the Easy Way
Japanisch ist einfach!
Das Wunderland Japan
Japan Verlag
www.japanverlag.com
Japan Verlag Imprint von 4U GmbH
Breitestr. 3
40670 Meerbusch
[email protected]
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