ブーゲンビリア植物

ザンビア便り第 5 回 ジャカランダなど
今、首都ルサカはジャカランダの季節です。数メートルから10数メートルくらいの高さの木に薄紫色の花
がたくさん咲いています。市内の至るところにジャカランダの木があります。今は気候も乾期で毎日晴天が
続き、薄紫が青空に映えて、とても美しく見えます。街中で一斉に開花していて、日本の春の桜を思い起こ
させますが、花の咲いている期間は桜と違ってだいぶ長いようです。
<ルサカのジャカランダ>
ジャカランダは南米原産とのことですが、世界各地で見ることができます。私もアメリカやオーストラリアで
よく見ました。南アフリカ共和国の首都プレトリアはジャカランダ・シティーと呼ばれ、季節になると街中が薄
紫色に染まったようになるそうです。
それほどではないにしても、ルサカのジャカランダも見事です。ルサカ名物の一つに数えてよいかと思い
ます。ザンビアの通貨の単位はクワチャと言いますが、1000クワチャ紙幣の表にはジャカランダの木が描
かれています。ジャカランダと名前の付く店やレストラン、学校、企業などがたくさんあります。日本にも、ザ
ンビアの子供たちを支援する活動を行っている団体でジャカランダの名を冠した団体があります。
<1000クワチャ紙幣に描かれたジャカランダ>
ジャカランダの季節は9月頃からですが、少し遅れて10月頃には火炎樹(かえんじゅ)(鳳凰木)が咲き出
します。南半球なので夏冬は日本と逆で、こちらでは真夏の時期になりますが、火炎樹はその名のとおり
朱色ないし赤色で、暑い季節にふさわしい強烈な色です。以前住んでいたタンザニアでは、火炎樹はクリ
スマスの時期に咲くことからクリスマスツリーと呼ばれていました。同じ赤い花を付ける木で日本名も似て
いる木に、火焔木(かえんぼく)があります。数は火炎樹ほどではないもののルサカではこちらも見かけます。
その花の形から英語でアフリカン・チューリップとも呼ばれます。火炎樹も火焔木もアフリカ原産です。ジャ
カランダ、火炎樹(鳳凰木)、そして火焔木を世界の三大花木というのだそうですが、ルサカではどれも見る
ことができます。
花といえば、南国の花としてなじみの深いブーゲンビリアもルサカのあちこちで色とりどりに咲いています。
ブーゲンビリアはザンビアの国花であるとの説を耳にします。調べてみましたが、ザンビアにはそもそも公
的に認定された国花というものは存在しません。ザンビアの人々に国花は何か、あるいはブーゲンビリア
は国花かと尋ねてみても、ピンと来ない人が多いようです。どうもブーゲンビリア国花説は俗説ないし誤説
のようです。そのような説が生まれるほど広まっていてたくさん美しく咲くということなのでしょう。
ザンビアの在来の植生は、ミオンボという木の森や林が国土の4分の3ほどを占めます。ミオンボはマメ
科の木で、南部アフリカ一帯に分布しているようです。この木はザンビアの地域語ベンバ語でミオンボと呼
ばれているのですが、スワヒリ語でも同じとのことです。ミオンボの種類には花が芳香を放つものがあるら
しく、「熱暑の一日が終わって夜にこの香りが漂ってくると、まるで魔法にかかったようにうっとりさせられる」
*そうですが、一度味わってみたいものです。
一般に、外来の植物が繁殖して在来の植生に悪影響を与える場合があります。ジャカランダは、アフリカ
の他の国ではそうした影響を及ぼしている国もあるようですが、ザンビアではほとんどないそうです。なん
だか、温厚な国民性もあって国内の和が保たれており、周辺国からの難民も快く受け入れているザンビア
らしいという気がします。
*ザンビア観光局ホームページ, Mike Bingham 著 Zambia’s Vegetation より。
平成23年10月3日
駐ザンビア特命全権大使 江川明夫