エコロジー住宅で地震に備える - 一般財団法人日本建築総合試験所

技術解説
エコロジー住宅で地震に備える
−伝統民家を創る智慧と技に学んで−
(その2)揺れに対する建物と居住空間の安全確保
鈴 木 有*
■プロローグ
らず、敷地の外構でも、街並みや集落の形成で
本稿は、筆者が伝統的な民家と伝統木造構法
も、同じように「多段階に備える」 2)。さらに
に向き合った経緯や研究観の変遷、伝統民家を
言えば、それでもなお人知の予測を超えた猛威
創成してきた智慧や技の本質に触れながら、わ
に見舞われ、モノでの備えがすべて綻びた究極
が家の増改築で試み木造住宅のエコロジー化の
時にも、「不断の営みで培われた人の絆」と「自
なかに位置づけた『地震への備え』について述
然の豊かな恵み」に依拠して、致命的な痛手を
べる。前号の(その1)では、事後の備え『ライ
克服しようとするタフな意志を、筆者はその自
フラインの自立』を中心に、用いた技術の概要
然観や技術観から感得するのである。
1)
を含めて解説した 。今回の(その2)は、被震
時の備え『揺れに対する建物と居住空間の安全
1.伝統的構法で建物の
「対震」
性能を高める
確保』に関わる材料や工法の選択、創意工夫し
●伝統構法の「対震」化と現代構法の耐震化
しつら
た設えや対策について述べよう。
自然の猛威、特に地震への備えは2つの構法で
ところで、前号の冒頭で、日本の民家を創っ
対照的である。前号ではこう簡約した。現代構
てきた技術観は現代構法とは異質、対蹠的でさ
法が地震力に抗して剛強な構造でねじ伏せる
えあると記した。すなわち、現代構法が「人が
「耐震」を目指すのに対して、伝統構法は地震力
生み出す技術は自然を征服しうる」を前提に組
を受け入れ柔軟な構造で分散吸収する「対震」
み立てられているのに対して、伝統構法は「人
志向だと形容するのが相応しい。
の営みは自然の振る舞いに立ち勝れない」とし
いま少し踏み込んで説明しよう。現代木造構
て、自然との共存を前提に形成されてきた。民
法は力学の論理に基づき、壊れない合理的構造
家を創ってきた智慧や技の根底にはこのような
の構築を意図する。剛く丈夫に造り地盤上で踏
自然観や技術観がある、と筆者は考えている。
ん張って地震力を迎え撃ち、抑え込んで耐えよ
よって伝統構法は、自然災害に対して、構造
うとするのだ。木造住宅では専ら剛な構造を目
の組み立てでも「多段階に備える」。構造のみな
指すので、壊れたときの対処はほとんど考えら
Some Attempts in an Ecological Wooden House to Prepare for Earthquakes Learning from
Wisdom and Technique Creating Traditional Japanese MINKA
Part 2 Security of Building and Residential Space against Shake by Quakes
*SUZUKI Tamotsu:木の住まい考房 主宰、金沢工業大学 名誉教授、秋田県立大学 名誉教授、工学博士
GBRC
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3
表-1
伝統構法の「対震」化と現代構法の耐震化の木造技法対比
伝統構法
●第1段階:土塗り壁の剛性と強度
→剛構造で
●第2段階:立体軸組架構の復元力
→柔構造で
+接合部の減衰力
●第3段階:基礎への軸組非固定
→免振構造で の免振性
●第4段階:通し貫架構の超靱性
→命綱構造で
→
→
→
→
達成目標
変形抑制
無被害又は被害軽微に
変形許容/靭性確保
エネルギー消散/倒壊防止
地震入力遮断
倒壊防止
大変形に追随
倒壊防止
れていない。
現代構法
中地震への備え
(弾性設計)
← 大地震への備え
(保有耐力設計)
← 想定外への備え
(免振・制振?)
←
倒壊への備え
(想定なし?)
←
←
専
ら
剛
構
造
で
されて、このような架構法に収束したと筆者は
一方伝統構法は、智慧と経験に基づき、壊れ
考えている。現代構造力学の概念で読み解けば、
ても綻びてもなお対処が出来るよう多段階に備
一つの構造体内に、土壁が主役の剛的架構、吸
える。基本は、地震力を受け入れ、揺れながら
振関節の接合部で結節された立体木組み格子の
そのエネルギーを分散吸収する柔軟な構造にあ
柔的架構、直置き基礎の簡便免振機構、そして
る。では、壊れるところを予め想定し、過大な
超靱性性状を発揮する命綱の通し貫架構という4
地震力にも段階的に対応していくという、地震
つの構造システムが組み込まれている。それら
に備える民家構造の仕組み、筆者の「4段階防衛
は協働構造として同時に機能しながらも、作用
機構の仮説」(表-1)を説明しよう。
する地震動の強さのレベルに応じて、致命的な
普通の揺れには、木造軸組架構の要所に設け
危険を避けるような損壊を伴いつつ、段階的に
た剛くて強い土壁が主役で抵抗する。いわば剛
より強く立ち上がっていくと解釈出来る。なお、
構造を意図した架構が立ち上がり、揺れを抑え
土壁の少ない民家は、立体木組み架構がしっか
損壊を寡少にと対処するのだ。しかし、もっと
りしていて、第2段階からの対処で充分と考え形
激しい揺れには無理をしない。土壁を壊すこと
成された構造体の場合が多い。
で揺れのエネルギーを喰い、さらなる揺れを柔
木造の民家や住宅をつくってきた伝統構法の
構造の木組み架構が受け入れる。柱や梁を人体
「対震」化と現代構法の耐震化の各技法を、構造
なぞら
の骨格に擬えれば、接合部は関節に当たる。架
論の視点から対比して論じた詳細は文献 3) を参
構全体の変形に応じて、木の組み合わせから
照されたい。
「滑りとめり込みという変形と破壊」が先行して
生じるこの接合部の挙動を形容して、われわれ
はそこを「吸振関節」と呼んでいる。ジャング
ルジムのような立体格子の木組みで力を分散し、
●わが家の増改築のねらい
120坪ほど(約400m 2 )のわが家の敷地には2
棟の建物が建っていた。1966年に竣工した両親
あまた
数多の接合部「吸振関節」で揺れの変形とエネ
の住処である母屋と、子ども世代のわれわれが
ルギーを吸収してやり過ごす。
同居することになって1976年に建築した離れで
さらに人知の及ばぬ烈震に襲われたら、木組
ある(図-1(a))。前者は平屋で、瓦と鉄板の併
み架構を礎石上に直置きする基礎の仕組みが、
用葺き、内外壁は伝統的な土壁を使う真壁造り
あたかも免振機構のように働く。上部架構を滑
だが、筋かいや火打ちを金物とともに用いる在
らせ、時には跳躍させて、地震の力を架構に伝
来軸組構法で、外壁は防火を考えモルタル大壁
かし
わり難くする。それでも建物が大揺れし傾いだ
で覆われている。後者は総2階建てスレート葺き
ら、柱間に刺し通し楔留めした厚板の多段貫が、
で、外壁はモルタル大壁だが内部は真壁造り、
粘りに粘って倒壊を防ぐ。通し貫架構は最後の
当時大流行したいわゆる新建材を多用した典型
命綱機構なのだ。
的な乾式の現代的構法で建設された。
日本の民家は、長きに亘る智慧と経験が蓄積
4
わが家の手入れを思い立った当初は、離れを
取り壊して、民家に学んだ構法を現代の住宅に
母屋は、建築行政に従事し建築士でもあった
復権する新築を考えていた。しかし、民家の構
筆者の父が自ら設計して建てたものである。平
法に学ぶ過程で、その真髄はエコロジー性にあ
屋で土壁が多く取り込まれ、外壁がすべてモル
ることを認識した。家族の話し合いの中で、二
タル大壁と土壁の二重配置で固められている。
十数年しか住んでいない建物を壊すのはその精
腐朽や劣化は少なく、致命的な構造欠陥は無い
神に反すると皆が考えるようになった。かくし
と見て、親たちの生活環境を変えないためにも、
て、親たちが住み慣れた母屋はそのままに、離
原則は手を入れないことにした。例外は小屋組
れは改造、高齢化してきた親子世代のつながり
構造の強化で、小屋筋かいと火打ち類を補った。
を考えて、二つの建家の間のみを新たな建物で
つなぐことにした。
離れは、木造軸組と外壁を残して、工業材料
からなる新建材は大半撤去し、可能な限り自然
(a)増改築前
(b)増改築後
図-1
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わが家の増改築前後の平面図
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素材の材料に取り替えた。当時は情報も材料も
大傾斜を引き起こした住宅が数多く見られたの
少なく、工法も未熟であったが、エコロジー住
はその一つの証左であろう。また逆の事例とし
宅に改造しようと試みた。併せて、増築部分は
て、作用した地震動のレベルから考えて、設計
木組み架構に地元近江地方の伝統的構法を採用
耐力の数倍もの地震力が働いたと推定されるの
して建設した。
に、ほぼ無傷で耐えた最近の住宅が激震地にも
少なくなかったことが挙げられる。合板下地張
●現代的構法の既存建家を耐震化
りの床や屋根に加えて、いまは余力と見なして
ここで改めて、現代構法による木造住宅耐震
化の要点を記しておきたい3)。
いるサイディングや石膏ボード張りの雑壁も含
めて、箱式構造が堅固に形成されていたからだ、
伝統的な軸組構法に対置される現代の代表は
在来軸組構法である。この構法は、壁の面で言
と考えている。
以上の見解に基づけば、耐震工法の基本は次
えば「筋かい入り軸組構造」と「面材を張り回
のようにまとめられる。
した壁式構造」の共働作用で成り立っている。
・効果的に箱式構造を形成しやすい整形な形態
(ちなみに水平の面では「火打ち入り軸組構造」
と「合板等を張った床・屋根の面構造」がそれ
ぞれに対応する。)木造軸組架構の中で、筋かい
の入った耐力壁は他より剛性が相当に高いので、
地震の水平力が架構に働くと、ここに大きな力
を造る。
・壁と床と屋根の面で箱式構造を意識して構成
する。
・箱の外側、外周部に中庸(ほどほどの強さ)
の耐力壁を分散して配置する。
が集中する。この架構は力の流れでは不連続性
・箱式構造の要所、隅角部に耐力壁を配置する。
が強く、能率が良くない。しかし幸いなことに、
・余力と見ている内外装材の壁の役割を重視す
現代の住宅では、内外壁と床・屋根面で囲われ
区切られる箱のような構造がこの架構を守り、
る。
改造対象の離れは、正方形の平面で、総2階の
力を分散し連続して能率良く伝え、全体を立体
整形な形態である。中心にコア部分を持ち、こ
として有効に抵抗する構造体に変えている。
こから壁面線が外に向かって整然と敷かれ、横
逆の見方をすると、強い地震力が働いて、こ
架材が架け渡されて立体格子状の架構を形成す
の壁や床や屋根の面が破られると、力伝達の均
る。耐力壁が1,2階とも四隅にはL字型に、外
衡や連続性が崩れて元に戻り、筋かい入りの壁
周には分散配置されている。従って、上記の基
の面に力が集中し、その接合部に大きな引き抜
本をほぼ満たしているので、木造軸組と外壁を
きや押し上げの力が働く。こうなると、変形し
そのまま残し、構造の基本構成を変えずに、こ
ないことを前提に組み立てられている筋かい入
の中に水回りを中心に変更した平面配置を組み
りの三角形の壁は、無理矢理歪ませら
れて、筋かい自身が撓んで折れたり、
それが取り付く接合部が破断したりし
て、架構の要所が急速に破壊に向かう
危険を孕んでいる。
現代木造構法の代表、在来軸組構法
の優れた耐震性は、筋かい入り軸組構
造が壁・床・屋根の面で形成される箱
式構造で守られている限りにおいて達
成される、という仮説が筆者の主張で
ある。阪神・淡路大震災の主要な被災
地で、老朽化したモルタル外壁が破ら
れ筋かい端部が引き抜けて、層崩壊や
6
写真-1
わが家の増改築後の外観(前方は改造部、後方は増築部)
込むことにした(図-1(a)(b)、写真-1)。なお、
区画された平面構成が少なくない。
外装材のモルタルは劣化がまだほとんど見られ
増築部分は2棟の既存建物をつなぐ鍵の手の隅
ないことを確認し、内装の壁・床・屋根の下地
角に位置し、構造上力が集中しがちな重要な箇
材は軸組材への接合を丁寧に施工するよう心が
所である。その建築面積はわずか55m 2 (16坪)
けた。
ほどだったが、ヒノキ材で135mm角の通し柱を
14本も用いて、立体格子状の木組み架構を形成
●増築部分に伝統的構法を採用
し(写真-2(a))、その接合部はすべて伝統的な
増改築を思い立った十年前は、研究者として
木組みのみの加工法によった(写真-2(b))。た
木造の伝統構法に向き合ったばかりであった。
だ、大工棟梁の申し出で、横架材をつなぐ箇所
当時は、先述した「4段階防衛機構の仮説」を必
にだけ、引き抜けを防ぐため、羽子板ボルトを
ずしも明快に認識していたわけではなかったが、
併用した。ちなみに施工を担当してくれたのは、
増築部分に伝統的な構法を採用し、その「対震」
地元の普通の大工である。当時わが家の周辺で
化の要諦を組み込みたいと考えた。
は、まだ土壁が現役で使われており、伝統的構
民家の家づくりの基本は構造にある。寿命の
法で造られる木造住宅が新築の2割程度はあった
長さも安心・安全も、すべてはしっかりした木
ろうか。また、架構の要所に、3∼4段の通し貫
の軸組架構を形成し据えるところから出発する。
を組み込んだ竹木舞下地の土壁を挿入した。荒
間取りはこの架構構成に沿わせて入れ込んでい
壁施工後の外観を見ると、外周部はほぼ土壁に
く。例えば古い農家や町家では、「田の字型」な
どと呼ばれている、太い柱で整然と碁盤目状に
覆われ固められていることが分かる(写真-2
(c)
)。
増築部分の基礎は、既存建物の基礎から柱1本
分離して、独立に施工した。既存2棟とは架構の
構法が異なり、耐用年限中の挙動が違うと予想
されるからである。伝統構法では直置きが通例
の基礎の工法をどう処置したかについては、
次々項で改めて述べる。
(a)木造軸組の基本架構
(c)荒壁塗り後の外観
(b)接合部の加工法
写真-2
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増築部の架構
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●室内車庫の構造を木造構法で「対震」化
阪神・淡路大震災のとき、現代の木造構法で
建てられた住宅で被害が目立ったのは、室内に
設けられた車庫の部分である。それらは建物の
中で地震力が集中しがちな隅角部に位置する場
合が多く、比較的大きな空間でありながら、出
入り口が取り付く間口方向で耐力壁の少ないこ
とが、被害発生の原因になった。
わが家では、この室内車庫を敢えて増築部分
の鍵の手の隅角に配置し、その上階に、研究者
には必須の重い書籍や資料を多数収める筆者の
書斎を、さらにその上部に、家財類の収納空間
ロフトを設けた。ここは上下3階に連なり(写
真-3(a))、重量物が積層して、地震時に大きな
水平力が集中して働く。1階が開放性の強い柱間
が飛んだ空間になるから、この階は剛性も耐力
(a)北側の外観
も不足する。通常なら、鉄骨の柱と梁からなる
ラーメン架構を組み込むなどして補強するが、
木造だけで可能な構造的解決策を提案しようと
試みた。
まず、すべての柱を階によらず同じ配置にし
て上下に通している。次に、壁の少ない間口方
向の両端の柱から、それぞれ半間(50cm弱)幅
の土塗り袖壁をこの方向に突き出し、3組を対に
して設けた(図-1(b)
)。それらを太い柱に見立
て、上部に太めの梁を縦横に架け渡し、整形な
格子状の粘り強い立体軸組架構を形成して(写
真-3(b))、2階の書斎にも同じ構造を垂直に連
(b)室内車庫の構造
続させた。さらにこの積層構造体の外周面に、
開口部以外は土壁を挿入し、床や屋根の下地張
りを入念に行って、全体が箱式構造として相応
に固められるようにも配慮した。書斎からロフ
トに上がる木製階段も、挿入斜材として補剛に
活用している(写真-3(c))。
車庫の有効幅は車両の出入りが可能な車幅寸
法だけを確保すればよいこと、入庫してドアを
開閉し乗降するときは懐の空間を要するが、そ
れは袖壁の間で取れることを考えた工夫である。
加えて、2階書斎の本棚・本箱等の収納家具類は
すべてこの袖壁間の小空間に収め、大きな積載
荷重は間口方向に走る梁には伝えず、壁面内の
梁(胴差)を介して、柱から基礎へ直接伝わる
ようにした。
8
(c)2階書斎とロフトへの階段の構造
写真-3
増築部の構造
(a)東面の外部(中央が連結部)
写真-4
(b)玄関横の内観(両棟の柱が柱1本分離れる)
既存棟と増築部の連結部
●現代構法棟と伝統構法棟をつなぐ矛盾
在来軸組構法による母屋と離れの既存2棟を、
新たに建設する伝統的構法の増築建物とどうつ
なぐか。前者の2棟は建設時期で約十年異なるが、
その架構法からみて、母屋はどちらかと言えば
伝統型に近く、離れはほぼ現代型と見なしうる。
既に述べたように、伝統型と現代型の構法は技
術観や自然観を含めて対照的に異なるから、本
来は独立した構造体として扱い、それに相応し
く連結すべきであろう。
しかし実際には、3棟の構造体を分離するよう
に建設したものの、屋根面と外壁面は下地から
連続して結合し施工した(写真-4(a)(b))。
雨仕舞いの容易さを優先したわけである。また
当時は、構法による挙動差の影響を、筆者がそ
れほど重視していなかった結果でもある。
写真-5
増築部の土台-基礎工法
こうした施工法を選択した結果、3棟の基礎は
独立だが、屋根と外壁の外回りが連結されてい
に結合しよう、と判断した。ただし、通し柱は
るので、通常の地震時なら一緒に揺れるであろ
すべて柱勝ち、すなわち基礎上に直立させ、基
うと考えた。既存の2棟は上部架構が土台を介し
礎パッキングで浮かした土台を柱に差し込む方
て基礎に一応緊結されているから、間に挟まれ
式を採用した(写真-5)。木材の特性から考えて、
た伝統的構法棟が基礎に直置きで滑動や跳躍す
柱の繊維方向の直接荷重伝達が土台の横圧縮伝
るのは好ましくない。同じように土台を介して
達を介するより遙かに合理的だからだ。また、
アンカーボルトで鉄筋コンクリート造の布基礎
浮かし土台はコンクリートと木材の接触を避け
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る防腐・防蟻に配慮した工法として採用した。
しかし、大地震に襲われたら、恐らくは各棟
の揺れの性状が相当に異なるだろうから、屋根
隅に置き、上部には火袋と呼ばれる土壁で囲っ
た空間を設け、熱気や煙をここに導いて、腰屋
根から屋外に排出した。
と外壁の連結箇所で損壊が引き起こされる可能
次には、外からの火災に備える。建物本体で
性は十分ある。本来こうした連結部分は、いわ
は外壁を土壁で造り、木部の見えがかりは土と
ゆるエクスパンションジョイントのように処理
漆喰で塗り籠める。徹底したのが土蔵だ。卯建
すべきなのであろう。
と呼ばれる防火壁が両袖に立つ塗り籠めの民家
うだつ
が続く街並みは、大火を経験した後のまちづく
2.建物の延焼火災に備える
りとしての備えである(写真-6(a))。建物外で
●民家に学ぶ火災への備え
は、敷地の外周に防火林や生垣を設ける。樹葉
木造は火災には強くない。民家では火災への
は水分を多く含むので、優れた水の壁として、
防火帯の役割を果たしてくれる(写真-6(b))。
備えがさまざまに工夫されてきた。
まずは、自家からの出火を防ぐ。火が使われ
自然災害への対処と同じく、火災への備えも
るところを限定し、土間や土壁で区画して、火
かくの如く多重である。いまや拍子木を打ち鳴
炎や煙を自然排気で減衰させながら室外に導い
らす「火の用心」の夜回りは懐かしい思い出の
かまど
た。風呂場は母屋から離して建設、竈は土間の
情景になりつつあるが、何よりもソフトの対策
(a)漆喰塗り籠めと卯建の街並(岐阜県美濃市)
(b)豊かな植生に囲まれた民家(富山県砺波市)
写真-6
10
民家にみる火災への備え
「火の用心」を徹底した。初期消火
しつら
のための防火用水もあちこちに設
えられていた。雨水を貯留した街
角の天水桶はその代表だが、いま
は時代劇のシーンでしか見られな
い。
火災への備えは、付加的効用を
生み出しているという意味でも多
重で、興味深い。土壁や塗り籠め
は断熱や蓄熱の性能が高く、夏は
外暑を遮って涼しく、冬は室内の
暖気を保って暖かい効果がある。
写真-7
近年建築されたわが家近くの近江伝統型の住宅と板塀
外回りの豊かな植生は、防風・防雪・防砂に加
えて、強い陽射しや太陽熱の遮蔽作用まで期待
出来る。
●炎上時間を稼ぐ塀と外壁に
近江を含め関西の民家に共通するのは、通常
は土塗りの外壁に、外側の表面だけを焼いたス
ギ板を張り回す工法である(写真-7)。昔は薪の
火で、今はバーナーで焼くという。土壁は水に
弱い。雨掛かりを防ぎ、湿気てもすぐ乾く通気
性の確保に優れているのがこのスギ板張りで、
表面を部分炭化させるのは塗装の一種、防水・
防腐・防虫のためであろう。
写真-8
わが家の外壁と板塀
ところで、スギ板の燃焼実験によると、板は2
度燃え上がるという4)。最初は表面が、2度目は
家の佇まいに調和させたいとの想いがあり、そ
表面が炭化した後内部の木部が燃え上がる。こ
の外壁表面は焼きスギ板張りで大半を覆い、庇
のメカニズムに基づけば、スギ板の表面炭化加
下の数十cmを漆喰で塗り固めた。また、便所や
工は、最初の表面燃え上がり時間の分だけ、炎
浴室に近い敷地境界、そして隣家との境界には
上時間を遅らせる効果がある。焼き板張り工法
伝統の板塀を設えた。これらは空気を通しなが
を創案した人たちには、この間に初期消火を、
炎上防止に努めようとした狙いがあったのだろ
うか。
ら視線を遮るという絶妙な仕掛けになっている
(写真-8)。
こうして、既存棟の古い方はモルタルと土壁
他方、近江伝統の板塀は通し貫工法で造られ、
の二重外壁で、新しい方はモルタル塗り壁と焼
木部はベンガラ塗り。塀部の本体には、両面を
きスギ板で、増築部は土壁と焼きスギ板で囲わ
濃く焼いたスギ板が両面から互い違いに透かし
れている。軒下には破風など木部の見えがかり
重ね張りされる(写真-7)。屋根の庇にまずは守
が少しあるが、軒天井は珪酸カルシュウム板を
られる外壁に比べると、塀は直接風雨に晒され、
張り、屋根材の選択も含めて、延焼防止の備え
延焼火災では真っ先に火の襲来を受けて、しば
は一通り出来たと考えている。また、自家から
らくは耐えねばならない。焼きが深いのは、こ
の出火への備えは、伝統の智慧に学んで、火気
うした厳しい立地条件への配慮であろう。
使用の箇所を限定し、防火用水の代わりに消火
わが家の増改築部の意匠は地域の伝統的な民
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器を置き、器具の転倒防止や配線・配管も含め
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た維持管理をしっかりして、日々「火の用心」
たことである。人命を護る構造空間を何とか保
に努めている。
持するとともに、建物が倒壊せず前面道路が通
行不能に陥らなかったお陰で、消防や救急活動
●庭木がつくる建物外構の水の壁
など緊急対応の出来る道路が確保されていた
阪神・淡路大震災で改めて確認されたのは、
庭木の防災的効用である 5)。地盤に張った根の
(写真-9(c))。
わが家は敷地の2面が道路に面し、建物が道路
お陰で、造成地や傾斜地が斜面崩壊を免れたり、
にごく近くもあるので、家の外回りや庭中や塀
震後も健全な樹木の存在が被災者の心を癒した
沿いに、土地の余裕がある限り、常緑樹を主体
りしたが、まず重要なのは、樹葉が水分を多く
に多彩な樹種の木を植えた。松・槇・伊吹・樫
含んだ壁のように働き、延焼遮断帯になって果
など宅地庭木の常連に、月桂樹・隠れ蓑・
たした役割である。街路樹が地区の焼け止まり
黒鉄黐 を入れ、椿・山茶花 ・木槿 ・馬酔木 ・
まき
くろがねもち
さ ざ ん か
むくげ
かし
あ
し
び
きんもくせい
になったり(写真-9(a))、公園外周の樹木群が
金木犀など、花や実を付ける庭木も加えている。
内部への延焼を防いだり、全焼地域で敷地回り
季節に合わせて小鳥や虫がやってくる。わが家
の庭木がその家だけを焼け残らせたりした(写
のシンボルツリーは初夏に大輪の白い花を咲か
真-9(b))。もう一つの大きな効用は、損壊建物
(b)
)。
せる泰山木である(写真-10(a)
たいさんぼく
の側に立つ太い幹の樹木がその倒壊を防いでい
庭木の付加的効用はまことに多い。室内から
(a)街路樹による焼け止まりの事例(神戸市灘区)
(b)庭木による建物延焼防止の事例(神戸市灘区)
(文献5)139頁の写真より引用)
写真-9
12
(c)庭木が建物の倒壊と道路の閉塞を防いだ事例
(神戸市東灘区)
阪神・淡路大震災にみる樹木の防災的効用
(a)前面道路沿いの庭木
(b)側面道路沿いの庭木
(c)2階の和室書斎から
ベランダ越しに見える庭木
写真-10 わが家の樹木
見ると、窓外に一年中緑のカーテンが掛かって
発生、屋外ではブロック塀・石塀・門柱が転
いるかのようで、視線と日光を制御してくれる。
倒・崩落して、多くの人命を奪った。
樹木が育つ生命力から受ける癒しの効果も大き
阪神・淡路大震災では、莫大な建物の倒壊と
い。わが家は夏期は葉を茂らせて熱い陽射しを
死者発生の陰に隠れた感があるが、同種の被害
遮り、秋口に剪定して冬場は陽の光を取り込む
が集中して多発した(写真-11(a)(b))。1分
ようにしている。植樹以来30年が経ち生育した
にも満たない間の強烈な揺れで、程なく亡くな
お陰で、2階の和室書斎からもベランダ越しに庭
った4千余人の死者のうち、その2割は家具や設
木の緑の上端を眺められるようになった(写真-
備機器がからんで命を奪ったとの調査報告もあ
10(c))。
る。屋根瓦や窓ガラス、看板や広告塔の破損・
落下など、他にも居住空間内外の危険はいろい
3.危険を防ぐ居住空間へ、暮らしの中で
工夫を積み重ねる
ろ現出した(写真-11(c)
)。
●大震災の経験に学ぶ
た。金具による家具の固定など、対策はそれな
その反面、被害を免れた事例がいろいろあっ
現代の住まいの隠れた危険を初めて顕わにし
りに有効で、生活の中での小さな工夫も効果を
たのは、人口60万の大都市杜の都仙台を襲った
上げていた。例えば、洋服タンスと天井との隙
1978年宮城県沖地震であった。室内では、便
間に衣裳用の紙箱を詰め込んでいたお陰で、回
利・快適の暮らしに持ち込んできた家具や設備
りの家具は倒れたのに、これだけは免れた(写
機器が人を襲う凶器に変わり、多数の負傷者が
真-12)とか、ガラスや瀬戸物の器や小物をまと
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(b)ブロック塀の倒壊(神戸市中央区)
(a)室内の散乱状況(西宮市)
写真-11
(c)屋根瓦の落下(西宮市)
阪神・淡路大震災にみる居住空間の危険
めて箱に入れておいたお陰で、破砕や飛散を免
れたなど、工夫成功の事例は少なくない。
●危険を防ぐ家具・什器・設備類への対策
筆者は宮城県沖地震の被災調査 6) を契機に、
建物構造の耐震性のみに偏していた従来の耐震
工学に限界を感じて、ライフラインに代表され
る生活システムや暮らしの場・居住空間の安全
確保を研究テーマの柱の一つに据えるようにな
った。特に、家具とその収納物に関しては、被
災調査や現況調査を続け、その実態に基づいて、
当時の勤務先に導入された小型振動台を活用し、
加振実験で被害の性状や対策の効果を検証した。
耐震工学の研究者として、こうした分野に携
わった成果をわが家でも実践しよう。暮らしの
場での地震対策のモデルハウスとして、わが家
をささやかながら情報発信の一拠点にしよう。
それも研究者の社会的貢献の一つではないかと
14
写真-12
天井までの紙箱の積み込みが洋服タンスの
転倒防止に有効だった事例(神戸市灘区)
考え、増改築に併せて取り組んだ。
・生活の中心・居間には、背の低い家具を置く
対策の最初は、「配置で工夫する」。背が高く
にとどめる(写真-13(c)
)。
重い危険な家具類は、可能なら収納用の一室に
次には、「転倒を防止する」。家具を造り付け
集約する。居間や台所など家族が長く過ごす空
に/金具やロープによる固定/市販の転倒防止
間、そして就寝時に人が無防備になる寝室を含
器具を活用/足元に楔を噛ませて家具を壁側に
めて、乳幼児・子ども・病人・弱った高齢者な
傾斜/天井との隙間を充填/幾つかの家具をま
ど弱者が居る空間には、出来るだけ危険な家具
とめてつなぎ一体化/などの方法が考えられる。
を置かない。
さらには、「収納物の破損・落下・飛散を防
わが家では次のように対処した。
ぐ」。開く扉に前面に落とし錠を、或いはマグネ
・納戸として使う部屋を決めて、タンス類を中
ットや差込錠など多重の扉止めを付ける/ガラ
心に、危険な家具はほとんどここに集約した
スの窓面に飛散防止フイルムを貼る/割れ物類
(写真-13(a)
)。
は箱に入れ、直接なら布を敷いて置く/書架の
・家族の寝室そして来客の寝室になる客間には、
家具類を一切置かない(写真-13(b)
)。
棚板は奥側に傾斜させる/などが考えられる。
見えがかりを大事にするなら、展示美術品への
(a)納戸、3つのタンスを金具でつないで一体化
(c)低い家具しか使わない居間(床座空間)
(b)何も置いていない夫婦の寝室
(d)同(椅子座空間)
写真-13 わが家の居室
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対策でよく採用される透明で強力な糸・テグス
・「台所」は料理好きな妻のお城で、滞在時間
を使って留める手もある。わが家では、壁に掛
が長く危険物も多いから、対策を集中した
ける大きな鏡や額、吊り下げ型照明器具の振れ
(写真-15)。冷蔵庫や食器戸棚の上部に天井と
止めにテグスを用いている。
の隙間を埋める大きさのスギ板製収納棚箱を
上記2分類の対策をまとめて、わが家では次の
大工に作ってもらい挿入し、また複数の食器
ように対処している。
戸棚を背中合わせに金具で一体化して置いた。
・「大きな或いは重い家具類」の足元手前には、
いずれも実験で激震にも転倒し難いことを確
すべて市販のプラスチック製楔形パッキング
認した対策だ。もちろん開き扉には落とし錠
を挟み込み、壁側に少し傾けた。振動台実験
や差込錠を設けるなど、収納物への対策も怠
では、水平・垂直同時2方向の揺れに対して、
これだけでも震度5程度までは転倒を防げる
(写真-14を参照)。
っていない。
・「洋間書斎」は背の高い書架に囲まれる危険
な部屋だ。金具で直接柱に固定する、ピアノ
・「居間」の本棚はすべて造り付けにした。ま
線とヒートンで壁の木部につなぐ、梁との間
た、この部屋で唯一背の高いテレビ収容の飾
に木製板箱を詰める、市販の突っ張り棒で支
り戸棚は、対策集約のモデルに位置付け、L
えるなど、家具転倒防止手法のオンパレード
型金具による固定、開き扉に落とし錠を付
・「納戸」は普通は閉じた空間で、滅多に人は
散を防止、箱や板の詰め物でテレビの転倒・
入らないから、対策なしでも可であるが、わ
飛び出しを防止といった対策を組み合わせた
が家は寝室への通路になっている。この通路
(写真-14)。
部分の安全だけは確保しておきたい。そこで、
写真-14
16
となった(写真-16)。
け+割れ物の箱入れとタオル敷きで破損・飛
地震対策積み重ねの集大成モデル、テレビ収納の飾り戸棚
写真-15 食器戸棚と冷蔵庫への対策を集中した台所
写真-16 家具転倒防止対策オンパレードの洋室書斎の書架
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大きなタンスを3つ合わせて互いに頭部を金具
震対策の要点」を最後に記しておきたい。
でつないだ。揺れによる物体の転倒は高さと
1)既知の情報を総動員して、自分の暮らしの場
幅の比、スケールと重量に関係し、これらが
で被災のシミュレーションをしてみよう。
大きいほど安定する。だから、合体の処置だ
2)危険を防ぐ自分流の工夫を、積み重ねて備え
けで相当の転倒防止効果があると考えている
(写真-13(a)
)。
よう。
3)自分流の工夫は生活の楽しみとして創案し、
しつら
自ら楽しく設えよう。
●暮らしの場で地震対策の要点は
金沢勤務時代に防災番組の取材で親しくなっ
た記者との縁で、今年1月、わが家の地震対策が、
4)モノを少なくするように、努めて暮らそう。
5)普段の暮らしの中でも、非常時への対処が当
たり前に出来るようになっておこう。
ウィークディ朝のNHK総合TV定時番組「生活ほ
っとモーニング」で紹介された 7)。阪神・淡路
■エピローグ
大震災から十周年の特番で、雨水を利用した生
民家を創ってきたのは共生の思想である。そ
活用水の確保と家具類への地震対策が主題であ
れは、二つの共生を同時に志す思想だと思う。
った。視聴者からの反応が良かったようで、1月
すなわち、人と自然は共存すべし、それを可能
放映の直後にも、また防災の日の直前8月末にも、
にするのは人の絆なのだ。
共生の思想は、自然災害への備えにはもちろ
再放送されている。
その折りに筆者が語った「暮らしの場での地
(a)雪と地震に備えて、吹き抜けを簡素に支える
土間の構造と空間(石川県金沢市)
ん、民家の構造にまで徹底している。本稿で述
(b)雪に備えて、コミセ(伝統的な木造アーケード)が
連なる街道沿いの街並み(青森県黒石市)
(c)季節風に備えて、カイニョ(防風林)に囲まれた農村集落(富山県砺波市)
(富山の建築百選実行委員会「百の共感」、103頁の写真より引用)
写真-17
18
災害に備え形成されてきた美しい居住空間・街並み・集落
べた筆者の仮説「地震に備える多段階防衛機構」
はその集約した現れである。
共生思想を基盤にする防災の原点は次のよう
に縮約できよう。
ことわり
・自然の理に逆らわず、自然の恵みを活かして
備える。
・モノへの対策に偏らず、仕組みを含めて多重
に備える。
・非常時にも使える仕組みを、普段の暮らしに
採り込む。
・人の絆−本来のライフライン−が最後の拠り
所になる。
驚くのは、こうして災害に備え形成されてき
た簡素な居住空間が、また規律を保った街並み
や集落が、真に美しいことである(写真-17(a)
【参考文献】
1)鈴木 有:エコロジー住宅で地震に備える−伝統民家を創
る智慧と技に学んで−(その1)ライフラインの自立、
GBRC、121号、pp.2-13、2005.7
2)鈴木 有:伝統的木造構法に見る防災の智恵(その1)−
雪に備える伝統民家の智恵に学ぶ−、建築防災、279号、
pp.51-58、2001.4
3)鈴木 有:地震に備える伝統民家の智恵を生み出した技術
観−体系化のための試論−、地域安全学会論文集、No.3、
pp.87-94、2001.11
4)秋月通孝・長谷見雄二・木下孝一:伝統的木質系材料の燃
焼発熱性状、2000年度日本建築学会大会学術講演梗概集、
A-2、pp.41-42、2000.9
5)佐々木葉二:阪神大震災・緑は都市のインフラ、日経アー
キテクチュア、1995.9.18増刊号、pp.132-142、1995.9
6)鈴木 有:家具被害と事後対策に関する一考察−宮城城県
沖地震の場合−、第17回 自然災害科学総合シンポジウム
講演集、pp.661-664、1980.10
7)http://www.nhk.or.jp/hot/onair_old/index.html:2005年1月18日
放映分の内容「ワンランクアップ生活術∼地震に備えるた
めに(2)」、2005.1
(b)(c))。自然の振る舞いと共存し、自然の力
や恵みを活かしつつ備える営みが、文化と呼ぶ
に相応しく高められてきた。民家を創ってきた
智慧や技の真髄を、そこに見る思いがする。
近未来の社会を展望し構築していくとき、日
本伝統の民家の智慧や技、技術観や自然観は豊
かな学びの源泉なのである。
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