09/11 - AKchem.com

2009.11
2004.07
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-海外雑誌の主要タイトルとサブタイトル紹介による情報-
*記事の詳しい内容については、各誌をご覧ください。
海外雑誌:
Modern Plastics Worldwide;
Plastics Technology ;
Plastics Engineering ;
Kunststoffe International ;
その他
〈11 月度のトピックス〉
一般にプラスチック製品は、フィラーと総称されるさまざまな添加剤を混錬したポリマー混
合物(コンパウンド)を用いて成形されており、フィラーは成形品の物性向上やコスト削減に
貢献しています。今月のトピックスでは、フィラーの物性や機能、欧州の主なフィラーメーカ
ーとその製品、さらに最近のトレンドと新製品を紹介した Kunststoffe International 9 月号の
記事を要約して紹介します。著者はケルン工科大学の工学博士 Martin Bonnet 教授です。
記事で紹介されているのはほとんど無機系のフィラーです。フィラーを樹脂に加えることに
よる影響として、フィラーのアスペクト比(長さと直径の比)が成形品の伸びや強度に影響す
ることや、熱伝導性が樹脂より高いので、加熱や冷却速度が大きくなり成形コストが下がるこ
と、あるいは難燃性を付与するための金属水酸化物は、その分解温度が樹脂の加工温度より高
いものを選ぶ必要があることなどが述べられています。またフィラー粒度分布が耐衝撃性に影
響することや、主な無機系フィラーのアスペクト比も紹介されています。いずれの場合も、フ
ィラーを混錬してその機能を発揮させるためには、フィラーと樹脂が親和性を持つことや、フ
ィラーの凝集を防いで樹脂中に均一に分散させることが重要であると述べています。
無機水酸化物、無機塩、粘土鉱物などの無機系フィラー計 13 種類について、欧州のメーカ
ーやその製品名が一覧表で示されています。
フィラーはその多くが天然の素材からなるため、新規な素材の製品はほとんどありませんが、
粒度分布を調整して加工性を改善した例や、マスターバッチにして用途を拡大した例等を挙げ
て、以下のような新しい製品を紹介しています。
・超微粒子の水酸化アルミニウム
Martinswerk 社(独)の製品 2 種類を取り上げています。特長は粒度分布の調整により
コンパウンドの流動性が向上したことと、フィラー自体の耐熱性が改善されたことで、
主な用途は電線ケーブルの難燃剤と言っています。
・珪質土
Hoffmann Mineral 社(独)の製品を紹介しています。金属と接触する O リングなどに
用いられ、金属の電気腐食を防ぐために電気抵抗が高いフィラーとしてカーボンブラッ
クの代わりに用いられます。
本件についてのお問い合わせは、(株)旭リサーチセンターhttp://www.asahi-kasei.co.jp/arc/までお願い申し上げます。
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・炭酸カルシウム(ポリオレフィン用)
Omya 社(独)のポリオレフィン用の炭酸カルシウム 65~85 重量%を含むマスターバ
ッチを取り上げています。用途はブローフィルム、シート、パイプなどで、炭酸カルシ
ウム添加により強度が向上するので、肉厚を薄くできると述べています。
このほかに防水性でガス透過性フィルムに用いられる炭酸カルシウムも紹介されています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.72-76)
〈主 要海外誌 記事のデ ィクショ ナリー〉
BMS 社は車の窓ガラス代替用 PC 樹脂のパイロット成形機を公開
Bayer MaterialScience(BMS)社(独)が、自動車用窓ガラス代替品をポリカーボネート
(PC)樹脂で成形するための試作用成形機を公開したことを伝えています。成形機は Engel
社の射出成型機で、スイベル(回転継手)の金型取付盤と射出圧縮成形を特徴とし、面積 1.2m2
のパノラマルーフモジュールを作ることができます。またフィルムインサート成形が可能であ
り、これにより PC 樹脂の後部窓やサンルーフに、加熱霜取り、アンテナ、直射日光遮蔽など
のさまざまな機能を付加できます。高品質の透明部材を効率よく成形するための温度調節ユニ
ットや、2 コンポーネント成形への対応等も紹介されています。同社は、自動車窓ガラス用樹
脂の市場は 2018 年までに世界で 11.8 万トンになると予想しています
BMS 社は、1998 年に GE プラスチックス社と合弁で Exatec 社を設立し、プラズマコーテ
ィングによるガラス代替 PC 樹脂の開発を進めていましたが、2007 年に GE プラスチック社が
SABIC 社に買収されたことにより合弁を解消し、以後は独自にポリシロキサンのウェットコー
ティング技術を開発し、現在実用化へ向けたテストが行われていると伝えています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.8-9、
European Plastic News 10 月号 p.20)
ガスアシスト射出成型技術の特長を紹介
ガスアシスト射出成形技術を紹介した記事です。この技術は、旭化成(日)により開発され、
Cinpres Gas Injection 社(英)によってさらに改良が加えられたと言っています。
この技術は、もともとは金型内の樹脂内部にガスを注入して中空化し、成形品の軽量化、残
留応力減少、成形サイクル時間短縮等の目的で利用されました。その後、薄肉部品へ適用して
金型内で成形品の裏面から圧力を加えることで、冷却時の収縮による成形不良を改善し、成形
品の表面外観や寸法精度の向上が可能になったと述べています。そのほかにこの方法の利点と
して、型締圧を低く出来ることや、金型内の酸素除去による表面品質改善効果などを紹介して
います。
(Kunststoffe International 9 月号 p.13-14)
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GF 強化 PA と同等以上の剛性や耐衝撃性を有する GF 強化 PP
今年 8 月号でも紹介しましたが、これまでエンプラの指定席と思われていた車のエンジンル
ームのプラスチック部品でも、最近になって GF 強化 PP のような汎用樹脂が採用された例が
現れました。この記事では、Polykemi 社(スェーデン)の GF 強化 PP 樹脂 Polyfill○R PP HC
が、GF 強化した PA 樹脂や PBT 樹脂と比べて、同等以上の剛性や耐衝撃強度を有すること、
軽量であること、成形前の乾燥が不要なことなどを紹介しています。この PP は高度の立体規
則性(アイソタクチシティ)を有すると言っています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.56-57)
PA や PBT による熱硬化性樹脂の代替は、今後さらに進むと予想
エンプラ系の熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂に比べて強度や難燃性等で同レベルの性能を有
し、加工コストが低く(成形時間が短く、バリ取りがほとんど不要など)、原料の取扱いが容易
であることから、以前は熱硬化性樹脂が使われていた用途で代替が進んでいます。この記事で
は、これまでに PA や PBT で熱硬化性樹脂を代替した例を挙げ、今後代替が進むと思われる用
途について触れています。
すでに熱可塑性樹脂で代替された例
電気
:
トラック:
ランプソケット、ターミナルブロック、モーター部品等
バンパー、ウィング(荷台側面の全面扉)、フロントグリル等
今後代替される可能性がある用途は、高 GF 強化樹脂(例えば GF60%)の高熱伝導性、耐
熱性、高弾性等の物性を生かす用途として下記のような例を挙げています。
電気
:
変圧器、モーターのケーシング、
自動車
:
LED ヘッドランプのリフレクタ
(Kunststoffe International 9 月号 p.58-59)
Ems-Grivory 社はバイオ資源由来の原料を用いたポリフタルアミド樹脂を開発
Ems-Grivory 社(スイス)が開発したポリフタルアミド(PPA)樹脂 Grivory○R HT3 の特長
を紹介しています。この樹脂の原料は植物由来のヒマシ油から作られており、物性的には吸湿
性、耐加水分解性、延性などが優れ、さらに卓越した燃料バリヤー性を有すると言っています。
用途は、食品接触材料のほかに、非ハロゲン系難燃グレードは電気・電子分野での展開が考え
られています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.61)
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航空機部品の金属代替として Ticona(独)の PPS 樹脂を採用
Ticona(独)の CF 強化ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂 Fortron○R が、航空機部品
の軽量化とコスト削減を目的に金属代替として使用されている例を紹介しています。必要な物
性として、オイル、燃料、溶剤、凍結防止剤に対する耐性が 240℃まで良好なことと、優れた
強度、寸法安定性、難燃性を挙げています。
エアバス A380 の部品約 1,000 点、計 2.5 トンが、PPS 樹脂複合体で作られており、胴体の
補強リブや滑り止め、翼のエッジのような用途のほかに、インテリアにも使われていることを
述べています。部品は誘導加熱溶接で接着され、リベットやボルトを使用しないため、組立時
間短縮やコスト削減だけでなく、より高い強度や安全性を実現できると報じています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.62)
樹脂表面のスクラッチ耐性を改善する添加剤
Evonik Gold-schmidt 社(独)から、タルクを含む樹脂表面のスクラッチ(引掻き傷)耐性
向上に有効な添加物 Tegomer○R が上市されたことを伝えています。添加物は有機処理されたシ
ロキサンで、樹脂表面を滑らかにすることで耐スクラッチ性を改善しているようです。さらに
PP 樹脂の場合、IMI Fabi 社(伊)の疎水化処理したタルクを併用すると、PP 樹脂とタルク
の親和性が向上して、傷部分のタルクが浮き出ることがないので、傷が目立たず、耐スクラッ
チ性がさらに向上することをグラフと写真で説明しています。Tegomer○R には、PP 用のほかに
PC/ABS 用や GF 強化 PA 用があります。
(Kunststoffe International 9 月号 p.64-67)
R 樹脂を採用
ボーイング機のタイヤ空気圧等のモニター部品に PEEK○
航空機用ブレーキシステムのメーカーMessier-Bugatti 社(伊)は、ボーイング 747-8 のタ
イヤ空気圧やブレーキ温度のモニターシステムの部品材料に、Victrex 社(英)のポリエーテ
ルエーテルケトン樹脂(PEEK○R )を採用したことを報じています。着陸装置の部品には機械
的強度のほかに耐寒・耐熱性、耐薬品性が必要で、要求性能として華氏 400 度(204℃)での
1時間の耐久性や、100G の加速に耐えることが必要なことなどを紹介しています。従来のア
ルミニウム製に比べて部品重量を 40%(10kg)軽くできたと言っています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.68)
Evonik 社は透明な高性能 PA 樹脂を開発、用途はサングラス等
Evonik Industries 社(独)は、スポーツ用メガネレンズやサングラスレンズ用の高性能ポ
リアミド樹脂 Trogamid○R myCX を開発したことを伝えています。この樹脂の結晶サイズは極
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めて小さいため透明度(光の透過率 92%)が高く、低密度で破断強度や耐スクラッチ性が優れ
るので、軽量で丈夫なサングラスを作ることができます。香水、日焼け止め剤、洗剤等への耐
薬品性も他の透明なプラスチックより優れていると紹介しています。
(Kunststoffe International 9 月号 p.68)
VW 社のハイブリッド型コンセプトカーは重量 380kg で、燃費性能は 70km/L
今年 9 月に開催されたフランクフルトのモーターショーで、フォルクスワーゲン社が極めて
優れた燃費効率のハイブリッド型コンセプトカー「L1」を出品したことを報じています。この
車は 2 人乗りで、CF 強化樹脂のボディと 800ccc のディーゼルエンジンを搭載し、車重は 380kg、
燃費効率は軽油 1 リットルで 70km 以上走ると紹介しています。
(European Plastic News 10 月号 p.6)
SolarBotanic 社の人工樹木による発電システムは景観に馴染みやすい
SolarBotanic 社の、プラスチック製人工樹木による発電の取り組みを紹介しています。葉、
枝、幹にはナノテク素材を使い、太陽の光や熱、あるいは風による振動や圧力を利用した発電
機能を持たせる計画です。この方法のメリットは、自然エネルギーを利用した他の発電設備
(例:風力発電等)より、自然の景観になじみやすいことを挙げています。この発電樹木を、
仏のパリとリオン間の高速道路(460km)沿いに 32,000 本設置すれば、年間 145,000 トンの
CO2 排出削減を実現できるといっています。この概念はすでに米、韓、日の政府機関や、いく
つかの大企業が関心を寄せていると伝えています。 (European Plastic News 10 月号 p.14)
PP や PLA のプラズマコーティング処理により、PET と同レベルのバリヤー性を実現
アーヘン工科大学(独)のプラスチックス加工研究所(IKV)が開発した、PP 樹脂や PLA
(ポリ乳酸)樹脂の容器にプラズマコーティング処理を行う技術の実用化状況を紹介していま
す。この処理により、PP や PLA のバリヤー性を未処理の PET と同レベルにすることが可能
と言っています。IKV は、さらに生産性向上のための研究が必要だが、PET の一部はプラズマ
処理された PP や PLA ボトルに置き換わり得ると言っています。
(European Plastic News 10 月号 p.14)
Rhodia 社の PA 樹脂をトラック用ラジエーターグリルのビーム材料に採用
Rhodia 社(仏)が、車両用プラスチック部品の設計や製造を行う Inoplast 社(仏)と共同
で、トラックのラジエータグリルのビーム(梁)を、Rohdia 社の PA 樹脂 TechnylStarTM
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(GF60%)で作ったことを伝えています。これにより従来の金属製部品に比べてコストを 30%
下げ、重量を 10%軽くできたと言っています。
(European Plastic News 10 月号 p.24)
Ticona 社の長繊維強化樹脂 PP をダイムラー車等のインパネに採用
Ticona 社(独)の長繊維強化樹脂 Celstran○R +PP が、ダイムラー社、フォルクスワーゲン
社ほかの自動車メーカーのインパネに採用されたことを伝えています。従来のスチレン無水マ
レイン酸(SMA)や PC/ABS ブレンドにくらべて、熱安定性、重量、加工性等で優れるとさ
れています。
(European Plastic News 10 月号 p.26)
エンジン冷却システムのデジタル制御バルブにデュポン社の PPA 樹脂を採用
車のエンジン冷却システムにデジタルロータリーコントロールバルブを使用することで、従
来の熱電対によるアナログ式コントロールに比べて、燃費効率を冬は 8%、年間平均で 5%改
善できると報じています。バルブのボディ、チューブ、切換弁は 130℃の液体に連続して触れ
るため、その材料にはデュポン社(米)のポリフタルアミド樹脂樹脂 Zytel○R HTN PPA が使
用されると伝えています。
(European Plastic News 10 月号 p.26)
Goex 社は PVC 代替の HIPS シートを開発
押出シートメーカーの Goex 社(米)は、PVC 代替用の耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)シ
ートを開発したと伝えています。同社は、世間の PVC に対する否定的意見は大袈裟と考えて
いるものの、顧客の PVC 代替ニーズに応えるために上市したといっています。このシートは、
標準の HIPS より靭性があって、容易に切断できると報じています。
(Modern Plastics Worldwide 9/10 月号 p.19)
R の透明性を改良
Ineos 社はバリヤー性 PAN 樹脂 Barex○
Ineos 社(英)はアクリロニトリル共重合体樹脂 Barex○R の、透明性を改良した新しいグレ
ードを上市したことを伝えています。この樹脂は耐薬品性や、ガスバリヤー性が優れており、
シート、フィルム、ブロー成形、射出成形などの通常の成形が可能で、食品と接触する材料に
関する欧州の指令や、米国や欧州の薬局方の要求事項を満たしていると報じています。
同社のホームページによれば、Barex○R 樹脂はアクリロニトリルとメチルアクリロニトリルの
共重合体を、ニトリルゴムにグラフトさせたものと説明されています。
(Modern Plastics Worldwide 9/10 月号 p.22)
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Lanxess 社は樹脂やゴムへの添加用にナノサイズの架橋ゴム粒子を上市
Lanxess 社(独)がプラスチック・ゴム等への添加物用に、ナノサイズの架橋ゴム Nanoprene○R
を上市したことを伝えています。粒子径は 40~200nm の間で、使用目的に応じて架橋度や極
性を調整でき、性状は粒質物、粉体、ペーストあるいはマスターバッチとして入手可能と報じ
ています。同社のプレスリリースによれば、この粒子を添加したタイヤは、ウェットグリップ、
転がり抵抗、寿命の 3 つが改善されると伝えています。
(Modern Plastics Worldwide 9/10 月号 p.23)
Axion Polymers 社は 100%リサイクル PS のシートを上市
リサイクル業者 Axion Polymers 社(英)は、100%リサイクルされた PS からなるシートを
上市しました。造園や化粧品包装用途で需要を予想しています。バージンの PS を使用した場
合に比べて、製造時の CO2 排出が大幅に少ないと言っています。このほかに、近いうちにリサ
イクルされた PP のシートも供給の予定があると報じています。
(Modern Plastics Worldwide 9/10 月号 p.26)
太陽電池システムメーカーは化学会社と共同で開発を推進
9 月にドイツで開催された欧州太陽エネルギー展で見られた、太陽光発電システムメーカー
と化学会社の共同開発の例を紹介しています。樹脂関連では、発電モジュール密封用の透明樹
脂として、Arkema 社(仏)の ApolhyaTM Solar や、Wacker Chemie 社(独)の透明で柔軟
性がある有機シリコン系熱可塑性樹脂 Tectosil○R が使用されることを報じています。そのほかに
DuPont 社(米)の金属被覆ペースト Solamet® がシリコンパネルの効率向上に、また Merck
社(米)のエッチングペースト Isishape○R がシリコンウエハーエッジの分離に用いられること
も伝えています。
(Chemical & Engineering News 9 月 28 日号 p.10)
Lanxess は ABS 事業から完全に撤退
Lanxess 社(独)が ABS 事業から完全に撤退したことを伝えています。約 2 年前に同社は
Ineos 社(英)と ABS の合弁事業(Ineoss 51%、Lanxess 49%)を設立し、その際、Lanxess
社が 2009 年 9 月までに撤退することで合意していたものです。Ineos ABS は Chi Mei(奇美
実業、台湾)や BASF(独)に続く ABS の 3 番目に大きいメーカーです。
(Chemical Week 10 月 12/19 日号 p.5)
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Dow Chemical は 2010 年までに太陽光発電屋根材の上市を予定
Dow Chemical 社(米)が、2010 年半ばまでに、銅・インジウム・ガリウム・ジセレナイド
(CIGS)ベースの太陽光発電屋根板材の上市を予定していることを報じています。同社は、
太陽光発電屋根板市場が 2015 年に 50 億ドル、2020 年までに 100~110 億ドルになると予想
しています。同社はこの太陽光発電屋根板材の特長として、据付コストが低いことと、耐久性
(15~20 年)があることを挙げています。屋根板はモジュールで量産され、2010 年には約 2,000
棟の設置を想定し、当初は米国の大手の建築業者に直接売る計画と伝えています。
コンサルティング会社 NanoMarkets (米)による市場予測も、あわせて報じています。
(Chemical Week 10 月 12/19 日号 p.9)
Shell Chemical はホスゲンを使用ないジフェニルカーボネートの製法を開発
Shell Chemical 社(米)は、PC 樹脂の原料であるジフェニルカーボネート(DPC)を、プ
ロピレンオキサイド(PO)と炭酸ガスから製造する方法を開発しており、その開発がパイロッ
ト段階にあることを報じています。すでにホスゲンを使用しない DPC の製法で実用化された
例はあるが、そのプロセスは扱いにくくエネルギー集約的であるために普及しておらず、ホス
ゲンを使う製法が今も主流になっており、それに対し同社のプロセスは非常に魅力的であると
言っています。
(Chemical Week 10 月 12/19 日号 p.11)
Spirex 社は共射出成形機を開発、コアとスキンで異なる材料を 1 度で成形
Spirex 社(米)の共射出成形機(コ・インジェクション)が紹介されています。成形機は 1
本の特殊なスクリューとバレル(シリンダー)及び 1 台の金型で構成され、バレルの根元と中
間の 2 か所にあるフィード口から異なる種類の樹脂材料を投入し、一度の射出成形で片方の樹
脂は成形品のコア層を形成し、もう一方はその外殻層を形成することができるユニークな共射
出成形機です。記事にはその構造と原理が図で説明されています。また同社のホームページに
は原理を示す動画が掲載されています。
(Plastic Technology 10 月号 p.13)
Kraton Polymers は SEBS 新グレードを上市、用途は医療器具、食品容器、電線被覆等
6 月にシカゴで開催されたプラスチックの見本市(NPE)で、Kraton Polymers 社(米)が
出展したスチレン系ブロック共重合体(SEBS)の新製品について報じています。PP とブレン
ドして透明性やクラック耐性を改善して、医療器具や食品容器の PC 樹脂代替のグレードや、
電線やワイヤの被覆材として PVC 代替を狙うグレードなどが紹介されています。
(Plastic Technology 10 月号 p.16)
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