IEC/TC59WG12(冷蔵庫の性能)ドイツ ミュンヘン国際会議出席報告

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国際標準化活動!
IEC/TC59WG12
(冷蔵庫の性能)ドイツ ミュンヘン国際会議出席報告
IEC/TC5
9WG1
2(家電機器の安全性)が、1
1月4日(火)
∼6日(木)の3日間、ドイツ ミュンヘン
の B/S/H(Bosch und Siemens Hausgerate)の会議室で開催された。この国際会議は、冷蔵庫の性能測
定方法を検討している委員会で、当会が国内幹事団体を引き受けており、日本の国内規格(JIS)の基本
となる IEC 規格案の審議が行われている。1年に2回開催され、日本としての国際標準化活動への積極的
な参加対応のため、国内委員会より4名の代表者を派遣した。今後、この国際会議は、地球環境保全のた
めの消費電力量試験方法のみならず、製品のエネルギー効率ラベリングなども検討することになり、ます
ます重要となる。
1.会議日程等
会議日程:2
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8年1
1月4日(火)
∼6日(木)の3日間
場
所:ドイツ ミュンヘン B/S/H 会議室
出 席 者:合計9カ国1
9名(以下、日本からの出席者)
中村
淳(パナソニック)
、佐々木 宏 (パナソニック)
脇谷 浩司(シャープ)
、笹子 雅純 (JEMA)
2.主なトピックス
! 新たな冷蔵庫消費電力量試験の日本提案
日本から新たな消費電力量試験方法を提案した。提案内容は、現行の冷却運転の安定区間から
除霜終了後の一定時間の後に1回だけの扉開閉を行い、その開閉中に水負荷の投入を行う試験方
法である。冷凍室、冷蔵室へ水負荷を投入することにより、蒸発した水分が蒸発器へ着霜し、蒸
発器への着霜の影響を考慮している。
日本からの提案内容は、受け入れられ、次回 WG までに各国で評価してくることになった。
この試験方法は、
「Global energy consumption measurement method」と命名し、全世界共通で
評価できる試験方法を目指している。
" エネルギー効率に用いる内容積測定方法
エネルギー効率に使用する内容積の測定方法について検討をおこなった。9月末にオーストラ
リアでアジア太平洋パートナーシップ(APP)を開催し、事前に日本、オーストラリア、ニュ
ージーランドは、米国の AHAM(米国家電工業会)の内容積試験方法をエネルギー効率に使用
する内容積試験方法として合意していた。
一方欧州からは、AHAM の測定方法で進めるのではなく、他の測定方法で進めるべきとの意
見があり対立した。AHAM の測定方法で進めることになったが、今後も引き続き、欧州から攻
勢があるものと推測される。
# その他の課題と決定事項
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冷蔵室温度の測定点
冷蔵室温度の測定点は、前回の東京会議で上面から1
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0mm、中央、下面から1
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0mm の3
点を測定することに決定していた。しかしながら、欧州から膨大なデータをもとに説明があ
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り、東京会議で決定した3点では問題があるため、もう少し調査をしてから3点を決めたい
との申出があった。本件については、引き続き調査を行い、今後決定していくことにした。
■
消費電力量測定時間の短縮
以前の欧州勢のスタンスは、温度が安定するまでは何日でも待ってから測定を開始する方
針であった。しかしながら、今回から方針を方向転換しているようであり、なるべく合理的
方法で時間短縮が図れる測定方法を模索しているように見受けられた。
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温度測定装置(テストパッケージから銅シリンダー)の変更
これまで冷凍室は、テストパッケージという負荷を入れて温度を測定していた。前回の東
京会議で銅シリンダーを使用して冷凍室温度を測定することに変更になった。欧州の冷蔵庫
で調査を行った結果、テストパッケージから銅シリンダー変更による問題点が浮き彫りにな
ってきた。例えば、テストパッケージでは冷凍庫室内の温度が高い部分が把握できていたが、
銅シリンダーに変更すると同じ場所でもテストパッケージよりも低い測定結果になる課題が
出ている。日本の冷蔵庫では、冷気を循環させる方式の間冷式を採用しているため変更によ
る影響は少ないが、欧州で主流の直冷式では影響が大きいため課題となっている。
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編集委員会の参加
これまで決定した内容を規格として纏める作業をコンビナー、セクレタリーが纏めること
になった。規格化の作業に関しては、日本も積極的に関与したいことを述べ、筆者が編集委
員会のメンバーとして登録した。
会議風景
出席者全員写真
(家電部 笹子記)