オーガニック工場検査の実際 オーガニック工場検査の実際

オーガニック工場検査の実際
特定非営利活動法人日本オーガニック検査協会理事長
水野葉子さんが語る
有機農産物加工食品のオーガニック管理ポイント
この記録は、2000年4月 19 日、有機中央会が主催する加工食品製造業者の講習会にお
いて水野葉子さんが講演した内容を収録したものです。
目
次
はじめに
………………………………………………………………………3
オーガニック管理のポイント 検査員はどういうところを見るのか ……3
検査のアウトライン
…………………………………………………………4
加工場の設立背景と周辺環境
………………………………………………5
施設図面との照合
……………………………………………………………5
従業員情報の確認
……………………………………………………………6
管理体制、教育、ミーティング ………………………………………………6
許可証、他の検査関係の確認
………………………………………………7
物流フローの確認
……………………………………………………………7
使用原材料、加工添加物、加工助剤情報の確認
…………………………7
水質検査表内容の確認および水質検査表の入手
…………………………9
プロダクトフローチャートの確認
…………………………………………9
使用機械類、器具類の確認
…………………………………………………9
記録の保管および製品監査追跡方法
………………………………………9
品質プログラム内容の確認
…………………………………………………10
オーガニック保持法の確認
…………………………………………………10
原料、半製品、製品保管場所および保管方法の確認
……………………11
衛生管理法
……………………………………………………………………11
害虫駆除法
……………………………………………………………………11
製品包装形態および包材情報
………………………………………………12
輸送状況確認・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
ゴミの処理状況
………………………………………………・・・・・・・13
ボイラー添加物 …………………………………………………………………13
搬送ラインはどうしたらいいか
……………………………………………14
ロット番号の作り方はどうしたらいいのか
………………………………14
オーガニック検査の準備案
…………………………………………………14
二つの重要ポイント
…………………………………………………………16
おわりに
………………………………………………………………………16
付録
「有機農産物加工食品の日本農林規格」
「有機農産物加工食品についての製造業者の認定の技術的基準」
はじめに
はじめまして。ちらほらと知ってる顔もお見受けしますが、日本オーガニック検査員協
会の水野です。今日、うちの協会の活動を示したパンフレットをお渡しさせていただきま
したが、私たちは検査員、及び、オーガニック検査に興味・関心を持っている人たちのグ
ループです。
午前中から長々と本当にいいお勉強を皆さんなさってきたと思いますが、私が今日、お
話しさせていただく内容は、有機農産物加工食品のオーガニック管理ポイントです。この
中には実際にオーガニックの認定に関わって、実際に素晴らしく実行されてる方もいらっ
しゃいます。その方たちはどうぞこの75分間ゆっくりとお休みになっても結構です。い
びきさえかかなければ、どうぞごゆっくり休んでください。
オーガニック管理のポイント
検査員はどういうところを見るのか
まずは、加工場の検査におけるポイントをお話しします。私の言葉の中で、オーガニッ
クとか有機という言葉が混同してしまうと思いますが、それはお許しください。私たちが
今までオーガニックという言葉を使っていたのは検査の意味で、欧米的な検査をする意味
で使ってきたのですが、今回法制化になり、オーガニック、イコール有機という言葉にな
りました。いずれにしても同じようなスタンスで、同じような基準を持つということで、
あるときにはオーガニック、あるときは有機とか言っていますけど、意味は同じです。
今日のお話の一番のポイントですが、加工業のオーガニック管理ポイントは一点だけで
す。有機農産物の有機性を保つこと、それだけです。ですから、本当にそれを保つために
どういうことをしていただくか、それを行っていただければ、認定品というか、有機の認
定物は作れるのではないかと思っています。加藤さんからもご説明ありましたけれども、
今日はオーガニック・有機農産物加工食品の関係者ということで、農産物の検査の基準に
ついては、レジュメに何も書かさせていただいていません。しかしながら、実際には、生
産物における検査は本当に大変なもので、それも3年間無農薬無化学肥料ですとか、いろ
いろな制約があります。その制約に則って、やっとできた生産物を原料とされて加工食品
とされるわけですので、ぜひとも加工食品工場といえども、その農産物の生産基準は十分
にご理解なさって、そして参考にしていただきたいと思います。
私たちが行う加工場検査のときに、工場見学のような感じで誤解されるときがあります。
「はい、さぁ工場へ行きましょう。
」という感じで、白い帽子と白い洋服をいただきますが、
そうではなくて、私たちはまず聞き取り検査を行います。検査というのは1年に1回です
ので、その方たちが本当に基準を理解していただいてるかどうか、そして申請書に書かれ
たことがその通りであるかどうか、そして、その通り記載されたときと、記載された後で
違いに気づいたり、変更などありますね、そういったことなどの確認も含めて、最初に聞
き取り検査というのをやります。今日はお豆腐メーカーさんの方が多いですが、納豆や豆
腐のような日配品をお作りになっている方は、本当に人手が足りなくて忙しくて大変です
よね。聞き取り検査の段階で、よく一名だけ「今日、僕が検査の担当です。
」という感じで
来られますが、僕だけじゃちょっとダメで、やはりチームワークとか、各部署ごとでわか
ってらっしゃるかどうかということもあり、検査の時には、重要な人たち、関わってらっ
しゃる人たちにアテンド(出席)していただきます。そして、特に検査のときに一人だけ
話したいというか、スピーカーがいらっしゃるときもあるんですね。そうではなくて、私
はそういうときには、
「ちょっと黙っててくださいね、じゃあどうですか。」という感じで、
他の人に質問をふって、皆さんからお聞きして、本当にこの参加者の人たちわかっている
のかどうかを確認します。そこのチームワーク、管理体制、そして、つながりがどうなっ
ているかどうか、基準がみんな理解されてるかどうかということも確認しています。です
から、その聞き取りの時間というのは、2、3時間はだいたいかかりますが、その段階は
すごく重要で、私の場合は85%の検査がその段階で終わってるという感じです。そして、
実際に工場に一緒に行かさせていただいて、だいたい申請書を検査員というのは読んで行
きますから、ここはどこに問題点がありうるだろうかというのを、フローチャートそして
施設図面から、前もって把握しておいて、そのポイントを重点的に見ます。それと同時に、
その度合いで確認したことを、実際にその場で質問させていただいて回ります。ですから、
工場は小さい所であれば短時間ですが、大きい所で最高かかったのが3時間くらいです。
そして、戻ってきて、訪問口述書というようなものがあるかないか、その認定機関にもよ
りますが、確認事項、そして疑問点に思った事項、すなわち、午前中に聞いたことと実際
に工場を見たことと違ったことがあった場合、それは何かということをご説明いただいて、
全てクリアにしてから帰ります。私たちは帰ってから報告書にまとめ、そして認定機関に
提出するという作業を行っています。
抜き打ち検査というのは、私も5、6回しかしたことないですが、一応申請の時に抜き
打ち検査も受けることを確か承諾いただいてから検査に至ると思いますので、それはいつ
来られてもいいという体制を保っていらっしゃいます。一年に一回の検査ですから、その
工場がその時だけきれいであっても、どんなに新しい工場でもダメなときはダメです。ど
んなに三百年の古い工場でも、立派にオーガニック性が保たれてる、努力されてる場合が
あるので、その聞き取り検査のときに、大きくその事が理解されるということであります。
検査のアウトライン
それで検査内容のアウトラインですが、検査品目、申請品目の確認、何を認証品として
申請したいのかという確認ですね。もう一度確認をこの場所でしないと、例えば、お豆腐
だとしたら、充填豆腐だけを申請しましたと。その間に検査に至るまで時間がありますよ
ね。何か噂によると、ちょっと品目増えても検査費用同じだから、全部受けておきたいと
いう変更がある場合があります。直前に急に12品目増えたり<注>とかありますが、本
当にどうなのか。木綿豆腐でも200グラム、300グラムのものがありますね。一つ一
つに対して確認するわけですね。300グラムと500グラムでは容器が違うから、もし
かしたらその包装ラインも違うかもしれません。ですから、その申請品をまずは確認させ
ていただいてから検査の質問に入るということになります。
(注)認定機関からの要請:こうした現場での要請品目の増加には受けられない場合
がありますので、注意して下さい。
加工場の設立背景と周辺環境
その加工場の設立背景の確認といいますと、どういったスタンスでここの加工場は設立し
たのか、だいたい今までは伝統食品が多いので、伝統食品イコール健康食品で、そういっ
たものからスタートしたとか、いろいろな背景があります。そういうことを一応確認させ
ていただいて、そして周辺環境を確認します。加工場の周辺環境というのは、実際に着い
たときに工場の周りを初めに見させていただいて、周りを歩いたりもします。やはり、そ
のオーガニック検査を受けられる、認証を受けられるということは、その場所だけがいい
のではなくて、全体的に環境運動に関わっていくというスタンスで関わっていただきたい
と思います。したがって、その周りに缶が落ちているとか、すごく中が素晴らしくて、皆
さんも素晴らしいけど、空き缶とかタバコの吸い殻が落ちているとか、そういうのも5、
6件見ました。周りから見られているわけですから、そういったことも見ます。そして、
例えば、周りに木が植えられていて、すごくきれいだと思いますが、窓の近くに木がある
場合、やはり検査員としてポイントとして見るのは、そこに殺虫剤が撒かれていないかど
うか、どういった管理がされているか、その殺虫剤が入らないように窓が閉められている
かどうか、そういったことも確認します。ちょっと幅を空けて植えてあった方がいいです
が、または殺虫剤が撒かれているときには、ちゃんと窓を閉じているとか、そういったこ
とがすぐ質問で答えられるようになっているかどうかを確認します。
加工場の周辺環境確認ですが、実際にこれはある工場であったことですが、地下水を使っ
ていました。その周りは素晴らしい田園風景でした。「こんなところに工場があり、のどか
ですね。
」と言いましたが、その加工場で水質検査表が必要で、後日提出していただいたと
ころ、飲料水に不適合であるという結果が出ました。地下水で長年飲んでいるから大丈夫
だと思い使っていましたが、田んぼからの農薬が地下水から出ていたのでしょう。何も言
われなかったので、今までチェックしていませんでした。オーガニックの検査のおかげで
チェックでき、従業員も今までそのお水を飲んでいたので、どうにかしなければいけない
と思い早速対策をとりました、というような事件があったときもありますので、必ずしも
周りが田んぼでのどかだからといって良い環境だとは限らないとわかりました。
施設図面との照合
次は施設図面との照合です。必ず申請時に施設図面・工場の図面を提出していただくこ
とになっています。周りに何があるのかという全体図と工場内の施設図面を提出していた
だきます。「ここに書かれてあることは間違いないですか。
」という聞き取りで、とくに保
管庫のサイズなども書いていただきます。そういうものを今から用意されていた方がいい
と思います。A4サイズの手書きでいいです。大きな青写真をA4に縮小してくださる方
がいますが、まったく何が何だかわからず、文字が小さくて見えないというものは書き直
しになるので、サイズは違っていても四角形で三角定規を用いて書いてください。何が重
要かというと、オーガニックのものがどういう経路を通るのかということが私たちは確認
したいので、そういうことがわかるようになっている図面を作成してください。
実際に施設図面とフローチャートは、工場の見学の時に一緒に確認させていただきます
ので、その時に違ったら「これはどうなのですか。
」とたずねます。別に違っていてもいい
です。検査の時に「新しい機械を加えたんです。
」というのなら、その場で記入すればいい
わけです。
従業員情報の確認
従業員情報の確認とは、従業員は何人いるのか、パートさんは何人いるのか、実際に関
わっている人が何人いるのかということです。それと工場のサイズによって、どのくらい
の規模なのかは行く前にわかるわけです。従業員は10名しかいないけれども、パートさ
んは90名いたというようなところは、従業員は10名しかいないので小さいと思ってい
たら、パートさんが多いので驚きましたが、そこは規模が大きいわけです。そうすると管
理も大変になってくる。意外とパートのおばさんの方が部署のことをよくわかっていて、
私はパートのおばさんと話すことがとても大好きです。だいたい聞き取り調査の時には品
質管理の方と工場を回りますが、品質管理の若いお兄ちゃんより、パートのおばちゃんの
方がよく知っています。検査員が来るというので朝礼があったのでしょうね。今日はオー
ガニックの検査員が来るからと、三角巾をかぶって一生懸命にジョウロで何かをまいてい
たりして、薬品を使っているならばそう言ってくださればいいのですが、
「まったく使って
おりません。
」と言っていたにもかかわらず、おばさんに「そのジョウロ何ですか。
」と聞
くと、
「排水溝にお薬まいているのよ。」と。
「いつやっているのですか。」と聞くと、「朝と
帰る前にやっています。
」と真面目に答えてくださいます。後ろで品質管理の方がこわばっ
ている状況がよくわかります。「それはどこに保管しているのですか。
」と聞くと、おばち
ゃんは親切ですから、「私はいつもここに置いているのに、何で今日はないの。」と、品質
管理のお兄ちゃんが怒られたりしていました。そのときに、
「うちはゴキブリの問題がある
から、こういうことになっています。」と正直に検査員には言っていただかないと、そこで
信頼関係がちょっとガックッと崩れますね。これは実際にあったお話です。エピソード集
が出せるほどいろんなことがたくさんありますが、その一例です。こういうことで、従業
員のおばちゃんたちに「何も言うな、黙っておけ。
」と言わないでくださいね。そういうこ
とではなくて、従業員の方々がどういう方々で、例えパートさんであってもパンフレット
を差し上げるとか、そういったことを管理して、従業員の方々にもオーガニックとは何か
ということを伝えるということは、草の根運動ともなりうるので、そういうことにも力を
入れていただきたいです。
管理体制、教育、ミーティング
次に管理体制、教育、ミーティングとありますが、だいたい朝礼をなさっているところ
が多いです。朝礼とは会社のポリシーとか5Sを読み上げるとかいろいろ言われますが、
従業員とのチームワークやつながり、意志疎通ができているのか、そういうことを私たち
は管理体制で聞いています。部門部門の方がいますが、チームワークがいいといっても聞
き取り検査の時に、社長の言うことが営業や工場長と全然違ったらおかしいと思うわけで
す。内部の体制を図ることが一番大変な仕事だと思いますが、逆にオーガニックによって
内部の体質改善に役に立ったという声を聞きますので、これを機会に管理体制の強化をし
ていただきたいと思います。
許可証、他の検査関係の確認 物流フローの確認
許可証、他の検査関係の確認。これは保健所の許可証を見る場合もあるし、認定機関の
要求事項によりますが、例えば、他の認定機関で受けた検査の結果やその内容などを聞き
ます。実は他で落ちたと、いずれにしてもわかることなので、ちゃんと正直に言っていた
だきたい。
物流フローの確認とは原料すべてです。原料、加工助剤、加工添加物、どこから購入し
て、どのように運ばれて、どのようにして、どこに保管されるのかということです。工場
に入るまでの物流フロー、そして、ここで製造されたらどこに出るのか、細かな「ジャス
コの○○支店に行きます」というようなことは書かなくてもいいですが、大手スーパーと
いうことでいいですが、原料がどのようにして入ってくるのか、そして、原料は工場受け
渡しなのか、どこかへ取りに行くのか、契約でいろいろな形態があります。そのことを見
るためにも物流フローが必要です。チャートみたいなものでいいです。四角形で書いて、
大豆が○○倉庫から来る。その輸送は○○輸送がやる。工場受け渡しならそこからスター
トします。もし、倉庫で名義変更をして、輸送もメーカーの責任であるならば、その輸送
状態も各メーカーの責任です。ちゃんとオーガニック性が保てるよう輸送して下さいとい
う指示をするのは工場側になるので、どこまでの責任があるのかを物流フローに書いてい
ただきたいと思います。
使用原材料、加工添加物、加工助剤情報の確認
次は使用原材料、加工添加物、加工助剤情報の確認。使用原料の認証機関名の確認、全
購入原料ロットのTC(Transaction
Certificate
取引証明書)の入手状況、遺伝子工
学による組み換え品が使用されていないこと、配分率、MSDS(Material Safety Data
Sheet 製品安全データシート)などの確認。工場が本当に立派でも、原料が本当の認定の
ものではなかったもの、実際に3カ所くらいあります。これは本当に気をつけていただき
たいと思います。原料品が認定されていなかったらそれは有機原料になりませんから、有
機のものは作れるはずがありません。使用原材料が本物かどうか確認するのは、仕入れ担
当の方の責任だと思います。今後法制化になるので、原料が輸入されたものである場合、
それを見極める基礎英語力はつけておく。「商社は英語ができるから信頼していた。
」と、
そこで泣かれても私たちはかわいそうだと思っても、検査員としてはこれがオーガニック
のものだということが確認できるものがなかった場合、それを報告する義務があります。
商社任せにするのではなくて、仕入れ担当の方も本当にそうなのかと確認する。それを確
認するためには、TCを見る。一枚のシートでロット番号が書かれています。重要ポイン
トはロット番号が書かれてあること。セラーの名前、バイヤーの名前が書かれてあること。
それを確認してください。その紙をもらったら喜んでしまって、全然違ったロット番号の
ものが入っていた。ロット番号の確認くらいできたのではないかというケースもありまし
た。仕入れ担当の人は、物が着いたときに必ず送られてくるパッキングリスト・送付リス
トを確認する。受け渡しをしてしまったら、工場側の責任と見なされますので、きちんと
確認してください。ロット番号は後でご説明しますが、そのロット番号をたどっていくと、
種子の情報までさかのぼれます。作業情報までさかのぼれることになっています。とても
重要なものですから、ロット番号が間違っているTCのコピーをもらっていたら、それを
作業記録に書かなければいけないので、大きなミスに通じてしまいます。受け入れ担当、
仕入れ担当の人は重要な役割を担っています。少しは英語を勉強しましょう。中学英語で
結構です。
認定原料ではあったが、もしかすると植物検疫で燻蒸されたということが全くないとは
限らない。それは認定機関の指定するところで、条件によりますが、ある品目においては
頻繁に燻蒸される可能性があると見なすものに関しては、認定機関は無燻蒸証明書を植物
防疫からいただくことになっています。植防はそれは出してくれない。こちらで用意して
「これは虫がいなかったため、燻蒸をしませんでした。
」というものを用意してハンコをい
ただく。いくらかかかりますが、各コンテナごとにそれをいただいておく。それは輸入業
者の責任ですが、輸入業者からコピーをもらっておくことが重要です。それは工場の責任
です。今日はお豆腐やさんや納豆業者さんが多いですが、認定原料が海外から来ていると
いうこともあるので言わせていただきました。日本のものに関しては、そういう問題点は
ありません。
加工添加物は、有機中央会でも加工添加物はなるべく使わないことでやってほしいとい
うことです。使うものに関する情報はきちんと入手していただく。物によっては加工工程
図も納入業者からもらう。加工添加物には消泡剤も含まれますが、加工添加物、加工助剤
とも遺伝子組み換えのものは含まない。消泡剤に関しては皆さんいろいろ苦労をなさって
いて、私が5年前に検査をしたときには、シリコンは絶対にダメだから大豆レシチンに変
えなさいと認定機関がそういう認定条件を与えました。今度は、大豆レシチンが遺伝子組
み換えの可能性がないという証明書をもらわない限り使ってはいけない。植物油にしても
遺伝子組み換えのものではないということを証明されなければいけない。どなたか消泡剤
を作られたら、オーガニックでいいビジネスになると思いますが。皆さん本当に苦労され
ています。植物油も遺伝子組み換えのものを使わないもので消泡剤をどなたか作っていた
だきたいと思います。5年前以前は消泡剤自体が禁止されていましたので、米糠を使った
り、油を一滴たらすとか、認定に関しては10年前から行っているので、長いところで7
年間くらい認定をされているところもあります。そういうところでは自分で苦労なさって
努力なさったようです。意外なところに遺伝子組み換えが潜んでいることもあるので、も
う一度確認してください。
配分率も計算しておいてください。お豆腐ならソフト豆腐、絹豆腐、木綿豆腐、充填そ
れぞれの配合率が違います。凝固剤もそれぞれ違います。一つのフォーマットができてい
て毎回使えればいいと思いますが、皆さんそれぞれ微妙に異なっているノウハウがあるか
ら、毎回レポートを書かなければいけません。お豆腐に関しては配分率といっても限られ
ています。凝固剤、大豆が主です。味噌や醤油になると厄介になりますが、投入原料の配
分率だと思ってください。塩と水を除いた配分率です。それが95%以上認定原料を使っ
て、残りの5%は禁止されているものを使わない。どうしても認定原料が見つからないと
いうときだけ5%を使うという方向でやっていただく。
MSDS・製品安全データシートですが、ものによってはMSDSを提出していただき
ます。
水質検査表内容の確認および水質検査表の入手
オーガニック原料に使用される水の水質検査表内容の確認および水質検査表の入手。こ
れはほとんどの認定機関が水を製造に用いている場合、水質検査表の提出を求めています。
求める内容に関しては、それぞれ認定機関の指示に従っていただきたい。あるところは1
3項目、あるところは23項目ありますので、基準をいただいたらその基準のものをクリ
アしているかどうか確認する。水道水であれば、国の法律や土地の法律に則っているので、
水道法に準拠するものであればいいとされています。
プロダクトフローチャートの確認
プロダクトフローチャートの確認。いわゆる加工工程図です。大豆ならば、大豆を投入
して一次タンクで保管して、洗ってから浸漬して、その後搬送ラインを通って、豆乳とお
からに分けて、おからはこちらのラインに行ってどのように廃棄されるか。そして、豆乳
はこういうふうに行くという工程図を書いてください。そこには温度、時間を記載してお
かれるといいと思います。浸漬でも13時間から18時間、夏と冬では違いますので、だ
いたいの時間でいいです。
使用機械類、器具類の確認
使用機械類、器具類の確認。オーガニックで用いられる機械、器具のリストを挙げてく
ださい。それが施設面でナンバーリングされているといいですね。どれがオーガニックで、
だいたいの場合併用が多いですが、併用でもこのタンクだけはオーガニック専用だという
場合には「オーガニック専用」と書いていただきます。私たちとしては併用ラインのとこ
ろで一般大豆と混じる可能性がないだろうかとか、混合するとか、汚染される可能性がな
いだろうかとか、を中心に見ていけます。
記録の保管および製品監査追跡方法
記録の保管および製品監査追跡方法は、工場によってまちまちで、すごく立派なところ
と簡略化されているところといろいろあります。どちらでもその工場にとってやりやすい、
みんながわかりやすい、長く続けられやすい方法でやっていただきたいと思います。ただ
し、製品がちゃんとさかのぼれるようになっていること。例えば、この豆腐に何か問題が
あったとします。どこで問題があったのか、大豆に問題があったのか、水に問題があった
のか、途中で問題があったのか、特定できるように記録ができていること。誰がその製造
時に関わって、そして、それは何時から何時までか、わかるような記録をつくっておいて
ください。もちろん、原料を投入したときのロット番号がありますが、その大豆に問題が
あるのかもしれません。そうすれば、その大豆は使用しないという対処法になります。オ
ーガニック管理システムはPL法対策にもいいといわれる方もいます。書類においては監
査追跡できるように、ロット番号記載、有機またはオーガニックという文字の記載、OG
でもORGでもいいですが、とにかく書くことによって目から入ってくる、意識から入っ
てくることが重要です。
抜き取り監査追跡の実施は、とくに2年目からやります。1年目の時はどういうふうに
行っていて、どういう監査システムをやっているのかを確認して、このままではいけない
とか、このままでいいとか確認できるので、1年目も一応確認します。抜き取り監査は認
定機関により1品を抜き取る、2品、3品を抜き取るとあり、私たち検査員もそれぞれの
認定機関の方針に則り監査します。アトランダムに取ります。「この商品をさかのぼって下
さい。」と言って、原料までさかのぼれた、その時までの作業記録が確認できたとなると、
ここはちゃんとしたシステムになっているという確認になります。それをコピーして持ち
帰り認定機関に提出する。値段などは消していただいていいです。売り先などは認定機関
は知る必要がないので、そういうことはその場で消していただいていいと思います。
品質プログラム内容の確認
品質確証プログラム内容の確認。これがないから落ちる<注>というわけではないです
が、あれば「ここはこれだけ注意しているのか。
」ということです。品質管理課があり、ま
たはそういうスタッフがあり、実際に衛生管理の検査をしているとか、長年お豆腐屋さん
をやっていて一度も検査したことがないとか、基準に規定されているわけではないですが、
検査した方がいいと思うところもありました。案の定、そういうメーカーの1つは、細菌
検査は定期的に行うこと、そしてちゃんとそれが記録がされていることが認定の条件とし
て挙がりました。
<注>改正JAS法においては、有機農産物加工食品についての製造業者の認定の技術的基準
(6月9日告示)で、品質管理のための内部規程をもつことが定められました。
オーガニック保持法の確認
オーガニック保持法の確認。どこでオーガニック性が保持されないのかがわかります。
例えば、一般品が混入する可能性のある場所です。搬送ラインとかタンクなど。どういう
措置がとられているのか。また、薬剤などの汚染防止法ですが、苛性ソーダで洗浄される
と二重にリンスをする。機械のCIPだとその機械の洗浄法に則って洗浄します。もう一
回する、または翌朝スタートするときに水を流すとか、2回行ったということでダブルリ
ンスといわれています。それはちゃんと文書記録として、誰が行い、その時間も書かれた
方がいいと思います。オーガニック認証について法制化されるということは、何か問題が
あったときに責任を問われる可能性があるということで、その時にちゃんと文書記録とし
て残っていれば自分の立場を立証できるので、そういう気持ちからも文書管理はしっかり
していただきたいと思います。
原料、半製品、製品保管場所および保管方法の確認
原料、半製品、製品保管場所および保管方法の確認。半製品とは、例えば納豆などでは
熟成期間があります。あれは半製品なので、室や冷蔵庫は一時保管場所と見なされます。
包装される前を半製品と見なすけれども、その保管方法の確認、保管場所の確認、管理は
どのようにされているのか、そういうことを確認します。
衛生管理法
衛生管理方法では、どういう掃除がされていて、どういう薬品が使われているかなどを
確認します。薬品を使用した場合、すべてMSDSをもらいます。薬品や洗剤を使ったか
ら認証に落ちるということではなくて、いかにそれを極力抑えているのか。コレクション
のように30種類も使っていて、なぜこんなに必要なのか社員もわからなかったことがあ
ります。何の目的で、何の用途で、どれくらい使われているのか、表に書いてみることも
重要だと思います。意外と余分なものがあるのではないか。重要なもの、必要なものをリ
ストして、どこに保管してどういう目的に使っているのか、自分たちの使っているものを
認識すること。また、使った場合、その後はどうしているのか、そういうこともみんなが
理解していることも重要だと思います。よくスプレーボトルでアルコールなどいろいろ入
っているのに、無表示のスプレーボトルが多いことがあります。オーガニック検査は誰が
いつ来てもいいという状態になっているので、第三者が見てそれに何が入っているのかが
わからなければいけない。無表示の容器類はなくすようにしていただきたい。皆さんのお
忙しいのがわかり、私たちも言いにくいのですが、あちこちに箒があったり古い雑巾がぶ
ら下がっていたりするので、まとめて一カ所に置くようにするとか、基本的な衛生管理を
する。だいたい衛生管理がしっかりしているところは、虫の問題も少ないし、印象がいい
です。掃除は誰でもできることで、もし、大変な場合は「業者さんに定期的に入ってもら
ったらどうですか。
」とこちらから言うこともあります。衛生管理を保つことによって、害
虫駆除などの問題が減ります。これは重要ポイントだと思います。
害虫駆除法
害虫駆除法。自分の工場が明らかに掃除を怠っているにも関わらず、とにかく薬をまけ
ばいいという状況があります。害虫駆除会社の方たちとお話をすると「僕たちの立場から
汚いとは言えない。
」と。虫で落ちたところもあるので、管理方法に則って徹底的にやる。
害虫駆除会社を使っていながら、害虫駆除会社が何をしているのかわかっていない方が結
構多いです。
「契約内容を見たい。
」といってもないところが意外に多い。1カ月に1回来
て何か置いていって、代金は銀行引き落としでと。自分の工場に何を施工されているのか
をわかっていただきたいと思います。お金を払っているわけですから、どういう内容でや
っているのか確認する。もしかして、工場でちゃんとオーガニック管理をしていたとして
も害虫駆除会社の方にちゃんと説明していないと、害虫駆除の方の施工方法がオーガニッ
ク品の汚染源となる可能性もありうるわけです。虫が出て気の毒だと薬をまいたことによ
って、それが逆にオーガニック検査に影響を及ぼしたこともあるので、オーガニックの検
査のことを理解していただくこと。理解していただいた会社を使うことも一つの手だと思
います。チームワークでやっていただきたいと思います。よく自社管理でやっているとこ
ろもありますが、意外とこれが盲点です。燻蒸剤を週末たいているとか、記録がなくて適
当に買ってきてやっている。私たちにとって聞ける人がいないので、何をされているのか
わからない。そういうことも困るので、自社で管理されているのであれば、自社内のルー
ルをきちんと記載すること。土曜日にするとか、粘着シートを換えたのならばその人の名
前を書いてチェックできるような自社チェックリストを作り、モニタリングでどういう問
題があったのか害虫駆除会社がやってくれるようなレポートも社内で作成しておくこと。
粘着シートやライトトラップ誘蛾引灯はどこに設置されているのか。そういう施設図面も
提出せよというところがほとんどです。認定機関が要求していることに対しては、そうい
うものも提出できるようにしておく。普通の施設図面に、ここに粘着シートがあり、フェ
ロモントラップがあると三角印等でいいので書いておく。提出の目的は意図的にやってい
るのか、理解してやっているのか、どういうことをやっているのか自分のところでちゃん
と把握しているのかということの確認だと思います。害虫駆除会社によってはそういうレ
ポートも出してくれるので、それを提出していただくこともいいと思います。害虫駆除に
関しては、燻蒸は絶対にダメということではなくて、残念ながら認定機関によりますが、
燻蒸をした場合、その内容によって噴霧剤とかその場所にオーガニックのものを置いては
いけないとか、オーガニック製造を72時間以上やってはいけないとかあります。量販店
の担当者の方がいらっしゃいますから言えますが、
(量販店さんに毎日納品する日配品をつ
くっていると)「虫が湧いてしまったからどうしよう。」と結局黙ってしまうケースがあり
ます。そういうことはとても残念だと思いますので、量販店さんはもっと大らかに「お宅
からは2日間入らない。いいよ。」という大らかさを持っていただきたいと思います。逆に
虫が湧かない方がおかしいわけですから、毎日納入を定期的にやらなければいけないとい
う感じですと、結局嘘をついてしまう。外国にあるように、その嘘がもし内部告発、外部
告発となって発覚したら困ります。そういうことがあるよりも正直に言って、相談された
方がいいと思います。
製品包装形態および包材情報
製品包装形態および包材情報。これに関してはどういったものを使っているのか、なる
べく環境に負担のかからないものを使うように努力をしていく。包材に関して4、5年後
には規制が出てくるかもしれない。お豆腐を紙の容器に入れろということも問題があるか
もしれませんが、今のところは容器に関しては厳しいところはない。ただ、どのくらいの
大きさに入れていて、材質はどれを使っていて、フィルムはどういうものを使っているの
か、表示はどうなっているのかです。オーガニック認証は消費者のための認証であり、消
費者を惑わすような表示では困ります。表示に関しては認証機関に確認して、認証機関か
らOKをもらってから版下を作るようにしてください。最高額で300万円マイナスにな
ってしまったところもあります。それは認証機関に許可を得ないで勝手に作ってしまった
ケースです。この表示で出すのなら告訴すると認証機関も言ってきた。それくらい重要で
すから、マークの大きさや位置や、添付のタレまでもいかにも認証された感じの表現など
は避けなければいけない。認証機関はパートナーだと思っていただき、事務局の方にいろ
いろなことを相談された方がいいと思います。事務局員も検査員も判定の権利はありませ
ん。あくまでも判定委員会が決めるところです。JASマークでも下に認定機関名がつき
ます。その認定機関が認定したとなると、認定機関の責任にも関わってくるので、細かい
ことでもSOSですぐに認定機関に相談していただきたいと思います。逆に「これを使っ
ていいですよ。
」といったならば、必ずFAXで応対しておき、それを文書で行う。または、
日記帳に書いておく。それが法的文書として問題があった場合、責任の所在がはっきりし
ます。
輸送状況確認
輸送状況確認。今回は野菜加工、総菜加工の方もいらっしゃるとのことですが、せっか
くオーガニック性を保持するよう注意して小分けしたのに、輸送の間で汚染してしまった。
その段階でオーガニック性がなくなってしまうかもしれない。輸送状況において汚染され
ることのないように輸送会社との話し合いもちゃんと行っておく。
ゴミの処理状況
ゴミの処理状況。オーガニック・有機関係は、地球の環境を良くするためにしているの
で、ゴミがどのように処理されているのか、余分なゴミを出していないかどうか、という
ことです。おからなどは産業廃棄物になりましたが、今後畜産の方に出されることがある
かもしれません。将来出てくると期待していますが、おからを有機の認定副原料として出
す。オーガニック、畜産においては、オーガニック飼料の確保が大変で、そういう面でも
今後開発されていけばいいと思います。実際にそういうことが行われているところもあり
ます。いかにリサイクルするかということを試みていただけたらいいと思います。
ボイラー添加物
ボイラーですが、私たちがチェックするのはボイラーの種類です。清缶剤(ボイラー添
加物)を用いられている場合、その添加物のMSDS(製品安全データシート)が絶対に
あるので、何の原料で何の成分になっているのか、水酸化ナトリウムなのかポリリン酸ナ
トリウムなのか。ポリリン酸ナトリウムは禁止されているところがほとんどでなので、ボ
イラーの清缶剤の内容を確認する。それが大豆に含まれていないという証明をせよという
ところもあります。分析センターで出してくれるところも出てきています。また、ボイラ
ーにフィルターかトラップをつけることにより、清缶剤からの影響を排除していることを
立証できればいいわけです。また、新しく購入されるときには、清缶剤を使わなくてもい
いようなボイラーにされてもいいと思います。いろいろな方法があると思います。
搬送ラインはどうしたらいいか
そういったことが加工検査におけるポイントです。これらは私たちが検査レポートで記
載しなければいけない内容です。昨年度のオーガニックの検査件数は431件でした。圧
倒的に加工品が多かったです。一番が大豆商品で、次にお米かお茶という順序です。大豆
商品では味噌、醤油、豆腐、納豆。先ほどラベルを見ていただきましたように、オーガニ
ック品の品目はどんどん増えています。私たちはプロではないので、検査をしに行ったと
きにいろいろと教えていただきます。質問の中に搬送ラインはどうしたらいいのかと書か
れてありましたが、いずれにしても搬送ラインをどのようにクリアしてオーガニックの製
造にかかっているのか、品質管理の方または工場の方が研究なさって、それに則って、例
えば、大豆のパイプラインであれば20分間空運転すれば、ほとんど大豆が除去されると
か、それはまたきちんと記録されているかどうか確認します。または、その後に新たに2
0㎏分を共洗いとしてオーガニックの大豆を流すことによって、一般品の大豆として使う
ことによって行う場合もあります。それも記録されています。その場合、私たちは計算機
を用いて、投入量と製造量の保留より製造量の確認をします。または、お水を使ったもの
や豆乳は、その後にお湯を何分間流して洗浄しているのか、苛性ソーダで洗って2回リン
スをして確認してpH(ペーハーテスト)をして確認してから行ったことをきちんと記録
しているか確認します。
ロット番号の作り方はどうしたらいいのか
私がいただいた質問は搬送ラインとロット番号の2点でしたが、ロット番号の作り方は
どうしたらいいのかという質問がありました。ロット番号はご自由に作ればいいというこ
とです。実際に包装年月日や製造年月日をロット番号代わりに使っている方もいます。例
えば、最後にFとあったら、府中の工場で作ったもので、この年月日からきちんと製造記
録と原料が投入されたときが全部さかのぼれるということになっていればいいので、それ
は十分にロット番号の役目をなしています。これを出荷するときにどうするかというと、
製造年月日をカッコで入れておくとか。業種によっては絶対にそういうものを書かないと
いう業種があります。今度野菜も小分けになります。小分け作業においても小袋ごとにロ
ット番号を記載しなければいけません。今まではそういうことをしなくてもよかったので
すが、いつ小分けしたのか確認できなければいけないので、必ずしも年月日でなくても、
ABCでもイロハでもいいです。担当者が何か言われたときに、きちんとさかのぼれるよ
うになっていればいいですね。そういうシステムを作って下さいということです。
オーガニック検査の準備案
さて、オーガニック検査の準備案です。オーガニックの認証を受けている方はばっちり
できていると思いますが、これから頑張ろうと思う方は、まず帰ってから有機食品プロジ
ェクトチームを作ってください。一人では相当大変なことです。一人がいくらわかってい
ても、その人が検査の時にいなかったらわからないという状況では困ります。そこの会社
の体制はなっていないということになるので、チームを作って役割分担を持ってやる。社
長さんが暇そうならチームに入れればいいです。ぜひともプロジェクトチームを作って関
わってください。
2番目に、品質管理担当者を決める。製造関係を理解されている方です。
3番目に、格付け担当者を決める。これはラベリングや表示に関しての責任者になりま
す。
4番目に、施設図面作成。1回作っておけば工場が変化のない限り毎年それをコピーし
て出せばいいので、1回きちんと作っておいてください。そして、粘着テープや誘蛾引灯
やフェロモントラップの設置場所があるならば、それを付ければいいわけです。
5番目、製造工程図の作成。温度と時間、加温が目で見てわかるような工程図を作って
ください。
6番目は、オーガニック管理点の特定。OCPと私たちは言っていますが、オーガニッ
ク・コントロール・ポイントです。HACCPと似たような感じです。HACCPをご存
じの方はわかると思いますが、どこで問題がありうるかということを特定して、それに対
処するということです。問題点をみんなで見て確認するなり、第三者に来てもらって見て
確認するなり、実際に自分の工場を見てどこが問題点で、どこをどうすればいいのか、確
認する。奥さんでもいいと思います。意外と工場に毎日いて忙しいと、ゴミと一緒に過ご
していると当たり前になっていますので、他の方に来てもらって「そこは汚い。
」と指摘し
てもらい、それに対して対処法を考えることがいいと思います。
7番目は、オーガニック基準に則った防虫・防鼠管理。今までの防虫・防鼠の管理方法
をどうやって見直し、今まで何をしていたか、それに対してどうしたらいいのか、プロの
方に相談するなり、見直すことは重要だと思います。衛生管理とか防虫・防鼠管理、ボイ
ラーが一番のネックになっています。
8番目は、有機食品製造規定の作成。有機食品を作ることによって、どういう方法でや
るのかを文書化して確認する。文書化することは、そのプロセスにおいて考えます。それ
を社員の方たちにも教える。教育するということは重要だと思います。
9番目、品質管理方針の制定。8番目と重なるところがありますが、方針をきちんと持
ってポリシーを持ってやっていただく。
10番目、オーガニック認定原料の確保。これに関しては、他人に頼るのではなくて自
分でも確認する。自分の使っている材料に対してきちんと確認すること。それも受け入れ
担当の一人の方だけではとても負担が大きいので、ダブルにチェックする人も必要だと思
います。原料情報はファイルされていることが重要です。
11番目、従業員教育。何度も触れていますが、認定システムについて、認定品とは何
か、そして、できればこれに関連してなぜうちはこれを作るのか。ジャスコさんも環境面
でいろいろ貢献されています。これは環境運動の一環であるということを頭の隅に入れて
いただき、工場においてもそれをいろいろな面で見直ししていただき、タバコのポイ捨て
や缶のポイ捨てなどないようにしていただきたい。
12番目、工場内の表示の徹底。工場内に何があるのか。「あれは何ですか。」と聞いて
も誰も答えられないことが多いですから、社員でもわからないようなものは置かないこと。
または、きちんと表示する。
ロット番号管理。これは監査追跡できるようにしておく。
二つの重要ポイント
2大重要ポイントは、オーガニック食品のオーガニック性を脅かす可能性のある場所の
確認。それに対してどうしたらいいのかという対処です。これをきっかけに今までパート
のおばさんに「汚いよ。
」と言えなかったことが、確認しなければいけないということで堂々
と「ここはどうにかしなければいけない。」と言えるチャンスとなるかもしれません。
2番目に文書管理および責任の所在の明確化。認証システムは欧米から来ていて、良か
れ悪しかれ責任の所在をはっきりさせることはとても重要です。「この字は中村君だと思
う。
」などと言われることがありますが、そこに24時間いるわけではないから、そこに名
前を書くことを習慣づけて、書くことによって責任感をもっと醸し出すこともしていただ
きたいと思います。
おわりに
たくさん課題がありますが、1回やってしまえば2回目、3回目はどんどん改善される
のが見えます。それは検査員にとって涙が出そうなくらいうれしくなります。明らかに何
年も重ねていくうちに改善されていく姿が見られます。これはISOと共通の事項もあり
ますので、ISOに興味のある方はオーガニック認証を取っておいたおかげでISOのコ
ンサル費用が安かったと言われたり、普通の作業の中にも必ずメリットがあるし、チーム
ワークが良くなったということもありますので、最初は大変だと思われると思いますが、
ぜひともこれは体質改善のためにも関わっていただきたいと思います。
私には小学生の4年生と6年生の娘がいますが、5年生の教科書でも有機農業について
書いてあります。堆肥の作り方やリサイクルとかいろいろなことが書かれてあります。小
学1年生でもリサイクルとか、すごいです。学校で学んできても大人がそういうことをし
ていなかったなら、
「大人はやっていない。」ということになるし、同様に認定品を作って
いても「あそこの会社はすごく汚いし、タバコのポイ捨てをやっていたよ。
」となっていた
ら、いくら社長さんが「うちは環境問題に則って、遺伝子組み換えも使わず云々」と言っ
ても説得力がないですね。できることから始めいくことはとても重要だと思います。オー
ガニック認証は難しそうですが、実際に「せーの」でやってしまうとたいしたことはあり
ません。検査員もメーカーさんの大変さを理解しています。必ずしも重箱の隅を突っつく
ような感じでもありません。より多くのメーカーさんが有機食品に関わっていただき、そ
ういうものが市場に増えるといいと願っている仲間だと思ってください。もちろん、不正
や嘘があったら、コロッと態度は変えます。今日は、どうもありがとうございました。
(拍手)