平成 19 年度 富士市転倒予防教室 資料③ 転倒予防のための住環境整備 住環境整備とは わが国では、住環境整備は一般に「住宅改修(造) 」といわれています。実際にはそ の内容は大きく分けて、①模様替え、②福祉用具の活用、③住宅改修、④福祉用具の 活用と住宅改修の併用、の 4 つに分類されます。住宅改修は時間的、金銭的から難色 を示す場合がありますので、すぐにできる①から始め、必要に応じて②→③→④と段 階的に実施するものとご理解ください。資料③の住まいチェックをご参照ください。 段階的チェックポイント 注意力を高める 高齢者には、動作はゆっくりと注意しながら行う必要があります。考え事をしてい たり、時間に追われ慌てると、ふだん通りであれば無意識に行える動作も、注意力が 低下して転倒につながります。 動線上から障害物をなくす ①整理整頓を行う 高齢者は「もったいない」と物を捨てられず、家の中にためる傾向があります。そ れらが障害物となり、動線(日常生活での移動する線)上を通りにくくします。読み かけの新聞や雑誌、脱いだ服、取り込んだ洗濯物があてはまります。視界に多くの情 報が入ると注意がそれやすくなります。また、とっさの時に壁に触れられるよう、動 線上の脇にも物を置かないようにするといいでしょう。 ②コード類をまとめる 室内に意外と多いのが、電化製品のコード類です。足を取られないよう、壁に這わ せるか、短くまとめましょう。 足元を安定させる ①履物を変える スリッパはかかとが浮くために脱げやすく、階段・段差などでは危険です。足の裏の 感覚が鈍る厚手の靴下、ツルツルすべる薄い靴下も危険です。最良なのは裸足ですが、 冬場のように寒い季節は冷えてしまいます。そこでお勧めなのがルームシューズです。 ルームシューズがなじまない場合は滑り止め付き靴下もお勧めですが、極端に滑りに くいものもあるので注意して選びましょう。 ②カーペット・マットを除去する、もしくはズレ防止シートを敷き、固定する 最近の住宅はフローリング(板間)の部屋が増え、冷え防止や装飾目的でカーペッ トを敷くことも増えています。しかしながら、毛足が長かったり、薄くてずれやすい カーペットは転倒の原因になります。そこでカーペットの下にズレ防止シートを敷き、 縁がめくれないよう両面テープでしっかり固定すると安全性が高まります。 視覚的に分かりやすくする ①間接照明器具を置く 夜間トイレに起きたばかりは、覚醒が低い状態で暗がりを歩くため転倒しやすくな ります。視力低下や眼病を有している高齢者は眼球の反応が鈍っているため、直接照 明ではまぶしくなり逆に危険な場合があります。枕元から手が届く範囲に間接照明を 置き、夜間でもすぐに部屋を照らせるようにすると安全性が高まります。 ②段差・階段に目印をつける 床材と敷居は同系色のことが多く、視力低下や眼病を有している高齢者には違いが わからない場合が多いです。敷居に色付きテープを貼り、床材と変化をもたせると安 全性が高まります。階段は踏み面の端にテープを貼り、下段との違いがわかると安全 性が高まります。 工事をする ①手すりをつける 段差の昇降は縦手すり、平地移動や姿勢保持には横手すりを設置します。 ②段差を解消する 手すりを設置しても危険が回避できない場合や、車椅子使用者では段差を解消しま す。スロープ状の板を設置するか、低い方の床面(敷居と廊下なら廊下側)を底上げ し、床面を揃えます。 【引用文献】 武藤芳照:高齢者指導に役立つ転倒予防の知識と実践プログラム,pp32−35,株式会 社日本看護協会出版会,2006
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