ゆめ通信 No.65 - 日本養豚事業協同組合

〒105-0003 東 京 都 港 区 西 新 橋 1-22-12 J C ビ ル 4F
青年部・海外視察研修報告会および技術研修会開催
極めるための手段の1つとして使えるように、しっ
かり勉強して欲しいと思う。」と述べた。
9月28日AP東京八重洲通りに於いて青年部「海外
視察研修報告会」および“農場HACCP”をテーマに
した「技術研修会」を開催し、31名が参加した。
開会の挨拶で稲吉理事長は「今回の飼料高騰対策
として補填金が5,450円(前四半期比5,000円増)出
ることになった。値上げ幅は三基金平均でトン当た
●海外視察研修報告会
報 告1:パイプストーンシステムについて(曽我の
屋農興㈱ 生産部主任 名和祐介氏)
パイプストーンシステムの株主である養豚生産者
のほとんどはコーン生産者であり、自分の生産した
コーンを豚に餌として与え、コーンに撒くのに最適
り4,750円で前四半期に比べて生産者の負担は実質
250円少なくなるが、借入金の額がまた増える。平
成8年に飼料が高騰した際には約1,200億円借りた
だといわれている養豚場から出た糞尿をコーン畑に
撒けるというのが一番の強みである。
視察を終えて、結局は餌が一番重要であると感じ
が、そのうち未だ742億円残っている。今回の補填
金で借入金がさらに84億円程増えて826億円程にな
るだろうと推定され、100頭の一貫経営で約258万の
簿外債務を抱えていることになる。現実を直視する
と、配合飼料安定基金制度は実質破綻している。こ
のことについては、農水省、飼料メーカー、そして
生産者みんなで考えなければならない問題である。」
と述べた。
た。うちの粒度は800 ∼ 900ミクロンくらいで落ち着
いているが、アメリカでは粒度が400 ∼ 500ミクロン
で、粒度が細かいと豚の調子も良く成長も良くなる
ようだ。もう1つは、アメリカはADやPRRSがフリ
ーというところが少なくないので、それが自社と大
きく違う点だと思った。
続いて阿部秀顕青年部長が挨拶し「農場HACCPは
まだまだ手をつけ辛いと考えている人も少なくない
と思うが、養豚業界が年々厳しくなっている状況で、
自社の方向性をしっかり見出していかなければなら
報 告2:アメリカの飼料について(㈱林牧場 取締
役 林丈志氏)
ないと考えている人たちが今日は参加していると思
う。差別化するという意味では農場HACCPも1つの
要因になるのではないかと思う。自社の方向性を見
パイプストーンシステムの契約農場のうちの数社の
(ウィントゥフィニッシュ)の離乳後飼料要求率を見
せてもらったが、一番良いところで2.35、一番悪くて
名和祐介氏
林大志氏
1
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E-mail も2.75であった。PRRSフリーの農場は飼料要求率が
良く、PRRSが出たり出なかったりする農場は飼料要
求率が中程度、そして常にPRRSが出ている農場は飼
料要求率が悪いということで、病気のあるなしが飼料
要求率に一番影響しているということがわかった。
アメリカでは15年程前まで粉砕粒度が800ミクロ
ンだったが、最近では400 ∼ 500ミクロンで推移して
おり、500ミクロンがスタンダードであるとのこと。
期間は3年間であるが、認証されたら終わりという
のではなくて認証をスタートと考え、そこから更な
800ミクロンから500ミクロンに粉砕粒度を落とした
ときに、生体125kgで出荷するとして、1頭当たり
講演2:農場HACCP導入と認証を受けて∼今後の課
題と取り組み(㈲ビィクトリーポーク 取締役農
場長 中岡亮太氏)
る改善を図っていくことで農場のシステムをより強
固なものにすることができる。農場HACCPの認証を
受けるかどうかは別として、農場の危害分析や情報
をしっかり整理するという面においても農場HACCP
は効果があるものだと思う。
13kgの飼料が減らせるという調査結果が出ているそ
うだ。単純に“13kg×飼料単価×各農場の出荷頭数”
で年間でどのくらいの飼料費を削減できるかを計算
することができる。
ビィクトリーポークでは2サイトシステムを導入
しており、繁殖農場である仁木農場の母豚数は現在
1,700頭。肥育農場である樽前農場ではオールインオ
ールアウトを基本として、リキッドフィーディング
も導入している。2012年7月9日に仁木農場が農場
HACCPの認証を受け、現在は樽前農場に於いても認
証を受けるべく準備を進めている。
農場HACCPを導入した理由は、①農場の規模拡
大と2サイトシステムの導入といった農場の変化や、
国内外の畜産を取り巻く環境の激しい変化の中で、
●技術研修会
講演1:農場HACCPについて(エス・エム・シー㈱
検査課長・獣医師 小池郁子氏)
農場HACCPは、作業工程の中のどこで危害が生ま
れるかということを確認し、その危害の分析をして、
ミスが生まれやすい部分を重要な管理点として捉え、
その危害を排除するというもの。そのため、完成品
従来の衛生管理では対応しきれなくなったため、②
規模拡大に伴い従業員も増えていく中で、従来の勘
や経験に頼る管理を見直して教育・訓練に力をいれ
なければならなかったため、③消費者へブランドポ
ークとしての「安全性」という付加価値を確固たる
ものにするため、の3つが挙げられる。
農場HACCPを導入して良かった点は、①作業を客
観的に見直すことができた、②問題点を見つけ易く
なった、③衛生管理と仕事に対する目的意識の向上
は全てそれらの危害が排除されたものになるという
ことが証明される。資料作成、危害分析、重要管理
点の決定、文書作成、記録という段階を経て、農場
HACCPが構築される。その後、実際の作業を監視、
確認、検証、そして改善していくことで、より良い
システムが構築される。
抗生物質や注射針の残留の疑いをかけられたとき
に、農場HACCPを導入している農場では、しっかり
管理をしているということで自分たちの農場から出
た豚ではないということが証明できて良かったとい
う話を聞くことがよくある。
農場HACCPは継続的改善が必要。初回認証の認証
に大変役立ったなどがあり、今後の取り組みとして、
ブランドポークに「安全性」という付加価値を確固
たるものにした上で、北海道ブランドポークの更な
る拡販に貢献していきたいと考えている。 (東野)
左:中岡亮太氏、右:小池郁子氏
グループディスカッションの様子
2
青年部・技術研修会 グループディスカッション
り、何故やらなければならないかということを教育す
ることで、当たり前の作業という捕らえ方をしている
農場が多いです。
Q:このグループでは2農場で既に農場 HACCP のた
めの記録を取っており、2農場で今後農場 HACCP を
導入するかを検討しているということでした。みんな
の意見が一致したのは、現場の記録が出来ている人と
出来ていない人の温度差が激しいということです。会
社の目標として“農場 HACCP 認証をとる”とか“ブ
ランドポークの価値を高める”という意味で取り組む
のはいいと思いますが、現場においても導入するメ
リットがあるという意識付けをしなければ記録を継続
することは難しいと思います。従業員のモチベーショ
Q:認証を取るための申請書類等の分厚いファイルを
中岡さんの講演の際に見せていただきましたが、例え
ばその準備を1年間やった結果として認証を取るの
か、これから認証を取りますということで準備を進め
ていくのか、認証を取るまでの経緯を教えてください。
A(小池)
:今のシステムでまず推進農場というのが
あって、「やりますよ」という意思表明とある程度の
書類が揃えば推進農場になれますが、認証農場に関し
ては文書審査という形で指定された必要な書類を提出
するようになっています。その文書審査に不備がある
場合には追加提出、修正を行い、文書審査が無事終了
したら現地審査に入ります。文書審査の条件としては、
まず一回は内部検証というものを行っている、つまり
※
PDC Aサイクル の計画・実行をして、それが1回以
ンをあげるための教育をどのようにしているか教えて
ください。
A(中岡)
:ヴィクトリーポークでは会社の方針で“農
場 HACCP に取り組む”ということが社員全員に周知
されました。農場 HACCP 認証に取り組むに当たって、
各ステージの目標設定をして、その目標をクリアする
にはどうしたらいいかということを話し合うことで意
識を高めました。農場 HACCP に取り組むと文書管理
には確かに時間がかかりますが、メリットとしては消
費者の方に対してのアピールと、取り組むことによっ
て外部からの評価が得られるということを、会議のた
びに社長から従業員に話をしました。私のいる苫小牧
上は検証をされ、情報の分析がされているというのが
条件となります。そこまでが出来ている段階で申請を
出して、文書審査が始まるということになります。
Q:中岡さんの講演で見せてもらった書類は、具体的
にどのようなものになるのですか。
農場には従業員が9名いるのですが、全員が HACCP
メンバーとして取り組んでいるので、必ず全員に周知
して、全員の意識を統一する努力をしています。
A(小池)
:新入社員であれば初めから言われた通り
A(中岡)
:小池先生の講演資料の中で“農場 HACCP
の認証基準”というものがありますが、これを全て網
羅している書類ということになります。記録というか、
現状作業の分析とか配置図だとか、今現在農場で行っ
ている作業の危害分析が記載されているものです。
A(小池):先ほどの書類には、チームメンバーのど
んな人がどんなことをするというような取り決めが記
載されています。農場 HACCP の計画、モニタリング
はこのようにやりますよというような決まりごとが記
載された書類を提出するということになります。実際
には農場においてその書類に基づいていろいろな記録
にやってくれるので、記録方法などもすんなり入って
いくのですが、ベテランの方に改めて記録を取ること
を習慣付けるのはなかなか大変なことがあります。そ
ういったときに記録を取る人と、それを見る人で、責
任者と記録者など細かく分けるようにすれば、責任者
の方でどうやったら記録を取ってくれるかということ
を考えながら進めてくれるということがあります。記
録を書く場所が離れた所にあると、そこまでわざわざ
書きに行かなければならないということがあったりし
て、そういったときには近くに置いて書きやすくする
というような工夫をして、毎日記録を取ることを習慣
付けることが出来たという成功例があります。
大規模農場の場合には経営者の一言で農場 HACCP
に取り組むということが決まってしまうことがあると
思います。それに社員の方々がどれだけ協力するか難
しいところではあるのですが、やっていくうちにやら
なければならないことだということが分かってきた
がされているのですが、それは現地に行った時に本当
に記録を取っているかということを確認します。
Q:その記録はどのくらいの期間取ったものでないと
いけないのですか。
A(小池):内部検証というものがあるのですが、例
えば半年に1回内部検証をするということになってい
る場合には、半年間記録したものを検証しなければい
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E-mail けないので、その書類の申請のときに半年以上記録し
たものがなければならないことになります。それは農
場ごとの決め事ですので、毎月内部検証をしなければ
いけないという場合には、1ヶ月以上記録を取ったも
のがあればいいということになります。実際には、検
Q:規模によって社員教育の方法が変わるとすれば、
例えば導入する農場の規模の割合からして、今の時点
ではどのくらいの規模の農場が多いとか、このくらい
の規模の農場で導入しやすいというのはありますか。
書類の数がかなり多いので家族経営の場合だと大変だ
証して改善するということを一通りやらなければなら
ないので、内部検証を毎月やることは大変な作業です
から、大体半年や1年に一度検証をするという例が多
いです。そうであれば、記録も半年分や一年分のもの
がなければいけないということになります。
とかいうことがありますか。
A(小池)
:規模によってメリットややり易さが違っ
ていて、まず小規模農場であれば少数の人がやるので
いろいろな情報が伝わりやすいし、すぐにやりやすい
というメリットはありますが、自分でやらなければい
けないことが多いというのが大変なところだと思いま
す。大規模農場であれば、それを伝えなければいけな
い、仕組みを大掛かりにやっていかなければいけない
という大変さがあります。今私たちが関わっている農
場で、グループで一緒にやっていくというところもあ
ります。これは例えば同じ餌を使っているところなど
ですが、そういったところですと農場の方が集まって
一緒にやるということでモチベーションを保ち、お互
いに刺激し合いながらやっています。母豚300頭くら
いのところですと、1つの農場で割りとまとまりやす
いのかなという風に感じています。
Q:リキットフィーディングをやっていると、産廃業
者とか中間処理業者からいろんな原材料が入ってくる
のですが、それを全部細かく検証していかなければい
けないのでしょうか。それとも飼料ということでまと
めたものでいいのか、その辺りのことについて教えて
ください。
A(中岡)
:うちの場合は、現地確認ということで、
管理獣医師と一緒に原料排出元に年に一度出向いて記
録を取っています。取引業者が数社ある場合には、そ
の業者を全部回って現地確認をしようということを社
内で話し合って決めました。その訪問の頻度に関して
は、農場ごとの取り決めによります。
Q:うちは3サイトでやっていて、サイトが分かれて
いると凄くやり辛いなという風に感じたのですが、3
サイト用の基準というものはあるのでしょうか。中岡
さんの講演で農場ごとに認証を受けなければいけない
ということでしたが、同じ会社でもサイトが違えば
別々の認証ということになるのでしょうか。
Q:農場 HACCP というのは“安全性”を証明するた
めの差別だと思っていましたが、今日話を聞いてみて
社員の教育という意味でも農場 HACCP は使えるのか
なと思いましたが、小池先生いかがでしょうか。農場
HACCP を導入している人たちは何を目的として導入
した人が多いのでしょうか。
A(中岡)
:農場が違えば場所が違うので農場ごとの
書類を出さなければいけないということで、うちの場
A(小池)
:一番多いのは社員教育とか、作業の統一
化です。家族経営で直売所などをやっている場合には
差別化という意味で導入されている方が多いですが、
合は別々にやっています。
A(小池):認証は1つの農場で取られるので、3サ
イトとかでも肉豚の出荷が別れているという場合には
別々に認証を取る必要があると思います。分かれてい
ても1つの農場という単位であれば、1つの農場とい
う形でできるかと思います。
差別化を目的として導入した方でも、取り組んでいる
うちに農場内の気付かなかったところが整理できるよ
うになった、自分たちがやっていた作業を説明できる
ようになったというようなメリットが出てきていま
す。また、先ほどの話にもあった、外部コミュニケー
Q:3サイトであっても、豚が生まれてから出荷する
までが1つの農場ということで考えてもよいというこ
とでしょうか。
ションで、リキッドフィーディングなどは1社1社回
らなければいけないのかという質問がありましたが、
そこで外部の人とコミュニケーションを図ることで、
もし何か問題があったときや何か起こったときにすぐ
に連絡が取れる状態になるのではないかと思います。
また、集荷トラックが最初に積み込みに来てくれるよ
うになったり、
外部コミュニケーションを行うことで、
外部の人とのコミュニケーションがうまくいくように
なったというようなメリットがあったようです。
A:はい、そうです。ただ農場が分かれていれば確か
に作業は増すかと思いますが、そういったところです
と、それぞれのサイトで1つの HACCP チームを作り、
何ヶ月かに1回くらいお互いのやったことを話し合い
ながら利用できるところは利用していくといった形で
進められているところがあります。
4
A(中岡)
:うちの場合は、書類を作りながら、外部
の先生方のアドバイスも同時に受けながら進めていき
Q:農場 HACCP の認証を受けるまでにかかる時間は
どれくらいなのか教えてください。
ました。
A(中岡)
:苫小牧の農場だと従業員9名が関わって
いるのですが、それ以外に外部の指導員が3名いらし
ています。全くゼロの状態からということであれば、
2年くらいかかったと思います。
Q:農場 HACCP の認証を受けるための書類の雛形は
あるのでしょうか。
A(小池):雛形のようなものはありますが、それを
見てゼロからやろうとしても多分時間だけかかって進
まないと思います。雛形を持った方、経験のある方と
ある程度雛形を基に作られるのが一番近道だと思いま
す。原材料リストなどはそれ程時間はかからないと思
Q:今から農場 HACCP 認証に取り組みたいとなった
場合に、認証に必要なものがある程度出来ていれば、
例えば飼養衛生管理基準に則って管理をされていると
すれば、だいたい半年くらいで認証が取れる可能性が
あるということですか。
うのですが、私たちの場合、危害分析のところに一番
時間をかけていて、そこは農場の方と一緒にじっくり
A(中岡):外部指導をしてくれている先生には、記
録があるという段階で、寝ずに頑張れば1ヶ月∼2ヶ
月で書類をまとめることはできると言われたことがあ
ります。
やっていくというような形です。それ以外は、経験さ
れた方と一緒にやられると早く進むと思います。けれ
ども、農場の方は普段の仕事プラスアルファで大変な
作業となりますので、一年で目処をつけるとか、ある
程度目標を持ってやらなければ、途中でもう無理だな
ということになってしまうこともあるので、ある程度
目標を決めてからやられるといいかなと思います。
Q:外部のアドバイザーの手腕によって進み具合がか
なり変わってくると聞いたことがあります。早ければ
1年くらいである程度まとめることができるアドバイ
ザーもいれば、何年経っても進まない、まとまらない、
書類ばっかり押し付けられて現場では全然進まないア
ドバイザーもいるということを聞いたことがあるので
Q:例えば HACCP チームを作った場合にそのチーム
が1週間に一度集まるのか、毎日集まって1時間くら
い会議するのか、それによっても全然進むスピードが
違ってくると思いますが、そのチームが集まる頻度と
すが、そういった場合、生産者側からすると、どのア
ドバイザーにお願いするかと言うことも重要なポイン
トではないかと思うのですがいかがですか。
か、普段の作業に与える影響だとかはどのような感じ
なのでしょうか。
A(中岡):うちの考え方としては、あくまでも外部
のアドバイザーの方には今自分たちが作っている書類
を見せて、こういう形でいいのか、修正が必要なのか
という指導をしてもらうだけなので、基本的に自分た
ちがこういう形で作りましょうということで作らなけ
れば、その先生方に見てもらって確認をすることは出
来ないので、そこは自分たち次第ではないのかなと思
います。自分たちで危害分析をして、それを外部の先
生方と話しながら、書類の書き方に修正が必要なとき
はアドバイスをもらいながら一緒に作っていくという
感じです。現場を知っているのは自分たちで、外部の
先生たちの中には現場を知らない方もいらっしゃるの
で、基本的には自分たちでまとめて作らなければいけ
ないと思います。
A(中岡):うちの場合は、毎月1回仕事が終わって
から集まって、1時間半くらいかけて進捗状況の打ち
合わせをしています。それ以外は各担当部署ごとに仕
事時間外に週1回くらい小ミーティングを行って、ま
とめていきました。
Q:HACCP チームが1ヶ月に1回1時間半ずつ集
まって、約半年経てば、書類はある程度まとまってき
たということになるのでしょうか。
A(中岡):その程度で半年では出来ません。相当時
間を費やしています。
Q:小池先生はその当たりはどのように捉えられてい
ますか。
Q:農場 HACCP の認証に向けて取り組むということ
が社内で決まった場合は、農水省のホームページでも
農場 HACCP 認証についての記載がありますが、そう
いったものを見ながらある程度自分たちで書類作りを
始めて、それから外部に依頼するというようなやり方
になるのでしょうか。
A(小池):グループでやられている方々で、実際に
1年で内部検証のところまで書類は完成したという農
場があります。そこでは3ヶ月に1回会議室に集まっ
て、2時間程度、農場 HACCP の話だけをするという
時間を設けて進めていきました。残ったものを宿題の
ような形で、農場でやってきてもらうようにしている
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E-mail A(中岡):うちでは紛失した場合には“紛失した”
と記録に残して管理をしています。それ以上にやりよ
うがないので、明らかに無くした場合、例えばスノコ
の下に落とした場合には、
“何月何日に1本スノコの
下に落とした”というような形で記録には残すように
しています。
のですが、また3ヶ月後にそれが残っているというよ
うなことが結構あります。しかし農場から離れて集中
的な時間を割くことである程度出来上がってきたの
で、ゼロの状態で全く何をやったらいいかわからない
ということであれば難しいかもしれませんが、ある程
度やることがわかっていれば、集中して3ヶ月に1回
くらいそういった時間を設けてやることで、1年程で
書類をまとめることは不可能ではないと思います。
Q:うちの母豚数は現在300頭ですが、農場 HACCP
に取り組もうとしたときに、多分一人で全てをやらな
ければいけないことになると思います。従業員も二人
しか居ないし、年配の人も居るし、一緒に取り組むた
Q:外部講師を頼んだ場合のコストはどのくらいかか
るものなのでしょうか。最低半年はかかる、またそれ
以降もやはりランニングコストで何か見てもらう場合
にコストがかかるということだと思うのですが、どの
くらいずつかかるものなのでしょうか。大体で結構で
すので教えてください。
めのミーティングもうまく出来ないといった場合も
多々あると思うのですが、300頭くらいの農場で一人
でこなせているのかどうかを教えてください。
A(小池):母豚300頭規模の農場でシステム構築のお
手伝いをさせていただいているところがあります。そ
こは従業員の方が3名いらっしゃって、その3名で取
り組んでいて社長は HACCP チームに入っていません
が、それでもある程度形が出来ています。実際に自分
たちがやって自分たちで決めたことなので、その方が
やり易いのかなと思います。ただ他の人にもそのよう
なことをやってもらわなければいけないというような
A(小池)
:相場がわからないのでなんとも言えませ
んが、私どもの会社ではこれで利益を得ようと言うよ
うなことは全く考えておりませんので、今のところは
交通費等の実費をいただくような形でやっています。
A(中岡)
:うちでは外部アドバイザーを3名お願い
しているのですが、うち1名は管理獣医師の先生で、
あとの2名は取引先の某薬品メーカーの方です。管理
ときには、ある程度サポートをする必要があると思い
獣医師の先生は通常のコンサルの一環として、薬品
メ ー カ ー は 日 ご ろ の 取 引 の 範 囲 内 と い う こ と で、 ます。記録がなかなかつけられない方とかに対しては、
HACCP の費用として別にかかってはおりませんが、 「つけましたか?」と聞いて自分でつけるとか、そう
いったサポートが少し必要になってくると思います。
これはあくまでもうちの場合なので、他の方々はどの
日本語が出来ない方もいらっしゃると思うのですが、
ようにしているかはわかりません。
そういった方々に対しても、少しサポートや工夫が必
要だと思います。
Q:維持していくのにも外部監査のようなものが必要
なのでしょうか。
Q:付加価値があるために取り組んでいるという話が
ありましたが、実際にお肉屋さんなどとの契約の際に、
A(小池)
:独立して完全に農場でやっていけるよう
なところでは必要ないかと思いますが、ある程度外か
農場 HACCP 認証を取った方がいいというような話は
聞こえてくるのでしょうか。因みにうちの方では、未
だあまり聞こえてこないので取り組んでいないのです
が、そういう話があれば、教えてください。
らも見て欲しい、必要だというところであれば、一緒
に内部検証を行うこともあります。3ヶ月に1回外部
監査のようなものが必要だったのが半年に1回になっ
たり、段々と外部の人がいなくても自分たちで出来る
ようになればいいと思います。やはり危害は農場で起
こっていることですので、農場で解決するような能力
が農場 HACCP システムとして必要だと思います。
A(小池)
:これからそういった付加価値をつけてい
ければいいなというような段階だと思います。実際に
農場 HACCP という言葉自体も初めて聞いたとか、一
体農場 HACCP とは何なのかというようなことを聞か
れることがよくあります。うまく説明することが出来
ればいいのですが、実際消費者が安全なものを買って
いるという考えの中で、それを敢えて安全ということ
を取り上げても、では他の物は安全ではないのかとい
Q:注射針等の記録を取っているのですが、スノコの
下に落ちてしまったりして回収できない場合には間違
いなく豚に刺さっていないので、ここに落としたとか、
紛失したというような形で報告をしています。消費者
にしてみたら、それは物がない以上は証拠がないこと
なので信用してもらえるのか不安ですが、そういうよ
うな時には書類の上でどのように処理されるのか教え
うことになり、なかなか差別が出来ないというような
ことも言われますので、認証を取られた方々は今後ど
ういった形で売っていくかというのを検討中のようで
てください。
6
す。でもある程度いろいろな方が声を上げてやられて
いければ、そういった付加価値のようなものも出来て
くるでしょうし、これで安全であると言うことが証明
されましたよということが、認証を取ったときに言え
るような形で広がっていければ、これからの国際化で
A(小池)
:農場 HACCP を広めたいという思いがあ
りますので相談にのらせていただければと思っていま
す。また、(社)中央畜産会の方で農場 HACCP の研修
等も行っていますので、そういったところに参加され
るのもいいのかなと思います。それは今無料でやって
いるようですので、参加される方々も多数いらっしゃ
るようです。
すとか、そういった中で、何にもなかった物から1つ
でも認証がある、そういったことで価値を見つけてい
ければと思っています。
※ PDCA サイクルとは;Plan:危害を分析して
システムを構築、Do:実際の作業および監視(モ
ニタリング)、Check:確認・検証、Action:
Q:農場 HACCP の構築指導を受けたいという人で、
製薬会社とかとの付き合いが特にないとか、外部で教
えてくれる人が特にいなくて、小池先生のところに頼
みたいというような場合でも指導をしてもらうことは
可能でしょうか。
改善の作業を繰り返すこと。
≪牛乳≫ ॠ‫ڠ‬
΋Ȝ΢Ȝ
も春先に生まれることが殆どです。肥育期間は1年
仔豚は牛乳やヨーグルトが
大好きです。特にココア入り牛乳が好きなようです。
以上で、春先に生まれたイノブタの子供は1年を経
ただし、乳製品は子豚の体重が15キロを超えて与え
過した翌年のお盆でようやく100キロ程度です。しか
ると、枝肉のシマリが悪くなります。牛乳には不飽
も生体が100キロでも枝肉は60キロ以下で、肩とバラ
和の脂肪酸が多く、子豚は不飽和脂肪酸を脂肪に蓄
はやたらに大きく、お金になる(はずの)ロースは
えたまま大きくなってしまいます。不飽和脂肪酸の
芯細で商品になりません。あげくにモモは犬並です。
多い飼料(大豆、きな粉、とうもろこしなど)を多
牛肉並みの価格で売らないと絶対に儲かりませんね。
給した豚の枝肉も同じように枝肉の脂肪が柔らかく
(矢嶋)
なります。
左下の写真は猪の子供の『ウリ坊』です。イノブ
タの子供の頃もありますが、縦縞が瓜に似ているか
ら『ウリ坊』です。
イノブタの子供も牛乳は大好きです。しかしすぐ
下痢をします。人工乳前期用を与えても同じです。
あまり栄養価の高い食べ物はカラダに合わないよう
で、子豚・肉豚期もフスマやイモ程度がいいようです。
配合飼料を与えても下痢をして大きくならず、枝肉
は脂肪が付くばかりです。
猪は寒のうち(寒い時期)の交配なのでイノブタ
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E-mail シリーズ 豚に翔ける夢
農場訪問ルポ
アメリカ中西部未曾有の大干ばつ!
さらなる飼料高騰!
―アメリカ養豚生産現場はどのように対応しているのか?―
Swine Extension & Consulting
(スワイン・エクステンション&コンサルティング)
大竹 聡
獣医師・獣医学博士
[email protected]
●2012年夏アメリカ中西部、
未曾有の大干ばつ!
●トウモロコシ収穫量の減少だけではなく、質
の低下も大きな危惧
もはや皆様も周知していることだと思いますが、
2012年夏、アメリカ中西部を未曾有の大干ばつが襲い
今回の大干ばつでは、トウモロコシ収穫量の減少だ
ました。言うまでもなく、アメリカ中西部は世界屈指
けでなく、質の低下についても深刻に危惧されていま
の大トウモロコシ生産地帯であり、この大干ばつによ
す(写真1−2)
。特にカビ毒(マイコトキシン)汚
りアメリカのトウモロコシ生産は現在大打撃を受けて
染の心配について、アメリカの生産現場ではよく耳に
います。収穫量は前年比最大25%近くまで減少すると
します。奇しくも、先の9月に開催されたリーマン養
見込まれており、トウモロコシ価格は1ブッシェル
図1
(=25kg)あたり8ドルを越えました(2012年8月の
時点で)
。これは当然、アメリカ養豚の生産コストを
ひどく圧迫する結果となり、現在アメリカ生産者の利
益は肉豚1頭あたり最悪でマイナス30ドルとも報告さ
れています(ただしこれはトウモロコシを自身で生産
していない生産者の場合)
。さらに、アナリストの見
立てでは、今回の大干ばつが世界規模での豚肉の品薄
と価格の上昇まで引き起こすのではないか?とすら言
われているほど、今回の大干ばつの波及度合いは深刻
化する危険を孕んでいます(図1)
。
そして、この未曾有の飼料高騰は決して対岸の火事
ではなく、アメリカのトウモロコシに大幅に依存して
いる我々日本養豚産業にとっても、当然ながら重く圧
し掛かってくる現実なわけです。
このような状況下で、
今まさにアメリカ生産現場はどのような対応をとって
いるのか?今後の展望をどう見ているのか?我々は把
握しておく必要があるのではないでしょうか。
8
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図2:アメリカ肉豚出荷体重増加の傾向
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写真1−2:イリノイのトウモロコシ畑。大干ばつの影響で収穫量
の減少と品質の低下が危惧される
豚学会でも、カビ毒問題はホットピックスとして発表
●出荷体重は年々増加傾向…しかし現時点では?
セクションが設けられ、アイオワ大学の専門家が、①
アメリカの肉豚出荷体重は年々増加しています(図
検査を頻繁に行うこと、②マイコトキシン吸着剤の飼
2)
。とくにここ3年ほどはその傾向が非常に顕著です。
料添加、③カビ毒濃度が規定以上を超えたバッチの損
パッカーは大きい屠体を求めますし(1フックあたりの
失をカバーするための保険に予め加入しておくこと、
kg が多いほど、屠場効率があがるわけですから)
、生産
などの対策点を強調し、学会に参加していた生産者・
者にとってみても飼料効率の観点から出荷体重が大きい
獣医師に最大限の注意を促していました。
ほうがメリットがあるので、アメリカでこのような傾向
図3
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E-mail が進んでいる理由については腑に落ちます。しかし今回
及しそうな動きは今でも一切見られません。トウモロ
の未曾有の飼料高騰により、如何に肥育後期の餌が最も
コシが高いということは、そのバイプロである DDGS
安いとはいえ、それを長く引っ張るコストすら惜しいと
の価格も当然高くなるわけですから、自身でトウモロ
いう考えから、昨年よりも体重を軽く出荷しようとする
コシを生産していない養豚生産者にとって、今年来年
動きが、今直近の生産現場では見られています。しかし
はまさに正念場となりそうです。
相変わらず屠場は大きい体重の豚が欲しいわけで、その
辺のプレミア対象規格や契約条件の変更・修正など、必
●疾病が最もエサを食う!
ずしも生産者の意向をそのまま臨機応変にすぐ反映させ
このように、飼料コストとの闘いがかつてないほど
る形にもっていくのは、現実的に難しいかもしれません。
シビアになっているアメリカ養豚産業において、アメ
また、飼料配合設計についても、直近の環境下では、
リカ生産者・獣医師から強く感じることは財務レベル
とにかく原料コストを下げることが何をおいても優先
でも生産現場レベルでも「飼料効率改善のためにでき
される至上命題であり、場合によってはそれで飼料要
ることは、どんな小さいことであれ、とにかく何でも
求率が多少犠牲になったとしても、トータル的にはそ
やる!」という潔いスタンスです。図3に、飼料効率
ちらのほうがペイするという理由で配合設計をしてい
に影響する諸々の要因を系統立ててまとめてみまし
る生産者もいます。
トウモロコシの価格が上昇すれば、
た。この図を見ると一目瞭然ですが、飼料効率に影響
それにつられて大豆も含め他の穀物原料の価格も上昇
を及ぼす因子というのは、本当に多岐の分野にわたっ
しますから、アメリカでは、ここまでトウモロコシが
ています。アメリカの専門家の話によると「飼料効率
高いとはいえ、トウモロコシ以外の他の代替飼料が普
の40%は育種で決まる」といわれていますが、逆に考
表1:PRRS“時計”:「疾病は進化している…我々はどうか?」
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10
えると残りの60%は育種以外の他の要因(日々の飼養
飼料高騰下で、まっとうに豚を生ませて健康に育てて
管理など)からアプローチすることで飼料効率の改善
売っても残る利益は薄いという状況で、我々はもはや
が可能だ!と解釈できます。そして、そのような育種
豚を病気にしている余裕はまったくないはずです。ア
以外の要因の中で最も飼料効率にインパクトをあたえ
メリカにおける地域ぐるみ PRRS 撲滅活動は、その事
るものが、疾病でしょう。
「疾病が最も餌を食う!」
実をまさに体言していると言えるでしょう。
という事実を、今ほど痛切に我々が理解できる時代は
ないのではないでしょうか。
●おわりに
そのような背景から、現在アメリカでは PRRS を地
以上、本稿では2012年アメリカ中西部大干ばつの現
域ぐるみでコントロール・撲滅しようとする活動が積
状とそれがアメリカ養豚産業に与えている影響、そし
極的に行われています。特に昨年10月から今年の3月
てそのような状況下でアメリカ養豚生産者がどのよう
にかけての期間は「PRRS 史上最悪年」とアメリカで
な対応をとっているのかについて簡単に情報提供させ
は言われており、アメリカ中西部を中心として新しい
ていただきました。我々日本養豚がこれから生き残っ
強毒ウイルス株が流行し、今現在でも引き続き産業に
ていくためのヒントが、ここからも多く見つかります。
ⓒ S. Otake
甚大なる経済被害を与えています(表1)
。未曾有の
TOPIGS-PS 販売開始
東海ブリーディング株式会社生産の『TOPIGS-PS』
北のある農場でのTOPIGS-PS(輸入豚)の飼育実績で
販売についてのご案内です。
す。TOPIGSとして特別な管理はしていないとのこと
『TOPIGS-PS』(F1母豚)の販売頭数は、平成25年
です。母豚1頭当り
2月以降1月あたり30 ∼ 40頭となる予定です。販売
子豚離乳頭数の改善
価格は1頭85,000円(約5ヶ月齢、消費税・輸送費別、
とコストダウンのた
マイコプラズマと豚サーコウイルス2のワクチン接種
めに、購入をご検討
済み、東海ブリーディング
(株)渡し価格)となってい
下さい。デュロック
ます。販売頭数が少ないので、受注頭数が多かった月
などの雄豚を交配し
は調整させて頂きますことをご容赦ください。
て日本の枝肉市場に
出荷される育成豚は体重約70kgで、TOPIGSのマニ
合った肉用子豚を生
ュアルに沿ったフレーム重視の体型です。下の表は東
産してください。
項目
産暦 交配
頭数
分娩
腹数
分娩率
発情
再起日数
総
産子数
生存
産子数
授乳
日数
離乳
頭数
育成率
(総)
育成率
(生)
生時
体重
離乳
体重
増体重
初産
49
49 100.0%
―
13.6
12.7
23.5
11.6
84.8%
91.2%
1.3
6.8
2産
48
48 100.0%
5.1
14.5
13.4
22.1
12.2
84.0%
91.0%
1.5
6.9
5.47
3産
48
47
97.9%
6.1
15.2
13.9
22.0
12.0
79.0%
86.3%
1.4
7.1
5.68
4産
46
45
97.8%
5.7
15.9
14.8
21.9
12.3
77.3%
83.5%
1.3
6.5
5.21
5産
45
43
95.6%
5.7
15.4
14.2
22.2
12.4
80.8%
87.9%
1.3
6.4
5.06
6産
40
38
95.0%
4.5
15.3
13.7
22.9
11.2
73.5%
82.2%
1.3
6.5
5.16
30
25
83.3%
5.0
15.8
13.6
24.4
11.7
74.2%
86.0%
1.3
7.0
5.75
306
295
96.4%
5.4
15.0
13.6
22.6
12.0
79.5%
87.7%
1.4
6.7
4.92
7産
合計・平均
注:4∼6産で計32頭の子豚が里子に出されています。平均5.9産で、9頭以下の子豚を産んだ母豚は20頭(6.8%)でした。
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11
5.47
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E-mail 第1回TOPIGS実践報告会 開催
昨年11月にオランダのTOPIGS本社を訪れ研修し
鶏の世界では当たり前だが、豚も育種は専門家に
たメンバーが8月30日に集まり、TOPIGSの成績や
任せて、農場は飼育管理に専念する方が利益を上げ
その後の飼育管理で実践したことの効果などを話し
られると思っている。これからは良い種豚、良い管理、
合った。参加者は稲吉理事長、栗木副理事長、田代
そしてFCの改善が肝要だと思っている。これができ
久倫(熊本・㈲田代養豚場)、加嶋亮(兵庫・㈲高尾
れば少しだけ国からの援助をもらいながら十分に外
牧場)
、矢澤聖士(岐阜・㈲ロッセ農場)、山田孝則(愛
国と闘っていけると確信している。皆さんも今日の
知・㈲マルミファーム)、鈴木孝則(神奈川・㈲ブラ
勉強会の場を足がかりに、良い管理や良い飼料がど
イトピック)
、細川拓也(秋田・㈲細川農興)
、工藤
んなものであるか知識を共有して経営改善に取り組
基弘(日の出物産㈱)
、矢嶋隆次(事務局)の10名。
んでもらいたい。
【実践結果の報告事項】
最初に栗木副理事長の講演を頂いたので、その要
旨を記述します。
●TOPIGS社で学んで実践したことの紹介
今JPPAではTPP反対運動を展開しているが、TPP
a )離乳後の母豚へのフラッシング給与(離乳後
は米国主導の新自由主義を各国に押し付けるもの
3.5kg ∼ 4.0kg /日、交配までの飼料増量給与)が
で、これに参加すると日本の良い制度・習慣や文化
発情再帰に好影響をもたらし、今年は発情が順調
が壊されてしまい、グローバルスタンダードの名の
だといったことが紹介された。
もとにこの住みやすい国がなくなってしまう。皆さ
b )またこのフラッシングにあわせて『砂糖』を給
んはこれからの人たちなのでこのような仕組みにつ
与(離乳後発情再帰まで1日100g)したことによ
いても少し勉強しながら事業に励んでもらいたい。
り発情再帰日数の改善ができたとの報告があった
(表1)。
TOPIGSとの出会いはドイツで毎年見学させてもら
っていた農場がSPFだったのだが、それでもジワリ
c )授乳中の母豚への給餌量を離乳寸前がピークに
ジワリと病気が侵入していた。しかし、ある年から
なるよう徐々に上げるようにし、授乳期間中の飼
病気の少ない農場に変わっていった。聞いてみると
料給与量は従来の方法と比較してかなり少なくし
『種豚の改良は精液のみで行い、生体の導入は一切し
ているが、TOPIGSは意外とP2脂肪の損耗は少な
ない』とのことだった。聞いてみるとそれがTOPIGS
かった(意外と痩せなかった)
。TOPIGSは給与量
の『インジーン契約に基づく種豚飼育』だった。ち
が少なくても耐えられる豚のようだし、離乳後の
ょうどロッセ農場が病気に苦しんでいた時期でもあ
回復も非常に速い(図1および図2)。
d )Zライン(純粋大ヨークシャー)の分娩率が悪
り、稲吉理事長や山本先生たちにオランダまで行っ
てもらい、肉質などを確認してもらいながら導入を
かった(TOPIGS20 = 91.2%、Zライン= 73.2%)
決意した。
のでAI用の交配エリアのストール洗浄(2012年7
表1 黒砂糖(2012年7月から給与)を給与したときの発情再帰日数の変化
年 度
4月
5月
6月
7月
8月
2012年
7.6
6.5
5.8
5.2
4.9
2011年
6.4
6.6
6.7
6.7
6.6
注1:上記の数字は離乳後から交配までの日数。実際の発情再帰日数は0.7日少ない。
注2:4月は初産豚が多い。
12
図1 ロッセ農場の授乳期間中の飼料給与量
30頭離乳:オランダで見た30頭離乳を実践している農場
ロッセ夏2012:現在の㈲ロッセ農場の給餌方法
TOPIGSマニュアル:TOPIGSのマニュアルに記載されている給餌量
去年のロッセ:去年夏の㈲ロッセ農場の給餌量
ただし、授乳期間中のP2脂肪の減少が7mmを超えると次回分娩からの総産子数に影響し
てくる。TOPIGSの推奨する4∼5mmがやはり良いようだ。
図2 P2脂肪の減少幅とその後の総産子数の関連
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㪇
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㪄㪏
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㪈㪉
㪈㪊
は総産子数が増加しすぎて中断した。
月から)を徹底している。現在のところ受胎率は
i )TOPIGS GP・PS(輸入豚)の国内販売等数は
95.7%まで改善してきている。
1,100頭を超えた(日の出物産㈱)。
e)自家産のTOPIGSの離乳頭数は11.95頭/腹まで上
昇してきている。計算上は30頭/腹離乳が可能な
【TOPIGSの性質について】
ところまできており、来年度は31頭/腹離乳を目
オランダで見た農場のTOPIGSは非常に音順で喧
標にする。
f )夏場の授乳母豚への飼料給与は、摂取量の少な
騒性はまるでなかったが、今日集合した各人の意見
い母豚へはゆめミルク5を混入したり、甘味料を
は、自社で育成した豚は神経質なのが散見されると
与えたり、水をかけたりと皆さん工夫しているこ
のこと。一部には『ウチは全然騒がない』という農
とが伺える。
場もあり日本での飼育環境が影響しているのではな
いかとの意見が共通認識だった。
g )日本では肥育豚の要求率+0.5が農場要求率にな
るのが一般的だが、米国などでは肥育豚の要求率
確かにオランダでの飼育管理は叩いたりすること
+0.3が当たり前のようになってきている。豚事協
は言うまでもなく、追い回すことも大声を出して追
の組合員もTOPIGSで生産頭数が改善されれば同
うこともしていなかったので、精力的に管理しない
様の成績が出せるだろう。
と気がすまない日本の管理習慣が影響しているので
はないかとの意見が大勢を占めた。
h )人工授精で深部注入を実行したがTOPIGSだけ
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13
(矢嶋)
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E-mail シリーズ 豚に翔ける夢
海外養豚ルポ
青年部・海外研修報告 その2
∼フェアモント編∼
東野 育美
事務局
【フェアモントでの面会者】Dr. Paul D. Ruen, DVM, Fairmont Veterinary Clinic, LLP/獣医師
(アメリカ養豚獣医師協会前会長)
Dr. Andrea Pitkin, DVM, Fairmont Veterinary Clinic, LLP/獣医師
Mrs. Sasha Gibson/Preferred Capital Management
1980年代に業界が大きくなっていき、母豚20∼30頭
とができるということである)
。このようなサービス
規模の家族経営で養豚を行っていた人たちが今後生き
は25年程前から行っているが、最初に管理農場が出来
残っていくためにはどうしたらいいかということで、
たのは1987年である。
フェアモント獣医クリニックから独立して Preferred
PCM で管理している農場のメス系の種豚は PIC と
Capital Management(PCM)が設立された。フェア
ニューシャムが5割ずつ、オス系の種豚は PIC が約9
モント獣医クリニックではコンサルサービス(衛生プ
割を占めており、これらが経営的に考えて一番良いと
ログラムの作成、薬剤の処方、農場訪問に基づく技術
考えている。GP 農場を4箇所、AIセンターを1箇
アドバイスなど)を行い、PCM では農場をフル管理
所所有している(オーナーは株を所有している生産
するサービス(場長、従業員の雇用、保険等の福利厚
者)。父親世代に比べ、経験は乏しいが管理する農場
生もすべて含む)を提供している。生産者が株を所有
はより大規模になっている若い世代の人たちのサポー
し PCM の共同所有者となっており、現在19農場を管
トのために、PCM のようなビジネスのニーズがある。
理している。PCM では主に契約先農場の管理のサポー
利益を追求するのを目的として作ったビジネスモデル
ト(離乳豚1頭当たりでチャージ、現在母豚約3万頭
ではなく、クライアントとの関係をより強固なものに
を管理している)をしているが、
その他に財務の分析、
PigCHAMP を用いたベンチマーキングなどを行って
いる。また最近では生産者からの要望に応じ、肉豚の
管理も行うようになった。契約先農場はそれらの全て
のサービスを利用しなければいけないわけではなく、
それらの一部を利用することができる(例えば、雇用
については農場独自で管理し、生産成績管理データの
処理だけ PCM に依頼するなど)
。関わっている全ての
農場の母豚数の合計は6万頭になる。PCM のスタッ
フは現在8名。
(基本的には前回紹介したパイプストー
ンシステムと同じような仕組みであるが、パイプス
トーンシステムと違うのは、PCM では生産者の希望
PCMの会議室にて
前列左Mrs. Gibson、右Dr. Pitkin、後列中央Dr. Ruen
に応じてサービス内容の利用を自身で取捨選択するこ
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することが目的である。
も注目すべきである。PRRS 等の病気が動いていると
クライアントの1サイト当たりの母豚規模は最大
きに里子に出すと病気を伝播してしまうため、また、
5,000頭、 最 小300頭、 平 均2,500∼3,000頭。 州 に よ っ
いたずらに里子に出すと子豚にとってもストレスとな
て許可を得なければならない1サイト当たりの家畜数
り増体が悪くなるために、里子に出していない母豚が
の段階が決められており、それを基に一番効率が良い
どのくらいいるかも注意深くみている。里子に出して
頭数が2,500頭、次に5,000頭(ミネソタ州)であると
いない母豚数の目標は35%。
考えている。母豚2,500頭で1週間当たり離乳豚1,000
コーンの粒度は飼料要求率を考慮し、400∼500ミク
頭が生産でき、その規模に応じた肥育豚も管理してい
ロンにしている。400ミクロン以下だと胃潰瘍の心配
る。自動給餌システムを使い、大体6∼7名で管理し
があり、500ミクロン以上だと飼料要求率が悪くなる
ている。
と考えている。ペレットだと嗜好性が落ちるとか、消
ベンチマーキングでは分娩率はあまり重要視してお
化吸収が良すぎるため下痢が増えるという理由から、
らず、計画通りに種付頭数が確保できているかという
クライアントのほとんどの農場ではマッシュを使用し
ことと、流産頭数や分娩腹数を重要視している。また
ている(データで証明されている訳ではない)
。クラ
1週間当たりの種付腹数の20%を初産豚とすることを
イアントで使用しているペレットの標準サイズは直径
目標の1つとしている。離乳後7日以内の種付けの目
3∼4 mm、長さ1 cm。長すぎると、噛み砕いたと
標が90%。種付回数は1∼2回で平均は1.8回。収容
きに口からこぼれ無駄が出るため、このくらいのサイ
可能頭数が足りない場合には妊娠後3∼7週で強制流
ズが丁度良いと思われる。あるクライアントは、離乳
産させることもある。発情同期化ホルモン(ピルのよ
したての子豚に飼料を食べることを覚えさせるために
うなもの)を利用することもある。PRRS の影響を受
味も臭いも甘いペレットをお菓子感覚で与えている。
けていると思われる“生存産子数が7頭以下の腹数”
地域全体での PRRS 撲滅とインフルエンザ対処が最
が何頭で何パーセントあるのか注意してみている。目
重要課題である。インフルエンザの対処方法としては、
標は6%以下で、平均は7.2%。生存産子数の目標は
ワクチンを接種しても株が違えばまた発症してしまう
13頭。哺乳子豚の死亡日齢をみることも重要である。
ので、インフルエンザが出たときの治療の定番で、熱
死亡日にバラつきがあると、良くない状況にあるとい
を抑えるために飲水でアスピリンを流したり、人間の
うことが想像できる。1頭も離乳できなかった母豚数
方の研究結果でビタミンDを摂取するとインフルエン
繁殖農場:Hugo-MLR Farm
入気口
外からの繁殖農場視察。母豚2,400頭。農場は築15年。2年前に空気フィルター設置。換気は20%程度制限されるため、排気ファンやイ
ンレットの数を2∼3割増やす必要あり。空気フィルターコストは1母豚当たり120 ∼ 140ドル。週2回離乳。育成豚は5週令、20 ∼
25kgで導入。初産豚育成舎が3棟あり、1つ目の育成舎で検疫を行い、4週間滞在する。2つ目の育成舎では100日間滞在、3つ目の育
成舎で180 ∼ 190日間滞在する。3つ目の育成舎でオスと接触させ、220 ∼ 240日令で1週当たり24 ∼ 25頭種付け。人工黄体ホルモン、
発情同期化ホルモン使用。
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E-mail 繁殖農場:Hugo-section 20
水フィルター
外からの繁殖農場視察。訪問直前にPRRSが入ってしまったとのこと。昔入った1-4-4株(強毒株)
。硬水のため、吸収率の減少や下痢防
止に、1週間飲水に薬剤(ビタミンEとセレン)を混ぜて与えている。この辺りの農場では2∼3年前から水フィルターを使用している
(粒度の違う石のフィルター)。初期コストは5,000 ∼ 7,000ドルで、ランニングコストは肉豚1頭当たり6∼7セント。ミネアポリスの
上水道で使われたものと同じ種類のもので、上水道では75年使用後、フィルターが交換された。飼料は、離乳豚で4段階、肉豚で4段階
の切り替えを行っており、ペイリーンを使用している。
ザの症状がやわらぐということが分かったので、豚に
10ドル。フェアモント獣医クリニックとの契約農場の
応用してビタミンD製剤を与えたりしている。ワクチ
母豚数は40,000∼5,0000頭。サーコの混合ワクチンを
ンはお金をかけて接種しても、株が違えばさらにその
導入前(離乳時)に1回と導入2週間後に1回接種し
治療のために2重にコストをかける必要が出てくるた
ている。
め、ワクチンは接種せずに、もしインフルエンザが発
※品目ごとに1ブッシェル当たりの重量は異なる。と
生した場合にはそれらの対処方法で出来る限り抑え
うもろこしでは約25.4kg。1ポンド=0.453kg。文
て、治まればワクチンを接種しなくてもその株の免疫
中のドル価格の円貨換算は1ドル=80円。
がつくというメリットもあるため、そのような対応を
している。
訪 問 当 時 の 豚 肉 価 格 は100ポ ン ド 当 た り96ド ル
(45kg 枝肉で7,680円。歩留まり75%(頭付)で120kg、
1頭当たり15,360円)。コーンは1ブッシェル7.23ドル、
大豆粕は1トン当たり471ドル。1頭辺りの差益は約
ビタミンEとセレンの添加装置
インレット
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W/F農場:HUGO-DRT(外観)
HUGO-DRT(W/Tバーン内部)
カーテン豚舎。1ヶ月前に離乳豚2,714頭導入。全てPIC。週別、大きさ別では分けていない。光熱費は1日当たり1∼2ドル(プロパ
ンガス使用)。母豚1頭あたりの1日のコストは2ドル。
W / Fバーンでの離乳豚の飼料摂取の様子
離乳豚用マット
紙を圧縮して製造したもの。約1.2×2.5m。1枚あたり7ドル。
豚事協・ベンチマーキング質疑応答3
ゆめ通信64号(前号)発行以降に会員から届いた
ます。東京の上物価格と、データベースの上位10%
ご質問とその回答の内容を掲載いたします。ご一読
の農家の価格が見事に一致して変動しているのに驚
いただき、データ作成の際の参考にして下さい。
いたことがあります。平均市場単価をいれる件に関
しては、どこの市場の単価を使うのか、上物か、中か、
Q:1kg当たり枝肉価格の参考値として、平均市場
並か、などいろいろな議論が出てくると思いますの
単価を入れて欲しい。
で、生産者の方で参考となる数値を調べて頂き、ベ
A:一度、JASVのデータで東京の上物の価格をベン
ンチマーキングで得られた価格の変動に当てはめて
チマークの枝肉価格の変動に重ねて見たことがあり
見て頂いた方が良いと思います。
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E-mail らの
9月末で清水綾子が退職し、 事務局か
せ
知ら
お 新しくスタッフが入りましたので紹介いたします。
皆様、はじめまして。
いつでも気軽にお声をかけてくださいね。
9月末から事務局でお世話になっている茂田ゆかり
まだまだわからないことが
と申します。
多いですが、一日でも早くい
今までは食べる側として国産豚が好き・・・というだ
ろいろなことを覚えて皆様の
けでしたが、仕事を通して国産豚のことに携わってみる
お役に立てるようになりたい
といろいろ大変なんだなぁ・・・と感じることが多々あ
と思っております。
ります。
どうか、これからも末永く
これからは資材などの発注業務で皆様とお電話や
よろしくお願いいたします。
FAXなどでやり取りをすることが多くなりますので、
● ● ●
豚 事 協 の 年 間 行 事
● ● ●
* * *
理 事 会
第
1
回
平成24年1月20日(金)(東京)
第
2
回
平成24年4月20日(金)(東京)
第
3
回
平成24年7月20日(金)(東京)
第
4
回
平成24年10月26日(金)(東京)
支 部 会
中 部 支 部
平成24年8月10日(金)(名古屋)
関 東 支 部
平成24年8月31日(金)(東京)
東 北 支 部
平成24年9月7日(金)(盛岡)
中 四 国 支 部
平成24年9月21日(金)(松山)
北 海 道 支 部
平成24年10月5日(金)(札幌)
九 州 支 部
平成24年10月19日(金)(熊本)
沖 縄 支 部
平成24年11月20日(火)(北谷町)
青 年 部
第1回幹部会
平成23年12月2日(金)(東京)
第2回幹部会
平成24年3月16日(金)(東京)
ベンチマーキングセミナー
平成24年3月16日(金)(東京)
全 国 研 修 会
平成24年6月7日(木)∼8日(金)(名古屋)
海外視察研修
平成24年7月8日(日)∼15日(日)(アメリカ)
技 術 研 修 会
平成24年9月28日(金)(東京)
女 性 部
第4回女性部セミナー
編 集 後 記
平成24年10月29日(月)∼31日(水)(沖縄)
※青字は平成24年11月1日以降の行事となります。都合によっては中止となる可能性も
ありますこと、ご了承下さい。
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これからの季節いろんな所でイベ
ントが開催され、豚肉をPRできる場
が増えることと思います。折角出展
するからには売上目標を達成し、自
分の豚肉をより多くの人に知っても
らわなければ意味がありません。数々
の畜産物や農産物を使った料理等が
ある中で、いかに目立ち人気を集め
るかがポイントとなります。オリジ
ナル料理にインパクトのある名前を
つけて売り込むとか、甘いタレにつ
けて焼くことで人を匂いで引き寄せ
るとか、子供が簡単に覚えて口ずさ
むことが出来るような音楽を流して
家族連れを呼び寄せるとか、いろん
な工夫が必要です。一度列が出来れ
ば、人が人を呼び寄せてくれます。
もしかするとテレビがそのイベン
トを取材に来て、番組で取り上げら
れ放映されるかもしれません。そう
なったら、万々歳!テレビの影響は
絶大です。何処でも誰でも食べられ
るようなものでは、テレビがわざわ
ざ取り上げることはないでしょうか
ら、味、見た目などのインパクトが
必要だと思います。
また、そこで買って食べた消費者
がスーパーでその豚肉を見つけたと
きに、「あのイベントで食べた**
農場の豚肉だ!」「美味しかったか
ら買ってみよう!」と思い出してく
れれば、生産者にとってこんな嬉し
いことはないと思います。
普段会員の方から「消費者の顔を
見ながら自分が作った豚肉を売りた
い」という声を聞くことがよくあり
ます。イベントに出展すれば、その
願いが叶うチャンでもあります。豚
価安、飼料高、TPPなど業界にとっ
て厳しい状況は続きますが、下を向
いてばかりもいられません。そのよ
うなイベントで人を引き寄せられる
ようなインパクトのある豚肉料理を
みんなで生み出せたらいいなと考え
ています。