化学テスト [問題兼解答用紙] 番号 氏名 電卓を使用してよい(関数電卓も可)。必要に応じて次の値を使うこと。 原子量 H:1.0, C:12.0, O:16.0, Na:23.0, Cl:35.5 気体定数 R = 8.314 J K mol-1 = 0.08205 L atm K-1 mol-1 【1】次の各問に答えよ。途中の計算過程もわかるように解答を書くこと。ただし,蒸留水,溶液の密 度はいずれも 1.00 g cm-3 とせよ。 (1) 水酸化ナトリウム 1.00 g を蒸留水 99.0 mL に溶かした。この水溶液の重量パーセント濃度と容量 モル濃度を計算せよ。 1.00 100 1.0% 1.00 99.0 1.00 100 NaOH のモル質量は 40.0 g mol-1 なので容量モル濃度は 0.250 mol L1 40.0 1000 蒸留水の質量は 99.0 g なので,質量パーセント濃度は (全体積を 99 mL で計算した 0.253 mol L-1 も正解とした) 重量%濃度 1.0 % 容量モル濃度 0.250 mol L-1 (2) エタノール 50.0 mL と蒸留水 50.0 mL を混合した。この水溶液の容量パーセント濃度と,質量モ ル濃度を求めよ。ただし水とエタノールの密度はそれぞれ 1.00 g cm-3 と 0.789 g cm-3 である。 50.0 100 50.0% 50.0 50.0 50.0 エタノール 50.0 mL は 0.789 0.858 mol に相当するので, 46.0 50.0 17.2 mol kg 1 質量モル濃度は, 0.858 1000 容量パーセントは, 容量%濃度 50.0% 質量モル濃度 17.2 mol kg-1 (3) 生理食塩水は塩化ナトリウムを 0.9 %含む食塩水である。生理食塩水を 300 mL 作るには何を何 g と何を何 g 混合すればよいか説明せよ。 生理食塩水 300 mL (≡ 300 g)を作るには,食塩を 300 0.009 2.7 g を, 蒸留水(精製水)300 2.7 = 297.3 g に加えればよい。 1 化学テスト [問題兼解答用紙] 番号 氏名 【2】 カルシウムとクエン酸イオンは錯イオンを形成する。その錯形成平衡は次のように表される。 (CaCit) Ca 2 +Cit 3 ただし Cit3と(CaCit)は,それぞれクエン酸イオンとカルシウム-クエン酸錯イオンである。この 錯形成平衡定数は K = 1.5103 (mol L1)1 である。次の問いに答えよ。 (1) 錯形成平衡定数 K を[Ca2+],[Cit3],[(CaCit)]を用いて表せ。 K [(CaCit) ] [Ca 2 ][Cit 3 ] (2) 0.40 mol L1 の塩化カルシウム溶液 100 mL に,0.40 mol L1 のクエン酸三ナトリウム 100 mL を加 えた。どちらの溶液も水溶液中の電解質は完全に電離しているものとして,溶液中の錯イオンの 濃度と錯イオンになっていないカルシウムイオンの濃度の比を求めよ。 全体の体積は 200 mL になるので,仕込み濃度は Ca2+,Cit3-のどちらも 0.40 0.1 0.20 mol L-1 0.20 平衡状態において全体の x が反応するとすると,[Ca2+]=[Cit]=0.20(1-x),[(CaCit)]=0.20x 代入すると, K 0.20 x 0.20(1 x) 2 1.5 103 (mol L1 ) 1 これを x について解くと,x = 0.944 となる。したがって錯イオンとカルシウムイオンの濃度比は [Ca 2 ] 0.20(1 0.944) 0.059 [(CaCit) ] 0.20 0.056 (3) (2)において,さらに同じ濃度のクエン酸三ナトリウム 100 mL を追加したとき,錯イオンの濃度 が増加するか減少するか答えよ。また,理由を簡単に説明せよ。 全体積が 300 mL になる。仕込み濃度は [C a 2 ] 0.40 0.10 / 0.30 4 30 m ol L 1 [Cit 3 ] 0.40 0.10 2 / 0.3 8 30molL1 Ca2+のうちの x だけが錯イオンに変化した したとき,各イオンの濃度は,それぞれ [Ca2+] = 4(1x)/30,[(CaCit)] = 4x/30, [Cit] = 8/30 4x/30 となる。従って, 4 x 30 K 1.5 103 4(1 x ) 30 (8 30 4 x 30) 変形すると二次方程式 200 x 2 601x 400 0 が得られ,解の公式から 0 x 1 の解は x 601 6012 4 200 400 0.995 2 200 このとき錯イオンの濃度は [(CaCit)] = 4x / 30 = 0.133 mol/L (2)より,クエン酸三ナトリウム溶液を追加 する前の錯イオン濃度は, [(CaCit)] = 0.20×0.944=0.189 mol/L だから,濃度は減少している。 補足 計算すると,上のように錯イオンの濃度は減 少する。これは溶液を追加することによって, 溶液の体積が増えた分,全体の濃度が下がっ たからである。クエン酸イオンを添加するこ とで,化学平衡自体は右にずれ,錯イオンが 形成されることに注意せよ。このことは,x の値が 0.944 から 0.995 に増加していること に現れている。 2 化学テスト [問題兼解答用紙] 番号 氏名 【3】 次の問いに答えよ (1) ブタンとブタノールの分子式を答えよ。 ブタンは炭素数 4 個のアルカンなので,CnH2n+2 において n = 4 ブタノールはブタンの水素 1 個が水酸基に変わったものなので O が 1 個余分に存在 C4H10 ブタン ブタノール C4H10O (2) ブタンの構造異性体の分子構造を描き,それぞれの物質名を答えよ。 ブタンは炭素数 4 個で,そのつながり方には次の 2 通りがある。下では C-C 結合に角度をつけ て示したが,すべて直角でよい n-ブタン C H3 H3C C H C H3 2-メチルプロパン(i-ブタン,イソブタン) (3) ブタノールの構造異性体の分子構造を描き,それぞれの物質名を答えよ。 この問題は考え方だけ書いておきます。 ブタノールの異性体を考えるときは,(2)で答えた 2 種類のブタンの C-H 結合もしくは C-C 結合の間に O 原子を入れたものを考えればよい。単結合の回りに分子内回転できるので,可 能な構造のうち,いくつかは同じ構造を示していることがある。このことに注意しながら構 造を考えること。 異性体は全部で 7 個ある。n-ブタンからは 4 通り,2-メチルプロパンからは 3 通りが導かれ る。パズルを解くようなものなので,自分で考えてみよう。 3
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