京府医大誌 125 (4),271~278,2 016. 外来局所麻酔下でのセンチネルリンパ節生検 原 271 著 乳癌に対する外来局所麻酔下での ハンディ型γプローブによる センチネルリンパ節生検の検討 藤原 郁也*1,永田 啓明1,多加 喜航1,石原 駿太1 下村 雅律1,岡山 徳成1,沢辺 保範1,鴻巣 寛1 岸本 光夫2 綾部市立病院外科 1 京都府立医科大学大学院医学研究科人体病理学 2 Handyt ypeGammaPr obegui dedSent i nelLymphNodeBi ops yf or Br eas tCanc erunderAmbul at or yLoc alAnes t hes i a 1 1 1 1 I k uy aFuj i wa r a ,Hi r o a kiNa g a t a ,Wa t a r uTa ka ki ,Sy unt aI s hi ha r a 1 1 1 Ma s a no r iShi mo mur a ,To k una r iOka y a ma ,Ya s uno r iSa wa b e , 1 2 Hi r o s hiKo hno s u a ndMi t s uoKi s hi mo t o 1 De p a r t me nto fSur g e r y ,Ay a b eCi t yHo s p i t a l 2 De p a r t me nto fSur g i c a lPa t h o l o g y , Ky o t oPr e f e c t ur a lUni v e r s i t yo fMe d i c i neGr a d ua t eSc h o o lo fMe d i c a lSc i e nc e 抄 録 我々は臨床的腋窩リンパ節転移陰性乳癌の手術に先立ち,外来の局所麻酔下で,ハンディ型γプロー ブを用いた RI ・色素併用法でのセンチネルリンパ節生検(SNB)と,永久切片による転移診断を行って いる.その成績を報告する.両側乳癌 4例を含む 99例,103病変に対して SNBを行った.同定率は 100%で,その同定パターンは,RIかつ色素法で検出:65例(63. 1%) ,RI法のみで検出:37例(35. 9%) , 色素法のみで検出:1例 (1. 0%) であった.SN転移は,Ma c r o me t a s t a s i s :21例 (20. 4%) ,mi c r o me t a s t a s i s : 8例(7. 8%) ,I TC:5例(4. 9%)であった.SNB後腋窩リンパ節郭清を省略した 80例では,観察期間 中央値は 33ヶ月で,腋窩リンパ節再発は無かった.本法は 2回の手術を要するが,精度の高い SNBと 転移診断が可能で有用な方法である. キーワード:乳癌,センチネルリンパ節生検,局所麻酔. 平成27年12月25日受付 平成28年 2月29日受理 *連絡先 藤原郁也 〒623 ‐0011 綾部市青野町大塚20 ‐1 i k uy a f uj i @y a ho o . c o . j p 藤 272 原 郁 也 ほか Abs t r ac t Pr i o rt os ur g e r yf o rc l i ni c a l l yno d e ne g a t i v eb r e a s tc a nc e r ,wed i a g no s e dme t a s t a s e so nt heb a s i so f pe r ma ne nts e c t i o nsa nds e nt i ne ll y mphno d eb i o ps y (SNB)us i ngt hec o mb i ne dr a d i oi s o t o pe (RI ) / b l ue d y eme t ho dwi t haha nd t y peg a mmapr o b eund e ra mb ul a t o r yl o c a la ne s t he s i a .SNBwa spe r f o r me df o r 99pa t i e nt s wi t h 103l e s i o ns ,i nc l ud i ng 4pa t i e nt s wi t hb i l a t e r a lb r e a s tc a nc e r . We a c hi e v e da n i d e nt i f i c a t i o nr a t eo f100% ,i nwhi c ht hei d e nt i f i c a t i o npa t t e r ni nc l ud e dd e t e c t i o nb yRIa ndb l ue d y ei n 65pa t i e nt s (63. 1%) ,d e t e c t i o nb yRIa l o nei n37pa t i e nt s (35. 9%) ,a ndb l ue d y ea l o nei no nepa t i e nt (1. 0%).Se nt i ne ll y mphno d eme t a s t a s i swa sma c r o me t a s t a s i si n21pa t i e nt s (20. 4%),mi c r o me t a s t a s i s i n8pa t i e nt s (7. 8%) ,a ndi s o l a t e dt umo rc e l l si n5pa t i e nt s (4. 9%) .I nt he80pa t i e nt swhod i dno t und e r g opo s t SNBa x i l l a r yl y mphno d ed i s s e c t i o n,t heme d i a no b s e r v a t i o npe r i o dwa s33mo nt hsa nd t he r ewe r enor e c ur r e nc e si nt hea x i l l a r yl y mphno d e so b s e r v e d . Al t ho ug ht hepr e s e ntpr o c e d ur e r e q ui r e st wos ur g e r i e s ,i ti saus e f ulme t ho dt ha te na b l e sme t a s t a s i sd e t e c t i o na ndhi g hl ya c c ur a t eSNB. KeyWor ds :Br e a s tc a nc e r ,Se nt i ne ll y mphNo d eb i o ps y ,Lo c a la ne s t he s i a . 緒 言 乳癌に対する腋窩リンパ節の扱いとして,セ ンチネルリンパ節生検(SNB)は広く普及して いるが,その同定法・リンパ節転移の診断法に ついては,施設間において大きな差がある1). 同定法はラジオアイソトープ(RI ) ・色素併用 法が最も同定率が高く,正確であるとされてい るが1‐3),RIを取り扱える施設には制限があり, CTでのリンパ管造影や,インドシアニング リーン(I CG)蛍光法などの RIを用いない同定 法も開発されている4)5). SNの転移診断法は,術中の病理診断や One St e pNuc l e i cAc i dAmpl i f i c a t i o n (OSNA)法によ り行われていることが多い6).しかし,手術日 に病理医の確保が必要であり,常勤の病理医が 居ない施設では手術日に制限がある.また, OSNA法の機器導入には相当数の乳癌手術症例 がある施設に限られている.いずれにしても, 精度の高い SNの転移診断のためには,正確に SNを同定・採取し,2mmを越える大きさの転 移巣を検出することが必要である7)8). 我々は,外来での局所麻酔下にてハンディ型 γプローブを用いた RI ・色素併用法による SNB と,パラフィン包埋切片から H. E. 染色と CK19 に対する免疫組織化学染色よる転移診断を行っ ている.これは,SNBと乳房に対する手術で, 2回の手術を行うことになる.しかし,正確な SN診断を行えること,また,SNの転移状況から, 症例により術前化学療法(NAC:ne oa d j uv a nt c he mo t he r a py )の要否や,内容を決定するため の重要な情報が得られるという利点がある9‐11). 今回はその成績について報告する. 対 象 と 方 法 SNBの適応は初発乳癌で針生検で組織学的 に乳癌の確定診断が得られている患者とした. 腫瘍径は T3までとし,腋窩リンパ節の評価は, 触診・超音波検査・CTにて転移を疑わせる所 見がないもの(c N0 )とした.また,超音波検 査で腫大したリンパ節が見られた場合は穿刺吸 引細胞診を行い悪性所見が無いものとした. 患者背景は以下の通りである.2010年 4月か ら 2015年 2月までに,両側乳癌 4例を含む 99 例(女:男=97 :2 ) ,103病変であった.平均 年齢は 61. 5±14. 5歳(me a n±SD,中央値:63 歳,31~89歳)であった.腫瘍径は,Ti s :15 例(14. 5%) ,T1 :52例(50. 5%) ,T2 :32例 (31. 1%) ,T3 :4例(3. 9%)であった. 外来での局所麻酔による RI ・色素併用法によ る SNBは以下の通りである. / RI室にて,99mTcフチン酸を,65~75MBq 0. 5ml に調整し,その 0. 3ml を乳輪皮内または 腫瘍直上皮内に投与し軽くマッサージした.リ ンフォシンチグラフィを行い,リンパ節に RI の 集積を確認後,同時に RI 室にてハンディ型γプ 外来局所麻酔下でのセンチネルリンパ節生検 ローブ(センチプローブ遺,日本メジフィジック ス)を用いて,ピンポイントでリンパ節の位置 を確認した. 続いて手術室に移動し,インジコカルミン: 4ml と 2%リドカイン:1ml の混合液を乳頭下 組織に投与し,乳頭部を軽くマッサージした. あらかじめ,γプローブにてマーキングしてお いた腋窩部に,1%リドカイン:10~20ml にて 局所麻酔を行い,2~4c mの皮切から SNBを 行った.SNの同定率,同定様式,個数,色素投 与から閉創までの手術時間,出血量,術後合併 症を検討した. 採取した SNは,10%緩衝ホルマリン固定後, 2mm厚に細切したすべてのスライスの標本を 作製し,パラフィン包埋切片から H. E. 染色と CK19に対する免疫組織化学染色(Da k o .c l o ne RCK108 )標本を作製し観察した.SNの病理診 断確定は 6日以内に行い,SNBの次の週には乳 房に対する手術,あるいは NACを開始した. 転移巣が見られた場合,その大きさを計測 し,mi c r o me t a s t a s i s以下の場合は腋窩リンパ節 郭清(ALND)を省略した.ALND省略例で, 乳房温存手術例では,乳房照射を行ったが,腋 窩照射は行わなかった.ホルモンレセプター (HR)陽性例にはホルモン療法を追加し,陰性 例では原則的にガイドラインに沿った薬物療法 を追加した8).術後は 2~3ヶ月に一度の診察, 6~12ヶ月に一度の CTまたは超音波検査を行 い,腋窩・領域リンパ節再発の有無を観察した. 結 273 果 1.SNBの同定率 全例で SNが同定可能で,同定率は 100%で あった.平均 SN摘出数は,1. 7±0. 86個(1~5 個)であった. SNの同定様式は,RIかつ色素の取り込み有 りで同定されたもの:65例(63. 1%) ,RIのみの 取り込み有りで同定されたもの:37例(35. 9%) , 色素のみの取り込み有りで同定されたもの:1 例(1. 0%)であった(表 1 ) .以上から,RI法 のみで SNBを行った場合の同定率は 99%,色 素法のみで行った場合の同定率は 64. 1%であっ た. 色素法のみで SNが同定された 1例は,術前 T1の硬癌で,RI法によるマッピングは不可能 であったが,色素法により,わずかに青染され た 4mm大の SNが同定できた.原発巣の切除 標本では I nv a s i v emi c r o c a pi l l a r yc a r c i no ma成分 が見られ,リンパ管侵襲が高度であり,その SN のほとんどが腫瘍細胞で置換されていた.それ 以外の症例では RI投与後,直後から約 40分以 内にリンフォシンチグラフィにて,腋窩リンパ 節へ RIの集積を確認し,同時に RI室において ハンディ型γプローブにて位置が同定可能で あった. 術中出血は少量のみで,手術時間は平均 28. 8±8. 2分(15~47分)であった.SNBの後, 術後出血・感染・リンパ瘻の合併症は無かった. 表 1 SNの同定率 274 藤 原 郁 2.SNの転移 SNの 転 移 率 は,Ma c r o me t a s t a s i sと mi c r o me t a s t a s i sを合わせると 28. 2%であった(表 2 ) . Ma c r o me t a s t a s i sの 21例で追加 ALNDを行った が,no nSN転移は 9例(42. 9%)にみられた. mi c r o me t a s t a s i sでは 2例のみ ALNDを行った が, no nSN転 移 は 無 か っ た. そ れ 以 外 の mi c r o me t a s t a s i s , I TCでは,ALNDは行わなかっ た. NAC前に SNBを行ったもの 19病変(両側乳 也 ほか 癌 1例を含む)について見ると,Ma c r o me t a s t a s i s での転移率は 42. 1%となった(表 3 ) .これは HR陽性・HER2陰性乳癌であっても,腫瘍径 が 2c mを超える症例で NACの適応を決定する ために SNBを行って,転移陽性なら NACを行 う方針とした例など,腫瘍径が大きな症例が含 まれているため,全体として転移率が高くなっ た可能性がある.また,HR陰性・HER2陰性 乳癌でも,腫瘍径が 1c m前後と小さい例や,高 齢者で NACの内容・適応を決定するために SNB 表 2 腫瘍径別の SN転移率 Ma c r o me t a s t a s i s :腫瘍径 2mm超. mi c r o me t a s t a s i s :腫瘍径 0. 2mm超,2mm以下. I TC(i s o l a t e dt umo rc e l l s ) :腫瘍径 0. 2mm未満 表 3 NAC前の SNBの転移率 HR(ホルモンレセプター) ;免疫組織化学染色で,ERまたは Pg R陽性細胞が 10%以上を 陽性と判定 HER2 ;免疫組織化学染色(He r c e pTe s t )でスコア;3+ を陽性と判定.または,2+ の場 合, FI SH法で HER2/ CEP17比>2. 2を陽性と判定 外来局所麻酔下でのセンチネルリンパ節生検 を行った.実際には,SN転移陽性なら,アント ラサイクリン系・タキサン系薬剤の順次投与を 行い,転移陰性ならそのどちらか一方のみの薬 剤で NACを行うなど,方針決定の判断材料と m前後の HER2 した9)10).さらに,腫瘍径が 1c 陽性乳癌で,SN転移陰性のためアントラサイ クリン系薬剤を省略したレジメンを選択した症 例があった11). 3.SNB後 ALND省略例の成績 SNBの後,ALNDを省略した 80例において, 術後平均術後観察期間は 34±18. 4ヶ月(中央 値:33 ,8~67ヶ月)で,腋窩・領域リンパ節 再発は無かった.また,腋窩~上腕の知覚異常 は無かったが,1例で上肢浮腫がみられた.本例 は術後 3ヶ月目に患側の a x i l l a r ywe bs y nd r o me を生じ,その後患側上肢の浮腫が出現したが, 約 4ヶ月で自然に軽快した. 考 察 近年,c N0の乳癌に対する SNBは広く普及 し,我が国のガイドラインでも強く推奨されて いる8‐12)13).SNBにより SN転移陰性で ALNDが 省略できれば,予後を悪化させること無く ALND による合併症を回避でき,QOL向上に寄与でき る14)15).これには,正確に SNを同定し,2mmを 越える大きさの転移巣を確実に診断することが 必要である7). SNの同定法では,RI ・色素併用法が最も同定 率が高いとされ,当院でもこれを採用した1). SN転移診断は,術中に凍結切片による病理診 断を行う方法があるが,病理医の確保の問題が ある.また,OSNA法にて行う場合,相当数の SNB症例数がないと機器導入・運用には費用の 問題がある7).当施設は,地方の中規模病院で あり,上記の 2つの方法は困難である.そこで, 患者には 2回手術を行うことになるが,まず外 来手術として局所麻酔下に SNBを先行し,SN を 2mm厚に細切しすべてのスライスの標本を 作製し,転移診断を行うこととし,2010年より SNBを開始した. RI ・色素併用法による SNの同定率は 100%で あった.RIの取り込み有りとして SNが同定さ 275 れたものは 99%と良好であった.特に,ハン ディ型γプローブを RI 室に持ち運び,その場で 事前に SNの位置確認が可能であり有用な方法 であると考えられた. 一方,色素の取り込み有りとして SNが同定 されたものは 64. 1%にとどまった.日本での臨 床試験では,インジコカルミン単独でも 96. 5% の高い同定率が報告されている1).一方,初期 の報告ではパテントブルーでの同定率は 84%, インジコカルミンンでの同定率は 75%と報告 されており,これらの色素間で同定率に有意差 は無いとされているが3),インジコカルミンで は同定率がやや低い可能性がある.また,以前 我々が報告した RI ・色素併用法による SNBで は,色素の取り込み有りとして SNが同定され たものは 91. 5%であった2).この報告では,色 素としてパテントブルーを用いたが,今回はイ ンジコカルミンを用いており,色素の違いによ り同定率が悪化した可能性がある. また,表 1に示すように,RI ・色素両方の取 り込みのある SNが同定された 65例中,この SN の他に RIのみの取り込みがある SNが 14例 (21. 5%) ,色素のみの取り込みのある SNが 5例 (7. 7%) に同定されており,これらを見逃さない ためにも,RI ・色素併用法が精度の高い SN同 定のために必要であると考えられる16)17). SNの転移診断については,標準的な検索法 は定められていない.しかし,2mmを超える 大きさの転移巣を確実に診断するためには,少 なくとも 2mm厚に細切したすべてのスライス の標本を作製する必要があり,当院でもこれを 採用した.それによるSN転移率は,表2に示す ように過去の報告と比較しても妥当な数値であ ると考えられる12‐14). 一 方, 当 施 設 で SNBを 開 始 し た 当 時 は, mi c r o me t a s t a s i s ,I TCの臨床的意義は明確で は無かったため,これらを検出するために免 疫組織化学染色も併用し SN転移診断を行っ た.それにより,mi c r o me t a s t a s i s ,I TCまでも 検出可能であった.しかし,現在では免疫組織 化学染色でしか発見できないような微細な転移 巣の臨床的意義は少ないと考えられるように 276 藤 原 郁 なっており,免疫組織化学染色を継続するかど BCSG2301 うか検討中である7)18‐20).ただし,I の結果から,mi c r o me t a s t a s i sなら ALNDを省略 c r o me t a s t a s i s できると考えられ8)21),正確に Ma と mi c r o me t a s t a s i sを区別するために,は免疫 組織化学での転移巣の検出,その大きさの測定 は有用である可能性がある. また,あらかじめ SNBで腋窩リンパ節の転移 の有無を把握することには,いくつかの利点が ある. その一つは,補助化学療法に関する点であ る.乳癌治療の一環として,補助化学療法を行 うかどうかは,重要な問題である.補助化学療 法の再発抑制効果は,術前または術後に行って も同等であり,術前に化学療法の適応が決まっ ていれば NACを行ってもよいとされている8). ER陽性・HER2陰性乳癌では,主に病理学的 因子から再発リスクを推定し補助化学療法の適 応を決定する.その病理学的因子の中でもリン パ節転移の有無は重要であり,転移陽性なら化 学療法が考慮される.また,ER陰性乳癌や HER2陽性乳癌は,再発リスクが非常に低い場 合以外は補助化学療法を行う.その場合,リン パ節転移陽性であれば,アントラサイクリン系 にタキサン系薬剤を追加するレジメンが考慮さ m以下の腫瘍 れる9)10).HER2陽性乳癌でも,3c 径でリンパ節転移陰性であればアントラサイク リン系薬剤を省略したレジメンも考慮できる可 能性がある11).以上のように,SNBによってあ らかじめリンパ節転移の有無を知ることで 文 也 ほか NACの適応・内容を決定に役立つと考えられ る. さらに,ALNDの適応に関する点である.Z 0011の結果から,H. E. 染色による病理検索での SN転移が 2個以下であり,乳房照射を行う乳房 温存手術で術後薬物療法を行う場合であれば, ALNDを省略しても無病生存率・全生存率は悪 化しないとされている22).ただし本試験には症 例集積数・イベント数が少ない,SN転移陽性が 対象であるがその約 40%は mi c r o me t a s t a s i sで あったなどの問題点が有り,本試験の条件を満 たす症例すべてで ALNDを省略するには慎重 であるべきである.今後,我々は Z0011の結果 も患者に情報提供し,あらかじめ SNBを行い転 移診断を行っておくことで,全身麻酔下での乳 房への手術の前に,ALNDを行うかどうか,患 者も交えて相談し方針決定を行うことを考慮し ている. 結 語 外来局所麻酔下での RI ・色素併用法による SNBは,2回の手術を行うという欠点があるも のの,精度の高い SN検出と転移診断が可能で あり,さらに,SN転移状況から補助療法の適 応・内容決定に重要な情報がえられるため,有 用な方法であると考えられた. 開示すべき潜在的利益相反状態はない. 献 1)中村清吾,津川浩一郎,岩田広治,大野真司,秋山 K,I wa t aH,Oht aM,Kur o s umiM,Ts ug a waK.A 太,元村和由,徳田安春,芳賀駿介.センチネルリン mul t i c e nt e rv a l i d a t i o ns t ud yo fs e nt i ne ll y mphno d e パ節生検に対する多施設共同臨床確認試験における b i o ps yb yt heJ a pa ne s eBr e a s tCa nc e rSo c i e t y .Br e a s t 安全性と同定率に関する報告.乳癌の臨 2009;24: Ca nc e rRe sTr e a t2000;63:3140. 271277. 2)中嶋啓雄,藤原郁也,水田成彦,阪口晃一,鉢嶺泰 4)Sug aK,Ya ma mo t oS,Ta ng o k uA,OkaM,Ka wa ka mi Y , Ma t s una g a N. Br e a s ts e nt i ne ll y mph no d e 司,中務克彦,小林 文.乳癌手術におけるセンチネ na v i g a t i o n ルリンパ節郭清省略例の遠隔成績.日臨外会誌 2007; mul t i d e t e c t o r r o wc o mput e dt o mo g r a phi cl y mpho g r a - 68:10511056. 3)No g uc hi M, Mo t o mur aK, I mo t oS, Mi y a uc hi M, Sa t o wi t h t hr e e d i me ns i o na l i nt e r s t i t i a l phy .I nv e s tRa d i o l2005;40:336342. 5)Sug i eT,Sa wa d aT,Ta g a y aN,Ki no s hi t aT,Ya ma g a mi 外来局所麻酔下でのセンチネルリンパ節生検 K, SuwaH, I k e d aT, Y o s hi mur aK, Ni i miM, Shi mi z uA, 277 SP ,Co s t a nt i noJ P ,As hi ka g aT,We a v e rDL,Ma mo una s To i M. Co mpa r i s o n o ft he i nd o c y a ni ne g r e e n EP ,J a l o v e cLM,Fr a z i e rTG,No y e sRD,Ro b i d o uxA, f l uo r e s c e nc ea ndb l ued y eme t ho d si nd e t e c t i o no f Sc a r t hHM,Wo l ma r kN.Se nt i ne l l y mphno d er e s e c - s e nt i ne ll y mphno d e si ne a r l y s t a g eb r e a s tc a nc e r .Ann t i o nc o mpa r e dwi t hc o nv e nt i o na la x i l l a r y l y mphno d e Sur gOnc o l2013;20:22132218. 6)Ts uj i mo t oM,Na ka b a y a s hiK,Y o s hi d o meK,Ka ne k o d i s s e c t i o ni nc l i ni c a l l y no d e ne g a t i v e pa t i e nt swi t h b r e a s tc a nc e r :o v e r a l ls ur v i v a lf i nd i ng sf r o m t he T,I wa s eT,Aki y a maF ,Ka t oY ,Ts ud aH,Ue d aS,Sa t o NSABPB32r a nd o mi z e dpha s e3t r i a l .La nc e tOnc o l K,Ta ma kiY ,No g uc hiS,Ka t a o kaTR,Na ka j i maH, 2010;11:927933. Ko mo i k eY , I na j i H, Ts ug a waK, Suz uki K, Na ka mur aS, 14 )Ma ns e lRE,Fa l l o wf i e l d L,Ki s s i n M,Go y a lA, Da i t o hM, Ot o moY , Ma t s uur aN. One s t e pnuc l e i ca c i d Ne wc o mb e RG,Di x o nJ M,Yi a ng o u C,Ho r g a n K, a mpl i f i c a t i o nf o ri nt r a o pe r a t i v ed e t e c t i o no fl y mph Bund r e dN,Mo ny pe nnyI ,Eng l a ndD,Si b b e r i ngM, no d eme t a s t a s i si nb r e a s tc a nc e rpa t i e nt s .Cl i nCa nc e r Ab d ul l a hTI ,Ba r rL,Che t t yU,Si nne t tDH,Fl e i s s i gA, Re s2007;13:48074816. Cl a r k e D,El lPJ .Ra nd o mi z e d mul t i c e nt e rt r i a lo f 7)日本乳癌学会編:科学的根拠に基づく乳癌診療ガイ s e nt i ne l no d e b i o ps y v e r s us s t a nd a r d a x i l l a r y ドライン②疫学・診断編 2015年版.金原出版,東 t r e a t me nti no pe r a b l eb r e a s tc a nc e r :t heALMANAC 京,2015. 8)日本乳癌学会編:科学的根拠に基づく乳癌診療ガイ Tr i a l .JNa t lCa nc e rI ns t .2006;98:599609. 15 )As hi ka g aT, Kr a gDN, La ndSR, J ul i a nTB, And e r s o n ドライン①治療編 2015年版.金原出版,東京,2015. SJ ,Br o wnAM,Sk e l l yJ M,Ha r l o w SP ,We a v e rDL, 9)Pe t oR,Da v i e sC,Go d wi nJ ,Gr a yR,Pa nHC,Cl a r k e Ma mo una sEP ,Co s t a nt i noJ P ,Wo l ma r kN.Mo r b i d i t y M,Cut t e rD,Da r b yS,McGa l eP ,Ta y l o rC,Wa ngYC, r e s ul t sf r o mt heNSABPB32t r i a lc o mpa r i ngs e nt i ne l Be r g hJ ,DiLe oA,Al b a i nK,Swa i nS,Pi c c a r tM, l y mphno d ed i s s e c t i o nv e r s usa x i l l a r yd i s s e c t i o n.J Pr i t c ha r dK.Co mpa r i s o nsb e t we e nd i f f e r e ntpo l y c he - Sur gOnc o l2010;102:111118. mo t he r a pyr e g i me nsf o re a r l yb r e a s tc a nc e r :me t a - 16 )Co d y HS 3r d ,Fe yJ ,Akhur s t T,Fa z z a r iM, a na l y s e so fl o ng t e r mo ut c o mea mo ng100, 000wo me n Ma z umd a r M, Y e ung H, Y e h SD, Bo r g e n PI . i n123r a nd o mi s e dt r i a l s .La nc e t2012;379:432344. Co mpl e me nt a r i t yo fb l ued y ea ndi s o t o pei ns e nt i ne l 10 )Ha y e s DF ,Tho rAD,Dr e s s l e rLG,We a v e rD, no d el o c a l i z a t i o nf o rb r e a s tc a nc e r :uni v a r i a t ea nd Ed g e r t o nS,Co wa nD,Br o a d wa t e rG,Go l d s t e i nLJ , mul t i v a r i a t ea na l y s i so f966pr o c e d ur e s .Ann Sur g Ma r t i noS,I ng l eJ N,He nd e r s o nI C,No r t o nL,Wi ne r EP ,Hud i s CA,El l i s MJ ,Be r r y DA;Ca nc e ra nd Onc o l2001;8:1319. 17 )Go y a lA,Ne wc o mb eRG,Chha b r aA,Ma ns e lRE; Le uk e mi aGr o up B(CALGB)I nv e s t i g a t o r s .HER2 ALMANAC Tr i a l i s t sGr o up.Fa c t o r sa f f e c t i ngf a i l e d a nd r e s po ns et o pa c l i t a x e li n no d e po s i t i v eb r e a s t l o c a l i z a t i o na ndf a l s e ne g a t i v er a t e so fs e nt i ne lno d e c a nc e r .NEng lJMe d2007;357:14961506. 11 )To l a ne ySM,Ba r r yWT,Da ngCT,Ya r d l e yDA,Mo y B,Ma r c o m PK,Al b a i nKS,Rug oHS,El l i sM,Sha pi r a I ,Wo l f fAC,Ca r e yLA,Ov e r mo y e rBA,Pa r t r i d g eAH, b i o ps yi nb r e a s tc a nc e r r e s ul t so ft he ALMANAC v a l i d a t i o npha s e .Br e a s tCa nc e rRe sTr e a t2006;99: 203208. 18 )Gi ul i a noAE,Ha we sD,Ba l l ma nKV ,Whi t wo r t hPW, GuoH,Hud i sCA,Kr o pI E,Bur s t e i nHJ ,Wi ne rEP . Bl ume nc r a nzPW,Re i nt g e nDS,Mo r r o w M,Le i t c h Ad j uv a ntpa c l i t a x e la ndt r a s t uz uma bf o rno d e ne g a - AM,HuntKK,Mc Ca l lLM,Ab a t iA.As s o c i a t i o no f t i v e ,HER2po s i t i v eb r e a s tc a nc e r .NEng lJMe d2015; o c c ul tme t a s t a s e si ns e nt i ne ll y mphno d e sa ndb o ne 372:134141. 12 )Ve r o ne s iU,Pa g a ne l l iG,Vi a l eG,Lui niA,Zur r i d aS, Ga l i mb e r t iV ,I nt r aM,Ve r o ne s iP ,Ma i s o nne uv eP , ma r r o wwi t hs ur v i v a la mo ngwo me nwi t he a r l y s t a g e i nv a s i v eb r e a s tc a nc e r .J AMA2011;306:385393. 19 )Ha ns e nNM, Gr ub eB, Y eX, Tur ne rRR, Br e nne rRJ , Ga t t iG,Ma z z a r o lG,De Ci c c oC,Ma nf r e d iG, Si m MS,Gi ul i a noAE.I mpa c to fmi c r o me t a s t a s e si n Fe r n 侃nd e zJ R. Se nt i ne l l y mphno d eb i o ps ya sa t hes e nt i ne lno d eo fpa t i e nt swi t hi nv a s i v eb r e a s t s t a g i ng pr o c e d ur ei nb r e a s tc a nc e r :upd a t eo fa c a nc e r .JCl i nOnc o l2009;27:46794684. r a nd o mi z e dc o nt r o l l e ds t ud y .La nc e tOnc o l2006;7: 983990. 13 )r a gDN,And e r s o nSJ ,J ul i a nTB,Br o wnAM,Ha r l o w 20 )d eBo e rM,v a nDe ur z e nCH,v a nDi j c kJ A,Bo r m GF ,v a nDi e s tPJ ,Ad a ngEM,No r t i e rJ W,Rut g e r sEJ , Se y na e v e C,Me nk e Pl uy me r s MB,Bul tP ,Tj a n- 278 藤 原 郁 也 ほか He i j ne nVC.Mi c r o me t a s t a s e so ri s o l a t e dt umo rc e l l s pa t i e nt swi t hs e nt i ne l no d emi c r o me t a s t a s e s (I BCSG a ndt heo ut c o meo fb r e a s tc a nc e r .NEng lJMe d2009; 2301 ):apha s e3r a nd o mi s e dc o nt r o l l e dt r i a l .La nc e t 361:653663. Onc o l2013;14:297305. 21 )Ga l i mb e r t iV ,Co l eBF ,Zur r i d aS,Vi a l eG,Lui niA, 22 )Gi ul i a noAE,HuntKK,Ba l l ma nKV ,Be i t s c hPD, Ve r o ne s iP ,Ba r a t e l l aP ,Chi f uC,Sa r g e nt iM,I nt r aM, Whi t wo r t hPW,Bl ume nc r a nzPW,Le i t c hAM,Sa haS, Ge nt i l i niO,Ma s t r o pa s q uaMG,Ma z z a r o lG,Ma s s a r ut McCa l lLM,Mo r r o w M.Ax i l l a r yd i s s e c t i o nv sno S,Ga r b a yJ R,Zg a j na rJ ,Ga l a t i usH,Re c a l c a t iA, a x i l l a r yd i s s e c t i o ni n wo me n wi t hi nv a s i v eb r e a s t Li t t l e j o hnD,Ba me r tM,Co l l e o niM,Pr i c eKN,Re g a n c a nc e ra nds e nt i ne lno d eme t a s t a s i s :ar a nd o mi z e d MM,Go l d hi r s c hA,Co a t e sAS,Ge l b e rRD,Ve r o ne s i c l i ni c a lt r i a l .J AMA2011;305:569575. U.Ax i l l a r yd i s s e c t i o nv e r s usnoa x i l l a r yd i s s e c t i o ni n
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