現役「社労士」の労務教室 2015年の改正派遣法で 長期

#707666
現役「社労士」の労務教室
2015年の改正派遣法で
長期の派遣受け入れが可能になる?
Index
1
3度目の正直で成立するか? 2015年の改正派遣法案
2
特定労働者派遣事業の実質的な廃止
3
派遣期間制限の抜本的な見直し
4
派遣労働者の均衡待遇の推進、キャリアアップの
支援
Business Report
1
3 度目の正直で成立するか?
2 0 1 5 年の改正派遣法案
現在、人事労務の実務担当者のみならず、多くの経営者や労働者が「労働者派遣事業
の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「派遣法」)の改正
に注目しています。今回の改正派遣法案(以下「2 0 1 5 年の改正派遣法案」)は2 0 1 2 年の
改正派遣法の付帯決議に基づくものですが、過去2 度にわたって廃案になった経緯もあ
り、3 度目の正直となる今回は何かと話題に上っているのです。
2 0 1 5 年の改正派遣法案の内容は非常に重要なものばかりです。その主なポイントは次
の通りですが、いずれも現在の労働者派遣の仕組みを大きく変える内容になっています。
・特定労働者派遣事業の実質的な廃止
・派遣期間制限の抜本的な見直し
・派遣労働者の均衡待遇の推進、キャリアアップの支援
派遣法改正は、派遣労働者の保護を基本としつつ、派遣元と派遣先に対する規制緩和、
あるいは規制強化を盛り込む形で実施されます。そのため、労働者派遣事業の仕組みの
中で、どの立場(派遣元、派遣先、派遣労働者)に立つかによって派遣法改正の評価は
大きく変わってきます。これまでの派遣法改正と同様に、2 0 1 5 年の改正派遣法案も例外
なく賛否が分かれることでしょう。
(図表1)【派遣元・派遣先・派遣労働者の関係】
派遣元
(人材派遣会社)
労働者派遣契約
労働契約
(無期、有期)
派遣先
(派遣労働者を受け入れ
る企業)
指揮・命令
派遣労働者
(出所:日本情報マート作成)
当初、2 0 1 5 年の改正派遣法案は2 0 1 5 年9 月1 日の施行を目指して審議が進められてきま
した。しかし、他の重要法案との絡みもあり、8 月2 0 日時点(本稿執筆時点)では、まだ
参議院で審議中です。そのため内容には流動的なところがありますが、本稿では、8 月2 0
日時点で明らかになっている情報に基づき、「特定労働者派遣事業の実質的な廃止」「派
遣期間制限の抜本的な見直し」「派遣労働者の均衡待遇の推進、キャリアアップの支援」
を中心に、2 0 1 5 年の改正派遣法案のポイントを紹介します。加えて、2 0 1 2 年の改正派遣
法で定められた「労働契約申込みみなし制度」についても触れておきます。この制度は
2 0 1 5 年1 0 月から始まりますが、派遣先に与える影響がとても大きなものとなっています。
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