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EDUCATION KUMAMOTO
教
育
くまもと
写真提供:県立小川工業高校
ロボットカーを作ってレース大会~小学生ものづくり教室~
平成 26 年 10 月 31 日発行
熊本県教育委員会
掲載所属一覧
●教育政策課
●学校人事課
●社会教育課
●文化課
●特別支援教育課
●人権同和教育課
●県立教育センター ●県立美術館
●歴史公園鞠智城温故創生館
●熊本県高等学校教育研究会福祉部会
●学校の取り組み
〇県立翔陽高校
〇県立小川工業高校
〇県立球磨商業高校 〇県立天草支援学校
○県立荒尾支援学校 ○県立ひのくに高等支援学校
〇県立熊本高等学校 〇県立天草工業高校
○大津町立美咲野小学校
●御活用ください!「くまもと
携帯電話・スマートフォンの利用5か条」
【社会教育課】
P1
携帯電話・スマートフォンの利用について、各地域や学校でそれぞれに話合い、ルールづ
くりの取り組みが始まっています。熊本県教育委員会では、皆さんで取り組んでほしいこと
として「くまもと
携帯電話・スマートフォンの利用5か条」を取りまとめました。
これを参考に、各学校、家庭、地域で話し合い、それぞれのルールづくりに取り組みまし
ょう。
●学校の取り組み
〇ツアーとマルシェを総合プロデュース!
【県立球磨商業高校】
P2
~小学生ものづくり教室~
【県立小川工業高校】
P3
「球磨商業高校生が考えた!
田園シンフォニーで行く、
奥球磨の温泉・グルメ・観光ツアー」
〇ロボットカーを作ってレース大会
本校生徒が先生役となって小学生ものづくり教室を実施しました。
「ロボットカー」を製作
し、完成後はレース大会を行いました。
〇ジャパンマイコンカーラリー競技大会への挑戦
【県立天草工業高校】
P4
熊本県内にある全工業系高校が取組むマイコンカーラリーへの挑戦と、本校の大会出場に
向けた取組みを紹介する。
〇人とのつながりから多様な教育活動へ繋がった(反射材を用いた)被服製作
【県立翔陽高校】
P6
反射材を用いた被服製作を通して、交通事敀防止を呼びかけるだけでなく、地域の方々と
の交流・連携から本取組が地域から認められ、さまざまな教育効果が得られた活動。
〇「守れ
食生活」熊本高校学校家庭クラブ活動の取組
【県立熊本高校学校】
P8
熊本高校学校家庭クラブは、小・中高校生の食生活を見直し、将来に向けた健康的な食生
活を提案するための研究活動に取り組んでおり、第62回全国高等学校家庭クラブ研究発表
大会において全国家庭科教育協会賞を受賞しました。
〇地域の子どもたちのかかわりを大切に~居住地校交流の取組を通して~
【県立天草支援学校】
P9
天草支援学校では、今年度から、居住地校交流(児童が住んでいる地域の学校との交流)
を開始しました。本校では初めての取組です。その活動について紹介をします。
〇生徒の体を守る~学校医等との連携~
【県立ひのくに高等支援学校】
P10
生徒一人一人の現在、卒業後の生活を見据え、養護教諭からの発信、学校医、保健所との
連携を通した取り組みです。生徒自身が危険性を知り、自らの命を守り、自らの体を守る取
り組みに繋げていることを紹介します。
〇企業と連携したキャリア教育の推進
【県立荒尾支援学校】
P11
本校では学校経営戦略のひとつとして、地元企業である株式会社LIXILとの連携・協
働に取り組んでいます。ここでは、生徒の学習の場や就業の場としての協力をお願いするだ
けではなく、積極的に会社のニーズに応えていくことによりお互いに意味のある関係の構築
を目指しています。
〇保護者や地域の方々と共に創る美咲野「放課後学習」
【大津町立美咲野小学校】
P12
朝の学習タイムや読み聞かせだけでなく、放課後学習会でも地域ボランティアの方々が大
活躍。道徳のゲストティーチャーなど日常の授業も応援する地域連携の取組を紹介します。
●第4回熊本県高校生介護技術コンテスト開催
【熊本県高等学校教育研究会福祉部会】
P13
介護福祉士の国家取得を目指す福祉系高校の生徒たちが第4回熊本県高校生介護技術コン
テストに出場しました。
●東京大学視察研修を実施しました!!
【教育政策課】
P14
夏休み中の2日間(7月29日~30日)を利用して、県内高校生40人が東京大学(工
学部系研究科総合研究機構)を訪れました。
科学技術に関する講義の受講や最先端の研究施設の見学などにより、科学技術への興味・
関心が刺激され、将来の目標を具体的に考える契機となりました。
●人権尊重の精神に立った学校づくり
【人権同和教育課】
全ての教職員が、自らの課題として捉え、実践していただきたい。
P15
●特別支援教育なうVol.8
【特別支援教育課】
P16
今話題のキーワード「インクルーシブ教育システム」をひも解くカギがここにある!
●「高等学校等就学支援金制度」について
【学校人事課】
P17
法律の改正によって、これまでの公立高等学校授業料の無償化制度が見直され、新しく就
学支援金制度が始まりました。※生徒(保護者)への周知用リーフレットを掲載しています。
●くまもと教育の日関連イベント「秋の遺跡発掘調査現場公開」
【文化課】
P19
くまもと教育の日関連イベントとして現在調査中の遺跡発掘調査現場を一般公開します。
地域の歴史を学び、本物の土器や石器に触れることができるいい機会です。学校の先生方の
ご参加大歓迎です。ご参加いただき、児童・生徒のみなさんに文化財の素晴らしさをお伝え
ください。
●第74回
科学展
【県立教育センター】
P20
県内の児童生徒及び教職員による科学研究物等の優秀作品を展示公開します。工夫を凝ら
した観察・実験の集大成をご覧ください。先生方の科学研究指導にもお役立て頂ければと思
います。
●パスキン展
愛と放浪の果て-エコール・ド・パリの寵児
【県立美術館】
P21
画家の生誕 130 年を記念する本展では、パリ市立近代美術館などの所蔵する油彩画、素描、
パステル、版画ほか約 90 点の作品群でパスキン芸術の精髄を紹介します。
●第1回鞠智城フォトコンテスト作品募集
【歴史公園鞠智城温敀創生館】
P22
『時空を超えて、あなたは何を写しとるのか!』と題して、鞠智城をテーマにした、美し
く感動あふれる作品を次のとおり募集しています。
教育くまもとは年間4回(4月,7月,10月,1月)発行しております。
記事の掲載依頼は熊本県教育庁教育政策課
広報・情報班まで
児童生徒のための
くまもと 携帯電話・スマートフォンの利用5か条
児童生徒のみなさんは、携帯電話・スマートフォン、パソコンやタブレット、ゲーム
機器や携帯音楽プレーヤーなど、たくさんの情報機器に囲まれてくらしています。なか
でも、携帯電話・スマートフォンは、もっとも身近な携帯情報機器として、くらしの中
で使われています。この携帯電話・スマートフォンを正しくかしこく使っていくために、
以下の5か条を参考にそれぞれのルールを決めて守っていきましょう。
第1条(守ろう!私たちの健全なくらし)
「約束しよう!夜10時から朝6時は使わない」
長時間の利用が原因で睡眠不足など健康に悪影響が出たり、生活習慣が乱れた
りすることを心配しています。夜は近くに置かないなど、使わない時間を守る
ための工夫をしましょう。
第2条(守ろう!私たちの安全・安心)
「設定しよう!フィルタリングは当たり前」
危険なサイトや有害な情報から守ってくれるフィルタリングを解除した使用を
心配しています。フィルタリングを利用して安全に使いましょう。
第3条(守ろう!私たちの人権)
「尊重しよう!画面の向こうの相手のこと」
ネット上での悪口や仲間外し、いじめなどで被害者になったり加害者になった
り、大切な友だちとの関係をこわしてしまったりすることを心配しています。
相手を傷つけるようなことは書き込まないようにしましょう。
第4条(守ろう!私たちのプライバシー)
「判断しよう!知らせていいこと悪いこと」
自分や友だちの名前や写真、住所や電話番号などの個人情報の流出により、ト
ラブルに巻き込まれてしまうことを心配しています。決して個人情報を載せな
いようにしましょう。
第5条(私たちの1か条)
「
」
それぞれの使い方に合わせたルールをつくるんだモン!
-1-
くま川鉄道は、私たち球磨商業高校生が登下校で使用している熊本県南部の人吉市~湯前
町間を結ぶ全長 24.8km の路線です。今年3月に「田園シンフォニー」という観光列車が運行
を開始し、私たちはこの田園シンフォニーやくま川鉄道と手を組んで、奥球磨地域へ観光客
を誘致していきたいと考え、今回、ツアーとマルシェを企画しました。
(1)「田園シンフォニーで行く、奥球磨の温泉・グルメ・観光ツアー」
・田園シンフォニーの車内放送で、各駅や各市町村の歴史・観光を乗客に紹介
・田園シンフォニーのワゴン販売で、球磨地域の特産品を販売
・観光名所を印刷したオリジナルのうちわを配布
・貸し切りバス車内でバスガイドとして、各観光スポットを紹介
・球磨弁(方言)クイズを実施
・現地ガイドとして、参加者を誘導し、観光スポットを説明
・夕食のお料理は、私たちが考えた、奥球磨地域の特産品である「鹿肉」や「猪肉」
を使った「奥球磨のジビエ堪能コース」を提供
(2)「球磨商業高校生が考えた! 田園マルシェ」
・湯前町、水上村の事業所に協力を依頼し、特産品を揃え販売
・「くまモン」、湯前町のゆるキャラ「ゆっくん」、人吉球磨地域のご当地ヒーロー
「ジュグリッター」にも出動を要請し、各種メディアの取材・掲載率を上げ、より
多くの人に特産品をPR
ツアー参加者からは、
「最高でした。高校生が誠意を持っておもてなしをしてくれました。
また企画があったら是非参加したいです。」という有難い感想をいただきました。
-2-
熊本県立小川工業高等学校
情報電子科
夏休みの7月30日に小川工業高校生6人が指導者となって、宇城市立河江小学校
の6年生10人に対してものづくり教室を開催しました。ものづくり教室では小学生
がロボットカーを作りレース大会を実施しました。この取組は、熊本県産業人材育成
課の「ものづくりチャレンジ事業」の一環として企画したものです。
参加した小学生は、マイコンを使ったロボットカーを組み立てた後、白線をたどり
ながら走るように、パソコンを使ってプログラムしました。速く走るために、プログ
ラムを何度も繰り返し調整していました。
1番速かった小学生は、5m程度のコースを5秒で完走することができました。
プログラミングの説明
ロボットカー製作の様子
講師を務めた生徒たちは、これまで積
み上げた技術を活かすとともに、小学生
にわかりやすい言葉を捜しながら指導に
当たっていました。ものづくり教室実施
後のアンケートでは、参加した小学生か
ら「わかりやすい説明であった」「参加
して楽しかった」「ものづくりに興味を
持った」等の意見が出されました。
レース大会の様子
また、この生徒たちは、プログラミン
グ・マイコン制御同好会に所属し、10月
26日に開催されるジャパンマイコンカ
ーラリー熊本県大会に出場します。九州
地区大会や全国大会出場を目指して、
日々、マイコンカーの製作に奮闘してい
ます。
プログラムの調整中
-3-
ジャパンマイコンカーラリー競技大会
~「熊本から全国へ、工業高校生の挑戦」~
1 20周年を迎える「ジャパンマイコンカーラリー競技大会」
「マイコンカー」をご存じですか?
「マイコンカー」とは、高校生が製作した自動車に、自動走行するプログラ
ムを組込み、黒いコースに引かれた1本の白線上を走行するロボットのことで
す。マイコンカーの製作は全国各地の工業高校で授業や部活動の一環として盛
んに取組まれています。このマイコンカーを直線、カーブ・車線変更・坂道な
ど難易度の高い全長50m以上もあるコースをつくり、2台同時に周回走行さ
せタイムを競うものが「ジャパンマイコンカーラリー競技大会」です。
この大会は、
「マイコンカーラリー競技をとおしてメカトロ技術の基礎・基本
の習得、自発的・創造的な学習態度の育成を図るとともに、ものづくりによる
課題解決型教育を推進し、新技術への夢を育む」ことを目的として開催され、
「高
校生ものづくりコンテスト」、「アイデアロボットコンテスト」と並び、工業高
校の代表的な競技大会の一つとなっています。競技人口は、これまでの大会で
延べ数万人ともいわれています。
なお、競技はマイコンカー競技に初めて参加する高校生が対象の Basic クラ
スと2回目以降の参加者が挑戦する Advanced クラスがあります。Basic クラス
は、使用する回路や部品が最初から準備されており、誰でも気軽に参加できる
クラスです。一方、Advanced クラスは制限が少なく、自由な発想力と創造力を
持って製作することができるため、生徒の個性が表れた独創的なロボットを作
ることができます。難易度は年々上がり高校生にとっては非常に高い技術力が
求められます。
全国大会は、平成8年に第1回大会を開催以来、毎年北海道で開催されてお
り、本年度で第20回を迎えます。本県工業高校生も第3回大会から毎年出場
しており、過去19年間に Advanced クラスで2回(第4回、第14回)、Basic
クラスで1回(第13回)の計3回全国優勝を成し遂げています。現在は全国
12の地区で地区大会が行われ、勝ち上がったチームが地区代表として北海道
マイコンカー全体図
ジャパンマイコンカーラリー2014全国大会風景
-4-
ジャパンマイコンカーラリー2014全国大会風景
に集結して全国大会が盛大に開催されています。地区・全国大会での年間の大
会参加台数は3600台を超え、延べ台数は4万4千台を超えています(平成
24年現在)。近年では、各地域で大学との連携を図り、独自の大会も開催され
ています。熊本県では、2年前から東海大学熊本キャンパスと連携し、毎年3
月に「東海大学 Challenge Cup」を開催しています。
2 本校の取組み
熊本県立天草工業高等学校では、機械科・電気科・情報技術科が授業で、マ
イコンカーの製作に取組んでいます。部活動では電子工作部が「技術の伝承」
をモットーとして、顧問2人、部員数8人で活動しています。入部したばかり
の新入部員には3年生が中心となって熱心に指導していくので、半年の間に設
計図の見方・書き方、部品の加工技術、半田付
けの仕方など多くの技術力を身に付けること
ができます。最近では、部品の設計から製作ま
で全て自分たちで出来るようになりました。こ
のように、先輩から後輩への「技術の伝承」を
特に大切にしています。現在は10月に開催さ
れる県大会での上位入賞を目標として、日々最
終調整を行っています。
天草工業高校電子工作部員
3 熊本県大会のご案内
平成26年10月26日(日)に熊本県立八代工業高等学校にて全国最大級
の参加台数を誇る熊本県大会が開催されます。本年度は計151台が参加し、
昨年度の全国大会でベスト8入賞のマイコンカーも出場します。また、東海大
学 Challenge Cup は来年3月初旬に東海大学熊本キャンパスで開催される予定
です。各学校で1年間かけて製作・調整されたマイコンカーの十数秒間の息を
のむ戦いおよび九州地区大会出場31台の枠を手にする学校はどこか、全国で
最も激戦区である熊本県大会を是非当日の会場でご覧下さい。
ジャパンマイコンカーラリー熊本県大会風景
ジャパンマイコンカーラリー熊本県大会風景
-5-
ジャパンマイコンカーラリー熊本県大会風景
翔陽生の取組みで、高齢者の方々を交通事故から守りたい
~反射材を用いた被服製作を通して、安心・安全なくらしにつなげる教育活動~
熊本県立翔陽高等学校
1
はじめに
増加傾向にある高齢者の交通事故防止を目的とした反射材を用いた被服製作を通して、安心・
安全なくらしにつなげるため、地域と連携して取り組んだ教育活動である。
高齢者(大津町在住)の実態を把握し、反射材を用いた被服を製作して報告会・展示を行った。
地域へ『夜間の交通事故防止等』について呼びかける活動を通して、さまざまな方々からのアド
バイスや発表する機会をいただき、生徒たちは社会に貢献したという手応えを体感することがで
きた。人とのつながりから、様々な教育活動につなげることができた。
2 教育活動
(1)生徒が意欲的な学習活動をするために
①事前調査(大津町役場・大津警察署へ)
生徒たちに活動(反射材を用いた被服製作)の必要性を感じてもらうため、本県での高
齢者の交通事故の多さ、そして大津町の高齢者について情報収集し、数値化したものを授
業で示した。
情報提供先は、大津町の高齢者については大津町役場に、交通事故数等については大津
警察署に協力していただいた。
②事前学習(県の取組み、企業での取組みを学習して)
県交通安全推進連盟及び反射材を提供していただいた
本田技研工業株式会社熊本製作所の担当者から交通事故
の実態と反射材の有効活用について講話をしていただい
た。直接担当者から県の取組みに生徒たち自身が関わるこ
とを体感する機会ともなり、意欲的に取組み始めた。
③大津町の実態把握
事前調査で相談した大津町役場の関係者を通じて、「高
齢者学級」の開講日にアンケートを実施していただいた。
アンケートの結果、大津町高齢者の方々は、3割の方が夕
方以降に外出されており、交通事故に遭いそうになった人も
おられた。また、服装はさまざまだったが、多くの小物等を
用いておしゃれに気を使われていることが分かった。
そこで、さまざまな服装、バックなどの小物に、反射材をうまく取り入れた被服製作を
実施することとなった。
(2)実践活動
①被服製作開始(デザイン画制作→型紙づくり→裁断→縫製→完成へ)
-6-
作品紹介(一部)
・工夫した点
★作品のコンセプト「可愛いおばあちゃん」
①反射材とビーズで可愛いく仕上げた『つけ衿』
②着やすく袖口を広くし、反射材の糸で絞った袖
③反射材と和柄の布で作ったくるみボタン
④360°反射材で仕上げ、ギャザーを付けた裾
(3)報告会・展示・発表
①『高齢者学級』での報告会
作品製作にあたり、アンケート等御協力していただいた『高齢者学級』にて報告会を実施
した。励ましの言葉や、もう少しゆっくり作品を見たかったなどの御意見もあった。
②大津町役場・大津警察署での報告会
大津町役場では大津町長様、大津警察署では署長様を
はじめ、この取り組みに関係していただいた方々に活動
報告した。
報告の際にも、貴重な御意見や、今後を期待した言葉
を多くかけていただいた。
③作品展示
報告会を通して、大津町役場・大津警察署での作品展
示につながった。
④発表 9月20日(土) 熊本県交通安全県民大会にて
発表では、生徒たちは当日約 700 名の参加者を前にして、半年間の取り組みを堂々と伝え
ることができた。生徒たち自身の思いが、聴衆された方々に十分伝わったと思う。
本取り組みについての発表・作品展示を通じて、秋の交通安全運動への取り組みに協力で
きたこと、出席された小野副知事からも温かい励ましのお言葉をいただき、地域だけでなく、
本県の取り組みに貢献できたことを実感できた。
3 さいごに
高齢者の実態を把握した被服製作を通じて、生徒自身が日ごろから学んでいる知識や技能を
活かせたことに加え、相手に配慮した心遣いをすること、多くの事を学ぶ(気付く)機会とな
ったことなど、貴重な経験となった。さらに、この取り組みを支える地域の方々とのつながり
や,作品展示・活動報告などを通じて、生徒たちは、学校での教育活動では得られない体験に
より、大きく成長することができた。まさに、『環境が人を育てる』ことを体感できた。他に
もあるが、このような多くの経験が、生徒自身も新しい自分の再発見につながり、今後さらに
意欲的に活動を取り組んでいけるものと期待している。
-7-
「守れ 食生活!」熊本高校学校家庭クラブ活動
県立熊本高校学校家庭クラブ
本校の学校家庭クラブでは、現在の小・中・高校生の食生活を見直し、将来に向け
た健康的な食生活を提案するための研究活動に取り組んでいます。
県が推進するブルーサークルメニューの熊本高校バージョン「くまヘル(熊高ヘル
シーフード)メニュー」の
考案とその普及活動のため、
熊本中央病院の栄養士さん
や県健康づくり推進課の皆
さんに御指導をいただき、
県の統計調査をもとに食生
活の改善や運動の重要性を
伝える啓発ポスター(左図)
の製作、小学生や高校生と
の調理交流会等、様々な企
画を立案し、実施していま
す。
8月に行われた第62回
全国高等学校家庭クラブ研
究発表大会山口大会では、
この研究活動を発表し、全
国家庭科教育協会賞を受賞
しました。
熊本高校のホームページ
に、食生活改善について考
える地域の皆さん方との交
流等の活動内容を掲載して
いますので是非ご覧ください。
(学校 096-371-3611 担
当:岩下)
← 食材の旨み
← 小学生との
を生かし、脂質や
調理交流会(野菜
糖質に偏らない
いっぱいケークサレ、
メニューの工夫
じゃがいものスー
を続けています。
プ、トマトのゼリー)
-8-
地域の子どもたちとのかかわりを大切に ~居住地校交流の取組を通して~
熊本県立天草支援学校
本校では、今年度より、居住地校交流を開始しました。居住地校交流とは、同じ社会に生きる人間とし
て、お互いを正しく理解し、共に助け合い、支え合って生きていくことの大切さを学ぶことを目的に、児童
生徒が住んでいる地域の学校と行う交流のことです。本校では、初めての取組になります。相手校と話し
合いを重ね、より充実した交流になるよう計画的に取り組んでいます。現在、小学部1・2年の児童3人が
交流しています。その中で、1学期に実施した2校との交流について紹介します。
天草市立亀川小学校との交流
小学部2年の男子児童が交流しています。1学期の交流では、2年生
と特別支援学級のみんなで一緒に「たんざくまつり」(七夕集会)の活動を
行いました。交流前から、本校や家庭でも七夕飾りを作ったり、短冊にお
ねがいごとを書いたりして、事前学習に取り組みました。
交流当日、本校児童が2年生の教室に入ると、みんなと同じ机、椅子
が準備してありました。クラスの一員として迎えてもらい、心温かくなりま
した。初めは少し慣れない様子が見られましたが、自然に友達の輪が広
がり、みんなと一緒になって飾り付けをして大きな七夕飾りが完成しまし
た。事前に準備していた飾りがなくなると、友達が飾りを持ってきて、「一
緒にしよう」と誘う場面もあり、たくさんの友達とかかわることができた交
流となりました。最後に記念写真も撮りました。
小学校の友達も、次回の交流を楽しみにしているようです。
天草市立楠浦小学校との交流
小学部2年の男子児童が交流しています。1学期は2年生と図工の粘土
を使った学習での交流を行いました。初めての交流でしたが、小学校と打
ち合わせを行う中で、かかわりがより深くなるよう、学習での交流と合わせ
て、給食を一緒に食べることになりました。
交流当日は、本校で作ったプレゼント持っていき、交流のあいさつの際
に渡しました。粘土の制作活動が始まると、たくさんの友達が集まってきま
した。それぞれが型抜きした粘土を持ってきたり、本校児童が持ってきた道
具を貸してほしいと言ってきたりと、最初から最後まで大勢に囲まれ、とて
も楽しい雰囲気で活動を行うことができました。給食では、友達が周りに集
まったり、隣の友達の様子を見て喜んだりする場面もありました。たくさん
の友達と一緒になって大いに盛り上がった交流となりました。
交流後、小学校の友達から「次はいつですか?」「もっとしたいです」など
の声も挙がっていて、次回の交流がさらに楽しみになりました。
「かかわり」「つながり」を大切に
本校1年の児童については、2学期から上天草市立中南小学校との交流を計画しています。
居住地校交流は、住んでいる地域の仲間とのかかわり、就学前(幼稚園・保育園)からのつながりといっ
た「かかわり」「つながり」を大切にした交流です。本校ではスタートしたばかりの居住地校交流ですが、今
後も続けていき、多くの友達とかかわり、将来の地域での生活につなげていきたいです。
-9-
生徒の体を守る~学校医との連携~
熊本県立ひのくに高等支援学校
1 はじめに
本校は、平成13年4月に開校した県内では唯一の高等部だけの特別支援学校であり、軽度の知的障がいのあ
る生徒を対象にした学校である。卒業後の職業自立や社会自立をめざした生徒達が学んでいる。近年、10代の
若者が性犯罪や危険ドラッグ等に巻き込まれる事件が増えている。本校では、担任等だけでなく養護教諭の立場
から生徒の実態をふまえ、犯罪事案の未然防止の観点から、外部機関(校医、薬剤師、保健所等)との連携に努
めている。
指導に当たっては、生徒の実態や健康面等を把握している養護教諭が、事前に外部講師と講話内容について複
数回打合せを行い、生徒のニーズにあった学習活動としている。担任等は講話内容について事前に生徒達へ周知
し、当日の講話を受けて振り返りをするなどのより定着できる工夫をしている。特に、学校医(薬剤師)とは、
薬物乱用等(危険ドラッグ、飲酒、喫煙)に関すること、保健所からは性教育に関することを専門的な立場から
御指導をいただき、生徒自身が自ら考え、自らの体を守る学習活動に繋げている。
2 概要
(1) 学校薬剤師による「薬物乱用防止教室」
学校薬剤師との連携は、
「薬物乱用防止教室」として、講座を開講して今年5
年目となる。実施前には、養護教諭から生徒の実態及び現状、希望内容につい
て報告等の事前打ち合わせを3、4回行う中で、学校医は専門的立場から講話
内容を決定していく。学校医は、生徒の実態をふまえ、動画や実験をおりまぜ
ながら視覚的にわかりやすく話したり、話す速度をゆっくりするなど様々な工
夫をされている。本年度は、
「飲酒・喫煙」
「危険ドラッグ・服薬」についての
講話があった。
「飲酒・喫煙」では、各依存症や害、身体症状などについての
話があったことで生徒達は一つ一つ丁寧に考えることができていた。
「危険ドラッグ」については、
「危険で
ある」
「止めよう」だけでなく医師の立場から「危険ドラッグ」の危険性や身体への影響についての話をし
てもらうことで、生徒達の心に届く内容となった。
(2) 学校医(歯科医)による「歯科講話」
歯科検診では通常の検診だけでなく、生徒一人一人が口腔状態を知ると共
に将来に向けての歯磨きの定着を目指して行っている。生徒は事前に歯の染
め出しを行い、結果を受けて、学校医が生徒の実態を受けて講話を行ってい
る。毎年、ブラッシングや歯周病について繰り返し話をしてもらっている。
また、よく磨けている生徒には、学校医からの表彰があり、生徒への意識付
けに繋がっている。
(3) 保健所による「性教育出前講座」
菊池市が行っている菊池地域思春期保健対策の一貫として、
養護教諭が中心となり保健所と連携をとるこ
とで、生徒の実態や卒業後の生活に必要な性知識の習得の場として講師を招き取り組んでいる。学年毎にテ
ーマを決めて行っており、今年度1年生は、「妊娠・避妊・出産・中絶」「性感染症」等について話をいた
だいた。特に生徒は「中絶」という言葉は聞いたことがあっても具体的な内容や女性にとってのリスクを知
ることで、「命を殺すことになる」「心も体も傷つく」等の感想が生徒達からあがった。「性感染症」は、
性的接触がある人なら誰でもかかりうる病気であることやまた、相談・検査・治療ができる機関を具体的に
提示していくことで卒業後の生活に結びつけるようにしている
3 成果
生徒一人一人の今、そして将来を見据えた養護教諭からの発信は、学校医、学校薬剤師、保健所等の密な
連携から成り立っている。生徒の実態に応じた専門的な立場からの講話は、わかりやすく教示いただいた事
柄が少しずつ浸透してきている。生徒からも「体によいことや悪いことがわかった」「相手の立場に立って
考えることの大切さが実感できた」などの感想が出てきている。また、学校医等の来校等の機会が増えるこ
とは、本校への理解が深まると共に緊急な病気・けがの速やかな受診に繋がり、安心安全な学校生活づくり
に繋がっている。
今後も生徒自信が今を見据え、自らの体を守り、よりよく生きる力に繋がるよう外部機関との連携は積極
的に取り組んでいきたい。
- 10 -
企業と連携したキャリア教育の推進
熊本県立荒尾支援学校
1
はじめに
本校は「キャリア教育の視点を踏まえた学校システムの再考」という研究テーマのもと、
平成23年度から一貫してキャリア教育の推進に取り組み、児童生徒一人一人のキャリア
発達を的確に捉える「育てたい力一覧表」をツールとした教育実践のPDCA化、PATH の
手法を用いた諸会議の活性化、教員一人一人が教育実践に明確な説明責任を負う一人一事
例方式による教員研修の活性化などの実績は県内外より高い評価を頂き、平成25年度文
部科学大臣キャリア教育優良校表彰受賞の光栄に浴することができました。
このような取り組みのもと高等部では、キャリア教育のPDCAサイクルに企業等の視
点を取り入れるべく、地元企業株式会社LIXIL有明工場との連携・協働を模索し着実
に形になりつつあります。
2
就労の場から学習・協働の場、そして互いに意味のある関係へ
株式会社LIXIL有明工場との関係は、平成25年度に高等部生徒の就業体験(現場実
習)受け入れからスタートし、本校卒業生の雇用が実現しました。このことをきっかけとし
て会社側から様々なご提案をいただくようになり、今年度は工場内を飾るプランタの季節
毎の管理や、工場内施設の花壇整備を行っており、本校生徒にとって重要な学習の場とな
っております。この花壇整備は企業の新規採用職員の皆様との共同作業として実施された
もので、職員研修の一環として企業のニーズを織り込んでいただいていることは特筆に値
します。
また、企業からの本校訪問研修も実施され、障がいに関する基礎理解の場としてご活用
頂きました。現在雇用されている本校卒業生の雇用管理と定着支援に資するものと確信し
ています。
「LIXIL の社員研修とのコラボレーション」
3
「LIXIL からの本校訪問研修」
おわりに
学習指導要領ではキャリア教育推進のための配慮事項として、地域や産業界の人々との
協力を挙げています。本校もこの重要性に鑑み、地元企業との連携を深め、企業等の視点
に基づく教育課程の改善に努めて参ります。ここで重要なポイントとなるのは、互いに意
味のある内容を計画的組織的に積み上げることであることを踏まえ、積極的に企業のニー
ズに応え、将来的に持続発展的な連携協働関係を構築していきたいと考えています。
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保護者や地域の方々と共に創る美咲野「放課後学習」
保護者や地域の方々と共に創る美咲野小の歴史
大津町立美咲野小学校放課後学習会の取組から
大津町立美咲野小学校
美咲野小学校は昨年度大津小学校から分離した児童数592名
の新設校です。文科省の「コミュニティ・スクール」と県の道徳教
育用郷土資料「熊本の心」活用事業の委託を受けて研究に励んでい
ます。文武両道を実践している学校で、昨年は、RKK学童駅伝大
会で優勝もしました。
そんな美咲野小には、72名のボランティアの方々が国語・算
数・読み聞かせの支援に来られ活動中です。中でも、毎週金曜日の
「放課後学習会」には、5年生51名、6年生74名の児童(76%)
が参加し、4つのコース(基礎基本・こつこつ・ぐんぐん・チャレ
ンジ)を自分で選択し、ボランティアの方々に丸付けやアドバイス
をもらっています。毎週1回ですが、子どもたちの学力向上に成果
を上げています。子どもたちにとっては、丸を付けてもらいながら
励ましの言葉をかけていただくことで達成感を感じ、次への意欲付
けにつながっています。
「放課後学習会」の様子
いつもほめてくだ
さるボランティアの
先生方が大好きです。
丸付けの時は、ドキドキでつい覗き込む子どもたちです。
毎回最後には「ごほうびシール」をファイルに貼ってもらい、
大喜びです。子どもたちが帰った後は、先生方との交流の時間
を設定しています。「毎週楽しみです。」と喜んでいただいて
います。地域の話題も聞かせていただく貴重なひと時です。
毎週、熱心
に学ぶ子ども
たちから元気
をもらい楽し
く参加してい
ます。
学習会には、
担任
や教頭・校長先生も
参加されるだけで
なく学校のすべて
の先生が感謝の言
葉をかけて下さる
のも嬉しいです。
ゲストティーチャーと心を育む教育
ど
ん
な
時
で
す
か
?
い
て
一
番
う
れ
し
い
の
は
ボ
ラ
ン
テ
ィ
ア
を
し
て
見
る
時
で
す
。
あ
な
た
た
ち
の
笑
顔
を
ボランティアの先生方には、月~金の通常の授業中も支援していただいています。道徳の時間にゲストティーチ
ャーとして参加していただくこともあります。豊かな心を育むという点では、児童が登校する前に毎朝担任が黒板
に、子どもに対する思いをこめたメッセージを書いています。12月12日(金)には昭和女子大学押谷由夫教授
(日本道徳教育学会会長)を、1月19日(月)には東京学芸大学永田繁雄教授(元文部科学省教科調査官)をお
迎えし、美咲野小から、心に響く道徳の授業を公開する予定です。ご参加お待ちしています。
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熊本県高校生介護技術コンテスト開催
熊本県高等学校教育研究会福祉部会
熊本県高校生介護技術コンテストは、介護福祉士の国家資格取得を目指す福祉系高校7校
(阿蘇中央高校、芦北高校、上天草高校及び私立高校4校)で学ぶ生徒の学習成果発表の場
として位置付け、学校代表2人一組のチームが介護技術を競います。また、併せて介護に関
する知識や発表力も問います。介護技術力を高めるとともに、様々な介護の場面において適
切かつ安全に支援できる能力と態度を育成し、生徒同士の交流を深める目的で開催していま
す。今年度の大会は、7月15日(火)くまもと森都心プラザにおいて、各校からの応援生
徒も多数参加し、盛大に開催されました。「介護技術の部」では、教育委員会賞(最優秀賞)
に慶誠高校、優秀賞2校に芦北高校・菊池女子高校が選ばれました。最優秀校は全国高校生
介護技術コンテスト九州地区代表選考会に出場し、上位2校は11月開催の全国大会への出
場権を得ることができます。また、「ベッドメイキングの部」では、甲佐高校を含め公立4
校、私立4校が出場し、主に1年生による2人一組のチームが、入学してから僅か3ヶ月間
で身に付けた技術力を披露することができました。最優秀賞に阿蘇中央高校、優秀賞に甲佐
高校(普通科福祉教養コース)が選ばれ、これから福祉を学ぶ意欲に繋がるすばらしい機会
となりました。
表 彰 式
介護技術の部の競技
ベッドメイキングの部の競技
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平成26年7月29日(火)~30日(水)の1泊2日の日程で、今年度で6回目となる東京大学視察
研修を実施しました。県内の公私立高校19校から参加した40名の高校生は、知的好奇心を大いに
刺激され、科学技術への興味・関心を高め、目標とする将来像をより具体化することができました。
◆初日
まず、東京大学工学系研究科総合研究機構長である寺井隆幸教授の挨拶の中で、この研修の導入として、
「工学」についての分かりやすい解説がありました。工学は、豊かな社会の実現に必要な「技術」の原理・基礎か
ら応用までを研究するもので、対象は原子分子から地球環境に及びます。モノやシステムの創造から管理・運
営・廃棄までを取り扱い、工学の総合化として理科系から文科系まで幅広い関わりがあることを学びました。
引き続き寺井教授により行われた「燃料電池と水素エネルギーシステム」についての講義では、 水素と酸素
から水が生成する反応を利用して電力を取り出す燃料電池の原理、さまざまな種類の燃料電池の開発状況、水
素エネルギーシステムの展開と今後の可能性などについて解説がありました。
生徒達は、燃料電池と太陽光発電を組み合わせた模型のデモンストレーションに興味を惹かれていました。
下山淳一准教授による「不思議な超伝導現象とその材料科学」についての講義では、電気抵抗ゼロで永久
に電気が流れる超電導の現象とMRIやリニアモーターカーなど応用例の紹介とともに、近年実用化が進む高温
超電導材料とその開発過程における科学的知見、将来的な応用の可能性について解説がありました。
「機転」「工夫」「コツ」「創造性」が人生に必要だという話は、参加生徒に強い印象を残していました。
井上慎准教授による「絶対零度への挑戦」の講義では、気体中の原子は上手くレーザーが当たると速度が低
下(=冷却)し、多数の原子の冷却により気体の原子でも「ボース・アインシュタイン凝縮」と呼ばれる超流動転移
を起こし、原子が「波のように」振る舞うことなど、常識の通用しない極低温の世界について解説がありました。
生徒達は、ドップラー効果や気化熱の応用などこれまでに学校で学習したことが大学の研究にも用いられてい
ることを改めて認識し、学習意欲を高めていました。
講義終了後には、蒲島知事が団長として、東京大学に対して研修受入れのお礼を述べられるとともに、参加
生徒に対しては、自身の経験を踏まえ、「夢を持ち、目標に向かって120%の努力をすること」「人との出会いが
人生を変えるので、出会いを大切にすること」など生徒達の心に残る言葉がかけられました。
◆第2日
研究設備の見学では、空気中の微細な埃を除去するスーパークリーンルーム、地下1階から地上2階
に及ぶ巨大な超高圧電子顕微鏡室、内部構造や表面の観察にそれぞれ適している透過型及び走査型顕微
鏡について現場で説明を受け、生徒達は東京大学工学部の最先端の設備に圧倒されていました。
その後のキャンパスツアーには東京大学工学部の大学院生が付き添い、生徒達は、研究室など通常は
立ち入ることのできない場所を含め、キャンパス内の施設を案内してもらいました。
◆参加生徒の感想
多くの生徒達が、この研修への参加が自分にとって大変貴重な経
験となったと、感謝の気持ちとともに振り返りました。
東京大学の先生方や大学院生、蒲島知事、また、1泊2日の行程
をともにした他校の生徒たちと直接に接することで大きな刺激を受
け、これまでの自分を見直す機会となり、将来に向けて努力していく
決意を改めて固めていました。
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人権尊重の精神に立った学校づくり
熊本県教育庁教育指導局 人権同和教育課
本年6月10日に実施した「平成26年度校長人権教育推進会議・県立学校人権教育主任研修」
の概要についてお知らせします。
【講演】
講師:公益社団法人福岡県人権研究所 事務長
文部科学省「人権教育の指導方法等に関する調査研究会議」委員 谷口研二氏
演題:人権教育の具体的イメージと管理職、担当者の役割
-マネジメントの基礎としての人権感覚-
○ビジョンとは、こうなりたい、こんな子どもを育てたいと強く思っている姿である。ビジョンの効用
は、①やる気にさせる、②やっていることの意味が明確になる、③方向性が見えてくる、④評価の基
準が分かる、⑤優先順位が分かる、である。校長の立ち振る舞いそのものがビジョンであることを踏
まえて学校経営を行ってもらいたい。
○ビジョンの描き方として、どんな人を育てたいのか。
①自ら判断し行動する力が身についている。
②「私OK、あなたOK」の考え方によるコミュニケーションができる。
③「市民」としての資質を身に付けている(市民性 citizenship)
。
○問題事象が発生した場合、管理職として求められるものとして、校長のネットワーク、フットワーク、
危機管理力(ニーズや変化への対応力)があげられる。
「トラブルが起こることが問題なのではなく、
そこから(解決過程で)何も学べないのが問題」
(危機をチャンスに!)である。
また、人権教育主任の役割として、目を凝らし、耳を澄まし、心を配り、汗をかき、保護者・子ど
もの事実をしっかり把握する力、コメントする力、そしてそれを教材化して普遍化していく力が求め
られている。
【実践発表から】
【荒尾市立平井小学校】
(平成25・26年度文部科学省人権教育研究指定校)
○人権が尊重される学習活動づくりに向け、授業のユニバーサルデザイン化や伝え合い・認め合う授業
づくり、個に応じた支援などの取組が工夫されています。
※研究発表会:平成26年11月20日(木)
【合志市立合志中学校】
○教職員が自分自身の同和問題に対する基本的認識を深めるために、
「地域に学ぶ」を原則に、年度初め
の校内研修で校区内の当事者の方の話を聞いたり、小、中学校が連携して現地研修を実施したりする
取組や若手と経験者の組み合わせ、複数で対応するなど校内研修の運営が工夫されています。
【県立松橋西支援学校】
○これまで長年取り組まれてきた小、中、高等学校との交流及び共同学習について、共生社会の形成に
貢献してきたかを人権尊重の視点で改めて検証し、取組の充実を図る点が工夫されています。
【県立宇土高等学校】
○自尊感情をキーワードに、従来行っていたボランティア活動やキャリア教育等の取組を、人権尊重の
視点から見直し、教職員に対して、すべての教育活動を通して人権教育を推進することの再確認及び
意識向上を図った取組が工夫されています。
【問い合わせ先】 人権同和教育課
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096-333-2702
平成26年1月20日に批准した「障害者の権利に関する条約」に
よると、障がいのある人と障がいのない人が共に学ぶうえで、必要か
つ適当な「合理的配慮」の提供が求められています。
「合理的配慮」と
は、平成24年7月、中央教育審議会初等中等教育分科会から出され
た「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のため
の特別支援教育の推進(報告)
」では、次のように定義されています。
「合理的配慮」とは、「障害のある子どもが、他の子どもと平等に「教育を受ける権利」を享
有・行使することを確保するために、学校の設置者及び学校が必要かつ適当な変更・調整を行
うことであり、障害のある子どもに対し、その状況に応じて、学校教育を受ける場合に個別に必要
とされるもの」であり、「学校の設置者及び学校に対して、体制面、財政面において、均衡を失
した又は過度の負担を課さないもの」である。
なお、障害者の権利に関する条約において、「合理的配慮」の否定は、障害を理由とする差
別に含まれるとされていることに留意する必要がある。
合理的配慮は、一人一人の障がいの状態や教育的ニーズ等に応じて決定され、多様かつ個別性
が非常に高いものであるため、文部科学省では具体例を示すのではなく、HPでデータベース事
例を整理し示しています。各学校では、このHPを参考に必要な合理的配慮を検討し提供するこ
とになります。※詳細は国立特別支援教育総合研究所HP(http://www.nise.go.jp/)参照。
これまで、本課で収集した合理的配慮に中から参考までに数例を紹介します。
○聴覚障がいのある生徒に対して、全校集会時に講話内容等を同時にパソコンで文字化し、ス
クリーンに映し出した。また、FM 補聴器の活用を図った。
○級友とのコミュニケーションに困難さがある児童に対して、通級による指導の時間に自立活
動を実施し、適切なコミュニケーションの取り方を学ぶことができたことで、通常の学級で
もよりよいコミュニケーションが図れるようになった。
○聴覚過敏のある児童生徒に対して、教室のすべての椅子の脚にテニスボールをつけて、騒音
の軽減を図った。
共生社会って、どんな社会なのでしょう?
それは、これまで十分に社会参加できるような環境
になかった障がいのある人たちが積極的に参加し、貢
献していくことができる社会です。そして、障がいの
ある人もない人も、あるいは障がいのある人同士も、
誰もがお互いに尊重し支え合い、違いを認め合える全
員参加型の社会でもあります。
こうした共生社会を築いていくための取組の一つに
交流及び共同学習 があります。交流及び共同学習とは、お互いのふれ合いを通じて豊か
な人間性を育む「交流」の側面と、目標をもった学習活動の一環としての「共同学習」の側面が
一体となっています。主に幼稚園・保育所、小・中学校、高等学校と特別支援学校との間、特別
支援学級と通常の学級との間で行われています。学校間では、30年以上前から関わりが続けら
れている取組もあります。方法としては、互いの学校や学級と行き来し直接関わる活動もありま
すが、手紙やメール、テレビ会議システムなどを活用して間接的にやりとりをする活動もありま
す。交流及び共同学習で大切なことは、お互いをよく知ることと共に学んでいく関係を築くこと
です。共に学ぶためには 合理的配慮 も必要になります。こうした取組の積み重ねが、共生
社会の実現につながっていきます。
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こ う と う が っ こ う と う し ゅ う が く し え ん き ん
1.高等学校等就学支援金制度とは
家庭の状況にかかわらず、全ての意志ある高校生が安心して勉学に打ち込める社会をつく
るため、生徒に、授業料に充てる高等学校等就学支援金を支給し、家庭の教育費負担を軽減
する制度です。奨学金制度ではありませんので返済は不要です。
2.支給方法
就学支援金は、学校が生徒本人に代わって受け取り授業料に充てますので、生徒本人や
保護者が直接受け取るものではありません。
(公立高校の場合、申請し支給の対象となった生徒は実質的に授業料が無償となります。
)
生徒
必要書類を提出
必要書類を提出
学校
国
県
就学支援金と
生徒に代わって就学支援金を
就学支援金の
授業料を相殺
受領し、授業料に充てる
費用を県に交付
(※通信制については、一旦授業料を納め、後日、就学支援金を受け取ります。)
3.受給するために必要な手続
(1)申請手続(4月の入学時)
①申請書(進学先の高校で配布されます)
②課税証明書(市役所等で取得できます)などの保護者の所得を証明する書類(市町村民税
所得割額が分かるもの)として、県が定める書類。
*平成 27 年度の4月に提出する場合は【 平成 26 年度(平成 25 年分)】の課税証明書
(2)届出手続(毎年6月~7月頃)
①届出書(進学先の高校で配布されます)
②課税証明書など
*平成 27 年度の7月に提出する場合は【 平成 27 年度(平成 26 年分)】の課税証明書
①と②を、高校に提出し、認定されれば就学支援金が支給され授業料に充てられます。
※②は、原則、親権者(例:父母がいる場合、父と母の両方)全員分が必要です。
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4.所得制限及び支給額について <県立高校の場合>
市町村民税所得割額(保護者の合算)
支給額(全日制・年額)
30 万 4,200 円 未満
11 万 8,800 円
(モデル世帯(*)で年収 910 万円未満)
(※月額 9,900 円)
(*)両親のうちどちらか一方が働き、高校生一人、中学生一人の子供がいる世帯。
※市町村民税所得割額が30万4200円以上の場合、授業料の全額を負担していただきます。
※県民税所得割額は含めません。
※定時制・通信制の場合、支給額が異なります。
5.課税証明書等が必要な者
いいえ
はい
親権者が
いますか
※親権者全員
扶養義務
はありますか
未成年後見人
主たる生計維持者
はいますか
未成年後見人が
いますか
主たる生計維持者
生徒本人
※親権者のどちらか一方の課税証明書等を提出することが、DV などの理由により困難と
認められる場合、該当する親権者の分の提出は不要です。
(学校・県にご相談下さい。
)
6.申請に必要な書類について(市民税所得割額確認書類)
◆市町村民税所得割額は以下の書類で確認できます。
○課税証明書(市町村役場で発行)
○市民税・県民税等の「特別徴収税額の決定・変更通知書」*
(*勤務先を通じて配布。毎年6月頃に配布されるので、大切に保管してください。)
○「住民税納税通知書」(自営業の場合に市町村から送付)
◆税の申告をしておらず、課税証明書等が発行されない場合には、
事前に確定申告が必要です。
【県立高校関係の問合せ先】
進学予定の高校 または
熊本県教育庁学校人事課総務係 ℡096-333-2692
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いにしえ
秋の遺跡発掘調査現場公開のご案内
熊本県教育庁教育総務局文化課では、
「くまもと教育の日」の関連事業として、現在調査
中の遺跡発掘現場を一般公開します。
児童・生徒の皆さんにとって発掘調査の雰囲気を体感する絶好の機会です。学校の先生
方のご参加も大歓迎です。ご参加いただき、児童・生徒の皆さんに文化財の素晴らしさを
お伝えください。事前の申込は不要ですが、団体の場合は事前にご相談ください。
遺跡発掘調査現場公開スケジュール
(1) 幅・津留遺跡(阿蘇郡高森町)
・日 時
・内 容
11月 8日(土) 午前9時30分~12時
遺跡見学会、遺物展示、発掘体験
(2)託麻弓削遺跡群(熊本市東区弓削町)
・日
・内
時
容
11月16日(日) 午前10時~12時
遺跡見学会、発掘体験、遺物展示
(3)北園上野古墳群(水俣市陣内)
・日
・内
時
容
11月29日(土) 午前10時~12時
遺跡見学会、発掘体験、遺物展示
◇昨年秋に実施したときの発掘体験の様子です。ご家族での参加も多く賑わいました。
◇詳しい内容は熊本県ホームページをご覧ください。
◇お問い合わせは、熊本県教育庁教育総務局文化課文化財調査一係・二係
電話(096)333-2706、2707
熊本県ホームページ< http://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/117/ >
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「発見! 広がる未来」
平成26年度熊本県科学研究物展示会(第74回科学展)のご案内
なぜ?どうして?自然のなぞ解きにせま
る子どもたち。工夫を凝らした観察・実験
の数々。
児童生徒の科学研究物や教職員の自作理
科教材・教具等を展示公開します。科学に
関する興味・関心にあふれた作品を見るこ
とで、先生方の理科教育の指導に役立てて
いただければと思います。
今年で74回目。歴史ある科学展へぜひ
お越しください。感動の力作が皆様を待っ
ています!
科学展の展示風景(第 73 回科学展)
会
場
崇城大学ギャラリー
熊本市中央区花畑町10-25
期
日
平成26年11月14日(金)
~11月19日(水)
午前10時30分~午後7時
※17日(月)は休館日
入場料
無料
熱意が感じられる作品が勢揃い!
●お問合せ先
熊本県立教育センター理科研修室科学展係
電 話 0968-44-6611 FAX 0968-44-6495
URL http://www.higo.ed.jp/center/
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パスキン展
愛と放浪の果て-エコール・ド・パリの寵児
10/30(木)~1/12(月・祝)
■ ( 本 館1 階展 示 室) ジュール・パスキンは、モディ
ふ じ た つ ぐ はる
リアーニや藤田嗣 治 らとならび称される画家です。
祖国を離れ、芸術の都パリで活躍した異邦人たちは
「エコール・ド・パリ」
(=パリ派)と呼ばれました。
本展では、パリ市立近代美術館やポンピドゥー・セ
ンターをはじめフランスの美術館などの所蔵する約
90 点の作品群で、パスキン芸術の精髄を紹介します。
くによし やす お
藤田嗣治とは親友であり、国吉 康 雄 にも強い影響を
及ぼすなどわが国とも深い関わりを持つ画家です。
《テーブルのリュシーの肖像 》個人蔵(オスロ)
パリで一世を風靡した天才パスキンの、波乱に満ち
た放浪の人生と哀愁漂う絵画世界に新たな光を当てる機会となれば幸いです。
■観覧料:一般 1,300 円(1,000 円)、高・大学生 800 円(500 円)・中学生以下無料
※( )は前売・20 名以上の団体料金、障がい者手帳をお持ちの方無料
※高校生が教師引率のもと授業・教育の一環として鑑賞する場合無料(前日までに要予約)
■イベント情報 展覧会をより深くお楽しみいただけます
ミュージアムセミナー 14:00~15:00 本館講堂、土曜開催、当日受付、無料
11/15 「パリに散った画家パスキン ー哀愁のエコール・ド・パリ
子ども美術館 10:30~12:00 受付 10:00 本館講堂、日曜開催、当日受付、無料
11/30 「LOVE パスキン」 ※小中学生対象のワークショップ、参加人数 40 名程度
障がいのある方々の鑑賞デー 11/17 (月) ※どなたでもご来館いただけます。
通常休館日である月曜を臨時開館。午前・午後と分けて手話通訳付の解説を行います。
開催中の展覧会~12/23(火・祝)まで
■細川コレクション (別棟展示室、本館2階第1室)
信長からの手紙
※12月 14 日(日)まで
■美術館コレクション (本館2階第2室)
生誕 300 年 矢野雪叟 -雪舟への回帰■美術館コレクション (本館2階第3室)
浜田知明の新作彫刻 -《杖をつく男》初公開-
《織田信長像》江戸時代前期
大雲院所蔵/前期展示~11/9
お問い合わせ先 熊本県立美術館 TEL 096-352-2111 FAX 096-326-1512
開館時間
9:30~17:15(入館は 16:45 まで)
休 館 日 月曜日(祝日の場合は開館し翌日休館)
※公立学校共済組合員証をご提示ください。組合員本人は、1 回に限り
観覧料が全額助成されます。
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時空を超えて、あなたは何を写し撮るのか!
1応募期間
平成 26 年 9 月 1 日(月)~平成 26 年 12 月 19 日(金)必着
2応募内容
鞠智城をテーマにした、美しく感動あふれる写真
3応募資格
小学生以上、プロ・アマを問いません
(但し、日本在住の方に限ります)
4応募サイズ
A4 サイズ、四つ切またはワイド四つ切プリント
5各賞の紹介
グランプリ(1 名)
図書券 30,000 円分
鞠智城賞(1 名)
図書券 20,000 円分
県北広域本部長賞(1 名) 図書券 10,000 円分
山鹿市長賞(1 名)
山鹿特産品(5,000 円相当品)
菊池市長賞(1 名)
菊池特産品(5,000 円相当品)
ころう君賞(1 名)
図書券 3,000 円分
6応募先
〒861-0425 熊本県山鹿市菊鹿町米原 443-1
歴史公園鞠智城・温故創生館「鞠智城フォトコンテスト」係
※作品には、応募票を貼付してください。
応募票は歴史公園鞠智城温故創生館ホームページに掲載してあります。
7フォトコンテストのホームページアドレス
http://www.kofunkan.pref.kumamoto.jp/kikuchijo/info/#20140829135058
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